Proxy Solicitation & Information Statement • Aug 12, 2025
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| 【表紙】 | |
| 【提出書類】 | 意見表明報告書 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年8月12日 |
| 【報告者の名称】 | パシフィックシステム株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 埼玉県さいたま市桜区田島八丁目4番19号 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 埼玉県さいたま市桜区田島八丁目4番19号 |
| 【電話番号】 | 048-845-2200(代表) |
| 【事務連絡者氏名】 | 執行役員総務部長 土谷 稔 |
| 【縦覧に供する場所】 | 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、パシフィックシステム株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、太平洋セメント株式会社をいいます。
(注3) 本書中の記載において、計数が四捨五入又は切り捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しない場合があります。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注6) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注7) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注8) 本書の提出に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、法で定められた手続及び情報開示基準に従い実施されるものです。
E05687 38470 パシフィックシステム株式会社 PACIFIC SYSTEMS CORPORATION 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 1 false false false E05687-000 2025-08-12 xbrli:pure
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名 称 太平洋セメント株式会社
所在地 東京都文京区小石川一丁目1番1号
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2025年8月8日開催の取締役会において、下記「(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)972,000株(所有割合(注1):65.70%)を所有しており、当社を連結子会社としているとのことです。この度、公開買付者は、2025年8月8日付の取締役会決議により、当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年8月8日に公表した「2026年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2025年6月30日現在の発行済株式数(1,480,000株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(476株)を控除した株式数(1,479,524株。以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。
公開買付者は、本公開買付けにおいて、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、買付予定数の下限を14,400株(所有割合:0.97%)(注2)と設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(14,400株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、本取引において、公開買付者は、当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(14,400株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
(注2) 買付予定数の下限(14,400株)については、本基準株式数(1,479,524株)に係る議決権の数(14,795個)に3分の2を乗じた数(9,864個(小数点以下切上げ))に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数(986,400株)から、公開買付者が本書提出日現在において所有する当社株式の数(972,000株)を控除した株式数(14,400株)としているとのことです。かかる買付予定数の下限の設定は、本取引において、公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者が当社の総株主の議決権の数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定したとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。なお、当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場しておりますが、下記「(5) 上場廃止となる見込み及びその事由」に記載のとおり、本公開買付けの結果次第では所定の手続を経て上場廃止となる可能性があり、また、本公開買付けの成立後に、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の各手続を実施することとなった場合には、所定の手続を経て上場廃止となるとのことです。
公開買付者は、1881年5月創業の小野田セメント株式会社と1923年1月創業の秩父セメント株式会社が1994年10月に合併して発足した秩父小野田株式会社を前身としているとのことです。秩父小野田株式会社は、1998年10月に1883年4月創業の日本セメント株式会社と合併し、当該合併の際に商号を現在の太平洋セメント株式会社に変更したとのことです。また、公開買付者の株式については、1949年5月に公開買付者の前身である小野田セメント株式会社の株式が株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)に上場した後、1949年5月に東京証券取引所に上場、1949年10月には証券会員制法人福岡証券取引所(以下「福岡証券取引所」といいます。)に上場し、2013年7月の東京証券取引所と大阪証券取引所の現物株式市場の経営統合及び2022年4月4日付の東京証券取引所の市場区分の再編成を経て、本書提出日現在において東京証券取引所プライム市場及び福岡証券取引所本則市場に上場しているとのことです。
公開買付者グループ(公開買付者及びその子会社並びに関連会社を総称していいます。以下同じです。)は、2025年3月31日現在、公開買付者、当社を含む子会社201社及び関連会社105社で構成され、セメント事業、資源事業、環境事業、建材・建築土木事業、その他事業のセグメントで事業を営んでいるほか、廃太陽光パネル処理事業等のサーキュラーエコノミー(注3)に資する事業等の新規事業も積極的に展開しており、安全・安心な社会基盤構築のためのトータルソリューション(包括的な解決策)を提供しているとのことです。公開買付者グループは、「持続可能な地球の未来を拓く先導役をめざし、経済の発展のみならず、環境への配慮、社会への貢献とも調和した事業活動を行う」ことを経営理念とし、社会インフラの老朽化や廃棄物処理等の社会課題の解決に貢献するとともに、公開買付者グループの海外ネットワークを含む国内外の強固なサプライチェーンを通じて、高品質なセメント・石灰石を安定供給し続けることを社会的使命としているとのことです。公開買付者グループのセグメント及び事業内容は以下のとおりとのことです。
(注3) 「サーキュラーエコノミー」とは、資源の価値を長く保全・維持し、資源の投入や廃棄を最小化し、資源を効率的に循環させる経済システムをいいます。
(ⅰ) セメント事業
幅広い用途に対応する各種セメント及びセメント系固化材の製造・販売をしているとのことです。
(ⅱ) 資源事業
石灰石鉱山を開発し、セメントの主原料である石灰石、生コンクリートやコンクリート製品、土木の分野で用いられる骨材等の採掘・供給をしているとのことです。
(ⅲ) 環境事業
生活系から産業系までの様々な廃棄物・副産物を受け入れて、セメントの原料や燃料にリサイクルしているとのことです。
(ⅳ) 建材・建築土木事業
セメントを主な原材料として多種多様な建築土木資材を製造・販売しているとのことです。また、地盤改良や補修・改修工事等、様々なユーザーニーズに対応しているとのことです。
(ⅴ) その他事業
不動産事業、各種建材プラント等のエンジニアリング事業、産業分野のシステム開発といった情報処理事業等を行っているとのことです。
公開買付者グループを取り巻く事業環境について、公開買付者は、主要事業である国内セメント事業において、都市部の再開発工事、リニア中央新幹線関連工事、国土強靭化及び防災・減災対応、老朽化した社会インフラの更新等により、一定水準の国内セメント需要の継続が見込まれると考えている一方で、建設現場の技能労働者不足に起因する工事進捗の遅れや工期の長期化が想定されることに加えて、建設コストの高騰は今後国内セメント需要を押し下げる懸念があると考えているとのことです。また、公開買付者は、石炭等の原燃料価格の高騰リスクやカーボンニュートラル(注4)、物流業界における2024年問題(注5)を背景とした製造コストの上昇に対応するため、引き続き販売価格の適正化を進めていく必要があると考えているとのことです。米国経済についても、公開買付者としては、2021年11月15日に成立したインフラの老朽化対策、経済成長及び雇用創出等を目的とするインフラ投資法案(IIJA(Infrastructure Investment and Jobs Act))に基づく総額1.2兆ドルにのぼる公共投資の本格化や、2028年開催予定のロサンゼルスオリンピック・パラリンピックに関連する投資等によって景気が拡大していくことが見込まれるものと考えている一方で、現状では米国政府による相互関税の導入等の政策動向やその影響にも注視していく必要があり、公開買付者グループの海外セメント事業を取り巻く環境は、先行きが不透明な状況が継続すると認識しているとのことです。
(注4) 「カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理等による「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることをいいます。
(注5) 「物流業界における2024年問題」とは、2024年4月から働き方改革関連法が適用され、トラックドライバーの労働時間が制限されることにより生じる人手不足、運賃上昇、商品価格への転嫁といった様々な問題をいいます。
このような情勢の中で、公開買付者グループは、成長の歩みを止めない企業グループになるとともに今後も持続可能な社会の構築に貢献していくための方向性を明確にするため、2050年をイメージした「2050年のありたい姿」及び2030年をイメージした「太平洋ビジョン2030」を設定しているとのことです。さらに、それらを実現していくための中期計画として、2024年5月14日に、2024年度から2026年度を対象期間とする「26中期経営計画」(以下「本中期経営計画(公開買付者)」といいます。)を策定し、目指す姿として「3D Approach for Sustainable Future ~持続可能な社会の実現に向けた3次元の挑戦~」を掲げ、以下の「国内事業の再生」、「グローバル戦略の更なる推進」、及び「サステナビリティ経営の推進とカーボンニュートラルへの貢献」の3つの取組みを複合的に推進することにより、公開買付者グループの企業価値向上に繋げることを目指しているとのことです。
(ⅰ) 国内事業の再生
国内セメント需要の減少が続く市場環境において、収益重視へ向けた価格政策の抜本的見直し、営業体制の効率化等によるトータルソリューション(包括的な解決策)の顧客への提供及び混合セメント(注6)の輸出拡大と国内向け安定供給を前提とした生産体制の最適化を進め、国内事業の再生を図っているとのことです。
(注6) 「混合セメント」とは、製造に必要なエネルギーやCO2排出量の削減及び耐久性向上を目的として、一般的なセメントであるポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカ微粉末等の混合材を混ぜ合わせたセメントで、日本産業規格(JIS)で規定されているセメントの一種を指します。
(ⅱ) グローバル戦略の更なる推進
米国やフィリピンにおける既存のセメント製造・販売事業の新生産ライン等への投資による収益基盤強化、オセアニア、インド、アフリカエリアへの進出やセメント事業以外の資源、環境、土木・建設事業への事業領域の拡大、及び混合セメントの展開や物流ネットワークの強化によるトレーディング事業(注7)の拡大によって、グローバル戦略を推進しているとのことです。
(注7) トレーディング事業の拡大としては、これまでに培ったノウハウを活かし、物流ネットワークを強化することで、海外で需要が拡大している混合セメントを、独自のネットワークを介して直接顧客に届けるといった取り組みを図っているとのことです。
(ⅲ) サステナビリティ経営の推進とカーボンニュートラルへの貢献
2050年サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現を目指し、革新的セメント製造技術(注8)の確立に向けた「カーボンニュートラルモデル工場」構想や既存技術を活用した混合セメント化の推進等、カーボンニュートラル戦略に取り組んでいるとのことです。また、デジタル技術を最大限に利用して業務の効率化を図るDX(注9)戦略、ウェルビーイング(注10)とエンゲージメント(注11)の向上による人的資本の最大化を図る人的資本戦略及び財務状況や経営戦略等の適時適切な情報開示を通じてステークホルダーとの良好な関係を構築することを目指したIR戦略にも着実に取り組むことでサステナビリティ経営を推進しているとのことです。
(注8) 「革新的セメント製造技術」とは、従来のセメント製造技術を越え、より少ないエネルギーで高品質なセメントを製造し、環境負荷を低減する技術を指します。
(注9) 「DX」とは、「Digital Transformation」の略であり、データやデジタル技術を活用し、新たなビジネスモデルの創出や既存ビジネスの変革を行うことをいいます。
(注10)「ウェルビーイング」とは、従業員が働きながら幸福感や心地よさを感じられることをいいます。
(注11)「エンゲージメント」とは、組織に対する自発的な貢献意欲のことをいいます。
さらに、公開買付者グループは、競争力の維持や強化、新たな事業領域の開発のためにDXの推進が不可欠であると考えていることから、DX戦略を成長戦略の中核に位置付けているとのことです。今後、国内での労働力の確保が困難になることが予想される労働供給制約社会(注12)においても、供給責任を果たすためにはサプライチェーン全体にわたる効率性向上と省力化が重要であると考えており、その中心的な取組みとして、生産プロセスイノベーション(スマートファクトリー)(注13)や管理業務効率化(スマートオフィス)(注16)を掲げているとのことです。また、これらを実効的に進めるため、DX推進部門と事業部門の連携により、本中期経営計画(公開買付者)の期間中に450名以上のDX戦略の推進に資する人材を育成することを計画しており、DX戦略を公開買付者グループの「2050年のありたい姿」の実現に向けたけん引役として位置付け、持続可能な成長と競争力の強化を図っていきたいと考えているとのことです。
(注12) 「労働供給制約社会」とは、少子高齢化といった人口動態により、労働力の供給が需要に追い付かなくなる社会のことをいいます。
(注13) 「スマートファクトリー」とは、AI(注14)やIoT(注15)技術、デジタルデータ等を活用して業務管理を行う工場を指します。
(注14) 「AI」とは、「Artificial Intelligence」(人工知能)の略で、コンピュータが蓄積されたデータを学習・分析し、推論や判断、課題解決等を行う技術を指します。
(注15) 「IoT」とは、「Internet of Things」(モノのインターネット)の略で、様々なモノがインターネットに接続されることで相互に情報交換できる仕組みを指します。
(注16) 「スマートオフィス」とは、AIやIoT等のIT技術を導入し、高速ネットワークを活用した快適な環境作りを推進するオフィスを指します。
一方、当社は、1980年8月に公開買付者の前身である秩父セメント株式会社のシステム部が分離独立してシステム綜合開発株式会社として設立され、電子計算機を使用した基幹業務(販売・生産・会計等)システムの開発及び販売、電子計算機を使用したシステムの各種情報処理並びに受託処理 通信設備機器及びその関連システムの運営を開始した後、1999年10月に、公開買付者の子会社で電子計算機を使用した基幹業務(販売・生産・会計等)システムの開発及び販売、電子計算機を使用したシステムの各種情報処理並びに受託処理、電子計算機及びその周辺機器の販売等を営んでいた株式会社アイシスと合併し、商号をパシフィックシステム株式会社に変更しております。また、当社株式については、2007年4月に株式会社ジャスダック証券取引所(以下「ジャスダック証券取引所」といいます。)に上場した後、2010年4月のジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い大阪証券取引所JASDAQ市場に上場、2013年7月の東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い東京証券取引所JASDAQ市場への上場を経て、2022年4月4日付で行われた東京証券取引所の市場区分の再編により、本書提出日現在において、東京証券取引所スタンダード市場に上場しております。
当社グループ(当社及びその子会社を総称していいます。以下同じです。)は、2025年3月31日現在、当社及び連結子会社1社で構成されており、「当社グループは、豊かで高度な情報社会を実現するために、確かな情報通信技術に基づく最適なソリューションとサービスをお客様に提供すると共に、環境への配慮、社会への貢献とも調和した事業活動を行います。」を経営理念として、当社において主に製造業、流通業、金融業等向けに情報サービス事業を、当社の子会社である株式会社システムベースにおいて、岩手県内の企業及び自治体向けを中心に当社と連携した電子計算機を使用した基幹業務(販売・生産・会計等)システムの開発及び販売、電子計算機を使用したシステムの各種情報処理並びに受託処理、電子計算機及びその周辺機器のリース・レンタル及び販売、労働者派遣事業等の情報サービス事業を行っております。また、公開買付者グループとの間では、情報サービス事業全般にわたる取引を行っております。
当社グループは、「機器等販売」「ソフトウェア開発」「システム販売」「システム運用・管理等」の4つのセグメントで事業を行っており、それぞれの事業内容は以下のとおりです。
(ⅰ) 機器等販売
パソコン、サーバー及び周辺機器とパッケージソフトウェア(注17)等の仕入・販売を行っております。
(注17) 「パッケージソフトウェア」とは、特定の業務や目的のために、あらかじめ機能が組み込まれて商品化されたアプリケーションシステムを指します。なお、「アプリケーションシステム」とは、特定の業務や目的を達成するために設計されたソフトウェアとその関連要素(データベース、インターフェース、業務ロジック等)を統合したシステムを指します。
(ⅱ) ソフトウェア開発
製造業・流通業・金融業等幅広くアプリケーションシステムの受託開発業務を行っております。また、主に製造業向けにERP(注18)の導入コンサルティングとシステム開発を行っております。
(注18) 「ERP」とは、「Enterprise Resource Planning」の略であり、企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を統合的に管理し、効率的かつ効果的な活用を支援する基幹業務システムを指します。
(ⅲ) システム販売
画像処理システムや生コンクリート業界向けシステムの自社開発システム商品等の販売及びネットワーク構築等のインフラサービス等を行っております。
(ⅳ) システム運用・管理等
ユーザシステムの運用・管理サービス、データセンター、保守サービス等を行っております。
当社グループを取り巻く事業環境について、当社グループは、国内経済は引き続き緩やかな回復傾向にあるものの、アメリカの政策動向や金融資本市場の変動に加え、長引く物価上昇や人手不足の影響等、依然として不透明な状況が続いていると認識しております。そのような中でも、当社グループとしては、各企業におけるDX推進の流れは継続し、AI・IoT技術等のICT(情報通信技術)(注19)の役割は従来以上に重要性を増し、情報化投資意欲の高まりは継続していくものと考えております。また、日進月歩で新たな技術やサービスが生まれており、その変化へ臨機応変に対応していくことが重要であると考えております。
(注19) 「ICT(情報通信技術)」とは「Information and Communication Technology」の略で、情報の収集・処理・伝達を行うための技術や手段の総称を指します。
このような事業環境の下、当社グループは、これまでの事業の経過及び経営環境を踏まえ、2024年5月27日に、今後の10年における戦略として、PACIFIC SYSTEMS VISION 2032(長期ビジョン)「One step Forward, One step Beyond.」(以下「長期ビジョン(当社)」といいます。)を策定し、最終年度である2032年度の数値目標として、売上高:160億円~200億円、営業利益率:10.0%、ROE:10.0%、PBR:1倍超、配当性向:30.0%~50.0%を定めております。その長期ビジョン(当社)の具体化に向け、2024年度から2026年度を、「創出を目指す3年」として「26中期経営計画」(以下「本中期経営計画(当社)」といいます。)を策定しております。本中期経営計画(当社)において、基本方針である「強みを知り、強化する」「既存技術の展開」「新規技術の獲得」に則り、研究開発投資を最重点施策として、計画期間における総額568百万円(2021年度から2023年度の前中期経営計画比409百万円増)へ拡大し、AI、センシング(注20)、オリジナルパッケージ(注21)、新商品・新技術への投資を行っております。また、重点施策として、AIスランプ予測システム『PreSLump AI®』(注22)を始めとしたAI関連製品、AIコンサル、スマートファクトリー等のIoT関連、セキュリティ脆弱性診断等の企業におけるサイバーリスクに対するコンサルティングから、対策システムの構築、運用、そして社員教育まで、包括的な支援を行うセキュリティビジネス、ERP導入プロジェクトの計画から、システムの選定、導入、運用、そしてその後の最適化まで、多岐にわたる支援を行うERPビジネス、基幹業務システムの受託開発、ビジネスコミュニケーションツール、DXソリューション、データセンター(埼玉県、岩手県)等の展開を進めております。
(注20) 「センシング」とは、センサーと呼ばれる感知器等を使用して様々な情報を計測して数値化する技術の総称をいいます。
(注21) 「オリジナルパッケージ」とは、生コンクリート業向け販売出荷品質管理システム、製造業向け生産管理システム、汎用型販売管理システム等を指します。
(注22) 「AIスランプ予測システム『PreSLump AI®』」とは、AIによる画像認識技術を用いて、ミキサ内の生コンクリート練混ぜ画像からコンクリートの柔らかさや流動性を示すスランプ値の予測を行う当社が開発した製品を指します。
公開買付者と当社の資本関係については、1980年8月に、公開買付者の前身である秩父セメント株式会社が100%出資により、その子会社として当社の前身であるシステム綜合開発株式会社(1999年10月に株式会社アイシスと合併し、商号をパシフィックシステム株式会社に変更)を設立して以降、公開買付者グループのシステム関連会社としての機能を担う当社との間で、情報サービス業務全般に関連する取引を行ってきたとのことです。
また、2007年4月の当社株式のジャスダック証券取引所上場時における新株発行及び売出しにより、公開買付者が所有する当社株式は1,047,000株(当時の発行済株式総数(1,480,000株)に対する割合:70.74%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、当時の発行済株式総数に対する割合の計算において同じです。))となったとのことです。その後、公開買付者は、2011年10月に市場外取引により当社株式を一部売却し、公開買付者が所有する当社株式は1,017,000株(当時の発行済株式総数(1,480,000株)に対する割合:68.72%)となり、2021年12月にも市場外取引により当社株式を一部売却し、公開買付者が所有する当社株式は972,000株(当時の発行済株式総数(1,480,000株)に対する割合:65.68%)となったとのことです。公開買付者は、当社株式の上場以降も、公開買付者の連結子会社として当社との資本関係及び取引関係を維持し、本書提出日現在、当社株式972,000株(所有割合:65.70%)を所有するに至ったとのことです。
以上の経緯を経て、本書提出日現在、公開買付者は、当社に対してシステム開発・情報処理業務を委託しており、セメント事業に関するシステム構築の経験はもとより、生コンクリート業界のシステム事情にも精通していることから、当社グループが公開買付者グループの唯一のシステム関連会社として機能することで、公開買付者グループの要請に応じたシステムやAIを活用したAIスランプ予測システム『PreSLump AI®』を開発してきた実績もあり、公開買付者グループのIT活用によるシナジーが発揮されているものと考えているとのことです。他方で、公開買付者グループ及び当社グループの各々の本中期経営計画(公開買付者)及び本中期経営計画(当社)を達成し、中長期的な企業価値向上を実現するためには、公開買付者グループが所有する設備等のハード面と、当社グループが持っているAI技術・画像処理技術といったソフト面を組み合わせることによって、これまで以上に双方の経営基盤や事業ノウハウ、経営資源等を融合し、その有効活用を加速させることが肝要であると考えているとのことです。
しかしながら、公開買付者と当社との間の現状の資本関係では、(ⅰ)当社が上場会社であり、かつ、公開買付者が当社の支配株主に該当するため、例えば、短期的な利益の追求には繋がらないような中長期的な企業成長を目的とした研究開発を優先すべき局面における公開買付者と当社の間の直接取引及び事業調整は、公開買付者と当社の少数株主の利益相反が顕在化し得る局面であって、当社は公開買付者グループの一員でありながら、公開買付者グループの全体最適に資する事業運営と当社の少数株主の利益に資する事業運営を両立しなければならない立場にあること、また、(ⅱ)公開買付者としても、当社の資本構成上、当社が創出する価値・利益の一部が公開買付者以外の株主に帰属することから、公開買付者が今以上に当社に経営資源やノウハウを提供することの妥当性を公開買付者の株主から指摘される可能性もあり、公開買付者と当社がそれぞれの経営資源やノウハウを最大限活用して事業運営を行うことができずにいることから、2025年1月下旬に、公開買付者は、資本関係の見直しが必要であると考えるに至ったとのことです。
このような状況の下、公開買付者は、2025年1月下旬、当社グループを含む公開買付者グループのより一層の企業価値の向上を実現するためには、公開買付者が当社を完全子会社化することで両社の連携を更に深化させ、両社の経営資源を集中させることが必要であると考え、本取引の検討を開始したとのことです。
具体的には、公開買付者としては、本取引により当社を完全子会社化することで以下のような取り組みやシナジーの実現が期待できると考えているとのことです。
(ⅰ) 公開買付者グループのサプライチェーン全体及び各業務プロセスで抱える課題解決等に向けた、当社グループが保有するデジタル技術の融合による、当社グループを含む公開買付者グループ全体としてのDX戦略の推進
上記のとおり、公開買付者グループは、労働供給制約社会の到来に備え、供給責任を果たすためにはサプライチェーン全体にわたる効率性向上と省力化を進めることが重要と考えており、本中期経営計画(公開買付者)において、その解決に向けた「DX戦略」を成長戦略の中核に位置付けているとのことです。その実現に向け、例えば、センシングや画像処理技術のような当社グループの保有するデジタル技術について、これまでは連結子会社の資本関係であったため人材交流に一定の制約があり、そのため公開買付者グループの事業への活用の検討が十分に進んでいなかったところ、本取引を通じて、より人材交流を活発化させ、公開買付者グループが当社グループとの事業上の連携をより一層強化することで、それらの技術を最大限に活用することが可能となることから、公開買付者グループが中心的な取組みとして掲げている、工場におけるオペレーションの進化、自動化・省力化といった生産プロセスイノベーション(スマートファクトリー)や、AIによるセメントタンカー配船、輸送トラックの自動配車といった管理業務効率化(スマートオフィス)を積極的に推進し、公開買付者グループとして持続可能な成長と競争力の強化が実現できるものと考えているとのことです。
(ⅱ) 当社グループにおける公開買付者グループのリソース活用・短期的な利益に囚われない中長期的な目線での投資促進
当社グループは、長期ビジョン(当社)及び本中期経営計画(当社)において、研究開発投資を最重点施策として位置付け、AI、センシング、オリジナルパッケージ、新商品・新技術への投資を行っていくことを掲げているところ、公開買付者は、研究開発投資は一定の費用支出が先行することから、短期的には必ずしも少数株主の利益とはならない可能性もあり、上場会社である当社は、中長期的な目線での投資実行には一定の制約があるものと認識しているとのことです。また、公開買付者グループとしても、公開買付者グループ全体の最適化を目的に資金供給やリソースを集中投下しても、それが必ずしも当社の少数株主が望む短期的な利益に繋がらず、少数株主の皆様と公開買付者との間で利益相反を生じさせるおそれが否定できないことから、公開買付者は当社の少数株主との間に潜在的な利益相反構造があり、当社グループに対する臨機応変な資金供給や、事業リソースの集中投下が困難であったものと認識しているとのことです。公開買付者は、当社を完全子会社化することにより、当社に対する経営資源の最適配分が可能となることに加え、当社グループは短期的な利益に囚われず、中長期的な目線で必要な投資を実行していくことが可能になるものと考えているとのことです。
(ⅲ) 公開買付者グループ及び当社グループ間のコーポレート機能の効率化による生産性の向上
公開買付者は、当社を完全子会社化することで、当社グループとの間で重複するコーポレート機能(財務、経営企画、人事、総務、広報等)の共通化を推進することが可能になることから、管理業務の効率化による生産性の向上と、当社を含めた公開買付者グループ全体における管理コストの最適化を実現することが可能になるものと考えているとのことです。
(ⅳ) 当社における上場維持コストの負担軽減
公開買付者は、本取引の実行により、当社株式が上場廃止となることで、当社が決算短信や有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に関する費用といった上場維持にかかるコストを削減し、また、上場を維持するための体制構築に投下していた経営資源を事業に投入することが可能になることから、企業価値を向上させることが可能になると考えているとのことです。
なお、本取引を通じて当社株式が上場廃止となった場合、上場廃止に伴うデメリットとして、一般的には、取引先を含む外部からの社会的信用の獲得、知名度の維持及び知名度を活かした人材の採用、並びに、資本市場からの資金調達といった、上場会社としてのメリットを享受できなくなる可能性があるものと考えられるとのことです。しかしながら、当社におけるこれまでの事業運営により積み重ねられてきた社会的信用や知名度は、上場廃止により失われるものではなく、むしろ東京証券取引所プライム市場に上場している公開買付者の完全子会社となることで、今まで以上に、公開買付者グループの信用力・ブランド力をより活かした取引関係の構築・人材採用が可能になると考えているとのことです。また、当社において資金調達を要する場合には、公開買付者を介しての株式市場からの資金調達、あるいは、公開買付者グループ全体での間接金融での資金調達を行うことが可能であるため、公開買付者グループが有する社会的信用力や資金調達力等を総合的に考慮すれば、当社が公開買付者の完全子会社となること及び当社株式が上場廃止となることに伴うデメリットは限定的であると考えているとのことです。また、既に公開買付者と当社には親子会社関係があり、実質的にこれまでの事業運営体制と変わりがないことから、公開買付者としては、当社株式の上場廃止に伴うデメリットとは別に、当社が公開買付者の完全子会社となることによるデメリットも特段ないと考えているとのことです。
上記の背景、目的、想定されるシナジーを踏まえ、公開買付者は本取引について具体的な検討や手続の準備を行うため、2025年4月下旬に公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、2025年5月上旬に公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして三浦法律事務所をそれぞれ選任し、本取引に関する検討及び当社との協議を行う体制を構築したとのことです。
公開買付者は、2025年4月23日、当社に対して本取引の検討及び協議を開始したい旨並びに正式な提案書は後日改めて提出する旨の初期的な申し入れを行い、2025年5月19日に、当社に対して、本公開買付け及びその後の本スクイーズアウト手続により当社株式の全てを取得し、当社を完全子会社化することに関する法的拘束力を持たない提案書(以下「本提案書」といいます。)を提出したとのことです。
一方、当社は、公開買付者から本提案書を受領したことを契機として、本取引の検討及び公開買付者との交渉に備えるため、2025年5月下旬に、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)を、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)をそれぞれ選任しました。
また、当社は、当社が公開買付者の連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性を担保するため、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえ、2025年5月26日付で、当社グループを含む公開買付者グループから独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)を設置いたしました。
そして、公開買付者は、2025年6月上旬から同年7月上旬にかけて当社に対するデュー・ディリジェンスを実施し、並行して当社及び本特別委員会との間で、本取引の意義及び目的並びに本取引後の当社の経営方針を説明するとともに、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)について協議・交渉を実施してきたとのことです。
具体的には、公開買付者は、2025年6月17日に、本特別委員会から、本取引の意義・目的、本取引の想定ストラクチャー、本取引において当社の少数株主の利益を保護するために想定している措置、本取引により見込まれるシナジー効果、本取引後の当社の経営方針、その他本公開買付けの諸条件等についての質問事項を受領し、2025年6月26日に、本特別委員会に対して、大要、①本取引の意義・目的や本取引により見込まれるシナジー効果については、上記(ⅰ)乃至(ⅳ)記載のシナジーの実現が期待できる旨、②本取引の想定ストラクチャーについては、本公開買付け及びその後のスクイーズアウト手続による二段階買収を想定したストラクチャーを採用する旨、③本取引において当社の少数株主の利益を保護するために想定している措置については、下記⑤のとおり本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)を法令に定められた最短期間と比較して長期に設定する等、本公開買付価格の公正性を担保するための措置を講じる予定である旨、④本取引後の当社の経営方針については、現時点では具体的に変更を予定しているものはなく、今後当社と協議の上決定していく予定である旨、⑤その他本公開買付けの諸条件については、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載の買付予定数の下限の設定や、公開買付期間を30営業日とする予定である旨回答を行ったとのことです。
また、公開買付者は、2025年6月上旬から同年7月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果や当社が開示している財務情報等の客観的な資料、当社株式の過去の株価推移に係る分析結果等を総合的に勘案し、2025年7月11日、当社に対して、本公開買付価格を5,800円(提案日の前営業日である2025年7月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値4,685円に対して23.80%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じです。)のプレミアムを加えた価格)とする初回提案を行ったとのことです。
これに対して、公開買付者は、2025年7月15日、当社から、当該価格は当社の少数株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないとの理由から提案価格の引上げの要請を受けたとのことです。
その後、公開買付者は本公開買付価格に関する検討を行い、2025年7月22日、当社に対して、本公開買付価格を6,200円(提案日の前営業日である2025年7月18日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値4,790円に対して29.44%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第2回提案を行ったとのことです。
これに対して、公開買付者は、2025年7月23日、当社から、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値算定の試算結果及び類似事例における一般的なプレミアム水準を踏まえると、当該価格は当社の少数株主の利益に十分配慮された金額とはいえないとの理由から提案価格の引上げの要請を受けたとのことです。
その後、公開買付者は本公開買付価格に関する検討を行い、2025年7月28日、当社に対して、本公開買付価格を6,500円(提案日の直近の取引成立日である2025年7月24日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値4,800円に対して35.42%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第3回提案を行ったとのことです。
これに対して、公開買付者は、2025年7月29日、当社から、当社の第三者算定機関による算定結果及び当社の足元の財政状態、本公開買付けによるシナジーの反映並びに同種取引事例におけるプレミアム率を踏まえ、本公開買付けに対して応募推奨を行うために必要と考える価格水準及び少数株主の利益の観点からは未だ十分な水準といえる金額ではないとの理由から提案価格の引上げの要請を受けたとのことです。
その後、公開買付者は本公開買付価格に関する検討を行い、2025年8月4日、当社に対して、本公開買付価格を6,700円(提案日の前営業日である2025年8月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,170円に対して29.59%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第4回提案を行ったとのことです。
これに対して、公開買付者は、2025年8月5日、当社から、第4回提案における提案価格は、少数株主に一定程度配慮された価格であるとの考えが示された一方で、当社の第三者算定機関の株式価値の試算結果を踏まえると、少数株主の利益に最大限配慮した価格であると判断するためには更なる価格の引上げの必要があり、また、現状の当社の株価に対するプレミアム率の点でも十分に満足できる水準には届いていないことから、本公開買付価格の今一歩の引上げを要請すべきであると考え、本公開買付価格を7,000円とする旨の対案が提示されたとのことです。
その後、公開買付者は本公開買付価格に関する検討を行い、2025年8月6日、当社に対して、公開買付者として当該時点で検討し得る最大限の水準であるとして、本公開買付価格を6,850円(提案日の前営業日である2025年8月5日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,130円に対して33.53%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第5回提案を行ったとのことです。
これに対して、公開買付者は、2025年8月7日、当社から、公開買付者からの提案を応諾する旨の回答を受けたとのことです。
以上の経緯を経て、公開買付者は、2025年8月8日付の取締役会決議により、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした本取引の一環として、本公開買付価格を6,850円とする本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
公開買付者グループは、これまでも当社との間で一定の連携を図って参りましたが、本公開買付けを含む本取引を通じた当社の完全子会社化を通じ、当社グループとの連携を更に深化させるとともに、これまで以上に両社の経営資源やノウハウを相互補完・有効活用し、また、意思決定の迅速化を図ることによって、上記「(ア)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の本取引によるシナジーを実現させることにより、当社グループを含めた公開買付者グループ全体の成長を加速させ、企業価値の更なる向上を目指していくとのことです。
なお、本取引後の当社の経営体制について現時点で確定している事項はなく、今後当社との協議を通じて、上記シナジーを最大限発揮するための最適な体制の構築を検討していく方針とのことです。
また、当社の従業員については、現時点で具体的に決定している事項はないものの、IT人材確保の必要性が高まっている中にあってモチベーションの維持・向上を図るため、本取引完了後、待遇の向上につながる施策や従業員が自己成長を実感できる環境の提供についても、当社の意向も踏まえつつ検討していくとのことです。
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ア)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年4月23日、公開買付者より本取引の検討及び協議を開始したい旨並びに正式な提案書は後日改めて提出する旨の初期的な申し入れを受け、また、2025年5月19日に、公開買付者から本提案書が提出されたことを踏まえ、当該提案内容を検討するにあたり、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、2025年5月下旬、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルを、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所をそれぞれ選任いたしました。また、当社は、当社が公開買付者の連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性を担保するため、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえ、2025年5月26日付で、当社グループを含む公開買付者グループから独立した本特別委員会を設置し、本取引に係る協議・交渉を行う体制を構築いたしました。具体的には、2025年5月26日開催の当社取締役会の決議により、公開買付者及び当社から独立した、当社の独立社外取締役である腰原貞利氏、独立社外取締役である阿部真弓氏(社会保険労務士)、独立社外監査役である高橋嘉明氏(公認会計士・税理士)の3名から構成される特別委員会を設置し、設置以来、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。更に、本特別委員会は、第1回特別委員会において、委員の互選により、腰原貞利氏を委員長として選定しております。なお、当社の独立社外取締役である松下満俊氏は、同氏が所属する法律事務所と公開買付者との間で取引関係が一定程度存在するため、本取引に係る手続の公正性を担保する観点から、本特別委員会の委員として選任しておりません。また、当社は、本特別委員会に対し、(ア)本取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するか否かを含む。)、(イ)本取引の条件の公正性及び妥当性(本取引の実施方法及び本公開買付けにおける買付け等の価格が妥当か否かを含む。)、(ウ)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、(エ)上記(ア)から(ウ)を踏まえ、本取引を行うことが当社の少数株主(一般株主)にとって公正であると考えられるか、(オ)本公開買付けについて当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、(ア)から(オ)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本取引に関する当社取締役会の意思決定は、本諮問事項に基づく本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすることを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ア)当社が選任したアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)を承認する権限、(イ)当社が選任したアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)に専門的助言を求める権限、(ウ)当社の取締役、従業員その他特別委員会が必要と認める者に特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限、(エ)合理的に必要な範囲で、当社の費用負担において、特別委員会独自のアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー、リーガル・アドバイザーその他のアドバイザー)及び第三者評価機関を選任し、当社の株式価値評価及び本取引に係るフェアネス・オピニオンの提供その他特別委員会が必要と判断する事項を委託する権限、(オ)本取引の取引条件等に関する当社による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて自ら直接交渉を行う権限を付与することを決議いたしました。また、2025年6月10日開催の第1回特別委員会において、山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関とすること並びにアンダーソン・毛利・友常法律事務所を当社のリーガル・アドバイザーとすることについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。
その上で、当社は、本取引の目的、本取引後の経営体制・方針、本取引の諸条件等について、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、山田コンサル及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を受けながら、公開買付者との間で複数回にわたる協議・交渉を重ねた上で、本取引の妥当性について検討してまいりました。具体的には、当社は、本提案書を受領したことを受け、2025年6月26日に、本特別委員会を通じて公開買付者に対するインタビューを実施し、本取引の背景(本取引に係る提案を上記の時期に行うに至った背景を含みます。)、経緯、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。その上で当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か等について並行的に検討を進めることとしつつ、本公開買付価格について公開買付者との協議・交渉を2025年7月11日に開始しました。
具体的には、本公開買付価格については、当社は、2025年7月11日、公開買付者から本公開買付価格を5,800円(提案日の前営業日である2025年7月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値4,685円に対して23.80%のプレミアムを加えた価格)とする初回提案を受けました。
その後、当社は、2025年7月15日、当社の少数株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないとして、本公開買付価格の再提案の要請を行いました。
当該要請に対して、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する検討を行った結果として、2025年7月22日、本公開買付価格を6,200円(提案日の前営業日である2025年7月18日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値4,790円に対して29.44%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第2回提案を受けました。
これに対して、当社は、2025年7月23日、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値算定の試算結果及び類似事例における一般的なプレミアム水準を踏まえ、少数株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないとして、本公開買付価格の再提案の要請を行いました。
当該要請に対して、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する検討を行った結果として、2025年7月28日、当社に対して、本公開買付価格を6,500円(提案日の直近の取引成立日である2025年7月24日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値4,800円に対して35.42%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第3回提案を受けました。
これに対して、当社は、2025年7月29日、当社の第三者算定機関による算定結果及び当社の足元の財政状態、本公開買付けによるシナジーの反映並びに本取引と同様に非公開化を目的とした親会社による完全子会社化の事例(以下「本類似事例」といいます。)におけるプレミアム率を踏まえ、本公開買付けに対して応募推奨を行うために必要と考える価格水準及び少数株主の利益の観点からは未だ十分な水準といえる金額とはいえないとして、本公開買付価格の再提案の要請を行いました。
当該要請に対して、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する検討を行った結果として、2025年8月4日、当社に対して、本公開買付価格を6,700円(提案日の前営業日である2025年8月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,170円に対して29.59%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第4回提案を受けました。
これに対して、当社は、2025年8月5日、第4回提案における提案価格は、少数株主に一定程度配慮された価格である一方で、当社の第三者算定機関の株式価値の試算結果を踏まえると、少数株主の利益に最大限配慮した価格であると判断するためには更なる価格の引上げの必要があり、また、現状の当社の株価に対するプレミアム率の点でも十分に満足できる水準には届いていないことから、本公開買付価格の今一歩の引上げを要請すべきであると考え、本公開買付価格を7,000円とする旨の対案を提示しました。
当該要請に対して、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する検討を行った結果として、2025年8月6日、当社に対して、公開買付者として当該時点で検討し得る最大限の水準であるとして、本公開買付価格を6,850円(提案日の前営業日である2025年8月5日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,130円に対して33.53%のプレミアムを加えた価格)とする旨の第5回提案を受けました。当社は、当該提案について、その妥当性を本特別委員会に確認するほか、2025年8月7日付で山田コンサルから取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(山田コンサル)」といいます。)の内容、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の法的助言の内容も踏まえて慎重に検討を行いました。その結果、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日の終値に対して32.50%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して40.48%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して43.67%、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して51.18%といったプレミアム水準は、本類似事例のうち、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日から2025年7月14日までの間に公表された77件におけるプレミアム水準(公表日の前営業日における終値に対して39.22%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.04%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.70%及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して39.87%)との比較において、公表日の前営業日である2025年8月7日の終値及び同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を下回っているものの、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を上回っていること、また、当社株価の上場来最高値である5,190円(2025年8月1日のザラ場。)に対して31.98%のプレミアムが付されていることに鑑みると、当該価格は当社株式の市場株価に対して合理的と考えられる水準のプレミアムが付されていると評価でき、また、下記「(3)算定に関する事項」に記載の山田コンサルによる市場株価法に基づく算定結果の範囲を上回っており、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの範囲内であることから、合理性を有すると判断するに至り、当社は当該提案を応諾することといたしました。
このように、当社は、公開買付者との間で継続的に本公開買付価格の交渉を行ってまいりました。
さらに、当社は、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年8月7日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言及び山田コンサルから取得した本株式価値算定書(山田コンサル)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本公開買付価格は妥当なものか、特に買付予定数の上限・下限や撤回等の条件、二段階買収に関する事項等の本公開買付価格以外の本取引の諸条件について本公開買付けの成立を不安定にしたり強圧性を生じさせたりする等、少数株主にとって不利となるような条件が設定されていないか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議・検討を行いました
その結果、当社としても、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ア) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者グループが持つリソースを最大限に活用することが最善と考えるに至りました。
当社が本取引によって実現可能と考えるシナジーは以下のとおりです。
当社グループが保有するデジタル技術と公開買付者グループが保有する技術・ノウハウを融合させることにより、当社グループを含めた公開買付者グループ全体及び各業務プロセスが抱える課題の解決に向けて、DX戦略の推進を強力に進めることができ、当社もその推進の一手を担うことが可能であると考えております。当社グループとしても、公開買付者グループのサプライチェーン全体、公開買付者グループを取り巻く業界に向けた販路拡大や技術経験の積上げによって、更なる成長と、企業価値の向上が期待できるものと考えております。
当社グループは、公開買付者の完全子会社となることにより、公開買付者グループのリソース(人的・物的・財務的・情報・ブランド等)を今まで以上に、広く深く活用することが期待でき、それらのリソースの活用によって、当社は、当社の同業他社と比べて、強力な競争優位を確立することができるものと考えております。具体的には、顧客のニーズに対応するための技術開発投資や、人的資本に対する投資、広報・マーケティングに対する投資等を含む臨機応変な資金供給や、公開買付者グループの各部門のノウハウを持った人材と情報システムを適用する現場(公開買付者グループが持つ工場、鉱山、研究所等)といったリソースを活用し、技術力及び現場適用力が得られるという点で競争優位性を獲得できると考えております。また、当社は、長期ビジョン(当社)及び本中期経営計画(当社)において、AIやセンシング技術、オリジナルパッケージ、新商品・新技術への研究開発投資を最重要施策としておりますが、上場会社である当社は、短期的な収益やキャッシュ・フローを優先せざるを得ない場合もあり、このような研究開発が停滞することも考えられます。当社が、公開買付者の完全子会社となることで、当社グループは短期的な利益に捉われず、中長期的な視点で企業価値の向上に必要となる研究開発や投資を推進しやすい経営環境が実現できるものと考えております。
(ⅲ) 公開買付者グループ及び当社グループ間のコーポレート機能の効率化による生産性の向上
近年、採用競争の激化による優れた専門人材の継続的な確保に伴う人材採用コストの増加及び人材定着・従業員満足度の向上のための管理・教育コストの負担の増加、そして安全衛生・健康経営対応等、会社の抱える人的・金銭的コストはますます増えており、当社グループのみで会社管理の質を維持・向上させながら、増加する管理コストを負担することは容易ではなくなっております。当社は、本取引の実行により、当社グループと公開買付者グループの間で重複しているコーポレート機能を共通化することで、管理業務の効率化による生産性の向上と、当社グループ全体の管理コストの最適化を実現することができると考えております。
(ⅳ) 当社における上場維持コストの負担軽減
当社において当社株式の上場維持のために必要な人的・経済的コストは年々増加しており、今後も、かかるコストが当社の経営上のさらなる負担となる可能性も否定できないと認識しております。具体的には、決算短信や有価証券報告書等の継続的な情報開示、金融商品取引法監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に関する費用と、それらの対応にかかる人員配置が挙げられますが、本取引の結果、当社株式が上場廃止となることで、これらの当社株式の上場の維持のために必要であったコストを削減することが可能となります。また、上記のようなこれまで上場維持のために投下していた経営資源を事業活動に振り向けることで、より一層の企業価値の向上が実現できるものと考えております。
なお、当社が公開買付者の完全子会社となり、上場廃止となった場合でも、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達は当面想定していないこと、当社のこれまでの実績および取引先との関係を通じて当社のブランド力や社会的信用力は既に確立できていること、また、既に当社と公開買付者には親子会社関係があり実質的にこれまでの事業運営体制と変わりがないことから、デメリットは限定的であると判断しております。
以上を踏まえ、当社は、2025年8月8日開催の取締役会において、本公開買付けを含む本取引により当社を完全子会社化することが、当社の企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
また、本公開買付価格(6,850円)が、(a)下記「(3)算定に関する事項」に記載されている山田コンサルによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っており、かつ、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,170円に対して32.50%、直近1ヶ月間の終値単純平均値4,876円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して40.48%、直近3ヶ月間の終値単純平均値4,768円に対して43.67%、直近6ヶ月間の終値単純平均値4,531円に対して51.18%のプレミアムがそれぞれ加えられた価格であり、本類似事例と比較して公表日の前営業日である2025年8月7日の終値及び同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を下回っているものの、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を上回っていること、また、当社株価の上場来最高値である5,190円(2025年8月1日のザラ場。)に対して31.98%のプレミアムが付されていることに鑑みると、当該価格は当社株式の市場株価に対して合理的と考えられる水準のプレミアム(本類似事例77件における市場株価へのプレミアムの平均値は、公表日の前営業日における終値に対して39.22%、公表前1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.04%、公表前3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.70%、公表前6ヶ月間の終値単純平均値に対して39.87%であります。)が付されていること、(c)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を回避するための措置が採られていること等、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われ、より具体的には、当社において、本特別委員会との協議、山田コンサルによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や財務的見地からの助言及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言等を踏まえて、公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会が、事前に交渉方針を確認するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、要請等を行った上で、本公開買付価格について妥当である旨の意見を述べ、かつ、特に買付予定数の上限・下限や撤回等の条件、二段階買収に関する事項等の本公開買付価格以外の本取引の諸条件についても、本公開買付けの成立を不安定にしたり強圧性を生じさせたりする等、少数株主にとって不利となるような条件は設定されておらず、妥当である旨の意見を述べていること等を踏まえ、当社は、2025年8月8日開催の取締役会において、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上の経緯の下で、当社は、2025年8月8日開催の取締役会において、取締役の6名のうち、加藤勉氏を除く5名全員(すなわち、渡邊泰博氏、大久保光敏氏、山上浩司氏、腰原貞利氏、阿部真弓氏)が審議及び決議に参加し、5名の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。なお、当社取締役のうち渡邊泰博氏及び大久保光敏氏は、過去に公開買付者の従業員としての地位を有していたものの、いずれの者も公開買付者の従業員の地位を有しなくなってから5年間以上が経過しており、かつ、本取引に関し、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、上記取締役会における審議及び決議に参加しております。また、上記取締役会には、当社の監査役3名全員が出席し、いずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
なお、当社の取締役のうち加藤勉氏は、公開買付者の従業員を兼務しており、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、利益相反の可能性を排除する観点から、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉には一切関与しておらず、上記取締役会における審議及び決議に参加しておりません。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月7日付で本株式価値算定書(山田コンサル)を取得いたしました。
山田コンサルは、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。本取引に係る山田コンサルに対する報酬には、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のほか、報酬の相当な部分は、本取引の公表及び本スクイーズアウト手続の完了を条件に支払われる取引報酬とされており、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案の上、上記の報酬体系が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断し、山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。また、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、本公開買付けに係る公正性が十分に担保されていると判断したことから、山田コンサルから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
山田コンサルは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を採用して、当社の株式価値を算定いたしました。
山田コンサルが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :4,531円から5,170円
DCF法 :6,461円から7,736円
市場株価法では、2025年8月7日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値5,170円、直近1ヶ月間の終値単純平均値4,876円、直近3ヶ月間の終値単純平均値4,768円、直近6ヶ月間の終値単純平均値4,531円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を4,531円から5,170円までと算定しております。
DCF法では、当社が現時点で合理的に予測可能な期間まで作成した2026年3月期から2029年3月期までの事業計画、当社の2026年3月期第1四半期における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第2四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を6,461円から7,736円までと算定しております。なお、割引率は加重平均資本コストを採用し、8.31%から9.31%として、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、外部環境等を総合的に勘案した上で永久成長率を0.00%から1.00%として、継続価値を5,694百万円~7,547百万円と算定しております。
山田コンサルがDCF法の算定の前提とした当社の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、山田コンサルがDCF法に用いた当社の事業計画には、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2027年3月期と比較して翌2028年3月期は大規模な設備投資を予定していないことから、2028年3月期の設備投資額の減少を見込んでいることに加え、2027年3月期から2028年3月期にかけて運転資本増加額が減少することから、フリー・キャッシュ・フローの増加を見込んでおります。
なお、本事業計画は、当社の将来の成長を考慮した上で、本取引の取引条件の妥当性を検討することを目的として、2024年5月に公表した本中期経営計画(当社)に準拠した上で、予定している基幹業務システムの受注開発等の大規模案件や、ネットワークインフラ構築、企業におけるサイバーリスクに対するコンサルティングから、対策システムの構築、運用、そして社員教育まで、包括的な支援を行うセキュリティビジネス、センシング事業の販売展開等により、対象期間を通じて見込んでいる売上の増加や、足元の事業環境を踏まえて作成したものであり、公開買付者又は加藤勉氏はその作成過程に一切関与しておりません。
また、本取引により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、当該事業計画には加味しておりません。
| (単位:百万円) | ||||
| 2026年 3月期 (9ヶ月) |
2027年 3月期 |
2028年 3月期 |
2029年 3月期 |
|
| 売上高 | 8,748 | 12,000 | 12,100 | 12,200 |
| 営業利益 | 792 | 960 | 962 | 964 |
| EBITDA | 1,117 | 1,428 | 1,430 | 1,432 |
| フリー・ キャッシュ・フロー |
68 | 514 | 708 | 708 |
山田コンサルは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。ただし、山田コンサルは、算定の基礎とした当社の事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、その作成経緯及び当社の現状を把握した上で、それらに不合理な点がないかという観点から、当社の事業計画の合理性を確認しております。また、山田コンサルの算定は、2025年8月7日までの上記情報を反映したものであります。
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関としてファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、みずほ証券のグループ企業である株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)は公開買付者及び当社に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を実施しており、また、みずほ証券のグループ企業であるみずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託銀行」といいます。)は、公開買付者に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を実施しておりますが、本公開買付けを含む本取引に関して、公開買付者及び当社との利益相反に係る重要な利害関係を有していないとのことです。みずほ証券によれば、みずほ証券は法第36条及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行及びみずほ信託銀行の貸付人の地位とは独立した立場で当社の株式価値の算定を行っているとのことです。公開買付者は、公開買付者とみずほ証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているため第三者算定機関としての独立性が確保されていること、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行との間において適切な弊害防止措置が講じられていること、みずほ証券は過去の同種事案の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、みずほ証券を公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として選定したとのことです。
みずほ証券は、当社の財務状況、当社株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が形成されていることから市場株価基準法を、当社と比較的類似する事業を営む上場会社が複数存在し、類似企業との比較により当社の株式価値を類推することが可能であることから類似企業比較法を、また、当社の将来の事業活動の状況を適切に株式価値に反映させるためDCF法を採用して当社の株式価値算定を行ったとのことです。
公開買付者は、みずほ証券から2025年8月7日付で当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(みずほ証券)」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」に記載の諸要素を総合的に考慮し、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、みずほ証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
本株式価値算定書(みずほ証券)において採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりとのことです。
市場株価基準法 : 4,531円から5,170円
類似企業比較法 : 5,834円から6,761円
DCF法 : 5,713円から8,827円
市場株価基準法では、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における算定基準日の終値5,170円、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値4,876円、同過去3ヶ月間の終値単純平均値4,768円及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値4,531円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を4,531円から5,170円と算定しているとのことです。
類似企業比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて当社の株式価値を算定し、当社株式1株当たり株式価値の範囲を5,834円から6,761円と算定しているとのことです。
DCF法では、当社から提供を受けた事業計画(2026年3月期から2029年3月期)を基礎とし、直近までの業績の動向、公開買付者が当社に対して2025年6月上旬から同年7月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を5,713円から8,827円と算定しているとのことです。なお、上記DCF法の算定の基礎となる当社の事業計画は、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2025年3月期と比較して2026年3月期は、2025年3月期から2026年3月期にかけて運転資本増加額が減少することを見込んでいることから、フリー・キャッシュ・フローの増加を見込んでいるとのことです。また、2027年3月期と比較して2028年3月期は大規模な設備投資を予定していないことから、2028年3月期の設備投資額の減少を見込んでいることに加え、2027年3月期から2028年3月期にかけて運転資本増加額が減少することを見込んでいることから、フリー・キャッシュ・フローの増加を見込んでいるとのことです。また、本取引の実行により実現されることが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映していないとのことです
公開買付者は、みずほ証券から取得した本株式価値算定書(みずほ証券)の算定結果に加え、当社に対して2025年6月上旬から同年7月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、当社株式の市場株価の動向、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果を踏まえ、最終的に本公開買付価格を6,850円とすることを決定したとのことです。
なお、本公開買付価格である6,850円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,170円に対して32.50%、2025年8月7日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値4,876円に対して40.48%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値4,768円に対して43.67%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値4,531円に対して51.18%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となっているとのことです。
また、本公開買付価格である6,850円は、本書提出日の前営業日である2025年8月8日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,250円に対して30.48%のプレミアムを加えた価格となっているとのことです。
みずほ証券は、当社の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報が、全て正確かつ完全なものであること、また本公開買付価格の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でみずほ証券に対して未開示の事実はないこと等を前提としてこれに依拠しており、独自にそれらの正確性の検証を行っていないとのことです。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点での得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成され、公開買付者の経営陣がその内容を精査した上でみずほ証券による価値算定において使用することを了承したことを前提としているとのことです。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。みずほ証券の算定は、2025年8月7日までの上記情報を反映したものであるとのことです。
公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けが成立したものの、公開買付者が当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、当社の株主を公開買付者のみとすることを目的として、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、当社の株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主の全員からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。この場合、公開買付者は、当該各売渡株主に対し、売渡株主がそれぞれ所有していた当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。
なお、当社は、公開買付者より株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会において株式売渡請求を承認する予定であります。
株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従って、売渡株主は裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
本公開買付けの成立後、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「株式併合」といいます。)を行うこと及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を、2025年11月中旬頃を目途に開催することを当社に対して要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになるとのことです。公開買付者は、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者が当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に対して要請する予定とのことです。なお、当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定であります。
株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対して、その所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。
上記の①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定とのことです。
以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従って、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があるとのことです。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を予定しておりますので、当該手続を実施した場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。
公開買付者及び当社は、本書提出日現在において、当社が公開買付者の連結子会社であるため、本公開買付けを含む本取引が、支配株主との重要な取引等に該当し、また、当社における本取引の検討において、公開買付者と当社の少数株主の間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当すること、更には、当社の取締役6名のうち、加藤勉氏が公開買付者の従業員であることに鑑み、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置として、それぞれ以下の措置を講じております。
なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本書提出日現在、当社株式972,000株(所有割合:65.70%)を所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定しておりませんが、公開買付者及び当社において以下の措置を講じていることから、公開買付者及び当社としては、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えております。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
公開買付者は、みずほ証券から2025年8月7日付で本株式価値算定書(みずほ証券)を取得しているとのことです。詳細については、上記「(3)算定に関する事項」の「② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月7日付で本株式価値算定書(山田コンサル)を取得いたしました。本株式価値算定書(山田コンサル)の概要については、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
なお、山田コンサルは、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。本取引に係る山田コンサルに対する報酬には、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のほか、報酬の相当な部分は、本取引の公表及び本スクイーズアウト手続の完了を条件に支払われる取引報酬とされており、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案の上、上記の報酬体系が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断し、山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。また、本特別委員会は、第1回の会合において、山田コンサルの独立性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認しております。
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、同事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程及び方法その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るアンダーソン・毛利・友常法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、第1回の会合において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の独立性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして承認しております。
当社は、本取引が支配株主との重要な取引等であり、当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、2025年5月26日開催の当社取締役会において、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、公開買付者及び当社並びに本取引の成否から独立した、当社の独立社外取締役である腰原貞利氏、独立社外取締役である阿部真弓氏(社会保険労務士)、独立社外監査役である高橋嘉明氏(公認会計士・税理士)の3名によって構成される本特別委員会を設置しました。上記の当社取締役会においては、当社の取締役6名のうち、加藤勉氏が公開買付者の従業員を兼務しており、本取引に関して構造的な利益相反状態にあるため、利益相反の可能性を排除する観点から、加藤勉氏を除く5名の取締役において審議の上、全員一致により上記の決議を行っております。なお、当社の取締役のうち渡邊泰博氏及び大久保光敏氏は、過去に公開買付者の従業員としての地位を有していたものの、いずれの者も当社のみに在籍してから5年間以上が経過しており、また、本取引に関し、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、上記取締役会における審議及び決議に参加しております。また、上記の取締役会には当社の監査役3名全員が出席し、出席した監査役の全員が上記決議につき異議はない旨の意見を述べております。
当社は、当初から上記3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の委員の互選により、当社の社外取締役兼独立役員である腰原貞利氏が本特別委員会の委員長に就任しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず特別委員会の開催回数に応じて算出される金額を支払うものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、本諮問事項について諮問し、これらの点についての答申書を当社取締役会に提出することを委嘱しました。
また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本取引に関する当社取締役会の意思決定は、本諮問事項に基づく本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすることを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ア)当社が選任したアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)を承認する権限、(イ)当社が選任したアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)に専門的助言を求める権限、(ウ)当社の取締役、従業員その他特別委員会が必要と認める者に特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限、(エ)合理的に必要な範囲で、当社の費用負担において、特別委員会独自のアドバイザー(ファイナンシャル・アドバイザー、リーガル・アドバイザーその他のアドバイザー)及び第三者評価機関を選任し、当社の株式価値評価及び本取引に係るフェアネス・オピニオンの提供その他特別委員会が必要と判断する事項を委託する権限、(オ)本取引の取引条件等に関する当社による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて自ら直接交渉を行う権限を付与することを決議いたしました。
なお、本特別委員会は、本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザー又はリーガル・アドバイザーは選任しておりません。
本特別委員会は、2025年6月10日から2025年8月7日までに、会合を合計11回、約15時間開催したほか、会合外においても電子メール等を通じて、意見表明や情報交換、情報収集等を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。
具体的には、まず、2025年6月10日に開催された第1回の会合において、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関並びにリーガル・アドバイザーについて、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、その選任を承認しております。なお、本特別委員会は、必要に応じて当社のアドバイザー等から専門的助言を得ることとし、本特別委員会として独自にアドバイザー等を選任しないことを確認しております。また、同会合において、公開買付者との交渉については、原則として当社及びそのアドバイザーが行うこととしつつも、本特別委員会は、交渉担当者から適時に状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により交渉過程に実質的に関与する旨の方針を確認するとともに、本特別委員会は、答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社の役員、従業員及びアドバイザー等に対して求める権限を有することを確認しております。
その後、本特別委員会は、当社から、当社グループの事業環境、現在の経営課題、山田コンサルによる当社株式の株式価値算定の前提とした事業計画の内容、前提及び作成経緯、公開買付者の提案内容等に関する事項等に関する説明を受け、質疑応答を行い、その合理性を検証いたしました。
また、公開買付者から、本取引の目的・背景、本取引の条件、本取引の実行後の当社の経営方針に関する事項等について説明を受け、質疑応答を行いました。さらに、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました(なお、山田コンサルは、DCF法の算定の基礎とした当社の事業計画について、複数回に亘って当社と質疑応答を行い、その内容を分析及び検討しており、また、本特別委員会は、その内容及び作成経緯等について、公開買付者及び加藤勉氏がその策定に関与していない等、当社の少数株主の利益に照らして不合理な点がないことを確認しております。)。また、当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所から、本特別委員会の意義・役割等を含む本取引の手続面における公正性を担保するための措置、並びに本取引に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益相反を回避するための措置の内容について助言を受けました。そして、本特別委員会は、当社から、当社と公開買付者との間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、本公開買付価格につき、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり交渉が行われ、公開買付者から本公開買付価格を6,850円とする旨の提案を受けるに至るまで、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請すべき旨を当社に複数回意見する等して、公開買付者との交渉過程に実質的に関与いたしました。
本特別委員会は、以上の経緯の下、本諮問事項について慎重に審議及び検討を重ねた結果、2025年8月7日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
ア 答申内容
(ア)本取引は当社の企業価値の向上に資するものであって、その目的は合理性を有すると認められる。
(イ)本取引の条件の公正性及び妥当性(本取引の実施方法及び本公開買付価格を含む。)は確保されていると認められる。
(ウ)本取引の手続において類似案件と同水準の公正性担保措置が講じられており、その公正性が担保されていると認められる。
(エ)上記(ア)から(ウ)を踏まえ、本取引を行うことが当社の少数株主(一般株主)にとって公正であると考えられる。
(オ)本公開買付けについて当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは適切であると認められる。
イ 答申理由
A 当委員会における検討の方針
(a) 本取引における利益相反性・情報の非対称性
本取引は、公開買付者(当社の親会社であり、当社の支配株主に当たる。)が当社の株主を公開買付者のみとすることを目的として行う取引であり、その結果として当社株式が上場廃止となることが見込まれる取引である。
そのため、本取引のうち本公開買付けは、公開買付者が支配株主である公開買付けに該当し、本取引のうち本スクイーズアウト手続は、支配株主が関連する株式併合又は株式売渡請求の承認に該当する。そのため、本取引は、一般株主にとって公正なものであることに関し、特別委員会による意見書の入手を行うことが必要となる取引(東京証券取引所有価証券上場規程第441条第1項柱書)に該当する。本取引は、公開買付者と当社との間で行われるものであるが、公開買付者は、2025年6月30日現在、当社株式972,000株(所有割合:65.70%)を所有しており、本取引のうち本公開買付けは、支配株主による公開買付けに該当する。
そこで、当社の少数株主への影響に配慮し、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するため、その是非や取引条件の妥当性、手続の公正性等について検討及び判断を行う任意の合議体として当委員会は設置されたものである。
また、本取引のうち本スクイーズアウト手続についても、当社の支配株主である公開買付者(又は公開買付者の意向を受けた当社)が実施するものであるから、「支配株主との重要な取引等」に該当し、支配株主と少数株主との間で利益相反関係が生じ得ることになる。
(b) 本取引の検討において参照すべきM&Aに関する規律
M&A指針は、MBO及び支配株主による従属会社の買収を中心に、主として手続面から、我が国の企業社会における公正なM&Aの在り方を提示するものである(M&A指針1.2及び1.3)。M&A指針は、法令ではないものの、前身の「MBO指針」(2007年9月4日に経済産業省が公表した「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」)をもとに、有識者により構成された経済産業省主催の研究会における研究を経て取りまとめられた指針である(M&A指針1.4)。そして、M&A指針の前身のMBO指針がMBOの公正性の判断に当たって裁判例でも多く言及されていることからすると、M&A指針は、本答申書作成時点の我が国において、利益相反の問題が生じ得るM&Aの公正性全般に関して示された公的見解として信頼に足るものと考えられる。
以上から、(a)のとおり支配株主による従属会社の買収に該当する本取引の公正性についても、M&A指針が求める下記の2つの原則(M&A指針2.3)が充足されているか否かの観点から検証すべきものと考えられる。
ⓐ 企業価値の向上(望ましいM&Aか否かは、企業価値を向上させるか否かを基準に判断されるべき)
ⓑ 公正な手続を通じた少数株主利益の確保(公正な手続を通じてM&Aが行われることにより、少数株主が享受すべき利益が確保されるべき)
また、ⓑの充足が認められるか否かを判断するに当たっては、M&A指針において挙げられている基本的な視点、すなわち、(i)取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況の確保及び(ii)少数株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点(M&A指針2.4)からの検討を行うことが有益である。
なお、ⓑを具体的に検討するに当たっては、M&A指針が公正性担保措置として取り上げる措置(M&A指針第3章)の本取引における採用及び運用の状況を検討した上で、本取引の状況に応じた適切な措置が選択されているか否かを検討する方法が有効である。その際には、M&A指針も指摘するように(M&A指針3.1.2)、M&A指針で取り上げられている措置を全て採用する必要があるわけではなく、本取引の実情に応じた公正性担保措置が採用され、適切に運用されているかを確認することが重要である。
なお、2025年7月7日付で東京証券取引所が「MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」及び『MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正等に伴う「会社情報適時開示ガイドブック」の改訂について』を公表し、有価証券上場規程等の改正(以下「本上場規程等改正」という。)が2025年7月22日をもって施行されている。本取引は、本上場規程等改正の施行日後に決定する支配株主による公開買付けであるため、有価証券上場規程第441条に規定される「MBO等に係る遵守事項」が適用され、本上場規程等改正の適用を受けるものである。
(c) 本取引における諮問事項の整理と検討方法
以上を踏まえて本取引の諮問事項を整理すると、諮問事項(ア)は本取引が企業価値の向上(上記ⓐ)の要請を充たしているかの検討を依頼するものである。
また、諮問事項(イ)は、本取引において条件の公正性及び妥当性が確保されているか否かの検討を依頼するものである。加えて、諮問事項(ウ)は本取引において公正な手続を通じた少数株主利益の確保(上記ⓑ)がなされているか否かの検討を依頼するものである。
また、諮問事項(エ)及び諮問事項(オ)は、これら諮問事項(ア)から諮問事項(ウ)を総合して、本取引全体の公正性及び当社取締役会としての本公開買付けに対する意見のあり方を確認する趣旨の諮問事項であると考えられる。
そこで、以下では、諮問事項(ア)を下記Bにおいて、諮問事項(イ)を下記Cにおいて、諮問事項(ウ)を下記Dにおいてそれぞれ検討した上で、最後にこれらを踏まえて諮問事項(エ)について下記Eで、また諮問事項(オ)について下記Fで検討する。
B 企業価値の向上・目的の合理性(諮問事項(ア)関係)
諮問事項(ア)は、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであって、その目的は合理性を有すると認められるか否かを問うものである。
当社における事業環境及び経営課題の認識等、並びに本取引によるシナジーその他の影響を踏まえ、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるか、また、その目的が合理性を有するものであるかを検討する。
(a) 当社における現状認識
(a)-1 当社の概要及び事業内容
当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、当社の概要及び事業内容は、以下のとおりである。
・ 当社は、1980年8月に公開買付者の前身である秩父セメント株式会社のシステム部が分離独立してシステム綜合開発株式会社として設立され、電子計算機を使用した基幹業務(販売・生産・会計等)システムの開発及び販売、電子計算機を使用したシステムの各種情報処理並びに受託処理通信設備機器及びその関連システムの運営を開始した後、1999年10月に、公開買付者の子会社で電子計算機を使用した基幹業務(販売・生産・会計等)システムの開発及び販売、電子計算機を使用したシステムの各種情報処理並びに受託処理、電子計算機及びその周辺機器の販売等を営んでいた株式会社アイシスと合併し、商号をパシフィックシステム株式会社に変更している。創業以来、豊かで高度な情報社会を実現するため、確かな情報通信技術に基づく最適なソリューションとサービスをお客様に提供すると共に、環境への配慮、社会への貢献とも調和した事業活動を行うことに注力している。
・ 2025年3月31日現在、当社グループは、当社及び子会社1社で構成されており、当社において主に製造業、流通業、金融業等向けに情報サービス事業を、当社の子会社である株式会社システムベースにおいて、岩手県内の企業及び自治体向けに当社と連携した電子計算機を使用した基幹業務(販売・生産・会計等)システムの開発及び販売、電子計算機を使用したシステムの各種情報処理並びに受託処理、電子計算機及びその周辺機器のリース・レンタル及び販売、労働者派遣事業等の情報サービス事業を行っている。
・ 当社グループは、「機器等販売」「ソフトウェア開発」「システム販売」「システム運用・管理等」の4つのセグメントで事業を行っている。
(a)-2 当社グループを取り巻く事業環境及び経営課題の認識
当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、当社は、当社における事業環境及び経営課題について、以下のとおり認識している。
・ 当社グループは、国内経済は引き続き緩やかな回復傾向にあるものの、アメリカの政策動向や金融資本市場の変動に加え、長引く物価上昇や人手不足の影響等、依然として不透明な状況が続いていると認識している。そのような中でも、当社グループとしては、各企業におけるDX推進の流れは継続し、AI・IoT技術等のICT(情報通信技術)の役割は従来以上に重要性を増し、情報化投資意欲の高まりは継続していくものと考えている。また、日進月歩で新たな技術やサービスが生まれており、その変化へ臨機応変に対応していくことが重要であると考えている。
・ そのような事業環境の中、当社グループは、これまでの事業の経過及び経営環境を踏まえ、2024年5月27日に、今後の10年における戦略として、PACIFIC SYSTEMS VISION 2032(長期ビジョン)「One step Forward, One step Beyond.」(以下「長期ビジョン(当社)」といいます。)を策定し、長期ビジョン(当社)の具体化に向け、2024年度から2026年度を、創出を目指す3年として本中期経営計画(当社)。)を策定した。また、研究開発投資を最重点施策として、研究開発費を拡大し、AI、センシング、オリジナルパッケージ、新商品・新技術への投資を行っている。
(a)-3 当社における認識の評価
以上のような当社による事業環境及び経営課題の認識については、矛盾した点や明らかに客観的事実に反している点はない。
したがって、上記事業環境及び経営課題の解決に寄与する方策(M&Aを含むがこれに限られない。)を講じることは、個別に当該方策に係るリスクや当該方策に伴うデメリットを勘案する必要はあるものの、一般論としては当社の企業価値の向上に資するものであると考えることができる。
(b) 本取引により想定されるシナジー
(b)-1 公開買付者が想定するシナジー
公開買付届出書及び本ヒアリング等によれば、公開買付者が想定する本取引のシナジーは、以下のとおりである。
(i)公開買付者グループのサプライチェーン全体及び各業務プロセスで抱える課題解決等に向けた、当社グループが保有するデジタル技術の融合による、当社グループを含む公開買付者グループ全体としてのDX戦略の推進
公開買付者グループは、労働供給制約社会の到来に備え、供給責任を果たすためにはサプライチェーン全体にわたる効率性向上と省力化を進めることが重要と考えており、本中期経営計画(公開買付者)において、その解決に向けた「DX戦略」を成長戦略の中核に位置付けているとのことである。その実現に向け、例えば、センシングや画像処理技術のような当社グループの保有するデジタル技術について、これまでは連結子会社の資本関係であったため人材交流に一定の制約があり、そのため公開買付者グループの事業への活用の検討が十分に進んでいなかったところ、本取引を通じて、より人材交流を活発化させ、公開買付者グループが当社グループとの事業上の連携をより一層強化することで、それらの技術を最大限に活用することが可能となることから、公開買付者グループが中心的な取組みとして掲げている、工場におけるオペレーションの進化、自動化・省力化といった生産プロセスイノベーション(スマートファクトリー)や、AIによるセメントタンカー配船、輸送トラックの自動配車といった管理業務効率化(スマートオフィス)を積極的に推進し、公開買付者グループとして持続可能な成長と競争力の強化が実現できるものと考えているとのことである。
(ii)当社グループにおける公開買付者グループのリソース活用・短期的な利益に囚われない中長期的な目線での投資促進
当社グループは、長期ビジョン(当社)及び本中期経営計画(当社)(当社が、これまでの事業の経過及び経営環境を踏まえて今後の10年間における戦略として、2024年5月27日に公表した、PACIFIC SYSTEMS VISION 2032(長期ビジョン)「One step Forward, One step Beyond.」の具体化に向け、2024年度から2026年度を、「創出」を目指す3年間として策定した「26中期経営計画」をいう。)において、研究開発投資を最重点施策として位置付け、AI、センシング、オリジナルパッケージ、新商品・新技術への投資を行っていくことを掲げているところ、公開買付者は、研究開発投資は一定の費用支出が先行することから、短期的には必ずしも少数株主の利益とはならない可能性もあり、上場会社である当社は、中長期的な目線での投資実行には一定の制約があるものと認識しているとのことである。また、公開買付者グループとしても、公開買付者グループ全体の最適化を目的に資金供給やリソースを集中投下しても、それが必ずしも当社の少数株主が望む短期的な利益に繋がらず、少数株主の皆様と公開買付者との間で利益相反を生じさせるおそれが否定できないことから、公開買付者は当社の少数株主との間に潜在的な利益相反構造があり、当社グループに対する臨機応変な資金供給や、事業リソースの集中投下が困難であったものと認識しているとのことである。公開買付者は、当社を完全子会社化することにより、当社に対する経営資源の最適配分が可能となることに加え、当社グループは短期的な利益に囚われず、中長期的な目線で必要な投資を実行していくことが可能になるものと考えているとのことである。
(iii)公開買付者グループ及び当社グループ間のコーポレート機能の効率化による生産性の向上
公開買付者は、当社を完全子会社化することで、当社グループとの間で重複するコーポレート機能(財務、経営企画、人事、総務、広報等)の共通化を推進することが可能になることから、管理業務の効率化による生産性の向上と、当社を含めた公開買付者グループ全体における管理コストの最適化を実現することが可能になるものと考えているとのことである。
(iv)当社における上場維持コストの負担軽減
公開買付者は、本取引の実行により、当社株式が上場廃止となることで、当社が決算短信や有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に関する費用といった上場維持にかかるコストを削減し、また、上場を維持するための体制構築に投下していた経営資源を事業に投入することが可能になることから、企業価値を向上させることが可能になると考えているとのことである。
(b)-2 当社が想定するシナジー
当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、当社が想定する本取引のシナジーは、以下のとおりである(いずれも公開買付者が想定する本取引のシナジーと同様である。)。
(i)当社グループを含む公開買付者グループ全体としてのDX戦略の推進と当社グループの企業価値の向上
当社グループが保有するデジタル技術と公開買付者グループが保有する技術・ノウハウを融合させることにより、当社グループを含めた公開買付者グループ全体及び各業務プロセスが抱える課題の解決に向けて、DX戦略の推進を強力に進めることができ、当社もその推進の一手を担うことが可能であると考えている。当社グループとしても、公開買付者グループのサプライチェーン全体、公開買付者グループを取り巻く業界に向けた販路拡大や技術経験の積上げによって、更なる成長と、企業価値の向上が期待できるものと考えている。
(ii)当社グループにおける公開買付者グループのリソース活用・短期的な利益に囚われない中長期的な視点での投資促進
当社グループは、公開買付者の完全子会社となることにより、公開買付者グループのリソース(人的・物的・財務的・情報・ブランド等)を今まで以上に、広く深く活用することが期待でき、それらのリソースの活用によって、当社は、当社の同業他社と比べて、圧倒的な競争優位を確立することができるものと考えている。具体的には、顧客のニーズに対応するための技術開発投資や、人的資本に対する投資、広報・マーケティングに対する投資等を含む臨機応変な資金供給や、公開買付者グループの各部門のノウハウを持った人材と情報システムを適用する現場(公開買付者グループが持つ工場、鉱山、研究所等)といったリソースを活用し、技術力及び現場適用力が得られるという点で競争優位性を獲得できると考えている。また、当社は、長期ビジョン(当社)及び本中期経営計画(当社)において、AIやセンシング技術、オリジナルパッケージ、新商品・新技術への研究開発投資を最重要施策としているが、上場会社である当社は、短期的な収益やキャッシュ・フローを優先せざるを得ない場合もあり、このような研究開発が停滞することも考えられる。当社が、公開買付者の完全子会社となることで、当社グループは短期的な利益に捉われず、中長期的な視点で企業価値の向上に必要となる研究開発や投資を推進しやすい経営環境が実現できるものと考えている。
(iii)公開買付者グループ及び当社グループ間のコーポレート機能の効率化による生産性の向上
近年、採用競争の激化による優れた専門人材の継続的な確保に伴う人材採用コストの増加及び人材定着・従業員満足度の向上のための管理・教育コストの負担の増加、そして安全衛生・健康経営対応等、会社の抱える人的・金銭的コストはますます増えており、当社グループのみで会社管理の質を維持・向上させながら、増加する管理コストを負担することは容易ではなくなっている。当社は、本取引の実行により、当社グループと公開買付者グループの間で重複しているコーポレート機能を共通化することで、管理業務の効率化による生産性の向上と、当社グループ全体の管理コストの最適化を実現することができると考えている。
(iv)当社における上場維持コストの負担軽減
当社において当社株式の上場維持のために必要な人的・経済的コストは年々増加しており、今後も、かかるコストが当社の経営上のさらなる負担となる可能性も否定できないと認識している。具体的には、決算短信や有価証券報告書等の継続的な情報開示、金融商品取引法監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に関する費用と、それらの対応にかかる人員配置が挙げられ、本取引の結果、当社株式が上場廃止となることで、これらの当社株式の上場の維持のために必要であったコストを削減することが可能となる。また、上記のようなこれまで上場維持のために投下していた経営資源を事業活動に振り向けることで、より一層の企業価値の向上が実現できるものと考えている。
(b)-3 想定されるシナジーの合理性並びに公開買付者と当社が想定するシナジーの比較
上記の想定されるシナジーの内容は、相互に矛盾する点や明らかに客観的事実に反している点は見当たらず、合理的なものであると考えられる。
また、公開買付者と当社が想定するシナジーは一致しており、相互に矛盾又は齟齬はない。
(b)-4 他の手法との比較
公開買付届出書及び本ヒアリング等によれば、公開買付者と当社との間の現状の資本関係では、(ⅰ)当社が上場会社であり、かつ、公開買付者が当社の支配株主に該当するため、例えば、短期的な利益の追求には繋がらないような中長期的な企業成長を目的とした研究開発を優先すべき局面における公開買付者と当社の間の直接取引及び事業調整は、公開買付者と当社の少数株主の利益相反が顕在化し得る局面であって、当社は公開買付者グループの一員でありながら、公開買付者グループの全体最適に資する事業運営と当社の少数株主の利益に資する事業運営を両立しなければならない立場にあること、また、(ⅱ)公開買付者としても、当社の資本構成上、当社が創出す価値・利益の一部が公開買付者以外の株主に帰属することから、公開買付者が今以上に当社に経営資源やノウハウを提供することの妥当性を公開買付者の株主から指摘される可能性もあり、公開買付者と当社がそれぞれの経営資源やノウハウを最大限活用して事業運営を行うことができずにいることから、2025年1月下旬に、公開買付者は、資本関係の見直しが必要であると考えるに至ったとの説明がなされている。
このような状況の下、公開買付者は、2025年1月下旬、当社グループを含む公開買付者グループのより一層の企業価値の向上を実現するためには、公開買付者が当社を完全子会社化することで両社の連携を更に深化させ、両社の経営資源を集中させることが必要であると考えたとのことである。
本ヒアリングによれば、公開買付者は2024年9月30日時点で当社の発行済株式総数の65.68%を保有していることから、公開買付けを前置せずとも、当社株式について、株式併合によるスクイーズアウト等を株主総会に提案した場合において、特別決議が可決される蓋然性は一定存在するものと認識しているものの、他方で、完全子会社化を目的とする取引の一環としての公開買付けにおいては、対象となる株式の議決権保有割合の3分の2以上の取得をすることが一般的であり、かつ、公開買付け手続を経た上での二段階買収という手続を採り、公開買付届出書の提出及び縦覧や、当社による公開買付けに対する意見表明を踏まえた、当社の株主による公開買付けへの応募といった過程を経ることにより、公開買付けを前置しない株式併合や株式を対価とする株式交換といった手法よりも、当社株主の皆様の意思を尊重し、より透明性の高い形で完全子会社化をご提案することが可能であると考えているとのことである。
以上の点に鑑みると、他の手法によらず、本取引による経営課題の解決を目指すという判断は、合理的なものと考えられる。
(b)-5 本取引による他の影響
当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、本取引を通じて当社株式が上場廃止となった場合、上場廃止に伴うデメリットとして、一般的には、取引先を含む外部からの社会的信用の獲得、知名度の維持及び知名度を活かした人材の採用、並びに、資本市場からの資金調達といった、上場会社としてのメリットを享受できなくなる可能性があるものと考えられる。しかしながら、当社におけるこれまでの事業運営により積み重ねられてきた社会的信用や知名度は、上場廃止により失われるものではなく、むしろ東京証券取引所プライム市場に上場している公開買付者の完全子会社となることで、今まで以上に、公開買付者グループの信用力・ブランド力をより活かした取引関係の構築・人材採用が可能になると考えており、また、当社において資金調達を要する場合には、公開買付者を介しての株式市場からの資金調達、あるいは、公開買付者グループ全体での間接金融での資金調達を行うことが可能であるため、公開買付者グループが有する社会的信用力や資金調達力等を総合的に考慮すれば、当社が公開買付者の完全子会社となること及び当社株式が上場廃止となることに伴うデメリットは限定的であると当社は考えている。また、既に公開買付者と当社には親子会社関係があり、実質的にこれまでの事業運営体制と変わりがないことから、公開買付者としては、当社株式の上場廃止に伴うデメリットとは別に、当社が公開買付者の完全子会社となることによるデメリットも特段ないと考えているとのことである。
以上の点に鑑みると、本取引による当社の企業価値向上に対する重大な支障となる事情として認められるものも見受けられない。
(c) 小括
以上の事実を前提にすれば、本取引により想定されるシナジーは合理的なものということができ、公開買付者の想定と当社の想定との間に矛盾・齟齬もなく、本取引の実行は、当社が認識する経営課題の解決に資することが認められる。
また、上場を維持したままでの大胆な事業変革や、他の提携先とのM&Aによる非上場化、株式併合や株式交換等のほかの手法によるのではなく、本取引によるべき理由として説明された内容も合理的なものであると認められ、本取引によることも相当であると考えられる。加えて、本取引による当社の企業価値向上に対する重大な支障となる事情として認められるものも見受けられない。
したがって、本取引は企業価値の向上に資するものであって、その目的は合理性を有すると認められる。
C 取引条件の公正性・妥当性(諮問事項(イ)関係)
諮問事項(イ)は、本公開買付けを含む本取引の条件(本取引の実施方法及び本公開買付価格を含む。)の公正性及び妥当性が確保されているか否かを問うものである。
M&Aにおける条件の妥当性を検討するに当たっては、ⓐ買付者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ少数株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保すること、ⓑ取引条件の妥当性の判断の重要な基礎となる株式価値算定の内容と、その前提とされた財務予測や前提条件等の合理性を確認すること、ⓒ買収対価の水準だけでなく、買収の方法や買収対価の種類等の妥当性についても検討することが重要とされている(M&A指針3.2.2)。
また、M&A指針は、上記ⓑの具体的内容として、専門性を有する独立した第三者算定機関による株式価値算定結果に加えて、算定の前提とされた本事業計画の位置付けやその実現可能性、用いられた算定方法の特性、同種のM&Aにおいて一般に付与されるプレミアムの水準、当該M&Aを行わなくても実現可能な価値、想定される当該M&Aによる企業価値増加効果を検討することが望ましいとしている(M&A指針3.3.2.1B)。同様に、M&A指針は、上記ⓒの具体的内容として、代替取引の有無や内容の検討を行うことが望ましいとしている(M&A指針3.3.2.1B)。
そこで、当委員会としても、M&A指針の指摘事項を踏まえ、上記ⓐⓑⓒの確認・検討を通じて、本取引における条件の公正性・妥当性の検討を行った。
(a) 交渉状況の確保
まず、本取引において、上記ⓐの「少数株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況の確保」が認められる前提として、これらを推認させる要素である手続の公正性が認められることは、下記Dで諮問事項(ウ)の検討を通じて当委員会が確認するとおりである。
その上で、実際の交渉状況についてみると、公開買付者による当初の提示額(1株当たり5,800円)を出発点として、当社が、山田コンサルから取得した暫定的な株式価値算定結果及び当委員会における審議・検討に基づく当委員会からの買付価格の引き上げ要請を踏まえ、山田コンサルの助言を受けながら公開買付者と交渉を重ねた結果、公開買付者から、4度にわたり買付価格を引き上げる提案を引き出した上、最終的に本公開買付価格(1株当たり6,850円)での合意に至った。なお、かかる一連の交渉においては、その進行過程において、山田コンサルから、委員会の場で又は電子メールにて適時に当委員会に対して共有及び説明がなされ、随時当委員会による方針の確認及び当委員会の意見の聴取を得ながら、当委員会の実質的な関与の下に当社によって交渉が行われた。その結果、最終的な本公開買付価格は、当初に公開買付者が提示した価格から相応の上積みがされており、当社として、少数株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指して交渉がされたことが経緯として認められる。
以上からすれば、本取引における本公開買付価格の合意は、当社と公開買付者との間において、実質的にも独立当事者間に相当する客観的かつ整合性のある議論を踏まえた交渉の結果なされたものであることが認められ、他方、合意プロセスの透明性や公正性を疑わせるような事情は見当たらない。
(b) 株式価値算定と本公開買付価格の関係
(b)-1 事業計画の合理性
本公開買付価格の公正性・妥当性の検討に当たっては、山田コンサルによる株式価値の算定結果が中心的な資料となるが、これは本事業計画を基礎資料としていることから、前提とされている本事業計画が信用するに足りるかどうかが問題となる。特に、本事業計画は、本取引が実施される可能性が具体的に認識された後に完成されたものであるため、本取引の成否に影響を与える目的による恣意が介在しやすいという点に留意が必要である。
当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、本事業計画は、2025年3月期から2029年3月期までの当社の財務予測として、本取引の実施を前提としないスタンドアローン・ベースで作成されている。本ヒアリング等によれば、公開買付者又はそれらの関係者がその作成に関与し、又は影響を及ぼした事実は窺われない。また、当社は、公開買付者との交渉において、本事業計画について公開買付者に対して一定の説明を行っているが、公開買付者の指示により、又はその意を汲んで、策定又は修正が行われたという事実も窺われない。なお、本事業計画において大幅なフリー・キャッシュ・フローの増加を見込んでいる事業年度があるが、第10回委員会にて、その見込みの合理性については特段の問題がないことを確認した。
以上からすれば、本事業計画については、その策定プロセスに、公開買付者の圧力が介在した事実は認められず、また、その内容において不合理な予測となっている点は認められない。
(b)-2 算定方法及び算定根拠の合理性
当委員会は、第5回委員会から第11回委員会にかけて、山田コンサルから、当社株式の株式価値の算定結果、算定方法及び算定結果に関する考察過程等について詳細な説明を受けた。
まず、山田コンサルが採用した評価手法は、継続企業を前提とした企業価値評価手法であり、具体的には、市場株価法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」という。)を採用している。市場株価を基準にして、将来キャッシュ・フローの現在価値を評価に織り込むDCF法にて評価上限を把握する評価手法の組み合わせは、企業評価の標準的アプローチに沿ったもので妥当であると認められる。
山田コンサルが採用した評価手法のうち、市場株価法は、本取引の公表日の前営業日を基準日とし、基準日の終値並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間のそれぞれの終値の単純平均値を基に株価を算出している。当社の株価推移については、特別な要因によると思われる重要な変動は存在せず、特段異常な動きはないことからみても、山田コンサルの算定における株価評価期間は適切であり、市場株価法による価格レンジは十分合理的なものであると判断される。
次にDCF法は、各算出要素において恣意的な数値の操作や不合理な前提条件の設定がなされた場合には、最終的な算定結果が大きく変動する可能性がある。かかる観点から、本ヒアリング等において、山田コンサルに対してその算定過程についての質問・確認を行ったが、DCF法で採用した各種算出根拠について、特段指摘すべき恣意的な数値の操作や不合理な前提条件の設定は見受けられなかった。
以上のとおり、市場株価法及びDCF法の選択、並びにそれぞれの算定方法及び算定根拠について、いずれも不合理な点は見当たらず、当委員会は、当社株式の株式価値の検討に当たり、山田コンサルが作成した本株式価値算定書(山田コンサル)に依拠することができるものと評価した。
(b)-3 株式価値算定の結果
山田コンサルが作成した本株式価値算定書(山田コンサル)によれば、各算定方法による当社株式の株式価値は以下の表1のとおりである。
<表1 山田コンサルによる当社株式の株式価値>
| 算定方法 | 基準日 | 1株当たり株式価値 |
| 市場株価法 | 2025年8月7日 | 4,531円~5,170円 |
| DCF法 | 2025年8月4日 | 6,461円〜7,736円 |
本公開買付価格である1株当たり6,850円は、(i)市場株価法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの上限を上回り、かつ、(ii)DCF法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの範囲内の価格であると認められる。
以上から、本公開買付価格は、山田コンサルにより算定された当社株式の株式価値との比較の観点からしても、少数株主(一般株主)にとって公正である水準に達していると考えられる。
(b)-4 本公開買付価格の位置付け
本ヒアリング等における山田コンサルの説明によれば、本公開買付価格は、2025年8月7日(以下「直前営業日」という。)までの東京証券取引所における当社株式の終値に対して、以下の表2に示すプレミアムを加えた金額であるとともに、当社の上場来最高値である5,190円(2025年8月1日のザラ場)を上回る価格である。
なお、本ヒアリング等における山田コンサルの説明によれば、本取引と同様に非公開化を目的とした親会社による完全子会社化の事例(M&A指針が公表された2019年6月28日から、2025年7月14日までの間に公表された事例77件)におけるプレミアム水準(公表日の前営業日における終値に対して39.22%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.04%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.70%及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して39.87%)との比較において、公表日の前営業日の終値及び同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を下回っているものの、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を上回っている。但し、公開買付け全般について、株価に対していくらのプレミアムが適正であるかについて一義的・客観的な基準を設けることはできない(M&A指針2.2.2)。
<表2 本公開買付価格のプレミアム>
| 参照値 | 株価 | プレミアム |
| 公表日の前営業日における終値 | 5,170円 | 32.50% |
| 直近1ヶ月間の終値単純平均値 | 4,876円 | 40.48% |
| 直近3ヶ月間の終値単純平均値 | 4,768円 | 43.67% |
| 直近6ヶ月間の終値単純平均値 | 4,531円 | 51.18% |
(b)-5 小括
本公開買付価格は、上記のとおり山田コンサルによる株式価値算定において、市場株価法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの上限を上回っていること、DCF法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの範囲内の価格である。また、本公開買付価格は、当社の上場来最高値(終値であるか市場の売買の時間中であるかを問わない。)を上回る価格であり、市場で当社の株式を取得した当社の株主の全てが本公開買付価格を下回る金額で当社株式を取得したことを意味するから、本公開買付価格は全ての当社の少数株主に対して利益をもたらす水準であるといえる。したがって、本公開買付価格の水準は、不合理とはいえない。
なお、本事業計画及びそれを基にした本株式価値算定書(山田コンサル)は、スタンドアローン・ベースで作成されているものである。もっとも、本公開買付価格は、当社の上場来最高値(終値であるか市場の売買の時間中であるかを問わない。)を上回る価格であることを踏まえれば、本取引においては、M&A指針における①M&Aを行わなくても実現可能な価値の全てと、②M&Aを行わなければ実現できない価値のしかるべき部分を少数株主が享受すべきである旨の指摘(M&A指針2.2.1)への配慮もなされていると認められる。
以上のような諸事情を勘案すれば、本公開買付価格は、当社株式の株式価値が適正に反映されたものと考えることができ、その価格の妥当性が否定される水準ではないと評価できるものと考えられる。
(c) スキーム等の妥当性
本取引においては、一段階目に公開買付けを行い、二段階目に株式売渡請求又は株式併合を行うという手法が想定され、株式交換等の組織再編によることは想定されていない。本取引の手法は、この種の非公開化取引においては一般的に採用されている方法であり、かつ、二段階目のいずれの手続においても、裁判所に対する売渡価格の決定の申立て又は株式買取請求後の価格決定の申立てが可能である。
また、本取引の方法は、株主が受領する対価が現金であることから、対価の分かり易さ、並びにその価値の安定性及び客観性が高いという点で望ましく、当社の完全子会社化を迅速に行うという要請と、少数株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会と時間の確保を両立させることができるという観点でも、特に株式等を対価とする株式交換等の組織再編よりも望ましいと考えられる。公開買付届出書によれば、株式売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除く。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかにしている。
さらに、本公開買付けにおいては買付予定数の上限が設定されておらず、強圧性の問題も小さいと認められる。
以上より、買収の方法として公開買付けを伴う二段階買収の方法を採用し、買収対価を現金とすることには、合理性が認められる(M&A指針3.2.2)。
(d) 小括
上記(a)から(c)までにおいて述べたとおり、本取引の交渉状況やスキーム等の公正性・妥当性を前提に、本公開買付価格については、その公正性・妥当性が認められる。また、本取引においては、少数株主が本公開買付け又は本スクイーズアウト手続のいずれによって対価を得たとしても、当社株式1株当たり本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることから、本公開買付けを含む本取引の条件の公正性・妥当性は確保されていると認められる。
D 手続の公正性(諮問事項(ウ)関係)
次に、本取引に係る手続の公正性の確保が認められるか否かを、M&A指針で挙げられている公正性担保措置の採用及び運用の状況を確認することを通じて検討する。
(a) 特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当委員会は、当社より、本諮問事項についての諮問を受けており、本諮問事項の検討に当たって、M&A指針で特別委員会が果たすべきとされる役割(具体的には、ⓐ当社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、M&Aの是非について検討・判断するとともに、ⓑ少数株主の利益を図る観点から、(i)取引条件の妥当性及び(ii)手続の公正性について検討・判断すること)を実施している(M&A指針3.2.2)。
このほか、当委員会については、以下の点への配慮があることから、公正性担保措置として有効に機能していると認められる。
・ 2025年5月19日に公開買付者から本提案書を受領した後、同月26日に当委員会が設置され、6月10日に第1回委員会が開催されており、買収者から買収提案を受けた後、可及的速やかに設置されている(M&A指針3.2.4.1)。
・ 当委員会の委員は独立社外取締役2名及び独立社外監査役1名で構成されており、各委員について、公開買付者及び本取引の成否から独立していることが確認されている(M&A指針3.2.4.2 B)a))。
・ 当委員会は、本取引の取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限を与えられており、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保している(M&A指針3.2.4.4)。
・ 当委員会は、当社取締役会から、独自のアドバイザー等を選任し、又は、当社のアドバイザー等を当委員会のアドバイザー等として指名若しくは承認(事後承認を含む。)する権限、及び、当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がない等、当委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求める権限が与えられているところ、(i)第1回委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルについて、独立性及び専門性に問題ないことを確認の上、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、さらに、(ii)第1回委員会において、当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、高い専門性及び独立性に問題がないことを確認し、当社のリーガル・アドバイザーとして承認した上で、当委員会として、必要に応じて専門的助言を求めることを確認している(M&A指針3.2.4.5)。
・ 当委員会は、公開買付者に対し質問事項を送付し回答を得るほか、当社の経営陣から説明を受け、また情報提供を求める等、検討及び判断に必要な情報を収集している(M&A指針3.2.4.6)。
・ 当委員会の委員の報酬は、特別委員会の開催回数に応じて算出される金額を支払うこととされており、成功報酬制は採用していない(M&A指針3.2.4.7)。
・ 当社取締役会は、当社取締役会における本取引に関する意思決定は、本公開買付けへの賛否を含め、当委員会の判断内容を最大限尊重して行うこと、及び、当委員会が本公開買付けを含む本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、本公開買付けを含む本取引に賛同しないこととすることを決議している(M&A指針3.2.5)。
(b) 意思決定のプロセス
M&Aへの賛否を決定する取締役会決議において、当該M&Aに重要な利害関係を有する者を除く取締役全員の賛成及び監査役全員の異議がない旨の意見があった場合には、当該M&Aにおいて公正性担保措置が有効に機能したことを示す事情の一つとなるとされている(M&A指針3.2.5脚注46)。当社意見表明プレスリリースによれば、当社取締役会においては、当社においては、利害関係を有しない取締役5名全員の一致により本公開買付けへの賛同意見表明並びに株主への応募推奨が決議される予定である。
なお、当社の取締役のうち、加藤勉氏については、公開買付者の従業員を兼務しているため、利益相反の疑いを回避する観点から、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言を踏まえ、2025年5月26日以降、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉に参加しておらず、上記取締役会における審議及び決議には参加していない。
加えて、当社は、上記Aのとおり、当委員会を設置してその意見を取得することとしているが、当社取締役会は、当委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこと、当委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同しないことが併せて決議されていること等を踏まえれば、本取引に関する当社の意思決定の恣意性は排除され、意思決定のプロセスの公正性が担保され、かつ、透明性及び客観性が確保されているといえる(M&A指針3.2.4.4及び3.2.5)。
以上からすれば、当社における意思決定プロセスに、公正性に疑義のある点は見当たらない。
(c) 独立した法律事務所からの助言の取得
本ヒアリング等及び本検討資料によれば、当社は、本取引に関する意思決定過程における透明性及び合理性を確保するため、当社グループ、公開買付者グループ、及び本取引の成否から独立したリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常律事務所から、特別委員会の設置や委員の選定、その他の公正性担保措置に係る助言を受けている(M&A指針3.3.1)。
また、当委員会は、第1回委員会において、当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、高い専門性及び独立性に問題がないことを確認した上で、当委員会として、必要に応じて専門的助言を求めることを確認し、助言を受けている。
以上から、当社及び当委員会において、本取引に係る検討の初期的段階からリーガル・アドバイザーによる専門的助言を取得していると認められる。
(d) 独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
本ヒアリング等及び本検討資料によれば、当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルから、当社株式の株式価値に関する資料として本株式価値算定書(山田コンサル)を取得している(M&A指針3.3.2)。
本株式価値算定書(山田コンサル)においては、上記Cで詳述しているように、複数の算定方法を採用しており、恣意的な価格の算定がされないよう配慮がされている。また、算定の前提となる本事業計画の作成に当たって、公開買付者又は当社の役職員による恣意的行動があった事実は認められず、算定に当たって公正性を疑わせるような事情も見当たらない。
以上から、本株式価値算定書(山田コンサル)は、独立した第三者算定機関による株式価値算定書であると認められる。
なお、当社はフェアネス・オピニオンの取得はしていないが、M&A指針でもフェアネス・オピニオンの取得は必須とされておらず(M&A指針3.3.2.2)、他にとられる公正性担保措置を勘案すると、当社が本株式価値算定書(山田コンサル)をもとに本取引への賛同及び応募推奨の可否の判断をすることにも、公正性との関係で問題はないと考えられる。
(e) 強圧性が生じないための配慮
公開買付届出書によれば、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、株式売渡請求をすること又は株式併合及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、株式売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除く。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかにしていることから、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮していると認められる(M&A指針3.7)。
(f) 本公開買付価格の適正性その他本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付届出書によれば、公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、本公開買付期間を30営業日に設定しているとのことである。公開買付期間を法令に定められた最短期間と比較して長期に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するものと認められる。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていない。
このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮と認められる。
(g) マーケット・チェック
上記(f)のとおり、本公開買付期間を30営業日に設定すること、及び、取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていないことにより、本取引では、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施することによる、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されている(M&A指針3.4.2)。
なお、M&A指針において、買収者が支配株主である場合には、マーケット・チェックについてはそもそも公正性担保措置として機能する場面が限定的であり、実施する意義が乏しい場合が多いものの、例外的にマーケット・チェックが機能し得る場合もあり得るため、特別委員会が、このような特段の例外的事情が存在しないか等を念のため確認することが望ましいとされている。その上でM&A指針上は、この特段の例外的事情として、具体的には、支配株主が保有する議決権の割合が低い場合や、非常に魅力的な対抗提案がされた場合には支配株主が売却に応じる可能性がある場合及び支配株主が従属会社を一旦は買収するものの、その後、その全部又は一部の売却を予定している場合、を挙げている(M&A指針3.4.3.2)。
当委員会として、特段の例外的事情がないかを検討するに、当社にとっての支配株主である公開買付者は、当社株式の過半数を保有しており、支配株主が保有する議決権の割合が低い場合には該当しない。また、本ヒアリングにおいて、公開買付者グループの事業戦略にとって本取引が不可欠であり、公開買付者と当社の親子会社関係が解消されることは公開買付者にとってデメリットである旨が明確に回答され、仮に非常に魅力的な対抗提案がされた場合であっても公開買付者が売却に応じる可能性は極めて低いものと認められる。加えて、さらに本取引のスキームにおいて公開買付者が当社を一旦は買収するものの、その後、その全部又は一部の売却を予定しているといったことは想定されていない。
そのため、当委員会として、本件においては積極的なマーケット・チェックをすべきような特段の例外的事情はないものと判断した。
(h) マジョリティ・オブ・マイノリティ
公開買付届出書によれば、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定していない。
本公開買付けにおける買付予定数の下限につきマジョリティ・オブ・マイノリティは採用していないものの、本D記載のほかの公正性担保措置が行われていることも踏まえると、当社の少数株主について相当程度の配慮が行われていると認められる。
(i) 一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上
M&A 指針では、一般株主による取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料の提供が推奨されており(M&A指針3.6.1)、具体的には、特別委員会に関する情報や株式価値算定書に関する情報等についての充実した開示が期待されている(M&A指針3.6.2)。
本取引では、公開買付届出書及び当社意見表明プレスリリースにおいて、当委員会に付与された権限の内容、当委員会における検討経緯や交渉過程への関与状況、本答申書の内容及び当委員会の委員の報酬体系等(M&A指針3.6.2.1)、本株式価値算定書(山田コンサル)の概要(M&A指針3.6.2.2)、本取引の実施に至るプロセスや交渉経緯等(M&A 指針 3.6.2.3)について充実した情報開示がなされる予定となっており、当社の株主等に対し、取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料は提供されていると認められる。
(j) 総括
上記(a)から(i)までに記載のとおり、本取引では、(i)取引条件の形成過程において独立当事者間取引と同視し得る状況が確保され、(ii)少数株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点(M&A指針2.4)から見ても充実した公正性担保措置が採用され、かつ、実効性をもって運用されていると認められるから、結論として、本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。
E 諮問事項(エ)について
諮問事項(エ)は、本取引は当社の少数株主(一般株主)にとって公正なものであるか否かを問うものである。
当委員会としては、諮問事項(ア)から諮問事項(ウ)までで検討を要請されている事項が、諮問事項(エ)を検討する際の考慮要素になるものと考えているところ、当委員会における検討の結果、諮問事項(ア)から諮問事項(ウ)までについて、いずれも問題があるとは認められないことは、上記BからDまでで述べたとおりである。
以上から、当委員会は、諮問事項(エ)について、本取引(当社取締役会が本取引に関する決定を行うことを含む。)は、当社の少数株主(一般株主)にとって公正であると認められる。
F 諮問事項(オ)について
諮問事項(オ)は、当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明すること、並びに当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非を問うものである。
当委員会としては、諮問事項(ア)から諮問事項(エ)までにおいて、本取引の目的の合理性、本取引に係る手続の公正性及び本取引に係る取引条件の妥当性が確認され、かつ、本取引を行うことの決定が当社の少数株主(一般株主)にとって公正であることが確認されることにより、諮問事項オを是認する理由になるものと考える。そして、当委員会における検討の結果、諮問事項(ア)から諮問事項(エ)までについて、いずれも問題があるとは認められないことは、上記BからEまでで述べたとおりである。
以上から、当委員会は、諮問事項(オ)について、当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議を行うことは適切であると認められる。
なお、本公開買付けの開始までに本取引の条件や当社の状況等に重要な変更が生じる可能性や、対抗提案がなされる可能性等も否定できず、そのような場合には、別途の考慮を要する可能性はあり得る。そのため、本答申書における答申は、本答申書作成時点における当委員会の判断内容を示すものであることにご留意頂きたい。
ウ 定義
本書の他の記載にかかわらず、上記ア及びイにおいて、以下に掲げる用語は、それぞれ以下に定める意味を有する。
・「M&A指針」とは、経済産業省作成の2019年6月28日付「公正なM&Aの在り方に関する指針」を意味する。
・「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」とは、当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業を意味する。
・「公開買付期間」とは、本公開買付けにおける買付け等の期間を意味する。
・「公開買付者」とは、太平洋セメント株式会社を意味する。
・「公開買付者グループ」とは、公開買付者及びその子会社並びに関連会社(ただし、当社グループを除く。)で構成される企業集団(2025年3月31日現在)を意味する。
・「公開買付届出書」とは、公開買付者が2025年8月12日付で関東財務局に提出することを予定している公開買付届出書の本答申書作成時点でのドラフトを意味する。
・「質問事項(公開買付者)」とは、当委員会が公開買付者に対して公開買付者の考える本取引の意義・目的等に関する質問するためのヒアリング事項を意味する。
・「質問事項(当社)」とは、当委員会が当社に対して当社の考える本取引の背景・目的等について質問するためのヒアリング事項を意味する。
・「当社株式」とは、当社の普通株式を意味する。
・「当社意見表明プレスリリース」とは、当社の2025年8月8日付で公表することを予定している「支配株主である太平洋セメント株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の本答申書作成時点でのドラフトを意味する。
・「当社グループ」とは、当社並びに当社の子会社1社(2025年3月31日現在)で構成される企業集団を意味する。
・「山田コンサル」とは、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルティンググループ株式会社を意味する。
・「本回答書(公開買付者)」とは、質問事項(公開買付者)に対する回答書を意味する。
・「本回答書(当社)」とは、当社から質問事項(当社)に対する回答書を意味する。
・「本株式価値算定書(山田コンサル)」とは、山田コンサル作成に係る2025年8月7日付株式価値算定書を意味する。
・「本検討資料」とは、本提案書、本株式価値算定書(山田コンサル)、公開買付届出書、当社意見表明プレスリリース並びに本回答書(当社)及び本回答書(公開買付者)のほか、公開買付者及び当社の間で行われた本取引の実施及び本公開買付価格等の交渉に関する一連の資料その他当委員会において配付された各種資料を総称して意味する。
・「本公開買付け」とは、公開買付届出書に基づいて公開買付者により実施される予定の、当社株式(公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除く。)を対象とする公開買付けを意味する。
・「本公開買付価格」とは、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格を意味する。
・「本事業計画」とは、2026年3月期から2029年3月期を対象期間として当社が策定した事業計画を意味する。
・「本提案書」とは、2025年5月19日付で当社が公開買付者から受領した、公開買付者が本公開買付け及びその後の本スクイーズアウト手続により当社株式の全てを取得し、当社を完全子会社化することに関する提案書を意味する。
・「本スクイーズアウト手続」とは、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除く。)を取得できなかった場合に行われる予定の、当社の株主を公開買付者のみとするための一連の手続を意味する。
・「本取引」とは、本公開買付け及び本スクイーズアウト手続によって、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引を意味する。
・「本ヒアリング等」とは、諮問事項につき検討するため、当委員会において実施した、ヒアリング、インタビュー、質疑応答等を意味する。
当社は、山田コンサルから取得した本株式価値算定書(山田コンサル)、アンダーソン・毛利・友常法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引によって実現可能と考えるシナジーが期待されることから、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格(6,850円)が、(a)山田コンサルによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っており、かつ、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であること、(b)本類似事例と比較して公表日の前営業日である2025年8月7日の終値及び同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を下回っているものの、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値及び同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値との関係では、本類似事例におけるプレミアム水準を上回っていること、また、当社株価の上場来最高値である5,190円(2025年8月1日のザラ場。)に対して31.98%のプレミアムが付されていることに鑑みると、当該価格は当社株式の市場株価に対して合理的と考えられる水準のプレミアムが付されていると考えられること、(c)利益相反を回避するための措置が採られていること等、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われ、より具体的には、当社において、本特別委員会との協議、山田コンサルによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や財務的見地からの助言及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言等を踏まえて、公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会が、事前に交渉方針を確認するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、要請等を行った上で、本公開買付価格について妥当である旨の意見を述べ、かつ、特に買付予定数の上限・下限や撤回等の条件、二段階買収に関する事項等の本公開買付価格以外の本取引の諸条件についても、本公開買付けの成立を不安定にしたり強圧性を生じさせたりする等、少数株主にとって不利となるような条件は設定されておらず、妥当である旨の意見を述べている等を踏まえ、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年8月8日開催の取締役会において、取締役の6名のうち、加藤勉氏を除く5名全員(すなわち、渡邊泰博氏、大久保光敏氏、山上浩司氏、腰原貞利氏、阿部真弓氏)が審議及び決議に参加し、5名の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。また、上記取締役会には、当社の監査役3名全員が出席し、いずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
なお、当社の取締役のうち加藤勉氏は、公開買付者の従業員を兼務しており、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、利益相反の可能性を排除する観点から、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉には一切関与しておらず、上記取締役会における審議及び決議に参加しておりません。また、当社の取締役のうち渡邊泰博氏及び大久保光敏氏は、過去に公開買付者の従業員としての地位を有していたものの、いずれの者も当社のみに在籍してから5年間以上が経過しており、また、本取引に関し、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、上記取締役会における審議及び決議に参加しております
上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2025年4月23日に本取引の実施に向けた検討及び協議を開始したい旨の初期的な申し入れを受領した後、本取引に関する検討(当社株式の価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを検討の上、設置し、そのメンバーは、当社グループを除く公開買付者グループ各社の役職員を兼務していない当社の取締役である渡邊泰博氏、大久保光敏氏及び山上浩司氏の3名をはじめとする当社の役職員7名から構成されるものとし、かかる取扱いを継続しております。加えて、当社の取締役のうち渡邊泰博氏及び大久保光敏氏は、過去に公開買付者の従業員としての地位を有していたものの、いずれの者も当社のみに在籍してから5年間以上が経過しており、また、本取引に関し、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、上記取締役会における審議及び決議に参加しております。また、かかる取扱いを含めて、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております
公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)を30営業日に設定しているとのことです。このように公開買付期間を法令に定められた最短期間と比較して長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っておりません。
このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
⑧ 強圧性が生じないための配慮
公開買付者は、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、株式売渡請求をすること又は株式併合及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)株式売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかにしていることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。
該当事項はありません。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
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| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
| 渡邊泰博 | 代表取締役社長 | 5,699 | 56 |
| 大久保光敏 | 取締役 | 854 | 8 |
| 山上浩司 | 取締役 | 9,683 | 96 |
| 加藤勉 | 取締役 | 0 | 0 |
| 腰原貞利 | 取締役 | 0 | 0 |
| 阿部真弓 | 取締役 | 0 | 0 |
| 髙橋勉 | 監査役 | 800 | 8 |
| 松下満俊 | 監査役 | 0 | 0 |
| 高橋嘉明 | 監査役 | 0 | 0 |
| 計 | ― | 17,036 | 168 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2) 腰原貞利氏及び阿部真弓氏は、社外取締役です。
(注3) 松下満俊氏及び高橋嘉明氏は、社外監査役です。
(注4) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数及びそれらに係る議決権の数を含めた数を記載しております。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
該当事項はありません。
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
該当事項はありません。
7 【公開買付者に対する質問】
該当事項はありません。
8 【公開買付期間の延長請求】
該当事項はありません。
以 上
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