M&A Activity • Mar 22, 2021
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| 【表紙】 | |
| 【提出書類】 | 意見表明報告書(2021年3月22日付け訂正報告書の添付インラインXBRL) |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2021年2月10日 |
| 【報告者の名称】 | 日邦産業株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 愛知県名古屋市中区錦一丁目10番1号 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 愛知県名古屋市中区錦一丁目10番1号 |
| 【電話番号】 | 052(218)3161(代表) |
| 【事務連絡者氏名】 | 取締役 コーポレート本部長 三上 仙智 |
| 【縦覧に供する場所】 | 日邦産業株式会社 (愛知県名古屋市中区錦一丁目10番1号) 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) 株式会社名古屋証券取引所 (愛知県名古屋市中区栄三丁目8番20号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、日邦産業株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、フリージア・マクロス株式会社をいいます。
(注3) 本書中の記載において、計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注6) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注7) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注8) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
E02752 99130 日邦産業株式会社 NIPPO LTD. 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 5 true S100KPMJ true false E02752-000 2021-03-22 xbrli:pure
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名 称 フリージア・マクロス株式会社
所在地 東京都千代田区神田東松下町17番地
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、公開買付者により2021年1月28日に開始された当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)について、2020年3月8日開催の当社取締役会において、反対の意見を表明することを決議いたしました。
なお、公開買付者は、2021年3月19日付で本公開買付届出書の訂正届出書を提出し、公開買付期間の末日を2021年3月25日から2021年4月2日に変更し、本公開買付けに係る決済の開始日を2021年4月6日に変更したとのことです。
株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないよう強くお願い申し上げます。また、本公開買付けに既に応募された株主の皆様におかれましては、直ちに本公開買付けに係る契約の解除を行っていただきますよう強くお願い申し上げます。
当社は、本公開買付けが開始されて以降、本公開買付けの内容を慎重に評価及び検討してまいりました。当社は、以下の理由から、2021年3月8日、当社取締役会において、取締役全員の一致により、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしました。
本公開買付けは、当社に対して、事前に何らの通知や連絡もなく、また、事前協議の機会もないまま、一方的に開始されたものです。本公開買付けの突然の公表を受け、当社は、本公開買付けに対する当社の意見を表明するため、直ちに、本公開買付届出書の内容その他の関連情報を精査の上、本公開買付けの内容の評価及び検討を慎重に進めてまいりました。なお、上記評価及び検討に際して、公開買付者が本買収防衛プラン上の大規模買付け等に該当する行為を行っていることから、当社は、2021年2月6日、当社取締役会の恣意的判断を排除し、当社取締役会の判断及び対応の客観性、合理性を確保する観点より、当社独立委員会に対して、2021年2月6日付諮問事項(下記「(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等」の「(ア) 当社独立委員会への諮問」において定義されます。以下同じです。)を諮問しております。
しかしながら、当社は、当社の株主の皆様に、本公開買付けに応募するか否かを適切にご判断していただく前提となる意見を形成及び表明するためには、本公開買付届出書に記載された内容を含め、入手することができた情報のみでは不十分であると考えたことから、2021年2月9日開催の当社取締役会において、①本公開買付けが当社の企業価値の向上及び株主の皆様の共同の利益を確保するために資するものであるかという点について更なる評価及び検討を行うべく、また、②本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対して本対抗措置の発動を行うべきかどうかを検討するべく、金融商品取引法に基づく意見表明報告書における公開買付者に対する質問の制度を用いて、公開買付者に対して質問を提示するとともに、同日時点においては、当社の本公開買付けに対する意見の表明を留保する旨の意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)を提出しておりました(当該質問の内容は、2021年2月10日付で提出いたしました意見表明報告書の別紙「公開買付者に対する質問」をご参照ください。)。
公開買付者は、当社からの質問を受け、2021年2月18日に、対質問回答報告書(以下「本対質問回答報告書」といいます。)を関東財務局長に提出いたしました。当社は、本対質問回答報告書、並びに当社が収集した公開買付者及び本公開買付けに関する情報を基に、本公開買付けの内容を詳細に評価及び検討いたしました。
なお、当社は、本公開買付けに係る当社の意見を表明するにあたり、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業及び弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所(以下、総称して「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を選任し、その法的助言を受けております。詳細は下記「(5)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等」の「(イ) 独立したリーガル・アドバイザーの選任」をご参照ください。
また、2021年2月6日付諮問事項の諮問を受けた当社独立委員会は、2021年2月8日、2月16日、2月25日、3月2日及び3月8日の合計5回開催されました。当社独立委員会の各開催日におけるそれぞれの審議の概要は下表のとおりです。なお、当社独立委員会の委員は、各会合の間においても電子メール等を通じて、当社からの情報共有を受け、また、2021年2月6日付諮問事項についての協議及び検討を行っております。
<当社独立委員会の審議の概要>
| 日時 | 概要 |
| 2021年2月8日 | ■ 本公開買付届出書の内容に関する審議 ■ 当社が本公開買付けに対して留保の意見を表明し、公開買付者に対して質問を提出することに関する審議・勧告 |
| 2021年2月16日 | ■ 本公開買付届出書等の内容に関する審議 ■ 本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対する本対抗措置の内容の検討及び評価 |
| 2021年2月25日 | ■ 本公開買付届出書等の内容に関する審議 ■ 本対質問回答報告書の内容の検討及び評価 ■ 本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対する本対抗措置の内容(取締役会決議をもって本対抗措置を発動することの是非及び発動にあたって前提となる条件及び手続等を含む。)の検討及び評価 |
| 2021年3月2日 | ■ 同上 |
| 2021年3月8日 | ■ 本公開買付届出書等の内容に関する審議 ■ 本対質問回答報告書及び公開買付者回答(追加質問)(以下に定義されます。)の内容の検討及び評価 ■ 本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対する本対抗措置の内容(取締役会決議をもって本対抗措置を発動することの是非及び発動にあたって前提となる条件及び手続等を含む。)の検討及び評価 |
なお、2021年2月25日付「フリージア・マクロス株式会社に対する当社の独立委員会からの追加質問の送付に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社独立委員会は、第2回独立委員会(2021年2月16日開催)と第3回独立委員会(2021年2月25日開催)の間において、本対質問回答報告書における公開買付者からの回答の一部について追加質問を行う必要があると判断したため、2021年2月25日、当社独立委員会名義で公開買付者に対して当社独立委員会作成の書簡(追加質問)を送付しております(当社独立委員会は追加質問に対する回答期限を当初は3月3日(必着)としていましたが、公開買付者からの要望があったことを踏まえて、その後、回答期限を3月5日(必着)としております。)。
その後、公開買付者から2021年3月4日付で上記追加質問についての回答(「追加質問事項に対する回答」と題する書面。以下「公開買付者回答(追加質問)」といいます。)がなされ、当社独立委員会は、同日以降、公開買付者からの回答の検討を開始し、電子メール等を通じて議論を行っております。
さらに、当社独立委員会は、2021年2月6日付諮問事項のうち、特に「本買収防衛プランに規定する本対抗措置の発動の是非(本対抗措置発動の停止、並びに本買収防衛プランの廃止及び変更の是非を含む。)並びに取締役会決議をもって当該措置を発動することの是非及び発動にあたって前提となる条件及び手続等について勧告又は意見の提出を行うこと」の検討を行うために、当社が取得した会社法の分野における複数の学者による見解を示した意見書(本買収防衛プランに従って取締役会決議をもって本対抗措置を発動することについて法的に問題がない旨の見解を示したもの)も併せて精査しております。
以上の調査、検討及び評価の過程を経て、当社独立委員会は、2021年3月8日、当社取締役会に対し、当社独立委員会の委員全員一致の意見として、公開買付者が本買収防衛プランに規定する手続を遵守しておらず、また対抗措置を発動させないことが必要であることが明白とはいえず、その他特段の事情も見当たらないので、当社独立委員会としては、本買収防衛プランの規定に基づき、取締役会に対して、本対抗措置の発動を勧告するとの内容の答申書(以下「本答申書」といいます。)を提出いたしました(本答申書の概要は、下記「(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等」の「(ア) 当社独立委員会への諮問」をご参照ください。)。
この勧告を受けて、2021年3月8日開催の当社取締役会において、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上という観点から慎重に審議の上、取締役全員の一致により、本公開買付けに対して反対の意見を表明すること、及び本買収防衛プランに基づく新株予約権の無償割当てを行うこととすることを内容とする決議を行いました。
当社は、本公開買付けが開始されて以降、本公開買付けの内容を慎重に評価及び検討してまいりました。しかし、以下の理由から、2021年3月8日、当社取締役会において、取締役全員の一致により、本公開買付けに反対する旨を決議しました。
(ア)本公開買付け及び公開買付者との資本業務提携の構築は、顧客・仕入先・金融機関との関係悪化を招く可能性があり、当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益を害するおそれが高いこと
(イ)公開買付者が提案する事業上のシナジーは軽微であり、むしろマイナス面の方が大きいこと
(ウ)本公開買付けは、株主の皆様の意思を軽視するものとであると共に、少数株主の皆様の利益を軽視していること
(エ)公開買付者と当社との間では、業務提携のパートナーとしての信頼関係は到底構築できないこと
上記の各項目に関する具体的な内容は、以下のとおりです。
(ア)本公開買付け及び公開買付者との資本業務提携の構築は、顧客・仕入先・金融機関との関係悪化を招く可能性があり、当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益を害するおそれが高いこと
当社は、その創業理念たる経営理念として、「我社は、互いの善意と信頼とによって結ばれた運命共同体であり、常に新しい価値を創造し、広くこれを販売することによって、会社の繁栄と社員の幸福増進の一致を計り、社会の恩恵に報いることを使命とする」ことを掲げております。当社は、このような経営理念の下、当社のお客様、仕入先様、金融機関様その他の当社を支えて頂いているお取引先様、株主の皆様、地域社会、そして従業員とその家族をステークホルダーと捉え、それら全てのステークホルダーの皆様との対話を重視し、各ステークホルダーの皆様との長期的・友好的な関係を構築することに努めてまいりました。
当社は、公開買付者からの業務提携の提案に対しても、誠実に対話を続けてまいりました。すなわち、2019年11月14日の公開買付者との面談において、公開買付者及びそのグループ会社のホームページ等の情報から当社の商流等を考慮した上で公開買付者及びそのグループ会社との間の業務提携の素案を示し、また、2020年2月18日の公開買付者との面談において、当社から担当部長を紹介するなど、真摯に検討してまいりました。しかしながら、その後の面談においては、公開買付者から当社に対する要望は専ら資本政策に関する要望のみであり、公開買付者から当該業務提携に関する具体的なご提案もなく、当該業務提携についての積極的な姿勢を示されなかったことから、当該業務提携の話は具体的なものとはなりませんでした。そして、本公開買付届出書において公開買付者は2020年4月9日の面談を最後に当社との業務提携に関する協議を打ち切った旨記載されているとおり(本公開買付届出書6頁)、当社と公開買付者との間では、2020年4月9日の面談以降、業務提携に関する協議は行われていません。
そのような中、公開買付者は、当社に対して事前に通知や連絡は一切なく、また、事前協議の機会もないまま、一方的に、「資本業務提携の交渉に際しての交渉力の強化を目的」として(本公開買付届出書6頁)、本公開買付けを開始しました。このような事前の通知・連絡も一切なく、一方的に開始された本公開買付けは、当社の「互いの善意と信頼」を重視する経営理念に相反するものであり、当社のお取引先様からは心配の声や懸念の声が上がっており、また、当社の経営理念に共感をいただいている株主の皆様、従業員にも混乱が生じていることは紛れもない事実です。
特に、当社は、お客様の企画・開発・製造の各段階において、機密情報の交換をお客様との間で行うことで、より踏み込んだ提案やお客様のニーズに合った製品の納入等を行うことができていると考えておりますが、一方的に「資本業務提携の交渉に際しての交渉力の強化を目的」とした本公開買付けを開始した公開買付者が、当社へ取締役の派遣等を行うことで、機密情報が利用されるのではないかといった不安の声をお客様から頂戴しております。当社といたしましては、そのような不安を覚えられたお客様が、これまで当社への信頼の下、継続していただいておりました取引の打切りや減少の可能性があることを危惧しております。加えて、当社と取引関係のある金融機関様から、当社への新規融資の実行に関する懸念も示されており、当社は、本公開買付けが当社の資金調達に悪影響を与える具体的な可能性があることも危惧しております。
なお、公開買付者による本対質問回答報告書において、「公開買付者からの動きに対して、その話を聞いただけで『もう取引をやめる』と言う申し入れがあるなどとした、対象者経営陣からの発言は不自然です。万が一、数ある取引先の中で一つ又は数社そのような声があった場合、それは前述した公開買付者側の考えが正しく伝わっておらず、歪曲して伝えられた可能性によるものと思います」等と述べておりますが(本対質問回答報告書の別紙23頁。なお、以下、本対質問回答報告書の頁数を記載する場合、本対質問回答報告書の別紙の頁数を意味します。)、複数のお取引先様から当社に寄せられた心配の声や懸念の声は、当該お取引先様が公開買付者に関して自ら調査して確認した結果によるものであり、当社から事実関係を歪曲してお取引先様にご案内するといったことは行っていません。また、そのような意見が上がっていることは事実であって、当社といたしましては、かかるお取引先様の現実の声を踏まえた判断をせざるを得ません。
加えて、当社は、2020年11月6日に公表した「中期経営計画2022」の長期戦略マップ内の戦略シナリオの実現に向けた取組みとして、新しいパートナーとの協業を進めておりますところ、複数の協業候補先様から、お取引先様と同様の心配の声や懸念の声が上がっており、本公開買付けが当該協業の障害になっていることも事実であります。現に2021年3月2日にプレスリリースしました「株式会社バルカーとの業務提携に関する基本合意書締結のお知らせ」(https://www.nip.co.jp/news/20210302-1.pdf)の「5.今後の見通し」及び2021年3月8日にプレスリリースしました「ミタチ産業株式会社との業務提携に関する基本合意書締結のお知らせ」(https://www.nip.co.jp/news/20210308-1.pdf)の「5.今後の見通し」のとおり、当社の経営に係る支配権の異動を伴う株主構成の変動(議決権保有割合20%以上を保有する株主の異動を含むがこれに限られない。)が生じた場合、当社と株式会社バルカーとの間の基本合意書及び当社とミタチ産業株式会社との間の基本合意書が解除される可能性がありますが、これらは本公開買付けによる当社の経営に関する先行きの不透明性を一つの原因としております。なお、上述した他の複数の協業候補先様からも、本公開買付けによる当社の経営に関する先行きの不透明性に関する心配の声や懸念の声が寄せられております。
公開買付者は、事前の通知・連絡なく、本公開買付けを開始した点について、本対質問回答報告書において、「会社は資本に対して等しく開かれた存在であり、株式を公開し、上場させていると述べておりましたので、株式市場のルールに則り(本公開買付けも含めますが)…買付けを行う事に致しました」等と述べていますが(本対質問回答報告書18頁)、当社に対して事前に通知・連絡することなく、突然、本公開買付けを開始し、利害関係者の皆様に混乱を生じさせることについてどのような評価・検討を行って本公開買付けに踏み切ったのか、当社からの質問に対して十分かつ合理的な説明はなされていません。
公開買付者は、突然の本公開買付けの開始により当社のステークホルダーの皆様に混乱が生じることを容易に想定し得たにもかかわらず、かかる混乱を極小化するための措置を何ら講ずることなくこれを決行しました。このようにステークホルダーの皆様への配慮ができない者が当社の大株主として当社株式の所有割合・議決権比率を高めることで、当社の事業に対する影響力を強めることは、当社がこれまで大切に築いてきた、当社企業価値の源泉でもある長期的・友好的な各ステークホルダーの皆様との関係を危うくするものです。公開買付者のこのような行為は当社の経営理念に反し、また当社の企業価値を毀損するものとして、到底認めることはできません。
(イ)公開買付者が提案する事業上のシナジーは軽微であり、むしろマイナス面の方が大きいこと
当社は、2019年11月14日の公開買付者との面談において、公開買付者及びそのグループ会社のホームページ等の情報から、当社の商流等を考慮した上で、公開買付者及びそのグループ会社との間の業務提携により発生するシナジーの素案を示しておりますが、当社連結売上高に与える影響は軽微なものでありました。そのような状況にあっても、当社は、2020年2月18日の公開買付者との面談において、当社から担当部長を紹介するなど、公開買付者との業務提携の可能性に関して真摯に検討してまいりました。しかし、その後の公開買付者との面談においては、公開買付者から当社に対する要望は専ら資本政策に関する要望のみであり、公開買付者から当該業務提携に関する具体的な提案もなく、当該業務提携についての積極的な姿勢を示されなかったことから、当該業務提携の話は具体的なものとはなりませんでした。
また、当社は、公開買付者が本公開買付届出書に示すシナジーの内容は、公開買付者が主張するシナジーがどの程度の根拠があるものであるのかという点に関しても、疑問を感じざるを得ないと考えていたところ、公開買付者から新たに公開買付者回答(追加質問)を受領しましたので、次の①ないし⑥のとおり、公開買付者が提案するシナジーに関する検証を真摯かつ誠実にいたしました。
当社といたしましては、公開買付者が提案する業務提携は、新たなシナジーを特段生じさせるものでもなく、むしろ、公開買付者が当社の大株主となった上で形成される公開買付者と当社との業務提携による当社へのマイナス面(継続していただいた取引の打切りや減少の可能性)(詳細は上記(ア)をご参照ください。)の方が大きいものと危惧しております。
当社は、下記(エ)で述べるとおり、公開買付者との間に業務提携のパートナーとしての信頼関係を構築することは到底できないと考えており、もはや、公開買付者が提案する事業上のシナジーを当社が公開買付者とともに創出しようとする行為そのものが、上記(ア)に述べた「当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益を害するおそれ」を誘発する行為になるものとすら考えております。
① 射出成型技術
公開買付者は、「お客様の要望に応じた樹脂及び添加剤の配合比実験に対しても、タイムリーに行える体制を有しており、公開買付者との協業によって、対象者のお客様の満足度を高めより付加価値のあるサービスが提供できるものと考えております」と述べています(公開買付者回答(追加質問)11頁)。
しかしながら、公開買付者が知見を有するという「押出」成形の樹脂材料は汎用材料が多く、当社が得意としている「射出」成形の樹脂材料であるエンジニアリングプラスチックとは明らかに樹脂のグレードが異なります。
また、公開買付者が続けて示された「リサイクルプラスチックの製造・開発及び取引先ネットワークは、製造過程において多量の産業廃棄プラスチックの産出を余儀なくされる対象者においては大いに役立つものと考えております」との考え(公開買付者回答(追加質問)11頁)に関して、当社が製造している自動車重要部品及び医療機器部品については、その安心・安全の確保のためにリサイクルプラスチックを使用することはお客様から認められておらず、これが製造に関して役立つことはありません。また、製造過程で発生する廃棄プラスチックについては、当社が契約している委託業者を通じて、適切に再生又は再利用に努めております。
したがって、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
② メンテナンスコスト及びライン改造費の削減
公開買付者は、メンテナンスコスト及びライン改造費の削減に関して「対象者により効率のよいメンテナンス・技術・ノウハウ等の提供をできる余地があると考えております」と述べていますが(公開買付者回答(追加質問)11頁)、当社は、汎用設備に関しては、自社及び設備メーカーによる十分に効率的なメンテナンス体制を構築しております。そのため、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
③ 工場の自動化をはじめとした生産性向上
公開買付者は、「アフターメンテナンス等が可能な技術者がダイトーエムイー株式会社には多数おりますので、その知見を共有すれば、対象者の国内国外の工場においても生産性が高いFA化の推進に向けて、シナジーが発揮できるのではないかと考えています」と述べていますが(公開買付者回答(追加質問)12頁)、当社は、自動機、全自動ラインを含むカスタム設備の製作に関しては、主要顧客である大手自動車部品メーカーの協力会員として、当該顧客の生産技術部門から技術・ノウハウのご提供を継続的に受けていることから、メンテナンスはもとより、自動機及びカスタム設備の製作まで対応することができます。
したがって、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
④ 電子デバイスに関わる事業
公開買付者は、「これらの先端技術へ向けて独自で大規模投資をするのは、リスクが高すぎると考えられることから、企業規模にあった投資での対応を選択するべきと考えています」と述べ(公開買付者回答(追加質問)12頁)、加えて、「熱」問題を解決するための技術の例示として「レジンリッチなプリント基板製造」等の技術を挙げています(公開買付者回答(追加質問)12頁)。
しかしながら、当社は、昭和電工マテリアルズ株式会社との間で特約店契約に基づく良好な関係を長年に亘って構築しておりますので、両者の役割分担において、当社が先端技術に関する開発投資を行うことは戦略として考えておらず、また、当社は同社と競合する会社の技術・商材を原則として取り扱わない方針を採っていることから、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
⑤ RFID
公開買付者は、「富士通グループよりRFIDやICタグ等を仕入、それを使用してシステム(ハード・ソフト両面で)を各お客様向けに最適な設計を行った上で、納入するビジネス展開」している公開買付者のグループ会社とされるソレキア株式会社と当社との協業によるシナジーについて述べていますが(公開買付者回答(追加質問)12頁)、上記④で述べたとおり、当社は昭和電工マテリアルズ株式会社との良好な関係において、同社と競合する会社の技術・商材を原則として取り扱わない方針を採っていることから、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
⑥ 得意先、仕入先の拡張
公開買付者は、「ファナック㈱様、㈱豊田自動織機様、㈱東芝様などを始めとした日本産業界の基幹をなす大手老舗のメーカー様多数と信頼関係を構築した取引先として直接の口座を開いています。お取引先様の多くは新規には直接口座を開設することが困難な取引先が含まれています」と述べた上(公開買付者回答(追加質問)13頁)、当社が公開買付者の保有するこれらメーカー様との取引口座を活用することで、スムーズな取引先の拡大やビジネスチャンスの契機を狙えると述べていますが、当社は、設立69年の社歴の中で日本産業界の基幹をなす多くのメーカー様とお取引をさせていただいており、これに加えて、現時点において取引関係のないメーカー様へのアプローチの方法は、上記(ア)で述べたとおり、ミタチ産業株式会社と業務提携に関する基本合意書を締結し、相互製品のクロスセル等の実現に向けて協業を既に進めていることから、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
(ウ)本公開買付けは、株主の皆様の意思を軽視するものとであると共に、少数株主の皆様の利益を軽視していること
(a) 本公開買付けは、当社の株主の皆様から承認された本買収防衛プラン上の手続を遵守しないまま開始されたものであり、株主の皆様の意思を軽視するものであること
本公開買付けは、当社に対して事前に通知や連絡は一切なく、また、事前協議の機会もないまま、一方的に開始されたものですが、本公開買付けは2020年6月24日開催の当社の第69期定時株主総会において株主の皆様の賛成多数の承認を得た本買収防衛プランに反する形で開始されています。公開買付者は、本買収防衛プランが当社の株主の皆様の賛成多数の承認を得ていることを当然に認識しているはずであり、それにもかかわらず、公開買付者は当社の定める手続を遵守しないまま本公開買付を開始したことは、公開買付者が当社の株主の皆様の意思を軽視し、また、当社との信頼関係を構築する姿勢を放棄しているといわざるを得ません。
このように本公開買付けは、当社の株主の皆様の意思を軽視している形で開始されたものであるため、当社は公開買付者が本買収防衛プランを遵守しなかった理由を公開買付者に質問いたしました。しかしながら、公開買付者は、本対質問回答報告書21頁及び22頁並びに公開買付者回答(追加質問)において、本買収防衛プランへの不当な言いがかりに言及するに終始しています(公開買付者の本買収防衛プランの効力に関する主張が不当な言いがかりであることについては、下記(エ)(b)をご参照ください。)。
(b) 本公開買付けは強圧性を有するものであり、少数株主の皆様の利益を軽視していること
本公開買付けにおいては買付予定数の上限が定められており、その買付数は最大で714,800株(所有割合:7.85%。なお、当該714,800株の買付け等を行った後に公開買付者が所有することになる当社株式の数は2,511,500株となり、その所有割合は27.57%になります。)に設定されています。また、公開買付者において、本公開買付け後、買付予定数の上限を超える株式数について、追加的に取得するか否かの方針に関しては、具体的に決定している事項はないとのことです(本公開買付届出書12頁)。すなわち、本公開買付後、当社株主の皆様は、限定された数の当社株式についての売却の機会を得る一方で、応募された株式の全てについて公開買付価格による売却が保証されているものではありません。
一方、上記(a)で述べたとおり、本公開買付けは、株主総会において承認された本買収防衛プラン上の手続を遵守せず開始されたという点において当社株主の皆様の意思を軽視するものであり、かつ、下記(エ)で述べるとおり、公開買付者には当社のビジネスパートナーとしての適格性について疑問があり、公開買付者が当社の大株主となり、実質的に当社の株主総会特別決議の単独否決権を有することとなるという事実のみでも、当社の企業価値を毀損する可能性があるといえます。また、本公開買付け後に公開買付者が予定している業務提携の提案は、上記(イ)で述べたとおり新たなシナジーを特段生じさせるものでもないといえますが、公開買付者は、当該業務提携を実現させるために本公開買付けまで行っているのであり、本公開買付けが成立した場合には、その特別決議の単独否決権を背景に、当社に対し当該業務提携を強いる可能性が高いといえます。
したがって、本公開買付けが成立した場合、当社との間で信頼関係を構築する意思がなく、かつビジネスパートナーとしての適格性に欠ける公開買付者が大株主となるだけでなく、上記(イ)で述べたようなシナジーの見込めない業務提携をその株式の所有割合を背景に強いられたり、当社の事業の理解が不十分な公開買付者が当社の事業に影響を及ぼすことになるとすれば、当社の企業価値を毀損するリスクに晒されることになり、当社株主の皆様は、このようなリスクを回避するために本公開買付けへの応募を余儀なくさせられる点で、本公開買付けは強圧的なものであるといわざるを得ません。
この点、公開買付者は、本公開買付に上限を付した理由を述べていますが(本対質問回答報告書28頁)、いずれも趣旨が不明瞭であり、合理的な説明では到底ありません。さらに、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の流動性が低下することについて、「本公開買付けに応募しても、最終的に当該上限を超える応募数が生じ、あん分比例の方式によって一部売れ残ってしまった場合などは、中途半端な投資になるので、本公買付け終了後、株式の売却を行う株主も想定されることから、流動性が上がる場合も多分に予測されます」と説明しています(本対質問回答報告書25頁)。このような公開買付者の見解は、買付予定数に上限を付した公開買付けにおいて、当社株主の皆様が、株主全体としては応募しないことが適切であると判断しても、互いに連携できないために市場価格に一定のプレミアムが付された公開買付価格で公開買付けに応募してしまうという、強圧性を生じさせる背景である事実関係を肯定するものであり、強圧性が生じることを問題視せず、むしろ容認しているというべきです。
以上のとおり、本公開買付けは、強圧性の懸念が大きく存在し、仮に本公開買付けへの応募が集まったとしても、それは本公開買付けの条件や本公開買付けにより公開買付者が当社株式の所有割合を高めることに、株主の皆様が賛同されていることを必ずしも意味しないものといえます。このような強圧性を有する本公開買付けは、少数株主の皆様の利益を軽視するものであり、不当なものであると考えております。
(エ)公開買付者と当社との間では、業務提携のパートナーとしての信頼関係は到底構築できないこと
(a) 当社従業員が公開買付者に対して不信感を抱いていること
当社は、当社と公開買付者が信頼関係を構築する上で、公開買付者が当社従業員からの信頼を得ることも重要であると考えておりますが、当社の多数の従業員においては、本公開買付け及び公開買付者に対して否定的な意見を有しております。
すなわち、本公開買付けの開始を受けて、当社は当社に所属する全従業員407名に対して、中立的な選択肢(「どちらともいえない」、「その他」の選択肢)を含んだ公正なアンケートを実施したところ、約96%の有効回答を受け、その内約80%の従業員が本公開買付けに反対の意思を示しており(「どちらともいえない」、「その他」が合計約18%)、反対理由の上位には「買収提案の狙い・目的が良くわからないため、買収後の当社の企業価値が向上するとは思えない」、「労働条件(リストラ・配置転換・給与賞与/退職金等)の改悪を警戒するから」、「買収後の事業方針(主要な顧客・仕入先・金融機関等との取引)の転換や制約が懸念される」といったものが掲げられています。このように、当社の多数の従業員は本公開買付けに反対をしており、本公開買付けの開始に関する態様(事前の通知・連絡も一切なく、一方的に公開買付けを開始したこと)や、公開買付者の目的(「資本業務提携の交渉に際しての交渉力の強化を目的」)に対して疑問を有しております。このような状況の下で、本公開買付けが成立し、当社に対する公開買付者の影響が強まった場合には、当社の従業員の離職や労働意欲の低下を招くおそれがあり、また、それにより当社の企業価値の毀損につながるおそれがあります。
このように、当社の多数の従業員は本公開買付け及び公開買付者に対して否定的な意見を有しており、当社と公開買付者が業務提携のパートナーとして信頼関係を構築できるとは到底考えられません。
(b) 公開買付者は当社の株主総会決議に対して、不当な言いがかりを付して、株主総会決議に係る取消訴訟を提起する敵対的な姿勢を見せていること
2020年10月16日付「訴状受領に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、公開買付者は、当社の第69期定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)の一部の決議(第4号議案 当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)継続の件。以下「本議案」といいます。)の取消しを求めて、2020年9月23日付で当社を被告として名古屋地方裁判所に提訴しています(以下「本件取消訴訟」といいます。)。そして、公開買付者は、本公開買付届出書において、本定時株主総会に際して、公開買付者が、一部の当社株主から議決権行使の委任を受けた議決権行使書について、当社が恣意的に除外させたと考えている旨記載し(本公開買付届出書2頁)、同様の主張は本件取消訴訟においてもなされています。
当社は、2009年6月29日開催の第58期定時株主総会終結の時をもって、かつて導入していた買収防衛策を廃止しておりますが、その後の情勢の変化等も勘案しつつ、旧買収防衛策の廃止前よりも、多くの顧客の皆様の技術等に係る機密情報を保有するに至ったことから、改めてその必要性について検討し、本買収防衛プランの導入を決定した次第です。公開買付者は、「公開買付者に対抗することを目的として導入されたと考えられ」ると本公開買付届出書に記載していますが(本公開買付届出書2頁)、本買収防衛プラン導入についての経緯と異なるものであり、当該記載は事実に基づかない憶測によるものです。
なお、公開買付者は、本件取消訴訟において、本定時株主総会の際に、当社が提出期限までに指定の新東京郵便局私書箱に提出された議決権行使書面を除外し、一部株主による議決権を意図的に認めなかったと主張しています。しかし、当社は、本定時株主総会において株主から提出された議決権行使書面の集計を、当社の株主名簿管理人である三菱UFJ信託銀行株式会社に委託し、同社による集計結果を、本定時株主総会における議決行使書面による議決権の行使の結果として適正に反映しており、一部の議決権行使書面を恣意的に除外した事実はなく、これらの議決権行使書面は提出期限までに提出されなかったものと理解しております。上場会社として株主その他の全てのステークホルダーの皆様に法令遵守をお約束するべき立場にある当社がそのような行為に出るはずがなく、公開買付者の主張は事実と異なるものです。
さらに、本対質問回答報告書によれば、公開買付者は、本公開買付け開始後、本議案の無効確認請求訴訟も提起しているとのことです(本対質問回答報告書29頁。なお、当社は、当該訴訟の訴状についてはまだ受領しておりません。)。
このように、本防衛買収防衛プランの導入経緯や議決権行使書面の集計について、事実に基づかない不当な言いがかりを付して、本定時株主総会決議に係る取消訴訟を提起し、かつ本議案について無効確認訴訟を重畳的に提起するなど、敵対的な姿勢を見せている公開買付者との間で、当社が業務提携のパートナーとして信頼関係を構築していくことができるとは到底考えられません。
(c) 公開買付者の採用する、大株主としての影響力を背景に資本業務提携を迫る方法について大きな疑問があること
公開買付者は、「資本業務提携の交渉に際しての交渉力の強化を目的」として本公開買付けを開始したとのことですが(本公開買付届出書6頁)、このような姿勢は、公開買付者が当社の大株主としての影響力を背景に、当社のステークホルダーの皆様の利益を犠牲にして、自らの利益を追求するのではないかとの懸念を生じさせるものです。
すなわち、公開買付者は、「当時検討した他の投資先候補企業との比較において、対象者は投資先候補企業の中で最も適した投資先企業である」と考え(本公開買付届出書4頁)、「2019年2月14日から2019年5月23日にかけて、市場内取引により断続的に対象者株式を取得し、1,796,700株(所有割合:19.73%)を所有するに至りました」とのことですが(本公開買付届出書5頁)、そもそも、当社との業務提携を希望されるのであれば、当社株式を取得される前に、業務提携の打診をまず先に行うことが通常であると考えられます。この点に関する当社の公開買付者に対する質問に対し、公開買付者は「業務提携を行う際、相手方の株式の取得前の時点に打診を行うことが、上場企業の場合においても通常であると主張されておりますが、これは甚だ疑問です」と述べていますが(本対質問回答報告書14頁)、そのように判断する根拠は一切示されておらず、当社といたしましては公開買付者が通常の順番とは異なる方法で、業務提携を実現しようとしているといわざるを得ません。
当社といたしましては、シナジーの認められる可能性のある業務提携のご提案であれば、それを検討することは当然のことであり、検討の結果、シナジーの発生が具体的に見込まれるのであれば、業務提携に関する契約の締結を真摯に検討するべきものと考えております(しかしながら、公開買付者と当社との間の業務提携についてシナジーが認められないことは、上記(イ)に記載したとおりです。)。公開買付者が、先に当社株式を取得することを先行させたのは、本公開買付届出書に記載のとおり(本公開買付届出書6頁)、当社の大株主としての「交渉力」を獲得した上で、当該交渉力を背景として、自身に有利な業務提携関係を構築するという戦略であると推察されます。「大株主となって発言権を得なければ実現されない業務提携関係(言い換えれば、大株主になることで初めて実現される業務提携関係)」は、当社にとって有利なものになるとは考えられず、当社の少数株主の皆様の利益を犠牲にした上で、公開買付者に利する関係が構築される可能性があると懸念しております。
(d) 公開買付者の、当社のビジネスパートナーとしての適格性について疑問があること
公開買付者は、有価証券報告書の不実記載を理由として、2020年9月10日に金融庁長官から課徴金納付命令(合計金1200万円)の支払いを命じられております。
当社は、企業の持続的な成長を実現するために取り組むべき最も重要な課題の一つとして、「コンプライアンスの遵守」及び「内部統制システムの推進」を掲げており、当然のことながら当社のビジネスパートナーとなられる方における法令遵守・内部統制に対する意識や体制について、高い関心を有しております。特に、本公開買付けが当社と資本業務提携を構築することを目的とするものである以上は、公開買付者の法令遵守・内部統制に対する意識や体制を検討及び評価することは当然のことといえます。そのため、当社といたしましては、本意見表明報告書において、上記の課徴金納付命令の件に加えて、公開買付者又はその役職員が関与していると思われる他の件、並びに、公開買付者グループ及びその役職員によるその他の法令違反や訴訟等の有無について、質問をさせていただいた次第です。これらの質問は、当社独立委員会及び当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の確認を経て提出したものではありますが、当社として関心を有している事項であり、当然のことながら、当社として質問したいと考えたからこそ質問をさせていただいたものです。しかしながら、これに対して、本対質問回答報告書における公開買付者の回答は、質問をしたことに対する当社に対する非難がその内容の大部分を占めており、肝心の質問事項に対しては十分な回答ないし説明がなされておらず、当社といたしましては、公開買付者に関する法令遵守の意識及び体制に関して疑問を有せざるを得ません。
当社といたしましては、公開買付者の法令遵守・内部統制に対する意識及び体制は不十分であるといわざるを得ないと考えており、当社のビジネスパートナーとしての適格性に疑問を抱いております。
(オ)結論
以上のとおり、当社は、①本公開買付け及び公開買付者との資本業務提携の構築は、顧客・仕入先・金融機関との関係悪化を招く可能性があり、当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益を害するおそれが高いこと、②公開買付者が提案する事業上のシナジーは軽微であり、むしろマイナス面の方が大きいこと、③本公開買付けは、株主の皆様の意思を軽視するものとであると共に、少数株主の皆様の利益を軽視していること、④公開買付者と当社との間では、業務提携のパートナーとしての信頼関係は到底構築できないことから、本公開買付けに対して反対いたします。
当社株式は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)JASDAQ(スタンダード)及び株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます)市場第二部に上場されております。
本公開買付届出書によれば、本公開買付けは、当社株式の上場廃止を企図するものではなく、公開買付者は買付予定数の上限を設定しているとのことです。そのため、本公開買付け後、公開買付者が所有する当社株式の数は最大で2,511,500株(所有割合(注1):27.57%)に留まる予定とのことです。したがって、当社株式は、本公開買付け成立後も、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場における上場が維持される見込みとのことです(以上、本公開買付届出書12頁)(注2)。
(注1) 本公開買付届出書によれば、「所有割合」とは、当社が2020年11月12日に提出した第70期第2四半期報告書に記載された2020年9月30日現在の発行済株式総数(9,127,338株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(19,133株)を控除した株式数(9,108,205株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しているとのことです(本公開買付届出書2頁)。以下同じです。
(注2) 本公開買付届出書には記載はございませんが、名古屋証券取引所市場第二部における上場に関しても同様であると考えられます。
本公開買付届出書によれば、公開買付者は、本公開買付けによって買付予定数の上限(714,800株(所有割合:7.85%))まで当社株式を取得できなかった場合には、買付予定数の上限と本公開買付けにより買付けた当社株式の数の差の範囲で、市場内取引により当社株式を追加取得する予定とのことです。なお、公開買付者は、本公開買付け後、買付予定数の上限(714,800株(所有割合:7.85%))を超える株式数について、追加的に取得するか否かの方針に関しては、具体的に決定している事項はないとのことです(以上、本公開買付届出書12頁)。
(ア)当社独立委員会への諮問
当社は、公開買付者は本買収防衛プラン上の大規模買付け等に該当する行為を行っていることから、本買収防衛プランに基づき、当社取締役会の恣意的判断を排除し、当社取締役会の判断及び対応の客観性、合理性を確保する観点から、2020年6月24日付で選任され、当社の監査等委員である取締役であり社外取締役兼独立役員である林高史氏及び池田桂子氏並びに外部の専門家である仁科秀隆氏から構成される当社独立委員会に対して、以下の事項を諮問しておりました(以下「2021年2月6日付諮問事項」といいます。)。なお、本買収防衛プランにおいて、当社取締役会の意思決定は、当社独立委員会の勧告内容を最大限尊重することとしております。また、当社は、当社独立委員会の各委員において、公開買付者又は当社との間に重要な利害関係が存在しないことを確認しております。
① 公開買付者による本買収防衛プランに規定する手続の遵守の有無及びその状況に関する調査・検討及び評価を行うこと。
② 当社が公開買付者に対して提供を要請する情報の十分性等について、調査、検討及び評価を行うこと。
③ 公開買付者が提供する情報の十分性等について、調査、検討及び評価を行うこと。
④ 本公開買付けが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるものでないかについて、調査、検討及び評価を行うこと。
⑤ 以上の調査、検討及び評価を踏まえた上で、本対抗措置の発動の是非(本対抗措置発動の停止、並びに本買収防衛プランの廃止及び変更の是非を含む。)並びに取締役会決議をもって当該措置を発動することの是非及び発動にあたって前提となる条件及び手続等について勧告又は意見の提出を行うこと。
⑥ 以上の他、当社取締役会が判断すべき事項のうち、当社取締役会が当社独立委員会に随時諮問する事項及び当社独立委員会が当社取締役会に勧告又は意見すべきと考える事項について、調査、検討及び評価並びに勧告又は意見の提出を行うこと。
当社独立委員会は、2021年2月8日開催の第1回独立委員会より、2021年2月6日付諮問事項の審議を開始し、2021年3月8日までの間に合計5回、合計約10時間半にわたって開催され、2021年2月6日付諮問事項についての協議及び検討を行いました(当該協議及び検討の概要は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 意見の根拠」をご参照ください。)。なお、当社独立委員会の委員は、各会合の間においても電子メール等を通じて、当社からの情報共有を受け、また、2021年2月6日付諮問事項についての協議及び検討を行っております。
なお、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 意見の根拠」に記載のとおり、当社独立委員会は、第2回独立委員会(2021年2月16日開催)と第3回独立委員会(2021年2月25日開催)の間において、2021年2月25日、当社独立委員会名義で公開買付者に対して当社独立委員会作成の書簡(追加質問)を送付しております。
その後、公開買付者から2021年3月4日に公開買付者回答(追加質問)を受領後、当社独立委員会は、同日以降、公開買付者からの回答の検討を開始し、電子メール等を通じて議論を行っております。
以上の調査、検討及び評価の過程を経て、当社独立委員会は、2021年3月8日、当社取締役会に対し、当社独立委員会の委員全員一致の意見として、以下の答申を内容とする本答申書を提出いたしました。本答申書の概要は以下のとおりです。
A 本件では公開買付者が意向表明書の事前提出を行わなかったこと、当社による是正要求に対しても公開買付者が何らかの対処を行わなかったこと、並びに当社による本意見表明報告書の提出及び当社独立委員会による追加質問に対しても結果的に公開買付者から必要な情報の提供がされるまでには至らなかったことからすれば、本買収防衛プランに規定する手続を遵守していない。
B 本件で当社が公開買付者に提供を要請した情報は、本買収防衛プランにおいて本必要情報として収集が予定されていた情報のうち、本公開買付届出書によって確認できる事項以外の項目が網羅されており、当社は、公開買付者に対して、企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から合理的に必要な情報の提供を要請したものと認められる。
C 公開買付者から提供された情報は、一定の参考になる情報は含まれているものの、業務面でのシナジーについては具体性を欠くところが多く(またそのことを一部公開買付者自身も認めている。)、資本面での提携の必要性については回答がされていないことからすれば、公開買付者が提供した情報は、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるものでないかについて判断するために十分とはいえない。
D 本件では本買収防衛プランが遵守されなかったため、当社独立委員会が、本買収防衛プランが本来想定しているような態様で本公開買付けの当社の企業価値等への影響を検討することができないという事情が存在すること、公開買付者からの回答の不十分性、当社による本公開買付けに対する分析及び当社に関するその他の事情を勘案すれば、当社独立委員会では、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるか否かについて、本件の事情のもとで断定的な判断を行うことは難しいものの、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げないことが明白であるとはいえない以上、本公開買付けは、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるおそれがあると認めざるを得ない。
E 上記AからDに照らせば、公開買付者が本買収防衛プランに規定する手続を遵守しておらず、また対抗措置を発動させないことが必要であることが明白とはいえず、その他特段の事情も見当たらないので、当社独立委員会としては、本買収防衛プランの規定に基づき、取締役会に対して、本対抗措置の発動を勧告する。また本件の経緯に照らせば、取締役会決議をもって本対抗措置を発動することもやむを得ない。ただし、本公開買付けが撤回された場合及び裁判所による発動の差止命令が確定した場合には、この限りでない。
(a) 諮問事項①(公開買付者による本買収防衛プランに規定する手続の遵守の有無及びその状況に関する調査・検討及び評価を行うこと)について
(ⅰ)諮問事項①の検討
本買収防衛プランは、対象となる大規模買付け等について、意向表明書の事前提出等のステップを経ることが予定されている。しかし、本件では、このステップが遵守されない状態で本公開買付けが開始されており、かつ、本答申書の作成日である2021年3月8日現在においても遵守されていないことは明らかである。
(ⅱ)諮問事項①の結論
以上のような経緯から、公開買付者は本買収防衛プランに規定する手続を遵守していないものと認められる。
(b) 諮問事項②(当社が公開買付者に対して提供を要請する情報の十分性等について、調査、検討及び評価を行うこと。)について
(ⅰ)諮問事項②の検討
本件で当社が提供を要請した情報は、少なくとも、本買収防衛プラン上、予定されている項目としては網羅されており、当社としては、限られた時間の中で可能な限り必要な情報の収集に努めたものと考えられる。このほか、本件で当社が提供を要請した情報の中に、「買収防衛策の導入、発動及び廃止は、企業価値、ひいては、株主共同の利益を確保し、又は向上させる目的をもって行うべきである」という買収防衛指針の基本的な考え方に反するようなものは見当たらない。
(ⅱ)諮問事項②の結論
以上からすれば、突然本公開買付けが開始されたという本件の事情の下では、当社として時間的な制約の中で企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から合理的に必要な情報の提供を要請したものと認められる。
(c) 諮問事項③(公開買付者が提供する情報の十分性等について、調査、検討及び評価を行うこと。)について
(ⅰ)諮問事項③の検討
本件では公開買付者が当社との資本業務提携を企図していることからすれば、当社からの質問の中でも、資本面での提携と業務面での提携によって、当社(公開買付者ではない)の企業価値にどのような影響があるのかは、特に重要な質問であると考えられる。
まず業務面での提携について、本公開買付届出書において、当社の販路の拡大と当社の仕入れコストの低下という一般的な説明に留まっており、なぜそれがシナジーとなるのかは一般の株主にとって不明というほかない。というのも、それが実現可能であるのか、また実現するとしてどの程度の効果が見込まれるのか(他の方策よりも公開買付者との業務提携が魅力的な方策であるのか)についての分析の材料となる情報が見当たらないからである。
なお、この点について当社独立委員会がさらに追加質問で回答を求めたところ、公開買付者は、公開買付者回答(追加質問)で、シナジーが期待できる項目について追記を行っている。もっとも、これらの追記も、従前の回答を一定程度補強し具体化するものではあるものの、上記のような実現可能性の疑義や他の方策と比べての優位性は依然として不明なままである。
このほか、本対質問回答報告書では、当社からの質問のうち一部については、関連がない質問であるという理由で回答を省略しているほか、当社株式の取得の経緯に関する質問に対しても、当社がかつて買収防衛策を廃止した事実を回答として記載しているが、質問と回答が対応していない。
また、資本面での提携を目指す理由についても、質問に対応した回答がされていない。例えば、資本面での提携効果についての参考となる質問として、公開買付者がこれまで投資してきた上場会社に対してどのような影響を及ぼしたかについての質問をしたところ、公開買付者からは、資本面での提携がどのような意味を有するのかについて、説明がされていない。
(ⅱ)諮問事項③の結論
以上のように、公開買付者から提供された情報は、一定の参考になる情報は含まれているものの、業務面でのシナジーについては具体性を欠くところが多く、資本面での提携の必要性については回答がされていない。
したがって、結論として、公開買付者から提供された情報は、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるものでないかについて判断するために十分なものとはいえない。
(d) 諮問事項④(本公開買付けが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるものでないかについて、調査、検討及び評価を行うこと。)について
(ⅰ)諮問事項④の検討
時間的制約及び情報の制約等の各種制約の下で、当社独立委員会として可能な限りの検証を行ったものの、本公開買付けが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるものでないと認める根拠を見いだすことはできなかった。そのため、当社独立委員会では、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるか否かについて、本件の事情のもとでは、断定的な判断を行うことは難しいといわざるを得ない。もっとも、当社独立委員会がこのような時間的制約及び情報の制約の中で検討を行い、上記のような結論を述べざるを得ないことになったのは、もともと、買収提案について検討に必要な時間を確保するために設けられている本買収防衛プランを公開買付者が敢えて遵守せずに本公開買付けに踏み切ったことが原因である。
そもそも、公開買付者側がいうように、本公開買付けによって当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上効果があると考えるのであれば、当社独立委員会に対しても、本買収防衛プランを遵守し、本買収防衛プランが想定する手続の中で十分そのことを証明できるはずである。公開買付者が敢えてそのような選択をしなかったことによって公開買付者が本対抗措置の発動という対応を受けるのも、やむを得ないことといえる。
(ⅱ)諮問事項④の結論
以上の検討からすれば、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げないことが明白であるとはいえない以上、本件の事情のもとでは、本公開買付けは、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるおそれがあると認めざるを得ない。
(e) 諮問事項⑤(本対抗措置の発動の是非(本対抗措置発動の停止、並びに本買収防衛プランの廃止及び変更の是非を含む。)並びに取締役会決議をもって当該措置を発動することの是非及び発動にあたって前提となる条件及び手続等について勧告又は意見の提出を行うこと。)について
(ⅰ)諮問事項⑤の検討
ア 本対抗措置の発動の是非
本買収防衛プランによれば、当社独立委員会は、本買収防衛プランを遵守しない大規模買付け等について、当社が是正を勧告しても是正されない場合には、(ⅰ)当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために対抗措置を発動させないことが必要であることが明白であること、(ⅱ)その他特段の事情がある場合を除き、原則として、対抗措置の発動を勧告するものとされている。
その上で、本件では、公開買付者が本買収防衛プランに規定する手続を遵守せず、また、当社からの本是正要求書による是正の要求にも応じなかった事実が認められる。そのため、本買収防衛プランによると、本件では、上記(ⅰ)(ⅱ)のような事情がない限り、当社独立委員会としては本対抗措置の発動を勧告すべきことになる。
そして、上記(d)で述べたとおり、本公開買付けに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるおそれがないとはいえない以上、上記(ⅰ)のような、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために対抗措置を発動させるべきでないと断定する理由はない。このほか、上記(b)及び(c)で述べた本件における当社と公開買付者との情報の授受の経緯からみても、上記(ⅱ)のような、本対抗措置を発動させないことが必要である特段の事情も見当たらない。
以上から、当社独立委員会は、本買収防衛プランの原則どおり、取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告する。
イ 公開買付者の指摘について
以上に対して公開買付者は、本公開買付届出書において、大規模買付け等において本買収防衛プランが遵守された場合に、原則として対抗措置の発動を勧告しないものとしつつ、企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると認められる事由があれば対抗措置の発動を勧告するものとしていることを踏まえて、公開買付者が本買収防衛プランを遵守しなくても、こうした事由がなければ対抗措置は発動されない(されるべきでない)と主張するようである。
しかし、本買収防衛プランについて、公開買付者の指摘するような解釈が成り立たないことは、本買収防衛プランの規律上も明らかである。すなわち、本買収防衛プランは、本買収防衛プランの手続が遵守されるか否かを大きな分水嶺として、当社独立委員会の本対抗措置の発動の是非に関する勧告の原則的ルールを大きく分けている。
ウ 取締役会決議による本対抗措置の発動の是非
本買収防衛プランでは、必要に応じて発動の可否について株主総会を招集することもあり得るものとされているが、本件では突然本公開買付けが開始されたこともあって、株主総会開催することは事実上不可能である。
そして、このように株主の意思を改めて確認することが事実上不可能な状態にあるのは、公開買付者側が本買収防衛プランの存在を知りながら敢えてそれを遵守しなかったことが原因なのであるから、こうした経緯に照らせば、取締役会決議をもって対抗措置を発動することもやむを得ない。
また、本株主総会で本買収防衛プランが導入された事実は、本株主総会において当社の株主が、「本買収防衛プランが遵守されなければ、独立委員会が原則として本対抗措置の発動を勧告する」という点を是認したことを意味するから、本件のように再度株主総会を開催する時間的余裕が(もっぱら買付者の事情により)ない場合には、導入済みの本買収防衛プランで想定されているとおりに対抗措置を発動するのが、株主の判断に沿う選択であるといえる。
さらに、当社が取得した会社法の分野における複数の学者による見解を示した意見書においても、本対抗措置を取締役会限りで発動することが認められる旨の意見が述べられている。
(ⅱ)諮問事項⑤の結論
以上の検討からすれば、本買収防衛プランの規定に基づき、取締役会に対して、本対抗措置の発動を勧告する。その際、取締役会決議をもって本対抗措置を発動することもやむを得ない。ただし、本公開買付けが撤回された場合及び裁判所による発動の差止命令が確定した場合には、この限りでない。
(イ)独立したリーガル・アドバイザーの選任
当社は、本公開買付けの評価及び検討に際して、意思決定過程における公正性・適正性を確保するため、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、その法的助言を踏まえて、本公開買付けについて慎重に評価及び検討しております。また、当社は本買収防衛プランに基づく新株予約権の無償割当てに関する意思決定過程における公正性・適正性を確保するため、アンダーソン・毛利・友常法律事務所からの法的助言を踏まえて、慎重に検討を行っております。
なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、公開買付者又は当社との間に重要な利害関係を有しておりません。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
| 岩 佐 恭 知 | 代表取締役社長 | 129,921 | 1,299 |
| 三 上 仙 智 | 取締役 コーポレート本部長 |
33,477 | 334 |
| 中 村 篤 志 | 取締役 商事本部長 |
11,142 | 111 |
| 田 中 喜佐夫 | 取締役 | 235,282 | 2,352 |
| 後 藤 昌 弘 | 取締役 | ― | ― |
| 内 藤 昭 治 | 取締役 | ― | ― |
| 土 地 陽 子 | 取締役 | ― | ― |
| 大 石 富 司 | 取締役 (監査等委員) |
110 | 1 |
| 林 高 史 | 取締役 (監査等委員) |
31,698 | 316 |
| 梅 野 勉 | 取締役 (監査等委員) |
― | ― |
| 池 田 桂 子 | 取締役 (監査等委員) |
― | ― |
| 蒲 生 貞 一 | 取締役 (監査等委員) |
― | ― |
| 計 | ― | 441,630 | 4,413 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のもの(ただし、当社役員持株会を通じた所有株式数及びそれに係る議決権の数については2021年1月31日現在のもの)です。
(注2) 取締役田中喜佐夫、後藤昌弘、内藤昭治、土地陽子、林高史、梅野勉、池田桂子及び蒲生貞一は社外取締役です。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
該当事項はありません。
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
(ア)新株予約権の無償割当ての決定に至った経緯及び理由
当社においては、2020年6月24日開催の当社の第69期定時株主総会において、本買収防衛プランが株主の皆様の賛成多数の承認を得て継続されております。本買収防衛プランにおいては、当社が発行者である株式等についての当社の特定の株主の株式等保有割合(注)が20%以上となる買付けを含む本買収防衛プランにおいて「大規模買付け等」として定義された株式等の取得(以下「大規模買付け等」といいます。)を行おうとする者(以下「買付者等」といいます。)は、当社へ意向表明書を事前に提出することや、大規模買付け等に対する株主及び投資家の皆様のご判断等のための情報提供を行うこと等の一定の措置を講じることが求められております。本買収防衛プランにも記載されておりますとおり、これは、買付者等による情報提供、当社取締役会による検討・評価といったプロセスを実施することにより、大規模買付け等の開始前に所要の情報提供や検討期間を確保するためのものであって、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大規模買付け等を可及的に排除するために必要かつ有効なものであると考えております。
それにもかかわらず、公開買付者は本買収防衛プランの手続を一切遵守することなく、本公開買付けを開始しております。
本買収防衛プランにおいては、当社独立委員会は、買付者等が本買収防衛プランに規定する手続につきその重要な点において違反した場合で、当社取締役会がその是正を書面により当該買付者等に対して要求した後5営業日(初日不算入)以内に当該違反が是正されない場合には、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために対抗措置を発動させないことが必要であることが明白であることその他特段の事情がある場合を除き、原則として、当社取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告することとされております。
当社取締役会は、2021年2月10日、公開買付者に対し、本買収防衛プランに規定する手続の違反の是正を書面により要求いたしましたが、5営業日後である同月18日までに当該違反は是正されませんでした。
当社独立委員会は、本公開買付けが本買収防衛プランに規定する手続につきその重要な点において違反していることに加えて、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために対抗措置を発動させないことが必要であることが明白であることその他特段の事情も認められないと判断し、2021年3月8日、当社取締役会に対して、本対抗措置の発動を勧告いたしました。
かかる当社独立委員会の勧告を受け、当社取締役会は、取締役全員の一致により、本対抗措置として、新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)の無償割当てを決議いたしました。
なお、当社独立委員会に対する諮問事項及びこれに対する答申の内容、並びに当社独立委員会の検討過程については、上記「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5) 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等」の「(ア)当社独立委員会への諮問」をご参照ください。
(注) 法第27条の23第1項に規定される「株券等保有割合」を意味するものとします。
(イ)新株予約権の無償割当て
当社は、本答申書を受け、当社取締役会は、取締役全員の一致により、本対抗措置として、本新株予約権の無償割当てを決議いたしました。詳細は、当社が公表した2021年3月8日付の「買収防衛策に基づく新株予約権の無償割当て及び新株予約権の無償割当てに係る基準日設定に関するお知らせ」をご参照ください。
なお、当社は、会社法の分野における複数の学者による見解を示した意見書を取得しており、当該意見書においては、本買収防衛プランに従って取締役会決議をもって本対抗措置を発動することについて法的に問題がない旨の意見が記載されています。
なお、2021年3月11日付で、公開買付者は、本新株予約権の無償割当ての差止等請求に係る仮処分の申立て(以下「本申立て」といいます。)を名古屋地方裁判所に行い、2021年3月12日付で、当社は本申立ての申立書を受領いたしました。当社は、2021年3月8日付の意見表明報告書の訂正報告書にて本公開買付けに対して反対の意見を公表しておりますが、当社といたしましては、公開買付者が2021年3月11日付「日邦産業株式会社の買収防衛策に基づく新株予約権の新株予約権無償割当て差止仮処分の申立てに関するお知らせ」の中で主張する本買収防衛プランの無効理由は、いずれの点においても、全く理由のないものと考えております。
7 【公開買付者に対する質問】
該当事項はありません。
8 【公開買付期間の延長請求】
該当事項はありません。
以 上
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