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YASUHARA CHEMICAL CO.,LTD.

M&A Activity Nov 4, 2025

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 意見表明報告書_20251104152411

【表紙】

【提出書類】 意見表明報告書
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2025年11月4日
【報告者の名称】 ヤスハラケミカル株式会社
【報告者の所在地】 広島県府中市高木町1071番地
【最寄りの連絡場所】 広島県府中市高木町1071番地
【電話番号】 0847(45)3530(代表)
【事務連絡者氏名】 取締役  栗本 倫行
【縦覧に供する場所】 ヤスハラケミカル株式会

(広島県府中市高木町1071番地)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

(注1) 本書中の「当社」とは、ヤスハラケミカル株式会社をいいます。

(注2) 本書中の「公開買付者」とは、YAHO株式会社をいいます。

(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しません。

(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。

(注5) 本書中の「株券等」とは、株式等に係る権利をいいます。

(注6) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。

(注7) 本書の提出に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、法で定められた手続及び情報開示基準に従い実施されるものです。

(注8) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。

E01033 49570 ヤスハラケミカル株式会社 YASUHARA CHEMICAL CO.,LTD. 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 1 false false false E01033-000 2025-11-04 xbrli:pure

 意見表明報告書_20251104152411

1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   YAHO株式会社

所在地  広島県府中市高木町1071番地 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)意見の内容

当社は、2025年10月31日付の当社取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

なお、当該取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である取締役を含む。)の承認」に記載の方法により決議されております。

(2)意見の根拠及び理由

本「(2)意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

① 本公開買付けの概要

公開買付者は、本書提出日現在において、当社の代表取締役社長かつ当社の第二位株主である安原禎二氏(所有株式数:1,186,560株、所有割合(注1):13.07%)が、その発行済株式の全てを所有する株式会社であり、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場へ上場している当社が発行する普通株式を取得及び所有することを主たる目的として、2025年9月29日に設立され、安原禎二氏が代表取締役を務める会社であるとのことです。(注2)なお、本書提出日現在、公開買付者は、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を所有していないとのことです。

(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年10月31日に公表した「2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(非連結)」に記載された2025年9月30日現在の発行済株式総数10,839,663株から、同日現在の当社が所有する自己株式数(1,763,993株)を控除した株式数(9,075,670株。以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。

(注2) 公開買付者の設立時の代表取締役は松井和則氏であったところ、2025年10月30日付で同氏は代表取締役の地位を辞任し、安原禎二氏が公開買付者の代表取締役に就任しているとのことです。

今般、公開買付者は、東京証券取引所スタンダード市場へ上場している当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式(以下に定義します。)を除きます。)を取得し、当社株式を非公開化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することとしたとのことです。

本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注3)に該当し、安原禎二氏、安原禎二氏の親族であり、当社の代表取締役常務である新井隆太郎氏(以下「新井隆太郎氏」といいます。新井隆太郎氏は当社株式を所有しておりません。)及び安原禎二氏の親族であり、当社の取締役である原田桂子氏(以下「原田桂子氏」といいます。所有株式数:139,230株、所有割合:1.53%)(安原禎二氏、新井隆太郎氏、原田桂子氏を総称して、以下「安原禎二氏ら」といいます。)は、本取引後も継続して当社の経営に当たる方針ですが、本取引の成立後、当社とも協議の上、決定していく予定とのことです。公開買付者と当社のその他の取締役との間には、本公開買付け後の役員就任について特段の合意はないとのことです。

(注3) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。

本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、当社の筆頭株主であるワイエス興産有限会社(以下「ワイエス興産」といいます。所有株式数:1,237,032株、所有割合:13.63%)、安原禎二氏(所有株式数:1,186,560株、所有割合:13.07%)、安原禎二氏の親族である沖津弘之氏(所有株式数:145,820株、所有割合:1.61%)及び原田桂子氏(所有株式数:139,230株、所有割合:1.53%)との間で、2025年10月31日付で、それぞれが所有する当社株式の全て(合計:2,708,642株、所有割合:29.85%)を本公開買付けに応募しない旨、及び本公開買付けが成立した場合には本臨時株主総会(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に定義します。以下同じです。)において本スクイーズアウト手続(以下に定義します。以下同じです。)に関連する各議案に賛成する旨を書面で合意しているとのことです(これらの合意を総称して、以下「本不応募契約」といい、そのうち、沖津弘之氏及び原田桂子氏との間で締結するものを、以下「本不応募契約(沖津氏ら)」といいます。)。

また、公開買付者は、当社の第四位株主であり、安原禎二氏の親族である沖津妙子氏(所有株式数:506,178株、所有割合:5.58%)より、その所有する当社株式のうち、一部を本公開買付けに応募したい旨の意向を受けたことから、沖津妙子氏との間で、2025年10月31日付で、その所有する当社株式のうち、40,000株(所有割合:0.44%)を本公開買付けに応募し、残りの466,178株(所有割合:5.14%)は本公開買付けに応募しない旨、及び本公開買付けが成立した場合には本臨時株主総会において本スクイーズアウト手続に関連する各議案に賛成する旨を書面で合意しているとのことです(以下「本応募・不応募契約」といいます。)。

以上のとおり、公開買付者は本公開買付けに関して、(ア)ワイエス興産(所有株式数:1,237,032株、所有割合:13.63%)、安原禎二氏(所有株式数:1,186,560株、所有割合:13.07%)、沖津妙子氏(所有株式数:466,178株、所有割合:5.14%)、沖津弘之氏(所有株式数:145,820株、所有割合:1.61%)及び原田桂子氏(所有株式数:139,230株、所有割合:1.53%)(以下、総称して「本不応募合意株主」といいます。)との間で、それぞれが所有する当社株式の合計3,174,820株(所有割合:合計34.98%、以下「本不応募合意株式」といいます。)について本公開買付けに応募しない旨並びに(イ)沖津妙子氏との間で、沖津妙子氏が所有する当社株式40,000株(所有割合:0.44%)について本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。

さらに、本不応募契約(沖津氏ら)及び本応募・不応募契約においては、本スクイーズアウト手続として行われる当社株式の株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)に定義します。以下同じです。「本株式併合」といいます。)の効力発生前に、公開買付者の要請に従い、沖津妙子氏に対して、沖津弘之氏及び原田桂子氏がそれぞれ所有する当社株式の全部又は一部を貸し付ける取引(以下「本貸株取引」といいます。)を行う旨をそれぞれ合意しているとのことです。なお、沖津弘之氏及び原田桂子氏は、それぞれ、沖津妙子氏の配偶者及び一親等内の血族であることから、本貸株取引を行う日以前1年以上継続して法第27条の2第7項第1号に定める形式的特別関係者に該当するとのことです。したがって、本貸株取引は、いずれも法第27条の2第1項但書に定める「適用除外買付け等」に該当することになるとのことです。

加えて、公開買付者は、当社の第六位株主である有限会社マキ(所有株式数:403,725株、所有割合:4.45%)及び当社の株主である安原禎二氏の親族3名(所有株式数:594,880株、所有割合:6.55%)(有限会社マキ及び当該親族3名を総称して「本応募合意株主」といいます。)との間で、2025年10月31日に、それぞれが所有する当社株式の全て(合計:998,605株、所有割合:11.00%)を本公開買付けに応募する旨を口頭で合意(以下「本応募合意」といいます。)しているとのことです。

本不応募契約、本応募・不応募契約及び本応募合意の詳細につきましては、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における本公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。

これにより、本公開買付けが成立した場合、当社の株主は、(ⅰ)下記買付予定数の下限に相当する当社株式2,875,600株(所有割合31.68%)以上を所有する公開買付者、(ⅱ)本不応募合意株主(所有割合:34.98%)(ⅲ)本公開買付けに応募しなかった当社の株主(但し、公開買付者及び本不応募合意株主を除きます。)となる予定とのことです。そして、本公開買付け成立後に実施を予定している本スクイーズアウト手続及びその後の本貸株取引の解消により、(ⅰ)公開買付者及び(ⅱ)本不応募合意株主のみが当社の株主となることを予定しているとのことです。

公開買付者は、本公開買付けにおいて2,875,600株(所有割合:31.68%)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(2,875,600株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。一方、本公開買付けは当社株式を非公開化することを目的としているため、公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(2,875,600株)以上の場合は応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(2,875,600株)は、本基準株式数(9,075,670株)に係る議決権数(90,756個)に3分の2を乗じた数(60,504個、小数点以下切り上げ)より、本不応募合意株主が所有する本不応募合意株式に係る議決権数の合計(31,748個)を控除した議決権数(28,756個)に、当社の単元株式数である100株を乗じた株式数としているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本取引においては当社株式を非公開化することを目的としているところ、本株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされていることを踏まえ、本取引を確実に実施できるように設定したものであるとのことです。なお、本不応募合意株式については、本不応募合意株主との間で本公開買付けに応募しない旨及び本公開買付けが成立した場合には本臨時株主総会において本スクイーズアウト手続に関連する各議案に賛成する旨の合意が成立しているため、上記の議決権数の算定において控除しているとのことです。

公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。詳細については、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。)を実施する予定とのことです。

本スクイーズアウト手続として行われる本株式併合の効力発生日において、公開買付者及び本不応募合意株主以外に、これらの株主がそれぞれ所有する当社株式の数のうち最も少ない数以上の当社株式を所有する当社の株主が存在することを可及的に避け、本スクイーズアウト手続の安定性を高めるため、公開買付者の要請があった場合には、本株式併合の効力発生前を効力発生時として、本貸株取引を実施する可能性があるとのことです。具体的には、①沖津弘之氏及び原田桂子氏が本貸株取引における貸主となり、それぞれが所有する当社株式の全部又は一部を沖津妙子氏へ貸し出すこと、②本貸株取引における借主となった沖津妙子氏が、各貸主に対して、本株式併合の効力発生後、本貸株取引を解消し、当該借り受けた当社株式の全てを返却(以下「本貸株返却」といいます。)することを通じて、各貸主が本スクイーズアウト手続後も当社株式を継続して所有することを実現する予定とのことです。なお、本貸株取引が実行される場合には、借主となる沖津妙子氏が、本株式併合後に、借り受けた当社株式と同等の価値の当社株式を返却できるようにするため、公開買付者は、当社に対して、公開買付者の別途指定する基準日及び割合をもって、当社株式の分割(以下「本株式分割」といいます。)を行うことを要請する予定ですが、本書提出日現在において詳細は未定とのことです。また、貸株料は無償とする予定とのことです。

また、公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、株式会社三菱UFJ銀行からの借入れ(以下「本ローン」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに、本ローンに係る借入れを行うことを予定しているとのことです。

さらに、公開買付者は、最終的に公開買付者が当社の唯一の株主となることを予定しており、かかる目的を達成する手段として、本スクイーズアウト手続の完了を条件として、公開買付者を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とし、公開買付者の株式を対価とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を実施することを予定しておりますが、本書提出日現在において、詳細については未定とのことです(注4)。

(注4) 本株式交換の株式交換比率を定めるに当たっては、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反しないよう、当社株式の価値は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と実質的に同額で評価する予定とのことです。

以下は、本取引の概要を図示したものとのことです。

Ⅰ.現状

(本書提出日現在)

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Ⅱ.本公開買付けの実施後

(2025年12月下旬を予定)

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Ⅲ.本貸株取引(必要に応じて)

(2026年3月上旬~中旬頃を予定)

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Ⅳ.本スクイーズアウト手続の実施後

(2026年3月上旬~中旬頃を予定)

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Ⅴ.本株式分割後、本貸株返却を実施(本貸株取引を実施した場合)

(2026年3月上旬~中旬頃を予定)

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Ⅵ.本株式交換の実施後

(本スクイーズアウト手続の完了後、実務上可能な限り速やかに実施。具体的な実施日程は未定)

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② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針

(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

当社は、創業者である安原弘氏によって、1959年2月に現在の広島県府中市目崎町において、テルペン(注1)、ロジン(注2)及びパインタール(注3)の生産を目的に、安原油脂工業株式会社として設立され、1989年10月に現在の商号であるヤスハラケミカル株式会社に商号変更されました。また、当社株式については、「事業内容を公開し、資金調達の円滑化により財務体質の強化をはかり、社会的信用度の向上により、社員のモラールアップと優秀な人材の確保を容易にして、今後より一層事業基盤の拡大と企業内容の充実をなし、社会的使命をはたすこと」を目的として1995年2月に広島証券取引所に上場し、1996年2月に大阪証券取引所市場第二部に上場しております。その後、2000年3月に実施された東京証券取引所と広島証券取引所の合併に伴い、東京証券取引所市場第二部に株式を上場し、2003年12月には大阪証券取引所市場第二部における上場を廃止し、本書提出日現在においては、2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直し後、東京証券取引所スタンダード市場に上場しております。

当社は、本書提出日現在、天然物由来のテルペン油を主な原材料として活用し、テルペン化学製品及び機能性コンパウンド事業を展開しております。それぞれの事業内容は以下のとおりです。

(注1) 「テルペン」とは、炭素と水素からなるイソプレンを基本構造とし、植物体内で作られ植物の精油に多く含まれる天然の有機化合物の総称です。

(注2) 「ロジン」とは、松脂を加熱して揮発性成分を取り除いた後に残る固形物質をいいます。

(注3) 「パインタール」とは、松の木を乾留して得られる黒褐色の粘性の液体をいいます。

A)テルペン化学製品事業

主に、テルペン樹脂(注4)、テルペンフェノール樹脂(注5)等の粘着・接着用樹脂及びオレンジ油(注6)、テレピン油(注7)等の化成品の製造・販売を行っております。

脱炭素やカーボンニュートラルなど、社会全体の環境に対する意識の変化に伴い、石油由来製品から天然物由来製品に更なる注目が集まると考えており、新規材料として顧客の機能ニーズに合わせた樹脂の開発に注力し、次世代粘着・接着剤、タイヤ用途などをはじめとしたモビリティ・電子材料・環境関連分野への展開を進めております。また、既存製品の高付加価値分野への展開支援として製品の改良を行い、テルペンの性能やサステナビリティを活かせるニッチ分野への展開を進めております。

今後は、調達してきた天然物由来のテルペン資源を効率的に活用させるため、自動車、電子材料、ヘルスケアなどの高付加価値分野や、環境対応、再生可能資源であることなど、天然物由来としての価値が認められる分野の開拓と新規テルペン原料の探索と開発を行い、顧客ニーズに合わせた展開に注力していく方針です。

(注4) 「テルペン樹脂」とは、天然ゴム等の様々な高分子材料に配合されると可塑化作用により粘着性を引き出す働きがある植物由来の合成樹脂をいいます。

(注5) 「テルペンフェノール樹脂」とは、高い軟化点と耐熱性を有しており、植物由来の再生可能な有機資源(バイオマス原料)であるテルペンモノマー(注8)とフェノール(注9)を共重合した樹脂をいいます。

(注6) 「オレンジ油」とは、柑橘類の果皮を主に低温圧搾することで抽出される揮発性の精油をいいます。

(注7) 「テレピン油」とは、マツ科植物の樹脂(松脂)や木材を主に水蒸気蒸留することで得られる揮発性の精油をいいます。

(注8) 「テルペンモノマー」とは、テルペン構造を持つ単一の分子(モノマー)で、高分子(ポリマー)を作るための原料になる化合物をいいます。

(注9) 「フェノール」とは、ベンゼン環にヒドロキシ基が1つ結合した構造を持つ有機化合物をいいます。

B)機能性コンパウンド製品事業

主に、食品用等のホットメルト接着剤(注10)、光沢化工紙用等のラミネートフィルム(注11)の製造・販売を行っております。

ホットメルト接着剤においては、各国の食品容器規制に適応する製品の開発を行い、市場展開をはかってきました。また、高機能添加剤を配合し、機能性フィルム用接着剤として、フィルム、シートメーカーとの取り組みを進めております。また、エラストマー加工技術(注12)を活かした新規高機能接着剤を食品、日用品、建材分野への用途開発及び市場展開をはかっております。環境配慮型接着剤として、グリーンプラスチック(注13)、バイオマスプラスチック(注14)の利用による接着剤開発を進め、脱溶剤、VOC(注15)削減を含めた新たな用途探求に取り組んでおります。ラミネート品に関しては、光沢加工市場のニーズに合わせた品質向上に注力し、顧客満足度の向上に取り組んできました。

今後は、市場環境変化に伴い多様化する顧客の要求に柔軟かつ迅速に対応するため、更なる商品開発力の強化を可能にする体制構築を実現し、事業の競争力を図っていく方針です。

(注10) 「ホットメルト接着剤」とは、食品包材や自動車、建材等の様々な分野で使用され、加熱によって溶融し冷却によって固化するタイプの接着剤をいいます。

(注11) 「ラミネートフィルム」とは、紙や合成紙等の表面の美装や保護を目的に、溶剤を使用せずに熱圧着することで貼り合わせができるようにあらかじめ接着剤が塗布してあるフィルムをいいます。

(注12) 「エラストマー加工技術」とは、常温でゴムのような弾性とプラスチックのように加工がしやすい特徴を併せ持つエラストマー素材を用いて、製品を製造する技術をいいます。

(注13) 「グリーンプラスチック」とは、微生物の働きで水と二酸化炭素に分解できる生分解性プラスチックをいいます。

(注14) 「バイオマスプラスチック」とは、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来の再生可能な有機資源(バイオマス)を原料として作られたプラスチックをいいます。

(注15) 「ⅤOC」とは、「Ⅴolatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)」の略であり、常温で容易に気化する有機化合物の総称で、空気中に揮発して大気汚染や健康被害の原因となる物質群をいいます。

当社は、将来の枯渇及び環境への影響が心配される石油資源とは異なり、植物由来であり再生可能なテルペンという天然物由来原料を出発点とした製品を世の中に供給しており、粘着・接着剤、ゴム・プラスチックの改質材、香料原料、洗浄剤、電子材料、医薬原料などあらゆる分野の製品に応用され、社会の基盤や暮らしを支えております。さらに今後再生可能原料であるテルペンは、環境・エネルギー関連分野、情報技術関連分野及びライフサイエンス分野への応用によってSDGsへの貢献も期待されており、当社はこれまでに培ってきた基盤技術を発展させ、これら新しい分野への応用と欧米及び東南アジア市場への拡販に積極的に取り組んでまいります。

また、当社は事業戦略の推進において、「人のチカラ」が最も重要であると強く認識をしており、以下の行動方針(BEST)を掲げ、社員の意識改革に繋がる教育投資、自律型人材育成を積極的に推進してきました。

・私たちは、向上心をもって何事にもBetterを実践します。

・私たちは、職務の重要性を認識しExpertを目指し、努力します。

・私たちは、創造と挑戦するSpiritを発揮します。

・私たちは、相互に尊重しあいTeam Workをもって行動します。

一方で、これらのビジネス領域においては、石油系大手企業との厳しい競争環境に加えて、主要原材料であるテルペン類の調達価格が、国際市況や気候、主要プロダクトの生産量等の、当社ではコントロールが難しい多数の外部要因により大きく左右される事業構造となっております。特に、主要調達国である中国及びブラジルにおいては、経済発展に伴う林・農業従事者の減少や労働力不足等の産業構造的課題に加え、経済情勢の変動が原材料供給に直接的な影響を及ぼしております。加えて、グローバルで進行するデジタル化・ペーパーレス化の潮流は、パルプ・紙用途で副産物として得られるテルペン類の供給量を減少させる要因となっております。さらに、気候変動の影響により、柑橘類の収穫量が不安定化しており、主要原材料であるオレンジ油の供給量が減少傾向にあり、これによりテルペン類の調達環境は年々厳しさを増しております。

加えて、ウクライナ情勢や中東地域の緊張等の地政学的リスク、米国の関税政策を背景とした国際的なエネルギー価格のボラティリティの高まり、並びに日米間の金利差に伴う円安によって、原材料の価格上昇を招き、製造コストの継続的な増加要因となっております。また、香料・化粧品・医薬品業界等、テルペン類を高機能素材として活用する他業界との調達競争も激化しており、安定的かつ有利な条件での原材料確保は一層困難な状況にあると認識しております。

このような事業環境の急速な変化に加え、テルペン樹脂・化成品は徹底した機能性の追求がなければ安価な石油樹脂等への代替リスクに晒される競争の激しい素材ビジネスであり、ホットメルト接着剤の市場は新興国を中心に需要の増加が見込まれる一方で、顧客ニーズは「大量の製品」を「いかに早く」、そして、「安い価格」で調達することに収斂しており、生産能力が高い大手企業等との厳しい価格競争等の困難な課題に晒されております。また、モビリティや医療、電子材料等の高付加価値分野においては、最終製品の技術進化や需要動向の変化が年々激しさを増しており、厳しい市場環境を勝ち抜くためには、多様化かつ高度化する顧客ニーズへの迅速な対応が求められている状況です。

このような事業環境下において、安原禎二氏らは、2022年4月、当社が従前より直面していた石油系大手企業との競争激化に加え、国際情勢等も不透明さを増しテルペン類の調達環境の変化が激しくなることが予想される中で、当社が従来の施策や各年度の戦略を遂行するだけでは、中長期的かつ持続的な成長を図ることが困難になる可能性があると認識するようになったとのことです。

また、安原禎二氏らは、2025年3月、インフレの長期化や国際情勢の不安定化等、当初の想定以上に競争と不透明さが増す業界環境において、当社がさらなる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し継続的な企業価値向上を実現するためには、足元の業績や株価だけを追求するのではなく、既存施策の深化や新規施策を迅速に実行する必要があると考えるようになり、具体的な施策の検討を開始したとのことです。具体的には、下記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の各施策を実行することを考えているとのことです。

(Ⅰ)最適な調達体制の構築による収益力改善

当社は原材料であるテルペン類を全量輸入に頼っており、仕入価格は国際市況や為替相場の変動による影響を受け大きく変動するリスクを抱えております。そのため、当社はこれまでも仕入価格の変動リスクに備えるために、市況を意識した一括調達や、調達地域の分散、また備蓄量を勘案した調達等を行ってきました。

しかしながら、原材料の調達環境が不透明でかつより一層の厳しさを増している中で、収益力改善に向けて、原材料を継続的に好条件で調達するには、安原禎二氏らは、テルペン類の市況を見極めた上での一括調達について、従来以上に大胆に取り組むことが必要だと考えているとのことです。具体的には、主要原材料であるテレピン油やオレンジ油について、今後の製品需要等を見据えた上での一括購入を検討しており、特に価格変動の影響を受けやすいオレンジ油に関しては、オレンジの収穫期前の早期契約や複数サプライヤーとの交渉を通じて、より有利な条件での調達を検討しているとのことです。

現状でも原材料の一括調達に起因する短期的なキャッシュ・フローのマイナスは発生しており、上記の取り組みにより、当該影響は一層大きくなることを予想しておりますが、安原禎二氏らは、大胆な一括調達を含む最適な原材料の調達体制を構築することは調達コストの安定化と収益力の改善につながり、当社の中長期的な企業価値向上にも寄与するものと考えているとのことです。

(Ⅱ)更なる高付加価値製品の創出を目指した新たな研究開発・製造・営業体制の構築

当社は、顧客の要求に対して、柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築すべく、2023年に、従来のサプライチェーンの枠組みにとらわれずにイノベーティブな切り口の研究開発で市場に新たな価値を創り出すことに特化したイノベーション室と事業別営業部を設置したことに加え、2025年の事業別研究部の設置等を通じて研究開発及び営業力強化に注力してきました。

一方で、安原禎二氏らは、技術革新が加速する市場環境下で多様化・高度化する顧客ニーズを的確かつ迅速に捉え、それを製品開発・製造プロセスへと確実に反映させ、更なる高付加価値製品を創出するには、当社における組織体制を見直し、研究開発・製造・営業が密接に連携するシームレスな体制を構築することが必要だと考えているとのことです。具体的には、顧客の潜在的課題を起点とした提案活動を可能にするソリューション型営業の更なる強化、最終消費者や顧客のニーズを起点とした製品企画を行うマーケットイン発想の導入、さらに、研究開発・製造・営業の各機能が情報をスムーズに共有・連携できるシステム・体制の整備等の推進を検討しているとのことです。

これら施策に付随する今後の体制整備や人材育成、システム投資の進展に伴い、短期的には利益やキャッシュ・フローへの影響が生じる可能性がある一方で、安原禎二氏らは、これらの施策は、ソリューション型営業体制の確立による顧客との関係性の深化、他社に代替されない高付加価値製品のラインアップ拡充による収益構造の強化を通じて、当社の中長期的な企業価値向上に資すると認識しているとのことです。

(Ⅲ)成長の加速に向けたグローバル展開への更なる注力

安原禎二氏らは、人口減少に伴い国内市場の縮小が見込まれる中、環境意識の高まりを背景に天然物由来原料への需要が拡大する欧米市場や、成長ポテンシャルの高い東南アジア諸国を中心にグローバル展開を加速させたいと考えているとのことです。

具体的には、現地市場の特性や法規制、サプライチェーン構造を踏まえた製品仕様の最適化を図るとともに、現地ニーズに即した製品開発体制の強化、海外向け製品の専用製造ラインの確保、及びマーケティング・営業機能の拡充に向けた人材採用・育成を検討しているとのことです。また、既存の進出国である中国やタイ、フィリピン等の東南アジア、アメリカ、メキシコ、オランダ等の欧米諸国における販売活動に加え、周辺国への輸出拡大を視野に入れた市場調査、現地代理店・販売パートナーとの連携強化、物流網の再構築等を検討しているとのことです。

安原禎二氏らは、これらの施策は、短期的には投資負担や収益変動リスクを伴う可能性があるものの、グローバル市場における販売機会の拡大、地域分散による事業ポートフォリオの安定化を通じて、中長期的な企業価値の向上に資するものと認識しているとのことです。

(Ⅳ)自律型人材の育成やダイバーシティ戦略の加速による「人のチカラ」の更なる強化

安原禎二氏らは、企業価値向上の基盤として従来より「人のチカラ」を最重要視し、2009年より『人材育成プロジェクト』を始動し、教育制度の抜本的改革や、柔軟かつ働きやすい雇用環境の整備に向けた行動計画の策定・実行を継続的に進めることで、人的資本は着実に強化されたものと考えているとのことです。

上記(Ⅰ)乃至(Ⅲ)の各種施策を実現するためには、この「人のチカラ」の強化が引き続き不可欠であり、当社の持続的成長における最重要施策と位置づけているとのことです。

一方で、日本国内における労働人口の減少は、産業全体にとって構造的な課題であり、優秀な人材の確保は今後さらに困難になると認識しているとのことです。加えて、事業環境の不確実性が高まる中で中長期的な成長を実現するためには、従来とは異なる企業変革を牽引できる自律型人材の育成と、多様性に富んだ柔軟な組織体制の構築が不可欠であり、従来以上に抜本的な施策が必要になると考えているとのことです。

具体的な施策としては、自発的な行動を促進する裁量評価を軸とした新たな人事制度の導入、自律型人材の育成を目的としたリーダーシッププログラムや専門スキル研修の拡充、女性管理職比率の向上に加え、若手・シニア人材の積極的登用による組織の多様性強化、さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や業務の省人化を通じて、従業員が創造性や付加価値の高い業務に集中できる環境整備を検討しているとのことです。

これらの取り組みは、短期的には教育投資や人事制度改革に伴う利益水準の悪化を招く可能性があるものの、人的資本の強化を通じて、当社の中長期的な企業価値の向上に資する施策であると考えているとのことです。

安原禎二氏らは、これらの各施策のうち、施策(Ⅰ)については長期的な調達コストの安定化、施策(Ⅱ)については高付加価値製品の拡充による収益性の向上を通じて、それぞれ収益力向上に繋がること、また、施策(Ⅲ)についてはグローバル展開による売上成長機会の獲得を通じた更なる成長、施策(Ⅳ)については人的資本の強化による組織の持続的な競争力向上等に寄与することから、中長期的に見れば、(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の施策は、当社の成長及び企業価値の向上に資するものであると考えたとのことです。

一方で、中長期的な視点で企業価値向上に資する上記の各種施策を積極的かつ機動的に実行する場合、これらの施策の実行のために限られた経営資源を集中的に投入することが不可欠になりますが、これらの施策は直ちに当社の業績に貢献するものではなく、相応の時間と各種先行投資が必要になることから、安原禎二氏らは、一時的な利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化により、短期的には当社の財務状況や業績に大きな影響を与えるリスクがあり、結果として期待される収益を生むことができない可能性も否定はできないと考えるようになったとのことです。

また、安原禎二氏らは、当社が上場企業である以上、短期的な業績に対してコミットメントが求められる中、上記の各種施策の実行及び短期的な利益にとらわれない中長期的な成長を優先する経営の意思決定を行う結果、資本市場から十分な評価が得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性もあるため、当社が上場を維持したままで上記の各種施策を実行することは困難である可能性もあり、資本市場からの短期的な株価や業績への期待に応えることと上記の各種施策の積極的かつ機動的な実行の両立は、難易度が高いものと認識するようになったとのことです。同時に、当社が直面するテルペン類の厳しい調達環境や、激化する石油系大手企業との競争環境下で勝ち抜くためには、可及的速やかにこれらの施策を実施するべきであると認識するようになったとのことです。

加えて、安原禎二氏らは、1995年に広島証券取引所に株式を上場して以来、知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきた一方で、当社は上場来エクイティ・ファイナンスによる資金調達を実施しておらず、健全な財務基盤をもとに金融機関と良好な関係を構築しており、間接金融を通じて企業価値向上を目指した各種施策の実行のために必要に応じた資金調達を行うことが可能であると考えているため、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性が当面見込まれていないこと、さらには、当社は50年以上にわたるテルペン化学製品のリーディングカンパニーと考えており、事業活動を通じて、一定のブランド力や知名度、取引先からの信用力等、盤石な事業基盤を既に確保しており、上場を維持していなくても、優秀な人材の確保を継続することが可能であり、各種施策の実行は取引先の企業価値向上にも資するため、中長期的には取引先との関係性は一層強化されるものと考えていることから、現在では当社が上場を維持する必要性やメリットが低下している状況であると考えたとのことです。

また、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制の強化等により、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示のための対応事項は年々増加しており、上場会社として株式上場を維持するために必要な会計監査人監査報酬や株主総会費用、証券代行関連費用等、人的・金銭的コストの負担は増加傾向にあり、安原禎二氏らとしては、これらのコストが当社の経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないことから、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあるとの考えに至ったとのことです。

以上のとおり、安原禎二氏らは、2025年3月以降、上記の各施策の実施には相応の時間を要する可能性が高い点、事業環境の変化及び市場での競争激化により各施策を迅速に実施する必要がある点、非公開化に伴う当社の事業面・財務面への影響及び各ステークホルダーへの影響、増加傾向にある上場維持のコストについて慎重に検討を重ねた結果、2025年6月、短期的な利益にとらわれずに、安定的かつ持続的に当社の企業価値を向上させるためには、当社株式を可能な限り早期に非公開化することが、上記の各施策の実行に伴う一時的な業績の悪化等によって株価が低迷するといった当社の株主の皆様のリスク負担を回避しつつ、各施策を機動的に実践するために最も有効な手段であるとの結論に至ったとのことです。

その後、安原禎二氏らは、上記の施策を中長期的な視点から一貫性をもって実践し、企業価値向上を実現するためには、これまでの当社の事業運営の連続性を確保しつつ当社株式を非公開化する必要があり、そのためには、当社の創業家一族であり、当社の事業内容を熟知している安原禎二氏らが継続して経営に当たること、また、一般株主に代わるリスクの担い手として創業家一族が株主となることで、当社の経営陣と株主が一体となり、これまで以上に柔軟かつ機動的に経営判断を行うことが必要であると考え、2025年6月下旬、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法が最適な手段であるという結論に至ったとのことです。

以上の考えにより、安原禎二氏らは、本取引に関してさらに検討を進めるにあたり、2025年7月上旬、公開買付者、当社及び本不応募合意株主(以下、総称して「公開買付関連当事者」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社を、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選定し、具体的な検討を開始したとのことです。そして、安原禎二氏は、2025年7月17日に、当社に対して、公開買付者による当社株式の非公開化を行うことについて、法的拘束力を伴わない初期的な提案書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出するとともに、デュー・ディリジェンスを実施したい旨の申し入れを行い、2025年7月31日に、当社から、本特別委員会(下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に定義します。以下同じです。)を設置し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受けたとのことです。その後、安原禎二氏らは、2025年8月4日から2025年9月12日まで、当社に対する財務・税務及び法務デュー・ディリジェンスを実施したとのことです。その上で、安原禎二氏は、本意向表明書に記載された本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容、直近の株価動向やデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、2025年10月1日から2025年10月30日までの間、当社及び本特別委員会との間で本公開買付価格に関する協議・検討を重ねたとのことです。

具体的には、安原禎二氏は、当社に対し、2025年10月1日、当社が1株当たり6.00円で2026年3月期の中間配当を行い、かつ、本公開買付けの成立を条件に、2026年3月期の当社配当予想を修正し、2026年3月期の期末配当を行わないことを前提として、本公開買付価格を1,170円(2025年9月30日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値911円に対して28.43%(小数点以下第三位を四捨五入。以下同じ。)、過去1ヶ月間の終値の単純平均値918円に対して27.45%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値863円に対して35.57%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値857円に対して36.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「2026年3月期業績予想に関するお知らせ」(以下「業績予想に関するお知らせ」といいます。)を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して21.88%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して30.43%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して37.65%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して36.20%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の初回提案を行ったとのことです。

その後、安原禎二氏は、当社から、2025年10月2日、安原禎二氏ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。詳細は下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」をご参照ください。)による当社の株式価値の算定結果、及び本取引と同様に非公開化を前提としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例のプレミアム水準等を踏まえると、当該提案価格は当社の一般株主の利益に配慮された金額とは到底言えないことを理由とした本公開買付価格の引き上げ要請を受けたとのことです。これを受けて、安原禎二氏は、当社に対し、2025年10月7日、本公開買付価格を1,250円(2025年10月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,093円に対して14.36%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値936円に対して33.55%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値874円に対して43.02%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値856円に対して46.03%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して30.21%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して39.35%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して47.06%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して45.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の再提案を行ったとのことです。

その後、安原禎二氏は、2025年10月9日、当社から、山田コンサルによる当社の株式価値の算定結果、及び本取引と同様に非公開化を前提としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例のプレミアム水準等を踏まえると、当該提案価格は当社の一般株主の利益に配慮された金額とは到底言えないことを理由とした本公開買付価格の引き上げ要請に加え、当社の上場来の市場株価の推移との関係やプレミアム水準についての説明及び価格算定時の考慮要素の具体的内容についての説明の要請を受けたとのことです。これを受けて、安原禎二氏は、当社に対し、2025年10月14日、本公開買付価格を1,305円(2025年10月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,042円に対して25.24%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値965円に対して35.23%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値891円に対して46.46%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値865円に対して50.87%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して35.94%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して45.48%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して53.53%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して51.92%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の再提案に加え、本公開買付価格は、当社の上場来の株価推移において、2006年1月31日に記録した取引時間終了時の終値の最高値1,165円及び2025年10月7日に記録した取引時間中最高値である1,240円を上回っていることから、当社の全ての株主に対して、投資簿価を上回る売却機会を提供することになること、並びに、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2025年10月10日までに公表され、成立した非公開化を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値と比較しても、本公開買付価格の過去3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は決して遜色のない水準である旨の説明を行ったとのことです。

その後、安原禎二氏は、2025年10月16日、当社から、当該提案価格は、当該提案価格を前提とした場合の過去3ヶ月間及び6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、非公開化を目的とした過去のマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値と比較して遜色がないものの、仮に今後当社の市場株価が、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月30日まで、2025年10月10日時点の終値と同水準で推移した場合には、当社株式の過去3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが、非公開化を目的とした過去のマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値を下回る懸念があること、及び、当該提案価格が、当社事業計画等を基に第三者算定機関である山田コンサルがDCF法により試算した理論株価の水準を考慮するとなお上乗せの余地があると評価されることを踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と判断するには不十分であると判断したことを理由とする本公開買付価格の引き上げ要請に加え、次回提案時点における終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準に対する説明並びに価格算定時の考慮要素の具体的内容についての説明の要請を受けたとのことです。これを受けて、安原禎二氏は、当社に対し、2025年10月20日、本公開買付価格を1,340円(2025年10月17日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,050円に対して27.62%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値990円に対して35.35%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値909円に対して47.41%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値871円に対して53.85%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して39.58%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して49.39%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して57.65%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して56.00%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の再提案に加え、2025年10月17日の終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準並びに価格算定時の考慮要素の具体的内容について、政治・経済に関し株式市場全体が注目する出来事が多数生じ、目下株価上昇局面にある中においては、短期的な株価の変動ではなく、より長期の株価推移を踏まえた上で価格を評価すべきと考えている旨の説明を行ったとのことです。

その後、安原禎二氏は、2025年10月22日、当社から、当該提案価格が、当社事業計画等を基に第三者算定機関である山田コンサルがDCF法により試算した理論株価の水準を考慮するとなお上乗せの余地があると評価されることを踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と判断するには不十分であると判断したことに加え、2025年10月17日における終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準が、非公開化を目的とした過去のマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値を下回ることに対する説明として不十分であることを理由とする本公開買付価格の引き上げ要請に加えて、市場株価に対するプレミアム水準について、一般株主の利益の観点からどのように評価しているか、及び評価理由について追加の説明の要請を受けたとのことです。これを受けて、安原禎二氏は、当社に対し、2025年10月23日、本公開買付価格を1,375円(2025年10月22日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,084円に対して26.85%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,011円に対して36.00%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値921円に対して49.29%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値875円に対して57.14%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して43.23%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して53.29%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して61.76%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して60.07%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の再提案に加え、当該提案価格について、(ⅰ)公表日の前営業日の終値及び過去1ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアムに着目した場合、当該提案価格に付されているプレミアムは、本取引と同様に非公開化を前提としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例のプレミアム水準を下回るものの、当社の株主構成や市場における取引状況を踏まえると、足元で観測されている当社株式の市場株価の上昇は、必ずしも当社株式の本源的価値を反映したものであるとは言えない旨、(ⅱ)当該提案価格は2025年6月30日時点の当社の簿価純資産額から算出した1株当たりの純資産額を下回るものの、簿価純資産額はあくまで理論値的な清算価値を示すものにすぎず、事業の清算に伴うコスト等が存在することを踏まえると、実質的な1株当たりの純資産額は956円となることから、当該提案価格は、当社株式に対し、清算価値を大きく上回る価格での売却機会を提供するものである旨の説明を行ったとのことです。

その後、安原禎二氏は、2025年10月27日、当社から、当社の第三者算定機関である山田コンサルティングによる株式価値算定結果を踏まえ、当社の本源的価値を勘案すると、当社の一般株主利益に最大限配慮するために、当該提案価格について更なる増額の余地があることを理由とする本公開買付価格の引き上げ要請に加えて、安原禎二氏が取得した第三者算定機関による当社の清算価値の算定に関する資料及び公開買付けに要する資金の金融機関からの融資の条件に関する資料の提示を要請を受けたとのことです。これを受けて、安原禎二氏は、当社に対し、2025年10月27日、清算価格の考え方及び金融機関からの調達条件を内容とする補足資料を提示し、2025年10月29日、提示可能な最大限の価格として、本公開買付価格を1,380円(2025年10月28日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,060円に対して30.19%、過去1か月間の終値の単純平均値1,032円に対して33.72%、過去3か月間の終値の単純平均値936円に対して47.44%、過去6か月間の終値の単純平均値881円に対して56.64%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して43.75%、過去1か月間の終値の単純平均値897円に対して53.85%、過去3か月間の終値の単純平均値850円に対して62.35%、過去6か月間の終値の単純平均値859円に対して60.65%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の再提案を行ったとのことです。

その後、安原禎二氏は、2025年10月30日、当社から、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で2025年10月31日開催の当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、2025年10月30日時点における当社の意見として本公開買付価格を1,380円とすることを受諾する旨を回答を受けたとのことです。

以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2025年10月31日、本公開買付価格を1,380円とし、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。

(ⅱ)本公開買付け後の経営方針

本取引は、マネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、安原禎二氏は、本取引後も継続して当社の経営に当たる方針であり、上記「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営施策を推進する予定とのことです。

なお、公開買付者は、本書提出日現在において、安原禎二氏、新井隆太郎氏及び原田桂子氏以外の当社の取締役(監査等委員である取締役を含む。)である栗本倫行氏、中居英尚氏、神原宏尚氏及び前岡大氏との間で、本取引後の役員就任や処遇について何らの合意も行っておらず、当社の役員構成を含む経営体制については、本取引後、当社と協議しながら決定していく予定とのことです。

③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年7月17日に安原禎二氏より、本意向表明書を受領し、同日より本取引の実行の是非に関して安原禎二氏との間で協議・交渉を開始しました。

その後、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、本公開買付けの実施を決定するに至る当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2025年7月31日開催の当社取締役会において、本取引の提案を検討するための特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置する旨を決議いたしました。

また、本取引の内容等を踏まえ、独立性及び専門性・実績等を検討の上、同日付で安原禎二氏ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ」といいます。)を、2025年7月31日開催の当社取締役会において、安原禎二氏ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルを、それぞれ本特別委員会の承認を得られることを条件として選任いたしました。

その後、2025年8月6日開催の本特別委員会において、安原禎二氏ら及び当社からの独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての山田コンサルの選任、並びにリーガル・アドバイザーとしての西村あさひの選任をそれぞれ承認しております。

上記体制の下、当社は、本特別委員会との間で事前に交渉方針を相談・検討するとともに、公開買付者から本取引の条件について提案を受けたとき等の交渉上重要な局面における本特別委員会による具体的な提案金額や提案理由等についての意見、指示、要請等を受けて、山田コンサル及び西村あさひの助言を受けながら、本意向表明書に記載された本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、2025年10月1日から2025年10月30日までの間、安原禎二氏及び公開買付者との間で複数回にわたる協議・検討を重ねた上で、本取引の実行の是非及び取引条件に関して検討してまいりました。

また、本公開買付価格については、当社は2025年10月1日に安原禎二氏から本公開買付価格を1,170円とする旨の提案を受けて以降、安原禎二氏及び公開買付者との間で上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、協議・検討を重ねてまいりました。

具体的には、当社は、安原禎二氏から、2025年10月1日、当社が2026年3月期において1株当たり6.00円で2026年3月期の中間配当を行い、かつ、本公開買付けの成立を条件に、2026年3月期の当社配当予想を修正し、2026年3月期の期末配当を行わないことを前提として、本公開買付価格を1,170円(2025年9月30日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値911円に対して28.43%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値918円に対して27.45%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値863円に対して35.57%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値857円に対して36.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して21.88%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して30.43%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して37.65%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して36.20%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案を受けました。

当該提案に対して、本特別委員会は、2025年10月2日開催の第8回特別委員会において、当該提案価格を本特別委員会において検討した結果、当該提案価格は、山田コンサルによる当社の株式価値算定結果及び本取引と同様に非公開化を前提としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例のプレミアム水準等を踏まえると、当社の一般株主の利益に配慮された金額とは到底言えないとの結論に至り、当社は、2025年10月2日、安原禎二氏に対して、本特別委員会の意見も踏まえ、本公開買付価格の引き上げ要請をいたしました。その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月7日、本公開買付価格を1,250円(2025年10月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,093円に対して14.36%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値936円に対して33.55%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値874円に対して43.02%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値856円に対して46.03%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して30.21%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して39.35%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して47.06%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して45.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案を受けました。

当該提案に対して、本特別委員会は、2025年10月8日開催の第9回特別委員会において検討した結果、当該提案価格は、山田コンサルによる当社の株式価値算定結果及び本取引と同様に非公開化を前提としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例のプレミアム水準等を踏まえると、当社の一般株主の利益に配慮された金額とは未だ到底言えないとの結論に至り、当社は、2025年10月9日、安原禎二氏に対して、本特別委員会の意見も踏まえ、本公開買付価格の引き上げの再度の要請に加え、当社の上場来の市場株価の推移との関係やプレミアム水準についての説明及び価格算定時の考慮要素の具体的内容についての説明を要請しました。その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月14日、本公開買付価格を1,305円(2025年10月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,042円に対して25.24%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値965円に対して35.23%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値891円に対して46.46%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値865円に対して50.87%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して35.94%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して45.48%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して53.53%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して51.92%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案に加え、本公開買付価格は、当社の上場来の株価推移において、2006年1月31日に記録した取引時間終了時の終値の最高値1,165円及び2025年10月7日に記録した取引時間中最高値である1,240円を上回っていることから、貴社の全ての株主に対して、投資簿価を上回る売却機会を提供することになること、及び経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2025年10月10日までに公表され、成立した非公開化を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値と比較しても、本公開買付価格は過去3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は決して遜色のない水準である旨の説明を受けました。

当該提案に対して、本特別委員会は、2025年10月15日開催の第10回特別委員会において検討した結果、当該提案価格は、当該提案価格を前提とした場合の過去3ヶ月間及び6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、非公開化を目的とした過去のマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値と比較して遜色がないものの、仮に今後当社の市場株価が、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月30日まで、2025年10月10日時点の終値と同水準で推移した場合には、当社株式の過去3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが、非公開化を目的とした過去のマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値を下回る懸念があること、及び、当該提案価格が、当社事業計画等を基に第三者算定機関である山田コンサルがDCF法により試算した理論株価の水準を考慮するとなお上乗せの余地があると評価されることを踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と判断するには不十分であるとの結論に至り、当社は2025年10月16日、安原禎二氏に対して、本特別委員会の意見も踏まえ、本公開買付価格の引き上げの再度の要請に加え、次回提案時点における終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準に対する説明並びに価格算定時の考慮要素の具体的内容についての説明を要請しました。その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月20日、本公開買付価格を1,340円(2025年10月17日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,050円に対して27.62%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値990円に対して35.35%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値909円に対して47.41%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値871円に対して53.85%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して39.58%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して49.39%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して57.65%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して56.00%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案に加え、2025年10月17日の終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準並びに価格算定時の考慮要素の具体的内容について、政治・経済に関し株式市場全体が注目する出来事が多数生じ、目下株価上昇局面にある中においては、短期的な株価の変動ではなく、より長期の株価推移を踏まえた上で価格を評価すべきと考えている旨の説明を受けました。

当該提案に対して、本特別委員会は、2025年10月21日開催の第11回特別委員会において、当該提案価格を慎重に検討した結果、山田コンサルがDCF法により試算した理論株価の水準を考慮すると当該提案価格についてなお上乗せの余地があると評価されることを踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と判断するには不十分であることに加え、2025年10月17日における終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準が、非公開化を目的とした過去のマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例におけるプレミアムの平均値を下回ることに対する説明として不十分であるとの結論に至りました。当社は、特別委員会の意見も踏まえ、2025年10月22日、安原禎二氏に対して、本公開買付価格の引き上げの再度の要請に加え、市場株価に対するプレミアム水準について、一般株主の利益の観点からどのように評価しているか、及び評価理由について追加の説明を要請しました。その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月23日、本公開買付価格を1,375円(2025年10月22日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,084円に対して26.85%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,011円に対して36.00%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値921円に対して49.29%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値875円に対して57.14%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して43.23%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して53.29%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して61.76%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して60.07%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案に加え、当該提案価格について、(ⅰ)公表日の前営業日の終値及び過去1ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアムに着目した場合、当該提案価格に付されているプレミアムは、本取引と同様に非公開化を前提としたマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例のプレミアム水準を下回るものの、当社の株主構成や市場における取引状況を踏まえると、足元で観測されている当社株式の市場株価の上昇は、必ずしも当社株式の本源的価値を反映したものであるとは言えない旨、(ⅱ)当該提案価格は2025年6月30日時点の当社の簿価純資産額から算出した1株当たりの純資産額を下回るものの、簿価純資産額はあくまで理論値的な清算価値を示すものにすぎず、事業の清算に伴うコスト等が存在することを踏まえると、実質的な1株当たりの純資産額は956円となることから、当該提案価格は、当社株式に対し、清算価値を大きく上回る価格での売却機会を提供するものである旨の説明を受けました。

当該提案に対して、本特別委員会は、2025年10月24日開催の第12回特別委員会において、当該提案価格を慎重に検討した結果、当社の第三者算定機関である山田コンサルによる株式価値算定結果を踏まえ、当社の本源的価値を勘案すると、当社の一般株主利益に最大限配慮するために、更なる増額の余地があるとの結論に至りました。当社は、本特別委員会の意見も踏まえ、2025年10月27日、安原禎二氏に対して、本公開買付価格の引き上げの再度の検討の要請に加え、安原禎二氏が取得した第三者算定機関による当社の清算価値の算定に関する資料及び公開買付けに要する資金の金融機関からの融資の条件に関する資料の提示を要請しました。その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月27日、清算価格の考え方及び金融機関からの調達条件を内容とする補足資料の提示を受けるとともに、2025年10月29日、提示可能な最大限の価格として、本公開買付価格を1,380円(2025年10月28日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,060円に対して30.19%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,032円に対して33.72%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値936円に対して47.44%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値881円に対して56.64%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して43.75%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して53.85%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して62.35%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して60.65%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案を受けました。

本特別委員会は、2025年10月30日開催の第13回特別委員会において、当該提案価格を慎重に検討した結果、当社一般株主が享受すべき利益が確保された妥当な価格であると判断しました。当社は、本特別委員会の意見も踏まえ、同日、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で2025年10月31日開催の当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、2025年10月30日時点における当社の意見として本公開買付価格を1,380円とすることを受諾する旨を回答しました。

さらに、当社は、西村あさひから、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年10月30日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。また、当社は、山田コンサルから、2025年10月30日付で当社株式に係る株式価値算定書(以下「当社算定書」といいます。)の提供を受けております。(当社算定書の概要については、下記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。)。

その上で、当社は、西村あさひから受けた法的助言、山田コンサルから受けた財務的見地からの助言及び山田コンサルから取得した当社算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。

当社としては、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載されている公開買付者の認識のとおり、当社のビジネス領域においては、石油系大手企業との厳しい競争環境に加えて、主要原材料であるテルペン類の調達価格が、当社ではコントロールが困難な多数の外部要因により大きく左右される事業構造となっており、原材料供給との関係で、テルペン類の主要調達国における産業構造的課題及び経済情勢の変動が直接的な影響を及ぼしていると認識しております。また、需要構造の変化や産業構造の停滞、気候変動により、テルペン類や主要原材料であるオレンジ油の供給量が減少しており、テルペン類の調達環境は年々厳しさを増していると認識しております。さらに、地政学的リスクやエネルギー価格の高騰、及び円安進行が、原材料の価格上昇を招き、製造コストの継続的な増加要因となっており、他業界との調達競争も激化していることから、安定的かつ有利な条件での原材料確保は一層困難な状況にあると認識しております。

このような事業環境の急速な変化に加え、テルペン樹脂・化成品は競争の激しい素材ビジネスであり、需要の増加が見込まれる一方で、顧客ニーズは製品の量、提供の速さ及び製品の安さに収斂しており、生産能力が高い大手企業等との厳しい価格競争等の課題が存在すると認識しております。また、最終製品の技術進化や需要動向の変化が年々激しさを増しており、厳しい市場環境を勝ち抜くためには、多様化かつ高度化する顧客ニーズへの迅速な対応が求められている状況にあると認識しております。加えて、当社は海外展開への遅れがあると認識しております。

当社は、かかる認識のもと、一括調達や、調達地域の分散、備蓄量を勘案した調達等を行う等してテルペン類の仕入価格の変動リスクに備え、顧客ニーズに応えるために柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築し、直近の業績を堅調に推移させてきました。また、海外展開についても取り組みを開始しております。しかしながら、当社が保有している原材料の数量は減少が進む一方で、原材料別の仕入単価は上昇傾向にあり、当社としては、直近の利益水準を中長期的に持続させることは難しいと考えております。また、多様で高度、かつ日々変化する顧客ニーズを的確に捉えた新製品の展開が不可欠であることを認識している一方で、そのために必要な営業人材の確保や、顧客ニーズに対応した新製品の研究開発を担える人材、さらには製造キャパシティ等のリソースを確保していくことは難しく、具体的な取り組みには至っておりません。さらに、近年では、化学物質製造における安全環境確保の厳格化や、海外の化学物質の安全性に関する法改正が、新製品の研究開発及び海外展開の障壁となっております。

このような状況の下、当社は、顧客ニーズを的確に捉えた新製品の展開を行っていくために、人材教育に取り組み、営業人材及び研究開発を担える人材の確保を進めるとともに、地道な営業活動による顧客ニーズの把握や長期スパンの研究開発を実施し、高付加価値分野へ展開していきたいとの考えに至りました。そのためには、短期的な利益追求よりも当社の中長期的な企業価値を実現するための研究開発と社内人材への投資が必須であり、当社は安原禎二氏らが企図している上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の施策は、当社が認識する経営課題に対する有効な手段であって、当社の中長期的な企業価値向上を実現する上で積極的に推進していくべきものであるとの判断に至りました。

さらに、本取引の実施により、当社株式の非公開化が実現されれば、当社の創業家一族かつ現代表取締役社長として、当社の経営について最も深く理解している安原禎二氏自らが継続して経営を行うことになるところ、安原禎二氏自らのコミットメントの下に創業家の所有と経営を一致させ、柔軟かつ機動的な経営判断を行うことで、上記施策の着実な促進に加え、上場コストの削減といった効果も併せて見込まれ、これらについても、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。また、当社が他社では取り扱わない特異な製品群を展開する中で、安原禎二氏は当社製品に関する高い知見を有しており、安原禎二氏らが当社の意思決定の中心を担うことは、今後の意思決定においてこれまで以上に合理的かつ迅速な判断を可能にするものであるものと理解しております。

なお、かかる取り組みによって当社がさらなる成長を実現していくためには、各事業においての経営資源を機動的に最適配分し、積極的な先行投資を推進していくことが必要不可欠であると考えておりますが、各事業の成長を加速させていくための積極的な先行投資は、短期的には、収益性の低下、キャッシュ・フローの悪化等による財務状況の悪化を招来するリスクがあり、その結果、当社株式の市場株価の下落を招き、当社の株主の皆様が短期的には悪影響を被る可能性を否定できないものと考えております。

そのため、当社は、当社の株主の皆様に対して短期的な悪影響を被ることなく株式を売却できる機会を提供するとともに、当社株式を非公開化することで、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、かつ、機動的な意思決定を可能とする経営体制を構築し、経営の柔軟性を向上させることが、当社の企業価値向上を実現する最良の選択であると判断いたしました。

なお、当社が当社株式の非公開化を行った場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用や知名度の向上による優れた人材の確保及び取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられます。

しかしながら、当社は、1995年の上場来、エクイティ・ファイナンスによる資金調達を実施しておらず、健全な財務をもとに金融機関と良好な関係を構築していることから、引き続き間接金融を通じて企業価値向上を目指した各種施策遂行のために必要に応じた資金調達を行うことが可能と考えており、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は見込んでおりません。加えて、当社は50年以上にわたって、テルペン化学製品のリーディングカンパニーを自負する企業として事業を展開しており、既に確立されたブランド力や知名度、取引先からの信用力等を有しているものと理解していることから、事業基盤は、上場非上場にかかわらず盤石なものと認識しており、また非公開化後は高付加価値分野に関する研究開発と高付加価値製品の提供が中長期的なブランド力の更なる向上に資するものと認識しております。さらに、当社が非公開化することにより、人材確保に影響が生じることは考え得るものの、これまで採用活動時においては当社の健全な企業風土をはじめ、事業や製品のニッチ性及び天然物由来製品を取り扱うことによる当社での業務を通じた環境配慮への貢献を評価し採用に応募される方々もおり、本取引が実行され当社が非上場化した場合であっても、こうした企業風土等のプラスの側面は引き続き向上していくことから、本取引が当社の人材採用に与える影響は限定的であり、非公開化のデメリットは限定的であると考えております。

そのため、当社は、2025年10月31日付の取締役会において、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。

当社は、このような協議・検討の過程において、本公開買付価格が、(a)下記「(3)算定に関する事項」に記載されている山田コンサルによる当社株式の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っており、また、DCF法に基づく算定結果の中央値を上回っていること、(b)(ⅰ)本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月30日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,091円に対して26.49%、過去1ヶ月間の終値単純平均値1,047円に対して31.81%、過去3ヶ月間の終値単純平均値944円に対して46.19%、過去6ヶ月間の終値単純平均値883円に対して56.29%のプレミアムがそれぞれ加算されており、近時の他のマネジメント・バイアウト(MBO)における公開買付けの他事例(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年10月10日までに公開買付けが成立した非公開化を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)案件の事例、96件(公開買付け未実施・不成立の事例及び対象会社の賛同又は応募推奨がない事例は除外))におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値に対して42.33%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.92%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して45.99%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して46.51%。小数点以下第三位を四捨五入。)と比較すると、公表日の前営業日の終値及び直近1ヶ月間の終値単純平均値においては必ずしも高い水準にあるとまでは言えないものの、当社株式の株価が上昇局面にあることを考慮すると、当社株式の直近の株価のみで価格を検討するよりも、より長期間の平均値を考慮して検討することは不合理と言えず、本公開買付価格のプレミアム水準は、当該各事例における直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値におけるプレミアム水準の平均値を上回っていること、及び、(ⅱ)当社株式の終値は本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月30日までの過去6ヶ月において880円から1,091円まで23.98%上昇している一方で、本公開買付価格は、当該期間中に記録された当社株式の上場来最高値である1,240円(2025年10月7日のザラ場)を上回っていることからも、本公開買付価格は合理的なプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が取られていること等、一般株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)本公開買付価格が、上記利益相反を解消するための措置が取られた上で、当社と公開買付者らとの間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、より具体的には、山田コンサルによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や、西村あさひによる本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言並びに本特別委員会を通じて、本特別委員会による意見、指示、要請等を受けた上で公開買付者らとの間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として、当初提示額(1株当たり1,170円)よりも、1株当たり210円(17.95%)引き上げられた価格で提案された価格であること、(e)本公開買付価格が、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても妥当であると判断されていることから、当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の一般株主の皆様に対して2026年3月期の期末配当を行わないことを前提とした場合においても、適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。なお、本公開買付価格は、当社の2025年9月30日現在の簿価純資産である21,837百万円を、自己株式控除後の発行済株式総数(9,075,670株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である2,406円(本公開買付価格は当該金額との比較で42.64%のディスカウント)を下回っているものの、当社の資産には棚卸資産や工場及び工場の土地・建物、無形固定資産などの流動性の低い事業用資産(当社の貸借対照表(2025年9月30日現在)上、資産合計(27,475百万円)に占めるそれらの資産に該当する資産(「製品」(2,829百万円)、「仕掛品」(2,841百万円)、「原材料及び貯蔵品」(5,161百万円)、「有形固定資産」(5,098百万円)及び「無形固定資産」(278百万円))の割合は59.0%)が多く含まれており、資産売却に際しての困難性や清算に伴う様々な追加コストの発生等を考慮すると、仮に当社が清算する場合においても、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、所有する土地建物は本社及び工場であるところ、本社及び工場の解体及び更地化に係る建屋の取り壊し費用及び化学品を取り扱うことに伴う土壌浄化にも費用を要することに加え、機械装置については売却に伴い撤去の基礎工事に係る相当程度の追加コストが発生し、製造工程の仕掛品や製品、原材料は廃棄等を考慮すると、相当程度の毀損が見込まれます。加えて、当社の清算を行う場合、従業員に対する割増退職金及び弁護士費用等の専門家費用その他相当程度の追加コストが発生することが見込まれること等に鑑みると、当社の一般株主に最終的に分配されることとなる金額は、現実的には簿価純資産額から相当程度毀損された金額となることが想定されます。なお、当社においては、清算を予定しているわけではないため、清算を前提とする見積書の取得までは行っておらず、本公開買付価格が、具体的な検討を経て概算された想定清算コスト等を勘案して算出される想定の清算価値を上回っていることの確認までは行っておりません。また、純資産額は、当社の清算価値を示すものであり、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えております。

また、当社は「業績予想に関するお知らせ」において減益を見込んだ業績予想を公表しておりますが、当該業績予想が公表された2025年9月19日を基準日とした場合の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値は960円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値は897円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値は850円、直近6ヶ月間の終値の単純平均値は859円であり、いずれも2025年10月30日を基準日とした場合の数値を下回っていることから、山田コンサルが「業績予想に関するお知らせ」公表後の2025年10月30日を基準日とする市場株価法によって株式価値を算定していることは、当該株式価値算定結果の合理性に影響を及ぼすものではないと認められ、また、山田コンサルがDCF法の算定の前提とした当社が現時点で合理的に予測可能な期間まで作成した2026年3月期から2029年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)には「業績予想に関するお知らせ」において開示されている業績予想が織り込まれていることから、「業績予想に関するお知らせ」9月19日付業績予想修正の公表は、DCF法による株式価値算定結果の合理性に影響を及ぼすものではないと考えております。

また、当社は2025年10月31日付で「2026年3月期第2四半期(中間期)業績予想と実績との差異に関するお知らせ」として、2026年3月期中間期の上方修正(以下「10月31日付業績予想修正」といいます。)を公表しておりますが、当該修正の理由は、為替が想定よりも円安で推移したことに伴い為替差益が発生したためであり、2026年3月期通期の業績予想に変動は生じない見通しです。そのため、山田コンサルによれば、10月31日付業績予想修正の内容が、市場株価法・DCF法による株式価値算定結果に有意な影響を及ぼすことは想定されないとのことです。また、山田コンサルによれば、上記のとおり、10月31日付業績予想修正を踏まえても通期としての業績予想に変動は生じないことから、10月31日付業績予想修正の内容が、市場株価に与える影響は僅少であると想定されるため、10月31日付業績予想修正の公表は、プレミアム水準の合理性に影響を及ぼすものではないと考えられるとのことです。これを踏まえ、当社としては、10月31日付業績予想修正の公表は、株式価値算定結果の合理性に影響を及ぼすものではないと判断しております。

以上より、当社は、本取引が当社の企業価値向上に資するものであり、かつ本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件が妥当なものであると判断したため、2025年10月31日付の取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。上記の当社取締役会の決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である取締役を含む。)の承認」をご参照ください。なお、安原禎二氏らについて、安原禎二氏は公開買付者の代表取締役であり本取引後も継続して当社の経営に当たることを予定していることから、本取引において特別の利害関係を有しており、また、当社の取締役である新井隆太郎氏及び原田桂子氏は本取引後も継続して当社の経営に当たることを予定していることから、本取引において特別の利害関係を有しており、いずれも当社との間で利益が相反する可能性があることから、これら3名は上記取締役会における決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者らとの協議及び交渉にも一切参加しておりません。

(3)算定に関する事項

① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

当社は、本公開買付けを含む本取引に関する意見表明を行うに当たり、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、安原禎二氏ら及び当社から独立した第三者算定機関として、当社のファイナンシャル・アドバイザーである山田コンサルに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年10月30日付で、当社算定書を取得いたしました。なお、山田コンサルは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係る山田コンサルに対する報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないことから、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

② 当社株式に係る算定の概要

山田コンサルは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値算定を行っております。なお、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、当社は、山田コンサルから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。

山田コンサルが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

市場株価法:883円~1,091円

DCF法 :1,186円~1,612円

市場株価法では、2025年10月30日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,091円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値1,047円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値944円、直近6ヶ月間の終値の単純平均値883円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を883円から1,091円までと算定しております。

DCF法では、本事業計画における収益予測及び投資計画、当社の2026年3月期第2四半期における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値及び株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,186円から1,612円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コストを採用し、6.84%から7.84%を採用しており、継続価値の算定に当たっては永久成長法を採用し、外部環境等を総合的に勘案した上で永久成長率を0.0%から1.0%として、継続価値を9,827百万円から13,702百万円と算定しております。また、必要運転資金を控除した余剰現預金は、株式価値算定に重要な影響を及ぼす非事業用資産として計上しております。

山田コンサルがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、山田コンサルがDCF法に用いた本事業計画には、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2026年3月期において、脱硫設備導入やインベントリー関係の新規の設備投資を想定しております。また、2028年3月期に当社の原材料調達コストの削減と安定的な製造体制の維持を目的として、当社製品の主要原材料であるオレンジ油の一括調達を予定しており、2028年3月期の棚卸資産の増減額は対前年度比較で3,027百万円の増加を見込んでおります。一方で、2027年3月期の棚卸資産の増減額は対前年度比較で32百万円の増加を見込んでおり、2029年3月期の棚卸資産の増減額は対前年度比較で132百万円の増加を見込んでおります。以上のことから、2028年3月期のフリー・キャッシュ・フローは対前年度比較で大幅な減少を、2027年3月期及び2029年3月期のフリー・キャッシュ・フローは対前年度比較で大幅な増加を見込んでおります。

なお、本事業計画は、当社の将来の成長を考慮した上で本取引の取引条件の妥当性を検討することを目的として、直近の主要取引先との取引状況や為替動向といった足元の事業環境を踏まえて作成したものであり、安原禎二氏らはその作成過程に一切関与しておりません。

また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。

(単位:百万円)

2026年3月期

(6ヶ月)
2027年3月期 2028年3月期 2029年3月期
売上高 7,910 15,436 15,655 15,873
営業利益 555 1,419 1,342 1,383
EBITDA 897 2,003 2,036 2,068
フリー・キャッシュ・フロー ▲276 863 ▲2,275 1,001

山田コンサルは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。但し、山田コンサルは、算定の基礎とした本事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、その作成経緯及び当社の現状を把握した上で、それらに不合理な点がないかという観点から、当社の事業計画の合理性を確認しております。また、山田コンサルの算定は、2025年10月29日までの上記情報を反映したものであります。

(4)上場廃止となる見込み及びその事由

当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は本公開買付けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。

また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことですので、当該手続が実施された場合には、東京証券取引所の定める上場廃止基準に該当し、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。

(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)の取得を目的とした本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。

具体的には、本公開買付けの成立後、公開買付者は、会社法第180条に基づき本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを当社に要請する予定であり、公開買付者及び本不応募合意株主は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日後、それと近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して、公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定であり、本臨時株主総会の開催日は、2026年2月頃を予定しているとのことです。当社は、公開買付者からかかる要請を受けた場合には、かかる要請に応じる予定です。

本臨時株主総会において本株式併合の議案について承認された場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会において承認された本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者及び本不応募合意株主のみが当社株式の全て(当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。なお、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における本公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」に記載したとおり、本株式併合の効力発生日において、公開買付者及び本不応募合意株主以外に、これらの株主がそれぞれ所有する当社株式の数のうち最も少ない数以上の当社株式を所有する当社の株主が存在することを可及的に避け、本スクイーズアウト手続の安定性を高めるため、公開買付者の要請があった場合には、本株式併合の効力発生前を効力発生時として、沖津妙子氏が沖津弘之氏及び原田桂子氏との間で本貸株取引を実施する可能性があるとのことです。本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募されなかった当社の株主は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められております。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。また、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ないとのことです。

上記の手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があるとのことです。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。

以上の具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。なお、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認ください。

また、公開買付者は、最終的に公開買付者が当社の唯一の株主となることを予定しており、かかる目的を達成する手段として、本スクイーズアウト手続の完了を条件として、本株式交換を実施することを予定しており、本書提出日現在において、詳細については未定ですが、いずれかの当事者が不当に利益を得るような条件で実施することは想定しておらず、公正性の担保に十分配慮しながら進めていく予定とのことです。

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいてマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の①乃至⑥の措置を実施していることから、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えております。また、本特別委員会は、本答申書において、他の公正性担保措置の実施状況に照らせば、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に係る条件が設定されていないことのみをもって、本取引の条件の公正性が否定されるものではないと考えられる旨判断しており、当社としても同様に判断しております。

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

上記「(3)算定に関する事項」に記載のとおり、当社は、本公開買付けを含む本取引に関する意見表明を行うに当たり、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、安原禎二氏ら及び当社から独立した第三者算定機関として、当社のファイナンシャル・アドバイザーである山田コンサルに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年10月30日付で、当社算定書を取得いたしました。なお、当社は、本「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、山田コンサルから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、山田コンサルは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係る山田コンサルに対する報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないことから、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

② 当社における独立した法律事務所からの助言の取得

当社は、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、安原禎二氏ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、西村あさひは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、西村あさひの報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。本特別委員会は、当社が選任したリーガル・アドバイザーにつき、独立性及び専門性に問題がないこと及び本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

(ⅰ)特別委員会の設置等の経緯

上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、2025年7月31日に開催された取締役会における決議により、本特別委員会を設置いたしましたが、かかる本特別委員会の設置に先立ち、当社は、2025年7月17日に安原禎二氏から本意向表明書を受領して以降、安原禎二氏らから独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を構築するため、西村あさひの助言も得つつ、安原禎二氏らとの間で重要な利害関係を有しない当社の社外取締役の全員に対して、安原禎二氏から本意向表明書を受領した旨、並びに、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当するため、本取引に係る検討・交渉等を行うに当たっては、本特別委員会の設置をはじめとする本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置を十分に講じる必要がある旨等を説明いたしました。また、当社は並行して西村あさひの助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補となる当社の社外取締役の独立性及び適格性等についても確認を行いました。その上で、当社は、西村あさひの助言を得て、安原禎二氏らからの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していないことに加え、委員としての適格性を有することを確認した上で、本特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって本特別委員会を構成するべく、神原宏尚氏(当社社外取締役監査等委員・弁護士)、前岡大氏(当社社外取締役監査等委員・公認会計士)、松本拓生氏(社外有識者・弁護士)の3名を本特別委員会の委員の候補として選定いたしました。なお、当社は当初から上記の3名を本特別委員会の委員として選任しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の委員の互選により、本特別委員会の委員長として神原宏尚氏が就任しております。なお、本特別委員会の委員のうち、松本拓生氏は当社の役員ではありませんが、当社は、松本拓生氏が本取引と同種の案件の特別委員会の委員としての豊富な経験を有することに加え、長年にわたり企業法務をはじめとした法律に関する職務に携わり、その経歴を通じて培った専門家としての豊富な経験及び知見を有する社外有識者として、本特別委員会の委員に相応しい人物であると考えております。なお、本特別委員会の委員は、その後2025年9月29日に設立された公開買付者からも独立性を有しております。

その上で、当社は、上記の「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年7月31日付の取締役会における決議により本特別委員会を設置するとともに、本特別委員会に対して、(a)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)、(b)本取引の条件の公正性・妥当性、(c)本取引の手続きの公正性、(d)本取引が当社の一般株主にとって公正なものであると考えられるか、(e)上記(a)から(d)までを踏まえて当社取締役会が本取引における本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(f)その他当社取締役会が本取引の検討に当たって適宜諮問する事項(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申を当社に提出することを嘱託いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会を、当社取締役会から独立した合議体として位置づけ、当社取締役会は、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が当社取締役会に対し、本公開買付けに賛同すべきでない、当社の株主に対する応募推奨をすべきでないと判断した場合には、当社取締役会は、これに従って、前者の場合は本公開買付けへの賛同意見の表明は行わないこと、後者の場合は当社の株主に対する応募推奨を行わないこととすることを決議しております。さらに、本特別委員会に対しては、(ⅰ)本取引の取引条件の公正性が確保されるよう、取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて直接交渉を行う権限、(ⅱ)諮問事項の検討等にあたり必要と判断した場合には、本取引に関して適切な判断を確保するために、特別委員会のアドバイザー等を選任する(なお、特別委員会は、当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がないなど、特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができるものとする。特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的費用は当社の負担とする。)権限、(ⅲ)答申を行うにあた当たって必要となる一切の情報の収集を当社又は当社のアドバイザーに対して求める権限を付与することを決議しております。

なお、本特別委員会の各委員に対しては、固定報酬が支払われることとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。

(ⅱ)特別委員会における検討等の経緯

本特別委員会は、2025年8月6日より2025年10月30日までの間に合計13回開催され、本諮問事項についての協議及び検討を行いました。

具体的には、本特別委員会は、まず、2025年8月6日、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての山田コンサル、並びにリーガル・アドバイザーとしての西村あさひについて、安原禎二氏ら及び当社からの独立性及び専門性に問題がないことを確認し、それぞれを当社のアドバイザーと選任することを承認しております。また、本特別委員会は、必要に応じて当社のアドバイザー等から専門的助言を得ることとしました。さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制についても、当社から説明を受けた上で、独立性の観点から問題がない旨も確認しております。

その上で、本特別委員会は、西村あさひから、特別委員会の設置が求められる背景、特別委員会の役割等についての説明を受け、本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定に当たっての留意事項等についての法的助言を踏まえ、本取引における手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。

また、本特別委員会は、安原禎二氏ら及び当社より提出された各検討資料その他必要な情報・資料等の収集及び検討を行うとともに、安原禎二氏及び公開買付者に対して書面で質問し、回答を受けた上で、山田コンサル及び西村あさひとともに、安原禎二氏及び公開買付者との面談によるヒアリング調査を行っております。これらによって、当社の経営環境・経営課題に対する安原禎二氏及び公開買付者の認識の確認、本取引の内容、背景、意義・目的、本取引後に検討している施策の内容、本取引及び当該施策が当社の企業価値に与える影響、安原禎二氏、公開買付者及び当社が意思決定をするに至る経緯・検討経緯の妥当性その他本取引に関連する事項について、説明を受けるとともに、本取引の目的や背景、本取引を行うことを必要と考える理由、本取引実施後の経営体制及び実施予定の施策等について質疑応答を行いました。

さらに、本特別委員会は、当社の事業計画について、安原禎二氏らから独立した者によって作成されていることを確認するとともに、当社から重要な前提条件について説明を受け、最終的な事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について確認し、承認しております。その上で、山田コンサルから、当社算定書について説明を受け、当該価値算定の前提等に関するヒアリング調査を行いました。

また、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年10月1日に安原禎二氏から本公開買付価格を1,170円とする提案を受領して以降、安原禎二氏と当社との間における本取引の条件に係る協議・交渉において、当社から本特別委員会に対して、その経緯及び内容等について適示に報告を行った上で、本特別委員会は、山田コンサルによる当社株式の株式価値の算定結果、安原禎二氏との交渉方針等を踏まえた助言、並びに西村あさひからの本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を踏まえて、本公開買付価格についての検討を行い、交渉方針を当社に伝達する等、安原禎二氏との交渉過程に積極的に関与しております。

さらに、本特別委員会は、西村あさひから、複数回、当社が公表又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリース及び意見表明報告書の各ドラフト、並びに公開買付者が提出予定の本公開買付けに係る公開買付届出書のドラフトの内容について説明を受け、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。

(ⅲ)特別委員会における判断内容

本特別委員会は、以上のような経緯の下、本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2025年10月30日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出したとのことです。

(a)答申内容

1.本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)

2.本取引の取引条件の公正性・妥当性

3.本取引の手続の公正性

4.本取引が当社の一般株主にとって公正なものであると考えられるか

5.上記1.から4.までを踏まえて当社取締役会が本取引における公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して当該公開買付けへの応募を推奨することの是非

(b)答申理由

1.本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)

(1)当社の事業内容及び事業環境に関する当社の認識

公表情報及び本資料によれば、当社の事業内容及び事業環境に関する当社の認識は以下のとおりである。

ア.当社の事業内容

当社は、創業者である安原弘氏によって、1959年2月に現在の広島県府中市目崎町において、テルペン、ロジン及びパインタールの生産を目的に、安原油脂工業株式会社として設立され、1989年10月に現在の商号であるヤスハラケミカル株式会社に商号変更している。また、当社株式については、「事業内容を公開し、資金調達の円滑化により財務体質の強化を図り、社会的信用度の向上により、社員のモラールアップと優秀な人材の確保を容易にして、今後より一層事業基盤の拡大と企業内容の充実をなし、社会的使命をはたすこと」を目的として1995年2月に広島証券取引所に上場し、1996年2月に大阪証券取引所市場第二部に上場している。その後、2000年3月に実施された東京証券取引所と広島証券取引所の合併に伴い、東京証券取引所市場第二部に株式を上場し、2003年12月には大阪証券取引所市場第二部における上場を廃止し、2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直しを経て、現時点では東京証券取引所スタンダード市場に上場している。

当社は、天然物由来のテルペン油を主な原材料として活用し、テルペン化学製品及び機能性コンパウンド事業を展開している。それぞれの事業内容は以下のとおりである。

① テルペン化学製品:主に、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の粘着・接着用樹脂及びオレンジ油、テレピン油等の化成品の製造・販売を行っている。社会全体の環境に対する意識の変化に伴い、天然物由来製品に更なる注目が集まると考えており、新規材料として顧客の機能ニーズに合わせた樹脂の開発に注力し、次世代粘着・接着剤、タイヤ用途などをはじめとしたモビリティ・電子材料・環境関連分野への展開を進めている。また、既存製品の高付加価値分野への展開支援として製品の改良を行い、テルペンの性能やサステナビリティを活かせるニッチ分野への展開を進めている。

今後は、天然物由来のテルペン資源を効率的に活用させるため、自動車、電子材料、ヘルスケアなどの高付加価値分野や、環境対応・再生可能資源であることなど天然物由来としての価値が認められる分野の開拓と、新規テルペン原料の探索と開発を行い、顧客ニーズに合わせた展開に注力していく方針である。

② 機能性コンパウンド製品:主に、食品用等のホットメルト接着剤、光沢化工紙用等のラミネートフィルムの製造・販売を行っている。ホットメルト接着剤においては、各国の食品容器規制に適応する製品の開発を行い、市場展開をはかっている。また、高機能添加剤を配合し、機能性フィルム用接着剤として、フィルム、シートメーカーとの取り組みを進めている。さらに、エラストマー加工技術を活かした新規高機能接着剤の食品、日用品、建材分野への用途開発及び市場展開をはかっている。このほか、環境配慮型接着剤として、グリーンプラスチック、バイオマスプラスチックの利用による接着剤開発を進め、脱溶剤、VOC削減を含めた新たな用途探求に取り組んでいる。ラミネート品に関しては、光沢加工市場のニーズに合わせた品質向上に注力し、顧客満足度の向上に取り組んでいる。

今後は、市場環境変化に伴い多様化する顧客の要求に柔軟かつ迅速に対応するため、更なる商品開発力の強化を可能にする体制構築を実現し、事業の競争力強化を図っていく方針である。

イ.当社の事業環境に関する当社の認識

当社のビジネス領域においては、石油系大手企業との厳しい競争環境に加えて、主要原材料であるテルペン類の調達価格が、当社ではコントロールが困難な多数の外部要因により大きく左右される事業構造となっており、原材料供給との関係で、テルペン類の主要調達国における産業構造的課題及び経済情勢の変動が直接的な影響を及ぼしていると認識している。また、需要構造の変化や産業構造の停滞、気候変動により、テルペン類や主要原材料であるオレンジ油の供給量が減少しており、テルペン類の調達環境は年々厳しさを増していると認識している。さらに、地政学的リスクやエネルギー価格の高騰、及び円安進行が、原材料の価格上昇を招き、製造コストの継続的な増加要因となっており、他業界との調達競争も激化していることから、安定的かつ有利な条件での原材料確保は一層困難な状況にあると認識している。

このような事業環境の急速な変化に加え、テルペン樹脂・化成品は競争の激しい素材ビジネスであり、需要の増加が見込まれる一方で、顧客ニーズは製品の量、提供の速さ及び製品の安さに収斂しており、生産能力が高い大手企業等との厳しい価格競争等の課題が存在すると認識している。また、最終製品の技術進化や需要動向の変化が年々激しさを増しており、厳しい市場環境を勝ち抜くためには、多様化かつ高度化する顧客ニーズへの迅速な対応が求められている状況にあると認識している。加えて、当社は海外展開への遅れがあると認識している。

当社は、かかる認識のもと、一括調達や、調達地域の分散、備蓄量を勘案した調達等を行う等してテルペン類の仕入価格の変動リスクに備え、顧客ニーズに応えるために柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築し、直近の業績を堅調に推移させてきた。また、海外展開についても取り組みを開始している。しかしながら、当社が保有している原材料の数量は減少が進む一方で、原材料別の仕入単価は上昇傾向にあり、当社としては、直近の利益水準を中長期的に持続させることは難しいと考えている。

また、多様で高度、かつ日々変化する顧客ニーズを的確に捉えた新製品の展開が不可欠であることを認識している一方で、そのために必要な営業人材の確保や、顧客ニーズに対応した新製品の研究開発を担える人材、さらには製造キャパシティ等のリソースを確保していくことは難しく、具体的な取り組みには至っていない。さらに、近年では、化学物質製造における安全環境確保の厳格化や、海外の化学物質の安全性に関する法改正が、新製品の研究開発及び海外展開の障壁となっている。

(2)本取引の目的等

本特別委員会が安原禎二氏から受けた説明及び本資料によれば、当社の事業環境に関する安原禎二氏らの認識、安原禎二氏らが本取引の実行後に予定している施策、本取引の目的及び安原禎二氏らが認識する当社株式の非公開化に伴うデメリット等は、以下のとおりである。

ア.当社の事業環境に関する安原禎二氏らの認識

安原禎二氏らは、2022年4月、当社が従前より直面していた石油系大手企業との競争激化に加え、国際情勢等も不透明さを増しテルペン類の調達環境の変化が激しくなることが予想される中で、当社が従来の施策や各年度の戦略を遂行するだけでは、中長期的かつ持続的な成長を図ることが困難になる可能性があると認識するようになったとのことである。

また、安原禎二氏らは、2025年3月、インフレの長期化や国際情勢の不安定化等、当初の想定以上に競争と不透明さが増す業界環境において、当社がさらなる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し継続的な企業価値向上を実現するためには、足元の業績や株価だけを追求するのではなく、既存施策の深化や新規施策を迅速に実行する必要があると考えるようになり、具体的な施策の検討を開始したとのことである。

イ.安原禎二氏らが本取引の実行後に予定している施策

安原禎二氏らは、本取引の実行後に、下記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の各施策(以下「本企業価値向上策」という。)を実行することを検討しているとのことである。

(Ⅰ)最適な調達体制の構築による収益力改善

当社は原材料であるテルペン類を全量輸入に頼っており、仕入価格は国際市況や為替相場の変動による影響を受け大きく変動するリスクを抱えている。そのため、当社はこれまでも仕入価格の変動リスクに備えるために、市況を意識した一括調達や、調達地域の分散、また備蓄量を勘案した調達等を行ってきた。

しかしながら、原材料の調達環境が不透明でかつより一層の厳しさを増している中で、収益力改善に向けて、原材料を継続的に好条件で調達するには、安原禎二氏らは、テルペン類の市況を見極めた上での一括調達について、従来以上に大胆に取り組むことが必要だと考えているとのことである。具体的には、主要原材料であるテレピン油やオレンジ油について、今後の製品需要等を見据えた上での一括購入を検討しており、特に価格変動の影響を受けやすいオレンジ油に関しては、オレンジの収穫期前の早期契約や複数サプライヤーとの交渉を通じて、より有利な条件での調達を検討しているとのことである。

現状でも原材料の一括調達に起因する短期的なキャッシュ・フローのマイナスは発生しており、上記の取り組みにより、当該影響は一層大きくなることを予想しているとのことであるが、安原禎二氏らは、大胆な一括調達を含む最適な原材料の調達体制を構築することは調達コストの安定化と収益力の改善につながり、当社の中長期的な企業価値向上にも寄与するものと考えているとのことである。

(Ⅱ)更なる高付加価値製品の創出を目指した新たな研究開発・製造・営業体制の構築

当社は、顧客の要求に対して、柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築すべく、2023年に、従来のサプライチェーンの枠組みにとらわれずにイノベーティブな切り口の研究開発で市場に新たな価値を創り出すことに特化したイノベーション室と事業別営業部を設置したことに加え、2025年の事業別研究部の設置等を通じて研究開発及び営業力強化に注力してきた。

一方で、安原禎二氏らは、技術革新が加速する市場環境下で多様化・高度化する顧客ニーズを的確かつ迅速に捉え、それを製品開発・製造プロセスへと確実に反映させ、更なる高付加価値製品を創出するには、当社における組織体制を見直し、研究開発・製造・営業が密接に連携するシームレスな体制を構築することが必要だと考えているとのことである。具体的には、顧客の潜在的課題を起点とした提案活動を可能にするソリューション型営業の更なる強化、最終消費者や顧客のニーズを起点とした製品企画を行うマーケットイン発想の導入、さらに、研究開発・製造・営業の各機能が情報をスムーズに共有・連携できるシステム・体制の整備等の推進を検討しているとのことである。

これら施策に付随する今後の体制整備や人材育成、システム投資の進展に伴い、短期的には利益やキャッシュ・フローへの影響が生じる可能性がある一方で、安原禎二氏らは、これらの施策は、ソリューション型営業体制の確立による顧客との関係性の深化、他社に代替されない高付加価値製品のラインアップ拡充による収益構造の強化を通じて、当社の中長期的な企業価値向上に資すると認識しているとのことである。

(Ⅲ)成長の加速に向けたグローバル展開への更なる注力

安原禎二氏らは、人口減少に伴い国内市場の縮小が見込まれる中、環境意識の高まりを背景に天然物由来原料への需要が拡大する欧米市場や、成長ポテンシャルの高い東南アジア諸国を中心にグローバル展開を加速させたいと考えているとのことである。

具体的には、現地市場の特性や法規制、サプライチェーン構造を踏まえた製品仕様の最適化を図るとともに、現地ニーズに即した製品開発体制の強化、海外向け製品の専用製造ラインの確保、及びマーケティング・営業機能の拡充に向けた人材採用・育成を検討しているとのことである。また、既存の進出国である中国やタイ、フィリピン等の東南アジア、アメリカ、メキシコ、オランダ等の欧米諸国における販売活動に加え、周辺国への輸出拡大を視野に入れた市場調査、現地代理店・販売パートナーとの連携強化、物流網の再構築等を検討しているとのことである。

安原禎二氏らは、これらの施策は、短期的には投資負担や収益変動リスクを伴う可能性があるものの、グローバル市場における販売機会の拡大、地域分散による事業ポートフォリオの安定化を通じて、中長期的な企業価値の向上に資するものと認識しているとのことである。

(Ⅳ)自律型人材の育成やダイバーシティ戦略の加速による「人のチカラ」の更なる強化

安原禎二氏らは、当社が企業価値向上の基盤として従来より「人のチカラ」を最重要視し、2009年より『人材育成プロジェクト』を始動し、教育制度の抜本的改革や、柔軟かつ働きやすい雇用環境の整備に向けた行動計画の策定・実行を継続的に進めることで、人的資本は着実に強化されたものと考えているとのことである。

そして、上記(Ⅰ)乃至(Ⅲ)の各種施策を実現するためには、この「人のチカラ」の強化が引き続き不可欠であり、当社の持続的成長における最重要施策と位置づけているとのことである。

一方で、日本国内における労働人口の減少は、産業全体にとって構造的な課題であり、優秀な人材の確保は今後さらに困難になると認識しているとのことである。加えて、事業環境の不確実性が高まる中で中長期的な成長を実現するためには、従来とは異なる企業変革を牽引できる自律型人材の育成と、多様性に富んだ柔軟な組織体制の構築が不可欠であり、従来以上に抜本的な施策が必要になると考えているとのことである。

具体的な施策としては、自発的な行動を促進する裁量評価を軸とした新たな人事制度の導入、自律型人材の育成を目的としたリーダーシッププログラムや専門スキル研修の拡充、女性管理職比率の向上に加え、若手・シニア人材の積極的登用による組織の多様性強化、さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や業務の省人化を通じて、従業員が創造性や付加価値の高い業務に集中できる環境整備を検討しているとのことである。

これらの取り組みは、短期的には教育投資や人事制度改革に伴う利益水準の悪化を招く可能性があるものの、人的資本の強化を通じて、当社の中長期的な企業価値の向上に資する施策であると考えているとのことである。

ウ.本取引の目的

安原禎二氏らは、本企業価値向上策のうち、施策(Ⅰ)については長期的な調達コストの安定化、施策(Ⅱ)については高付加価値製品の拡充による収益性の向上を通じて、それぞれ収益力向上に繋がること、また、施策(Ⅲ)についてはグローバル展開による売上成長機会の獲得を通じた更なる成長、施策(Ⅳ)については人的資本の強化による組織の持続的な競争力向上等に寄与することから、中長期的に見れば、本企業価値向上策は、当社の成長及び企業価値の向上に資するものであると考えているとのことである。

一方で、本企業価値向上策を積極的かつ機動的に実行する場合、これらの施策の実行のために限られた経営資源を集中的に投入することが不可欠になるが、これらの施策は直ちに当社の業績に貢献するものではなく、相応の時間と各種先行投資が必要になることから、安原禎二氏らは、一時的な利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化により、短期的には当社の財務状況や業績に大きな影響を与えるリスクがあり、結果として期待される収益を生むことができない可能性も否定はできないと考えるようになったとのことである。

また、安原禎二氏らは、当社が上場企業である以上、短期的な業績に対してコミットメントが求められる中、本企業価値向上策の実行及び短期的な利益にとらわれない中長期的な成長を優先する経営の意思決定を行う結果、資本市場から十分な評価が得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性もあるため、当社が上場を維持したままで本企業価値向上策を実行することは困難である可能性もあり、資本市場からの短期的な株価や業績への期待に応えることと本企業価値向上策の積極的かつ機動的な実行の両立は、難易度が高いものと認識するようになったとのことである。同時に、当社が直面するテルペン類の厳しい調達環境や、激化する石油系大手企業との競争環境下で勝ち抜くためには、可及的速やかに本企業価値向上策を実施するべきであると認識するようになったとのことである。

以上のとおり、安原禎二氏らは、2025年3月以降、本企業価値向上策の実施には相応の時間を要する可能性が高い点、事業環境の変化及び市場での競争激化により各施策を迅速に実施する必要がある点、非公開化に伴う当社の事業面・財務面への影響及び各ステークホルダーへの影響、増加傾向にある上場維持のコスト等について慎重に検討を重ねた結果、2025年6月、短期的な利益にとらわれずに、安定的かつ持続的に当社の企業価値を向上させるためには、当社株式を可能な限り早期に非公開化することが、本企業価値向上策の実行に伴う一時的な業績の悪化等によって株価が低迷するといった当社の株主のリスク負担を回避しつつ、本企業価値向上策を機動的に実践するために最も有効な手段であるとの結論に至ったとのことである。

その後、安原禎二氏らは、本企業価値向上策を中長期的な視点から一貫性をもって実践し、企業価値向上を実現するためには、これまでの当社の事業運営の連続性を確保しつつ当社株式を非公開化する必要があり、そのためには、当社の創業家一族であり、当社の事業内容を熟知している安原禎二氏らが継続して経営に当たること、また、一般株主に代わるリスクの担い手として創業家一族が株主となることで、当社の経営陣と株主が一体となり、これまで以上に柔軟かつ機動的に経営判断を行うことが必要であると考え、2025年6月下旬、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法が最適な手段であるという結論に至ったとのことである。

エ.安原禎二氏らが認識する当社株式の非公開化に伴うデメリット等

安原禎二氏らは、当社が1995年に広島証券取引所に株式を上場して以来、知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきた一方で、(ⅰ)当社は上場来エクイティ・ファイナンスによる資金調達を実施しておらず、健全な財務基盤をもとに金融機関と良好な関係を構築しており、間接金融を通じて本企業価値向上策の実行のために必要に応じた資金調達を行うことが可能であると考えているため、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性が当面見込まれていないこと、さらには、(ⅱ)当社は50年以上にわたるテルペン化学製品のリーディングカンパニーと考えており、事業活動を通じて、一定のブランド力や知名度、取引先からの信用力等、盤石な事業基盤を既に確保しているため、上場を維持していなくても、優秀な人材の確保を継続することが可能であり、また、本企業価値向上策の実行は取引先の企業価値向上にも資するため、中長期的には取引先との関係性は一層強化されるものと考えていること等から、現在では当社が上場を維持する必要性やメリットが低下している状況であると考えているとのことである。

また、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制の強化等により、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示のための対応事項は年々増加しており、上場会社として株式上場を維持するために必要な会計監査人監査報酬や株主総会費用、証券代行関連費用等、人的・金銭的コストの負担は増加傾向にあり、安原禎二氏らとしては、これらのコストが当社の経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないことから、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあるとの考えに至ったとのことである。

(3)本特別委員会による検討

ア.当社の事業環境

上記(1)及び(2)ア.の当社の事業内容及び当社の事業環境についての当社及び安原禎二氏らの認識は、当社に関する公表資料や本資料の内容と整合するものであり、不合理な点は認められない。

イ.本企業価値向上策

当社の事業環境を踏まえると、以下のとおり、安原禎二氏らが計画している本企業価値向上策は、当社の企業価値向上に資するものと評価し得ると考えられる。

まず、当社は、①テルペン化学製品事業、及び、②機能性コンパウンド製品事業を主な事業内容とするところ、当社がさらなる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し継続的な企業価値向上を実現するためには、足元の業績や株価だけを追求するのではなく、既存施策の深化や新規施策を迅速に実行する必要があるとの安原禎二氏らの認識に不合理な点は認められない。

また、安原禎二氏らが検討している上記(2)イ.(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の本企業価値向上策は、施策(Ⅰ)については長期的な調達コストの安定化、施策(Ⅱ)については高付加価値製品の拡充による収益性の向上を通じて、それぞれ収益力向上に繋がること、また、施策(Ⅲ)についてはグローバル展開による売上成長機会の獲得を通じた更なる成長、施策(Ⅳ)については、人的資本の強化による組織の持続的な競争力向上等に寄与することから、中長期的に見れば、(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の施策は、当社の成長及び企業価値の向上に資するものであるという安原禎二氏らの説明に不合理な点は認められない。

ウ.本取引の目的の合理性

本企業価値向上策は、一時的な利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化により、短期的には当社の財務状況や業績に大きな影響を与えるリスクがあり、結果として期待される収益を生むことができない可能性も否定はできないという安原禎二氏らの説明に不合理な点は認められない。また、本企業価値向上策の実行及び短期的な利益にとらわれない中長期的な成長を優先する経営の意思決定を行う結果、資本市場から十分な評価が得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性もあるという安原禎二氏らの説明についても同様である。

そのため、本企業価値向上策の実行に伴う一時的な業績の悪化等によって株価が低迷するといった当社の株主のリスク負担を回避しつつ、各施策を機動的に実践するという安原禎二氏らによる本取引の目的には合理性が認められると考えられる。

エ.非公開化のデメリットについての評価

一般に、上場廃止に伴うデメリットとして、(ⅰ)エクイティ・ファイナンスによる資金調達手段の制約、(ⅱ)上場会社としてのブランドの毀損、(ⅲ)人材採用への悪影響等が考えられるところ、安原禎二氏らの説明を踏まえると、(ⅰ)については、当社は上場来エクイティ・ファイナンスによる資金調達を実施しておらず、間接金融を通じて企業価値向上を目指した各種施策の実行のために必要に応じた資金調達を行うことが可能であるため、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性が当面見込まれず、(ⅱ)については、当社は50年以上にわたるテルペン化学製品のリーディングカンパニーを自負する企業としての事業活動を通じて、一定のブランド力や知名度、取引先からの信用力等、盤石な事業基盤を既に確保できていると考えているとのことであり、(ⅲ)についても、当社が創業以来築いてきた知名度や信用力に照らし合わせれば、上場を維持していなくても、優秀な人材の確保を継続することが可能であると考えているとのことである。

加えて、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制の強化等により、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示のための対応事項は年々増加しており、上場会社として株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストの負担は増加傾向にあるとのことである。

これらの説明に不合理な点は見当たらないことから、本取引の実行後の本企業価値向上策の実施及び上記の上場コストの削減等による当社の企業価値向上に向けたメリットは、当社株式の非公開化に伴うデメリットを上回ると評価することも可能であると考えられる。

オ.小括

以上の検討内容を踏まえると、本取引は、当社の企業価値の向上に資するものと認められ、本取引の目的は正当性・合理性を有するものと考えられる。

2.本取引の取引条件の公正性・妥当性

(1)取引条件に関する協議・交渉過程

当社は、安原禎二氏から、2025年10月1日、当社が2026年3月期において1株当たり6.00円で中間配当を行い、かつ、本公開買付けの成立を条件に、2026年3月期の期末配当を行わないことを前提として、本公開買付価格を1,170円(2025年9月30日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値911円に対して28.43%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値918円に対して27.45%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値863円に対して35.57%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値857円に対して36.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。また、当社が「2026年3月期業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して21.88%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して30.43%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して37.65%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して36.20%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。)とする旨の提案を受けた。当該提案を踏まえて、本特別委員会は、西村あさひの法的助言、当社株式の株式価値の算定に関する山田コンサルの助言をそれぞれ受けながら、取引条件の公正性・妥当性について検討した。

まず、2025年10月2日開催の第8回特別委員会において、山田コンサルより、株式価値算定についての初期的報告がなされ、DCF法及び市場株価法に基づく当該時点での株式価値算定結果の概要が報告された。本特別委員会は、当該算定の基準となっている事項の確認を行い、算定結果の合理性につき、山田コンサルへの質疑応答を通じて検討し、公開買付者からの提案内容を慎重に議論した。その結果、本特別委員会は、当該提案価格は、山田コンサルによる当社の株式価値算定結果及び本取引と同様に非公開化を前提としたMBOにおける公開買付けの他事例のプレミアム水準等を踏まえると、当社の一般株主の利益に配慮された金額とは到底言えないとの結論に至った。当社は、本特別委員会の意見も踏まえ、同日、安原禎二氏に対して、本公開買付価格の引き上げを要請した。

その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月7日、本公開買付価格を1,250円(2025年10月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,093円に対して14.36%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値936円に対して33.55%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値874円に対して43.02%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値856円に対して46.03%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して30.21%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して39.35%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して47.06%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して45.52%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。)とする旨の提案を受けた。

本特別委員会は、2025年10月8日開催の第9回特別委員会において当該提案価格を検討した結果、当該提案価格は、山田コンサルによる当社の株式価値算定結果及び本取引と同様に非公開化を前提としたMBOにおける公開買付けの他事例のプレミアム水準等を踏まえると、当社の一般株主の利益に配慮された金額とは未だ到底言えないとの結論に至った。当社は、当社本特別委員会の意見も踏まえ、2025年10月9日、安原禎二氏に対して、本公開買付価格の引き上げの再度の要請に加え、当社の上場来の市場株価の推移との関係やプレミアム水準についての説明及び価格算定時の考慮要素の具体的内容についての説明を要請した。

その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月14日、本公開買付価格を1,305円(2025年10月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,042円に対して25.24%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値965円に対して35.23%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値891円に対して46.46%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値865円に対して50.87%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して35.94%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して45.48%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して53.53%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して51.92%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。)とする旨の提案に加え、本公開買付価格は、当社の上場来の株価推移において、2006年1月31日に記録した取引時間終了時の終値の最高値1,165円及び2025年10月7日に記録した取引時間中最高値である1,240円を上回っていることから、当社の全ての株主に対して、投資簿価を上回る売却機会を提供することになること、並びに、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2025年10月10日までに公表され、成立した非公開化を目的としたMBO事例におけるプレミアムの平均値と比較しても、本公開買付価格は過去3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は決して遜色のない水準である旨の説明を受けた。

本特別委員会は、2025年10月15日開催の第10回特別委員会において、当該提案価格を検討した結果、当該提案価格を前提とした場合の過去3ヶ月間及び6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、非公開化を目的とした過去のMBO事例におけるプレミアムの平均値と比較して遜色がないものの、仮に今後当社の市場株価が、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月30日まで、2025年10月10日時点の終値と同水準で推移した場合には、当社株式の過去3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが、非公開化を目的とした過去のMBO事例におけるプレミアムの平均値を下回る懸念があること、並びに、山田コンサルがDCF法により試算した理論株価の水準を考慮すると当該提案価格についてなお上乗せの余地があると評価されることを踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と判断するには不十分であるとの結論に至った。当社は、本特別委員会の意見も踏まえ、2025年10月16日、安原禎二氏に対して、本公開買付価格の引き上げの再度の要請に加え、次回提案時点における終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準に対する説明並びに価格算定時の考慮要素の具体的内容についての説明を要請した。

その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月20日、本公開買付価格を1,340円(2025年10月17日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,050円に対して27.62%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値990円に対して35.35%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値909円に対して47.41%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値871円に対して53.85%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して39.58%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して49.39%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して57.65%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して56.00%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。)とする旨の提案に加え、2025年10月17日の終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準並びに価格算定時の考慮要素の具体的内容について、政治・経済に関し株式市場全体が注目する出来事が多数生じ、目下株価上昇局面にある中においては、短期的な株価の変動ではなく、より長期の株価推移を踏まえた上で価格を評価すべきと考えている旨の説明を受けた。

本特別委員会は、2025年10月21日開催の第11回特別委員会において、当該提案価格を慎重に検討した結果、山田コンサルがDCF法により試算した理論株価の水準を考慮すると当該提案価格についてなお上乗せの余地があると評価されることを踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された金額と判断するには不十分であることに加え、2025年10月17日における終値及び過去1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準が、非公開化を目的としたMBO事例におけるプレミアムの平均値を下回ることに対する説明として不十分であるとの結論に至った。当社は、本特別委員会の意見も踏まえ、2025年10月22日、安原禎二氏に対して、本公開買付価格の引き上げの再度の要請に加え、市場株価に対するプレミアム水準について、一般株主の利益の観点からどのように評価しているか、及び評価理由について追加の説明を要請した。

その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月23日、本公開買付価格を1,375円(2025年10月22日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,084円に対して26.85%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,011円に対して36.00%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値921円に対して49.29%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値875円に対して57.14%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して43.23%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して53.29%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して61.76%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して60.07%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。)とする旨の提案に加え、当該提案価格について、(ⅰ)公表日の前営業日の終値及び過去1ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアムに着目した場合、当該提案価格に付されているプレミアムは、本取引と同様に非公開化を前提としたMBOにおける公開買付けの他事例のプレミアム水準を下回るものの、当社の株主構成や市場における取引状況を踏まえると、足元で観測されている当社株式の市場株価の上昇は、必ずしも当社株式の本源的価値を反映したものであるとは言えない旨、(ⅱ)当該提案価格は2025年6月30日時点の当社の簿価純資産額から算出した1株当たりの純資産額を下回るものの、簿価純資産額はあくまで理論値的な清算価値を示すものにすぎず、事業の清算に伴うコスト等が存在することを踏まえると、実質的な1株当たりの純資産額は956円となることから、当該提案価格は、当社株式に対し、清算価値を大きく上回る価格での売却機会を提供するものである旨の説明を受けた。

本特別委員会は、2025年10月24日開催の第12回特別委員会において、当該提案価格を慎重に検討した結果、当社の第三者算定機関である山田コンサルによる株式価値算定結果を踏まえ、当社の本源的価値を勘案すると、当社の一般株主利益に最大限配慮するために、更なる増額の余地があるとの結論に至った。当社は、本特別委員会の意見も踏まえ、2025年10月27日、安原禎二氏に対して、本公開買付価格の引き上げの再度の検討の要請に加え、安原禎二氏が取得した第三者算定機関による当社の清算価値の算定に関する資料及び公開買付けに要する資金の金融機関からの融資の条件に関する資料の提示を要請した。

その後、当社は、安原禎二氏から、2025年10月27日、清算価格の考え方及び金融機関からの調達条件を内容とする補足資料の提示を受けるとともに、2025年10月29日、提示可能な最大限の価格として、本公開買付価格を1,380円(2025年10月28日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,060円に対して30.19%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,032円に対して33.72%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値936円に対して47.44%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値881円に対して56.64%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。また、当社が「業績予想に関するお知らせ」を公表した2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して43.75%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して53.85%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して62.35%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して60.65%のプレミアムをそれぞれ加えた金額。)とする旨の提案を受けた。

本特別委員会は、2025年10月30日開催の第13回特別委員会において、当該提案価格を慎重に検討した結果、当社一般株主が享受すべき利益が確保された妥当な価格であると判断した。当社は、本特別委員会の意見も踏まえ、同日、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で2025年10月31日開催の当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、2025年10月30日時点における当社の意見として本公開買付価格を1,380円とすることを受諾する旨を回答した。

以上のとおり、本公開買付価格は、当社のアドバイザー及び本特別委員会の助言を踏まえて、当社と公開買付者との間の真摯な価格交渉の結果決定されており、また、5回にわたる価格の引き上げの要請が行われ、実際に本公開買付価格が1,170円から1,380円までに引き上げられており、これらの当社と公開買付者との本公開買付価格の交渉に係る経緯には、不合理な点は認められない。

したがって、以上の公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程は、独立した当事者間の交渉と認められる公正なものであり、一般株主にとって可能な限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指した合理的な努力が行われたと認められる。

(2)株式価値算定結果

ア.山田コンサルによる株式価値算定

当社は、安原禎二氏ら及び当社から独立した第三者算定機関として、当社のファイナンシャル・アドバイザーである山田コンサルに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼した。なお、山田コンサルは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有していない。

山田コンサルは、当社株式の価値算定に当たり必要となる情報を収集・検討するために当社が提供した情報及び一般に公開された情報等を踏まえて、当社株式の価値算定を行った。山田コンサルは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値算定を行い、当社は、山田コンサルから2025年10月30日付で当社算定書を取得している。なお、下記3.に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、当社は、山田コンサルから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得していない。

山田コンサルが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりである。

市場株価法:883円~1,091円

DCF法 :1,186円~1,612円

本公開買付価格は、山田コンサルによる当社株式の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限を上回っており、また、DCF法に基づく算定結果の中央値を上回っている。

なお、当社算定書によれば、山田コンサルが用いた各手法の算定過程及びその根拠となる財務予測は、以下のとおりとのことである。

市場株価法では、2025年10月30日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,091円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値1,047円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値944円、直近6ヶ月間の終値の単純平均値883円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を883円から1,091円までと算定している。

DCF法では、当社が現時点で合理的に予測可能な期間まで作成した本事業計画における収益予測及び投資計画、当社の2026年3月期第2四半期における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値及び株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,186円から1,612円と算定している。なお、割引率は加重平均資本コストを採用し、6.84%から7.84%を採用しており、継続価値の算定に当たっては永久成長法を採用し、外部環境等を総合的に勘案した上で永久成長率を0.0%から1.0%として、継続価値を9,827百万円から13,702百万円と算定している。

山田コンサルがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりとのことである。なお、山田コンサルがDCF法に用いた本事業計画には、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれていないが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれているとのことである。具体的には、2026年3月期において、脱硫設備導入やインベントリー関係の新規の設備投資を想定している。

また、2028年3月期に当社の原材料調達コストの削減と安定的な製造体制の維持を目的として、当社製品の主要原材料であるオレンジ油の一括調達を予定しており、2028年3月期の棚卸資産の増減額は対前年度比較で3,027百万円の増加を見込んでいる。一方で、2027年3月期の棚卸資産の増減額は対前年度比較で32百万円の増加を見込んでおり、2029年3月期の棚卸資産の増減額は対前年度比較で132百万円の増加を見込んでいる。以上のことから、2028年3月期のフリー・キャッシュ・フローは対前年度比較で大幅な減少を、2027年3月期及び2029年3月期のフリー・キャッシュ・フローは対前年度比較で大幅な増加を見込んでいる。

なお、本事業計画は、当社の将来の成長を考慮した上で本取引の取引条件の妥当性を検討することを目的として、直近の主要取引先との取引状況や為替動向といった足元の事業環境を踏まえて作成したものであり、安原禎二氏らはその作成過程に一切関与していないとのことである。

また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映していないとのことである。

(単位:百万円)

2026年3月期

(6ヶ月)
2027年3月期 2028年3月期 2029年3月期
売上高 7,910 15,436 15,655 15,873
営業利益 555 1,419 1,342 1,383
EBITDA 897 2,003 2,036 2,068
フリー・キャッシュ・フロー ▲276 863 ▲2,275 1,001

山田コンサルは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていないとのことである。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含む。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことである。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としているとのことである。但し、山田コンサルは、算定の基礎とした本事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、その作成経緯及び当社の現状を把握した上で、それらに不合理な点がないかという観点から、当社の事業計画の合理性を確認しているとのことである。また、山田コンサルの算定は、2025年10月29日までの上記情報を反映したものとのことである。

イ.小括

以上のとおり、当社及び本特別委員会は、山田コンサルから当社算定書を取得しているところ、本公開買付価格は、市場株価法に基づく算定結果を上回っており、また、DCF法に基づく算定結果の中央値を上回っているため、これらの事情は本公開買付価格の公正性・妥当性を認める重要な要素の1つであると評価できる。

本特別委員会は、本事業計画について、当社及び山田コンサルからの説明を踏まえ、事業計画の作成経緯及び当社の現状を把握した上で検討したが、その内容に不合理な点は認められなかった。また、本特別委員会において、当社算定書の内容を検討するとともに、山田コンサルから、当社算定書の内容や、算定に当たっての前提条件について説明を受けた結果、上記の各手法に不合理な点は認められなかった。

なお、上記のとおり、当社は「業績予想に関するお知らせ」において減益を見込んだ業績予想を公表している。もっとも、「業績予想に関するお知らせ」の公表日である2025年9月19日を基準日とした場合の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値は960円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値は897円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値は850円、直近6ヶ月間の終値の単純平均値は859円であり、いずれも2025年10月30日を基準日とした場合の数値を下回っていることから、山田コンサルが「業績予想に関するお知らせ」公表後の2025年10月30日を基準日とする市場株価法によって株式価値を算定していることは、当該株式価値算定結果の合理性に影響を及ぼすものではないと認められる。また、山田コンサルがDCF法の算定の前提とした本事業計画には、「業績予想に関するお知らせ」において開示されている業績予想が織り込まれていることから、「業績予想に関するお知らせ」の公表は、DCF法による株式価値算定結果の合理性に影響を及ぼすものではないと認められる。

また、当社は2025年10月31日付で10月31日付業績予想修正を公表する予定とのことであるが、当該修正の理由は、為替が想定よりも円安で推移したことに伴い為替差益が発生したためであって、2026年3月期通期の業績予想に変動は生じない見通しとのことであり、山田コンサルによれば、10月31日付業績予想修正の内容が市場株価法・DCF法による株式価値算定結果に有意な影響を及ぼすことは想定されないとのことである。これを踏まえ、本特別委員会としては、10月31日付業績予想修正の公表は、株式価値算定結果の合理性に影響を及ぼすものではないと判断している。

(3)プレミアムの水準

本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月30日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,091円に対して26.49%、過去1ヶ月間の終値単純平均値1,047円に対して31.81%、過去3ヶ月間の終値単純平均値944円に対して46.19%、過去6ヶ月間の終値単純平均値883円に対して56.29%のプレミアムがそれぞれ加算されており、近時の他のMBO事例(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年10月30日までに公開買付けが成立した非公開化を目的としたMBO案件の事例、96件(公開買付け未実施・不成立の事例及び対象会社の賛同又は応募推奨がない事例は除外))におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値に対して42.33%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.92%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して45.99%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して46.51%。小数点以下第三位を四捨五入。)と比較すると、公表日の前営業日の終値及び直近1ヶ月間の終値単純平均値においては必ずしも高い水準にあるとまではいえない。もっとも、当社株式の株価が上昇局面にあることを考慮すると、当社株式の直近の株価のみで価格を検討するよりも、より長期間の平均値を考慮して検討することは不合理とは言えないところ、本公開買付価格のプレミアム水準は、当該各事例における直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値におけるプレミアム水準の平均値を上回っている。また、当社株式の終値は本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月30日までの過去6ヶ月において880円から1,091円まで23.98%上昇している一方で、本公開買付価格は、当該期間中に記録された当社株式の上場来最高値である1,240円(2025年10月7日のザラ場)を上回っている。

そのため、本公開買付価格は、本公開買付けと同種の公開買付け事例と比べても、合理的なプレミアムが付された価格であると評価できる。

なお、本公開買付価格は、当社の2025年9月30日現在の簿価純資産である21,837百万円を、自己株式控除後の発行済株式総数(9,075,670株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である2,406円(本公開買付価格は当該金額との比較で42.64%のディスカウント)を下回っているものの、当社の資産には棚卸資産や工場及び工場の土地・建物、無形固定資産等の流動性の低い事業用資産(当社の貸借対照表(2025年9月30日現在)上、資産合計(27,475百万円)に占めるそれらの資産に該当する資産(「製品」(2,829百万円)、「仕掛品」(2,841百万円)、「原材料及び貯蔵品」(5,161百万円)、「有形固定資産」(5,098百万円)及び「無形固定資産」(278百万円))の割合は59.0%)が多く含まれており、資産売却に際しての困難性や清算に伴う様々な追加コストの発生等を考慮すると、仮に当社が清算する場合においても、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、所有する土地建物は本社及び工場であるところ、本社及び工場の解体及び更地化に係る建屋の取り壊し費用及び化学品を取り扱うことに伴う土壌浄化にも費用を要することに加え、機械装置については売却に伴い撤去の基礎工事に係る相当程度の追加コストが発生し、製造工程の仕掛品や製品、原材料は廃棄等を考慮すると、相当程度の毀損が見込まれる。加えて、当社の清算を行う場合、従業員に対する割増退職金及び弁護士費用等の専門家費用その他相当程度の追加コストが発生することが見込まれること等に鑑みると、当社の一般株主に最終的に分配されることとなる金額は、現実的には簿価純資産額から相当程度毀損された金額となることが想定されるとのことである。なお、当社においては、清算を予定しているわけではないため、清算を前提とする見積書の取得までは行っておらず、本公開買付価格が、具体的な検討を経て概算された想定清算コスト等を勘案して算出される想定の清算価値を上回っていることの確認までは行っていないとのことである。また、純資産額は、当社の清算価値を示すものであり、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えられるとのことである。

以上の検討・評価に特段不合理な点は認められないことから、本公開買付価格(1,380円)が当社の2025年9月30日時点の簿価純資産額から算出した1株当たり簿価純資産額である2,406円を下回っていることを以て、本公開買付価格の公正性・妥当性が否定されるものではないと考えられる。

なお、上記のとおり、当社は「業績予想に関するお知らせ」において減益を見込んだ業績予想を公表している。もっとも、本公開買付価格は、「業績予想に関するお知らせ」の公表日である2025年9月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値960円に対して43.75%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値897円に対して53.85%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値850円に対して62.35%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値859円に対して60.65%のプレミアムを付与するものであることから、「業績予想に関するお知らせ」の公表前の時点を基準とした場合でも、合理的なプレミアムが付されていると認められる。

また、当社は2025年10月31日付で「第2四半期(中間期)業績予想の修正に関するお知らせ」として、10月31日付業績予想修正を公表する予定とのことであるが、上記(2)のとおり、山田コンサルによれば、10月31日付業績予想修正を踏まえても通期としての業績予想に変動は生じないことから、10月31日付業績予想修正の内容が市場株価に与える影響は僅少であると想定されるため、10月31日付業績予想修正の公表は、プレミアム水準の合理性に影響を及ぼすものではないと考えられるとのことである。これを踏まえ、本特別委員会としては、10月31日付業績予想修正の公表は、プレミアム水準の合理性に影響を及ぼすものではないと判断している。

(4)本株式併合に係る取引条件の妥当性について

公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株主が所有する株式を除く。)の全てを取得できなかった場合には、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことである。

具体的には、公開買付者は、本公開買付けの決済完了後速やかに、会社法第180条に基づき当社株式の併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会を2026年2月頃を目途に開催することを当社に要請する予定とのことである。なお、公開買付者及び本不応募合意株主は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことである。

本株式併合の割合は本答申書作成日現在において未定だが、公開買付者が東京証券取引所スタンダード市場へ上場している当社の発行済株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除く。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった当社株主(但し、公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除く。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に要請する予定とのことである。

株式併合は、本取引のような完全子会社化の取引において一般的に採用されている方法であり、本取引の方法として妥当であると考えられる。

また、本スクイーズアウト手続の条件についても、本公開買付価格と同一の価格を基準として算定・決定される予定であるところ、本スクイーズアウト手続は、本公開買付けに続く手続として予定されているものであり、時間的に近接した両手続において交付される対価が同一のものとなるようにすることは合理的であると考えられる。

(5)小括

以上のとおり、本公開買付価格は、①公開買付者との間の十分な交渉を踏まえて決定されたものであること、②第三者算定機関による当社株式の算定結果とも整合していること、③本公開買付けと同種の公開買付け事例と比べても遜色ないプレミアム水準が確保されていることを踏まえると、公正かつ妥当なものであると評価できる。また、その他の取引条件についても当社の一般株主に不利益となる事情は認められないことから、本取引の取引条件は公正かつ妥当なものであると考えられる。

3.本取引の手続の公正性

(1)独立した特別委員会の設置

ア.特別委員会の設置の時期

M&A指針3.2.4.1においては、特別委員会を早期段階から関与させることにより、取引条件の形成過程全般にわたってその公正性を担保する機能を果たさせる等の観点から、対象会社が買収者から買収提案を受けた場合には、可及的速やかに、特別委員会を設置することが望ましいとされている。

本特別委員会は、2025年7月17日に安原禎二氏から提案書を受領した直後の同月31日の当社取締役会決議に基づき設置され、翌月6日に第1回が開催されている。そのため、本取引においては、取引条件の形成過程の初期段階から全般にわたって、本特別委員会が関与していたと認められる。

イ.委員構成

M&A指針3.2.4.2においては、(ⅰ)特別委員会の委員となる者は高度な独立性を有することが望ましく、また、(ⅱ)構造的な利益相反の問題による影響を排除する観点から、社外者、すなわち社外取締役、社外監査役又は社外有識者で構成されることが望ましいとされている。

当社は、安原禎二氏ら及び当社から独立し、本取引に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していない、当社社外取締役である神原宏尚及び前岡大並びに社外有識者である松本拓生の3名を、本特別委員会の委員に選定した。したがって、本特別委員会の委員は、それぞれ独立性を有することが確認されており、M&A指針の要請を具備するものと認められる。

ウ.特別委員会の設置・委員選定のプロセス

M&A指針3.2.4.3においては、特別委員会の設置の判断、権限と職責の設定、委員の選定や報酬の決定については、構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、対象会社の独立社外取締役や独立社外監査役がこれらのプロセスに主体性を持って実質的に関与することが望ましいとされている。

当社は、本取引が構造的な利益相反を伴うことに鑑みて、西村あさひの助言も踏まえ、特別委員会の設置、権限、職責、委員の選定及び報酬の検討を開始した。また、本取引に特別の利害関係を有する安原禎二氏らはこれらの検討並びに特別委員会の設置及び委員の選定に係る決議に関与していない。

このように、本特別委員会の設置、権限、職責、委員の選定及び報酬の決定の各過程において、利害関係を有する取締役の関与は排除されており、当社の独立社外取締役が主体性を持って実質的に関与していたことが認められる。

エ.買収者との取引条件の交渉過程への関与

M&A指針3.2.4.4においては、特別委員会は、買収者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保する役割を果たすべく、対象会社と買収者との間の買収対価等の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与することが望ましいとされている。

当社取締役会は、上記「第3調査・検討の方法」の「1.本特別委員会に対する諮問に至る経緯」に記載のとおり、本特別委員会に関して以下の決議を行った。

① 本特別委員会の設置に際し、本特別委員会の意見を最大限尊重するものとし、本特別委員会が本取引を実施することが妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実施を決定しないこと

② 本取引の取引条件の公正性が確保されるよう、取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて直接交渉を行うことができること

③ 本特別委員会が本諮問事項の検討等に当たり必要と判断した場合には、本取引に関して適切な判断を確保するために、本特別委員会のアドバイザー等を選任することができること(当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がないなど、本特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、本特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的費用は当社の負担において、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができることを含む。)

④ 答申を行うに当たって必要となる一切の情報の収集を当社又は当社のアドバイザーに対して求めることができること

また、実際に、本特別委員会は、当社から、公開買付者と当社との間における本取引に係る協議、交渉の経緯及び内容等につき、適時に報告を受けるだけでなく、本特別委員会における協議、公開買付者との本取引に係る面談及び質疑応答、並びに公開買付者に対する本公開買付価格の増額の要請を実施するなど、2ヶ月以上の間、複数回にわたり当社に意見や助言をするなどして、公開買付者との交渉過程に実質的に関与してきたことが認められる。

オ.アドバイザー・第三者算定機関の選定プロセス

M&A指針3.2.4.5においては、特別委員会が自らの役割を適切に理解し、その役割を十分に果たす上では、手続の公正性や企業価値評価に関する専門的知見に基づいて検討・判断することが必要であり、特別委員会が信頼して専門的助言を求めることができる財務アドバイザー/第三者評価(算定)機関や法務(リーガル)アドバイザーが存在していることが望ましいとされている。また、これらのアドバイザーについては、特別委員会が自らのアドバイザー等を選任することが有益であるが、対象会社の取締役会が選任したアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がない場合等、特別委員会として当該アドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、そのアドバイザー等を利用することも否定されないとされている。

当社取締役会は、上記「第3調査・検討の方法」の「1.本特別委員会に対する諮問に至る経緯」に記載のとおり、本諮問事項の検討等に当たり必要と判断した場合には、当社による合理的費用の負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができることを決議した。また、本特別委員会は、必要に応じ当社が選任した独立性を有するアドバイザーである西村あさひ及び山田コンサルから専門的助言を得ることを確認し、実際にこれらの専門的助言を随時受領した。

このように、本特別委員会においては、本取引に関する検討過程において適時に上記の各アドバイザーの専門的な助言・意見等を取得し、当該助言・意見等に基づき、本取引の是非、本公開買付価格をはじめとする本取引の取引条件の妥当性、本取引における手続の公正性等について慎重に検討及び協議が行われてきたと認められる。

カ.情報の取得

M&A指針3.2.4.6においては、特別委員会が、一般株主に代わり、非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行うという方法も組み合わせることにより、全体として、重要な情報を十分に踏まえた上で、M&Aの是非や取引条件の妥当性についての検討・判断が行われる状況を確保することが望ましいとされている。

本特別委員会は、公開買付者から、本取引の背景・意義・目的、本取引により想定される影響、本取引のストラクチャー・条件、本取引後の当社の経営体制・経営方針等について説明を受け、質疑応答を実施した。

また、本特別委員会は、当社から、公開買付者の提案内容等に対する当社の評価、山田コンサルによる株式価値算定の前提とされた当社の事業計画の内容、公開買付者の提案内容等に関する事項等に関する説明を受け、質疑応答を行った。

このように、本特別委員会が非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて本取引に関する検討・判断を行ったことが認められる。

キ.報酬

M&A指針3.2.4.7においては、特別委員会がその役割を十分に果たす上では、委員に対して支払う報酬は、その責務に応じた適切な内容・水準とすることが望ましく、また、特別委員会に係る職務には役員としての通常の職務に比して相当程度の追加的な時間的・労力的コミットメントを要すると考えられるところ、元々支払いが予定されていた役員報酬に委員としての職務の対価が含まれていない場合には、別途、委員としての職務に応じた報酬を支払うことが検討されるべきであるとされている。

当社取締役会は、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額の報酬を支払うことを決議しているため、本取引の検討について本特別委員会に求められる役割を適切に果たすための特別の報酬が、元々支払いが予定されていた役員報酬とは別に支払われることとなっていることが認められる。

ク.当社取締役会における特別委員会の判断の取扱い

M&A指針3.2.5においては、取締役会は、特別委員会の設置の趣旨に鑑み、特別委員会の判断内容を適切に理解・把握した上で、これを最大限尊重して意思決定を行うことが望ましいとされている。

当社取締役会は、本特別委員会の設置に際して、上記「第3調査・検討の方法」の「1.本特別委員会に対する諮問に至る経緯」に記載のとおり、当社取締役会が本取引に関する意思決定を行うに際し、本特別委員会の意見を最大限尊重するものとし、本特別委員会が本取引を実施することが妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実施を決定しないものとする旨を決議している。

このように、本取引については取締役会が特別委員会の意見を最大限尊重して意思決定を行うことのできる体制が確保されていることが認められる。

ケ.当社の社内検討体制

M&A指針3.2.6においては、取引条件の形成過程において構造的な利益相反の問題による影響を排除する観点からは、M&Aへの賛否等を決定する対象会社の取締役会決議の段階だけでなく、その前の検討・交渉段階から、個別のM&Aの具体的状況に応じて、「特別の利害関係を有する取締役」も含む一定の利害関係を有する取締役等を対象会社における検討・交渉過程から除外する等、可能な限り買収者から独立した立場で検討・交渉等を行うことができる体制を対象会社の社内に構築することが考えられるとされている。

本取引の検討に際しては、当社は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、安原禎二氏らから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を構築をしている。具体的には、安原禎二氏らは、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、本取引に関する取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加していない。本取引に関する検討、交渉及び判断を行う当社の検討体制は、全て安原禎二氏らから独立性の認められる役職員のみで構成されている。

このように、本取引の検討・交渉に際しては、公開買付者から独立した社内検討体制、及び、利害関係を有する取締役を本取引の検討・交渉に関与させない体制が構築されていたことが認められる。

コ.特別委員会の設置・運営に関する小括

上記ア.乃至ケ.のとおり、本取引の検討に際しては、特別委員会の実効性を高める工夫に関するM&A指針の指摘事項に配慮した上で、独立性を有する特別委員会が設置されており、これが有効に機能していることが認められる。

(2)外部専門家からの独立した専門的助言等の取得

ア.リーガル・アドバイザーからの助言の取得

M&A指針3.3.1においては、手続の公正性や取引条件の妥当性について慎重な検討・判断過程を経る上では、外部専門家の独立した専門的助言等を取得することが望ましいとされている。この中でも、法務アドバイザーは、公正性担保措置を講じることの意義について対象会社が十分に理解することを補助するとともに、特別委員会の設置や委員の選定、案件の検討・交渉過程から除外されるべき特別の利害関係を有し又はそのおそれのある取締役等の考え方の整理、財務アドバイザーや第三者評価機関の独立性の検討等においても、重要な役割を果たし得ることを踏まえると、初期段階から独立性を有する法務アドバイザーの関与を得て、その独立した専門的助言を取得することが望ましいとされている。

当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、安原禎二氏ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひを選任している。

西村あさひは、本取引と類似のM&A案件について豊富な経験を有する国内最大の法律事務所であり、高い専門性を有していることが認められる。西村あさひは公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、また、西村あさひの報酬は、本取引の成否にかかわらず時間単位の報酬のみとされており、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件とする成功報酬も含まれておらず、本取引の成否にも重要な利害を有しない。

このように、当社は、独立性・専門性を有する法務アドバイザーである西村あさひから、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、初期段階から必要な法的助言を受けていたことが認められる。

イ.第三者算定機関からの株式価値算定書の取得並びにファイナンシャル・アドバイザーからの助言の取得

M&A指針3.3.2においては、取引条件の形成過程において構造的な利益相反の問題や情報の非対称性の問題に対応する上では、対象会社の取締役会又は特別委員会において、専門性を有する独立した第三者評価機関から株式価値算定書等を取得し、これを判断の基礎とすることが望ましく、また、取引条件の形成過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力を行う上では、必要に応じて、M&Aのスキームや代替手段、代替取引の検討、価格交渉等において経験豊富な財務アドバイザーの助言や補助を得ることも有効であるとされている。

(ア)ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサル

当社は、本取引の検討に際して、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために、安原禎二氏ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、山田コンサルに当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年10月30日付で株式価値算定書を取得している。

山田コンサルは、専門知識と豊富な経験・ノウハウを駆使して会社の実態に即した株式価値評価を行い、公開買付者との価格交渉等に寄与するサービスについて豊富な経験があり、高い専門性を有していることが認められ、公開買付関連当事者の関連当事者には該当しない。なお、本取引に係る山田コンサルにおける当社へのファイナンシャル・アドバイザー業務及び株式価値算定業務に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しているとのことであり、かかる判断に不合理な点は見当たらない。そのため、山田コンサルは、安原禎二氏ら及び当社及び本公開買付けの成否からの独立性に問題はないと認められる。

(イ)第三者算定機関及びファイナンシャル・アドバイザーに関する小括

このように、当社及び本特別委員会は、専門性を有する独立した第三者評価機関から株式価値算定書等を取得し、かつ、ファイナンシャル・アドバイザーからの助言や補助を得ながら取引条件を形成してきたと認められる。

(3)他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)

M&A指針3.4においては、取引条件の形成過程における対象会社の交渉力が強化され、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われるという機能に着目し、M&Aにおいて他の潜在的な買収者による対抗的な買収提案が行われる機会を確保すること(以下「マーケット・チェック」という。)が望ましいとされている。マーケット・チェックの方法としては、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討するいわゆる積極的なマーケット・チェックや、M&Aに関する事実を公表し、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施することによる、いわゆる間接的なマーケット・チェック等が存在する。他方で、M&Aに対する阻害効果の懸念や情報管理の観点から実務上の問題がある場合もあることを踏まえ、常に積極的なマーケット・チェックを実施することが望ましいとまでは言えないとされている。

本公開買付けにおける買付等の期間(以下「本公開買付期間」という。)が法令に定められた最短期間である20営業日を超える30営業日に設定される予定であるところ、本公開買付期間を法令に定められた最短期間より長期に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者(以下「対抗的買収提案者」という。)にも対抗的な買付け等を行う機会を確保している。また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っていない。

そのため、本取引においては、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されていることが認められる。

なお、本取引においては、積極的なマーケット・チェックは実施されていないものの、上記のとおり積極的なマーケット・チェックにはM&Aに対する阻害効果や情報管理の懸念があり得ることに加え、本取引においてはその他の公正性担保措置は十分に講じられていることを踏まえると、間接的なマーケット・チェックの機会が確保されていることをもってM&A指針の要請を満たしていると評価することが可能と考えられる。

(4)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定

M&A指針3.5においては、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することは、一般株主の過半数が取引条件について満足していることを直接確認することを通じて、一般株主による判断機会の確保がより重視されることにつながるとともに、取引条件の形成過程における対象会社の交渉力が強化され、一般株主にとって有利な取引条件でM&Aが行われることに資するという機能も有するとされている。

本公開買付けにおいては、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件に相当する買付予定数の下限は設定されていない。もっとも、本公開買付けにおいてマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定とし、かえって本公開買付けにより当社株式の売却を検討したい一般株主に対して売却の機会が提供されず、当該株主の利益に資さない可能性があること、また、公開買付者及び当社において他に十分な公正性担保措置を講じていることから、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされており、本公開買付けにおいてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定がなされていないことは、本公開買付けの手続の公正性を損なうものではないと考えられる。

(5)一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上

M&A指針3.6.1においては、「MBO」及び「支配株主による従属会社の買収」は、買収者と一般株主との間に大きな情報の非対称性が存在することから、取引条件の妥当性等について一般株主による十分な情報に基づいた適切な判断が行われること(インフォームド・ジャッジメント)や、取引条件の形成過程の透明性を向上させ、一般株主等の目を意識したより慎重な検討・交渉が行われることを期待するという観点から、一般株主の適切な判断に資する充実した情報を分かりやすく開示することが望ましいとされている。

ア.特別委員会に関する情報

M&A指針3.6.2.1においては、特別委員会に関する情報として、①委員の独立性や専門性等の適格性に関する情報、②特別委員会に付与された権限の内容に関する情報、③特別委員会における検討経緯や、買収者との取引条件の交渉過程への関与状況に関する情報、④当該M&Aの是非、取引条件の妥当性や手続の公正性についての特別委員会の判断の根拠・理由、答申書の内容に関する情報、⑤委員の報酬体系に関する情報の開示が期待されている。

当社の開示資料において、①本特別委員会の委員の独立性、専門性に関する情報、②本特別委員会の意見を最大限尊重する旨の当社取締役会の決議内容、③本特別委員会の検討経過、本特別委員会が当社と公開買付者との間の交渉に実質的に関与したことに関する情報、④本特別委員会の答申内容及びその理由、並びに⑤本特別委員会の委員が役員報酬とは別個に、答申内容にかかわらず固定額の報酬を受領して本特別委員会に臨んでいる旨が開示される予定であるから、M&A指針が求める情報は十分に開示されるものと認められる。

イ.株式価値算定書に関する情報

M&A指針3.6.2.2においては、取締役会や特別委員会が取得した株式価値算定結果の合理性・信頼性に関する情報を開示することが望ましいとされており、具体的には、各算定方法に基づく株式価値算定の計算過程に関する情報、第三者評価機関の重要な利害関係に関する情報の開示が期待されている。

当社の開示資料において、①当社取締役会が山田コンサルから取得した株式価値算定書の内容について、各算定手法及びそれに基づく当社の株式価値の計算過程に関する情報、②山田コンサルが安原禎二氏ら及び当社から独立性を有し、重要な利害関係を有しないことが開示される予定であるから、M&A指針が求める情報は十分に開示されるものと認められる。

ウ.その他の情報

M&A指針3.6.2.3においては、その他の情報として、①M&Aを実施するに至ったプロセス等に関する情報、当該時期にM&Aを行うことを選択した背景・目的に関する情報、②取締役の利害関係に関する情報や利害関係取締役の取引条件の形成過程への関与の有無・態様に関する情報、③対象会社と買収者との間で行われた取引条件等に関する協議・交渉の具体的な経緯に関する情報、④他の買収方法や対抗提案の検討の有無に関する情報、⑤M&Aへの賛否等を決定する取締役会決議において反対した取締役又は異議を述べた監査役がいる場合には、その氏名及び反対又は異議の理由に関する情報の開示が期待されている。

当社の開示資料において、以下の事項が開示される予定であるため、M&A指針が求める情報は十分に開示されるものと認められる。

① 本取引を実施するに至ったプロセス等に関する情報

② 当社の事業環境に照らして当該時期に本取引を行うことを選択した背景・目的

③ 安原禎二氏らが本取引に関して特別の利害関係を有する取締役に該当すること並びに当社取締役会における本取引の検討においては意思決定の過程から安原禎二氏らを除外していること

④ 当社と公開買付者との間の取引条件に関する協議・交渉の具体的な経緯

⑤ 対抗提案に対する対応策としての間接的なマーケット・チェックの実施に関する情報

⑥ 本取引の賛否を決定するための取締役会決議において反対した取締役の有無等

(6)強圧性の排除

M&A指針3.7においては、MBOや支配株主による従属会社の買収が公開買付けにより行われる場合には、一般株主が公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するために、強圧性(公開買付けに応募しなかった株主が不利に取り扱われるような推測を生じさせることによる、買付価格に不満のある株主に対しても公開買付けに応募させるような事実上の圧力)が生じないように配慮されるべきであるとされている。具体的には、株主が公開買付けに反対した(応募しなかった)場合の取扱いについて、以下のような実務上の対応が行われることが望ましいとされている。

① 公開買付け後のスクイーズアウトに際して、反対する株主に対する株式買取請求権又は価格決定請求権が確保できないスキームは採用しないこと

② 公開買付けにより大多数の株式を取得した場合には、特段の事情がない限り、可及的速やかにスクイーズアウトを行うこと。また、公開買付け後にスクイーズアウトを行う場合の価格は、特段の事情がない限り、公開買付価格と同一の価格を基準にするとともに、その旨を開示書類等において明らかにしておくこと

本特別委員会が当社から受けた説明及び本資料によれば、本取引においては、①公開買付け後のスクイーズアウト手続は株式併合により行うことを予定しており、本取引に反対する株主に株式買取請求権又は価格決定請求権が確保できないスキームは採用されておらず、②(ⅰ)公開買付けが成立した場合には速やかにスクイーズアウトを行う旨及び(ⅱ)スクイーズアウト時の価格は公開買付価格と同一の価格を基準にする旨が開示される予定である。

そのため、本取引においては、一般株主は、本公開買付けに応募するか否かに当たって、仮に反対した場合に、不利に取り扱われることが予想される状況には陥らないような配慮がなされており、強圧性は生じないものと認められる。

(7)本取引の手続の公正性に関する小括

以上のとおり、本取引においては一般株主の利益を確保する観点から、M&A指針において提示されている公正性担保措置に則った適切な対応が行われており、本取引の手続は公正であると考えられる。

4.本取引が当社の一般株主にとって公正なものであると考えられるか

上記1.乃至3.の検討のとおり、本取引の目的は正当性・合理性を有すると考えられること、本取引の取引条件は公正かつ妥当であると考えられること、及び本取引の手続は公正なものであると考えられることからすると、本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると考えられる。

5.上記1.から4.までを踏まえて当社取締役会が本取引における公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して当該公開買付けへの応募を推奨することの是非

上記1.乃至4.の検討を踏まえると、当社取締役会が本公開買付けに賛同する意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは妥当であると考えられる。

(c)定義

本書の他の記載にかかわらず、上記(a)及び(b)において、以下に掲げる用語は、それぞれ以下に定める意味を有する。

・M&A指針:経済産業省策定の2019年6月28日付「公正なM&Aの在り方に関する指針」

④ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である取締役を含む。)の承認

当社は、山田コンサルより取得した当社算定書、西村あさひから得た法的助言を踏まえつつ、本特別委員会(本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引の諸条件について慎重に検討を行いました。

その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年10月31日付の取締役会において、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値向上に資するものであるとともに、当社算定書の算定結果及び本公開買付価格のプレミアム水準、安原禎二氏及び公開買付者との交渉過程並びに本公開買付価格の決定プロセス等に照らし、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを、決議に参加した当社の取締役(取締役合計7名のうち、安原禎二氏らを除く取締役4名)の全員一致で決議いたしました。

上記の取締役会においては、当社の代表取締役社長である安原禎二氏は、公開買付者の代表取締役であり本取引後も継続して当社の経営に当たることを予定していることから、本取引において特別の利害関係を有しており、当社との間で利益が相反する可能性があることから、本取引の検討に関する議題の決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において安原禎二氏及び公開買付者との協議及び交渉には一切参加しておりません。そして、当社の代表取締役常務である新井隆太郎氏及び当社の取締役である原田桂子氏は、本取引後も継続して当社の経営に当たることを予定していることから、本取引において特別の利害関係を有しており、当社との間で利益が相反する可能性があることから、本取引の検討に関する議題の決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において安原禎二氏及び公開買付者との協議及び交渉には一切参加しておりません。

⑤ 当社における独立した検討体制の構築

当社は構造的な利益相反の問題を排除する観点から、安原禎二氏らから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、安原禎二氏らは、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、本取引に関する取締役会における決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において安原禎二氏及び公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。本取引に関する検討、交渉及び判断を行う当社の検討体制は、全て安原禎二氏らから独立性の認められる役職員9名(栗本倫行取締役、従業員8名)のみで構成することとし、本書提出日に至るまでかかる取扱いを継続しております。

安原禎二氏及び公開買付者に対して提示し、かつ、山田コンサルが当社株式の株式価値の算定において基礎とする事業計画は、安原禎二氏らから独立した者によって作成されており、最終的な事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けています。

また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制、具体的には本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する役職員の範囲及びその職務(当社の株式価値の評価の基礎となる事業計画の作成など高い独立性が求められる職務を含みます。)は西村あさひの助言を踏まえたものであり、独立性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。

⑥ 本公開買付けの公正性を担保するための客観的状況の確保

公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しているとのことです。公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切な判断を行う機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことです。

また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定と合わせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。

(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における本公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項

① 本不応募契約

公開買付者は、ワイエス興産、安原禎二氏、沖津弘之氏及び原田桂子氏間で、それぞれ、2025年10月31日付で本不応募契約を締結しているとのことです。本不応募契約の内容は以下のとおりとのことです。

(ア)本公開買付けへ応募しないことに関する合意

ワイエス興産、安原禎二氏、沖津弘之氏及び原田桂子氏は、それぞれ所有する当社株式の全てについて本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。

(イ)当社株式に係る議決権行使に関する合意

公開買付者は、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付け成立後、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとすることを目的として、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、ワイエス興産、安原禎二氏、沖津弘之氏及び原田桂子氏は、それぞれ所有する当社株式に係る議決権の行使として、上記各議案に賛成することを合意しているとのことです。

(ウ)本株式交換に関する合意

公開買付者、ワイエス興産、安原禎二氏、沖津弘之氏及び原田桂子氏は、本株式併合の効力発生日以降、実務上合理的に可能な限り速やかに、本株式交換を実施することを合意しているとのことです。

また、本不応募契約のうち、本不応募契約(沖津氏ら)においては、上記に加えて、以下の内容を合意しているとのことです。

(エ)貸株に関する合意

本株式併合の効力発生日において、公開買付者及び本不応募合意株主以外に、これらの株主がそれぞれ所有する当社株式の数のうち最も少ない数以上の当社株式を所有する当社の株主が存在することを可及的に避け、本スクイーズアウト手続の安定性を高めるため、公開買付者の要請があった場合には、本株式併合の効力発生前を効力発生時として、沖津妙子氏との間で本貸株取引を実施することを合意しているとのことです。なお、貸株料は無償とする予定とのことです。

② 本応募・不応募契約

公開買付者は、沖津妙子氏との間で、2025年10月31日付で本応募・不応募契約を締結しているとのことです。本応募・不応募契約の内容は以下のとおりとのことです。なお、公開買付者は、沖津妙子氏との間で本応募・不応募契約以外に合意しておらず、本公開買付けに応募することにより得られる金銭以外に、公開買付者から、沖津妙子氏に対して供与される利益は存在しないとのことです。

(ア)本公開買付けへの一部応募に関する合意

公開買付者は、沖津妙子氏との間で、2025年10月31日付で、沖津妙子氏が、その所有する当社株式のうち、40,000株を本公開買付けに応募し、残りの466,178株は本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。

(イ)当社株式に係る議決権行使に関する合意

公開買付者は、上記①(イ)に記載のとおり、本株式併合等を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、沖津妙子氏は、自らが所有する当社株式に係る議決権の行使として、上記各議案に賛成することを合意しているとのことです。

(ウ)貸株に関する合意

上記①(ウ)に記載のとおり、本スクイーズアウト手続の安定性を高めることを目的として、公開買付者の要請があった場合には、本株式併合の効力発生前を効力発生時として、沖津弘之氏及び原田桂子氏との間で本貸株取引を実施することを合意しているとのことです。なお、貸株料は無償とする予定とのことです。

(エ)本株式交換に関する合意

公開買付者及び沖津妙子氏は、本株式併合の効力発生日以降、実務上合理的に可能な限り速やかに、本株式交換を実施することを合意しているとのことです。

③ 本応募合意

公開買付者は、本応募合意株主との間で、2025年10月31日付で本応募合意を行い、本応募合意株主が所有する当社株式の全てについて本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。なお、公開買付者は、本応募合意株主との間で本応募合意以外に合意しておらず、本公開買付けに応募することにより得られる金銭以外に、公開買付者から、本応募合意株主に対して供与される利益は存在しないとのことです。また、本応募合意において、本応募合意株主による本公開買付けへの応募の前提条件は存在しないとのことです。 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名 役職名 所有株式数(株) 議決権の数(個)
安原 禎二 代表取締役社長 1,186,560 11,865
新井 隆太郎 代表取締役常務 0 0
原田 桂子 取締役

経営統括本部長
139,230 1,392
栗本 倫行 取締役

生産本部長
3,900 39
中居 英尚 取締役

(常勤監査等委員)
9,400 94
神原 宏尚 取締役

(監査等委員)
0 0
前岡 大 取締役

(監査等委員)
0 0
1,339,090 13,390

(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。

(注2) 取締役(監査等委員)神原宏尚及び取締役(監査等委員)前岡大は、社外取締役であります。 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

該当事項はありません。

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

該当事項はありません。

7【公開買付者に対する質問】

該当事項はありません。

8【公開買付期間の延長請求】

該当事項はありません。

以 上

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