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| 【提出書類】 | 意見表明報告書 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年11月13日 |
| 【報告者の名称】 | スター精密株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 静岡県静岡市駿河区中吉田20番10号 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 静岡県静岡市駿河区中吉田20番10号 |
| 【電話番号】 | 静岡(054)263-1111(代表) |
| 【事務連絡者氏名】 | 取締役 常務執行役員 コーポレート本部長 佐藤誠悟 |
| 【縦覧に供する場所】 | スター精密株式会社 (静岡県静岡市駿河区中吉田20番10号) 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、スター精密株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、ソルスティシア株式会社をいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は必ずしも計数の総和と一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「株券等」とは、株式及び新株予約権に係る権利をいいます。
(注6) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注7) 本書の提出に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、法で定められた手続及び情報開示基準に従い実施されるものです。
(注8) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
E02302 77180 スター精密株式会社 STAR MICRONICS CO.,LTD. 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 1 false false false E02302-000 2025-11-13 xbrli:pure
意見表明報告書_20251113132630
名 称 ソルスティシア株式会社
所在地 東京都港区六本木六丁目10番1号六本木ヒルズ森タワー23階
(1)普通株式
(2)新株予約権(下記①から⑬の新株予約権を総称して、以下「本新株予約権」といい、下記①乃至⑦の新株予約権を総称して、以下「本株式報酬型新株予約権」といいます。また、本公開買付けにおける本新株予約権1個当たりの買付け等の価格を総称して、以下「本新株予約権買付価格」といいます。)
① 2014年5月22日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第1回株式報酬型新株予約権(以下「第1回株式報酬型新株予約権」といいます。)(行使期間は2014年6月9日から2044年6月8日まで)
② 2015年5月28日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第2回株式報酬型新株予約権(以下「第2回株式報酬型新株予約権」といいます。)(行使期間は2015年6月15日から2045年6月14日まで)
③ 2016年5月26日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第3回株式報酬型新株予約権(以下「第3回株式報酬型新株予約権」といいます。)(行使期間は2016年6月13日から2046年6月12日まで)
④ 2017年5月25日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第4回株式報酬型新株予約権(以下「第4回株式報酬型新株予約権」といいます。)(行使期間は2017年6月12日から2047年6月11日まで)
⑤ 2018年5月24日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第5回株式報酬型新株予約権(以下「第5回株式報酬型新株予約権」といいます。)(行使期間は2018年6月11日から2048年6月10日まで)
⑥ 2019年3月28日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第6回株式報酬型新株予約権(以下「第6回株式報酬型新株予約権」といいます。)(行使期間は2019年4月15日から2049年4月14日まで)
⑦ 2020年3月26日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第7回株式報酬型新株予約権(以下「第7回株式報酬型新株予約権」といいます。)(行使期間は2020年4月13日から2050年4月12日まで)
⑧ 2019年3月28日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第13回通常型新株予約権(以下「第13回通常型新株予約権」といいます。)(行使期間は2021年6月1日から2026年5月31日まで)
⑨ 2020年3月26日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第14回通常型新株予約権(以下「第14回通常型新株予約権」といいます。)(行使期間は2022年6月1日から2027年5月31日まで)
⑩ 2021年3月25日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第15回通常型新株予約権(以下「第15回通常型新株予約権」といいます。)(行使期間は2023年6月1日から2028年5月31日まで)
⑪ 2022年3月24日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第16回通常型新株予約権(以下「第16回通常型新株予約権」といいます。)(行使期間は2024年6月3日から2029年6月2日まで)
⑫ 2023年3月23日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第17回通常型新株予約権(以下「第17回通常型新株予約権」といいます。)(行使期間は2025年6月2日から2030年6月1日まで)
⑬ 2024年3月28日開催の当社取締役会の決議に基づき発行された第18回通常型新株予約権(以下「第18回通常型新株予約権」といいます。)(行使期間は2026年6月1日から2031年5月31日まで)
(1)意見の内容
当社は、2025年11月12日開催の当社取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様並びに本新株予約権の所有者(以下「本新株予約権者」といいます。)のうち、第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権者の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨し、他方、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権に係る本新株予約権者の皆様に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議を行いました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む)全員の承認」に記載の方法により決議されております。
(2)意見の根拠及び理由
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、Taiyo Pacific Partners L.P.が運営する投資ファンド及びそのグループ(以下、総称して「タイヨウ・パシフィック・パートナーズ」といいます。)であるTaiyo Unleash Acrux Holdings, LP(以下「本ファンド」といいます。)がその発行済株式の全てを所有しており、当社株券等を取得及び所有すること等を主たる事業目的として、2025年10月17日に設立された株式会社とのことです。
タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、米国ワシントン州を拠点とし、2001年に米国デラウェア州法に基づき設立された企業の潜在力を解き放つことを目的とするグローバル投資ファンドとのことです。日本においては2003年の運用開始以来20年を超える運用実績を誇り、本邦のエンゲージメント投資の先駆けとして、経営陣との信頼に基づく協働により、長期的な視点から持続的な企業価値の向上を目指す友好的な投資スタイルを特徴としているとのことです。
タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、革新への熱意を有する経営者・創業者と手を組み、よりGreatな会社へと飛躍する企業変革を共に成し遂げることをミッションとしているとのことです。そして、「ポジティブな、重要な、そしてGame-changingな変革は、組織の「中」から生まれてくる」という信条に従い、柵のない外からの視点より、常に誠実な態度で、現状を問い直し、前向きな質問を投げかけることで、企業の「中」にあるアイデアやタレント、経験、技術、ノウハウといった力を共に「解き放つ」価値創造アプローチを重視しているとのことです。そのため、徹底的なボトムアップリサーチで厳選した、競争優位な独自技術・ビジネスモデルと潜在的な成長ポテンシャルを有する少数の投資先企業との徹底的な価値共創にこだわり、経営陣との積極的な対話を通じた事業内容・経営課題への深い理解に基づいた企業価値向上支援を特徴としているとのことです。日本における上場企業の非公開化案件の実績としては、ローランド株式会社を2014年10月に非公開化し、上場廃止(2014年10月27日)前の2014年3月期と2020年12月16日に株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第一部に再上場を果たしたのちの通年実績である2021年12月期との比較において、同社の単一セグメントである電子楽器事業(当時連結子会社であったローランド ディー.ジー.株式会社の事業を除きます。)の売上高は185%、EBITDAは492%、ROIC(注1)は718%となる成長を果たしたとのことです。また、欧米でリーダーシップポジションのマーケットシェアを誇るとタイヨウ・パシフィック・パートナーズが考えている産業用大判プリンタ会社であるローランド ディー.ジー.株式会社を2024年9月に非公開化し、企業価値の更なる向上に向けて伴走支援しているとのことです。タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、日本の資本市場では、まさに「自ら運命を変えるか、他者に変えられるか」が問われる時代が訪れていると考えているとのことです。タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、この20年余り、自らの意思で変革の舵を取ることを選び、より強く、偉大な企業を目指す経営者・創業者に寄り添い、組織が持つ潜在力をともに解き放ってきたとのことです。そしてこれからも、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、変わらぬ姿勢のもと、自らのビジョンを掲げて変革を選ぶ経営リーダーの資本パートナーとして、持続的な成長と価値創造をともに推進していきたいと考えているとのことです。
(注1) 「ROIC」とは、Return On Invested Capitalの略称で、投下資本利益率をいいます。
なお、本書提出日現在、Taiyo Pacific Partners L.P.が投資一任契約に基づき投資権限及び議決権行使権限を有する本ファンドは、当社株式17,304,700株(所有割合:35.69%)を所有しています。本ファンドは、公開買付者の発行済株式の全てを所有しているため、公開買付者の特別関係者に該当するとのことです。また、Taiyo Pacific Partners L.P.は、公開買付者との間で共同して当社株式の議決権を行使することを合意しているため、公開買付者の特別関係者に該当するとのことです。なお、公開買付者は本書提出日時点で当社株式を所有しておらず、本ファンド以外のタイヨウ・パシフィック・パートナーズも当社株式を所有していないとのことです。
(注2) 当社が2025年9月30日現在発行している本新株予約権の内訳は以下のとおりです。
| 本新株予約権の名称 | 2025年9月30日現在の個数(個) | 目的となる当社株式の数(株) |
| 第1回株式報酬型新株予約権 | 34 | 3,400 |
| 第2回株式報酬型新株予約権 | 25 | 2,500 |
| 第3回株式報酬型新株予約権 | 46 | 4,600 |
| 第4回株式報酬型新株予約権 | 83 | 8,300 |
| 第5回株式報酬型新株予約権 | 86 | 8,600 |
| 第6回株式報酬型新株予約権 | 151 | 15,100 |
| 第7回株式報酬型新株予約権 | 341 | 34,100 |
| 第13回通常型新株予約権 | 1,224 | 122,400 |
| 第14回通常型新株予約権 | 350 | 35,000 |
| 第15回通常型新株予約権 | 1,190 | 119,000 |
| 第16回通常型新株予約権 | 730 | 73,000 |
| 第17回通常型新株予約権 | 910 | 91,000 |
| 第18回通常型新株予約権 | 1,070 | 107,000 |
| 計 | 6,240 | 624,000 |
今般、公開買付者は、東京証券取引所プライム市場に上場している当社株式を非公開化することを目的とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、当社株式(譲渡制限付株式報酬として当社の取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)及び執行役員に付与された当社の譲渡制限付株式(以下「本譲渡制限付株式」といいます。)並びに本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及びTaiyo Pacific Partners L.P.が投資権限及び議決権行使権限を有する当社株式(本ファンドが所有する当社株式)を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得するための本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2025年11月12日付で、Taiyo Pacific Partners L.P.との間で公開買付不応募契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結し、Taiyo Pacific Partners L.P.が投資権限及び議決権行使権限を有する当社株式の全て(17,304,700株、所有割合:35.69%)について、本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。
本不応募契約の詳細につきましては、下記「(7)本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」をご参照ください。
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を14,800,700株(所有割合:30.52%)に設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(14,800,700株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方で、本公開買付けは当社株式の非公開化を目的としておりますので、本公開買付けにおいて買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(14,800,700株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、本新株予約権は、いずれも当該本新株予約権の発行要領において譲渡による本新株予約権の取得については当社取締役会の承認を要するものとされております。当社は、本新株予約権者の皆様による本公開買付けへの応募の自由を確保するべく、2025年11月12日開催の当社取締役会において、本公開買付けの成立を条件として、本新株予約権者の皆様が、その所有する本新株予約権を本公開買付けに応募することにより公開買付者に対して譲渡することについて、実際に本新株予約権者から本公開買付けに応募のあった本新株予約権に限り、当該本新株予約権の譲渡による取得を包括的に承認する旨の決議をしております。詳細は、2025年11月12日付「当社発行の新株予約権の譲渡承認に関するお知らせ」をご参照ください。
買付予定数の下限(14,800,700株)は、本基準株式数から、本株式報酬型新株予約権の目的である当社株式の数(76,600株)(注3)及び第18回通常型新株予約権の目的である当社株式の数(107,000株)(注4)を控除した株式数(48,304,372株)に係る議決権の数(483,043個)に3分の2を乗じた数(322,029個、小数点以下切り上げ)から本ファンドが所有する当社株式(17,304,700株)に係る議決権の数(173,047個)並びに本譲渡制限付株式のうち当社の取締役及び執行役員2名が所有している当社株式(97,500株)(注6)に係る議決権の数(975個)を控除した議決権の数(148,007個)に100を乗じた数(14,800,700株)とのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けにおいて、公開買付者は、当社株式を非公開化することを目的としているところ、本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に定義された意味を有します。以下同じとします。)の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け成立後に公開買付者、本株式併合の手続に賛成すると見込まれる当社の取締役及び執行役員並びに本ファンドが当社の総株主の議決権の数の3分の2以上を所有することとなるようにするためとのことです。
(注3) 本株式報酬型新株予約権者は、当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日(但し、第1回及び第2回株式報酬型新株予約権については取締役の地位を喪失した日)の翌日から10日を経過する日(10日目が休日に当たる場合には前営業日)までに限り、本株式報酬型新株予約権を一括してのみ権利行使することができるとされているところ(上記の地位喪失に伴う各行使条件を、以下「本地位喪失行使条件」と総称します。)、本株式報酬型新株予約権者である当社の現取締役3名及び現執行役員2名のうち、本臨時株主総会(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義する。以下同じ。)の基準日となる予定の2026年1月上旬頃までの期間中に本地位喪失行使条件の充足により本株式報酬型新株予約権の行使を予定している者はおらず、本株式報酬型新株予約権が行使され、当社株式が本株式報酬型新株予約権者に対して発行又は移転されることは想定されないため、公開買付者は、買付予定数の下限の設定に際し、本株式報酬型新株予約権の目的である当社株式の数(76,600株)を控除しているとのことです。
(注4) 第18回通常型新株予約権は、行使期間の開始日が2026年6月1日であり、本臨時株主総会の基準日となる予定の2026年1月上旬頃までの期間中に行使することができないため、公開買付者は、買付予定数の下限の設定に際し、第18回通常型新株予約権の目的である当社株式の数(107,000株)を控除しているとのことです。
(注5) 本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権以外の本新株予約権については、本書提出日現在において、いずれも行使期間内であり、かつ、行使条件を満たしていることから行使可能であるため、公開買付期間中に行使され、当社株式が当該本新株予約権の所有者に対して発行又は移転される可能性もあることから、公開買付者は、買付予定数の下限の設定に際し、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権以外の本新株予約権の目的である当社株式の数(440,400株)は控除しているとのことです。
(注6) 本譲渡制限付株式は、譲渡制限が付されていることから本公開買付けに応募することはできませんが、2025年11月12日に開催された当社取締役会において、当社は本取引の一環として実施される本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をしており、本譲渡制限付株式を所有している取締役を含む取締役全員が賛成の議決権を行使していること、また、取締役を兼務しない執行役員のうち本譲渡制限付株式を保有する執行役員は2名であるところ、当該執行役員は、本公開買付けに係る当社のプロジェクトチームのメンバーであり、本取引について賛同する旨の意向を受けていることから、本譲渡制限付株式を所有する当社の取締役及び執行役員2名は、本公開買付けが成立した場合には本臨時株主総会において本スクイーズアウト手続(以下に定義します。)に賛成する見込みであると考えられるため、買付予定数の下限の設定に際し、本譲渡制限付株式のうち当社の取締役及び執行役員2名が所有している株式(97,500株)を控除しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、当社株式の全て(本譲渡制限付株式及び本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本ファンドが所有する当社株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者及び本ファンドのみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、決済の開始日の1営業日前までに株式会社静岡銀行(以下「静岡銀行」といいます。)から70,600,000,000円を限度とした借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)を行うこと、及び決済の開始日の2営業日前までに本ファンドから出資を受けることにより本公開買付けに係る決済に要する資金を賄う予定とのことです。なお、本銀行融資に係る融資条件の詳細は、静岡銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとしているとのことですが、本銀行融資に係る融資契約では、公開買付者が本取引により取得する当社株式が担保に供されるほか、本スクイーズアウト手続の完了後は、当社の一定の資産等が担保に供される予定とのことです。
② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程
本書提出日現在、当社のグループは、当社及びその子会社18社及び持分法適用関連会社1社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)で構成されており、工作機械事業及び特機事業、具体的には、スイス型CNC自動施盤等工作機械や小型プリンター等の製造販売を行っております。当社は、1950年7月に株式会社スター製作所として設立され、1965年9月に現在のスター精密株式会社へと商号変更いたしました。当社は、創業当時、微細で高精度な加工が要求される腕時計用部品やカメラ用部品等の製造・販売からスタートし、常にさらなる高精度を求め、その時々の技術を最大限駆使するために工作機械の改良、改造を行い、「スイス型自動施盤」等の工作機械を自社生産するに至ったほか、電気工学や情報工学等の技術を蓄え、プリンター等の時代のニーズに即した製品に領域を広げてきました。また、当社グループは、1960年代から生産拠点の海外進出を進め、その後も北半球を中心に工場と販売拠点を拡大させ、世界各国に販路を広げ、成長を続けてきました。また、当社株式は1981年10月に株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)市場第二部に上場後、1984年8月に名古屋証券取引所市場第一部に変更上場し(2006年7月に同証券取引所の上場を廃止)、1990年10月に東京証券取引所市場第一部に上場し、2022年4月の東京証券取引所の市場再編に伴い、本書提出日現在は東京証券取引所プライム市場に上場しております。
当社グループは、2022年2月9日に公表した中期経営計画において、当社グループの「2030年の目指す姿」に向けたロードマップを示しており、その実現に向け、第1次中期経営計画として2022年12月期から2024年12月期の3年間を「変革の土台作り」の期間と位置づけ諸施策を推進してまいりました。そして、当社グループは、その次なる成長に向け、同ロードマップに基づき、2025年12月期から2027年12月期を「変革の推進」と位置づけた第2次中期経営計画(以下「第2次中期経営計画」といいます。)を2025年2月12日に公表し、第2次中期経営計画とその先にある「2030年の目指す姿」の達成に向け、第2次中期経営計画に従って「変革の推進」のための各施策を次のとおり重点施策と定めて推進しております。
・工作機械事業:市場成長の期待が高い医療関連分野での販売強化のため、製品ラインナップ及び技術サポート体制の拡充、生産拠点の増強を進める。あわせてソフトウェア技術の強化を推進する。
・特機事業 :収益性の回復を優先課題として定め、生産拠点の集約や販売体制の見直しに取り組む。
・新規事業 :M&Aを含むオープンイノベーションの推進と自社資源の活用により、メディカル事業への早期参入を図る。
・グループ全体:新人事制度に基づく企業風土改革を進めると同時に、サステナビリティ方針に基づくマテリアリティへの取り組みを推進する。
一方、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、日本の上場株式に投資するファンドとして、多数の上場会社のリサーチを日々継続的に行っている中で、当社の競争優位な独自技術・ビジネスモデルと潜在的な成長ポテンシャルを感じたため、上場投資における投資候補先の理解の深化及び関係構築の一環として当社がIR活動として日々行われている面談という形式で2004年10月にタイヨウ・パシフィック・パートナーズから当社に対し面談の実施を依頼し、2004年10月下旬より当社とのエンゲージメントに係る面談を開始しました。その後、2006年11月から当社に対する投資を開始して、当社グループの企業価値向上に向けて、当社と建設的な対話を継続しているとのことです。2025年4月7日には、当社の①持続的な事業の利益成長、②競争優位性の深化及び③高い資本利益率の維持の実現に向け、中長期の事業戦略オプションの客観的・実質的な検討、事業投資戦略の強化及び資本配分政策の高度化等のサポートを行い、当社グループの企業価値の飛躍的な向上を図ることを目的として、当社との間で資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といい、本資本業務提携契約に基づく資本業務提携を「本資本業務提携」といいます。)を締結し、同年5月27日、本ファンドは、第三者割当による新株発行により、当社株式16,108,300株を取得し、17,304,700株(所有割合:35.69%)を所有するに至り、当社の筆頭株主となりました。
タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、本資本業務提携契約を締結した2025年4月7日以降、同契約で合意されたところに従い、中長期の事業戦略オプションの客観的・実質的な検討のサポートを行うことを目的として、当社グループの経営管理体制及び事業戦略に係る分析及び同分析に基づく当社との議論を継続し、第2次中期経営計画を礎とした当社グループの中長期の事業戦略オプションに係る理解を深め、さらに、本資本業務提携契約が目的とする当社グループの企業価値の飛躍的な向上に必要となる事業戦略オプション、事業投資戦略及び資本配分政策について、議論及び検討を行ったとのことです。当該議論及び検討は本書提出日現在も引き続き継続しているものの、2025年6月下旬までの当該議論及び検討を通じて、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、CNC自動旋盤分野における工作機械事業業界において、当社グループが省人化・精密化・小型化の強みを武器に強固なポジションを築いていること、そのポジションの構築及び維持に向けて当社グループが日々たゆまぬ企業努力を継続していること、さらには当社が業界内での一層のポジション構築を可能とする大きな潜在力を有していることについて、再確認するとともに確信を深めることができたとのことです。その一方で、当社グループの中核である機械事業において、微細化・精密化・省人化を背景に、今後も長期的な成長が見込まれる魅力的な市場であるがゆえに、多くのプレイヤーが参入、及び参入を検討している中で、今後、競争激化は避けられないものと考えており、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとしては、この状況に危機感を抱きつつも、この成長市場においてリーディングポジションを確保することが、当社の更なる成長には必要不可欠と考えているとのことです。タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、この競争が激化している市場環境においては、経営管理体制、事業ポートフォリオにおける資源配分の最適化、そして各事業戦略の方向性といった、当社における経営上の構造的課題を解決していくことが必須であると考えていることに加えて、保護主義的な貿易政策の台頭など、当社を取り巻く事業環境の不確実性が増大し競争が激化する中、当社グループが競争優位性を維持し、中長期的な企業価値を向上させていくためには、早急かつ抜本的な対策が急務であると認識するに至ったとのことです。そして、2025年6月下旬に、これらの課題を克服し、当社グループの持続的な成長、競争優位性の強化、及び高い資本効率を実現するためには、以下(ⅰ)乃至(ⅴ)の施策を迅速かつ抜本的に実行することが不可欠であると考えるに至ったとのことです。
(ⅰ)経営管理に係る重要指標の見える化を徹底し、より効率的かつ実効的な事業運営を可能とする経営の筋肉質化
(ⅱ)事業投資戦略の強化及び資本配分政策の高度化を図るための礎としての投資規律の強化
(ⅲ)工作機械事業については、欧米主要地域におけるリーダーシップポジション獲得に向けたエリア戦略の再設計、海外ガバナンス体制再構築を含めた抜本的な変革
(ⅳ)特機事業については、市場成熟化に加えて競合との競争激化と向き合い、より戦略的なフォーカスと抜本的な筋肉質化の変革
(ⅴ)新規事業については、目指す事業の姿とそのための事業戦略の再構築
これらの施策のうち、上記(ⅰ)の経営管理に係る重要指標として例えば製品別の収益性や在庫等の見える化については、本資本業務提携契約締結後、タイヨウ・パシフィック・パートナーズ及び当社グループとの間で取り組んでおり、また、上記(ⅱ)の投資規律の強化については、2025年7月1日付で当社において投資委員会を設置の上、タイヨウ・パシフィック・パートナーズも関与し、当社グループの企業価値向上施策を本資本業務提携契約の一環として具体的に取り組んでおり、製品別の収益性等の一部指標の見える化の実行や投資委員会での審議プロセスを通じた投資規律の強化等一定の成果を上げることができたとタイヨウ・パシフィック・パートナーズは考えているとのことです。
一方で、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、「経営管理における重要指標の見える化」及び「投資規律の強化」は、本質的な企業価値の向上に繋がる質の高い意思決定に資するために行われるべきものと考えているところ、当社において本質的な企業価値の向上に繋がる質の高い意思決定が確実に行われるためには、現状の資本提携のままでの取り組みには限界があると考えるに至ったとのことです。具体的には、重要指標の選定や投資規律の厳格な適用といった、当社の経営の根幹に関わる重要な意思決定において、資本提携当時の枠組みにおいては情報アクセス及びリードタイム等物理的な制約があり、タイヨウ・パシフィック・パートナーズによる当社に対する大胆な判断への関与が難しい側面があるとのことです。また、資本提携の枠組みでは、当社との事前情報の共有及び協議の制約があり、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは事務局支援/諮問的な役割での関与に留まり、直接的な意思決定に関与することはできず、結果的に既に当社の社内既定路線として進行している案件への大胆な方針変更の判断ができない等の「投資規律の強化」に係る課題が顕在化していることを認識しているとのことです。また、上場を維持したままでは、四半期ごとの業績開示が求められ、株価への影響を懸念するあまり、経営指標の見える化が達成されたとしても、短期的に業績が悪化する可能性のある抜本的な改革に着手することは極めて困難であると考えているとのことです。資本効率を向上させるための厳格な投資規律の運用は、非効率な事業からの撤退や、将来を見据えた大規模な先行投資等の判断が求められる仕組みを徹底することを意味するところ、当社が上場企業である限り、短期的な市場の評価や既存の事業へのしがらみ・短期業績への影響から、こうした投資規律の徹底による大胆な意思決定を迅速に行うことは容易ではないと考えているとのことです。
また、本資本業務提携契約締結後の当社グループの経営管理体制及び事業戦略に係る分析及び同分析に基づく当社との議論の結果を踏まえると、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとしては、当社グループが直面する経営課題を打破し中長期的な成長を確実なものとするためには、当社グループの各事業それぞれにおける経営改革、特に上記(ⅲ)の工作機械事業における抜本的改革を推し進めることは必要不可欠であり、また、足許の競争環境の激化といった事実を踏まえれば、グローバルガバナンスの強化をはじめとした構造改革と成長戦略に係る施策を両輪でいずれも早急に着手し短期で完了することが当社グループの繁栄にとって必要不可欠であると考えるに至ったとのことです。具体的には、当社グループが強固なポジションを持つと考えられる欧米市場において戦略的な積極的投資を行うことが当社の本質的な企業価値向上に資すると考えているところ、当社グループにおいて、欧米の統合されたエリア戦略企画機能が明確に存在せず、エリア戦略及びリソース投下の判断が、現地からのボトムアップに依存し、全社的な戦略的判断に基づかない個々の販社ごとの個別意思決定がなされているため、欧米市場を効果的にガバナンスする統括機能と各市場における競争力のある拠点体制の構築が急務であると考えているとのことです。そして、これらの抜本的施策を実行するためには、既存の枠組みに囚われない経営改革を推進でき、かつ、複雑化する外部環境の変化に対応できるだけの柔軟かつ迅速な意思決定体制の構築及び中長期的な視点に基づく積極的な経営資源の投入を行う必要があり、これらなくして抜本的施策を早期かつ確実に実行することは極めて困難であると考えるに至ったとのことです。そこで、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、時間と資源を集中投下できる経営環境を整えるために当社株式を非公開化することが当社グループの今後の飛躍的な成長にとっては最良の選択肢であると考えるに至るとともに、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとしても、当社株式を非公開化することにより、当社に対しより多くのリソースを投下して当社と一層緊密に連携をすることができ、かつ、その意思決定にもこれまで以上に深く関与することができるようになることで、当社の企業価値向上をよりスピーディーにかつより確実に実現することができると考えるに至ったとのことです。このように、企業の潜在力を解き放つことを目的として運営するグローバル投資ファンドであるタイヨウ・パシフィック・パートナーズにとって、当社株式を非公開化し、一層の企業価値向上を実現することは、上記目的に照らしてメリットがあると考えているとのことです。さらに、そのような経営改革に際しては、当初の投資から20年超の関係を通じて当社グループの事業及び企業文化に精通したタイヨウ・パシフィック・パートナーズが、当社グループとの間でこれまで以上にさらなる強固な関係を構築し、共に断行することが、当社グループの飛躍的な企業価値向上の実現にとって最良の選択肢であり、また、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとしても、長年の信頼関係及び資本業務提携関係を構築する過程及びそれ以降の当社へのエンゲージメントを経て当社グループの事業における潜在力及び企業文化に精通しているからこそ、そのような関係のもと当社グループと緊密に協働することで、結果、抜本的施策を早期かつ確実に実行することができるようになると考えられることから、当社グループの業界内での一層のポジション構築を可能とする潜在力を最大限解き放つことができるものと確信するに至ったとのことです。なお、一般に、株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを以後享受できなくなることが挙げられるものの、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとしては、エクイティ・ファイナンスによる資金調達については、当社の現在の財務状況を考慮すると、少なくとも当面の間その必要性は高くなく、また、知名度や社会的信用の向上についても、真摯な事業遂行により実現することが可能なものであることからすれば、当社における株式の非公開化に伴うデメリットは限定的であると考えているとのことです。また、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは投資ファンドであり、事業上のコンフリクト等のディスシナジーを引き起こさないこと、当社と競合する事業に投資をしていないこと、2004年10月以来、当社グループの企業価値向上を支援してきましたが、その間ディスシナジーの発生を認識していないことから、本取引によるディスシナジーはないと考えているとのことです。
以上の背景から、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、2025年8月8日、当社取締役会に対して意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出し、新たに設立する会社を公開買付者とするストラクチャーを想定している旨を伝達するとともに、本取引の実施に向けた具体的な協議を進めたいこと、当社グループに対するデュー・ディリジェンスを同年8月中旬から同年10月上旬まで実施したいことを申し入れ、これを受けた当社は、同年8月22日、本取引の実施に向けた具体的な協議を進めること及びデュー・ディリジェンスを受け入れる旨の連絡をタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対していたしました。そこで、タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、これらのデュー・ディリジェンスを実施するにあたり、2025年8月上旬に法務アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、2025年8月下旬に財務・税務のアドバイザーとして株式会社KPMG FASを、2025年9月上旬にファイナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券株式会社をそれぞれ選任したとのことです。
タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、デュー・ディリジェンスの結果等を踏まえ、当社グループの事業及び有価証券報告書等の公開情報に加え、デュー・ディリジェンスで開示された非公開情報に記載の過去や将来の財務情報に関する多面的かつ総合的な分析及び当社の過去の一定期間における市場株価の動向(2025年10月10日の当社株式の終値1,675円、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,687円、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値1,714円、同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値1,685円)等を参考に、2025年10月13日、当社に対して、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1,900円(提案前営業日である2025年10月10日の終値1,675円に対して13.43%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,687円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して12.63%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,714円に対して10.85%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,685円に対して12.76%のプレミアム)とする提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月17日、当社から、本公開買付価格の提案価格は、当社の少数株主に配慮した水準ではないとして、買付価格の引上げを要請されたとのことです。公開買付者は、当社からの上記要請を検討し、2025年10月20日、当社に対して、本公開買付価格を1,970円(提案日である2025年10月20日の終値1,681円に対して17.19%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,676円に対して17.54%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,710円に対して15.20%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,691円に対して16.50%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した1,970円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(225円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である22,500円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(859円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である85,900円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(307円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である30,700円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(498円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である49,800円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780円の差額(190円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である19,000円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とする旨の2回目の提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月21日、当社から、当社において算定した当社の株式価値及び他社の類似案件におけるプレミアムを勘案した当社の検討の結果として、これらの買付価格の引上げを要請されたとのことです。公開買付者は、当社からの上記要請を再度検討し、2025年10月24日、当社に対して、本公開買付価格を2,020円(提案日である2025年10月24日の終値1,721円に対して17.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,681円に対して20.17%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,708円に対して18.27%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,695円に対して19.17%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,020円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(275円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である27,500円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(909円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である90,900円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(357円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である35,700円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(548円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である54,800円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780円の差額(240円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である24,000円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とする旨の3回目の提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月27日、当社から、当社における算定結果や他社の類似案件に照らして、本公開買付価格の提案価格は、当社の少数株主に配慮した水準ではないと考えており、2025年2月12日に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関するお知らせ」に記載の通り、当社PBRは2021年12月期以降、1.0倍を下回る状況が継続しており、企業価値向上を実現していくためにPBRの向上が経営上の重要課題と認識しているところ、本公開買付価格の提案価格に基づいて試算されたPBRは1.0倍を下回っており、その観点からも合理性が認められる価格水準であるとは判断できかねるとし、これらの買付価格の引上げを要請されたとのことです。公開買付者は、当社からの上記要請を再度検討し、2025年10月29日、当社に対して、本公開買付価格を2,065円(提案日である2025年10月29日の終値1,659円に対して24.47%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,682円に対して22.77%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,706円に対して21.04%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,696円に対して21.76%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,065円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(320円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である32,000円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(954円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である95,400円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(402円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である40,200円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(593円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である59,300円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780円の差額(285円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である28,500円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とする旨の4回目の提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月31日、当社から、当社における算定結果や他社の類似案件に照らして、本公開買付価格の提案価格は、当社の少数株主に配慮した水準ではないと考えており、当社グループは事業(工作機械業界)の性質上、景気循環の影響を受けて業績が周期的(シクリカル)に変動しやすいものの、足許では需要変動の谷を抜けて、自動盤需要は拡大傾向で推移(シクリカル・グロース)し上昇局面を迎えつつある一方、概ね3~5年周期で変動する業績と連動する形で株価も形成されているところを見るに、本公開買付価格の提案価格は、少なくとも足許から同周期を考慮した、過去5年間における株価最高値の2,172円(終値ベース)を下回っていることからも少数株主の利益に十分に配慮した価格水準であるとは判断できかねるとし、これらの買付価格の引上げを要請されたとのことです。公開買付者は、当社からの上記要請を再度検討し、2025年11月4日、当社に対して、本公開買付価格を2,175円(提案日の前営業日である2025年10月31日の終値1,664円に対して30.71%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,681円に対して29.39%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,704円に対して27.64%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,696円に対して28.24%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,175円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(430円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である43,000円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(1,064円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である106,400円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(512円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である51,200円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(703円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である70,300円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780円の差額(395円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である39,500円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とし、当該提案を最終とする旨の5回目の提案を行ったとのことです。なお、公開買付者は、上記提案の背景として、当社は、各事業を世界各地で展開しており、それらの需要は販売先の景気動向に左右されやすく、特に主力の工作機械事業は、企業の設備投資需要の影響を受けやすい業界であるほか、生産及び販売の海外比率が高い中で、大型の設備投資を計画している一方で、2025年4月2日の米国関税措置による今後の影響が未だ不透明であることに加え、目下は円安で追い風となっている為替が将来的に円高に変動し得ることを特にリスク要因として捉えているものの、本資本業務提携契約が目的とする当社の企業価値の飛躍的な向上に向けて真摯に議論及び検討を実施する中で、自動旋盤分野における工作機械事業業界において、当社が省人化・精密化・小型化の強みを武器に強固なポジションを築いていること、そのポジションの構築及び維持に向けて当社が日々たゆまぬ企業努力を継続していること、さらには当社が業界内での一層のポジション構築を可能とする大きな潜在力を有していることについて、再確認するとともに確信を深めることができ、2004年10月のエンゲージメントに係る面談から20年超の関係を通じて当社の事業及び企業文化に精通した公開買付者であれば、当社との間でこれまで以上にさらなる強固な関係を構築し、共に断行することで、当社の潜在力を最大限解き放つことができるものと確信しており、これらを最大限に考慮した結果、初回提案の1,900円と比べて、275円と価格引き上げに至ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年11月4日、当社から、当社少数株主の利益を十分に確保すべく、本件への賛同・応募推奨に向けて、これらの買付価格の引上げを検討するよう要請されたとのことです。公開買付者は、当社からの上記要請を再度検討し、2025年11月7日、当社に対して、5回目の提案価格は、当社の過去5年間における株価最高値の2,172円(終値ベース)を上回るものであり、当社の少数株主に十分配慮した価格水準であるとして、5回目の提案と同様の条件とし、改めて当該提案を最終とする旨の6回目の提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年11月7日、当社から、当社において算定した当社の株式価値及び他社の類似案件におけるプレミアムを踏まえれば、賛同・応募推奨を行うにあたっては、依然として一般株主の利益に十分配慮した水準であると確信を得るには至らないところであるとして、これらの買付価格の引上げを検討するよう要請されたとのことです。公開買付者は、当社からの上記要請を再度検討し、2025年11月10日、当社に対して、本公開買付価格を2,210円(提案前営業日である2025年11月7日の終値1,660円に対して33.13%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,676円に対して31.86%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,692円に対して30.61%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,696円に対して30.31%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,210円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(465円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である46,500円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(1,099円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である109,900円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(547円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である54,700円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(738円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である73,800円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780の差額(430円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である43,000円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とし、改めて当該提案を最終とする旨の提案を行ったとのことです。これに対し、当社は、本公開買付価格を2,210円、本株式報酬型新株予約権1個につき1円、第13回通常型新株予約権1個につき46,500円、第14回通常型新株予約権1個につき109,900円、第15回通常型新株予約権1個につき54,700円、第16回通常型新株予約権1個につき73,800円、第17回通常型新株予約権1個につき43,000円、第18回通常型新株予約権1個につき1円とすることを応諾する旨の回答を行い、合意に至ったとのことです。
上記の結果、公開買付者は、2025年11月12日、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)当社を取り巻く事業環境、当社の経営課題
当社は、1950年7月に株式会社スター製作所として設立され、腕時計並びにカメラ用部分品等の製造・販売を開始いたしました。その後1965年9月には東海精密株式会社を吸収合併し、スター精密株式会社に商号を変更しました。当社株式については、1981年10月に名古屋証券取引所市場第二部に株式を上場した後、1984年8月に名古屋証券取引所市場第一部に変更上場し(2006年7月に同証券取引所の上場を廃止)、1990年10月に東京証券取引所市場第一部に指定を受け、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在においては、東京証券取引所プライム市場に上場しております。
当社グループは、スイス型CNC自動旋盤を中心とする工作機械事業、POSシステムに使用される小型プリンターを中心とした特機事業を主体として事業活動を展開しております。
また、当社グループは2025年7月をもって創業75周年を迎え、企業理念である「企業は永遠に発展させるもの 従業員の生活はたゆまず向上するもの」の下、工作機械業界においてゆるぎない地位を維持していくとともに、従業員や株主だけにとどまらず、ステークホルダーの皆様と共に継続的に発展できるよう努力しております。
また、当社グループは2022年2月に、社会と共に持続的に発展する企業を目指し、社員が自律的に判断し行動するための指針として、企業理念、パーパス(存在意義)、経営方針、行動指針の見直しを行うと同時に、2030年の目指す姿を設定しました。これらを基に、9年間を3年ごとに区分したロードマップを示しており、第1次中期経営計画として2022年12月期から2024年12月期の3年間を「変革の土台作り」の期間と位置づけ推進してまいりました。そして、2025年2月には、当社の次なる成長に向け、「変革の推進」と位置付けた第2次中期経営計画を策定しました。具体的には、現在の主力である工作機械事業における医療関連分野向けの販売拡大及び特機事業における収益性回復、次なる収益源となる新規事業立上げを掲げ、2030年の目指す姿に向け、各事業領域の戦略実行に取り組んでまいりました。
当社は、当社を取り巻く事業環境について、以下のとおり考えております。
(ア)工作機械事業
工作機械業界は、企業の設備投資需要に強く影響され、業績が販売先の景気状況に左右されやすく変動が大きいという特徴があります。米国では新政権による関税や防衛等の政策の変化によりグローバルでのサプライチェーンの見直しが行われ、製造業の国内回帰が進み、欧州市場や中国市場における現地の生産体制に大きな変化をもたらしています。そのような足元では不透明なマクロ環境下でも、中長期では将来的な市場成長が期待されており、競合他社においては、各社の戦略や活発化する業界内再編を通して、国内外における自動盤事業強化やグローバルでの生産・販売体制の強化が進んでいるほか、大手競合他社による五軸加工機や複合加工機などの高単価製品への注力や顧客の製造ラインの設計及びメンテナンスといったソリューションビジネスへの進出もみられます。特に、当社の強みとしていた米州・欧州において、競合他社がキャッシュフローを工作機械事業に投下することによる当該地域での事業拡大と、アグレッシブな価格競争をしかけており、世界最大市場である中国においては、既に他社がリーディングポジションを確立している状況となっております。次なる成長市場であるインド市場においても、現地工場を含めた生産体制を確立するなど競合他社が先行している状況であり、今後、自動盤の周辺領域の競合他社が自動盤市場に参入する可能性も想定され、競争が一層激化するものと考えております。
(イ)特機事業
ペーパレス化の進展や、競合他社との価格競争の激化、さらに近年増加しているプリンター一体型の小型決済端末の開発など、特機事業を取り巻く環境にはいくつかの課題が存在します。
一方、mPOS(モバイルPOS:スマートフォンなどのモバイル端末をハードウェアとして用いる決済システム)市場は、店舗スタイルの多様化を背景に、引き続きグローバルでの成長が期待されています。今後ますます人手不足が深刻化する中、店舗の効率化ニーズは高まり続けており、ハードとソフトを融合した新しい製品やサービスの提供によって、当社グループの強みを発揮できる場面が増えると考えています。レシートプリンターについては、レシート用途に囚われない紙印刷ソリューション自体の需要は、特定の用途や顧客層で引き続き存在し、加えてmPOSを含む店舗オペレーションのデジタル化や買い替え需要も見込まれるものの、ペーパレス化の進展による需要鈍化の影響が懸念されます。またデリバリーサービスをはじめとする店舗でのラベル印刷など、新たなニーズも高まっています。このように店舗スタイルの多様化により、プリンターはレシートにとどまらず、新たな活用シーンの拡大が見込まれるものの、新たな活用方法も試行錯誤の段階であり、楽観視はできない状況と考えております。
上記のような事業環境の下、当社グループは、2025年より第2次中期経営計画を策定し、その中で、「工作機械事業における医療関連分野向けの拡大」、「特機事業における収益性の回復」、「メディカル(医療機器)事業の立上げ」の3つの方針を掲げております。「企業と社員が共に成長し、社会に貢献する」という基本方針の下、複数事業体制による社会の発展と企業価値向上に取り組んでいく所存です。収益構造の変革にあたっての当社全体の主要課題としては、「経営管理に係る重要指標の見える化」及び「投資規律の強化」と認識しております。上記のとおり、当社を取り巻く事業環境はかつてない程激化しており、更なる競争力強化に向けたKPIの整備や投資判断の透明化等の投資効果を最大化させる体制の構築が急務となっております。また、海外子会社とのタイムリーな連携と意思決定プロセス改善によるグローバル販社体制整理等を通じたガバナンス体制再構築の検討についても、今後の重要な課題であると認識しております。
(ⅱ)検討体制の構築の経緯
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年8月8日、本取引の提案及びその後の正式なデュー・ディリジェンス実施の申し入れを含む、本意向表明書を受領いたしました。当社は、2025年8月中旬に、かかる提案について慎重に検討を行うため、本取引と同種の、公開買付けを通じた非公開化取引に関する他社における公表内容から、個別案件に関与した件数や時期を踏まえ、アドバイザーとしての専門性及び実績等を検討の上、当社、公開買付者、タイヨウ・パシフィック・パートナーズ、本ファンド(以下、総称して「公開買付関連当事者」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を、法務アドバイザーとして、本資本業務提携契約締結の際にも当社の法務アドバイザーとして法的助言を受けた実績を踏まえて日比谷パーク法律事務所をそれぞれ起用することとし、その後、同年8月22日、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対して、真摯な提案として受け止め、真摯な検討を行うものとして、そのために必要な情報提供等の依頼をするとともに、本取引の実施に向けた具体的な協議を進めること及びデュー・ディリジェンスを受け入れる旨の連絡をいたしました。
また、当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)又は支配株主による公開買付けには該当しないものの、日比谷パーク法律事務所の助言を踏まえ、公開買付者及び当社の筆頭株主である本ファンドが本公開買付けを含む本取引を通じて当社株式を非公開化し、当社の株主を公開買付者及び本ファンドのみとすることを企図しており、タイヨウ・パシフィック・パートナーズと当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを考慮して、2025年8月13日付で、当社の独立社外取締役である西川勢一氏(常勤監査等委員)、片山幹雄氏、杉本基氏(監査等委員・公認会計士)及び宮田逸江氏(監査等委員・弁護士)の4名から構成される、公開買付関連当事者から独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し、本取引に係る協議・交渉を行う体制を構築いたしました(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
(ⅲ)検討・交渉の経緯
上記のような体制の下、当社は、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示及び要請等に基づいた上で、SMBC日興証券及び日比谷パーク法律事務所から助言を受けながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性等に関してタイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。具体的には、当社は、2025年8月22日に、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、タイヨウ・パシフィック・パートナーズの概要、本取引の想定ストラクチャー及び本取引の想定スケジュール等に関して書面による質問をし、同年9月1日にタイヨウ・パシフィック・パートナーズから当該質問事項について書面による回答を受けました。当該回答を踏まえて、当社は、2025年9月11日にタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、本取引の目的・背景、本取引の前提条件、資金調達の方法、本取引実施後の当社の経営方針・経営体制等に関して書面による追加質問をし、同月18日にタイヨウ・パシフィック・パートナーズから当該質問事項について書面による回答を受け、これらの回答を踏まえて、同月19日に、本特別委員会においてタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対するインタビューを実施し、本取引の意義、本取引の実行後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリット、当社の商号や事業所等の取扱いを含むその他の影響の内容及び程度を確認いたしました。また、当社は、本特別委員会から、2025年9月16日に、当社の事業環境・現状認識、本資本業務提携における取組みの進捗状況、本取引の目的・背景等に関して書面による質問を受け、同月28日に当該質問事項について書面による回答を行うとともに、同月29日に、本特別委員会から当社経営陣に対するインタビューを受けました。かかる回答に対して、当社は、本特別委員会から、2025年10月8日に、本資本業務提携を踏まえた当社の現状認識、本取引の実行後に想定している施策の内容等及び事業計画の策定経緯に関して書面による追加質問を受け、同月21日に当該質問事項について書面による回答を行いました。その後、当社は、本特別委員会から、同月27日に、株式価値算定の前提条件等について書面による追加質問を受け、2025年11月1日に当該質問事項について書面による回答を行うとともに、2025年11月4日に、本特別委員会から当社経営陣に対するインタビューを受け、それらの質疑応答等を通じて、当社としての本取引の目的や意義、本取引によって実行が可能な施策等を確認いたしました。これらの過程で本特別委員会から受けた指摘等を踏まえて、当社は、2025年10月10日に、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、本資本業務提携を踏まえたタイヨウ・パシフィック・パートナーズの現状認識、本取引の実行後に想定している施策の内容等に関して書面による質問をし、同月17日にタイヨウ・パシフィック・パートナーズから当該質問事項について書面による回答を受けたのち、資金調達の方法等について、同月27日に、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し書面による追加質問をし、同月30日に本特別委員会からタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対するインタビューを行い、当該質問事項について回答を受けたのち、2025年11月4日に書面においても同様の回答を受け、その上で、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かについての議論及び検討を行いました。当該検討と並行して、当社は、2025年10月中旬以降、本公開買付価格についてタイヨウ・パシフィック・パートナーズとの協議・交渉を開始しました。
本公開買付価格については、当社は、2025年10月13日に、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから、(ⅰ)本公開買付価格を1,900円(提案前営業日である2025年10月10日の終値1,675円に対して13.43%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,687円に対して12.63%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,714円に対して10.85%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,685円に対して12.76%のプレミアム)とする提案を受領しました。これに対し、当社は、2025年10月17日、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、本公開買付価格の提案価格は、当社の少数株主に配慮した水準ではないとして、買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから、2025年10月20日、本公開買付価格を1,970円(提案日である2025年10月20日の終値1,681円に対して17.19%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,676円に対して17.54%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,710円に対して15.20%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,691円に対して16.50%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した1,970円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(225円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である22,500円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(859円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である85,900円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(307円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である30,700円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(498円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である49,800円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した1,970円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780の差額(190円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である19,000円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とする旨の2回目の提案を受領しました。これに対し、当社は、2025年10月21日、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、当社において算定した当社の株式価値及び他社の類似案件におけるプレミアムを勘案した当社の検討の結果として、これらの買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから、2025年10月24日、本公開買付価格を2,020円(提案日である2025年10月24日の終値1,721円に対して17.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,681円に対して20.17%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,708円に対して18.27%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,695円に対して19.17%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,020円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(275円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である27,500円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(909円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である90,900円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(357円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である35,700円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(548円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である54,800円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,020円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780の差額(240円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である24,000円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とする旨の3回目の提案を受領しました。これに対し、当社は、2025年10月27日、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、当社における算定結果や他社の類似案件に照らして、本公開買付価格の提案価格は、当社の少数株主に配慮した水準ではないと考えており、2025年2月12日に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関するお知らせ」に記載の通り、当社PBRは2021年12月期以降、1.0倍を下回る状況が継続しており、企業価値向上を実現していくためにPBRの向上が経営上の重要課題と認識しているところ、本公開買付価格の提案価格に基づいて試算されたPBRは1.0倍を下回っており、その観点からも合理性が認められる価格水準であるとは判断できかねるとし、これらの買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから、2025年10月29日、本公開買付価格を2,065円(提案日である2025年10月29日の終値1,659円に対して24.47%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,682円に対して22.77%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,706円に対して21.04%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,696円に対して21.76%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,065円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(320円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である32,000円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(954円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である95,400円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(402円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である40,200円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(593円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である59,300円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,065円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780円の差額(285円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である28,500円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とする旨の4回目の提案を受領しました。これに対し、当社は、2025年10月31日、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、当社における算定結果や他社の類似案件に照らして、本公開買付価格の提案価格は、当社の少数株主に配慮した水準ではないと考えており、当社グループは事業(工作機械業界)の性質上、景気循環の影響を受けて業績が周期的(シクリカル)に変動しやすいものの、足許では需要変動の谷を抜けて、自動盤需要は拡大傾向で推移(シクリカル・グロース)し上昇局面を迎えつつある一方、概ね3~5年周期で変動する業績と連動する形で株価も形成されているところを見るに、本公開買付価格の提案価格は、少なくとも足許から同周期を考慮した、過去5年間における株価最高値の2,172円(終値ベース)を下回っていることからも少数株主の利益に十分に配慮した価格水準であるとは判断できかねるとし、これらの買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから、2025年11月4日、本公開買付価格を2,175円(提案日の前営業日である2025年10月31日の終値1,664円に対して30.71%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,681円に対して29.39%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,704円に対して27.64%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,696円に対して28.24%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,175円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(430円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である43,000円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(1,064円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である106,400円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(512円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である51,200円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(703円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である70,300円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,175円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780円の差額(395円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である39,500円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とし、当該提案を最終とする旨の5回目の提案を受領しました。これに対し、当社は、2025年11月4日、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、当社少数株主の利益を十分に確保すべく、本件への賛同・応募推奨に向けて、これらの買付価格の引上げを検討するよう要請しました。その後、当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから、2025年11月7日、5回目の提案価格は、当社の過去5年間における株価最高値の2,172円(終値ベース)を上回るものであり、当社の少数株主に十分配慮した価格水準であるとして、5回目の提案と同様の条件とし、改めて当該提案を最終とする旨の6回目の提案を受領しました。これに対し、当社は、2025年11月7日、タイヨウ・パシフィック・パートナーズに対し、当社において算定した当社の株式価値及び他社の類似案件におけるプレミアムを踏まえれば、賛同・応募推奨を行うにあたっては、依然として一般株主の利益に十分配慮した水準であると確信を得るには至らないところであるとして、これらの買付価格の引上げを検討するよう要請しました。その後、当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから、2025年11月10日、本公開買付価格を2,210円(提案前営業日である2025年11月7日の終値1,660円に対して33.13%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,676円に対して31.86%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,692円に対して30.61%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,696円に対して30.31%のプレミアム)とし、本新株予約権買付価格については、第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権は、各本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格として提示した2,210円を下回っており、権利行使期間が到来して権利行使条件を充足していることから、(ⅰ)第13回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第13回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,745円の差額(465円)に第13回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である46,500円、(ⅱ)第14回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第14回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,111円の差額(1,099円)に第14回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である109,900円、(ⅲ)第15回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第15回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,663円の差額(547円)に第15回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である54,700円、(ⅳ)第16回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第16回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,472円の差額(738円)に第16回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である73,800円、(ⅴ)第17回通常型新株予約権については、本公開買付価格として提示した2,210円と第17回通常型新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額1,780の差額(430円)に第17回通常型新株予約権1個の目的となる当社株式数(100株)を乗じた金額である43,000円とし、本株式報酬型新株予約権は本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る買付け等の価格をそれぞれ1円とし、改めて当該提案を最終とする旨の提案を受領しました。その後、当社は、本公開買付価格を2,210円、本株式報酬型新株予約権1個につき1円、第13回通常型新株予約権1個につき46,500円、第14回通常型新株予約権1個につき109,900円、第15回通常型新株予約権1個につき54,700円、第16回通常型新株予約権1個につき73,800円、第17回通常型新株予約権1個につき43,000円、第18回通常型新株予約権1個につき1円とすることを応諾する旨の回答を行い、合意に至りました。
以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、適宜、当社や当社のアドバイザーとの意見交換を行い、また、適宜、確認・承認を行ってきました。具体的には、まず、当社がタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対して提示、また、SMBC日興証券が当社株式の価値算定において基礎とする当社の事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯の合理性について、事前に本特別委員会の確認を経て、その承認を受けております。また、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの交渉にあたっては、事前に本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの交渉方針等について本特別委員会から意見、指示、要請等を受け、これに従って対応を行っております。
そして、当社は、2025年11月11日付で、本特別委員会から、答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております((本答申書の概要については、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
(ⅳ)判断内容
以上の経緯の下、当社は、2025年11月12日開催の当社取締役会において、SMBC日興証券から受けた財務的見地からの助言及び2025年11月11日付で取得した株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)の内容、並びに日比谷パーク法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から取得した本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引が当社の企業価値向上に資するかどうか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等について、慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、以下の観点から、公開買付者による本公開買付けを含む本取引を通じた当社の非公開化が当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」の「(ⅰ)当社を取り巻く事業環境、当社の経営課題」に記載のとおり、当社を取り巻く事業環境は、工作機械事業、特機事業共に競合他社との競争が激化しております。当社が策定した第2次中期経営計画の下、激化する競争に対して、既存事業の構造的改革、また、収益源多様化の観点で取り組んでいる新規事業立上げは、スピード感をもって迅速に断行していく必要があると考えております。
当社としては、経営管理体制や事業ポートフォリオにおける資源配分に関する抜本的構造改革を行うことで、激化する競争環境下でも現在以上の競争力を獲得することができ、第2次中期経営計画の達成、ひいては2030年の目指す姿への進化を遂げることができると考えているところ、当社が上場しており、当社に少数株主が存在している現在の状況では、当社の少数株主の利益を図る観点から、短期的な株式市場からの評価を意思決定における重要な考慮要素とせざるを得ず、機動的な経営資源の活用や意思決定の柔軟性及びスピードには一定の制約があると認識しております。本取引により当社が非公開化することで、そうした制約を受けずに、短期的な業績にとらわれない中長期的な視点での取り組みや意思決定の迅速化を実現できると考えております。また、当社は、上場企業である限り発生する上場維持費用、金融商品取引法上の開示及び監査に対応するリソース・費用、IR費用等の株主対応に関する経営資源を事業への投資に振り向けることができると考えております。また、タイヨウ・パシフィック・パートナーズがこれまでに培ってきた、国内外の投資先の投資事例における経営ノウハウ、事業改革支援の経験及びタイヨウ・パシフィック・パートナーズが保有する人材面と資金面を中心とした経営資源等を活用することにより、当社の課題と考える事項の改善、当社中期経営計画への取り組みや経営課題への対応をはじめとした各種施策の実行が可能になると考えております。当社としては、本取引を通じて当社が非公開化し、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの協働が可能となることで、以下(ア)~(ウ)のような施策の実施が可能となり、当社の企業価値向上に資するものと判断いたしました。
(ア)投資戦略の強化
工作機械業界は、世界経済動向と強い相関を示し、概ね3~4年程度で周期的な景気変動を迎えています。そのような不安定な事業環境の中で、工作機械メーカーとして持続可能な経営体制を確立するには、一定の投資規律と財務健全性の維持が必要不可欠である一方、当社の企業価値向上に向けた投資戦略として、工作機械事業、特機事業の既存事業のいずれにおいても、また第2次中期経営計画にて掲げるメディカル(医療機器)事業といった新規事業の立上げの観点においても、更なる収益力の向上・収益源の多様化のためには、継続して戦略的投資が必要になると考えております。特に多額の投資資金が必要になる事業立上げや事業の拡大フェーズにおいては、多様かつ大胆な事業投資の実行に伴って、そのモニタリングと、必要に応じた追加投資、撤退と大胆な経営判断が不可欠となります。本取引により、「経営管理に係る重要指標の見える化」及び「投資規律の強化」を通じてモニタリング機能を強化することで、短期的な株価への影響を懸念することなく、大規模な新規・追加投資や、不採算事業からの撤退といった大胆な経営判断が機動的に実行可能となることが期待されます。
(イ)新規事業領域としてのメディカル(医療機器)事業の推進
当社は、2030年の目指すべき姿の達成に向け、第2次中期経営計画においてメディカル事業等将来性のある新規事業を第三の柱として推進していくことを目指しております。新規事業領域においては、第1次中期経営計画(2022年~2024年)において取り組んでまいりました新規セグメント探索と事業化計画立案と推進の結果として、第2次中期経営計画においてメディカル事業への参入を企図しており、自社資源の活用によりオープンイノベーション活動を加速してまいる所存です。
医療機器産業については、先進諸国においても特に少子高齢化の著しい本国において、重要性の高い産業領域であると認識しております。医療機器産業は、グローバルでは高い成長が期待されている一方で、国内市場はグローバル市場と比較して成長の伸びは低いとみられており、グローバル市場に対する日本市場のシェアは大きく低下しております。一方、国内市場は欧米に次ぐ大きな市場であり、また上述の著しい少子高齢化という背景を踏まえ、国内医療機器産業の再生が今後一層進んでいくものと考えております。そのような産業領域への参入と確たるポジショニングの確立を目指し、メディカル事業領域への参入及び推進を進めております。
本取引実施後、タイヨウ・パシフィック・パートナーズの持つグローバルネットワークを活かし、異なる業態を含めた多様な企業とのパートナーシップの強化により、既存事業の成長及び拡大に留まらず、新規事業領域であるメディカル事業においても、(ア)に記載の投資戦略を含めて柔軟かつ多角的な視点からの経営判断が可能になることが期待されます。
(ウ)筋肉質な収益構造への進化
当社は、工作機械事業においては「スイス型CNC自動旋盤」を中心として、市場で確たるポジションを維持し、特機事業では、市場のトレンドや顧客のニーズに合わせた幅広い製品を製造し、競争力を獲得してまいりました。一方、事業環境としては、工作機械事業では競合他社の台頭による競争激化、特機事業では新型コロナウイルスによる特需が終わり、収益性の低下が懸念される中で、(イ)による新規事業を含む抜本的な収益性向上が急務と認識しております。具体的には、上記(ア)(イ)を踏まえ、当社全体の抜本的改革を目指す上で、工作機械事業においては価格競争力を有する注力市場への集中、コスト競争力の強化や生産リードタイムの短縮といった施策が必要であり、特機事業においては、多様な製品を市場ニーズに合わせて幅広く展開する現在の状況から、特に収益性や成長性の高い製品や地域に注力し、リソースを再配分することで、投資効率を最大化することが必要であると考えております。
本取引により、既存事業だけでなく新規事業も含め、当社が全体として筋肉質な収益構造への転換をスピード感を持って取り組む体制を構築することによって、短期的な業績にとらわれない中長期的な視点での取り組みや意思決定の迅速化を実現することで、当社全体の抜本的改革が期待できると考えております。
なお、当社株式の非公開化が行われた場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用や知名度の向上による人財の確保及び取引先その他ステークホルダーへの影響や従業員のモチベーション低下の可能性が考えられます。しかしながら、現在当社はエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込んでおらず、事業から生じるキャッシュ・フローや金融機関からの借入れにより、資金確保は可能であると考えていること、また証券取引所への上場から30年以上経過し、上場による当社のブランド力や取引先に対する信用力は凡そ確保できていること、加えてこれまでの事業活動を通じて顧客・取引先・従業員に対する信用力及び知名度は既に確保できていることから、当社株式の非公開化による人財の確保及び取引先との取引に及ぼすデメリットは極めて限定的であると考えております。
以上を踏まえ、当社取締役会は、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回り、公開買付者による本公開買付けを含む本取引を通じて当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものと判断いたしました。
また、当社は、上記の協議・交渉を踏まえ、主に以下の点を考慮した結果、本公開買付価格(2,210円)、本新株予約権買付価格(第1回株式報酬型新株予約権1個につき1円、第2回株式報酬型新株予約権1個につき1円、第3回株式報酬型新株予約権1個につき1円、第4回株式報酬型新株予約権1個につき1円、第5回株式報酬型新株予約権1個につき1円、第6回株式報酬型新株予約権1個につき1円、第7回株式報酬型新株予約権1個につき1円、第13回通常型新株予約権1個につき46,500円、第14回通常型新株予約権1個につき109,900円、第15回通常型新株予約権1個につき54,700円、第16回通常型新株予約権1個につき73,800円、第17回通常型新株予約権1個につき43,000円、第18回通常型新株予約権1個につき1円)、及び本公開買付けに係るその他の諸条件は、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権に係る本新株予約権買付価格を除き、当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な当社株券等の売却の機会を提供するものであると判断しております。
(ア)本公開買付価格が、下記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(ⅱ)算定の概要」に記載されているSMBC日興証券による当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果のうち、市場株価法及び類似上場会社比較法による算定結果の上限を上回り、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内の価格であること。なお、本公開買付価格は、DCF法を用いた場合の算定結果のレンジの中央値(2,625円)を下回るが、本特別委員会の実質的な関与の下真摯に協議・交渉した結果として合意がなされたことを踏まえると、DCF法を用いた場合の算定結果のレンジの中央値を下回る水準であることのみをもって不当とは判断できない。
(イ)本公開買付価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年11月11日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値1,691円に対して30.69%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,677円に対して31.78%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,690円に対して30.77%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,697円に対して30.23%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年9月30日までに成立した公開買付者が国内上場会社の完全子会社化(上場廃止)を目的として開始した公開買付け事例のうち、本公開買付けと類似性が認められない事例(公開買付け前において対象会社が買付者の連結子会社又は関連会社である事例、MBO事例、同意なき買収事例、対抗的な公開買付け事例、二段階公開買付け事例)を除いた類似事例全133件におけるプレミアムの中央値(公表前営業日終値に対するプレミアムでは34.5%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムでは36.9%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムでは40.9%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムでは44.4%)と比較した場合、いずれの期間における中央値も下回っている一方、当該類似事例において、0%を基準に5%間隔で階級を定義すると、公表前営業日終値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が13件と最頻階級、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が13件と最頻階級、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が16件と最頻階級、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が14件と最頻階級となっており、いずれの期間におけるプレミアムの最頻階級とも同程度の水準にあるものと認められることから、当該プレミアムは、不合理な水準とまでは言えないと考えられること。
(ウ)本公開買付価格が、当社の2025年6月30日時点の自己資本97,360百万円を同時点における発行済株式総数(自己株式控除後)(47,864,167株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額(2,034円)を上回っていること。
(エ)本公開買付価格が、当社株価の直近5年間における最高値(2,172円)を上回っているほか、SMBC日興証券による過去1年間から10年間における価格帯別売買高分析によれば、1,650~1,699円が最も取引された価格帯であり、本公開買付価格であれば、96%を超える数の当社株主の理論上の取得価格を上回ると試算されており、本公開買付価格が大多数の当社の一般株主に損失を生じさせない水準であることを推認させること。
(オ)本公開買付価格は、当社が2025年2月12日に公表した2025年12月期第2四半期の業績予想値と、2025年8月12日付で公表した「2025年12月期第2四半期(中間期)の業績予想値と実績値との差異および通期業績予想の修正に関するお知らせ」において公表した実績値との差異(以下「本件下方修正」という。)を勘案して決定された価格であるが、本件下方修正前後の当社株価の推移を検証すると、当該開示直前取引日終値で1株当たり1,835円であったのに対し、2025年11月11日において1,691円に下落しているものの、当社は、第2四半期の業績につき、主力の工作機械事業では国内市場や欧州市場において販売が低調に推移したものの、中国市場では内需が好調であったことや米国市場において改善がみられたことに加えて為替の円高の影響を受けたことにより、売上、利益ともには前回予想を上回った一方で、通期の業績予想については、工作機械事業の中国向けの販売が引き続き好調に推移すると見込まれるものの、その他の地域では米国の通商政策の影響を受けることなどにより当初見込んでいた市況の回復が遅れる見込みであることから、売上は前回予想を下回る見通しであり、利益についても、かかる売上の減少に伴い前回予想を下回る見通しであることから本件下方修正を公表したものであり、為替レートの設定を含め、本件下方修正の公表の必要性及び内容について合理性が認められること。
(カ)本公開買付価格が、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が十分に採られた上で、本特別委員会からの意見・助言を踏まえた交渉方針に従って、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で真摯な交渉を重ねた結果、決定された価格であること。
(キ)本公開買付価格並びに公開買付期間及び買付予定数の下限等の本公開買付けに係るその他の諸条件は、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められ、公正であると判断されていること。
以上より、当社は、2025年11月12日開催の取締役会において当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様及び第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権者の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨し、また、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権に係る本新株予約権者の皆様に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。
上記取締役会決議の詳細は、下記「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む)全員の承認」をご参照ください。
④ 本公開買付け後の経営方針
公開買付者は、本取引の完了後は、当社グループの「企業は永遠に発展させるもの・従業員の生活はたゆまず向上するもの」という経営ビジョン、「世界に挑戦する「偉大な中小企業」として社会の持続的発展に貢献する」というパーパスや5つの経営方針(注)を尊重しつつ、上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営を推進する予定とのことです。公開買付者は、当社の現経営陣には本取引後も当社の経営に関与することを想定しているとのことであり、当社の経営体制の詳細については、本公開買付け成立後に当社と協議しながら決定していく予定であり、また、タイヨウ・パシフィック・パートナーズより当社に複数名取締役を派遣することを想定しているものの、現時点において確定しているものはなく、この点についても詳細は、本公開買付け成立後に当社と協議しながら決定していく予定とのことです。
(注) 「5つの経営方針」とは、「いたずらに規模を追わず、資本効率と労働生産性を最重要評価指標とする。」、「環境の変化に合わせて新たな価値を継続的に生み出す機能を有する。」、「個々の事業においては常に世界市場を見据え、グローバルニッチを戦略の柱とする。」、「社員がその能力を最大限に発揮することができる環境構築のための投資、及び独自技術を追求するための投資は、長期的視野に立ち、事業環境に関わらず継続する。」及び「事業を通じて社会と共に永遠に発展する企業を目指す。」という経営方針をいいます。
(3)算定に関する事項
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うに当たり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券に対して、当社株式の価値の算定を依頼し、2025年11月11日付で、当社株式価値算定書を取得いたしました。
SMBC日興証券は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、SMBC日興証券は、当社グループ及びタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を行っている株式会社三井住友銀行と同じ株式会社三井住友フィナンシャルグループのグループ企業の一員ですが、当社は、SMBC日興証券の第三者算定機関としての実績に鑑み、かつ、弊害防止措置としてSMBC日興証券における当社株式の株式価値の算定を実施する部署とその他の部署及び株式会社三井住友銀行との間で社内の規程に定める情報遮断措置が講じられていること、当社とSMBC日興証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているためファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての独立性が確保されていること、SMBC日興証券は公開買付関連当事者のいずれの関連当事者にも該当せず、当社がSMBC日興証券に対して当社株式の株式価値の算定を依頼することに関し、特段の問題はないと考えられることを踏まえた上で、SMBC日興証券をファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に選任しております。本特別委員会は、初回の会合において、SMBC日興証券の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認しております。
なお、当社は、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が講じられており、本取引に係る公正性が十分に担保されていると判断したことから、SMBC日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
また、本取引に係るSMBC日興証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりSMBC日興証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。
(ⅱ)算定の概要
SMBC日興証券は、複数の算定手法の中から当社株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似上場会社比較による当社の株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社の1株当たりの株式価値の分析を行い、当社は、2025年11月11日付でSMBC日興証券より当社株式価値算定書を取得いたしました。
上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :1,677円から1,697円
類似上場会社比較法:1,371円から2,085円
DCF法 :1,989円から3,262円
市場株価法では、2025年11月11日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値1,691円、直近1ヶ月間の終値単純平均株価1,677円、直近3ヶ月間の終値単純平均株価1,690円及び直近6ヶ月間の終値単純平均株価1,697円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,677円~1,697円と算定しております。
類似上場会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の株式価値を評価し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,371円~2,085円と算定しております。
DCF法では、当社から提供された2025年12月期から2027年12月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年12月期第2四半期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,989円~3,262円と分析しております。
なお、本事業計画は、2025年2月にはその2段階目となる第2次中期経営計画を時点修正されたものであり、これと同じく大幅な増益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、受注販売台数に関して、過去20年の市況推移に鑑み、第2次中期経営計画と同様に、2025年上半期を底として以降右肩上がりに回復することを想定しており、2026年12月期には特に中国において堅実な内需に牽引され早期に回復する見込みであるため、営業利益につき前期比約112%の大幅な増加を見込んでおります。また、フリー・キャッシュ・フローについて、具体的には、2025年2月12日に当社が公表した第2次中期経営計画において見込まれていた菊川南工場及び牧之原工場の大規模リニューアル工事等に係る設備投資による多額の現金支出、業績回復に伴う運転資本(売上債権、棚卸資産)の大幅な増加に伴う現金収入減少により、2026年12月期において大幅に減少し、赤字となることを想定しております。また、その翌期である2027年12月期には、設備投資費用の減少に加え、上述の通り営業利益の回復が継続し、2026年12月期を上回る見込みであることから黒字化し、前期比大幅な回復を見込んでおります。
また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味しておりません。
(注) SMBC日興証券は、当社株式価値算定書の作成にあたり、その基礎とされている資料及び情報が全て正確かつ完全なものであることを前提とし、その正確性及び完全性に関して独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではなく、提供された情報が不正確又は誤解を招くようなものであるとする事実又は状況等につき当社において一切認識されていないことを前提としております。また、当社及びその関係会社の資産又は負債に関して、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関に対する評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。これらの資料及び情報の正確性及び完全性に問題が認められた場合には、算定結果は大きく異なる可能性があります。さらに、当社及びその関係会社に関する未開示の訴訟、紛争、環境、税務等に関する債権債務その他の偶発債務・簿外債務並びに当社株式価値算定書に重大な影響を与えるその他の事実については存在しないことを前提としております。SMBC日興証券が、当社株式価値算定書で使用している事業計画等は、算定基準日における最善の予測及び判断に基づき、当社により合理的かつ適正な手続に従って作成されたことを前提としております。また、当社株式価値算定書において、SMBC日興証券が提供された資料及び情報に基づき提供された仮定をおいて分析を行っている場合には、提供された資料、情報及び仮定が正確かつ合理的であることを前提としております。SMBC日興証券は、これらの前提に関し、正確性、妥当性及び実現性について独自の検証は行っておらず、その義務及び責任を負うものではありません。なお、SMBC日興証券の算定結果は、SMBC日興証券が当社の依頼により、当社取締役会及び本特別委員会が本公開買付価格を検討するための参考に資することを唯一の目的として当社に提出したものであり、当該算定結果は、SMBC日興証券が本公開買付価格の公正性について意見を表明するものではありません。
② 公開買付者による算定方法
(ⅰ)普通株式
公開買付者は、当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社の財務情報等及び当社の株価の動向、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けへの応募の見通し等を総合的に勘案して、2025年11月12日、本公開買付価格を2,210円とし、本取引の一環として本公開買付けを開始することを決定したとのことです。
なお、公開買付者は、上記のとおり財務情報等の客観的な資料を参考にする等、当社株式の株式価値に関する諸要素を総合的に考慮し、かつ、当社との協議・交渉を踏まえて本公開買付価格を決定しており、第三者算定機関からの株式価値算定書は取得していないとのことです。
本公開買付価格2,210円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年11月11日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値1,691円に対して30.69%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,677円に対して31.78%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,690円に対して30.77%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,697円に対して30.23%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となります。
(ⅱ)本新株予約権
本新株予約権のうち第13回通常型新株予約権、第14回通常型新株予約権、第15回通常型新株予約権、第16回通常型新株予約権、第17回通常型新株予約権については、2025年11月12日現在において、当社株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格(2,210円)を下回っており、かつ権利行使期間が到来して権利行使条件を充足しています。そこで、公開買付者は、これらの本新株予約権に係る本新株予約権買付価格を本公開買付価格である2,210円と当該本新株予約権の当社株式1株当たりの行使価額との差額(第13回通常型新株予約権:1,745円、第14回通常型新株予約権:1,111円、第15回通常型新株予約権:1,663円、第16回通常型新株予約権:1,472円、第17回通常型新株予約権:1,780円)に当該本新株予約権1個の目的となる当社株式数を乗じた金額とすることをそれぞれ決定したとのことです。
他方で、本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本株式報酬型新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、また、第18回通常型新株予約権については、2025年11月12日現在において、権利行使期間が未到来であるため、当該本新株予約権1個に係る本新株予約権買付価格をそれぞれ1円と決定したとのことです。
また、本新株予約権は、いずれも新株予約権発行要項において譲渡による本新株予約権の取得については当社取締役会の承認を要するものとされ、かつ新株予約権割当契約書において譲渡が禁止されています。当社は、本新株予約権の譲渡が可能となるよう、2025年11月12日開催の取締役会において、本公開買付けの成立を条件として、本新株予約権者の皆様がその所有する本新株予約権を本公開買付けに応募することにより公開買付者に対して譲渡することについて、実際に本新株予約権者から本公開買付けに応募のあった本新株予約権に限り、当該本新株予約権の譲渡による取得を包括的に承認する旨の決議をいたしました。詳細につきましては、当社が本日付で公表した「当社発行の新株予約権の譲渡承認に関するお知らせ」をご参照ください。
なお、公開買付者は、上記の諸要素を総合的に考慮しつつ、当社との協議・交渉を踏まえて本公開買付価格を決定したため、第三者算定機関からの株式価値算定書や意見(フェアネス・オピニオン)は取得していないとのことです。
なお、本ファンドは、2025年5月27日に払込を完了した第三者割当により、当社株式16,108,300株を1株当たり1,552円で取得しているとのことです。当該取得価格(1,552円)と本公開買付価格(2,210円)との間には658円の差異が生じておりますが、これは、当該第三者割当の払込金額が、日本証券業協会「第三者割当増資の取扱いに関する指針」(2010年4月1日制定)に準拠して、当該第三者割当に係る取締役会決議の直前営業日である2025年4月4日の当社株式の東京証券所プライム市場における終値を基準として9.98%ディスカウントさた金額に決定されたものであるのに対し、本公開買付価格は本書提出日の直前営業日である2025年11月11日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値1,691円に対して30.69%のプレミアムを加えた価格であるためとのことです。
(4)上場廃止となる見込み及びその事由
本書提出日現在、当社株式は、東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止となった後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。
上場廃止を目的とする理由及び少数株主への影響及びそれに対する考え方については、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」及び下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。
(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株券等の全て(本譲渡制限付株式及び本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本ファンドが所有する当社株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社において本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
具体的には、公開買付者は、当社に対し、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2026年2月中旬を目途に開催することを当社に要請する予定とのことです。なお、本ファンドは、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、本ファンド及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、本株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者及び本ファンドのみが当社株式の全て(当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、本ファンド及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本株式併合に反対する当社の株主は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、本ファンド及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
上記の各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、本ファンド及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。
なお、本譲渡制限付株式については、本譲渡制限付株式に係る割当契約書において、譲渡制限期間中に、当社が本譲渡制限付株式の全部について無償で取得することが相当であると当社の取締役会が決定した場合、当社は、本譲渡制限付株式の割当者に対して本譲渡制限付株式を無償で取得する旨を書面で通知することにより、当該通知の到達した時点をもって、本譲渡制限付株式の全部を当然に無償で取得するとされています。当社は、本書提出日開催の当社取締役会において、本公開買付けが成立することを条件に、本譲渡制限付株式に係る譲渡制限付株式報酬制度を廃止するとともに、上記割当契約書の規定に従い、本公開買付けが成立することを条件に、本公開買付けに係る決済の開始日以降の任意の時点をもって、本譲渡制限付株式の全部を無償取得することを決議しております。
また、公開買付者は、本公開買付けの成立後、本公開買付けにおいて本新株予約権の全てを取得できず、かつ、本新株予約権が行使されず残存した場合には、当社に本新株予約権の取得及び消却、本新株予約権者による放棄の勧奨等、本取引の実行に合理的に必要な手続を実施することを要請し、又は実施することを予定しているとのことです。なお、当社は、当該要請を受けた場合にはこれに協力する意向です。
以上に関する具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認ください。
また、公開買付者は、当社に対して、本公開買付けが成立することを条件に、会社法第459条第1項4号に掲げる事項を株主総会の決議によっては定めない旨の定款一部変更の議案を本臨時株主総会に付議することを要請する予定とのことです。かかる定款変更の要請は、本公開買付けが2025年12月期の期末配当の無配を前提とした公開買付価格により行われているにもかかわらず、本公開買付けが成立した場合において、本公開買付けの決済の開始日よりも前の日である2025年12月末を基準日とする当社の定時株主総会が開催されたときには、本公開買付けに応募し当社株式を売却する当社の株主が、配当の提案を行う可能性が否定しきれず、本公開買付けが成立したにもかかわらず、かかる配当が行われると当社の企業価値が毀損されるおそれがあるため、かかる事態が生じないようにするために行うものであるとのことです。
(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置
本公開買付けは、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)又は支配株主による公開買付けには該当しないものの、公開買付者及び当社の筆頭株主である本ファンドが本公開買付けを含む本取引を通じて当社株式を非公開化し、当社の株主を公開買付者らのみとすることを企図しており、タイヨウ・パシフィック・パートナーズと当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを考慮して、当社の株主の皆様への影響に配慮し、慎重を期して、本公開買付価格の公正性を担保するための措置、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。また、以下の記載のうち公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付価格の公正性及び妥当性を担保するため、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるSMBC日興証券を選任し、当社株式の株式価値の算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言を受けるとともに、2025年11月11日付で当社株式価値算定書を取得いたしました。当社がSMBC日興証券から取得した当社株式価値算定書の詳細については、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。なお、SMBC日興証券は、公開買付関連当事者のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本取引に係る当社取締役会の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、その公正性を担保することを目的として、公開買付関連当事者から独立した法務アドバイザーとして日比谷パーク法律事務所を選任し、その後、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続、並びに本取引に係る当社の取締役会の意思決定の方法及び過程その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、日比谷パーク法律事務所は、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。また、日比谷パーク法律事務所の報酬は、時間単位報酬のみとしており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬の支払制度は採用しておりません。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
本取引は支配株主による従属会社の買収取引やマネジメント・バイアウト(MBO)取引には該当せず、本取引には有価証券上場規程第441条に規定される「MBO等に係る遵守事項」が適用されませんが、本公開買付けが当社株式を非公開化することを目的とする本取引の一環として行われること等を踏まえ、本取引が、結果としてタイヨウ・パシフィック・パートナーズが当社株式を非公開化する取引であるとともに、本ファンドがその他の関係会社に該当しないものの、当社株式を議決権割合で約36.14%保有しており、見方によっては、当社取締役会は、その構造上、本取引に係る意思決定を行うに際して、タイヨウ・パシフィック・パートナーズの影響を受ける可能性があり、本取引の是非を決定するにあたり当社取締役会と当社の一般株主との間に利益相反が生じる可能性が問議されることは否定できないと考えられることから、「MBO等に係る遵守事項」の適用がある場合に準じてその場合に遵守すべき手続の一部を実施することとし、当社は、2025年8月13日付の会社法第370条及び当社定款の規定に基づく取締役会の決議に代わる書面決議により、本取引に係る当社取締役会の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、その公正性を担保することを目的として、同日付で、公開買付関連当事者から独立した、当社の独立社外取締役である西川勢一氏(常勤監査等委員)、片山幹雄氏、杉本基氏(監査等委員・公認会計士)及び宮田逸江氏(監査等委員・弁護士)の4名から構成される本特別委員会を設置する旨決議しました。本特別委員会の委員は、設置当初から変更しておりません。
そして、当社は、同取締役会において、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の是非(本取引が当社グループの企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(ⅱ)本取引の取引条件の公正性に関する事項、(ⅲ)本取引の手続の公正性に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)を踏まえ、本取引が当社の一般株主にとって公正なものであるか否かの意見に関する事項、並びに(ⅴ)当社取締役会が本取引の内容として実施される公開買付けに関して賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を行うことの妥当性に関する事項(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問する旨を決議しております。なお、当社は、当該決議に際し、(a)当社取締役会は本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定を行わないこと、(b)当社が公開買付者と本取引の取引条件等について交渉するにあたり、本特別委員会に適時にその状況を報告し、重要な局面でその意見、指示及び要請を受けるものとすること、(c)本特別委員会が必要と認めるときは、当社の費用負担の下、独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができること、並びに(d)本特別委員会は、当社の費用負担の下、その職務に関連する調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、その職務に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含みます。)を行うことができること等を、併せて決議しております。また、本特別委員会の委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、時間単位報酬のみとしており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬の支払制度は採用しておりません。
本特別委員会は、2025年8月19日から同年11月11日まで合計13回に亘って開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、本特別委員会は、公開買付者及び当社より提出された各検討資料その他必要な情報・資料等の収集及び検討、並びに当社の第三者算定機関であるSMBC日興証券、当社の法務アドバイザーである日比谷パーク法律事務所及び公開買付者との面談によるヒアリング調査等を行い、本取引の内容、背景、意義・目的、当社の企業価値に与える影響、第三者算定機関の独立性、公開買付者等との協議・交渉の過程、株式価値算定内容及びその前提とした財務予測・前提条件等の合理性、過去の市場株価・同種案件に対するプレミアム水準の妥当性、タイヨウ・パシフィック・パートナーズ及び当社の資本業務提携の状況、公開買付者及び当社が意思決定をするに至る経緯並びにその後の検討経緯、開示の適正性その他本取引に関連する事項について慎重に検討を行いました。また、本特別委員会は、当社の取締役から事業計画について説明を受け、2025年2月開示の当社中期経営計画における財務予測との比較において質疑応答を行った上で、SMBC日興証券から当社株式価値算定書について説明を受け、当該価値算定の前提等に関するヒアリング調査を行いました。加えて、本特別委員会は、当社の法務アドバイザーである日比谷パーク法律事務所から当社が得た、当社における本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言の内容についても説明を受け、検討をしました。
本特別委員会は、以上のような経緯の下、上記本諮問事項について慎重に検討・協議した結果、2025年11月11日に、当社の取締役会に対し、委員全員の一致で、大要、下記の内容の本答申書を提出いたしました。
記
<本諮問事項に対する本特別委員会の意見>
本特別委員会は、検討の結果として、特別委員全員の一致により、本諮問事項に関して、以下の意見を答申する。
(1)本取引が当社グループの企業価値の向上に資するものと認められ、本取引はその目的において合理的であり、是認できる。
(2)本取引の取引条件は、妥当であることが認められ、公正である。
(3)本取引の手続は公正である。
(4)上記(1)から(3)までの意見を踏まえ、本取引は当社の一般株主にとって公正なものである。
(5)上記(4)の意見から、当社取締役会が本取引の内容として実施される公開買付けに関して賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を行うにおいては、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主及び第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権者に対して、本公開買付けへの応募を推奨することは妥当であるが、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権に係る本新株予約権者に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、当該新株予約権者の判断に委ねることが妥当である。
<意見の理由の概要及び検討内容について>
1.本取引の是非(本取引が当社グループの企業価値の向上に資するかを含む。)について
(1)検討アプローチ
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社グループの企業価値の具体的内容等について、タイヨウ・パシフィック・パートナーズが届出予定の公開買付届出書ドラフト、本取引に関して当社が適時開示予定の関連書類ドラフトその他本特別委員会に提出された書類を精査するとともに、タイヨウ・パシフィック・パートナーズ及び当社に対して質疑を行い、大要、本取引に関して開示される事実等の信ぴょう性及び客観性を確認した上で、本取引により期待されるシナジー(本取引のメリット)及び本取引のデメリットを検討することで、本取引の合理性を検証した。本取引のデメリットについては、本取引が、一般株主に当社の株主としての地位から退出していただく効果を有するものであることから、単に本取引にメリットがあるというだけではなく、本取引を実施するには上場廃止が避けられないのかという観点からの検討も行ったものである。
(2)検討
本特別委員会が具体的に確認した事項及びこれらを踏まえた当社グループの企業価値向上の可能性等について、本特別委員会は、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かについての審議及び検討を行い、次のとおり、その合理性を検証した。
まず、当社を取り巻く事業環境において、工作機械事業、特機事業共に競合他社との競争が激化しており、当社が策定した第2次中期経営計画(当社が2025年2月12日に公表した、2025年12月期から2027年12月期を「変革の推進」と位置づけた第2次中期経営計画をいう。以下同じ。)の下、激化する競争に対して、既存事業の構造的改革、また、収益源多様化の観点で取り組んでいる新規事業立上げは、スピード感をもって迅速に断行していく必要があると考えているという点に不合理な点は認められない。
そして、当社としては、経営管理体制や事業ポートフォリオにおける資源配分に関する抜本的構造改革を行うことで、激化する競争環境下でも現在以上の競争力を獲得することができ、第2次中期経営計画の達成、ひいては2030年の目指す姿への進化を遂げることができると考えているところ、当社が上場しており、当社に少数株主が存在している現在の状況では、当社の少数株主の利益を図る観点から、短期的な株式市場からの評価を意思決定における重要な考慮要素とせざるを得ず、機動的な経営資源の活用や意思決定の柔軟性及びスピードには一定の制約があると認識し、本取引により当社が非公開化することで、そうした制約を受けずに、短期的な業績にとらわれない中長期的な視点での取り組みや意思決定の迅速化を実現できると考えているという点にも不合理な点は認められない。
また、当社は、上場企業である限り発生する上場維持費用、金融商品取引法上の開示及び監査に対応するリソース・費用、IR費用等の株主対応に関する経営資源を事業への投資に振り向けることができ、また、タイヨウ・パシフィック・パートナーズがこれまでに培ってきた、国内外の投資先の投資事例における経営ノウハウ、事業改革支援の経験及びタイヨウ・パシフィック・パートナーズが保有する人材面と資金面を中心とした経営資源等を活用することにより、当社が課題と考える事項の改善、当社中期経営計画への取り組みや経営課題への対応をはじめとした各種施策の実行が可能になると考えており、当社としては、本取引を通じて当社が非公開化し、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの協働が可能となることで、上記「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」「(2)意見の根拠及び理由」「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」「(ⅳ)検討・交渉の経緯」「(ア)~(ウ)」に記載のような施策の実施が可能となり、当社の企業価値向上に資するものと判断している点に不合理な点は認められない。
なお、当社株式の非公開化が行われた場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことが出来なくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用や知名度の向上による人財の確保及び取引先その他ステークホルダーへの影響や従業員のモチベーション低下の可能性が考えられる。
しかしながら、現在、当社はエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込んでいないとのことであり、事業から生じるキャッシュ・フローや金融機関からの借入れにより、資金確保は可能であると認められること、また、証券取引所への上場から30年以上経過し、上場による当社のブランド力や取引先に対する信用力は凡そ確保できていること、加えて、これまでの事業活動を通じて顧客・取引先・従業員に対する信用力及び知名度は既に確保できていることから、当社株式の非公開化による人財の確保及び取引先との取引に及ぼすデメリットは極めて限定的であると考えられることから、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回り、公開買付者による本公開買付けを含む本取引を通じて当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものと認められる。
その他のタイヨウ・パシフィック・パートナーズ及び当社の認識についても、合理性を検証したところ、特に不合理な点は認められない。
(3)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において慎重に審議及び検討した結果、本取引は当社グループの企業価値の向上に資するものと認められ、本取引はその目的において合理的であり、是認できると判断するに至った。
2.本取引の取引条件の公正性について
(1)検討アプローチ
公正M&A指針は、特別委員会に対して、M&Aにおける条件の妥当性の検討に当たって、①買付者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保すること、②取引条件の妥当性の判断の重要な基礎となる株式価値算定の内容と、その前提とされた財務予測や前提条件等の合理性を確認すること、③買収対価の水準だけでなく、買収の方法や買収対価の種類等の妥当性についても検討することを求めている(公正M&A指針3.2.2)。
そこで、本特別委員会としても、上記①②③の検討を通じて取引条件の妥当性を検討し、本取引における条件の公正性を判断する。
本公開買付けは、当社株式のみならず、本新株予約権を対象としているが、各本新株予約権に係る本新株予約権買付価格が、当該本新株予約権が本公開買付けにおける買付等の期間中に行使可能であり、かつ当該本新株予約権の行使価格が本公開買付価格を下回るものについては、本公開買付価格と当該本新株予約権1個当たりの行使価額との差額に当該新株予約権1個当たりの目的となる株式数を乗じた金額と定められており、それ以外の本新株予約権については、いずれも1円とされている。
まず、本株式報酬型新株予約権については、当社グループの役員又は従業員の地位にあったものがその地位を離れた後一定期間内にしか行使できない行使条件が付されており、公開買付者がこれらを取得しても一切行使することができず、これを以って経済的価値が存在しないと認められること、また、第18回通常型新株予約権については、本公開買付けにおける買付等の期間中に行使することができないものであり、それ自体に行使可能価値がないことから、それらの本新株予約権買付価格が1円とされていることには経済合理性及び妥当性が認められ、その意味で公正であると考えられる。
その一方で、当社の株主及び第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権者にとっては、本公開買付けに応募すれば、本公開買付価格に基づき当社の株主はその保有する当社株式の対価を得ることができ、また、当該本新株予約権者も本公開買付価格と当該本新株予約権者が有する本新株予約権1個当たりの行使価額との差額に当該新株予約権1個当たりの目的となる株式数を乗じた金額の対価を得ることができることから、いずれも本公開買付価格に基づき享受すべき利益が確保され、その意味で当社株式及び本新株予約権の売却の機会が得ることができると考えられるため、本取引の取引条件について同列に考えることができる。
そこで、以下では、本公開買付価格について公正性を検討し、当社の株主及び第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権者にとっての本取引の取引条件の公正性について意見する。
(2)公開買付者等との協議・交渉の過程
① 特別委員会における協議・交渉の方針や主要な論点
本特別委員会は、当社取締役会より、本取引に関する当社の意思決定過程における恣意性を排除するとともに、公正性、透明性及び客観性のある意思決定過程を確立することを目的として、その目的を実現するための諮問機関として設置された諮問型委員会である。
かかる本特別委員会の設置目的に照らし、当社取締役会は、本諮問事項に対する特別委員会の意見を最大限尊重するものとし、本特別委員会が本取引に係る取引の条件について妥当でないと判断した場合には、当社は、当該取引を実行する旨の意思決定(本取引の内容として実施される公開買付けに関する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含む。)を行わないことと定め、本取引を実施する場合における相手方との間で取引条件について交渉するにあたり、本特別委員会に適時にその状況を報告し、重要な局面でその意見、指示及び要請を受けるものとして、本特別委員会に対し、当社による取引条件の交渉に実質的に関与するものと定めた。
これを受け、本特別委員会は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間では、当社による取引条件の協議・交渉に委ねつつも、当該交渉に実質的に関与する機会を確保する観点から、当社のアドバイザーを、その独立性につき本特別委員会として確認した上で一義的に活用して、本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を迅速かつ円滑にタイヨウ・パシフィック・パートナーズに伝達できるようにするほか、必要に応じて、タイヨウ・パシフィック・パートナーズと直接的に協議・質問する機会の設定を随時行う方針を定めた。
そのうえで、2025年4月7日に当社との間で本資本業務提携契約を締結し、同年5月27日に第三者割当による新株発行により、当社株式16,108,300株を取得し、17,304,700株(所有割合:35.69%)を所有するに至り、当社の筆頭株主となった本ファンドが公開買付者をして本取引を実施させるものであることから、本特別委員会として、とりわけ、本資本業務提携との関係(目的の整合性、一貫性等)に留意して、これを主要な論点として本取引の取引条件を検証することとした。
② 時系列での協議の経過と特別委員会の関与状況
本意向表明書受領後、本特別委員会の設置を経て、当社が、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示及び要請等に基づいた上で、SMBC日興証券及び日比谷パーク法律事務所から助言を受けながら、本公開買付価格その他本取引の取引条件に関してタイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で実施した協議・交渉の経過並びに本特別委員会の関与状況は、上記「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)検討・交渉の経緯」に記載のとおりである。
かかる検討・交渉過程において、本特別委員会は、当社の企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が実行されることを目指し、適宜、当社や当社のアドバイザーとの意見交換を行い、また、適宜、確認・承認を行ってきた。
具体的には、まず、当社がタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対して提示し、また、SMBC日興証券が当社株式の価値算定において基礎とする本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯の合理性について、事前に本特別委員会の確認を経て、その開示について承認し、その後本事業計画の内容に修正等が生じた場合には、都度、その修正等の確認をした。
また、本特別委員会は、当社の企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が実行されることを目指し、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券がタイヨウ・パシフィック・パートナーズとの価格交渉を行うにあたり、事前に本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行わせてきており、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから本公開買付価格等についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行わせ、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの交渉方針等について本特別委員会において審議し、本特別委員会から示された意見、指示、要請等に従って事後の対応等をさせてきた。
③ 小括
以上より、本特別委員会は、当社がタイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で行った協議・交渉が当社の企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が実行されることを目指して行われてきていると合理的に認められ、本公開買付価格が、このような真摯な交渉を重ねた上でタイヨウ・パシフィック・パートナーズによる合計7回の価格提案を引出し、その結果として当初提案(1,900円)から15%超の価格の引上げを実現して合意に至った価格であると認められ、これを覆すに足る事情は認められないと判断する。
なお、このようにして定められた協議・交渉の方針や主要な論点についての考え方について、本特別委員会は本答申書作成に至るまで一貫しており、当初の協議・交渉方針から変更は一切生じていない。
(3)株式価値算定内容及びその前提とされた財務予測・前提条件等の合理性
① 本事業計画
本特別委員会は、前記(1)の検討アプローチから、SMBC日興証券による算定結果の内容を確認するにあたり、その前提とされた財務予測や前提条件等の合理性を確認するべく、次のとおり、本事業計画における財務予測や前提条件等の合理性を検証した。
まず、本事業計画は、当社が本取引の検討開始後に、SMBC日興証券による株式価値算定の基礎資料とすることを目的として作成したものである。本件のような取引類型においては、第三者算定機関による株式価値算定の基礎資料として、経営計画が未策定の事業年度に関する事業計画を対象会社が新たに作成することは一般的であることを踏まえれば、本取引の検討開始後に作成されたことは本事業計画の合理性に疑義を生じさせる事情とはならない。
次に、本事業計画の作成経緯について、本特別委員会は、当社に質問書を送付して回答書を受領し、本事業計画の作成方法・作成過程を検証したが、策定に関して恣意的な点は見当たらなかった。
また、本特別委員会は、本事業計画の内容について、本事業計画が意図的に当社の株式価値評価を押し下げるために抑制されていないか(事業計画が過度に保守的な見積もりに基づくものとなっていないことを含む。)を検証した。具体的には、SMBC日興証券より事業計画に関する検討ポイントについてのレクチャーを受けた上で、当社より本事業計画の内容及び前提(事業内容や事業環境等についてどのような前提を置いているかを含む。)に関する考え方等についての詳細な説明を受けた。本特別委員会は、当該説明を踏まえ、本事業計画の内容、前提及び作成経緯等に不合理な点はなく、本事業計画は恣意的にアグレッシブ又は保守的に策定されているものではないことを確認した。
なお、本事業計画は、大幅な増益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでいる事業年度が含まれているが、本特別委員会は、本事業計画が、2025年2月に公表されていた第2次中期経営計画を時点修正されたものであること、大幅な増益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでいる事業年度が第2次中期経営計画と同じく予測されていること、従って、本事業計画が本取引公表前に公表されていた財務予測と大きく異なる財務予測を用いているものではないことを確認した。
以上からすれば、本事業計画については、策定プロセス、策定方法のいずれからみても、いずれかの公開買付関連当事者の恣意的な圧力が介在した事実は認められない上、内容も合理的なものと認められる。
② 算定者の独立性・利害関係
本特別委員会は、当社がファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関として起用したSMBC日興証券が当社グループ及びタイヨウ・パシフィック・パートナーズに対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を行っている株式会社三井住友銀行と同じ株式会社三井住友フィナンシャルグループのグループ企業の一員であることから、SMBC日興証券に対し、その第三者算定機関としての実績を確認すること以外にも、弊害防止措置としてSMBC日興証券における当社株式の株式価値の算定を実施する部署とその他の部署及び株式会社三井住友銀行との間で社内の規程に定める情報遮断措置が講じられていること、当社とSMBC日興証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているためファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての独立性が確保されていること、SMBC日興証券は公開買付関連当事者のいずれの関連当事者にも該当しないことを確認した。
このようにして本特別委員会が確認したところによれば、当社がSMBC日興証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼するとともに、当社の企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が実行されることを目指して価格交渉上の助言を得ることに関し、特段の問題はないと認められ、これを覆すに足る事情は見当たらない。
③ 算定結果
SMBC日興証券は、複数の算定手法の中から当社株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似上場会社比較による当社の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(DCF法)を算定手法として用いて当社の1株当たりの株式価値の分析を行い、当社は、2025年11月11日付でSMBC日興証券より当社株式価値算定書を取得したので、本特別委員会は、これを精査したが、上記「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、本公開買付価格は、市場株価平均法及び類似会社比較法の各算定結果の上限を上回り、かつ、DCF法の算定結果レンジの範囲内の水準であった。なお、DCF法の算定結果レンジの中央値を下回るが、本特別委員会の実質的な関与の下で当社が真摯に協議・交渉した結果としてタイヨウ・パシフィック・パートナーズによる合計7回の価格提案を引出し、当初提案(1,900円)から15%超の価格の引上げを実現して合意がなされたことを踏まえると、中央値を下回る水準であることのみをもって不当とは判断できない。
④ 小括
本特別委員会は、SMBC日興証券から株式価値評価に用いられた算定方法及び評価手法の選択等について説明を受けるとともに、SMBC日興証券及び当社に対して評価手法の選択、DCF法による算定の基礎となる本事業計画、本事業計画に基づく財務予測、継続価値の算定方法の選択、割引率の算定根拠等に関する質疑応答により、前記①に記載の本事業計画の検討を行うとともに、DCF法の算定において割引率や継続価値などに関して特殊な前提条件が置かれていないことを確認した上で、SMBC日興証券による株式価値算定評価の内容を検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
(4)過去の市場株価・同種案件に対するプレミアム水準の妥当性
① 過去の市場株価
当社は、2025年8月12日付「2025年12月期第2四半期(中間期)の業績予想値と実績値との差異および通期業績予想の修正に関するお知らせ」のとおり、2025年2月12日に公表した2025年12月期(2025年1月1日~2025年12月31日)第2四半期(中間期)の業績予想値と、同日公表の実績値との差異(本件下方修正)について公表している。
本件下方修正前後の当社株価の推移を検証したところ、当該開示直前取引日終値で1株当たり1,835円であったが、当該開示後現在に至るまで、同1,650円前後に下落していることが認められる。
しかしながら、その公表内容によれば、第2四半期(中間期)の業績につき、主力の工作機械事業では国内市場や欧州市場において販売が低調に推移したものの、中国市場では内需が好調であったことや米国市場において改善がみられたことに加えて為替の円高の影響を受けたことにより、売上、利益ともには前回予想を上回った一方で、通期の業績予想については、工作機械事業の中国向けの販売が引き続き好調に推移すると見込まれるものの、その他の地域では米国の通商政策の影響を受けることなどにより当初見込んでいた市況の回復が遅れる見込みであることから、売上は前回予想を下回る見通しであり、利益についても、かかる売上の減少に伴い前回予想を下回る見通しであることから、本件下方修正を公表したとのことであるところ、第2四半期(中間期)の業績については同日付決算短信で公表されたとおりであり、また、為替の円高の影響も、見通しの前提となる第3四半期以降の為替レートにつき米ドルが145円に据え置かれ、ユーロが150円から170円に変更しているとのことであるが、かかる為替レートの設定においても不合理な点は認められない。
② 同種事件におけるプレミアム水準の妥当性
公正なM&A指針が公表された2019年6月28日以降、2025年9月30日までに成立した公開買付者が国内上場会社の完全子会社化(上場廃止)を目的として開始した公開買付事例のうち、本公開買付けと類似性が認められない事例(公開買付け前において対象会社が買付者の連結子会社又は関連会社である事例、MBO事例、同意なき買収事例、対抗的な公開買付け事例、二段階公開買付け事例)を除いた公開買付事例133件のプレミアムの中央値(公表前営業日終値に対するプレミアムでは34.5%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムでは36.9%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムでは40.9%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムでは44.4%)と比較した場合、いずれの期間における中央値も下回っている一方、当該類似事例において、0%を基準に5%間隔で階級を定義すると、公表前営業日終値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が13件と最頻階級、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が13件と最頻階級、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が16件と最頻階級、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値の終値単純平均値に対しては30~35%のプレミアムが付された事例が14件と最頻階級となっており、いずれの期間におけるプレミアムの最頻階級とも同程度の水準にあるものと認められることから、本公開買付価格のプレミアム水準は不合理なプレミアム水準とまではいえない。
(5)その他
本特別委員会の依頼に基づき、SMBC日興証券が調査したところによれば、次のとおりである。
① 少数株主の過去取得価格との比較
当社株式の株価は市況環境にシクリカルに推移する傾向が認められるところ、2025年4月3日公表のトランプ関税等の外部要因により下落した株価が、それ以降徐々に公表前の水準に回復傾向にあったが、本件下方修正の開示を受けて急落していることは既述のとおりであり、本資本業務提携による第三者割当増資前の1株当たりの平均株価が1,846円であった一方で、本資本業務提携による第三者割当増資後の1株当たりの平均株価が1,681円となっている。
また、直近10年間(2015年11月1日乃至2025年11月4日)の株価・出来高推移によれば、1株当たり10年最高株価も2,473円に止まり、その取引期間内においては、1,550円から1,849円の取引価格帯がボリュームゾーンとなっていることが認められるところ、本公開買付価格であれば、直近10年間の出来高ベースで、96%を超える数の当社株主の理論上の取得価格を上回ると試算されることが認められる。
② 過去最高株価との比較
同じく直近10年間(2015年11月1日乃至2025年11月4日)の株価・出来高推移によれば、直近5年間の最高株価が1株当たり2,172円であるところ、本公開買付価格はこれを上回る水準である。なお、直近3年間の取得簿価分析でも、本資本業務提携による第三者割当増資前の株価高値圏内よりも、それ以前の2022年11月から2024年5月までの期間並びに2025年5月以降の期間において出来高が約70%を占めており、株価高値圏に入る前の株価水準(1,650~1,899円)がボリュームゾーンとなっていることが認められる。
③ PBRからの分析
当社の2025年8月12日付決算短信によれば、当社の直近四半期末である2025年6月30日時点の1株当たり連結純資産額が2,034円(小数点以下四捨五入)であるところ、これを本公開買付価格が上回る価格水準であることが認められ、PBRの観点からは合理性が認められる価格水準であるといえる。
(6)検討及び小括
以上のとおり、本特別委員会において慎重に審議及び検討した結果、当社がタイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で行った協議・交渉が当社の企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が実行されることを目指して行われてきていると合理的に認められ、SMBC日興証券による当社株式の株式価値算定内容及びその前提とした財務予測・前提条件等に不合理な点は認められない。
そして、SMBC日興証券による当社株式の株式価値算定内容によれば、本公開買付価格は、(ⅰ)市場株価法及び類似上場会社比較法の上限を超えており、かつ、(ⅱ)当社株式の本源的価値を表すものとされるDCF法により算定された当社株式1株当たり株式価値のレンジの範囲内の水準にあることから、一般株主にとって公正な水準に達していると考えられる。
加えて、直近10年間(2015年11月1日乃至2025年11月4日)の株価・出来高推移によれば、本公開買付価格は直近5年間の1株当たりの最高株価2,172円を上回る水準であるうえ、本公開買付価格であれば、直近10年間の出来高ベースで、96%を超える数の当社株主の理論上の取得価格を上回ると試算されることが認められる。
また、本公開買付価格は当社の直近四半期末である2025年6月30日時点の1株当たり連結純資産額を上回る価格水準であることが認められ、PBRの観点からは合理性が認められる価格水準であるといえる。
以上より、過去の市場株価推移に不合理な点は認められない中で、本公開買付価格が同種案件に対するプレミアム水準の中央値(34.5%~44.4%)との比較において不合理なプレミアム水準とまではいえないことから、本公開買付価格は妥当であると認められ、公正であると判断する。
また、本公開買付価格に基づき定められているところの、第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権買付価格についても、本公開買付価格と当該本新株予約権1個当たりの行使価額との差額に当該新株予約権1個当たりの目的となる株式数を乗じた金額と定められていることから、同様に妥当であると認められ、公正であると判断する。
他方で、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権に係る本新株予約権買付価格については、いずれも1円であるが、本株式報酬型新株予約権については、当社グループの役員又は従業員の地位にあったものがその地位を離れた後一定期間内にしか行使できない行使条件が付されており、公開買付者がこれらを取得しても一切行使することができず、これを以って経済的価値が存在しないと認められること、また、第18回通常型新株予約権については、本公開買付けにおける買付等の期間中に行使することができないものであり、それ自体に行使可能価値がないことから、それらの本新株予約権買付価格が1円とされていることには経済合理性及び妥当性が認められ、その意味で公正であると考えられる。
なお、本取引における買収の方法は、本公開買付けとその後のスクイーズアウト手続による二段階買収の方法が予定されており、また、買収対価の種類は金銭のみとされており、我が国における非公開化の一般的な手法が採用されていることが認められ、その公正性に疑義を生ぜしめる取引条件は特に認められないことを付言する。
3.本取引の手続の公正性について
(1)検討アプローチ
本取引において、公正な手続を通じた一般株主利益の確保が認められるか否かを、公正M&A指針で挙げられている公正性担保措置の採用・運用状況を確認することを通じて検討する。
(2)当社における独立した特別委員会の設置
当社は、2025年8月13日付の会社法第370条及び当社定款の規定に基づく取締役会の決議に代わる書面決議により、公開買付関連当事者からも独立した、当社の独立社外取締役の4名から構成される本特別委員会を設置し、その設置当初から変更されることなく、本特別委員会の委員が本諮問事項を検討・審議し、本答申書を提出するに至っている。
なお、当社取締役会において、本諮問事項について諮問する旨を決議するにあたり(a)当社取締役会は本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定を行わないこと、(b)当社が公開買付者と本取引の取引条件等について交渉するにあたり、本特別委員会に適時にその状況を報告し、重要な局面でその意見、指示及び要請を受けるものとすること、(c)本特別委員会が必要と認めるときは、当社の費用負担の下、独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができること、並びに(d)本特別委員会は、当社の費用負担の下、その職務に関連する調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、その職務に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含む。)を行うことができること等を、併せて決議している。
また、本特別委員会の委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、時間制の報酬を支払うものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬の支払制度は採用されていないことを付言する。
(3)当社における独立した法律事務所からの助言の取得
当社は、本取引に係る当社取締役会の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、その公正性を担保することを目的として、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして日比谷パーク法律事務所を選任し、その後、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続、並びに本取引に係る当社の取締役会の意思決定の方法及び過程その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けていることが認められる。
なお、本特別委員会は、日比谷パーク法律事務所が、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有していないこと、並びに、日比谷パーク法律事務所の報酬が時間単位報酬のみとしており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬の支払制度は採用されていないことを確認している。
(4)当社における独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの助言の取得
当社は、前記第2項第(3)号②にて詳述したとおり、公開買付関連当事者のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないことが確認された独立した第三者算定機関であるSMBC日興証券を選任し、当社株式の株式価値の算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言を受けるとともに、2025年11月11日付で当社株式価値算定書を取得しており、本公開買付価格の公正性及び妥当性を担保していることが認められる。
(5)当社における独立した検討体制の構築
当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築したことが認められる。
本特別委員会は、当社が、本意向表明書を受領した後、本取引の検討(当社株式の価値算定の基礎となる事業計画の作成を含む。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチーム(当社の役職員11名で構成されており、取締役常務執行役員である佐藤誠悟氏を含む。)を設置し、そのメンバーが、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で本取引に関する合意がなく、利害関係のない者で構成され、本答申書の日付に至るまでかかる取扱いを継続してきていること、また、かかる当社のプロジェクトチームのメンバー及び当社の取締役がタイヨウ・パシフィック・パートナーズの関連当事者に該当せず、かつ、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの関係で利害関係のない公平な立場にあることについて確認している。
(6)当社における利害関係を有しない取締役による審議
会社法上、取締役会決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない(会社法369条2項)。ここでいう「特別の利害関係」とは、特定の取締役が、当該決議について、会社に対する忠実義務を誠実に履行することが定型的に困難と認められる個人的利害関係ないしは会社外の利害関係を意味すると解されている。
なお、当該「特別の利害関係」を有する取締役の範囲は、解釈問題となるものの、MBOにおける意思決定の透明性・合理性を高めるという観点からは、当該「特別の利害関係」を広く解釈することも検討すべきとの指摘もあり、例えば、MBOを行う代表取締役のみならず、買付者側への出資や経営参画につき既に合意が成立している取締役も除外されると解釈すべきではないかとの指摘があるが、本取引では、かかる指摘に配慮するとしても、公開買付者やその発行済株式のすべてを所有する本ファンドに対して出資している者はおらず、また、本ファンドや公開買付者に現段階で出資することが予定されている取締役は存在しないとのことである。
なお、本特別委員会がタイヨウ・パシフィック・パートナーズに確認したところによれば、本公開買付けの開始時点において、公開買付者は、当社の役員を含む現状の経営体制を維持する方針であり、本公開買付け後も引き続き職務を執行させるとともに、本資本業務提携契約に基づき本ファンドから当社に対して1名の取締役を派遣することができるが、具体的な派遣人員や派遣時期を決めておらず、必要に応じて、外部又はタイヨウ・パシフィック・パートナーズから経営人材を補強することも検討することもあり得るものの、本公開買付け実施後の当社の経営体制の詳細については、本公開買付けの成立後、当社と協議しながら決定していく予定とのことである。
そして、一部の役員に対し、公開買付者又は本ファンドを含むタイヨウ・パシフィック・パートナーズから利益供与がなされ、又は、その合意がなされている場合には、当該役員は、上記「特別の利害関係」を有するとの疑義が生じるところ、本特別委員会が確認する限り、そのようなことを疑わせる事情は特に認められない。
(7)公開買付価格の公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、本公開買付けにおける公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日とすることが予定されており、このように公開買付期間を比較的長期に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会が確保されるとともに、当社株式について公開買付者以外の他の買付者が買付け等を行う機会がある程度確保されていると認められる。
なお、当社が、情報管理の観点より、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェック(本取引の公表前における入札手続等を含む。以下同じ。)を実施していないが、後記第(8)号その他本項の他の号で指摘した本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本取引における具体的な状況に鑑みて、本特別委員会は、積極的なマーケット・チェックを実施しなくとも特段、本取引の公正性が阻害されることはないと判断した。
(8)取引保護条項等の不存在
タイヨウ・パシフィック・パートナーズと当社との間で、当社株式について、他の買付者による買付けの出現及び遂行を阻害するような合意は存在していないとのことである。また、当社取締役会は、「当社株式の大量取得行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入していないことが認められる。
これは、公開買付けにおいて、公開買付価格(非公開化の対価)が低すぎると市場に評価される場合、対抗的買収提案(対抗的公開買付けの予告を含む。)が行われる可能性を排除しないものであり、これにより、「対抗的買収提案が行われなかったこと」が公開買付価格の公正性の根拠となる「素地」が整うと考えられる。
以上により、前記第(7)号において指摘した公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付けの機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性を担保され得ると認められる。
(9)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定しないことの合理性
本公開買付けの買付予定数の下限は、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」条件を満たす水準を下回っている。
ただし、公正M&A指針3.5.2において、買収者の保有する対象会社の株式の割合が高い場合における企業価値の向上に資するM&Aに対する阻害効果の懸念等が指摘されているところである。本取引は、支配株主による従属会社の買収取引とは異なるものの、本取引においても、本公開買付けの買付予定数を、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を満たす水準に引き上げることにより、公正・妥当な価格での一般株主による当社株式等の売却の機会が阻害されるおそれは完全に否定できない。
また、本取引においては、本項各号の各公正性担保措置が有効に機能しているものと判断でき、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定しなくても、他の充実した公正性担保措置によって、これを補い、全体として取引条件の公正さが担保されていると認められる。
(10)情報開示の状況及び情報の非対称性問題の解消
公正M&A指針では、一般株主による取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料の提供が推奨されており(公正M&A指針3.6.1)、具体的には、特別委員会に関する情報や株式価値算定書に関する情報等についての充実した開示が期待されている(公正M&A指針3.6.2)。
本取引においては、本公開買付けに係る公開買付届出書及び意見表明プレスリリースその他の適時開示書類において、上記を含む一般少数株主の適切な判断に資する充実した情報が十分に開示されることが優に認められる。
また、本特別委員会は、本公開買付けの開始並びに本公開買付けと同時に当社決算短信において公表されることが予定された重要事実を除き、当社株式の株価ないしは企業価値に影響する当社の非公開情報が特に存在しないことを確認した。
また、当社株式の株価は、直近6ヶ月において、2025年4月3日のトランプ相互関税発表の影響で、同月9日終値で1株当たり1,439円の底値を付けてから徐々に回復傾向にあることが指摘できるが、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で本取引の協議を開始する契機となった本意向表明書を受領した2025年8月8日以降、当社株式の市場株価を押し下げるような情報開示と一般的には認められる本件下方修正の開示がなされ、当該開示直前取引日終値で1株当たり1,835円であったのが、当該開示後現在に至るまで、同1,650円前後に下落しているが、当該開示は、前記第2項第(4)号①にて検討したとおり、当該開示を行う背景、理由等は合理的であり、何らかの恣意が介在したことを疑わせるに足る事情は見当たらない。
以上より、本特別委員会は、本公開買付けの開始とそれに伴う重要事実に係る必要な情報開示が適時かつ適切になされる限り、当社により情報開示が適時且つ適切に行われてきていると認められるから、本取引につき当社取締役会と当社の株主との間には「情報の非対称性」は生じていないと判断する。
(11)二段階買収の予定の明示的な表明による強圧性の解消
本公開買付けに係る公開買付届出書「第1 公開買付要項」「3 買付け等の目的」「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引において、公開買付者は、二段階方式で本取引を実行することを予定しているが、かかる取引の構造上生じる強圧性(構造的強圧性。structural coercion)を解消する方策として、いわゆる100%買収の方法、すなわち、①買収者が全発行済株式を対象にして公開買付けを行い、②それにより支配権の取得に成功したら(支配権の取得に必要なだけの応募がないときは1株も買い付けない。)、公開買付けと同額の対価でスクイーズアウトを行う方法を採用する予定であることが明らかにされている。
すなわち、公開買付者が予定する二段階買収に係る具体的な手続について明示した上で、それらの実施時期等についてそれぞれ目途を具体的に示しつつ、決定できないものについては、当社と協議の上、決定次第、当社に速やかに公表するよう要請する予定であることが本公開買付けに係る公開買付届出書や意見表明プレスリリースにおいて明確に記載されていることが確認でき、レックス・ホールディングス事件最高裁決定(最決平成21年5月29日金判1326号35頁)の田原裁判官補足意見やサンスター事件大阪高裁決定(大阪高決平成21年9月1日金判1326号20頁)が「『強圧的な効果』に該当しかねない表現が用いられている。」と非難した記載方法が用いられることなく、二段階買収の予定が明確に表明されていると認められることから、かかる本公開買付けに係る公開買付届出書及び意見表明プレスリリースにより本取引の開示等がなされたのであれば、株主に対する強圧的効果を排除する効果が認められる。
従って、当社の株主は、本公開買付けに応じずに少数株主として残ると、応じた場合に比べて不利益に扱われるのではないかといった心理的圧力を受けずに、本公開買付けへの応募の是非を判断することが可能となっていることが認められる。
(12)二段階買収の可及的速やかなる実施
第一段階の公開買付けが成立した場合、市場における流動性が低くなり、所有する株式を売却することが困難になるなど、公開買付けに応募しなかった株主は不安定な地位に置かれることになるほか、公開買付け後の期間が長くなれば、支配株主となった買収者が少数株主に対して、公開買付けに反対したことに対し、報復的措置を行う可能性が高まると少数株主が感じることとなり、公開買付けに応募するかどうかを判断するに際して、公開買付けが成立した後、スクイーズアウトするまでの期間が長期であればあるほど、そのことが強圧的な公開買付けに該当すると認められる要素となり得る。
公開買付者は、会社法第180条に基づき当社株式の併合(本株式併合)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会を2026年2月頃を目途に開催することを当社に要請する予定であるとのことであり、本株式併合が本公開買付けの成立後可及的速やかに実施されることが見込まれていることから、これにより、株主に対する強圧的効果を排除する効果が認められる。
(13)小括
以上より、前各号において示した措置により、取引条件の形成過程において実質的に独立当事者間取引といえる状況が確保され、一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保がなされていると認められるから(公正M&A指針2.4)、本特別委員会は、本取引においてその手続の公正性が担保されていると判断する。
4.上記を踏まえ、本取引が当社の一般株主にとって公正なものであるか否かについて
上記を踏まえ慎重に審議及び検討した結果、本取引は、当社の企業価値向上に資することから是認することができ、本取引の取引条件も公開買付者等との協議・交渉の過程に不合理な点は認められないうえ、本公開買付価格については、当社株式の株式価値算定内容及びその前提とした財務予測・前提条件等の合理性が認められるところ、SMBC日興証券による当社株式の株式価値算定内容によれば、本公開買付価格は、(ⅰ)市場株価法及び類似上場会社比較法の上限を超えており、かつ、(ⅱ)当社株式の本源的価値を表すものとされるDCF法により算定された当社株式1株当たり株式価値のレンジの範囲内の水準にあることから、一般株主にとって公正な水準に達していると考えられることに加え、直近5年間の最高株価を上回る水準であること、直近10年間の出来高ベースで96%を超える数の当社株主の理論上の取得価格を上回ると試算されること、当社の直近四半期末である2025年6月30日時点の1株当たり連結純資産額を上回る価格水準であることなどその他の事情を勘案しても公正であると認められ、かつ、本取引に係る手続の公正性も認められることから、本特別委員会は、本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると判断するに至った。
5.当社取締役会が本取引の内容として実施される公開買付けに関して賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を行うことが妥当であるか否かについて
前記第4項記載の意見から、当社取締役会が本取引の内容として実施される公開買付けに関して賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を行うにおいては、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主及び第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権者に対して、本公開買付けへの応募を推奨することは妥当であるが、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権に係る本新株予約権者に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、その保有する本株式報酬型新株予約権については、当社グループの役員又は従業員の地位にあったものがその地位を離れた後一定期間内にしか行使できない行使条件が付されており、公開買付者がこれらを取得しても一切行使することができず、これを以って経済的価値が存在しないと認められること、また、第18回通常型新株予約権については、本公開買付けにおける買付等の期間中に行使することができないものであり、それ自体に行使可能価値がないことから、それらの本新株予約権買付価格が1円とされていることには経済合理性及び妥当性が認められ、その意味で公正であるものの、当該本新株予約権者の判断に委ねることが妥当である。
以 上
④ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、本意向表明書を受領した後、本取引の検討(当社株式の価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチーム(当社の役職員11名で構成されており、取締役常務執行役員である佐藤誠悟氏を含みます。)を設置し、そのメンバーは、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの間で本取引に関する合意がなく、利害関係のない者で構成されているものとし、本書提出日に至るまでかかる取扱いを継続しております。
なお、かかる当社のプロジェクトチームのメンバー及び当社の取締役がタイヨウ・パシフィック・パートナーズの関連当事者に該当せず、かつ、タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの関係で利害関係のない公平な立場にあることについては、本特別委員会の確認を得ております。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む)全員の承認
当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、SMBC日興証券から受けた財務的見地からの助言及び当社株式価値算定書の内容、並びに日比谷パーク法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引が当社の企業価値向上に資するかどうか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等について、慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年11月12日開催の取締役会において、当社の取締役7名(うち4名が独立社外取締役)の全員一致により、公開買付者による本公開買付けを含む本取引を通じた当社の非公開化が当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格(2,210円)並びに公開買付期間及び買付予定数の下限等の本公開買付けに係るその他の諸条件は妥当なものであり、本公開買付けに関して、賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様及び第13回乃至第17回通常型新株予約権に係る本新株予約権者の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨し、また、本株式報酬型新株予約権及び第18回通常型新株予約権に係る本新株予約権者の皆様に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。
⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)について、法令に定められた最低期間が20営業日であるところ、本公開買付けにおいては30営業日に設定しております。公開買付者は、公開買付期間を法定の最短期間に照らして長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けへの応募について適切な判断機会を確保するとともに、公開買付者以外にも対抗的な買付け等をする機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。また、当社は、公開買付者との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止し、又は当社が本公開買付けへの賛同を撤回することを禁止するような内容の合意は一切行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会を確保し、本公開買付けの公正性を担保することを企図しております。なお、当社は、情報管理の観点より、実務上、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェック(本取引の公表前における入札手続等を含みます。)の実施は必ずしも容易とはいえないことから、これを実施しておりませんが、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本取引における具体的な状況に鑑みて、これを実施しなくとも特段、本取引の公正性が阻害されることはないと考えております。
(7)本公開買付けに関する重要な合意に関する事項
公開買付者は、2025年11月12日付で、Taiyo Pacific Partners L.P.との間で本不応募契約を締結し、Taiyo Pacific Partners L.P.が投資権限及び議決権行使権限を有し、本ファンドが所有する当社株式の全て(17,304,700株、所有割合:35.69%)について、本公開買付けに応募しない旨及び本公開買付けが成立した場合には、本臨時株主総会において本スクイーズアウト手続に関連する各議案に賛成する旨を合意しているとのことです。また、本スクイーズアウト手続完了までの間、Taiyo Pacific Partners L.P.が投資権限及び議決権行使権限を有し、本ファンドが所有する当社株式の全部又は一部について、理由のいかんに関わらず、譲渡、担保設定その他の処分(本公開買付け以外の公開買付けへの応募を含むが、これに限らない。但し、公開買付者が本公開買付け及び本スクイーズアウト手続の決済に要する資金を調達するために行う借入の貸付人に対する担保提供を除く。)を行わない旨を合意しているとのことです。
| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
|---|---|---|---|
| 佐藤 衛 | 代表取締役 社長執行役員 |
129,100 | 1,291 |
| 笹井 康直 | 取締役 常務執行役員 開発本部長 |
44,500 | 445 |
| 佐藤 誠悟 | 取締役 常務執行役員 コーポレート本部長 |
104,000 | 1,040 |
| 片山 幹雄 | 取締役 | 0 | 0 |
| 西川 勢一 | 取締役 (常勤監査等委員) |
5,900 | 59 |
| 杉本 基 | 取締役 (監査等委員) |
8,000 | 80 |
| 宮田 逸江 | 取締役 (監査等委員) |
0 | 0 |
| 計 | 291,500 | 2,915 |
(注1) 所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役の片山幹雄氏、西川勢一氏、杉本基氏及び宮田逸江氏は社外取締役であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
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