M&A Activity • Oct 30, 2025
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| 【表紙】 | |
| 【提出書類】 | 意見表明報告書 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年10月30日 |
| 【報告者の名称】 | SCSK株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 東京都江東区豊洲3丁目2番20号 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 東京都江東区豊洲3丁目2番20号 |
| 【電話番号】 | 03-5166-2500 |
| 【事務連絡者氏名】 | 経理部長 元島 広幸 |
| 【縦覧に供する場所】 | SCSK株式会社 (東京都江東区豊洲3丁目2番20号) 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、SCSK株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、SCインベストメンツ・マネジメント株式会社をいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は必ずしも計数の総和と一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注6) 本書中の「府令」とは、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第38号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注7) 本書中の「株券等」とは、株式及び新株予約権に係る権利をいいます。
(注8) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注9) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注10) 本書記載の公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、日本で設立された会社である当社の株券等を対象としています。本公開買付けは、日本法で定められた手続及び情報開示基準を遵守して実施されるものであり、これらの手続及び基準は米国における手続及び情報開示基準とは必ずしも同じではありません。特に米国1934年証券取引所法(Securities Exchange Act of 1934)(その後の改正を含みます。以下同じとします。)第13条(e)項又は第14条(d)項及びこれらの条項に基づく規則は本公開買付けには適用されず、本公開買付けはこれらの手続及び基準に沿ったものではありません。本書及び本書の参照書類の中に含まれる財務情報は、日本の会計基準に基づいた情報であり、当該会計基準は、米国その他の国における一般会計原則と大きく異なる可能性があります。また、公開買付者及び当社は米国外で設立された法人であり、その役員の全部又は一部が米国居住者ではないため、米国の証券関連法を根拠として主張し得る権利又は請求を行使することが困難となる可能性があります。また、米国の証券関連法の違反を根拠として、米国外の法人及びその役員に対して、米国外の裁判所において法的手続を開始することができない可能性があります。更に、米国外の法人並びに当該法人の子会社及び関連会社に米国の裁判所の管轄が認められるとは限りません。
(注11) 本公開買付けに関する全ての手続は、特段の記載がない限り、全て日本語において行われるものとします。本公開買付けに関する書類の全部又は一部は英語で作成されますが、当該英語の書類と日本語の書類との間に齟齬が存在した場合には、日本語の書類が優先するものとします。
(注12) 本書又は本書の参照書類の記載には、米国1933年証券法(Securities Act of 1933)(その後の改正を含みます。)第27A条及び米国1934年証券取引所法(Securities Exchange Act of 1934)第21E条で定義された「将来に関する記述」が含まれています。既知又は未知のリスク、不確実性その他の要因によって、実際の結果がこれらの将来に関する記述に明示的又は黙示的に示された内容と大きく異なる可能性があります。公開買付者、当社又はそれぞれの関係者(affiliate)は、これらの将来に関する記述に明示的又は黙示的に示された結果が達成されることを保証するものではありません。本書又は本書の参照書類の中の「将来に関する記述」は、本書の日付の時点で公開買付者及び当社が有する情報を基に作成されたものであり、法令で義務付けられている場合を除き、公開買付者、当社及びそれぞれの関係者は、将来の事象や状況を反映するためにその記述を変更又は修正する義務を負うものではありません。
(注13) 公開買付者及びその関連者、公開買付者及び当社の各ファイナンシャル·アドバイザー並びに公開買付代理人(これらの関連者を含みます。)は、それらの通常の業務の範囲において、日本の金融商品取引関連法規制及びその他適用ある法令並びに米国1934年証券取引所法(Securities Exchange Act of 1934)規則14e-5(b)により許容される範囲で、当社の株券等を自己又は顧客の勘定で、本公開買付けの開始前、又は本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)中に本公開買付けによらず買付け又はそれに向けた行為を行う可能性があります。その場合、市場取引によって市場価格で売買される場合や、市場外の交渉で決まった価格で売買される場合があります。そのような買付けに関する情報が日本で開示された場合には、当該買付けを行った者の英語ウェブサイト(又はその他の開示方法)においても開示が行われます。
E04830 97190 SCSK株式会社 SCSK Corporation 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 1 false false false E04830-000 2025-10-30 xbrli:pure
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名 称 SCインベストメンツ・マネジメント株式会社
所在地 東京都千代田区大手町二丁目3番2号
① 2007年6月27日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第2回新株予約権」といいます。)(行使期間は2007年7月28日から2027年7月26日まで)
② 2010年6月25日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第8回新株予約権」といいます。)(行使期間は2010年7月31日から2030年7月29日まで)
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2025年10月29日開催の取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに関して、現時点における当社の意見として、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨及び本新株予約権の所有者(以下「本新株予約権者」といいます。)の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議をいたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員であるものを含みます。)の承認」に記載の方法により決議されております。
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、住友商事及び公開買付者(総称して以下「公開買付者ら」といいます。)に関する記載については、公開買付者らから受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本公開買付けを通じて株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)及び本新株予約権(注1)を取得及び所有することを主たる目的として、2025年9月16日に設立された株式会社であり、本書提出日現在において、その発行済株式の全てを住友商事が所有しているとのことです。本書提出日現在、公開買付者は当社の株券等を所有しておりませんが、公開買付者の親会社である住友商事は、当社株式158,091,477株(所有割合(注2):50.54%)を所有し、当社を連結子会社としているとのことです。
この度、公開買付者は、2025年10月29日、当社の株主を公開買付者らのみとして当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、当社の株券等の全て(但し、住友商事が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得するため、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を50,347,400株(所有割合16.10%)(注3)としており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、公開買付者は、当社の株券等の全て(但し、住友商事が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することを企図しているとのことですので、買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(50,347,400株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社の株券等の全て(但し、住友商事が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社の株主を公開買付者らのみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の実施を予定しているとのことです。(詳細は下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。)。
(注1) 2025年9月30日現在残存する本新株予約権の内訳は以下のとおりです。
| 新株予約権の名称 | 個数 | 目的となる当社株式の数 |
| 第2回新株予約権 | 6個 | 1,800株 |
| 第8回新株予約権 | 58個 | 17,400株 |
(注2) 「所有割合」とは、当社が2025年10月29日付で公表した「2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」に記載された2025年9月30日現在の当社の発行済株式総数(313,125,263株)に、2025年9月30日現在残存する本新株予約権の合計である64個の目的となる当社株式数(19,200株)を加算した数(313,144,463株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(351,353株)を控除した株式数(312,793,110株、以下「潜在株式勘案後株式総数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。
(注3) 買付予定数の下限(50,347,400株)は、潜在株式勘案後株式総数(312,793,110株)に係る議決権の数(3,127,931個)に3分の2を乗じた数(2,085,288個(小数点以下切上げ))から、本公開買付けに応募する予定のない住友商事が所有する当社株式(158,091,477株)に係る議決権の数(1,580,914個)及び当社が譲渡制限付株式報酬として当社並びにその連結子会社及び持分法適用関連会社(以下「当社グループ」といいます。)の役職員に対して割り当てている譲渡制限付株式(以下「本譲渡制限付株式」といいます。)(485,712株)のうち、当社の取締役が保有する本譲渡制限付株式に係る議決権の数(900個)(注4)を控除した議決権の数(503,474個)に、当社の単元株式数である100株を乗じた数とのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けの成立後に行う本スクイーズアウト手続として、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載する株式併合を行う場合には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じとします。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされていることから、当該手続を確実に実行すべく、本公開買付け成立後に公開買付者ら及び株式併合の手続に賛同すると見込まれる本譲渡制限付株式を所有する当社の取締役が特別決議に必要となる当社の議決権数の3分の2以上を所有することとなるようにするためとのことです。
(注4) 本譲渡制限付株式には譲渡制限が付されており、本公開買付けに応募することはできませんが(本書提出日現在において、公開買付期間の末日までにその譲渡制限が解除される予定の本譲渡制限付株式はありません。)、2025年10月29日開催の当社取締役会において、本取引の一環として実施される本公開買付けに賛同する旨の意見を表明することが決議されていることから、本譲渡制限付株式を保有する当社取締役は、本公開買付けが成立した場合には、本スクイーズアウト手続として実施される株式併合の承認に係る当社の株主総会において、本スクイーズアウト手続に関連する各議案に賛成することを見込んでいるとのことです。そのため、買付予定数の下限を考慮するに際して、本譲渡制限付株式のうち当社取締役が保有している株式数に係る議決権の数を控除しているとのことです。
公開買付者の親会社である住友商事は、1919年12月24日に設立された総合商社で、東京証券取引所プライム市場に上場しているとのことです。住友商事グループ(住友商事並びにその子会社及び持分法適用関連会社を総称していいます。以下同じとします。)は、長年培ってきた信用、国内外のグローバルネットワーク、あらゆる分野の取引先とのグローバルリレーション、知的資産といったビジネス基盤と、ビジネス創出力、ロジスティクス構築力、金融サービス提供力、IT活用力、リスク管理力、情報収集・分析力といった機能を統合することにより、顧客の多様なニーズに応え、多角的な事業活動をグローバル連結ベースで展開しているとのことです。住友商事は戦略を軸とする「Strategic Business Unit」(SBU)を基本単位とし、戦略上の親和性の高いSBUを束ねる組織として、鉄鋼、自動車、輸送機・建機、都市総合開発、メディア・デジタル、ライフスタイル、資源、化学品・エレクトロニクス・農業、エネルギートランスフォーメーションの9つの事業グループに区分しているとのことです。住友商事は、2024年5月2日に公表した「中期経営計画2026」において各ビジネスラインがそれぞれのNo.1を目指していくことで高みを目指し、住友商事グループが強みを持つ領域・成長性の高い領域に経営資源を集中することにより住友商事グループ全体が大きな成長を成し遂げる「No.1事業群」というテーマを掲げているとのことです。全てのSBUに共通するテーマとして、「デジタルで磨き、デジタルで稼ぐ」を標榜し、住友商事グループの事業の強み・競争優位をデジタルで強化、成長を加速させ、あらゆるビジネスの現場でデジタル・AIを駆使して新たな価値創造モデルを構築し、社会や産業をリードすること、を住友商事のデジタル・AI戦略の目指す姿として掲げているとのことです。住友商事グループは約900社の事業会社群、10万社のグローバル顧客といった事業現場を擁しているとのことですが、課題抽出力、顧客へのインターフェース、事業構想力といった強みと、住友商事グループが有し今後更に拡充するデジタルソリューション機能を掛け合わせることが目指す姿の実現に繋がると考えており、本取引も当該戦略に基づき実施されるものとのことです。
なお、公開買付者は、商号をSCインベストメンツ・マネジメント株式会社とし、本公開買付けを通じて当社の株券等を取得及び所有することを主たる目的として2025年9月16日に設立され、本書提出日現在において、住友商事が発行済株式の全てを所有する株式会社とのことです。
一方、当社は、住商情報システム株式会社(1969年10月に住商コンピューターサービス株式会社という商号にて住友商事の子会社として設立され、1989年2月に東京証券取引所市場第二部に上場、1991年9月に東京証券取引所市場第一部に市場変更、1992年10月に住商情報システム株式会社に商号変更した情報サービス事業者)を存続会社とし、株式会社CSK(1968年10月にコンピューターサービス株式会社という商号にて設立され、1982年6月に東京証券取引所市場第二部に上場、1985年3月に東京証券取引所市場第一部に市場変更した独立系の情報サービス事業者)を消滅会社とする合併により、2011年10月に誕生しました。現在は、東京証券取引所プライム市場に上場しております。
当社グループは、2025年9月30日現在、当社、連結子会社35社及び持分法適用関連会社2社より構成され、「産業IT」「金融IT」「ITソリューション」「ITプラットフォーム」「ITマネジメント」及び「その他」の報告セグメントにて事業を営んでおり、主にITコンサルティング、システム開発、検証サービス、ITインフラ構築、ITマネジメント、ITハード・ソフト販売、BPO(注5)等の多様なITサービスの提供を行っております。
当社グループは、経営理念「夢ある未来を、共に創る」の下、社会課題の解決に貢献することで持続的な成長を目指す「サステナビリティ経営」の考えを経営の中心に据えています。また、サステナビリティ経営を推進するための羅針盤として、2020年4月に経営理念の実践課題として重要な事項を「7つのマテリアリティ」(注6)として示すとともに、当社グループの中長期的に目指す姿として「グランドデザイン2030」を策定し、「共創ITカンパニー」という企業像を掲げております。これは、当社グループの人的資本の向上をもって、顧客やパートナー、社会との共創(注7)を推進し、各種の課題を解決すべく、新しい価値を提供し続ける企業グループの姿を現しています。また、共創ITカンパニーの実現に向けて、「総合的企業価値(注8)の飛躍的な向上」「売上高1兆円への挑戦」という二つの企業経営の方向性を示しております。
更に、2023年4月には、「中期経営計画(FY2023-2025)」を策定し、「お客様や社会に対して新しい価値を提供し続けるための事業分野・事業モデルの再構築」、そして「社員の成長が会社の成長ドライバーと認識した上での社員一人ひとりの市場価値の常なる最大化」により、総合的企業価値を飛躍的に向上すべく、具体策としての3つの基本戦略(基本戦略1:事業シフトを断行、基本戦略2:成長市場において、市場をリードする事業を推進、基本戦略3:社会との共創による「次世代デジタル事業」を創出)を推進しております。
また、中長期的な社会・市場・先端技術動向等を見据えた持続的成長を目指すにあたり、社内資本を最大限活用した自律的成長を追求することに加えて、外部との連携、パートナーシップ等を通じた事業ポートフォリオの革新、事業基盤の強化が極めて重要な要素となるものと考え、ネットワンシステムズ株式会社(以下「ネットワンシステムズ」といいます。)に対し公開買付けを実施し、当該公開買付けの結果、同社を2024年12月25日付で連結子会社としました。
国内ITサービス市場は、今後も中期的に市場規模が拡大していくことが見込まれている一方、今後、生産年齢人口の減少の加速が見込まれる中、日本市場そのものの先行きは不透明な状況にあります。また、競争環境も激化の一途をたどっているものと認識しております。顧客の事業への深い知見を持つコンサルティング会社が、M&A等を通じて機動的に提供機能を拡充し、コンサルティングからITシステム導入まで一貫して担うプレイヤーへと進化しており、加えて、ハイパースケーラー(注9)によるクラウドベース(注10)のアーキテクチャ(注11)が主流化し、先進的なサービス提供やプラットフォーム拡充を積極的に進める等、プレゼンスを急速に高めています。国内の同業企業においても、組織再編により、DXの加速、グローバル競争力の向上、グループ全体での最適な経営資源配分による企業力の強化の動きが加速しています。そのような環境下、当社として戦略的事業ポートフォリオに基づく選択と集中を進め、特に優位性を有する産業ITやITインフラの領域(注12)を牽引役として売上高を成長させるとともに、従来の請負型のアプローチから顧客の事業成長に直接貢献をする提案型へのアプローチへの転換は不可欠であり、そのためには顧客の経営課題を的確に捉え提案を行うコンサルティング機能の拡充、高度IT技術者の継続的な確保も課題であると認識しております。更には、国内市場中心の当社事業をいかに海外に展開させていくかというのも重要な経営課題の一つであると認識しております。
(注5) 「BPO(Business Process Outsourcing)」とは、企業のさまざまな業務を外部業者として受託するサービスを指します。
(注6) 「7つのマテリアリティ」とは、当社グループが、経営理念である「夢ある未来を、共に創る」の実現に向けて、社会が抱えるさまざまな課題を事業視点で評価し、社会とともに成長するために策定した、特に重要と捉え優先的に取り組む課題を指します。
(注7) 「共創」とは、当社単独ではなく、お客様、パートナー、社会とともに、新たな価値を生み出すプロセスを指します。
(注8) 「総合的企業価値」とは、中期経営計画(FY2023-FY2025)にて、「成長戦略としてのサステナビリティ経営」を実践し、2030年共創ITカンパニーの実現を目指すために、当社グループが本質的な企業力として目指す価値を意味し、「経済価値」と「社会価値」「人的資本価値」等の非財務要素を包含した企業価値を指します。
(注9) 「ハイパースケーラー」とは、グローバルに大規模データセンターを展開し、ストレージ・ネットワーク等を提供するクラウド事業者の総称を指します。
(注10) 「クラウドベース」とは、自社に専用のサーバーを置かず、インターネット経由でサービスやシステムを利用する形態を指します。
(注11) 「アーキテクチャ」とは、システムの基本構成及び設計方針の総称を指します。
(注12) 「ITインフラの領域」とは、アプリケーションの動作を支える基盤となる技術領域を指します。
公開買付者によれば、住友商事は当社をとりまく足元のSI及びNI(注13)市場は、従来型システム・環境の刷新やクラウドの高度利用を始めとする顧客の強い需要に支えられ安定的に推移する一方、生成AIやAIエージェント等AI関連技術の飛躍的な進展により、顧客自身によるシステム開発の内製化や顧客側でのシステム開発の主導権が情報システム部門から事業部門にシフトする等、SI及びNI業界には従来とは異なるケイパビリティやビジネスモデルの転換が必須の状況が到来していると認識しているとのことです。
(注13) 「SI(システムインテグレーション)」とは、システムの企画、設計、導入から運用・保守までを一貫して行うサービスを指します。「NI(ネットワークインテグレーション)」とは、企業等の通信ネットワークの設計、構築、運用、保守を一括して請け負う業務のことを指します。
このような事業環境を踏まえ、当社では事業モデルの変革を目指し、社会課題の解決を牽引し、圧倒的な存在感と影響力を持つ事業を複数展開する企業グループへの進化を企図していると住友商事は理解しているとのことです。当社は2011年に国内のITサービス市場が成熟する中で更なる事業拡大を図るため住商情報システム株式会社と株式会社CSKを合併して以降、システム開発からITハード・ソフトの販売、BPOまでフルラインアップを揃えたグローバルITカンパニーを標榜し両社の人材や知財の統合を進め、13期連続増益増収の安定基盤を確立するとともに、2025年にはネットワンシステムズを完全子会社化し、SIとNIの統合により顧客への新たな価値を提供する体制を整えてきたと住友商事は理解しているとのことです。住友商事はこの方向性に強く共感しており、その実現に向けて住友商事グループが有し今後更に拡充するアセット・機能・リレーション・リソースを投入して最大限の支援を行い、更にはその次の飛躍的な成長に向けて共に進んで行きたいと考えているとのことです。
住友商事では上記の考えに基づき、住友商事グループが有する事業アセットを当社が存分に活用できるような環境を整えるとともに、不足があれば住友商事の人材や資金的なリソースを最大限投入して獲得することで、当社の成長や変革を全面的に支援する考えとのことです。更には両社の次の大きな成長の実現に向けて戦略を共有し、互いの成長を尊重しながら機動的に協業を進めることが重要だと考えているとのことです。
これまでも、住友商事が1969年に当社の母体となる住商情報システム株式会社を設立して以降、両社は積極的な対話を通じた信頼関係を構築するとともに互いに連携し合い、住友商事グループ内の多様な経営資源を相互に活用する等して個社だけでは実現できない価値創造に相互に取り組んできたとのことです。
もっとも、現状の資本構成においては住友商事の支援に対する成果の約半分が住友商事以外の少数株主に帰属することとなるため、住友商事が従来以上にリソースを当社に投下し、今後更に当社の成長戦略を支援していくことについて、住友商事の株主を含むステークホルダーに対して合理的な説明が難しい状態にあるとのことです。また、当社の成長実現に向けては、住友商事と当社が戦略を全面的に共有し、中長期的視点を持ち、迅速に施策を実行することが重要と考えているとのことですが、当社が上場を維持している状況では、当社の少数株主の利益に配慮し、住友商事と当社との間で利益相反が生じていないことを確認しながら施策に取り組む必要があり、このことが当該施策の迅速な実行の妨げとなる可能性もあるとのことです。これらの観点から、当社の成長に住友商事が全面的にコミットするためには、当社の完全子会社化が最善であると考えているとのことです。
住友商事は、当社の完全子会社化によって下記のシナジーが期待できると考えているとのことです。
公開買付者によれば、前述のとおり当社を取り巻く環境変化の中で、競合となるデジタル・IT企業が新たなケイパビリティ獲得やビジネスモデル変革の動きを加速しており、当社を含む住友商事グループが当該市場で更なる成長を続けていくためには、従来からの強みのある産業ITやITインフラの領域を圧倒的に強くすることに加え、社会や産業、顧客の経営課題を読み解き、変革を支えるデジタルソリューションを能動的に提案・実装することが必要と考えているとのことです。更には、AI活用による開発工程を中心とした生産性向上にも取り組み、成長と効率性の両立により強みを磨き上げていくことができると考えているとのことです。
当社が注力する産業IT・セキュリティ領域に対しては、住友商事が全面的に支援することにより、当社が業界特化型のオファリング、サービス強化、ネットワンシステムズとのシナジー発揮を含む高付加価値化を進め、ビジネスモデルの転換による更なる成長を促進したいと考えているとのことです。
また、当社が次世代の収益の柱を探索・開発するにあたって住友商事及び住友商事グループ約900社をカスタマーゼロ(注14)として活用するとともに、顧客の業界課題への理解・共感と顧客の経営陣や事業部門とのアクセスを活用して他社とは一線を画した商品やサービスの開発や効果的な顧客への提案を支援できると認識しているとのことです。その実現には、コンサル領域の強化、グローバル体制の強化、BPOやデータセンターの再定義、更には顧客経営層への提案・サービス提供体制の整備等が打ち手として考えられ、自社による独自の構築に加え、国内外のパートナー候補との提携や出資を通じた機能獲得・強化により実現が可能であると認識しているとのことです。住友商事では、外部リソース獲得による当社の成長を目的とする大型投資を含め、住友商事の資金力、グローバルネットワーク、事業投資の知見を活用した当社への支援につき協議・検討していく方針とのことです。更に、住友商事のデジタル・AI戦略において、当社には住友商事グループのデジタルソリューション事業の中核として、住友商事グループの事業創出・変革と、住友商事とともに社会や産業の変革をリードすることを期待しているとのことです。
(注14) 「カスタマーゼロ」とは、自社を最初の顧客として位置づけ、社内で新しい製品・サービス・ソリューションを先行導入・検証する取り組みを指すとのことです。
上記の認識のもと、住友商事は、2024年11月中旬にリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を、同年12月中旬に住友商事及び当社を含む住友商事グループから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を、住友商事及び当社を含む住友商事グループから独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてゴールドマン・サックス証券株式会社を選任し、当社を非公開化し住友商事の完全子会社とすることを具体的に検討するための体制を構築したとのことです。
2025年1月下旬、住友商事は当社に対して、当社の成長戦略に繋がる本取引の検討について、初期的な打診を行い、同年3月上旬以降、資本政策を含む両社協業の可能性についての複数回の協議を経て、同年5月上旬、当社より正式提案を行うよう要請を受けたとのことです。住友商事は、同年5月27日付で法的拘束力のない初期的な意向表明書を当社に提出し、本取引の戦略的意義、提案の背景等を説明するとともに、デュー・ディリジェンスを実施したい旨の申入れを行い、同年6月2日に当社からデュー・ディリジェンスの資料開示請求に応じる方針の連絡を受けたとのことです。その後、同年7月10日に、当社から、本取引のシナジーを含む本取引の戦略的意義、本取引のストラクチャー、本取引後の当社の経営方針等に関して書面による質問を受け、同年7月17日に当該質問事項に対して説明を行ったとのことです。更に、当該回答の内容を踏まえ、同年8月5日付で、本特別委員会(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に定義します。以下同じとします。)から書面による追加の質問を受け、同年8月14日に説明を行ったとのことです。更に、同年8月22日及び同年8月28日開催の本特別委員会において、本特別委員会との間で質疑応答を行ったとのことです。また、住友商事は、同年7月18日付で当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)からデュー・ディリジェンスに関する説明を受け、同年7月中旬から8月下旬にかけて当社に対するデュー・ディリジェンスを実施し、その結果を踏まえ、同年9月29日付で正式意向表明書を当社に提出したとのことです。正式意向表明書において、住友商事は、あらためて本取引の目的や背景等を説明し、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)については、当社による期末配当が行われないことを前提として5,050円(同年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,565円に対して10.62%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)のプレミアム。)とすることを提案し、本新株予約権1個当たりの買付け等の価格(以下「本新株予約権買付価格」といいます。)については、当社との協議を経て対応方針を決定していくこととしたとのことです。同年9月30日、当社及び本特別委員会より、当該価格は当社の本源的な価値を反映した価格水準を著しく下回るものであり、少数株主にとって公正な価格であるとはいえないとして、引き上げの要請を受けたとのことです。これに対し住友商事は同年10月2日、本公開買付価格を5,100円(同年10月1日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,376円に対して16.54%のプレミアム。)とすることを提案したとのことですが、同年10月3日、当社及び本特別委員会より、当該価格は依然として当社の本源的な価値を著しく下回っており、プレミアム水準においても過去事例(注15)における水準を著しく下回っていることから少数株主にとって公正な価格であるとはいえないとして、大幅な引き上げの要請を受けたとのことです。これに対し住友商事は同年10月6日、本公開買付価格を5,100円(同年10月3日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,233円に対して20.48%のプレミアム。)として改めて提案したとのことですが、同年10月7日、当社及び本特別委員会より、当該価格は当社の本源的な価値を著しく下回っており、プレミアム水準においても過去事例における水準を著しく下回っていることから、少数株主にとって公正な価格であるとはいえないとして、大幅な引き上げの要請を受けたとのことです。これに対し住友商事は同年10月14日、本公開買付価格を5,150円(同年10月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,323円に対して19.13%のプレミアム。)とすることを提案したとのことですが、同年10月16日、当社及び本特別委員会より、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨できる水準からは大幅に乖離していると考えているとして、引き上げの要請を受けたとのことです。これに対し住友商事は同年10月17日、本公開買付価格を5,300円(同年10月16日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,186円に対して26.61%のプレミアム。)とすることを提案したとのことですが、同年10月20日、当社及び本特別委員会より、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨することのできる水準からは乖離していると考えているとして、大幅な引き上げの要請を受けたとのことです。これに対し住友商事は同年10月22日、本公開買付価格を5,410円(同年10月21日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,221円に対して28.17%のプレミアム。)とすることを提案したとのことですが、同年10月24日、当社及び本特別委員会より、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨することのできる水準からは乖離していると考えているとして、大幅な引き上げの要請を受けたとのことです。これに対し住友商事は同年10月27日、本公開買付価格を5,600円(同年10月24日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,287円に対して30.63%のプレミアム。)とする旨の提案をしたとのことですが、同日、当社及び本特別委員会より、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨することのできる水準からは乖離していると考えているとして、大幅な引き上げの要請を受けたとのことです。これに対し住友商事は同年10月28日、本公開買付価格を5,700円(同年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,359円に対して30.76%のプレミアム。)とすることを提案し、同日、当社及び本特別委員会より、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で、当社取締役会決議を経て決定されるものであるものの、応諾するとの回答があったとのことです。
(注15) 経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2025年5月8日までの間に公表された、親会社による上場子会社に対する非公開化を目的とした公開買付けの事例78件における、各1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアム水準は40.59%、40.32%、38.72%です。
本新株予約権買付価格については、本新株予約権は、公開買付者が取得したとしてもこれらを行使することはできないと解されるため、同年10月20日にいずれも1円とすることを提案したとのことであり、当社及び本特別委員会より特段異議は述べられていないとのことです。
公開買付者らは、上記の当社との協議及び交渉を経て、同年10月29日に本公開買付価格を5,700円、本新株予約権買付価格を1円として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
住友商事は、住友商事及びグループ各社の自律的な経営、対話、及び連携を通じて、強固な事業基盤を築き、新たな価値を創造することで、グループの企業価値を向上することを目指し、グループマネジメントポリシーを制定しているとのことです。本取引後も当社の自律を尊重し、当社が描く持続的な成長と変革を全面的に支援することが基本線であり、上記「② 公開買付者らが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社と住友商事が考える成長戦略を共有し、更なるアップサイドの実現にも取り組んでいく考えとのことです。また、本取引後の当社の取締役会の構成については、役員派遣の有無その他人事に関する事項を含め現時点で決定している事項はないものの、前述のとおり住友商事のグループマネジメントポリシーに基づいて当社の自律を尊重しつつ、当社の株主が公開買付者らのみとなることを踏まえ、住友商事のデジタル・AI戦略を迅速かつ柔軟に実行できる体制を整えることについて、本取引後に当社と協議していくとのことです。執行体制については、既存の体制に大きな変更を加えることは現時点では想定していないとのことですが、成長戦略を実現する迅速な意思決定を可能とする適切な体制を構築するために、適切なタイミングで当社と具体的な検討を開始する予定とのことです。また、当社の従業員については、本取引後に当社の現行制度における雇用・労働条件を悪化させるような変更は基本的に想定していないものの、具体的な内容については今後協議していきたいと考えているとのことです。
その上で、住友商事は、当社グループに関して、役職員の雇用・労働条件の維持、役職員のインセンティブ設計の検討、経営の独立及び自主性の尊重、当社の意向に配慮したガバナンス体制構築、並びに、シナジー創出に向けた両社間での検討体制構築と中長期の事業計画策定を当社の意向として受けており、これらを踏まえて今後誠実に当社との間で検討・協議を行う考えとのことです。
なお、住友商事は、将来的に、その所有する当社株式の公開買付者への譲渡等により、公開買付者を住友商事グループの本取引に関連する事業を束ねる持株会社とすることも含めて検討中とのことですが、本書提出日現在、詳細については未定とのことです。
当社は、上記「② 公開買付者らが本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、住友商事から、2025年1月下旬に、初期的な打診を受け、同年3月上旬以降、資本政策を含む両社協業の可能性についての複数回の協議を経て、同年5月上旬、当社から、住友商事に対し正式提案を行うよう要請をいたしました。その後、住友商事から、同年5月27日、意向表明書を受領し、本取引の戦略的意義、提案の背景等の説明を受けるとともに、デュー・ディリジェンスを実施したい旨の申入れがありました。これを受けて、当社は、本取引の検討並びに住友商事との本取引に係る協議及び交渉を行うにあたり、住友商事が当社の支配株主(親会社)であり、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、2025年6月上旬に住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券を、リーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ」といいます。)をそれぞれ選任いたしました。
また、当社は、本取引の公正性を担保するため、西村あさひの助言も得つつ、住友商事グループから独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始いたしました。具体的には、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、特別委員会の設置に向けた準備を進めた上で、2025年6月12日開催の当社取締役会における決議により、早稲田祐美子氏(当社独立社外取締役・監査等委員、弁護士、株式会社IHI社外監査役、中外製薬株式会社社外監査役)、山名昌衛氏(当社独立社外取締役、TDK株式会社社外取締役、株式会社ゼンショーホールディングス社外取締役、株式会社かんぽ生命保険社外取締役)及び松石秀隆氏(当社独立社外取締役・監査等委員、日本国土開発株式会社社外取締役)の3名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ア)本取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(イ)本取引の取引条件の公正性、(ウ)本取引に係る手続の公正性、(エ)本取引を行うことが、当社の一般株主にとって公正であるか、(オ)本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非、及び(カ)その他当社の取締役会が本取引について検討するにあたり本特別委員会に対して適宜諮問する事項(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。
また、当社は、本特別委員会の設置にあたり、(a)特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うものとし、本特別委員会が本取引の取引条件が公正でないと判断した場合には、本取引に賛同しないこととする、(b)本特別委員会の財務アドバイザー・第三者評価機関や法務アドバイザー(以下「アドバイザー等」といいます。)を選任する権限、(c)本特別委員会は、本特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができるものとし、本特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的費用は当社の負担とする、(d)当社の取締役、従業員その他本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限を付与する、(e)本特別委員会が、必要に応じて、本取引の取引条件等の交渉を行い、本特別委員会が、本取引の取引条件等の交渉を直接行わない場合であっても、必要に応じて、例えば、交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等の交渉過程に実質的に関与する状況を確保するよう努めるものとし、当社は当該状況が確保されるよう協力する旨を決議しております(本特別委員会の設置等の経緯については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
なお、本特別委員会は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2025年7月1日、上記の権限に基づき、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立した独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)を、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立した独自のリーガル・アドバイザーとして外苑法律事務所をそれぞれ選任する旨を決定しております。
また、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券並びに当社のリーガル・アドバイザーである西村あさひについて、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立した独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。
更に、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、住友商事グループから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性・公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております。
当社は、上記のとおり検討体制を整備した上で、野村證券から当社株式の価値算定結果に関する報告、公開買付者らとの交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を受けるとともに、西村あさひから本取引における手続の公正性を確保するための対応及びその他に対する法的助言を受け、これらを踏まえ、本特別委員会の意見の内容を最大限に尊重しながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってきました。
また、当社は、2025年5月27日に住友商事から意向表明書を受領して以降、本特別委員会の意見を聴取し、その承認及び指示・要請を受けながら、住友商事との間で、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件について継続的に協議及び交渉を行ってまいりました。
具体的には、当社は、同年5月27日に意向表明書を受領したことを受け、本特別委員会との検討・協議を進め、同年7月10日に、住友商事に対し、本取引のシナジーを含む本取引の戦略的意義、本取引のストラクチャー、本取引後の当社の経営方針等に関して書面による質問をしたところ、同年7月17日に当該質問事項について書面での回答を受け、また、当社から住友商事に対して、口頭での当該回答についての確認を行いました。更に、当該回答の内容を踏まえ、本特別委員会は、住友商事に対し、同年8月5日付で、書面による追加の質問をしたところ、同年8月14日に当該追加質問事項について書面の回答を受け、その後、同年8月22日及び同年8月28日開催の本特別委員会において、住友商事から当該追加質問事項への回答に関する説明を受け、本特別委員会と住友商事との間でこれに対する質疑応答を行いました。その後、同年9月18日、当社は、住友商事との間で本取引後の当社の経営方針に関する面談を実施し、同年9月26日、本特別委員会に当該面談の内容を報告するとともに、これを踏まえた本特別委員会との意見交換を実施しました。
本公開買付価格については、当社は、同年9月29日以降、住友商事との間で、複数回にわたる交渉を重ねてまいりました。具体的には、当社は、同年9月29日、住友商事が、当社に対するデュー・ディリジェンスの結果及び当社を取り巻く外部環境、並びに当社より受領した本事業計画(以下に定義します。)及び当社の株式価値算定の結果等の各種要素を総合的に勘案し、熟慮を重ねた結果である正式な提案として、住友商事から、本公開買付価格を当社による期末配当が行われないことを前提として5,050円(同年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,565円に対して10.62%のプレミアム。)とすることを含んだ本取引の諸条件に関する提案を受けました。これに対し、当社及び本特別委員会は、同年9月30日、住友商事に対し、当該価格は当社の本源的な価値を反映した価格水準を著しく下回るものであり、少数株主にとって公正な価格であるとはいえないとして、引き上げの要請をいたしました。これに対し住友商事から、同年10月2日、本公開買付価格を5,100円(同年10月1日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,376円に対して16.54%のプレミアム。)とする提案を受けましたが、同年10月3日、当社及び本特別委員会は、当該価格は依然として当社の本源的な価値を著しく下回っており、プレミアム水準においても過去事例における水準を著しく下回っていることから、少数株主にとって公正な価格であるとはいえないとして、大幅な引き上げの要請をいたしました。これに対し住友商事から、同年10月6日、本公開買付価格を5,100円(同年10月3日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,233円に対して20.48%のプレミアム。)として改めて提案を受けましたが、同年10月7日、当社及び本特別委員会は、当該価格は当社の本源的な価値を著しく下回っており、プレミアム水準においても過去事例における水準を著しく下回っていることから少数株主にとって公正な価格であるとはいえないとして、大幅な引き上げの要請をいたしました。これに対し住友商事から、同年10月14日、本公開買付価格を5,150円(同年10月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,323円に対して19.13%のプレミアム。)とする提案を受けましたが、同年10月16日、当社及び本特別委員会は、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨できる水準からは大幅に乖離していると考えているとして、引き上げの要請をいたしました。これに対し住友商事から、同年10月17日、本公開買付価格を5,300円(同年10月16日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,186円に対して26.61%のプレミアム。)とする提案を受けましたが、同年10月20日、当社及び本特別委員会は、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨することのできる水準からは乖離していると考えているとして、大幅な引き上げの要請をいたしました。これに対し住友商事から、同年10月22日、本公開買付価格を5,410円(同年10月21日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,221円に対して28.17%のプレミアム。)とする提案を受けましたが、同年10月24日、当社及び本特別委員会は、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨することのできる水準からは乖離していると考えているとして、大幅な引き上げの要請をいたしました。これに対し住友商事から、同年10月27日、本公開買付価格を5,600円(同年10月24日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,287円に対して30.63%のプレミアム。)とする提案を受けましたが、同日、当社及び本特別委員会は、当該価格は依然として当社株式の本源的価値を十分に反映した価格とは言い難く、当社及び本特別委員会が本取引に賛同し、応募を推奨することのできる水準からは乖離していると考えているとして、大幅な引き上げの要請をいたしました。これに対し住友商事から、同年10月28日、本公開買付価格を5,700円(同年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,359円に対して30.76%のプレミアム。)とする提案を受けました。そして、同日、当社及び本特別委員会は、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で、当社取締役会決議を経て決定されるものであるものの、応諾するとの回答をいたしました。
以上の検討・交渉過程において、当社は、本公開買付価格に関する住友商事との協議及び交渉にあたり、本特別委員会から聴取した意見並びに野村證券及び西村あさひからの助言を踏まえて検討を行っており、その際、本特別委員会においては、随時、本特別委員会のアドバイザーであるプルータス・コンサルティング及び外苑法律事務所から助言を受けるとともに、当社や当社のアドバイザーとの意見交換を行い、適宜、確認・承認を行ってまいりました。具体的には、野村證券及びプルータス・コンサルティングが当社株式の価値算定において基礎とする当社の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)(注1)の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について、事前に本特別委員会の確認を経て、その承認を受けた上で、当社より住友商事に対し本事業計画を提示いたしました。また、当社は、住友商事との交渉にあたっては、事前に本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、住友商事から本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、住友商事との交渉方針等について本特別委員会から意見、指示、要請等を受け、これに従って対応を行っております。
(注1) 本事業計画は、当社が本取引の検討開始後に作成したものです。また、本事業計画の作成にあたっては、当社及び住友商事の兼務者である従業員1名が関与しているものの、当該1名の知識及び経験を踏まえると、当該1名が関与せずに作成された本事業計画の十分性、実現可能性に係る懸念が大きく、当該1名を本事業計画の作成過程に関与させる必要性が高いことを踏まえ、内容の妥当性について利害関係のない上長(当社の當麻隆昭代表取締役執行役員社長、尾﨑務執行役員副社長、奥原隆之執行役員常務及び企画本部本部長)による確認を行うこと等を条件に、当該1名は、本事業計画の作成過程に関与しております。以上の取扱いについては、本特別委員会の承認を得ております。
そして、当社は、2025年10月29日付で、本特別委員会から、(ア)本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的であると考えられる、(イ)本公開買付価格は、プルータス・コンサルティング及び野村證券の各株式価値算定結果等に照らし、当社の本源的価値を相応に反映した金額であるとの合理的評価が可能な妥当な価格であり、本取引の条件は公正であると考えられる、(ウ)本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続は公正であると考えられる、(エ)本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると考えられる、並びに(オ)当社の取締役会が(ⅰ)本公開買付けに対して賛同意見を表明すること、(ⅱ)当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること及び(ⅲ)本新株予約権者に対して本公開買付けへの応募をするか否かについて、本新株予約権者の判断に委ねることは首肯できる旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております(本答申書の詳細につきましては、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。なお、本特別委員会は、2025年10月28日付でプルータス・コンサルティングから当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)」といいます。)及び本公開買付価格である1株当たり5,700円が当社の株主(住友商事及び当社を除きます。)にとって財務的見地から公正であると考える旨のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。)の提出を受けております(本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンの概要については、下記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」をご参照ください。)。
以上の経緯の下で、当社は、2025年10月29日開催の当社取締役会において、西村あさひから受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言、2025年10月28日付で野村證券から提出を受けた当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(野村證券)」といいます。)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討を行いました。
その結果、以下のとおり、当社としても、公開買付者による本公開買付けを含む本取引を通じて当社の株主を公開買付者らのみとすることが当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
これまで当社は、長年にわたり、顧客と真摯に向き合い、ITパートナーとして寄り添う企業文化を育むとともに、幅広い業種・業界でのアプリケーション・ITインフラの設計・開発から、保守運用、BPOサービス、検証サービスまでを提供し、豊富な経験と実績を積み重ねてきました。
社会のデジタル化の急速な進展に伴い、ITサービスの需要は従来の業務効率化やシステム導入に留まらず、デジタルビジネス化や業務モダナイゼーションをはじめ、持続可能な社会の実現を目指す事業変革へとシフトしており、ネットワークの近代化もますます急務となっております。事業変革を支えるデジタル技術へのニーズは一層高度化しており、従来の請負型でのITサービスから、顧客事業への直接的な貢献を志向する提案型のITサービスへの転換が不可避となっていると認識しております。また、国内ITサービス市場は中長期的に一定の拡大が見込まれている一方で、今後、生産年齢人口の減少の加速が見込まれ、IT人材の需給環境は今後不安定になる可能性があります。また、大手日系企業の海外展開が加速しており、エネルギーや豊かな社会構築等の社会課題も、国内市場だけではなく、海外において求められつつあります。
当社グループを取り巻く競争環境に目を向けると、顧客の事業への深い知見を持つコンサルティング会社が、M&A等を通じて機動的に提供機能を拡充し、コンサルティングからITシステム導入まで一貫して担うプレイヤーへと進化しております。加えて、ハイパースケーラーによるクラウドベースのアーキテクチャが主流化し、先進的なサービス提供やプラットフォーム拡充を積極的に進める等、プレゼンスを急速に高めております。また、同業企業においても、組織再編により、DXの加速、グローバル競争力の向上、グループ全体での最適な経営資源配分による企業力の強化の動きが加速しております。このように、従来のシステムインテグレーター・ネットワークインテグレーターが担っていた市場や経営環境には、大きな構造変化が起きており、今後もこのような変化が続くことが予想されます。
このようなITサービス需要の質的変化に対し、高度かつ最新のITインフラ技術とアプリケーションサービス技術の融合による新たなソフトウェアエンジニアリングサービス、更には生成AI等の先端技術を活用していくデジタルサービスの展開が求められております。手段の提供から産業・経営課題の解決策を提案する課題解決力、AIをはじめ進化し続ける先端技術や高度技術者、グローバルで社会課題解決に対してデジタル技術をはじめとした先端技術の社会実装力等のケイパビリティの拡充やスピード感を持った事業展開が不可欠になっております。こうした環境の変化に能動的に対応し、求められる変革を実現していくためには、自律的な成長に加えて、買収や提携による成長も必要になっていると認識しております。
しかしながら、事業環境が大きく変化する中において変革を実現するためには中長期な目線での大胆な先行投資を機動的に実行していくことが必要になるところ、当該投資は不確実性を伴うことから、短期的には当社の業績が悪化する可能性もあります。そして、当社が上場している間は、当社の株主の皆様の利益を追求する必要があることから、短期的な利益に囚われない中長期的な投資や事業改革を同時にかつ迅速に実行することは難しい状況にあります。
また、住友商事と当社の現在の資本関係においては、住友商事が当社グループに投入する経営資源から得られる当社グループ利益の一部は当社の少数株主に流出するため、住友商事にとっては、自らが投入した経営資源から得られる利益を全て得ることができず、住友商事と当社の少数株主との間に構造的な利益相反関係が生じ、住友商事の株主を含むステークホルダーへの合理的な説明が難しいことや、両社の協業における意思決定や施策実行のスピード感及び住友商事による当社グループへの経営資源の投入に制約が生じるという課題があるとの説明を受けております。
当社は、上記の当社グループを取り巻く経営環境を踏まえ、本取引を通じて当社が非公開化し、住友商事と当社の少数株主との間の構造的な利益相反関係を解消し、住友商事が集中的・機動的に当社グループへ更なる経営資源を投入することを可能とすることが、当社の更なる企業価値向上に資するとの結論に至りました。
住友商事グループの国内外に広がる幅広い業界・顧客ネットワーク、多様な産業分野での約900社のグループ事業会社で培った各業界でのポジション及び総合商社としての事業構想力と、当社の先端ITソリューション提供力及び10,000社超の顧客とのビジネスで獲得してきた業務知見を集結させることで、地球規模での社会課題や国家レベルの産業の変革にもAIやデータ分析等の先端技術を駆使して貢献できるようになると考えております。また、当社グループは、住友商事グループが持つ営業・事業現場のビジネスニーズを起点としたITサービスを実装する経験を蓄積することによって、次世代型の課題解決型企業へと変革することが可能になると考えております。
本取引を通じた非公開化により、住友商事と当社の少数株主との間にある構造的な利益相反関係が解消され、より一層人材交流を活発化させることが可能となり、両社が一体感を持ち、それぞれの強みを融合させた事業展開、住友商事によるメリハリのある経営資源の配分、機動的な意思決定等が可能となり、これまでにない連携によるシナジーの発揮が期待されます。こうした両社の協働はより大きな社会的インパクトを生み出し、人的資本経営を掲げる当社にとって、従業員がこれまでとはスケールの異なる地球規模、国家レベルの課題解決へ取り組めること、それによる社会への貢献実感・更なる働きがいの向上、一人ひとりの市場価値をより高める経験を得られることができこれまでにない従業員の成長機会に繋がり、当社グループは新しい価値を創造し続ける企業へと飛躍できると考えております。
当社は、「グランドデザイン2030」を掲げ、総合的企業価値の飛躍的向上、社会への価値創出、顧客事業への直接貢献を目指し、コア事業であるITサービスによる顧客企業や社会への価値提供を拡大するとともに、自らも主体的に社会への価値創出に取り組み、顧客や社会とともに成長すること志向しており、本取引を通じた住友商事グループとの連携はその実現を加速すると考えております。本取引後、具体的には以下のようなシナジー創出を見込んでおります。
Ⅰ.事業構想からデジタル実装までの総合的なデジタルソリューションの提供
住友商事が得意とする地球規模や国家レベルでの社会課題を起点としたあらたな事業構想、グローバルレベルでのパートナリング、資本力を含めた資金調達力に、当社グループのデジタルサービスやソリューション業務知見を組み合わせることで、事業構想からデジタル実装までをワンストップで提供する総合的なデジタルソリューションが実現可能になると考えております。
住友商事の有する9事業グループにおける業界や取引顧客の経営トップとの関係性を通じ、業界の課題、経営課題に対する活きた知見を得られることで、これまでの手段としてITサービスの提供から、他社にはない経営課題解決・事業貢献に直結するデジタル活用、価値の提供が実現可能になると考えております。住友商事グループの約900社のグループ事業会社の基盤をカスタマーゼロとして最大限活用し、事業現場に入り込み課題解決に直結するサービスやプロダクトの企画・提案といった他社にはない優位性を獲得するだけでなく、住友商事の有する巨大な顧客ネットワークと産業基盤を活用し、これまでにリーチできていなかった市場やビジネスの最前線への競争力のあるデジタルサービス展開が可能になると考えております。
Ⅱ.上流コンサルティング機能及びデジタルケイパビリティの強化
住友商事のブランド力や資本力を活用し、採用強化や買収・パートナリングにより上流コンサルティング機能の強化を図り、高度なデジタル技術と組み合わせることで顧客へ新たな価値創出や社会課題解決に向けた提案力の拡充につながります。
また、住友商事が進めている、住友商事の完全子会社であるSCデジタル株式会社(注1)によるデジタルマーケティング機能や、株式会社Insight Edge(注2)のAIエンジニア等を結集することに加え、住友商事の有する国内外のデジタル企業とのネットワークを活用したアライアンス強化等を通じて、先端技術を有した世界レベルでの高度デジタル技術者・知見・インフラの獲得が期待できます。
(注1) 顧客企業に対し、マーケティング領域を中心に、データとデジタルを活用し、コンサルティング、システム導入・運用、クリエイティブ提供等のサービスを提供しております。
(注2) AIやデジタル技術等のテクノロジーを活用し、企業のビジネスモデルや業務プロセスを変革し、競争力を高める支援を行っております。
Ⅲ.グローバル展開の加速
住友商事の豊富な海外ネットワークや拠点、グローバル人材を活用することで、グローバルな現地パートナー、顧客へのアクセスが容易になると考えております。日本企業の海外進出に必要なパートナーの開拓、特定地域において一定規模の事業基盤を有するテクノロジー企業との資本業務提携をはじめとしたダイナミックな連携によって、当社の海外戦略の実行が加速すると考えております。更にセキュリティを含むITインフラ、モビリティ、ERP(注3)等当社が強みを有する領域、技術分野において、海外現地法人やジョイントベンチャーの設立等によるサービス立ち上げや、特定地域における共同でのプロジェクト推進等を通じて、海外売上高の拡大が可能になると考えております。
当社グループは、住友商事が海外事業を運営する上で培ってきた事業ノウハウ、リスク管理、コンプライアンス機能等を活用でき、海外展開時の各リスクにも柔軟かつ着実に対処できるようになると考えております。加えて、住友商事の資本力の活用によるM&A、グローバル経営人材による現地企業の経営等、海外での事業展開に必要なケイパビリティを拡充することにもつながると考えております。また、当社グループの人材の出向も含め、住友商事の海外拠点や海外事業へ派遣することで、国際的な教養、異文化への適応力、国際的な人脈等を有した海外人材の育成が可能になると考えております。
(注3) 「ERP」とは、企業の会計業務や人事業務等の基幹となる業務を統合し、効率化、情報の一元化を図るためのシステムを指します。
Ⅳ.社会課題の解決に資する次世代デジタル事業の開発
住友商事のもつ、幅広い産業での事業開発の経験・資本力と当社グループが有する業務知見・先進技術力・デジタル人材を掛け合わせることにより、抽出された潜在的な社会課題、産業の変革ニーズに対して、従来とは異なる次世代デジタル事業の創出をより加速させると考えております。従来はグループ間協議を要していた次世代デジタル事業の立ち上げや実証実験が、両社の間で戦略的意思決定やリソース配分を一体的に進めることが可能となり、より迅速かつ柔軟に実現できる体制が整うと考えております。
また、こうした新規事業への先行投資は不確実性を伴い、当社が上場している間は、当社の株主の皆様の利益を追求する必要があることから、大きな投資の実行が困難でありましたが、非公開化することで、中長期的な大きな投資が実行可能になると考えております。
なお、当社は、当社が本取引を通じて非公開化されることによる、上場企業としてのブランド力低下に伴う取引先その他のステークホルダーへの影響や従業員のモチベーション低下の可能性について検討いたしました。もっとも、住友商事としては、当社の経営体制・取締役会の構成について、本取引実施後も、当社の独自性を尊重した適切なガバナンスと、当社を含む住友商事グループとしてのシナジー効果を最大限実現できる体制作りを目指し、本取引後に住友商事と当社の間で協議していく方針であること、本取引後に当社従業員の現行制度における雇用・労働条件を悪化させるような変更は基本的に想定していないと聞いており、また、当社の従業員のモチベーションの維持、取引先の拡大等を図るため、当社のブランディング向上に繋がる施策についても、当社と協議し最大限意向を反映させる体制を整備する方針であること等を踏まえ、当社としては、当社が本取引を通じて非公開化されることは、当社グループの取引先、従業員、その他のステークホルダーにおいても受け入れられると考えております。
なお、上場廃止に伴い、株式等資本市場における資金調達手段は限定されますが、むしろ親会社である住友商事の資金調達力を機動的に活用できることから、本取引のディスシナジーとはならないと考えております。
総じて、本取引により住友商事及び当社の連携が進むことでより一層のシナジー創出の可能性が見込まれる一方、当社の事業に重大な影響を及ぼすようなディスシナジーは特段生じないと考えております。
また、以下の理由により、本公開買付価格である5,700円は、当社の本源的価値を反映した、当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社グループを取り巻く足元の事業環境を映した株価推移に鑑みても、当社の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却及び利益確保の機会を提供するものであると総合的に判断いたしました。
(ア)当該価格が、当社において、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、住友商事との間で真摯な交渉を重ねた結果合意された価格であること。
(イ)当該価格が、下記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の本株式価値算定書(野村證券)における野村證券による当社株式の価値算定結果のうち、市場株価平均法、類似会社比較法及び類似取引比較法による算定結果の上限を上回り、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの中央値を上回る価格であること。
(ウ)当該価格が、下記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載の本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)におけるプルータス・コンサルティングによる当社株式の価値算定結果のうち、市場株価法及び類似会社比較法による算定結果の上限を上回り、DCF法による算定結果のレンジの中央値を上回る価格であること。また、下記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、プルータス・コンサルティングから、本公開買付価格である1株当たり5,700円が当社の株主(住友商事及び当社を除きます。)にとって財務的見地より公正であると考える旨の本フェアネス・オピニオンが発行されていること。
(エ)当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年10月28日の東京証券取引所における当社株式の終値4,258円に対して33.87%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値4,299円に対して32.59%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値4,543円に対して25.47%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値4,415円に対して29.11%のプレミアムが加算されたものであること。一般的にPBRが高い銘柄は既に株式市場において企業価値が高く評価されているため、公開買付け案件及びM&A案件における市場価格に対するプレミアム率は低くなる傾向にあるところ、2025年10月28日の当社のPBRは約4.6倍となっている。経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年10月28日までに公開買付けが成立した公開買付け案件(①対象会社が、買付者、買付者の最終親会社又は買付者と共同で対象会社の非公開化を企図した会社のいずれかの連結子会社であった公開買付け案件又はMBO案件、かつ、②対象会社の非上場化を企図した案件に限り、③敵対的公開買付け、二段階公開買付け、リーク・憶測報道がされた案件、発表前日のプレミアムがディスカウントとなっている案件、不成立となった案件、対象会社が債務超過又は債務超過により東京証券取引所が定める上場維持基準に抵触する可能性が懸念される案件を除く。)のうち、対象会社のPBRが2倍以上の事例20件(以下「本件類似事例」といいます。)におけるプレミアム率は、公表日の前営業日の終値に対しては15~20%のプレミアムが付された事例が4件と最頻値、公表日の前営業日までの直近1ヶ月の終値単純平均値に対しては20~25%のプレミアムが付された事例が4件と最頻値、公表日の前営業日までの直近3ヶ月の終値単純平均値に対しては20~25%のプレミアムが付された事例が5件と最頻値、公表日の前営業日までの直近6ヶ月の終値単純平均値に対しては25~30%のプレミアムが付された事例が4件と最頻値となっている。上記を踏まえると、本公開買付価格は、本件類似事例との比較において相応のプレミアムが付されていると考えられること。
(オ)当該価格は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていること。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年10月29日開催の当社取締役会において、現時点における当社の意見として、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨及び本新株予約権者の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。
なお、当該取締役会における決議の方法については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員であるものを含みます。)の承認」をご参照ください。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者らから提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券に対し、当社株式の価値算定を依頼し、2025年10月28日付で、本株式価値算定書(野村證券)(注1)を取得しました。なお、当社は、本公開買付価格の公正性を担保するための措置、利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置を実施していることから、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。なお、野村證券は、当社及び公開買付者らの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本特別委員会は、2025年7月1日開催の第2回の会合において、野村證券の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザーとして承認しております。
なお、野村證券の報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により野村證券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。
(注1) 野村證券は、当社株式の株式価値の算定に際して、公開情報及び当社から提供を受けた、本事業計画を含む一切の情報(以下「本事業計画等」といいます。)が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。当社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、また、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。本事業計画等については、本特別委員会又は当社の経営陣により現時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。野村證券の算定は、2025年10月28日までに野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、野村證券の算定は、当社取締役会が当社株式の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
野村證券は、当社の財務状況、当社株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から当社の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、市場株価が存在することから市場株価平均法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、類似取引事例の取引金額との比較において株式価値の類推が可能であることから類似取引比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社の株式価値の算定を行い、当社は野村證券から2025年10月28日付で本株式価値算定書(野村證券)を取得しております。
市場株価平均法 :4,258円~4,543円
類似会社比較法 :3,295円~4,843円
類似取引比較法 :3,526円~5,249円
DCF法 :4,356円~6,749円
市場株価平均法では、2025年10月28日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値4,258円、直近5営業日の終値単純平均値4,302円、直近1ヶ月間の終値単純平均値4,299円、直近3ヶ月間の終値単純平均値4,543円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値4,415円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を4,258円~4,543円と算定しております。
類似会社比較法では、当社と類似する事業を営む上場会社として株式会社野村総合研究所、TIS株式会社、日鉄ソリューションズ株式会社、BIPROGY株式会社及び株式会社電通総研を選定した上で、EV/EBITDA倍率、EV/EBIT倍率及びPERを用いて算定を行い、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,295円~4,843円と算定しております。
類似取引比較法では、過去数年間における類似性のある事業に従事する国内企業を対象とした非公開化案件を中心に、比較的類似すると考えられる公表取引として、2023年8月2日に伊藤忠商事株式会社が開示した「伊藤忠テクノソリューションズ株式会社株式(証券コード:4739)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」に係る取引、2024年10月29日に日本電気株式会社が開示した「NECネッツエスアイ株式会社株式(証券コード1973)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ」(その後の訂正を含みます。)に係る取引を選定した上で、取引価格や収益性等を示す財務指標との比較を通じて当社の株式価値を算定し、当社の1株当たりの株式価値の範囲を3,526円~5,249円と算定しております。
DCF法では、野村證券がDCF法による算定の前提とした本事業計画に含まれる当社の財務予測は、ITコンサルティング、システム開発、検証サービス、ITインフラ構築、ITマネジメント、ITハード・ソフト販売、BPO等の事業において、直近までの業績及び将来成長のための各施策を勘案の上で当社が作成したものであり、合理的に将来予測が可能な期間として、2026年3月期から2031年3月期までを予測期間としております。野村證券は、当社が作成した本事業計画等を基に、2026年3月期から2031年3月期までの6期分の事業計画等における収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第2四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を4,356円~6,749円と算定しております。なお、割引率(加重平均資本コスト)は5.25%~6.25%を採用しております。また、継続価値の算定にあたっては永久成長法及びマルチプル法に基づき1,778,732百万円~2,662,951百万円と算定しております。永久成長法においては、当社を取り巻く長期的な経済見通し等を踏まえて永久成長率0.25%~1.25%、マルチプル法においては、M&Aにおける算定実務において一般的であるEV/EBITDA倍率を採用し、業界各社の水準等を踏まえ11.5倍~13.5倍としております。
野村證券がDCF法による分析に用いた本事業計画等には大幅な増減益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、ネットワンシステムズを2024年12月25日付で連結子会社としたことに起因して、2026年3月期は売上高、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。
本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予測には加味しておりません。
DCF法による分析において前提とした財務予測は以下のとおりです。
| (単位:百万円) | ||||||
| 2026年 3月期 (9ヶ月) |
2027年 3月期 |
2028年 3月期 |
2029年 3月期 |
2030年 3月期 |
2031年 3月期 |
|
| 売上高 | 623,394 | 864,915 | 914,961 | 971,091 | 1,035,356 | 1,109,777 |
| 営業利益 | 67,778 | 97,445 | 108,382 | 120,532 | 135,363 | 149,608 |
| EBITDA | 93,526 | 134,380 | 146,670 | 160,215 | 174,612 | 190,602 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 26,803 | 57,028 | 70,705 | 81,483 | 89,579 | 99,409 |
なお、本新株予約権は、当社の取締役及び執行役員に対してストック・オプションとして発行されたものであり、原則として、当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日から、第2回新株予約権については2年間、第8回新株予約権については10年間に限り、本新株予約権を行使することができるとされています。当社は、公開買付者から、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されるため、本新株予約権買付価格をいずれも1円としているとの説明を受けました。当社は、当該公開買付者からの説明を踏まえ、本新株予約権買付価格について第三者算定機関から算定書及びフェアネス・オピニオンを取得しておりません。
本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の妥当性を確保するために、住友商事グループ及び当社グループから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングに対して、当社株式の価値算定及び本公開買付価格を含む本取引における取引条件について当社の少数株主にとっての財務的見地からの公正性に関する意見表明を依頼し、2025年10月28日付で、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを取得いたしました。
プルータス・コンサルティングは、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るプルータス・コンサルティングの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
プルータス・コンサルティングは、複数の算定手法の中から当社株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社の株式価値の算定を行い、本特別委員会はプルータス・コンサルティングから2025年10月28日付で本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)を取得しております。
上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :4,258円~4,543円
類似会社比較法 :3,252円~3,613円
DCF法 :4,651円~5,920円
市場株価法では、2025年10月28日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値4,258円、直近1ヶ月間の終値単純平均値4,299円、直近3ヶ月間の終値単純平均値4,543円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値4,415円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を4,258円~4,543円と算定しております。
類似会社比較法では、当社と類似する事業を営む上場会社として株式会社野村総合研究所、TIS株式会社、BIPROGY株式会社、日鉄ソリューションズ株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社DTS及び株式会社NSDを選定した上で、企業価値に対するEV/EBIT倍率及びEV/EBITDA倍率を用いて算定を行い、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,252円~3,613円と算定しております。
DCF法では、プルータス・コンサルティングがDCF法による算定の前提とした本事業計画に含まれる当社の財務予測は、ITコンサルティング、システム開発、検証サービス、ITインフラ構築、ITマネジメント、ITハード・ソフト販売、BPO等の事業において、直近までの業績及び将来成長のための各施策を勘案の上で当社が作成したものであり、合理的に将来予測が可能な期間として、2026年3月期から2031年3月期までを予測期間としております。プルータス・コンサルティングは、当社が作成した本事業計画等を基に、2026年3月期から2031年3月期までの6期分の事業計画等における収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第2四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を4,651円~5,920円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、5.7%~7.6%を採用しております。また、継続価値の算定にあたっては倍率法に基づき2,059,760百万円~2,379,139百万円と算定しております。倍率法においては、EV/EBIT倍率及びEV/EBITDA倍率を採用し、業界各社の水準等を踏まえEV/EBIT倍率においては13.8倍~15.3倍、EV/EBITDA倍率においては10.8倍~11.4倍としております。
非事業用資産として、必要運転資金(当社における過去の資金繰り実績等を総合的に考慮し算出しております。)を控除した余剰現預金及び投資有価証券を始めとした金融商品を加算しております。
プルータス・コンサルティングがDCF法による分析に用いた本事業計画等には大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、ネットワンシステムズを2024年12月25日付で連結子会社としたことに起因して、2026年3月期は売上高、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。
本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上場維持費用の削減効果を除き、以下の財務予測には加味しておりません。
なお、DCF法による分析において前提とした財務予測は以下のとおりです。
| (単位:百万円) | ||||||
| 2026年 3月期 (9ヶ月) |
2027年 3月期 |
2028年 3月期 |
2029年 3月期 |
2030年 3月期 |
2031年 3月期 |
|
| 売上高 | 623,394 | 864,915 | 914,961 | 971,091 | 1,035,356 | 1,109,777 |
| 営業利益 | 67,778 | 97,445 | 108,382 | 120,532 | 135,363 | 149,608 |
| EBITDA | 93,526 | 134,380 | 146,670 | 160,215 | 174,612 | 190,602 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 9,676 | 56,411 | 68,684 | 79,085 | 86,826 | 96,425 |
本特別委員会は、2025年10月28日付で、プルータス・コンサルティングから、本公開買付価格である1株当たり5,700円は当社の少数株主にとって財務的見地から公正なものである旨の本フェアネス・オピニオンを取得しております(注2)。本フェアネス・オピニオンは、当社が作成した事業計画に基づく株式価値算定の結果等に照らして、本公開買付価格である1株当たり5,700円が、当社の少数株主にとって財務的見地から公正であることを意見表明するものです。なお、本フェアネス・オピニオンは、プルータス・コンサルティングが、当社から、当社の事業の現状、将来の事業計画等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けた上で実施した当社の株式価値算定の結果に加えて、本公開買付けの概要、背景及び目的に係る当社との質疑応答、プルータス・コンサルティングが必要と認めた範囲内での当社の事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びにプルータス・コンサルティングにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行されております。
(注2) プルータス・コンサルティングは、本フェアネス・オピニオンを作成するにあたって当社から提供を受けた基礎資料及び一般に公開されている資料、並びに当社から聴取した情報が正確かつ完全であることを前提としております。プルータス・コンサルティングはその正確性、完全性について、独自の調査、検証を実施しておらず、その義務を負うものではありません。したがって、プルータス・コンサルティングはこれらの資料の不備や重要事実の不開示に起因する責任を負いません。
プルータス・コンサルティングは、本フェアネス・オピニオンの基礎資料として用いた事業計画その他の資料は、当該資料の作成時点における最善の予測と判断に基づき合理的に作成されていることを前提としております。プルータス・コンサルティングはその実現可能性を保証するものではなく、これらの作成の前提となった分析若しくは予測又はそれらの根拠となった前提条件については、何ら見解を表明するものではありません。
プルータス・コンサルティングは、法律、会計又は税務の専門機関ではありません。したがってプルータス・コンサルティングは本公開買付けに関する法律、会計又は税務上の問題に関して何らかの見解を述べるものでもなければ、その義務を負うものでもありません。
プルータス・コンサルティングは、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)に関して独自の評価又は鑑定を行っておらず、これらに関していかなる評価書や鑑定書の提出も受けておりません。したがって、プルータス・コンサルティングは当社及びその関係会社の支払能力についての評価も行っておりません。
本フェアネス・オピニオンは、当社が本公開買付けに関する意見を表明するに際しての検討に供する目的で、本公開買付価格の公正性に関する意見を財務的見地から表明したものです。したがって、本フェアネス・オピニオンは、本公開買付けの代替的な選択肢となり得る取引との優劣、本公開買付けの実施によりもたらされる便益、及び本公開買付け実行の是非について、何らの意見を述べるものではありません。
本フェアネス・オピニオンは、当社の発行する有価証券の保有者、債権者、その他の関係者に対し、いかなる意見も述べるものではありません。したがって、プルータス・コンサルティングは本フェアネス・オピニオンに依拠した株主及び第三者の皆様に対して何らの責任も負いません。
プルータス・コンサルティングは、当社への投資等を勧誘するものではなく、その権限も有しておりません。したがって、本フェアネス・オピニオンは株主の皆様に対して本公開買付けに関する応募その他のいかなる行動も推奨するものではありません。
本フェアネス・オピニオンは、本公開買付価格が、当社の少数株主にとって財務的見地から公正か否かについて、本フェアネス・オピニオンの提出日現在の金融及び資本市場、経済状況並びにその他の情勢を前提に、また、同日までにプルータス・コンサルティングに供され又はプルータス・コンサルティングが入手した情報に基づいて、同日時点における意見を述べたものです。今後の状況の変化によりこれらの前提が変化しても、プルータス・コンサルティングはその意見を修正、変更又は補足する義務を負いません。
本フェアネス・オピニオンは、本フェアネス・オピニオンに明示的に記載された事項以外、又は本フェアネス・オピニオンの提出日以降に関して、何らの意見を推論させ、示唆するものではありません。
住友商事は、本公開買付価格を決定するにあたり、当社を含む住友商事グループから独立した第三者算定機関として、住友商事のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。
SMBC日興証券は、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法を、将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法の各手法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、住友商事はSMBC日興証券から2025年10月28日付で当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本買付者側株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者らは、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の諸要素を総合的に考慮し、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、SMBC日興証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
SMBC日興証券による当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。
市場株価法 :4,299円~4,543円
類似上場会社比較法:3,334円~4,249円
DCF法 :3,662円~6,133円
市場株価法では、算定基準日を2025年10月28日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の算定基準日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,299円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,543円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,415円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を4,299円から4,543円までと算定しているとのことです。
類似上場会社比較法では、当社と類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を3,334円から4,249円までと算定しているとのことです。
DCF法では、当社から提供を受けた2026年3月期から2031年3月期までの本事業計画を基礎とし、当社へのマネジメント・インタビュー、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を前提として住友商事が調整を行った当社の将来の財務予測に基づき、当社が2026年3月期第2四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことにより当社の企業価値や株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を3,662円から6,133円までと算定しているとのことです。なお、DCF法において前提とした当社の将来の財務予測においては、大幅な増減益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、ネットワンシステムズを2024年12月25日付で連結子会社としたことに起因して、2026年3月期は売上高、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでいるとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジーについては、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、加味していないとのことです。
公開買付者らは、SMBC日興証券から取得した本買付者側株式価値算定書の算定結果に加え、2025年7月中旬から同年8月下旬まで実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2025年10月29日、本公開買付価格を1株当たり5,700円とすることを決定したとのことです。
なお、SMBC日興証券は、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。SMBC日興証券は、株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)と同じ株式会社三井住友フィナンシャルグループ企業の一員であり、三井住友銀行は公開買付者の親会社である住友商事及び当社に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っており、また、本公開買付けに係る決済資金を住友商事に融資する予定とのことですが、SMBC日興証券によれば、SMBC日興証券は法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、SMBC日興証券と三井住友銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築しかつ実施しており、SMBC日興証券は、三井住友銀行の株主及び貸付人の地位とは独立した立場で当社の株式価値の算定を行っているとのことです。
本公開買付価格5,700円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年10月28日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値4,258円に対して33.87%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値4,299円に対して32.59%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値4,543円に対して25.47%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値4,415円に対して29.11%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。また、本公開買付価格5,700円は、本書提出日の前営業日である2025年10月29日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値4,334円に対して31.52%のプレミアムを加えた価格となるとのことです。
本新株予約権は、当社の取締役及び執行役員に対してストック・オプションとして発行されたものであり、原則として、当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日から、第2回新株予約権については2年間、第8回新株予約権については10年間に限り、本新株予約権を行使することができるとされています。したがって、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されるため、公開買付者は、本新株予約権買付価格をいずれも1円としているとのことです。なお、公開買付者らは、上記のとおり本新株予約権買付価格を決定したため、本新株予約権買付価格の決定に際し、第三者算定機関からの算定書や意見(フェアネス・オピニオン)等を取得していないとのことです。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続が実施された場合には、東京証券取引所の定める上場廃止基準に該当し、当社株式は所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。
公開買付者は、上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社の株券等の全て(但し、住友商事が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、当社の株主を公開買付者らのみとすることを目的とした本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
本公開買付けの成立により、公開買付者らが所有する当社の議決権の総数が当社の総株主の議決権の90%以上となり、住友商事が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、住友商事は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者ら及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)するとともに、併せて、本新株予約権に係る新株予約権者の全員(以下「売渡新株予約権者」といいます。)に対し、その所有する本新株予約権の全てを売り渡すことを請求(以下「新株予約権売渡請求」といい、「株式売渡請求」と併せて「株式等売渡請求」といいます。)する予定とのことです。株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定であり、新株予約権売渡請求においては、本新株予約権1個当たりの対価として本新株予約権買付価格と同額の金銭を売渡新株予約権者に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、住友商事は、その旨を当社に通知し、当社に対し株式等売渡請求の承認を求める予定とのことです。当社がその取締役会の決議により株式等売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主及び売渡新株予約権者の個別の承諾を要することなく、住友商事は、株式等売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主の全員からその所有する当社株式の全部を取得し、売渡新株予約権者の全員からその所有する本新株予約権の全てを取得するとのことです。この場合、住友商事は、売渡株主がそれぞれ所有していた当社株式1株当たりの対価として、当該各売渡株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付するとともに、売渡新株予約権者がそれぞれ所有していた本新株予約権1個当たりの対価として、当該各売渡新株予約権者に対し、本新株予約権買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。
なお、本譲渡制限付株式については、その割当契約書において、(a)譲渡制限期間中に、当社の普通株式を対象とする株式売渡請求に関する事項が当社の取締役会で承認された場合(但し、売渡株式の取得日(以下「売渡請求効力発生日」といいます。)が譲渡制限期間の満了時より前に到来するときに限ります。)には、当社取締役会の決議により、付与対象者が当該承認の日において保有する本譲渡制限付株式の数に、付与対象者の役務提供期間開始日(付与対象者が当社グループの取締役の場合には、各年の株式発行日の直前の定時株主総会の日を指し、付与対象者が当社グループの取締役以外の場合には、各年の株式発行日の直前の4月1日を指します。)を含む月の翌月(但し、付与対象者が当社グループの取締役以外の場合には、役務提供期間開始日を含む月)から当該承認の日を含む月までの月数を12で除した数(但し、計算の結果、その数が1を超える場合は、1とします。)を乗じた数(但し、計算の結果、1株未満の端数が生ずる場合には、切り捨てるものとします。)の本譲渡制限付株式について、売渡請求効力発生日の前営業日の直前時をもって、譲渡制限を解除するものとされ、(b)上記(a)に規定する場合は、当社は、売渡請求効力発生日の前営業日をもって、同日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式の全部を当然に無償で取得するものとされております。本スクイーズアウト手続においては、上記割当契約書の(a)の規定に従い、売渡請求効力発生日の前営業日をもって譲渡制限が解除された本譲渡制限付株式については、株式売渡請求の対象とし、上記割当契約書の(b)の規定に従い、売渡請求効力発生日の前営業日をもって譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式については、当社において無償取得する予定です。
なお、当社は、住友商事より株式等売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会において株式等売渡請求を承認する予定です。
株式等売渡請求に関連する少数株主及び新株予約権者の権利保護を目的とした会社法上の規定として、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従って、売渡株主及び売渡新株予約権者は、裁判所に対して、その所有する当社株式又は本新株予約権の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式又は本新株予約権の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
本公開買付けの成立後、公開買付者らが当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至らなかった場合には、公開買付者らは、会社法第180条に基づき、当社株式の併合(以下「株式併合」といいます。)を行うこと及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2026年2月を目途に開催することを当社に要請する予定とのことです。なお、当社は、公開買付者らからこれらの要請を受けた場合には、これらの要請に応じる予定です。公開買付者らは、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において株式併合の議案について承認された場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会において承認された株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。以下同じとします。)に相当する当社株式を当社又は住友商事若しくは公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。公開買付者らは、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者ら及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。
また、株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者らが当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者ら及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。
株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者ら及び当社を除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。
なお、本譲渡制限付株式については、その割当契約書において、(a)譲渡制限期間中に、株式の併合(当該株式の併合により付与対象者の有する本譲渡制限付株式が1株に満たない端数のみとなる場合に限ります。)が当社の株主総会で承認された場合(但し、当該株式の併合の効力発生日(以下「株式併合効力発生日」といいます。)が譲渡制限期間の満了時より前に到来するときに限ります。)には、当社取締役会の決議により、付与対象者が当該承認の日において保有する本譲渡制限付株式の数に、付与対象者の役務提供期間開始日(付与対象者が当社グループの取締役の場合には、各年の株式発行日の直前の定時株主総会の日を指し、付与対象者が当社グループの取締役以外の場合には、各年の株式発行日の直前の4月1日を指します。)を含む月の翌月(但し、付与対象者が当社グループの取締役以外の場合には、役務提供期間開始日を含む月)から当該承認の日を含む月までの月数を12で除した数(但し、計算の結果、その数が1を超える場合は、1とします。)を乗じた数(但し、計算の結果、1株未満の端数が生ずる場合には、切り捨てるものとします。)の本譲渡制限付株式について、株式併合効力発生日の前営業日の直前時をもって、譲渡制限を解除するものとされ、(b)上記(a)に規定する場合は、当社は、株式併合効力発生日の前営業日をもって、同日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式の全部を当然に無償で取得するものとされております。本スクイーズアウト手続においては、上記割当契約書の(a)の規定に従い、株式併合効力発生日の前営業日をもって譲渡制限が解除された本譲渡制限付株式については、株式併合の対象とし、上記割当契約書の(b)の規定に従い、株式併合効力発生日の前営業日をもって譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式については、当社において無償取得する予定です。
また、公開買付者らは、本公開買付け成立後、公開買付者らが当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至らなかった場合であって、本公開買付けにおいて本新株予約権の全てを取得できず、かつ、本新株予約権が行使されず残存した場合には、当社に本新株予約権の取得、本新株予約権に係る新株予約権者による放棄の勧奨等、本取引の実行に合理的に必要な手続を実施することを要請し、又は実施することを予定しているとのことです。
上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者ら及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法を採用する予定であり、その場合に当該当社の株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。
以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者らと協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
公開買付者ら及び当社は、当社が公開買付者の親会社である住友商事の連結子会社であるため、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、公開買付者らと当社の一般株主との間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、本公開買付価格の公正性を担保するとともに、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定の過程における恣意性を排除し、利益相反を回避する観点から、以下の措置を実施しております。
なお、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、住友商事は、本書提出日現在、当社株式を158,091,477株(所有割合:50.54%)所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定しておりませんが、公開買付者ら及び当社において以下の措置を講じていることから、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされているとのことであり、当社としても同様に判断しております。
また、以下の記載のうち公開買付者らにおいて実施した措置等については、公開買付者らから受けた説明に基づくものです。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、2025年6月12日開催の取締役会における決議により、本特別委員会を設置いたしましたが、かかる本特別委員会の設置に先立ち、当社は、住友商事から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を構築するため、西村あさひの助言も得つつ、その時点の住友商事との間で重要な利害関係を有しない当社の社外取締役に対して、住友商事から本取引の実施に向けた検討を開始した旨の通知を受けた旨、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当するため、本取引に係る検討・交渉等を行うにあたっては、本特別委員会の設置をはじめとする本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置を十分に講じる必要がある旨等を個別に説明いたしました。また、当社は、並行して、西村あさひの助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補となる当社の社外取締役の独立性及び適格性等について確認を行うとともに、住友商事との間で重要な利害関係を有していないこと、及び本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことについても確認を行いました。その上で、当社の社外取締役において、西村あさひの助言を得つつ、協議した結果、異議がない旨が確認されたことから、当社は、2025年5月29日、早稲田祐美子氏(当社独立社外取締役・監査等委員、弁護士、株式会社IHI社外監査役、中外製薬株式会社社外監査役)、山名昌衛氏(当社独立社外取締役、TDK株式会社社外取締役、株式会社ゼンショーホールディングス社外取締役、株式会社かんぽ生命保険社外取締役)及び松石秀隆氏(当社独立社外取締役・監査等委員、日本国土開発株式会社社外取締役)の3名を本特別委員会の委員の候補として選定いたしました(なお、本特別委員会の委員長には当社独立社外取締役である早稲田祐美子氏が就任しており、本特別委員会の委員は設置当初から変更しておりません。)。なお、当社の独立社外取締役は6名ですが、独立社外取締役の全員を委員とするのではなく、早稲田祐美子氏、山名昌衛氏及び松石秀隆氏の3名を委員とする会議体とすることで本取引に係る検討・交渉等を機動的かつ効率的に行い、かつ、早稲田祐美子氏、山名昌衛氏及び松石秀隆氏の3名の委員によって、企業経営、財務・会計、法務・リスク管理及びグローバル等の観点から、本取引に係る検討・交渉等に関して必要かつ十分な経験及び見識を確保できると考えたため、当該3名を本特別委員会の委員として選定いたしました。
その上で、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年6月12日開催の当社取締役会における決議により本特別委員会を設置するとともに、本特別委員会に対し、本諮問事項を諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(a)特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うものとし、本特別委員会が本取引の取引条件が公正でないと判断した場合には、本取引に賛同しないこととする、(b)本特別委員会のアドバイザー等を選任する権限、(c)本特別委員会は、本特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができるものとし、本特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的費用は当社の負担とする、(d)当社の取締役、従業員その他本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限を付与する、(e)本特別委員会が、必要に応じて、本取引の取引条件等の交渉を行い、本特別委員会が、本取引の取引条件等の交渉を直接行わない場合であっても、必要に応じて、例えば、交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等の交渉過程に実質的に関与する状況を確保するよう努めるものとし、当社は当該状況が確保されるよう協力する旨を決議しております。
上記の2025年6月12日開催の当社取締役会においては、当社の取締役11名のうち、加藤真一氏は住友商事の執行役員を兼任していること、山埜英樹氏は過去に住友商事の代表取締役を務めていたこと、尾﨑務氏は過去に住友商事の執行役員を務めていたこと、實野容道氏は過去に住友商事の理事を務めていたこと等に鑑み、当社取締役会における審議及び決議が本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、加藤真一氏、山埜英樹氏、尾﨑務氏及び實野容道氏を除く7名の取締役(監査等委員であるものを含みます。)において審議の上、全員一致により上記の決議を行っております。なお、山埜英樹氏及び尾﨑務氏は2025年6月24日開催の定時株主総会まで当社取締役を務め、その後は当社取締役を退任しております。
なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定報酬を支払うものとされております。
本特別委員会は、2025年6月12日から2025年10月28日までの間に合計20回、合計約17時間にわたって開催されたほか、各会日間においても必要に応じて都度電子メールやWeb会議を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行いたしました。
具体的には、本特別委員会は、まず、その独立性及び専門性・実績等を検討の上、2025年7月1日、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立した独自のリーガル・アドバイザーとして外苑法律事務所を、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引から独立した独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングを選任する旨を決定いたしました。
また、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券について、その独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任を承認しており、当社のリーガル・アドバイザーである西村あさひについて、その独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任を承認しております。
更に、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)について、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認の上、承認しております。
その上で、本特別委員会は、外苑法律事務所から受けた法的助言及び西村あさひから聴取した意見を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行いました。
本特別委員会は、2025年7月10日に、住友商事に対し、本取引のシナジーを含む本取引の戦略的意義、本取引のストラクチャー、本取引後の当社の経営方針等に関して書面による質問をしたところ、同年7月17日に当該質問事項について書面での回答を受け、また、当社から住友商事に対して、口頭での当該回答についての確認を行いました。更に、当該回答の内容を踏まえ、本特別委員会は、住友商事に対し、同年8月5日付で、書面による追加の質問をしたところ、同年8月14日に当該追加質問事項について書面の回答を受け、その後、同年8月22日及び同年8月28日開催の本特別委員会において、住友商事から当該追加質問事項への回答に関する説明を受け、これに対する質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、同年9月26日、当社より、同年9月18日に当社及び住友商事との間で実施された本取引後の当社の経営方針に関する面談の報告を受け、当社との間で、これを踏まえた意見交換を実施しました。
加えて、本特別委員会は、住友商事との交渉の基礎となり、また、野村證券及びプルータス・コンサルティングによる当社株式の価値評価の基礎ともなる本事業計画等の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について、当社から説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認し、承認しております。その上で、下記「③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」及び「⑤ 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、野村證券及びプルータス・コンサルティングは、本事業計画等の内容を前提として当社株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、野村證券及びプルータス・コンサルティングから、それぞれが実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらについて合理性を確認しております。
また、「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、本特別委員会はプルータス・コンサルティングから本フェアネス・オピニオンの提出を受けておりますが、本特別委員会は、プルータス・コンサルティングから本フェアネス・オピニオンの発行手続等について説明を受け、質疑応答を行っております。
本特別委員会は、2025年9月29日に当社が住友商事から最初の本公開買付価格の提案を受領して以降、当社が住友商事から本公開買付価格についての提案を受領する都度、当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券から適時にその内容及び交渉経過等について報告を受け、野村證券から聴取した意見も踏まえてその内容を審議・検討するとともに、野村證券から公開買付者らとの交渉方針案及び住友商事に対する回答書案について事前に説明を受け、必要に応じて意見を述べ、質疑応答を行った上で承認し、公開買付者らとの交渉に関して指示・要請を行う等しております。
本特別委員会は、プレスリリース等のドラフトについて、当社のリーガル・アドバイザーである西村あさひ及び当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券から複数回説明を受け、質疑応答を行い、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
本特別委員会は、以上の経緯の下で、外苑法律事務所から受けた法的助言及びプルータス・コンサルティングから受けた財務的見地からの助言、並びに2025年10月28日付で提出を受けた本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンの内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年10月29日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。
ⅰ.答申内容
(a) 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的であると考えられる。
(b) 本公開買付価格は、プルータス・コンサルティング及び野村證券の各株式価値算定結果等に照らし、当社の本源的価値を相応に反映した金額であるとの合理的評価が可能な妥当な価格であり、本取引の条件は公正であると考えられる。
(c) 本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続は公正であると考えられる。
(d) 上記(a)から(c)を踏まえ、本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると考えられる。
(e) 当社の取締役会が(ⅰ)本公開買付けに対して賛同意見を表明すること、(ⅱ)当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること及び(ⅲ)本新株予約権者に対して本公開買付けへの応募をするか否かについて、本新株予約権者の判断に委ねることは首肯できる。
ⅱ.答申理由
(a) 本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)について
a.本取引の目的等
(ⅰ)公開買付者及び住友商事の概要並びに住友商事が考える本取引の目的及びシナジー
・ 公開買付者は、商号をSCインベストメンツ・マネジメント株式会社とし、本公開買付けを通じて当社の株券等を取得及び所有することを主たる目的として2025年9月16日に設立され、本答申提出日現在において、住友商事がその発行済株式の全てを所有する株式会社である。公開買付者の親会社である住友商事は、1919年12月24日に設立された総合商社で、東京証券取引所プライム市場に上場している。
・ 住友商事は、現状の資本構成においては住友商事の支援に対する成果の約半分が住友商事以外の一般株主に帰属することとなるため、住友商事が従来以上にリソースを当社に投下し、今後更に当社の成長戦略を支援していくことについて、住友商事の株主を含むステークホルダーに対して合理的な説明が難しい状態にあると考えている。また、住友商事は、当社の成長実現に向けては、住友商事と当社が戦略を全面的に共有し、中長期的視点を持ち、迅速に施策を実行することが重要と考えているが、当社が上場を維持している状況では、当社の一般株主の利益に配慮し、住友商事と当社との間で利益相反が生じていないことを確認しながら施策に取り組む必要があり、このことが当該施策の迅速な実行の妨げとなる可能性もあると認識している。住友商事は、これらの観点から、当社の成長に住友商事が全面的にコミットするためには当社の完全子会社化が最善であり、以下のような取り組みやシナジー効果が期待できると考えている。
・ 当社を取り巻く環境変化の中で、競合となるデジタル・IT企業が新たなケイパビリティ獲得やビジネスモデル変革の動きを加速しており、当社を含む住友商事グループが当該市場で更なる成長を続けていくためには、従来からの強みのある産業ITやITインフラの領域を圧倒的に強くすることに加え、社会や産業、顧客の経営課題を読み解き、変革を支えるデジタルソリューションを能動的に提案・実装することが必要であること。更には、AI活用による開発工程を中心とした生産性向上にも取り組み、成長と効率性の両立により強みを磨き上げていくことができること。
・ 当社が注力する産業IT・セキュリティ領域に対しては、住友商事が全面的に支援することにより、当社が業界特化型のオファリング、サービス強化、ネットワンシステムズとのシナジー発揮を含む高付加価値化を進め、ビジネスモデルの転換による更なる成長を促進すること。
・ 当社が次世代の収益の柱を探索・開発するにあたって住友商事及び住友商事グループ約900社をカスタマーゼロとして活用するとともに、顧客の業界課題への理解・共感と顧客の経営陣や事業部門とのアクセスを活用して他社とは一線を画した商品やサービスの開発や効果的な顧客への提案を支援できること。その実現には、コンサル領域の強化、グローバル体制の強化、BPOやデータセンターの再定義、更には顧客経営層への提案・サービス提供体制の整備等が打ち手として考えられ、自社による独自の構築に加え、国内外のパートナー候補との提携や出資を通じた機能獲得・強化により実現が可能であること(なお、住友商事では、外部リソース獲得による当社の成長を目的とする大型投資を含め、住友商事の資金力、グローバルネットワーク、事業投資の知見を活用した当社への支援につき協議・検討していく方針である。)。
・ 住友商事のデジタル・AI戦略において、当社が住友商事グループのデジタルソリューション事業の中核として、住友商事グループの事業創出・変革と、住友商事とともに社会や産業の変革をリードすることが期待されること。
(ⅱ)当社の概要並びに当社が考える本取引の目的等
・ 当社は、住商情報システム株式会社(1969年10月に住商コンピューターサービス株式会社という商号にて住友商事の子会社として設立され、1989年2月に東京証券取引所市場第二部に上場、1991年9月に東京証券取引所市場第一部に市場変更、1992年10月に住商情報システム株式会社に商号変更した情報サービス事業者)を存続会社とし、株式会社CSK(1968年10月にコンピューターサービス株式会社という商号にて設立され、1982年6月に東京証券取引所市場第二部に上場、1985年3月に東京証券取引所市場第一部に市場変更した独立系の情報サービス事業者)を消滅会社とする合併により、2011年10月に誕生し、現在東京証券取引所プライム市場に上場している。
・ 当社は、現在の経営環境・事業課題等について、主に以下のとおり認識している。
・ 社会のデジタル化の急速な進展に伴い、ITサービスの需要は従来の業務効率化やシステム導入に留まらず、デジタルビジネス化や業務モダナイゼーションをはじめ、持続可能な社会の実現を目指す事業変革へとシフトしており、ネットワークの近代化も急務となっていること。
・ 事業変革を支えるデジタル技術へのニーズは一層高度化しており、従来の請負型でのITサービスから、顧客事業への直接的な貢献を志向する提案型のITサービスへの転換が不可避となっていること。
・ 国内ITサービス市場は中長期的に一定の拡大が見込まれている一方で、今後、生産年齢人口の減少の加速が見込まれ、IT人材の需給環境は今後不安定になる可能性があること。
・ 大手日系企業の海外展開が加速しており、エネルギーや豊かな社会構築等の社会課題も、国内市場だけではなく、海外において求められつつあること。
・ 従来のシステムインテグレーター・ネットワークインテグレーターが担っていた市場や経営環境には、大きな構造変化が起きており、今後もこのような変化が続くことが予想されること。
・ 上記のようなITサービス需要の質的変化に対し、高度かつ最新のITインフラ技術とアプリケーションサービス技術の融合による新たなソフトウェアエンジニアリングサービス、さらには生成AI等の先端技術を活用していくデジタルサービスの展開が求められていること。
・ 手段の提供から産業・経営課題の解決策を提案する課題解決力、AIをはじめ進化し続ける先端技術や高度技術者、グローバルで社会課題解決に対してデジタル技術をはじめとした先端技術の社会実装力等のケイパビリティの拡充やスピード感を持った事業展開が不可欠になっており、こうした環境の変化に能動的に対応し、求められる変革を実現していくためには、自律的な成長に加えて、買収や提携による成長も必要になっていること。
・ 事業環境が大きく変化する中において変革を実現するためには中長期な目線での大胆な先行投資を機動的に実行していくことが必要になるところ、当該投資は不確実性を伴うことから、短期的には当社の業績が悪化する可能性もあること。
・ 当社が上場している間は、当社の株主の利益を追求する必要があることから、短期的な利益に囚われない中長期的な投資や事業改革を同時にかつ迅速に実行することは難しい状況にあること。
・ 当社は、上記の当社グループを取り巻く経営環境を踏まえ、本取引を通じて当社が非公開化し、住友商事と当社の少数株主との間の構造的な利益相反関係を解消し、住友商事が集中的・機動的に当社グループへ更なる経営資源を投入することを可能とすることが、当社の更なる企業価値向上に資するとの結論に至った。当社は、住友商事グループの国内外に広がる幅広い業界・顧客ネットワーク、多様な産業分野での約900社のグループ事業会社で培った各業界でのポジション及び総合商社としての事業構想力と、当社の先端ITソリューション提供力及び10,000社超の顧客とのビジネスで獲得してきた業務知見を集結させることで、地球規模での社会課題や国家レベルの産業の変革にもAIやデータ分析等の先端技術を駆使して貢献できるようになると考えている。また、当社は、住友商事グループが持つ営業・事業現場のビジネスニーズを起点としたITサービスを実装する経験を蓄積することによって、次世代型の課題解決型企業へと変革することが可能になると考えている。加えて、当社は、本取引を通じた非公開化により、住友商事と当社の少数株主との間にある構造的な利益相反関係が解消され、より一層人材交流を活発化させることが可能となり、当社と住友商事が一体感を持ち、それぞれの強みを融合させた事業展開、住友商事によるメリハリのある経営資源の配分、機動的な意思決定等が可能となり、これまでにない連携によるシナジーの発揮が期待されると考えている。また、こうした両社の協働はより大きな社会的インパクトを生み出し、人的資本経営を掲げる当社にとって、従業員がこれまでとはスケールの異なる地球規模、国家レベルの課題解決へ取り組めるようになるとともに、それによる社会への貢献実感・さらなる働きがいの向上、一人ひとりの市場価値をより高める経験を得ることができ、これまでにない従業員の成長機会に繋がり、当社グループは新しい価値を創造し続ける企業へと飛躍できると考えている。
・ 当社が本取引後、具体的に見込んでいるシナジーは以下のとおりである。
① 事業構想からデジタル実装までの総合的なデジタルソリューションの提供
② 上流コンサルティング機能及びデジタルケイパビリティの強化
③ グローバル展開の加速
④ 社会課題の解決に資する次世代デジタル事業の開発
・ 当社は、本取引による非公開化のデメリットとして以下(a)及び(b)を想定したが、それぞれについて以下のとおり考えるに至った。
(a) 上場企業としてのブランド低下に伴う従業員のモチベーション低下、取引先その他のステークホルダーへの影響の可能性
住友商事は、当社の経営体制・取締役会の構成について、本取引実施後も、当社の独自性を尊重した適切なガバナンスと、当社を含む住友商事グループとしてのシナジー効果を最大限実現できる体制作りを目指し、本取引後に住友商事と当社の間で協議していく方針であること、本取引後に当社従業員の現行制度における雇用・労働条件を悪化させるような変更は基本的に想定していない意向を示している。また、住友商事は、当社の従業員のモチベーションの維持、取引先の拡大等を図るため、当社のブランディング向上に繋がる施策についても、当社と協議し最大限意向を反映させる体制を整備する方針である。これらを踏まえ、当社としては、当社が本取引を通じて非公開化されることは、当社グループの取引先、従業員、その他のステークホルダーにおいても受け入れられると考えている。
(b) 株式等資本市場における資金調達手段の限定
上場廃止に伴い、株式等資本市場における資金調達手段は限定されることになるが、住友商事の資金調達力を機動的に活用できることから、当社としては、本取引のディスシナジーとはならないと考えている。
b.本特別委員会による検討
上記(a)「本取引の目的等」に記載の当社及び住友商事が想定している本公開買付けを含む本取引の意義及び目的には、特に不合理な点はなく、合理的な検討の結果であることが認められると判断するに至った。
また、公開買付者が本取引を通じて当社を完全子会社化することによって、当社が上場を維持する場合には実現することが困難であったシナジー及びメリットが期待でき、本取引は当社の企業価値向上に寄与するものであること、これに比較すると、上場を維持する必要性及び非公開化によるデメリットは限定的であると判断するに至った。
このような判断に至った背景及び本取引により期待される具体的なシナジー及びメリットは、以下のとおりである。
(ⅰ)当社は、「グランドデザイン2030」において「共創ITカンパニー」、すなわち、顧客やパートナー、社会との共創を推進し、各種の課題を解決すべく、新しい価値を提供し続ける企業グループを志向している。また「中期経営計画(FY2023-2025)」において「お客様や社会に対して新しい価値を提供し続けるための事業分野・事業モデルの再構築」、そして「社員の成長が会社の成長ドライバーと認識した上での社員一人ひとりの市場価値の常なる最大化」により、総合的企業価値を飛躍的に向上することを目指している。
(ⅱ)住友商事グループは、激化する競争環境において、当社が今後直面する経営課題として、以下①~③を認識しているとのことである。本特別委員会としても、当社の企業価値を向上させるためにはこれらの経営課題への対応が重要であると考えており、かつ、これらの経営課題への対応は、上記の当社が掲げる中長期的なビジョンを実現するうえで必要であると考えている。
① 従来の請負型のアプローチから顧客の事業成長に直接貢献をする提案型のアプローチへと事業を転換していく必要があること
② 顧客の経営課題を的確に捉え提案を行うコンサルティング機能、AIをはじめとする先端技術や高度技術者の継続的な確保を行う必要があること
③ グローバル体制を強化し、国内市場中心の当社事業を海外に展開させていく必要があること
(ⅲ)住友商事及び当社の企図する本取引のシナジーは、大要、①事業構想からデジタル実装までの総合的なデジタルソリューションの提供、②コンサル機能及びデジタルケイパビリティの強化、③グローバル展開の加速等であるところ、これらはいずれも上記の重要な経営課題に対応する効果を持つものであり、当社の企業価値の向上に資するものであると認められる。
(ⅳ)住友商事ないし公開買付者が目指す当社のシナジー効果は、以下の観点に鑑みれば、実現可能性があると考えられる。
・ 本取引は、住友商事自身が中期経営計画の中で掲げる住友商事全体のスローガン「デジタルで磨き、デジタルで稼ぐ」に基づく戦略の中に位置づけられており、当社の企業価値向上が当該戦略の前提となっていること。
・ 当社を取り巻く環境変化の中で、当社を含む住友商事グループが当該市場で更なる成長を続けていくためには、従来からの当社の強みのある領域を圧倒的に強くすることに加え、社会や産業、顧客の経営課題を読み解き変革を支えるデジタルソリューションをプロアクティブに提案・実装することが必要であると考えられる。当該機能の実装にあたっては、当社のコンサル領域の強化、グローバル体制の強化、BPOやデータセンターの再定義、更には顧客経営層への提案・サービス提供体制の整備等が打ち手として考えられ、これには、自社による独自の構築に加え、国内外のパートナー候補との提携や出資を通じた機能獲得・強化が必要であるところ、住友商事は、本取引に際して相当額の投資を行うとともに、その資金力及びネットワークを活用した大型の追加投資により本取引後も更なるM&A・買収、採用強化、パートナリング等を実施する想定であること(なお、その旨が開示書類上にも明記されている。)。
・ 住友商事が既に豊富な海外ネットワークや拠点、グローバル人材を有しており、住友商事側からも海外での事業展開・コンサルティング機能の強化に向けた当社への人材提供を行う旨の意向を示していること。
・ 住友商事が約900社のグループ事業会社を有し、これらのグループ会社をカスタマーゼロとして当社が活用して新たなオファリングモデルを創造し、得られるデータを活用したユースケースを他の顧客にも水平展開できるようになること。
・ 上記は、当社が次世代の収益の柱を探索・開発するにあたって、顧客の事業現場に入り込み課題解決に直結するサービスやプロダクトの企画・提案ができるようになるという観点において重要かつ有益であり、加えて、そのような様々な業界に属するデータを入手できることは、競合他社に比しても優位性を有すると認められること。
・ ヒアリングにおいて、住友商事からも事業グループごとの当社との協業に関する具体的な構想例が示されたこと。
(ⅴ)一方、非公開化による一般的なデメリットとして、人材採用の困難化、従業員のモチベーションの低下、取引先の離脱等が挙げられる。もっとも、住友商事は本公開買付け後の当社従業員については、本取引後に当社の現行制度における雇用・労働条件を悪化させるような変更は基本的に想定していないとのことである。また住友商事は、当社グループに関して、役職員の雇用・労働条件の維持、役職員のインセンティブ設計の検討、経営の独立及び自主性の尊重、当社の意向に配慮したガバナンス体制構築、並びに、シナジー創出に向けた両社間での検討体制構築と中長期の事業計画策定を当社の意向として受けており、これらを踏まえて今後誠実に当社との間で検討・協議を行う考えがあるとのことである。加えて、本取引後は両社の協働がより大きな社会的インパクトを生み出し、従業員がこれまでとはスケールの異なる地球規模、国家レベルの課題解決へ取り組めるようになると考えられること、それにより従業員の社会への貢献実感・さらなる働きがいの向上並びに一人ひとりの成長機会及び市場価値の向上が期待されること、住友商事から、当社の従業員のモチベーションの維持、取引先の拡大等を図るため、当社のブランディング向上に繋がる施策についても、当社と協議した上で最大限意向を反映させる体制を整備する方針である旨を確認できている。以上を踏まえれば、従業員の地位・モチベーションや人材採用への悪影響が発生する可能性は低く、また発生したとしても限定的なものにとどまると考えられる。また、これらの施策を前提とする当社のブランディング及び従来の取引実績に基づく信頼関係を踏まえれば、取引先の離脱についても懸念はないと考えられる。以上からすれば、本取引により期待されるシナジーは、本取引を行うことによるデメリットを上回るものと考えることができる。
c.小括
以上の点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。
(b) 本取引の取引条件の公正性について
a.買収者との協議・交渉の過程
当社は、本特別委員会が本公開買付け又は本取引の取引条件が公正でないと判断した場合は、本公開買付けに賛同しないことを決定した上で、本特別委員会を設置した。当社及び本特別委員会は、本特別委員会が事前に承認した交渉方針に従い、一般株主の利益保護の観点から、公開買付価格に関する協議・交渉を住友商事との間で複数回にわたって行った。
かかる交渉の結果として、住友商事の当初の提案(当社株式1株当たり5,050円)から、最終的に総額650円(12.87%(小数点以下第三位を四捨五入。))の引き上げとなった。以上を踏まえると、当社と住友商事との間における本取引の取引条件に関する交渉過程においては、独立当事者間取引と同視し得る状況が確保されていたと認めることができる。
b.株式価値算定内容及びその前提とした財務予測・前提条件等の合理性
・ 本事業計画は、2025年8月時点で、本取引の取引条件の公正性を検討することを目的として、合理的に見積もられる範囲で後発事象を織り込んで作成されたものである。具体的には、本事業計画は、客観的な裏付けに基づく外部環境要因(業界成長率、市場環境データ等)及び内的要因(当社固有の材料)を踏まえて作成されている。また、本事業計画の内容は、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本取引の実施を前提としないスタンドアローン・ベースのものである。また、当社の将来の財務予測においては、大幅な増減益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれており、具体的には、ネットワンシステムズを2024年12月25日付で連結子会社としたことに起因して、2026年3月期は売上高、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでいるが、当該増加の見込みに関する当社の説明に不合理な点はなく、その検討手続にも公正性を疑わせる事情は特段見当たらない。本事業計画に係る当社及び野村證券からの説明及び質疑応答を踏まえると、本事業計画の内容や重要な前提条件に不合理な点は認められない。また、本事業計画の作成にあたっては、当社及び住友商事の兼務者である従業員1名が関与しているものの、当該1名の知識及び経験を踏まえると、当該1名が関与せずに作成された当社の事業計画の十分性、実現可能性に係る懸念が大きく、当該1名を事業計画の作成過程に関与させる必要性が高いと認められた。この点を踏まえ、内容の妥当性について利害関係のない上長(當麻隆昭代表取締役執行役員社長、尾﨑務執行役員副社長、奥原隆之執行役員常務及び企画本部本部長)による確認を行うこと等を条件に、当該1名が本事業計画の作成過程に関与することを本特別委員会にて承認を行っており、その結果、住友商事又はその関係者が影響を及ぼした事実は窺われない。また、当社において、公開買付者又は住友商事の指示により、又はその意を汲んで、作成又は修正が行われたという事実も窺われない。したがって、本事業計画の作成の手続に不公正な点も認められない。以上の検討を踏まえ、当委員会は、第10回特別委員会において、本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認し、住友商事への提出を承認している。なお、第14回特別委員会において、2025年9月19日付で当社が開催したネットワンシステムズとの経営統合説明会の質疑応答において口頭で説明された数値との間で差異が生じている点について、本特別委員会と当社及び野村證券との間で質疑応答を行った。その結果、本特別委員会としては、上記説明会で説明された数値は、今後変更される可能性を留保した目標値であったことを確認し、本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の手続に疑義をもたらすものではないと判断した。
・ 本特別委員会は、プルータス・コンサルティングから株式価値算定に用いられた算定方法等について、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件等について説明を受けるとともに、質疑応答を行った。本特別委員会がプルータス・コンサルティングから取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)」という。)によれば、当社株式の1株当たりの株式価値は、2025年10月28日を基準日とする市場株価法によると4,258円から4,543円、2025年10月17日を基準日とする類似会社比較法によると3,252円から3,613円、2025年10月17日を基準日とするDCF法によると4,651円から5,920円とされているところ、本公開買付価格である5,700円は、市場株価分析及び類似会社比較法による算定結果の上限値を上回るとともに、DCF法による算定結果の中央値を上回る金額である。まず、市場株価法による算定においては、当社の市場株価を直近終値及び一定期間の終値の平均値を分析することにより当社の株式価値が算定されているところ、かかる算定の方法は、上場株式の評価手法として最も客観性が高く、本取引と類似の取引において一般的に用いられるものである。また、採用する算定期間についても一般的に用いられるものである上、当社において、かかる期間に市場株価の調整が必要となるような重要事象は発生していない。以上より、市場株価法による算定の内容に不合理な点は認められない。次に、類似会社比較法による算定においては、当社と類似する上場会社として、株式会社野村総合研究所、TIS株式会社、BIPROGY株式会社、日鉄ソリューションズ株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社DTS及び株式会社NSDが選定されているところ、かかる選定は、外部情報データベースによる業種分類に基づいて候補を選定した上で、事業規模及び事業内容に関する当社の見解も聴取の上で定量的な基準に基づいて選定されており、選定の方法に不合理な点は認められない。また、プルータス・コンサルティングは、比較指標として、企業価値に対するEBIT及びEBITDAの倍率を用いているところ、かかる指標は、類似会社比較の分析において一般的に用いられるものである。以上より、類似会社比較法による算定の内容に不合理な点は認められない。次に、DCF法による算定においては、算定方法としてマルチプル法が用いられているところ、かかる算定方法、倍率、余剰現預金の取扱い等については、プルータス・コンサルティングが第三者算定機関としての専門的見地から検討・算出したものであり、これらの数値の算出根拠及び算定方法等について特に不合理な点は認められない。そして、プルータス・コンサルティングによる株式価値算定の前提となる本事業計画の内容及び重要な前提条件についても、上記のとおり合理性が認められる。
・ 本特別委員会は、プルータス・コンサルティングから本フェアネス・オピニオンを取得しており、本フェアネス・オピニオンによれば、当社が作成した本事業計画に基づく当社株式の価値算定結果等に照らして、本公開買付価格である1株当たり5,700円が、当社の一般株主にとって財務的見地から公正であるとされている。本フェアネス・オピニオンは、財務に関する高度の専門性を有するプルータス・コンサルティングが、当社及び住友商事から独立した立場において、当社から、事業の現状、本事業計画等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けた上で実施した当社株式の株式価値算定の算定結果に加えて、本公開買付けの概要、背景及び目的に係る当社との質疑応答、プルータス・コンサルティングが必要と認めた範囲内での当社の事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びプルータス・コンサルティングにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行されたものであり、不合理な点は見当たらない。また、上記のとおり、本フェアネス・オピニオンの提出にあたって参考とされたプルータス・コンサルティングによる株式価値算定の方法及び内容についても特段不合理な点は認められない。したがって、本特別委員会は本フェアネス・オピニオンの発行手続及び内容についても不合理な点は認められないものと考える。
・ 本特別委員会は、野村證券から株式価値算定に用いられた算定方法等について、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件等について説明を受けるとともに、質疑応答を行った。当社が野村證券から取得した本株式価値算定書(野村證券)によれば、当社株式の1株当たりの株式価値は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月28日を基準日とする市場株価平均法によると4,258円から4,543円、類似会社比較法によると3,295円から4,843円、類似取引比較法によると3,526円から5,249円、DCF法によると4,356円から6,749円とされているところ、本公開買付価格である5,700円は、市場株価平均法、類似会社比較法及び類似取引比較法による算定結果の上限値を上回るとともに、DCF法による算定結果の中央値を上回る金額である。まず、市場株価平均法による算定においては、当社の市場株価を直近終値及び一定期間の終値の平均値を分析することにより当社の株式価値が算定されているところ、かかる算定の方法は、上場株式の評価手法として最も客観性が高く、本取引と類似の取引において一般的に用いられるものである。また、採用する算定期間についても一般的に用いられるものである上、当社において、かかる期間に市場株価の調整が必要となるような重要事象は発生していない。以上より、市場株価平均法による算定の内容に不合理な点は認められない。次に、類似会社比較法による算定においては、当社と類似する上場会社として、株式会社野村総合研究所、TIS株式会社、日鉄ソリューションズ株式会社、BIPROGY株式会社及び株式会社電通総研が選定されているところ、かかる選定は、事業規模及び事業内容に関する当社の見解も聴取の上で選定されており、選定の方法に不合理な点は認められない。また、野村證券は、比較指標として、企業価値に対するEV/EBITDA及びEV/EBITの倍率並びに時価総額に対するPERを用いているところ、かかる指標は、類似会社比較の分析において一般的に用いられるものである。以上より、類似会社比較法による算定の内容に不合理な点は認められない。また、類似取引比較法による算定においては、過去数年間における類似性のある事業に従事する国内企業を対象とした非公開化案件を中心に、比較的類似すると考えられる複数の公表取引における取引価格を踏まえた収益性を示す財務指標との比較を通じて当社の株式価値が算定されているところ、選定された公表取引は当社の属する業界における取引であり、使用した収益性指標は一般的に用いられるものである。以上より、類似取引比較法による算定の内容に不合理な点は認められない。さらに、DCF法による算定においては、算定方法として永久成長率法及びマルチプル法が用いられているところ、かかる算定方法、永久成長率、余剰現預金の取扱い等については、野村證券が第三者算定機関としての専門的見地から検討・算出したものであり、これらの数値の算出根拠及び算定方法等について特に不合理な点は認められない。そして、野村證券による株式価値算定の前提となる本事業計画の内容及び重要な前提条件についても、上記のとおり合理性が認められる。
c.本公開買付価格について
・ 上記aのとおり、本公開買付価格は、本特別委員会の第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングの算定によれば、市場株価平均法及び類似会社比較法による算定結果の上限値を上回るとともに、当社の第三者算定機関である野村證券が算出する市場株価平均法及び類似会社比較法による算定結果の上限値を上回る金額である。また、当社の本事業計画に基づき当社の成長性を勘案した、プルータス・コンサルティング及び野村證券によるDCF分析の算定結果の中央値を上回る金額である。
・ 本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年10月28日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,258円に対して33.87%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値4,299円に対して32.59%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値4,543円に対して25.47%のプレミアム、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値4,415円に対して29.11%のプレミアムが付された金額である。一般的にPBRが高い銘柄は既に株式市場において企業価値が高く評価されているため、公開買付け案件及びM&A案件における市場価格に対するプレミアム比率は低くなる傾向にあるところ、2025年10月24日時点の当社のPBRは約4.6倍となっている。そして、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「公正M&A指針」という。)(注)を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年8月29日までに公開買付けが成立した非公開化を目的とした上場子会社への公開買付け案件及びMBO案件のうち、対象会社のPBRが2倍超の事案17件(以下「同種事例」という。)において、過去1ヶ月平均の株価に対するプレミアム水準が20%~25%の案件が4件で最頻値であり、同様に過去3ヶ月平均の株価に対するプレミアム水準が20~25%の案件が6件で最頻値、過去6ヶ月平均の株価に対するプレミアム水準が15~20%の案件が3件で最頻値であることが確認できた。上記を踏まえると、本公開買付価格は、同種事例と比較して、遜色ないプレミアムが付されていると考えられる。なお、当社の株価は、2025年9月19日にネットワンシステムズとの合併の延期の公表(以下「本合併延期公表」という。)の実施以降、一定程度下落している(2025年9月19日の始値が4,970円であったのに対し、翌営業日である9月22日には終値4,555円まで下落し、以降も漸次的に下落し、直近では4,300円台前後の価格となっている)。当該下落前の当社の株価と対比した場合、本公開買付価格は、本合併延期公表の前日までの過去1ヶ月間の当社株式の終値の単純平均値4,689円に対して21.6%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値4,512円に対して26.3%のプレミアム、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値4,260円に対して33.8%のプレミアムが付された金額である。また、本合併延期公表までの過去1ヶ月間の平均株価である4,702円から、2026年3月期の中間配当(予想)の権利落ちによる株価下落分(47円)を控除した金額(4,655円)に対して、合理的なプレミアム水準と考えられる22.5%(同種事例において、過去1ヶ月平均の株価及び過去3ヶ月平均の株価に対するプレミアム水準の最頻値である20~25%の中央値。なお、過去6ヶ月間平均の株価に対するプレミアム水準の最頻値は15~20%であるが、高い方を採用した。)を付した金額は約5,702円(小数点以下を四捨五入)であり、本公開買付け価格である5,700円とほぼ同額である。したがって、本合併延期公表の影響を踏まえたとしても、本公開買付価格は相応のプレミアムが付されているものと考えられる。
(注) 経済産業省が2023年8月31日付で公表した「企業買収指針における行動指針」上、会社が経営権を取得する旨の「真摯な買収提案」を受けた場合には、「真摯な検討」を行うことが基本とされており、当該「真摯な検討」を行うに際しては、個別の事案における利益相反の程度や情報の非対称性の程度、対象会社の状況や取引構造の状況等に応じて、一般株主の利益を確保するための公正な手続を構成する実務上の措置(以下「公正性担保措置」という。)を講じるものとされており、実務上、かかる公正性担保措置を講ずるにあたっては、公正M&A指針が参照されている。
・ 本新株予約権は、当社の取締役及び執行役員に対してストック・オプションとして発行されたものであり、原則として、当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日から、第2回新株予約権については2年間、第8回新株予約権については10年間に限り、本新株予約権を行使することができるとされており、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解釈していることから、公開買付者は、本新株予約権の買付価格をいずれも1個あたり1円としている。上記の行使条件により、本新株予約権を公開買付者が取得した場合にこれらを行使できないと断定できるかについては疑義があるものの、上記の行使条件は新株予約権者が過去に当社の取締役ないし執行役員であったことを権利行使の前提としているとの解釈には合理性が認められ、公開買付者の立場としては上記のとおり解することは不合理ではないと思われる。また、本新株予約権は、公開買付期間に行使可能であり、本新株予約権の行使時の当社株式1株あたりの払込金額は本公開買付価格を下回っているため、本新株予約権者としては、本新株予約権を行使して当社株式に転換した上で本公開買付けに応募することができる。上記を踏まえると、本新株予約権買付価格が1円とされていることが不合理であるとはいえないと考えるが、特別委員会としては、その妥当性についての意見は留保し、本新株予約権者が本新株予約権を本公開買付けに応募するか否かは本新株予約権者の判断に委ねることを決議することが妥当であると考える。
d.その他の取引条件の公正性
・ 本公開買付けの期間が比較的長期間にわたるため、一般株主が本公開買付けへの応募についての適切な判断機会が確保され、また、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会が確保されている等、取引条件は一般株主にとって不利益なものではない。
・ また、本取引において、当社の非公開化の方法として、一段階目として本公開買付けを行い、二段階目として株式等売渡請求又は株式併合による本スクイーズアウト手続が予定されているが、このような方法は、本取引のような非上場子会社化の取引においては一般的に採用されている方法の一つである。さらに、本スクイーズアウトにおいては、本公開買付けに応募しなかった当社株主(但し、住友商事及び当社を除く。)に対し最終的に金銭が交付されることになるが、当該手続において交付される金銭の額は、本公開買付価格に当該株主が所有している当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定されるとのことであり(その予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定であると認められる。)、一般株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮されている。なお、本スクイーズアウト手続においては、本新株予約権者に交付されることとなる金銭の額が、本新株予約権の買付価格に当該各新株予約権者が保有していた本新株予約権の数を乗じた価格と同一となるよう算定されることが予定されていることから、上記cで検討したように、本特別委員会としてはその妥当性についての意見は留保する。
e.小括
・ 上記aからdまでを踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本特別委員会は、本公開買付価格は当社の本源的価値を相応に反映したものであるとの合理的評価が可能な公正な価格であり、その他の取引条件も含め、一般株主にとって公正であると判断するに至った。
(c) 本取引に係る手続の公正性について
a.独立した特別委員会の設置
・ 本取引においては、住友商事から、2025年1月下旬、当社に対して、当社の非公開化に関する検討を開始したい旨の初期的提案がなされ、その後、同年5月27日付で、意向表明書を受領した。当社は、2025年6月12日付取締役会により本特別委員会を設置し、同日に第1回特別委員会が開催されている。このように、本取引においては、住友商事からの意向表明書受領後、早期の段階から本特別委員会が本取引への関与を開始しており、本取引に係る取引条件の形成過程の初期段階から、本特別委員会が本取引に関与する状態が確保されていたことが認められる。
・ 本取引においては、当社取締役会は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2025年6月12日に、当社の独立したリーガル・アドバイザーである西村あさひの助言を得て、当社の社外取締役であり、かつ東京証券取引所が求める独立役員にも該当する早稲田祐美子氏(当社独立社外取締役(監査等委員))、松石秀隆氏(当社独立社外取締役(監査等委員))及び山名昌衛氏(当社独立社外取締役)の3名を、住友商事及び当社から独立性を有し、本取引の成否について一般株主と異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、委員に選定した。このように、本特別委員会の委員は、それぞれ公開買付者、住友商事及び当社から独立性を有し、本取引の成否について一般株主と異なる重要な利害関係を有していないことが確認されており、専門性・属性にも十分配慮して選定されたものであることが認められる。
・ 当社と住友商事が本取引の取引条件等について交渉するにあたり、上記のとおり、本特別委員会に適時にその状況を報告し、重要な局面でその意見、指示及び要請を受けることとしており、本特別委員会が本公開買付価格等の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与することができる状況が確保されており、実際、価格交渉を含む取引条件等の交渉において本特別委員会が交渉方針を当社に指示していた。このように、本特別委員会は、当社と住友商事との間の本公開買付価格等の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与したことが認められる。
・ 本特別委員会は、自らのファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングを、自らのリーガル・アドバイザーとして外苑法律事務所を、その独立性、専門性、実績等を確認した上でそれぞれ選定している。また、専門性、実績等を確認した上で、独立性を有する当社のリーガル・アドバイザーである西村あさひ及びファイナンシャル・アドバイザーである野村證券を承認し、必要に応じて西村あさひ及び野村證券からも助言を受けた。このように、本特別委員会においては、本取引に関する検討過程において適時に上記の各外部アドバイザーの専門的な助言・意見等を取得しながら、当社の企業価値向上の観点及び一般株主の利益を図る観点から、本取引の目的の合理性、本取引における取引条件の公正性等について、慎重に検討及び協議が行われたことが認められる。
・ 当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本取引に関する意思決定を行うに際して、当社の取締役、従業員、その他本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限を与えることを決議している。また、本取引の検討に際して、本特別委員会は、外苑法律事務所及び西村あさひから本取引に係る意思決定の過程及び本特別委員会の運営方法について法的な助言を受け、本件に関する資料の検討に加えて、上記のとおり、当社経営陣等に対する本取引の意義・目的や当社の本事業計画等に関する質疑応答及び住友商事に対する質疑応答を実施し、加えて、住友商事に対し書面により質問及び追加の質問を提出し、複数回にわたり回答を受領する等して本取引の検討を行うにあたって十分な情報を取得している。このように、本特別委員会は、非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて本取引の是非や取引条件の公正性について検討・判断を行うことのできる体制を整備していることが認められる。
・ 本取引の検討に際しては、当社取締役会は、本特別委員会の委員については、その職務の対価として、本取引の成否にかかわらず固定報酬を支払うこととしており、成功報酬制は採用されていない。このように、本取引の検討について本特別委員会に求められる役割を適切に果たすための報酬が、本取引の成否と関係なく支払われることとなっていることを踏まえると、本特別委員会の各委員が時間的・労力的なコミットメントを行いやすく、かつ本取引の成否から独立した立場で判断を行うための環境が整えられていることが認められる。
・ 当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会を当社取締役会から独立した合議体として位置づけ、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の取引条件が公正でないと判断した場合は、本取引に賛同しないことを決議している。また、当社が住友商事と本取引の取引条件に関する交渉について、事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面でその意見、指示及び要請を行うこと等により、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限、及び本特別委員会が必要と認めるときは、当社の合理的費用の負担の下、独自のアドバイザー等を選任する権限を与えること等を決議している。このように、本取引については、取締役会が本特別委員会の意見を尊重して意思決定を行うことのできる体制が確保されていることが認められる。
・ 当社は、2025年5月27日付で、住友商事から当社の非公開化に関する検討を開始したい旨の意向表明書を受領した時点以降、当社の当時の取締役のうち加藤真一氏は住友商事の執行役員を兼任していること、山埜英樹氏は過去に住友商事の代表取締役を務めていたこと、尾﨑務氏は過去に住友商事の執行役員を務めていたこと、及び實野容道氏は過去に住友商事の理事を務めていたこと等に鑑み、利益相反のおそれを回避する観点から、本特別委員会の設置を決議した2025年6月12日付で開催された当社取締役会を含む本取引に係る取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、当社の立場において、本取引に関する検討並びに当社と住友商事との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する協議及び交渉に参加していない(なお、尾﨑務氏については、取締役会の構成員としての関与はさせていないものの、同氏の当社ビジネスに関する知見や法務・リスク管理等の専門性が本取引の検討につき特に重要であること、現時点において住友商事の役職員を兼務している住友商事兼任者ではなく住友商事出身者にとどまること、本取引に関する検討が本格化する前のタイミングで、取締役を退任したこと等から、後述する住友商事からの出向者と同様の条件で、当社のプロジェクトチームメンバーとしての関与は許容することとした。)。なお、山埜英樹氏及び尾﨑務氏は2025年6月24日開催の定時株主総会まで当社取締役を務め、その後は当社取締役を退任している。また、2025年6月24日開催の定時株主総会以降、新たに取締役となった中島正樹氏は過去に住友商事で執行役員を務めていたことから、本取引に係る取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、当社の立場において、本取引に関する検討並びに当社と住友商事との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する協議及び交渉に参加していない。また、当社取締役以外の住友商事からの出向者については、当該出向者の知見や能力、専門性等が本取引に関する協議、検討・交渉等につき有用な場合には、現在住友商事の役職員を兼任している者又は過去に住友商事の役職員としての地位を有していた者であっても、当該出向者が、住友商事を含む外部に対する情報漏洩・伝達を生じさせないように厳格な守秘義務を負い、本取引に関して当社の検討体制の一員としてのみ行動することを誓約することを前提に、当社の本取引に係る検討への関与を適切な範囲で許容する取扱いとしている。このように、当社は、本取引において、公開買付者及び住友商事から独立した立場で検討・交渉等を行うことができる体制を社内に構築したと認められる。
・ 以上のとおり、本取引の検討に際しては、本特別委員会の実効性を高める工夫が積極的に講じられており、本特別委員会は有効に機能したものと認められる。
b.外部専門家の独立した専門的助言等の取得
・ 当社は、住友商事より本取引について提案された直後から、住友商事及び当社からの独立性を有する西村あさひを本取引のリーガル・アドバイザーに選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等について、必要な法的助言を受けていたことが認められる。上記のとおり、当社のリーガル・アドバイザーとしての西村あさひの選任については、本特別委員会が承認している。なお、本特別委員会が、独自のリーガル・アドバイザーとして外苑法律事務所を選定し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、並びに本取引に係る本特別委員会の審議の方法及びその過程等について、必要な法的助言を受けたことについては上記a.を参照されたい。
・ 当社は、住友商事及び当社からの独立性を有する野村證券を本取引のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に選任し、本取引のストラクチャーや代替手段、代替取引の検討、価格交渉等についての助言を得たほか、同社に対して当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年10月28日付で本株式価値算定書(野村證券)を取得している。上記当社のファイナンシャル・アドバイザーとしての野村證券の選任については、本特別委員会が承認している。なお、本特別委員会が、独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングを選定したこと及びプルータス・コンサルティングから2025年10月28日付で取得した本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)の内容については上記(b)bを参照されたい。
c.他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)
・ 本公開買付けの期間は、30営業日に設定されており、取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていないことにより、本取引では、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施することによる、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されている。なお、公正M&A指針において、買収者が支配株主である場合には、マーケット・チェックについてはそもそも公正性担保措置として機能する場面が限定的であり、実施する意義が乏しい場合が多いものの、例外的にマーケット・チェックが機能し得る場合もあり得るため、特別委員会が、このような特段の例外的事情が存在しないか等を念のため確認することが望ましいとされている。その上で公正M&A指針上は、この特段の例外的事情として、具体的には、支配株主が保有する議決権の割合が低い場合や、非常に魅力的な対抗提案がされた場合には支配株主が売却に応じる可能性がある場合及び支配株主が従属会社を一旦は買収するものの、その後、その全部又は一部の売却を予定している場合を挙げている。本特別委員会として、特段の例外的事情がないかを検討するに、当社にとっての支配株主である住友商事は、当社株式の過半数を保有しており、支配株主が保有する議決権の割合が低い場合には該当しない。また、ヒアリングにおいて、住友商事の事業戦略にとって本取引が不可欠であり、住友商事と当社の親子会社関係が解消されることは住友商事にとってデメリットである旨が明確に回答され、仮に非常に魅力的な対抗提案がされた場合であっても住友商事が売却に応じる可能性は極めて低いものと認められる。加えて、本取引のスキームにおいて公開買付者が当社を一旦は買収するものの、その後、その全部又は一部の売却を予定しているといったことは想定されていない。そのため、本特別委員会として、本件においては積極的なマーケット・チェックを実施すべきような特段の例外的事情はないものと判断した。
d.マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定に関する事項
・ マジョリティ・オブ・マイノリティ条件とは、M&Aの実施に際し、株主総会における賛否の議決権行使や公開買付けに応募するか否かにより、当該M&Aの是非に関する株主の意思表示が行われる場合に、一般株主が保有する株式の過半数の支持を得ることを当該M&Aの成立の前提条件とし、当該前提条件をあらかじめ公表することをいい、一般株主による判断機会の確保をより重視する機能を有する。公開買付届出書によれば、本公開買付けにおいて、マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限は設定していない。本公開買付けにおける買付予定数の下限につきマジョリティ・オブ・マイノリティは採用していないものの、上記(c)各号記載の他の公正性担保措置が行われていることも踏まえると、当社の一般株主について相当程度の配慮が行われていると認められる。
e.一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上
・ 本取引においては、本取引に係る当社のプレスリリースにおいて、①本特別委員会の委員の独立性、専門性に関する情報、②本特別委員会に付与された権限の内容に関する情報、③本特別委員会が本公開買付け又は本取引の取引条件が公正でないと判断した場合には、当社取締役会としても本公開買付け又は本取引に賛同しない旨の当社取締役会の決議内容、④本特別委員会の検討経過、⑤本特別委員会が当社と住友商事との間の交渉に実質的に関与したことに関する情報、及び⑥本特別委員会の答申内容及びその理由(本取引の目的の正当性・合理性、本取引に係る手続の公正性、本取引に係る取引条件の公正性、当社の取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非、本取引を行うことは当社の一般株主にとって不利益ではないかについての判断理由を含む。)が開示される予定であり、公正M&A指針が求める情報の開示がなされることが予定されているものと認められる。
・ 本取引においては、当社の開示資料において、①本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本株式価値算定書(野村證券)の内容について、各算定の概要(財務予測、割引率、継続価値、非事業用資産、その他前提条件等)に関する情報、②プルータス・コンサルティング及び野村證券が、公開買付者、住友商事及び当社から独立性を有し、本取引の成否について一般株主と異なる重要な利害関係を有しないことが開示される予定であり、公正M&A指針が求める情報の開示がなされることが予定されているものと認められる。
・ 本取引においては、当社の開示資料において、①本取引を実施するに至ったプロセス等に関する情報、②この時期に本取引を行うことを選択した背景・目的、③構造的な利益相反の問題を回避するために、住友商事の出身者及び兼任者である当社の取締役を排除した社内検討体制、④当社と住友商事との間の本取引に係る取引条件に関する協議・交渉の経緯、⑤当社が対抗的買収提案者と接触することを過度に禁止するような合意の有無、⑥本取引の賛否を決定するための利害関係がある者を排除した取締役会決議における賛否状況等が開示される予定であるから、公正M&A指針が求める情報の開示がなされることが予定されているものと認められる。
f.強圧性の排除
・ 本取引においては、①本公開買付け後において、当社株主を住友商事と公開買付者のみとするための株式等売渡請求又は株式併合による本スクイーズアウト手続が予定されており、本取引に反対する株主に株式買取請求権が確保できないスキームは予定されておらず、②(ⅰ)本公開買付けが成立した場合には本スクイーズアウト手続を行う旨、及び(ⅱ)本スクイーズアウト手続において本公開買付けに応募しなかった当社の株主に対して交付される金銭の額は、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となる旨が開示される予定である。すなわち、一般株主は、本公開買付けに応募するか否かにあたって、仮に本公開買付けに応募しなかった場合に、不利に取り扱われることが予想される状況には陥らないような配慮がなされているといえる。このように、本取引においては、一般株主に対する強圧性を生じさせないような配慮がなされているといえ、手続の公正性の確保に資する対応が取られていると認められる。
g.小括
・ 以上の点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては、当社株主の利益に配慮する観点から、公正M&A指針に定められる各公正性担保措置に則った適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続は公正であると判断するに至った。
(d) 本取引を行うことが、当社の一般株主にとって公正であるかについて
上記(a)から(c)までにおいて検討したとおり、本特別委員会は、本公開買付けの取引条件によって一般株主が不利に扱われることはないとの判断に至った。
また、上記(a)から(c)までにおいて検討した諸事項以外の点に関して、本特別委員会において、本公開買付けを含む本取引が当社の一般株主にとって不利益なものであると考えられる事情は特段見当たらなかった。
以上により、本特別委員会は、本公開買付けを含む本取引が実行されることは、当社の一般株主にとって不利益ではないと判断する。
(e) 本公開買付けに対して当社取締役会が賛同表明をすること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議を行うことの是非
本特別委員会は、上記(a)から(d)までのとおり、①本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は正当かつ合理的であり、②本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続は公正であり、③本公開買付価格は当社の本源的価値を相応に反映したものであるとの合理的評価が可能な公正な価格であり、本公開買付けは一般株主にかかる公正な価格での株式売却の機会を与えるものであると判断するに至った。また、本新株予約権の買付価格については、上記(b)cで述べたとおり1円とされていることから、本新株予約権者に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、当該本新株予約権者の判断に委ねることが相当であると考えた。
以上から、本特別委員会としては、当社の取締役会が本公開買付けに対して賛同表明を行い、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議を行うことについて首肯できると判断した。
本特別委員会は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立した独自のリーガル・アドバイザーとして外苑法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、並びに本取引に係る本特別委員会の審議の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、外苑法律事務所は、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、外苑法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
本特別委員会は、上記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングを選任し、当社株式の価値算定及び本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)の表明を依頼し、公開買付者らとの交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2025年10月28日付で本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを取得しております。本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンの概要については、上記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」をご参照ください。
なお、プルータス・コンサルティングは、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るプルータス・コンサルティングの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、外部のリーガル・アドバイザーである西村あさひを選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、西村あさひは、公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、西村あさひに対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
当社は、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、住友商事グループ及び当社グループ並びに本取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券に対し、当社株式の価値算定を依頼し、2025年10月28日付で、本株式価値算定書(野村證券)を取得しました。なお、当社は、本公開買付価格の公正性を担保するための措置、利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置を実施していることから、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
なお、野村證券は、当社及び公開買付者らの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、当社グループ以外の住友商事グループから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、(ⅰ)当社取締役については、現在住友商事の役職員を兼任している取締役に加え、過去に住友商事の役職員としての地位を有していた取締役に該当する者も含めて、本取引につき「特別の利害関係を有する取締役」(会社法第369条第2項)又はこれに準ずる者として、公開買付けに関する最終的な意見表明に係る当社の取締役会決議の段階だけでなく、当社の取締役会構成員としての本取引についての審議、検討・交渉等には原則として参加しない取扱いとし、(ⅱ)当社取締役以外の住友商事からの出向者については、当該出向者の知見や能力、専門性等が本取引に関する協議、検討・交渉等につき有用な場合には、現在住友商事の役職員を兼任している者又は過去に住友商事の役職員としての地位を有していた者であっても、当該出向者が、住友商事を含む外部に対する情報漏洩・伝達を生じさせないように厳格な守秘義務を負い、本取引に関して当社の検討体制の一員としてのみ行動することを誓約することを前提に、当社の本取引に係る検討への関与を、適切な範囲で許容する取扱いとしております。
以上の取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社及びネットワンシステムズの役職員の範囲及びその職務を含みます。なお、当該検討体制は、具体的には、当社及びネットワンシステムズの役員(取締役、執行役員及び業務役員を含みます。)17名(當麻隆昭氏、竹下隆史氏、山名昌衛氏、平田貞代氏、久保哲也氏、三木泰雄氏、早稲田祐美子氏、松石秀隆氏、尾﨑務氏、田中拓也氏、奥原隆之氏、清水康司氏、岡恭彦氏、石橋和明氏、井上賢司氏、小林良成氏及び大谷真弘氏)並びに職員12名で構成されております。)は西村あさひの助言を踏まえたものであり、独立性及び公正性の観点から問題がないことについて、本特別委員会の承認を得ております。
住友商事は、当社の株式価値の算定結果に関する本株式価値算定書を2025年10月28日付でSMBC日興証券から取得したとのことです。詳細については、上記「(3) 算定に関する事項」の「③ 住友商事における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
当社取締役会は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、西村あさひから受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言、本株式価値算定書(野村證券)、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。
その結果、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年10月29日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した取締役の全員一致で、現時点における当社の意見として、本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨及び本新株予約権者の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議をいたしました。
また、当該取締役会においては、当社の取締役11名のうち、中島正樹氏、加藤真一氏及び實野容道氏を除く8名の取締役(監査等委員であるものを含みます。)が出席し、出席した取締役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。当社の取締役である加藤真一氏は、住友商事の執行役員を兼務していること、中島正樹氏は過去に住友商事の執行役員を務めていたこと、實野容道氏は過去に住友商事の理事を務めていたこと等に鑑み、本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、上記の取締役会の審議には一切参加しておらず、上記の取締役会の決議に際して意見を述べることを差し控えております。
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しているとのことです。公開買付者は、公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主及び本新株予約権者の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者ら及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
公開買付者は、上記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、株式等売渡請求をすること又は株式併合を行うこと及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して、株式買取請求権又は価格決定申立権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)株式等売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主の皆様(公開買付者ら及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しております。
なお、本取引の実施に際しては、当社において買収候補者の有無の調査・検討(いわゆる積極的なマーケット・チェック)は実施しておりませんが、当社としては、(ア)情報管理の観点等から、実務上積極的なマーケット・チェックの実施は必ずしも容易とは言えないこと、(イ)本取引に係る提案者である住友商事は、本書提出日現在、当社株式158,091,477株(所有割合:50.54%)を所有する当社の筆頭株主であり、実質支配力基準に基づき当社を連結子会社としているため、公開買付者らによる買収提案に対する対抗提案がなされるとは考えにくいことから、積極的なマーケット・チェックが採用されていないことのみをもって、本公開買付けにおける公正性の担保として不十分であることにはならないと考えております。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
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| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権数(個) |
| 中島 正樹 | 取締役会長 | 8,140 | 81 |
| 當麻 隆昭 | 代表取締役
執行役員 社長 | 47,001 | 469 |
| 竹下 隆史 | 取締役
執行役員 副社長 | 39,157 | 391 |
| 加藤 真一 | 取締役 | - | - |
| 久保 哲也 | 取締役 | - | - |
| 平田 貞代 | 取締役 | 775 | 7 |
| 山名 昌衛 | 取締役 | - | - |
| 實野 容道 | 取締役
(監査等委員)
(常勤) | - | - |
| 三木 泰雄 | 取締役
(監査等委員) | 100 | 1 |
| 松石 秀隆 | 取締役
(監査等委員) | 1,000 | 10 |
| 早稲田 祐美子 | 取締役
(監査等委員) | - | - |
| 計 | - | 96,173 | 959 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権数は本書提出日現在のものです。
(注2) 久保哲也、平田貞代、山名昌衛、三木泰雄、松石秀隆、早稲田祐美子は、社外取締役です。
(注3) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数及びそれらに係る議決権の数を含めております。
(注4) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ譲渡制限付株式報酬として付与された株式及びそれらに係る議決権の数を含めております。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
該当事項はありません。
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
該当事項はありません。
7 【公開買付者に対する質問】
該当事項はありません。
8 【公開買付期間の延長請求】
該当事項はありません。
以 上
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