Regulatory Filings • Dec 12, 2025
Preview not available for this file type.
Download Source File 有価証券届出書(参照)_20251212142313
【提出書類】
有価証券届出書
【提出先】
東海財務局長
【提出日】
2025年12月12日
【会社名】
ラクオリア創薬株式会社
【英訳名】
RaQualia Pharma Inc.
【代表者の役職氏名】
代表取締役 須藤 正樹
【本店の所在の場所】
愛知県名古屋市中村区名駅南一丁目21番19号
【電話番号】
052-446-6100(代表)
【事務連絡者氏名】
財務経理室長 佐藤 学
【最寄りの連絡場所】
愛知県名古屋市中村区名駅南一丁目21番19号
【電話番号】
052-446-6100(代表)
【事務連絡者氏名】
財務経理室長 佐藤 学
【届出の対象とした募集有価証券の種類】
株式
【届出の対象とした募集金額】
| | |
| --- | --- |
| その他の者に対する割当 | 1,411,201,300円 |
【安定操作に関する事項】
該当事項はありません。
【縦覧に供する場所】
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
E25269 45790 ラクオリア創薬株式会社 RaQualia Pharma Inc. 企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号の三様式 1 false false false E25269-000 2025-12-12 xbrli:pure
有価証券届出書(参照)_20251212142313
| 種類 | 発行数 | 内容 |
|---|---|---|
| 普通株式 | 1,555,900株 | 完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式 単元株式数 100株 |
(注)1.上記普通株式(以下「本株式」といいます。)は、2025年12月12日開催の当社取締役会決議にて発行を決議しております。
2.振替機関の名称及び住所
株式会社証券保管振替機構
東京都中央区日本橋兜町7番1号
| 区分 | 発行数 | 発行価額の総額(円) | 資本組入額の総額(円) |
|---|---|---|---|
| 株主割当 | - | - | - |
| その他の者に対する割当 | 1,555,900株 | 1,411,201,300 | 705,600,650 |
| 一般募集 | - | - | - |
| 計(総発行株式) | 1,555,900株 | 1,411,201,300 | 705,600,650 |
(注)1.本株式の募集は第三者割当の方法によります。
2.発行価額の総額は、会社法上の払込金額の総額であり、資本組入額の総額は、会社法上の増加する資本金の額の総額であります。また、増加する資本準備金の総額は、705,600,650円であります。
| 発行価格 (円) |
資本組入額 (円) |
申込株数単位 | 申込期間 | 申込証拠金 (円) |
払込期日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 907 | 453.5 | 100株 | 2026年1月29日(木) | - | 2026年1月29日(木) |
(注)1.第三者割当の方法により行うものとし、一般募集は行いません。
2.発行価格は会社法上の払込金額であり、資本組入額は会社法上の増加する資本金の額であります。
3.当社とHK inno.N Corporation(以下「割当予定先」といいます。)は、本日付で本株式に係る新株引受契約(以下「本新株引受契約」といいます。)を締結しておりますが、本新株引受契約において、発行価額の払込みについては、本有価証券届出書の効力発生等が条件とされております。
4.申込み及び払込みの方法は、本有価証券届出書の効力発生後、申込期間内に本株式の総数引受契約を締結し、払込期日までに後記払込取扱場所に発行価額の総額を払い込むものとします。
5.払込期日までに割当予定先との間で本株式の総数引受契約を締結しない場合、割当予定先に対する第三者割当による新株発行は行われないこととなります。
| 店名 | 所在地 |
|---|---|
| ラクオリア創薬株式会社 経営管理部門 | 愛知県名古屋市中村区名駅南一丁目21番19号 |
| 店名 | 所在地 |
|---|---|
| 株式会社三井住友銀行 名古屋支店 | 愛知県名古屋市中区錦二丁目18番24号 |
該当事項はありません。
| 払込金額の総額(円) | 発行諸費用の概算額(円) | 差引手取概算額(円) |
|---|---|---|
| 1,411,201,300 | 8,710,000 | 1,402,491,300 |
(注)1.発行諸費用の概算額には、消費税及び地方消費税は含まれておりません。
2.発行諸費用の概算額は、発行体の登記費用、弁護士費用、信託銀行費用、投資家調査費用のほか、株主名簿管理人報酬、決済手数料、保管移転手数料その他本取引に関連する類似の費用及び手数料の合計額であります。
上記差引手取概算額1,402,491,300円のうち842,922,000円につきましては、以下記載の研究開発費に充当し、残額559,569,300円につきましては、シンジケートローンでの銀行借入2,750,000,000円の返済資金の一部に充当する予定です。
当社の成長可能性の最大化に向けた取り組みを加速化するには、創薬研究基盤の強化及び開発パイプラインの拡充に向けた取り組みのほか、創薬研究プロジェクトに沿った実験研究機器の導入を迅速かつ効率よく進めることが肝要です。
2025年3月に開示した調達資金の使途は、当社の研究基盤の強化のために使用するものでしたが、今回調達する資金使途は、2025年2月に開示した当初の事業計画では予定していなかった割当予定先との共同研究の加速化を目的として、それに資する研究開発基盤構築に向けた研究開発費及び設備投資としており、2026年2月以後2028年12月までの3事業年度で842百万円の研究開発投資を計画しております。
本株式の発行により調達する資金の具体的な使途及び支出予定時期は以下のとおりです。
| 具体的な使途 | 金額(百万円) | 支出予定時期 |
|---|---|---|
| ① 創薬研究基盤の強化 (割当予定先との共同研究プロジェクトの推進に寄与する技術基盤) |
284 | 2026年2月~2028年12月 |
| ② 開発パイプラインの拡充に向けた取り組み (割当予定先との共同研究を通じた新たな開発パイプラインの創出) |
267 | 2026年2月~2028年12月 |
| ③ 試験研究用の実験研究機器等の設備強化 (割当予定先との共同研究プロジェクトの推進に寄与する実験研究機器の購入) |
291 | 2026年2月~2028年12月 |
| ④ シンジケートローンの返済 | 559 | 2026年3月~2027年3月 |
| 合計 | 1,402 |
(注)1.支出時期までの資金管理については、当社預金口座で適切に管理する予定であります。
2.各目的の投資金額及び投資時期は偏り・変更が発生する可能性があります。
<手取金の具体的な使途>
上記表中に記載された資金使途に関する詳細は以下のとおりです。
① 創薬研究基盤の強化について
当社は、未だ満たされていないニーズに応える画期的な医薬品を患者に提供することを目的として、既存技術と新技術の相乗効果によって創薬研究基盤を強化することで、従来の技術では対処が困難とされてきた未開拓の創薬標的(遺伝子・タンパク質等)に対する医薬品を生み出すことを重要な成長戦略としております。
当社が保有する低分子創薬のノウハウ・基盤を活かして標的タンパク質分解誘導剤(TPD)等の新規モダリティ(*1)へのシフトを加速するための活動費用といたします。具体的には、標的タンパク質分解誘導剤(TPD)、mRNA標的低分子等への新規モダリティやそれに関連した基盤技術に係る研究開発投資として、研究用の消耗品の購入や共同研究費等に充てることを予定しています。
標的タンパク質分解誘導剤(TPD)は、生体内に備わる不要タンパク質除去機構を利用した新規モダリティ(次世代創薬技術:低分子医薬以外の創薬技術)であり、化学合成が可能である点において低分子化合物と同様の利点を維持しつつ、幅広い標的タンパク質を対象にできることや、触媒的に作用するために低用量での薬効の持続性が期待できるなどの利点を有します。2024年3月に子会社化したファイメクス株式会社(本社:神奈川県藤沢、以下「ファイメクス」といいます。)は、自社で開発した独自のプラットフォーム技術であるRaPPIDS™(Rapid Protein Proteolysis Inducer Discovery System)を用いて、新薬の種となる新たな開発パイプラインの創出に取り組んでいます。
mRNA標的低分子とは、mRNAに結合する低分子化合物によって疾患の原因となるタンパク質の生成を抑制することで効果を発揮することを企図したものです。当社は、2022年12月以来、株式会社Veritas In Silico(本社:東京都品川区)と研究を実施中です。このほかにも、今後の発展が期待される新規モダリティにかかる取り組みも検討しております。
上記の創薬研究基盤の強化の取り組みは、従来より当社グループで取り組んでいるものですが、割当予定先との共同研究プロジェクトの推進に大きく寄与する新規技術基盤が期待されることから、創薬研究基盤をより一層強化するための追加的な研究開発費用に充当します。
上記の資金使途に関する充当予定時期及び金額につきましては、2026年度80百万円、2027年度80百万円、2028年度124百万円となっております。
② 開発パイプラインの拡充に向けた取り組みについて
割当予定先との共同研究を通じて新たな開発パイプラインを創出するための試験研究に係る研究費用として充当する予定です。
当社の収益及び成長可能性は、新たな医薬品の製造・開発及び販売に係る権利の実施許諾契約、又はその前段階としての共同研究開発契約に基づく収入によって支えられております。これらの契約の獲得には、契約対象となる開発化合物やその候補物質を取得し、有効性や安全性などの実証データを得ることが求められます。医薬品の研究開発プロセスにおいて初期段階に位置する探索研究段階から前臨床段階に至るまで、化合物の合成や各種試験の実施に際し、多種多様な消耗品の購入や外部委託による各種試験の実施が必要とされます。
当社は、2025年2月14日に公表した事業計画において、「グレリン受容体作動薬/IRAK-M分解誘導薬の導出&導出先での臨床試験開始」及び「新たな開発プログラムの前臨床試験開始」を目標として掲げております。これらの実現に向け、探索研究段階、又は前臨床以降の開発段階にある各創薬プログラムにおいて、自社内又は外部委託によって様々な試験研究を実施しております。また、当社が取り組む疾患領域は、かつての疼痛・消化器を中心とした構成から、現在はがんと神経疾患にシフトしております。今後、割当予定先との共同研究を推進する上では、割当予定先と当社の関心が一致して両社で合意した疾患領域に即した試験研究の実施が求められます。共同研究を含む研究開発活動を一層充実させ、開発成功確率の向上が期待される良質な開発パイプラインの創出を加速するための研究開発費用として資金を使用いたします。なお、愛知県名古屋市の拠点は当社の主たる研究拠点であり、低分子創薬を中心とした研究開発活動を実施しています。神奈川県藤沢市の拠点では、新規モダリティに関する研究を当社の人員が行っているほか、TPDに関する研究を当社子会社のファイメクスの人員が行っています。
上記の資金使途に関する充当予定時期及び金額につきましては、2026年度118百万円、2027年度90百万円、2028年度58百万円となっております。
③ 試験研究用の実験研究機器等の設備強化について
上記①及び②の取り組みに際して必要となる実験研究機器に対する設備投資は、当社グループの企業価値の最大化を図る目的として行うものです。
当社は、研究活動を加速化させるための自動化装置や最新の実験研究機器への更新、又は新規取得により、探索研究活動の業務の効率化や成功確率を高めるための設備強化・拡充を行ってまいります。主なものとしては、化学合成のプロセスを自動化するための装置や、被験物質の生物活性の評価を連続的に実施するためのロボットシステム、さらには、近年発展が目覚ましいAIの創薬応用に係る技術の導入を進めております。当社が従来取り組んできた実験研究機器等の設備強化に加えて、割当予定先との共同研究で用いる設備や技術を新たに導入し、愛知県名古屋市と神奈川県藤沢市にある二つの研究拠点に整備するための設備投資資金として使用いたします。
上記の資金使途に関する充当予定時期及び金額につきましては、2026年度70百万円、2027年度101百万円、2028年度120百万円となっております。
④ シンジケートローンの返済
当社は、本件調達資金の一部を、当社が2024年3月25日に実行したシンジケートローンの約定弁済資金に充当する予定です。これにより、当該返済に係る資金負担を軽減し、研究開発活動に係る資金需要に対して一定の余裕を確保することで、当社本来の事業である創薬研究開発を安定的に推進できる財務運営体制の維持・向上につなげることを意図しております。
上記の資金使途に関する充当予定時期及び金額につきましては、2026年度500百万円、2027年度59百万円となっております。
なお、上記の支出予定時期の期間は、本株式の発行による資金調達にかかる払込期日を2026年1月29日としていることから2026年2月を開始時期とし、2028年12月を終了時期としております。
<資金調達の目的>
当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャーであり、独自に創出した開発化合物(*2)の知的財産権を製薬企業各社等に対して導出(実施許諾契約によりライセンスアウト)することにより、契約一時金収入(*3)、マイルストン収入(*4)、ロイヤルティ収入(*5)を獲得することを事業展開の基本としております。
ますます厳しさを増すグローバル競争の中で、新薬開発の効率化が製薬業界における共通の課題となっております。このような環境下で、製薬企業各社は、医薬品として成功する可能性の高い高品質な開発化合物を外部から積極的に導入し、パイプラインを充実させております。米国では新薬の約6割の起源が創薬ベンチャー由来とされており(参考:IQVIA「Global Trends in R&D 2024: Activity, productivity, and enablers」(2024年2月22日))、医療ニーズに応える新薬候補の供給源としての創薬ベンチャーに対する期待はますます高まっております。
当社グループは、このような製薬企業各社の期待に応えるべく、前身であるファイザー株式会社中央研究所にて蓄積した創薬研究開発(*6)に係る経験及びノウハウをベースにした自社による創薬研究開発に加え、アカデミアなどの研究パートナーとの連携も活用して創薬研究開発事業を展開しております。
当社グループを起源とする上市(※7)済み医薬品として、現在、ヒト用医薬品とペット用医薬品で合計4品目が医療現場で用いられております。ヒト用医薬品としましては、割当予定先に導出した胃酸分泌抑制剤(*8)tegoprazan(一般名)(以下「tegoprazan」といいます。)を主成分とする医薬品が、現在、18カ国で販売されております。ペット用医薬品としましては、Elanco Animal Health Inc.(本社:米国・インディアナ州)に導出した犬の骨関節炎治療薬GALLIPRANT®(一般名:grapiprant)、犬の食欲不振症の適応を持つENTYCE™(一般名:capromorelin)、及び慢性腎疾患の猫の体重減少管理の適応を持つELURA™(一般名:capromorelin)があり、これらの4製品から得られるロイヤルティ収入は当社の事業収益の安定に大きく寄与しております。
Tegoprazanにつきましては、当社は、2010年9月に割当予定先の前身であるCJ CheilJedang Corporationとの間で、当社が臨床第Ⅰ相試験段階まで開発を進めていたtegoprazanについて、韓国、中国(香港を含みます。)、台湾地域における商用化に関する導出契約(ライセンス契約)を締結いたしました。以来、割当予定先及びその前身企業において、臨床試験等、tegoprazanの商用化に係る事業活動が進められた結果、2019年3月、世界で初めて韓国においてtegoprazan製品の販売が開始されました。現在は、提携の範囲が拡大され、当社と割当予定先との間の契約は、日本を除く全世界の開発・製造・販売に関する再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約となっており、割当予定先及び同社からライセンスを受けた世界各国の提携先企業によってtegoprazanに関する事業活動が進められております。上記のように長年にわたる提携関係にある割当予定先と当社の間では、以前より、両社の互恵的関係の発展を目指した意見交換がなされ、本年3月21日における資本業務提携契約の締結に至りました。契約締結日以降、両社で将来のビジネス協力関係の意見交換や共同研究テーマの話し合いを重ねる中で、tegoprazanの日本国内での事業化、及びtegoprazanに続く画期的な医薬品を継続的に創出することが両社の共通の目標であることが確認されました。
当社が創出したtegoprazanは、現在、ライセンス契約や提携契約等で開発・承認取得を目指すための権利が付与された国として世界54カ国に進出し、そのうち、実際に医薬品として販売が開始されている国が18カ国(2025年11月14日現在)に達するグローバル医薬品に成長しているにもかかわらず、起源の地である日本ではtegoprazanを有効成分とする医薬品(以下「tegoprazan製品」といいます。)の臨床開発が現在行われていないという現状があります。これは、日本国内の権利保有者である当社が独力で臨床開発を行う資源を持たないことに加え、高額な費用を要する後期臨床試験を実施する提携先の確保に時間を要していたためです。また、激動が続く医薬品業界において企業価値を向上させていくには、創薬研究の充実化によって魅力的な開発パイプラインを継続的に生み出す必要があります。これらの共通認識のもと、当社グループが保有する創薬研究基盤や創薬研究のノウハウと割当予定先の資金力、医薬品の開発及び販売力、tegoprazanにおけるグローバルネットワークの構築力等を組み合わせたパートナーシップをより一層強化することについて意見が一致したことから、割当予定先との間で締結した2025年3月21日付資本業務提携契約(以下「原提携契約」といいます。)に基づく資本業務提携(以下「原提携」といい、本株式の割当て及び本ライセンス契約変更契約締結後の原提携を「本提携」といいます。)の拡大を行うことといたしました。
原提携の拡大の中で最も大きな点は、tegoprazanを有効成分として含むヒト用医薬品の商業化を目的として、日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権を割当予定先に許諾し、割当予定先がtegoprazan製品の開発・承認取得を目的とした後期臨床試験に向けた取り組みを進めることです。日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権の許諾にかかる一時金はありませんが、当社は、今後の事業化の進展に応じたマイルストン、販売ロイヤルティ及び割当予定先が提携先から受け取る収益の一部を受け取る権利を取得します。これに加えて、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした創薬研究基盤の強化に取り組みます。
本株式の発行により調達する資金は、当社グループの創薬研究開発基盤のさらなる強化を目的とし、研究開発費及び研究設備投資に充当する予定です。なお、今回の資金調達による具体的な資金使途及び支出予定時期につきましては、本「(2)手取金の使途」の冒頭に記載しております。これにより、当社グループの強みである低分子創薬技術に加えて次世代創薬技術を活用するなど、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした創薬研究基盤の強化に取り組み、当社グループの中長期的な株主価値の向上を図るとともに、当社のミッション「イノベーションの力で、いのちに陽をもたらす」を実現できるよう、創薬研究開発に係る事業活動をさらに加速化してまいります。
原提携で調達した資金の使途は、2025年2月公表の当初計画に基づいて当社グループが単独で行う研究開発に係る費用でした。一方、今回の追加資金は、割当予定先との共同研究を加速化するための資金であり、当初計画に含まれていなかった新規の共同研究プロジェクトや創薬研究基盤の拡大のために用いる資金です。医薬品の創薬事業において激化する競争を勝ち抜き短期間で成果を最大化し必要な追加投資を迅速に行うためには、事前の資金の確保が重要です。当社は現時点では健全な財務基盤を維持しており、自己資本比率や手元資金には余裕があり財務リスクは限定的ですが、今回の資金調達は当社の事業活動を加速化するための戦略投資のための資金です。この資金を活用し、割当予定先との共同研究において、当社はこれまでに培った低分子創薬のコア技術を提供し、割当予定先と連携により画期的な新薬の種、いわば第二第三のtegoprazanを生み出すための創薬研究エンジンとして寄与することを目指しております。
今回の第三者割当増資により、発行済み株式数は6.36%増加し、既存株主の持ち分比率は同程度希薄化します。ただし、調達資金は開発パイプラインの創出や進展を通じて事業価値向上に直結するため、中長期的には企業価値の向上を通じて株主利益の向上に資するものであると判断しております。追加資金により、共同研究の進捗が加速され将来の収益機会を早期に獲得する可能性が高まります。また、割当予定先との戦略的関係の強化により、臨床開発やグローバル展開の進展も期待できます。一方で、短期的には持分比率の希薄化により、既存株主の議決権割合が減少します。また、市場での需給バランスの変動により、株価が一時的に調整される可能性があります。
資金調達の方法としては第三者割当を選択いたしました。戦略的パートナーである割当予定先からの資金調達により、資金面だけでなく技術・事業面でのシナジーが期待できる上、調達スピードが速いことから事業展開の加速化にも即応できます。公募増資は、希薄化の影響は同程度ですが、広く投資家から資金を集めるために調達時間を要し、戦略的シナジーは限定的です。また、市場環境に左右されやすく価格決定の不確実性が高い点もデメリットです。
<資金調達方法の選択理由>
資金調達に際しては、公募増資や借入等の他の資金調達手段を検討いたしましたが、公募増資では一般投資家の参加率が不透明であることから、十分な額の資金を調達できるかどうかが不透明であり、社債及び借入れによる資金調達は、一時に資金を調達できる反面、調達金額が負債となるため、財務健全性指標が低下することから、本資金調達が現時点における最良の選択であると判断いたしました。
(本資金調達の特徴)
[メリット]
① 本株式の発行により、株式の発行時に一定の資金を調達することが可能となります。
② 本株式による調達資金額はいずれも資本性の資金となるため、財務健全性指標が上昇します。
[デメリット]
① 本株式の発行により、6.36%(本株式に係る議決権数を2025年6月30日現在の総議決権数で除して算出)という希薄化が即時に生じます。
(他の資金調達方法との比較)
本資金調達は、市場価格の変動や財務健全性指標の改善に配慮しつつ、確実な資金調達を可能とする設計としております。
① 公募増資等により一度に全株を発行すると、一般投資家の参加率が不透明であることから、十分な額の資金を調達できるかどうかが不透明であり、今回の資金調達方法として適当でないと判断いたしました。
② 株主割当増資では希薄化懸念は払拭されますが、割当先である既存投資家の参加率が不透明であることから、十分な額の資金を調達できるかどうかが不透明であり、今回の資金調達方法として適当でないと判断いたしました。
③ 株価に連動して行使価額が修正される転換社債型新株予約権付社債(いわゆるMSCB)の発行条件及び行使条件は多様化していますが、一般的には、転換により交付される株数が行使価額に応じて決定されるという構造上、転換の完了までに転換により交付される株式総数が確定せず、行使価額の下方修正がなされた場合には潜在株式数が増加するため、株価に対する直接的な影響が大きいため、今回の資金調達方法として適当でないと判断いたしました。
④ いわゆるライツ・イシューには、発行会社が金融商品取引業者と元引受契約を締結するコミットメント型ライツ・イシューと、発行会社はそのような契約を締結せず、新株予約権の行使が株主の決定に委ねられるノンコミットメント型ライツ・イシューがありますが、コミットメント型ライツ・イシューについては国内で実施された実績が乏しく、資金調達手法としてまだ成熟が進んでいない段階にある一方で、引受手数料等のコストが増大することが予想され、適切な資金調達方法ではない可能性があります。また、ノンコミットメント型ライツ・イシューは、上記の株主割当増資と同様に、割当先である既存投資家の参加率が不透明であり、十分な額の資金調達を実現できるかどうかが不透明であり、今回の資金調達方法としては適当でないと判断いたしました。
⑤ 社債及び借入れによる資金調達は、一時に資金を調達できる反面、調達金額が負債となるため、財務健全性指標が低下します。2024年3月に実行したシンジケートローンにより、財務健全性指標が低下しており、これ以上の指標の低下は好ましくないため、今回の資金調達方法としては適当でないと判断いたしました。
<最近3年間のファイナンスの調達状況及び充当状況>
最近3年間のファイナンスの調達状況及び充当状況は以下のとおりです。
第三者割当てによる新株式の発行
| 払込期日 | 2023年1月5日 |
| 調達した資金の額 | 786,250,000円 |
| 当該募集における発行株式数 | 625,000株 |
| 割当先 | CVI Investments, Inc. |
| 発行時における資金使途 | ① 既存プログラム及び新規化合物の臨床開発 ② 新規モダリティの探索活動及びAI創薬関連投資 ③ ラボの設備強化 |
| 発行時における支出予定時期 | 2023年1月~2024年12月 |
| 現時点における資金の充当状況 | 本資金調達に係る資金の充当状況は以下のとおりです。 すべて充当済みであり、未充当額はありません。 ① 既存プログラム及び新規化合物の臨床開発 232百万円 ② 新規モダリティの探索活動及びAI創薬関連投資 417百万円 ③ ラボの設備強化 137百万円 |
第三者割当による第16回新株予約権の発行
| 割当日 | 2023年1月5日 |
| 発行新株予約権数 | 12,500個 |
| 発行価額 | 総額 19,362,500円 |
| 発行時における調達予定資金の額(差引手取概算額) | 1,964,362,500円(差引手取概算額:1,936,941,000円) (内訳) 新株予約権発行分: 19,362,500円 新株予約権行使分:1,945,000,000円(@1,556) |
| 行使価額修正後の調達予定資金の額(差引手取概算額) | 515,612,500円(差引手取概算額:488,191,000円) (内訳) 新株予約権発行分:19,362,500円 新株予約権行使分:496,250,000円(@ 397) |
| 割当先 | CVI Investments, Inc. |
| 募集時における発行済株式数 | 20,976,681株 |
| 当該募集による潜在株式数 | 1,250,000株 |
| 現時点における行使状況 | -株 |
| 現時点における調達した資金の額(差引手取概算額) | 19,362,500円(差引手取概算額:19,362,500円) (内訳) 新株予約権発行分:19,362,500円 新株予約権行使分: -円 |
| 発行時における当初の資金使途 | ① 既存プログラム及び新規化合物の臨床開発 815百万円 ② 新規モダリティの探索活動及びAI創薬関連投資 623百万円 ③ ラボの設備強化 498百万円 合計 1,936百万円 |
| 発行時における支出予定時期 | 2025年1月~2027年12月 |
| 現時点における資金の充当状況と資金使途 | (資金の充当状況) 現時点まで新株予約権の行使は進んでおりませんが、予約権の発行により調達した19百万円については、全て新規モダリティをはじめとする創薬研究基盤の強化に充当しており、未充当額はありません。 (資金使途) ① 既存プログラム及び新規化合物の臨床開発 150百万円 ② 新規モダリティの探索活動及びAI創薬関連投資 150百万円 ③ ラボの設備強化 188百万円 合計 488百万円 |
第三者割当による新株式の発行
| 払込期日 | 2024年12月20日 |
| 調達した資金の額 | 79,826,000円 |
| 当該募集における発行株式数 | 167,000株 |
| 割当先 | 当社子会社役員 2名 |
| 発行時における資金使途 | ① ファイメクスのプラットフォーム技術である RaPPIDS™の拡張に係る研究開発投資 ② ファイメクスの既存・新規プログラムの探索 研究に係る研究開発投資 |
| 発行時における支出予定時期 | 2025年1月~2025年12月 |
| 現時点における資金の充当状況 | 本資金調達に係る資金の充当状況は以下のとおりです。 すべて充当済みであり、未充当額はありません。 ① ファイメクスのプラットフォーム技術であるRaPPIDS™の拡張に係る研究開発投資 40百万円 ② ファイメクスの既存・新規プログラムの探索研究に係る研究開発投資 39百万円 |
第三者割当による新株式の発行
| 払込期日 | 2025年4月18日 |
| 調達した資金の額 | 1,029,063,700円 |
| 当該募集における発行株式数 | 2,592,100株 |
| 割当先 | HK inno.N Corporation |
| 発行時における資金使途 | ① 新規モダリティをはじめとする創薬研究基盤の強化 ② 開発パイプラインの拡充 ③ ラボの設備強化 |
| 発行時における支出予定時期 | 2025年5月~2027年12月 |
| 現時点における資金の充当状況 | 本資金調達に係る資金の充当状況は以下のとおりです。 2025年度については以下のとおり充当済みであり、2026年度以降も引き続き当初計画通り充当する予定であります。 ① 新規モダリティをはじめとする創薬研究基盤の強化 71百万円 ② 開発パイプラインの拡充 252百万円 ③ ラボの設備強化 20百万円 |
(※)1.モダリティ:低分子化合物、ペプチド、抗体、核酸等、治療手段の主体となる分子の種類のことをいいます。近年の創薬基盤技術の発展により、従来の低分子医薬に加えて、抗体医薬、核酸医薬や遺伝子治療薬などの様々な分子が医薬品として用いられるようになり、研究開発が盛んにおこなわれています。
2.開発化合物:探索研究が終了し、開発段階に進める化合物を一つに絞り込み、開発プロジェクトとして前臨床開発をスタートした時点以降、その化合物を開発化合物といいます。
3.契約一時金収入:契約締結時に、当社グループが提供するそれまでの研究開発成果の対価等として受け取る収入をいいます。
4.マイルストン収入:契約相手先の研究開発の進捗(契約書に規定された研究開発段階の達成)又は売上の進捗(契約書に規定された売上高の達成)に応じて受け取る収入をいいます。
5.ロイヤルティ収入:医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取る収入をいいます。
6.創薬研究開発:医薬品研究開発の一般的進行は以下記載のとおりです。
(A)探索研究
新薬のもととなる開発化合物を探し出す研究を探索研究といいます。疾患の原因となる標的分子(病気に関わっている酵素等のタンパク質で、薬が働きかける相手(標的)となるもの)の探索、疾患と標的分子の関係を反映する評価系の構築、スクリーニング等を用いたリード化合物の探索、有効性・安全性等の様々な観点によるリード化合物の最適化が実施されます。幾度にも亘り、検討、合成、評価の作業を繰り返すことで、より医薬品としての可能性が高い化合物を作り上げます。
(B)前臨床試験
開発化合物を特定した後、ヒトにおける試験を行うために十分な安全性と有効性があることを確認することを目的として、主に動物を用いて行われる毒性試験、薬効薬理試験、薬物動態試験等の試験を前臨床試験といいます。また、種々の試験と並行し、開発化合物の製造法の開発やヒトへどのような形で投与するか(錠剤、カプセル剤、注射剤等)についても検討を行います。
(C)臨床試験
前臨床試験の結果、開発化合物が有効性及び安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、ヒトにおける臨床試験が実施されます。臨床試験においては、以下の3段階の試験によって、用法、用量、有効性及び安全性を評価します。
a)第Ⅰ相臨床試験
少人数の健康成人を対象に、開発化合物の投与量を低用量から徐々に上げていき、ヒトにおける忍容性・安全性及び体内での動き(吸収、排泄等)の検討を行います。
b)第Ⅱ相臨床試験
比較的少人数の患者を対象に、目標適応症における効果及び安全性を検討し、最適な投与量や投与方法等を設定します。
c)第Ⅲ相臨床試験
臨床試験の最終段階として、患者を対象とした大規模な臨床試験を実施します。様々な背景を持つ多数の患者に投与することで、有効性及び安全性をより実際の治療に近い形で検証します。
(D)申請・承認
臨床試験により有効性と安全性が確認された新薬について、規制当局(日本の場合は厚生労働省、米国の場合は米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)等)へ製造販売承認の申請を行います。規制当局は提出された膨大なデータを検討し、医薬品としての販売の認可・不認可を判断します。
7.上市:製品発売をいいます。
8.胃酸分泌抑制剤:胃酸の分泌を抑える薬の総称で、主に次の3種に分類されます(①H2ブロッカー、②プロトンポンプ阻害剤(PPI)、③カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB))。P-CABは、胃食道逆流症治療の第一選択薬であるPPIとは異なるメカニズムで、PPIよりも速やかに、かつ、持続的に胃酸分泌を抑制するという特長を持つ新世代の治療薬です。
該当事項はありません。
a.割当予定先の概要
| (1)名称 | HK inno.N Corporation | ||
| (2)所在地 | 239, Osongsaengmyeong 2-ro, Osong-eup, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do, Republic of Korea | ||
| (3)代表者の役職・氏名 | Representative Director,Kwak Dal-won | ||
| (4)事業内容 | 医薬品製造 | ||
| (5)資本金 | 1,555,062,046円 (14,452,249,500ウォン 1ウォン=0.1076円 為替換算基準日:2024年12月31日) |
||
| (6)設立年月日 | 2014年4月1日 | ||
| (7)発行済株式数 | 28,329,891株 | ||
| (8)決算期 | 12月 | ||
| (9)従業員数 | 1,694名 | ||
| (10)主要取引先 | 専門医薬品部門(総合病院、クリニックH&B部門(CVS, スーパー/ディスカウントストア,コマースモール | ||
| (11)主要取引銀行 | KEB HanaBank | ||
| (12)大株主及び持株比率 | Korea Kolmar Co., Ltd. 43.01% 国民年金公団 6.13% HK inno.N Corp. ESOA 4.71% |
||
| (13)最近3年間の経営成績及び財政状態 | |||
| 決算期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 |
| 純資産 | 122,592 | 132,641 | 134,648 |
| 総資産 | 189,867 | 203,648 | 203,318 |
| 1株当たり純資産(円) | 4,241 | 4,682 | 4,753 |
| 売上高 | 89,138 | 91,345 | 96,532 |
| 営業利益 | 5,530 | 7,265 | 9,492 |
| 経常利益 | - (注)2 |
- (注)2 |
- (注)2 |
| 親会社株主に 帰属する当期純利益 |
4,015 | 5,201 | 6,626 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 141 | 184 | 234 |
| 1株当たり配当金(円) | 34 | 39 | 38 |
(単位:百万円。特記しているものを除く)
(注)1.上表最近3年間の経営成績及び財政状態における換算レートは以下のとおりです。
2022年12月期 1ウォン=0.1053円、2023年12月期 1ウォン=0.1102円、2024年12月期 1ウォン=0.1076円
2.K-IFRS(韓国採択国際会計基準)が適用されており、日本基準(J-GAAP)における「経常利益」という概念は明確には定義されていないため、記載を省略しております。
b.提出者と割当予定先との間の関係
| 割当予定先との出資関係 | KOREA SECURITIES DEPOSITORY-SAMSUNG名義で、当社株式を10.60%保有しています。 |
| 割当予定先との人事関係 | 該当事項はありません。 |
| 割当予定先との資金関係 | 該当事項はありません。 |
| 技術又は取引等の関係 | 胃酸分泌抑制剤tegoprazanに係る知的財産の導出先。後記「c.割当先予定先の選定理由」をご参照ください。 |
(注) 提出者と割当予定先との間の関係の欄は、2025年12月12日現在のものであります。
c.割当予定先の選定理由
当社は、2010年9月、割当予定先の前身であるCJ CheilJedang Corporationとの間で、当社が臨床第Ⅰ相試験段階まで開発を進めていたtegoprazanについて、韓国、中国(香港を含みます。)、台湾地域における商用化に関する導出契約(ライセンス契約)を締結いたしました。以来、割当予定先及びその前身企業において、臨床試験等、tegoprazanの商用化に係る事業活動が進められた結果、2019年3月、世界で初めて韓国においてtegoprazan製品の販売が開始されました。現在は、提携の範囲が拡大され、当社と割当予定先との間の契約は、日本を除く全世界の開発・製造・販売に関する再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約となっており、割当予定先及び同社からライセンスを受けた世界各国現在のサブライセンス先企業によってtegoprazanに関する事業活動が進められております。
上記のように長年に渡る提携関係にある割当予定先と当社の間では、以前より、両社の互恵的関係の発展を目指した意見交換がなされ、本年3月21日における原提携契約の締結に至りました。原提携契約締結日以降、両社で将来のビジネス協力関係の意見交換や共同研究テーマの話し合いを重ねる中で、tegoprazanの日本国内での事業化及びtegoprazanに続く画期的な医薬品を継続的に創出することが両社の共通の目標であることが確認されました。
当社が創出したtegoprazanはグローバル医薬品に成長しているにもかかわらず、起源の地である日本ではtegoprazan製品の臨床開発が現在行われていないという現状があります。当社は、日本国内でtegoprazanの臨床開発を行う提携先を探索しており、割当予定先も以前から関心を示しておりました。他の候補企業との交渉と並行して、当社と割当予定先は2025年4月から9月にかけて継続的に協議を行っており、tegoprazanを速やかに医療現場に届けるためにできるだけ早期に臨床開発を進めるべきという点で意見が一致しました。また、2025年4月以降、当社と割当予定先の間では、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした共同研究プロジェクトの開始に向けて、試験データの取得やプロジェクト計画の立案にかかる協議等、協業開始に向けた取り組みを進めました。そして、2025年9月頃、割当予定先から原提携の拡大に関する協議の申し入れがありました。当時、当社は2026年以降の成長戦略の検討に際して、当社グループの経営基盤である創薬研究事業の発展・強化を目指し、計画している研究開発投資をさらに加速化するための資金調達の必要性について検討しておりました。2025年9月以降、割当予定先と当社は面談を複数回実施し、当社の事業計画や割当予定先の投資計画に基づき、原提携の拡大に関する意見交換を行い、tegoprazanの日本国内での事業化を加速化することの意義、当社グループが保有する創薬研究基盤や創薬研究のノウハウと割当予定先の資金力、開発力、グローバルネットワーク等を組み合わせたパートナーシップについて意見が一致したことから、本株式発行の割当予定先として2025年10月頃に選定いたしました。また、本株式発行の発行価額については、割当予定先との協議を経て本株式発行に係る取締役会決議日の前取引日までの直前1ヶ月間の終値平均値を基準とすることといたしました。
また、当社は、2025年12月12日開催の取締役会決議において、割当予定先との間で本株式の割当てに係る本新株引受契約を締結すること、割当予定先との間で締結した2019年11月26日付ライセンス契約を変更するAMENDMENT TO LICENSE AGREEMENT OF TEGOPRAZAN IN NORTH AMERICA AND EUROPE(以下「本ライセンス契約変更契約」といいます。)を締結すること、割当予定先及び当社の監査等委員である柿沼佑一氏(以下「柿沼氏」といいます。)との間で2025年3月21日に締結した株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を変更する株主間契約変更契約(以下「本株主間契約変更契約」といいます。)を締結することを決議し、本新株引受契約、本ライセンス契約変更契約及び本株主間契約変更契約を締結いたしました。
1.本提携の目的及び理由
本提携は、割当予定先に対する第三者割当増資による資金調達と割当予定先と当社との間の戦略的なパートナーシップのさらなる強化を目的としております。割当予定先は、当社が創出した胃酸分泌抑制剤tegoprazanのライセンスを導入して世界で初めて医薬品として上市し、さらに世界各国を対象とした事業開発活動を展開している重要なパートナーです。割当予定先と当社は、tegoprazanの開発段階から緊密な連携を重ね、長年にわたり強固な信頼関係を構築してまいりました。前記「c.割当予定先の選定理由」もあわせてご参照ください。
本年(2025年)3月21日、当社は割当予定先と原提携契約を締結いたしました。原提携は、当社の財務基盤を強化するとともに、割当予定先との連携を深めることで、研究開発をはじめとする多岐にわたる分野で相乗効果を創出し、企業価値の最大化を目指したものであり、業務提携の主な内容は以下に記載のとおりです。
① tegoprazanの日本国内での事業化に関する協力
② 当社が保有する開発化合物の価値向上に関する協力
③ 共同研究の実施
④ その他の研究開発に関する協力
原提携契約締結日以降、両社で将来のビジネス協力関係の意見交換や共同研究テーマの話し合いを重ねる中で、tegoprazanの日本国内での事業化、及びtegoprazanに続く画期的な医薬品を継続的に創出することが両社の共通の目標であることが確認されました。当社が創出したtegoprazanは、現在、ライセンス契約や提携契約等で開発・承認取得を目指すための権利が付与された国として世界54カ国に進出し、そのうち、実際に医薬品として販売が開始されている国が18カ国(2025年11月14日現在)に達するグローバル医薬品に成長しているにもかかわらず、起源の地である日本ではtegoprazanを有効成分とする医薬品の臨床開発が現在行われていないという現状があります。これは、日本国内の権利保有者である当社が独力で臨床開発を行う資源を持たないことに加え、高額な費用を要する後期臨床試験を実施する提携先の確保に時間を要していたためです。また、激動が続く医薬品業界において企業価値を向上させていくには、創薬研究の充実化によって魅力的な開発パイプラインを継続的に生み出す必要があります。これらの共通認識のもと、両社の協力関係をさらに強化することを目的として、原提携の内容を拡大することといたしました。
原提携の拡大の中で最も大きな点は、tegoprazanを有効成分として含むヒト用医薬品の商業化を目的として、日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権を割当予定先に許諾し、割当予定先がtegoprazan製品の開発・承認取得を目的とした後期臨床試験に向けた取り組みを進めることです。日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権の許諾にかかる一時金はありませんが、当社は、今後の事業化の進展に応じたマイルストン、販売ロイヤルティ及び割当予定先が提携先から受け取る収益の一部を受け取る権利を取得します。これに加えて、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした創薬研究基盤の強化に取り組み、当社グループの中長期的な株主価値の向上を図るとともに、当社のミッション「イノベーションの力で、いのちに陽をもたらす」を実現できるよう、創薬研究開発に係る事業活動をさらに加速化してまいります。
なお、本提携の内容につきましては、後記「2.本提携の内容 (2)業務提携の内容」に記載しております。
2.本提携の内容
(1)資本提携の内容
当社は、本資金調達により、割当予定先に対して、当社普通株式1,555,900株(本資金調達後の所有議決権比率15.95%(うち9.96%はKOREA SECURITIES DEPOSITORY-SAMSUNG名義で保有))を割り当てます。
(2)業務提携の内容
主な内容は以下に記載のとおりであり、本ライセンス契約変更契約に基づき、tegoprazanについて日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権を割当予定先に許諾いたします。また、これらに加え、割当予定先及び当社の更なる企業価値向上に資する施策の検討及び協議を進めてまいります。
① 当社の割当予定先に対する、日本におけるtegoprazanの独占的な開発・製造・販売権の許諾
② 当社が保有する開発化合物の価値向上に関する協力
③ 共同研究の実施
④ その他の研究開発に関する協力
(3)株主間契約変更契約における合意内容
当社が、本株主間契約締結以降、割当予定先と複数回面談を実施した後、割当予定先から当社及び当社の大株主かつ監査等委員である柿沼氏に対して、本株主間契約の変更に関する提案がありました。当社及び柿沼氏は、計画している研究開発投資をさらに加速化するための資金調達の必要性を踏まえて、本株主間契約変更契約に関する提案を受け入れることといたしました。
本株主間契約変更契約において主に以下の事項に合意しております。なお、本株主間契約変更契約は本資金調達後に効力が生じ、割当予定先又は柿沼氏の保有する当社株式のいずれかが当社発行済株式総数の5%未満となった場合、当該株主との関係において自動的に契約が終了します。
なお、上記のとおり当社の監査等委員である柿沼氏は本株主間契約変更契約の当事者となることから、特別利害関係人に該当し、本株主間契約変更契約の締結に関する取締役会の審議及び決議には参加しておりません。
① 取締役及びオブザーバーの派遣
当社、割当予定先及び柿沼氏は、本株主間契約変更契約において、当社において2026年3月に開催される定時株主総会以降、割当予定先が当社の取締役候補者2名(但し、当社取締役会において承認を得た場合を除き、かかる取締役は社外取締役とし、監査等委員会及び指名・報酬委員会の委員とならないものとします。)を指名する権利を有すること、並びに割当予定先の指名する取締役候補者2名が取締役に任命されるまでの間及び割当予定先の指名に基づく取締役に欠員が生じた場合には、当社の取締役会に出席することのできるオブザーバー1名を派遣する権利を有することに同意すること。
② 優先引受権
割当予定先は、当社が株式等の発行(ただし、公募増資、株式分割又は無償割当、インセンティブ付与目的での当社若しくは当社子会社の役職員に対する株式等の付与、又はストックオプションを含む新株予約権若しくは新株予約権付社債等の権利行使によって当社株式等を交付する場合を除きます。)を行う場合、株式発行等の直前時における割当予定先が保有する当社株式の当社発行済株式総数における割合に応じ、当該株式発行等される株式等を優先的に引き受けることができる権利を有すること。
d.割り当てようとする株式の数
本株式の総数は1,555,900株です。当社は、割当予定先に以下に記載する株数を割り当てます。
HK inno.N Corporation 1,555,900株
e.株券等の保有方針
本株式について、割当予定先からは、中長期的に保有する方針である旨を口頭にて確認しておりますが、当社と割当予定先との間で、継続保有及び預託に関する取り決めはありません。
なお、当社は、割当予定先が払込期日より2年以内に本株式を譲渡した場合には、直ちにその内容を当社に書面にて報告する旨及び当社が当該内容を株式会社東京証券取引所に報告し、当該内容が公衆縦覧に供されることに同意する旨の確約を得る予定です。
f.払込みに要する資金等の状況
当社は、割当予定先から、割当予定先が作成し、Ernst & Young Han Young(所在地:韓国 ソウル市)が監査した2025年9月30日現在の財務諸表を受領しており、また、当社代表取締役の須藤正樹が、割当予定先のCFO Woo Sung Kim氏に対するヒアリングにより現金化できる流動資産があること及び自己資金での払込みであることを2025年11月21日に確認しており、割当予定先に割り当てられる本株式の発行に係る払込みに十分な財産を有することを確認しております。
g.割当予定先の実態
当社は、割当予定先並びにその役員及び株主について、反社会的勢力であるか否か、並びに反社会的勢力と何らかの関係を有しているか否かについて、独自に専門の第三者調査機関である株式会社JPリサーチ&コンサルティング(代表取締役:古野啓介、本社:東京都港区虎ノ門三丁目7番12号虎ノ門アネックス6階)に調査を依頼し、2025年11月28日に調査報告書を受領いたしました。当該調査報告書において、割当予定先又はその役員若しくは株主が反社会的勢力である、又は割当予定先若しくはその役員若しくは株主が反社会的勢力と何らかの関係を有している旨の報告はありませんでした。以上により、当社は、割当予定先並びにその役員及び株主が反社会的勢力と一切の関係がないと判断し、これに係る確認書を東京証券取引所に提出しております。
該当事項はありません。
(1)発行価格の算定根拠及び発行条件の合理性に関する考え方
本株式の発行価額は、本株式の発行に係る取締役会決議日の前営業日までの直前1ヶ月間(2025年11月12日から2025年12月11日まで)の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値である907円(小数点以下を四捨五入。以下、株価の計算について同様に計算しております。)といたしました。
払込金額の算定方法について平均値を採用した理由は、特定の一時点を基準にするよりも一定期間の平均株価という平準化された値を採用したほうが、一時的な株価変動の影響等、特殊要因を排除でき、算定根拠として客観性が高く合理的であり、かつ、当社の実態の企業価値を反映していると判断したためです。
当社は、発行価額の決定にあたり、株価の動向および企業価値の適正な反映を慎重に検討いたしました。まず、当社株式が市場において高騰しているかを検討するに、2023年12月12日から2024年12月11日までの1年間の単純平均株価は585円であり、2024年12月12日から2025年12月11日までの1年間の単純平均株価は528円と前年と比較して大きな乖離は認められません。ただし、当初日(2024年12月12日)の株価が414円であったのに対し、直近終値は1,302円であり、騰落率は約214%の上昇と顕著な上昇を示しております。特に、2025年11月28日に終値がストップ高の904円を記録し、続く2025年12月1日にも終値がストップ高の1,054円を記録し、さらに2025年12月8日にも終値がストップ高の1,429円を記録するなど、前年平均値に比して大幅な上昇傾向を示しております。
加えて、直近2週間の単純平均株価は1,219円であり、これは過去1年間の単純平均株価528円に比してさらに高い水準を示しており、短期間で急激な上昇が生じていることを裏付けております。
また、直近2週間の売買出来高については、2025年11月27日までの直前1ヶ月の売買出来高の単純平均と比べて約14倍に増加しており、取引の過熱が生じていると評価できます。
以上によれば、当社株は現在、高騰状態にあるといえます。
次いで、その高騰がいつから開始したかをみると、2025年10月下旬までは550円前後で推移していたところ、同年11月中旬に700円まで上昇し、11月28日には904円を記録し、その後も1,000円台前半を維持しております。したがって、株価が約1.5倍~3倍に値上がりしたのは2025年11月中旬以降であり、現在まで高騰状態が続いているといえます(以下「本件高騰」といいます。)。
本件高騰の理由について検討するに、当社の2024年12月期における売上高は前年同期比で一定の増加を示しておりますが、営業利益及び経常利益は赤字を継続し、当期純利益も改善には至っておりません。さらに、同期においても無配を継続しており、財務状態に顕著な改善は認められません。続く2025年12月期につきましても、当社が2025年11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算において、売上高は2,311百万円と前年同期比で減収となっており、営業利益及び経常利益についても、営業損失344百万円、経常損失426百万円であり、依然として赤字基調となっております。また、当期純利益も、親会社株主に帰属する四半期純損失568百万円であり、改善に至っておりません。したがって、2024年12月期から2025年12月期にかけて、企業価値を大きく押し上げるような収益構造の改善は認められません。
さらに、2025年11月27日に当社が公表した「ファイメクス株式会社のアステラス製薬株式会社との共同研究における新規標的追加のお知らせ」は、株価上昇の要因となり得る情報であるものの、当該内容は2025年2月14日に開示した当期連結業績予想に既に織り込み済みであり、当社としては業績への影響は限定的であると認識しております。また、当該内容による来期以降の業績への影響につきましても、2025年2月14日に公表した事業計画に織り込み済みであり、影響は限定的であると認識しております。それにもかかわらず、当該公表後、当社株価はストップ高を含む7営業日連続の上昇を記録するなど、通常の株価変動の範囲を大きく超える急騰を示しております。このような株価の急激な変動は、当社の企業価値を必ずしも適切に反映しているとはいえないと考えております。
次に、市況との比較をみても、当社が上場する東証グロース市場全体に大きな値動きはなく、同業他社の株価も同様に安定推移しております。したがって、本件高騰は市場全体や業界全体のトレンドに沿うものではありません。
以上によれば、本件高騰の理由は明確に説明できず、取締役会決議日の前日終値を基準に新株発行価額を決定する方法は、公正な算定方法として妥当とは言えません。そのため、より客観的かつ安定的な指標を採用する観点から、発行価額については、取締役会決議日の前営業日までの直前1ヶ月間の終値平均値を基準とすることといたしました。
なお、直前1ヶ月間の平均値を採用した結果、取締役会決議日の前営業日の終値に対してはディスカウントとなりますが、これは急騰した株価による企業価値の乖離を回避し、第三者割当増資の公正性を確保する観点から適切であると考えております。
当社は、上記払込金額の算定根拠につきましては、日本証券業協会の「第三者割当増資の取扱いに関する指針」(2010年4月1日制定)により、「(1) 払込金額は、株式の発行に係る取締役会決議の直前日の価額(直前日における売買がない場合は、当該直前日からさかのぼった直近日の価額)に0.9を乗じた額以上の価額であること。ただし、直近日又は直前日までの価額又は売買高の状況等を勘案し、当該決議の日から払込金額を決定するために適当な期間(最長6か月)をさかのぼった日から当該決議の直前日までの間の平均の価額に0.9を乗じた額以上の価額とすることができる。」とされていること、割当予定先は発行決議日から払込期日までの約7週間における株価下落リスクを甘受せざるを得ない立場にあること、本株式発行により希薄化が生じること、本株式発行によって迅速かつ確実に資金調達を行うことで中長期的な株主価値の向上が見込まれること等も総合的に勘案し、ディスカウント率を含め、割当予定先とも十分に協議の上、また、第三者である弁護士の見解等も踏まえ、本株式の発行価額を決定いたしました。
第三者である弁護士の見解としましては、弁護士法人ながの法律事務所の永野貴行弁護士から、本株式の発行価額は、当社株式の価値を表す客観的な指標である市場価格を基準にしており、急騰した株価による企業価値の乖離を回避するため、直前1ヶ月間の終値平均値を採用した上で割当予定先と交渉が行われていること及び日本証券業協会「第三者割当増資の取扱いに関する指針」に定められた例外的な算定方法に準拠していること等を踏まえて、有利発行に該当せず、法令に違反する重大な事実は認められず適法であるという趣旨の意見を得ております。
割当予定先との協議の経緯としましては、2025年9月頃、割当予定先から原提携の拡大に関する協議の申し入れがあり、当社は研究開発投資を加速するための資金調達の必要性を検討しておりました。その後、複数回の面談を通じて、tegoprazanの日本国内事業化を加速する意義や、当社の創薬研究基盤と割当予定先の資金力・開発力を組み合わせたパートナーシップの重要性について意見が一致し、2025年10月頃に本株式発行の割当予定先として選定いたしました。当初、発行価額については、取締役会決議日の前営業日の終値を基準とする方法で協議を進めておりました。しかしながら、2025年11月下旬以降、当社株価は急騰し、直近の終値は当初想定を大きく上回る水準となりました。このような状況を踏まえ、当社と割当予定先は、株価の異常な変動が一時的な要因によるものである可能性を考慮し、公正性を確保する観点から、発行価額の決定方法を再検討することとしました。その結果、取締役会決議日の前営業日までの直前1ヶ月間(2025年11月12日から2025年12月11日まで)の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値を基準とする方法が、株価の急騰による偏りを緩和し、より合理的かつ公正な算定方法であるとの認識で一致し、両者間で合意に至りました。
なお、本株式の発行価額は、本株式の発行に係る取締役会決議日の前営業日の終値1,302円に対して30.34%のディスカウント(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するディスカウント率又はプレミアム率の数値の計算について同様に計算しております。)、同直前3ヶ月間の終値単純平均値である677円に対して33.97%のプレミアム、同直前6ヶ月間の終値単純平均値である615円に対して47.48%のプレミアムとなる金額です。
なお、当社監査等委員会からは、会社法上の職責に基づいて監査を行った結果、以下の各点を確認し、本株式の発行価額が有利発行に該当しない旨の取締役の判断について、法令に違反する重大な事実は認められず適法であるという趣旨の意見を得ております。
(ⅰ)本株式の発行価額は、当社株式の価値を表す客観的な指標である市場価格を基準にしており、急騰した株価による企業価値の乖離を回避するため、直前1ヶ月間の終値平均値を採用した上で割当予定先と交渉が行われていること
(ⅱ)日本証券業協会「第三者割当増資の取扱いに関する指針」に定められた例外的な算定方法に準拠していること
また、本件は希薄化率が25%未満であり、また支配株主の異動等を伴わないため、東京証券取引所の企業行動規範が求める第三者委員会の意見入手又は株主総会での意思確認の義務付け対象には該当しません。加えて、当社は日本証券業協会の指針に適合する市場価格基準で発行価額を決定しており、監査等委員会の監査を経て、本株式の発行価額が有利発行に該当しない旨の取締役の判断に法令に違反する重大な事実は認められず適法であるという趣旨の意見を得ています。さらに、当社は2025年12月期の最重要課題であるtegoprazanの日本国内事業化について、2025年12月期中の契約締結に向けて協議を進めておりました。tegoprazanの日本国内への導出は当社の企業価値の維持・向上に直結するものであり、迅速な意思決定が求められる状況でありました。当該導出が当社にとって2025年12月期の必達目標であり、意思決定の遅延は日本での臨床開発の開始を後ろ倒しし、企業価値に重大な影響を及ぼす可能性があります。日本での臨床開発の開始が後ろ倒しになった場合、まず、上市までのタイムラインが遅延することで、独占販売による収益獲得期間が大幅に短縮され、ピーク売上の最大化が困難になります。これは、将来キャッシュフローの減少に直結し、DCF評価や株価に深刻な下押し圧力を与えます。さらに、基本特許の存続期間は出願日から20年であり、遅延によって残存期間が削られることで、特許切れリスクが高まり、競合品の参入を早める結果となります。日本の特許期間延長制度は承認取得に要した期間のみを対象とするため、開発開始の遅れは補償できず、ライセンス交渉力の低下やロイヤルティ条件の悪化を招きます。加えて、開発遅延に伴う追加資金調達は不可避となり、株式希薄化や資本コストの増加が企業価値をさらに毀損します。競争環境では、先行他社に市場を奪われることで、当該パイプラインの戦略的価値が大きく損なわれ、企業全体の成長シナリオに深刻な影響を与えます。こうした複合的な要因により、臨床開発の遅延は単なるスケジュール変更にとどまらず、企業価値の根幹を揺るがすリスク要因となります。そのため、時間的ロスを回避し、機動的に契約を締結することが合理的であると考えられます。以上のような規範や指針の遵守、監査等委員会の監査による担保、機動的な意思決定の高度の必要性、さらには、第三者である弁護士の見解等を踏まえ、第三者委員会の設置は不要と判断いたしました。
(2)発行数量及び株式の希薄化の規模の合理性に関する考え方
本株式の数(1,555,900株)は、2025年6月30日現在の当社発行済株式総数24,457,673株及び議決権数244,449個を分母とする希薄化率は6.36%(議決権ベースの希薄化率は6.36%)に相当します。
しかしながら、当社としては、このような希薄化が生じるものの、上記のとおり、本資金調達により調達した資金を上記の資金使途に充当することにより、当社の事業基盤を強化・拡大させ、当社の中長期的な企業価値及び株主価値の向上を図ることができ、本資金調達はそれに伴う希薄化を考慮しても既存株主の皆様にも十分な利益をもたらすことができると考えていることから、発行数量及び株式の希薄化の規模は、合理的であると判断しました。また、割当予定先は資本業務提携先として当社株式を継続して保有する方針であり、今回の発行数量及びこれによる株式の希薄化の規模並びに流通市場への影響はかかる目的達成のうえで、合理的であると判断いたしました。
該当事項はありません。
| 氏名又は名称 | 住所 | 所有株式数 (株) |
総議決権数に対する所有議決権数の割合 (%) |
割当後の所有株式数 (株) |
割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| KOREA SECURITIES DEPOSITORY-SAMSUNG (常任代理人シティバンク、エヌ・エイ東京支店) |
34-6, YEOUIDO-DONG, YEONGDEUNGPO-GU, SEOUL, KOREA (東京都新宿区新宿6丁目27番30号) |
2,606,300 | 10.66 | 2,606,300 | 10.02 |
| 柿沼 佑一 | 埼玉県さいたま市中央区 | 2,384,700 | 9.75 | 2,384,700 | 9.17 |
| HK inno.N Corporation | 239, Osongsaengmyeong 2-ro, Osong-eup, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do, Republic of Korea | - | - | 1,555,900 | 5.98 |
| ファイザー株式会社 | 東京都渋谷区代々木3丁目22番7号 | 743,000 | 3.04 | 743,000 | 2.86 |
| 東京短資株式会社 | 東京都中央区日本橋室町4丁目4番10号 | 270,200 | 1.11 | 270,200 | 1.04 |
| 上田八木短資株式会社 | 大阪府大阪市中央区高麗橋2丁目4番2号 | 262,400 | 1.07 | 262,400 | 1.01 |
| 株式会社エス・ビー・シー | 徳島県美馬市脇町西赤谷1063番1号 | 248,100 | 1.02 | 248,100 | 0.95 |
| モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 | 東京都千代田区大手町1丁目9番7号 | 225,607 | 0.92 | 225,607 | 0.87 |
| 株式会社アドバンスト・メディア | 東京都豊島区東池袋3丁目1番地1号 | 223,800 | 0.92 | 223,800 | 0.86 |
| JPモルガン株式会社 | 東京都千代田区丸の内2丁目7番地3号 | 207,656 | 0.85 | 207,656 | 0.80 |
| 計 | ― | 7,171,763 | 29.34 | 8,727,663 | 33.57 |
(注)1 「所有株式数」及び「総議決権数に対する所有議決権数の割合」につきましては、2025年6月30日現在の株主名簿に基づいて記載しており、2025年7月1日以降に生じた総議決権数に対する所有議決権数の比率の変動は反映しておりません。
2 割当前の「総議決権数に対する所有議決権数の割合」及び「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、小数点以下第3位を四捨五入しております。
3 「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、「割当後の所有株式数」に係る議決権の数を、割当前の「総議決権数に対する所有議決権数の割合」の算出に用いた総議決権数244,449個に本株式1,555,900株に係る議決権の数を加えた数で除して算出しております。
4 KOREA SECURITIES DEPOSITORY-SAMSUNGの所有する2,606,300株のうち2,592,100株(2025年6月30日現在の総議決権数244,449個に対する所有議決権数の割合は10.60%)は、割当予定先が実質株主として保有しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類をご参照ください。
事業年度 第17期(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)2025年3月26日東海財務局長に提出
事業年度 第18期中(自 2025年1月1日 至 2025年6月30日)2025年8月14日東海財務局長に提出
1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書提出日(2025年12月12日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2025年3月26日に東海財務局長に提出
1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書提出日(2025年12月12日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の規定に基づく臨時報告書を2025年4月18日に東海財務局長に提出
訂正報告書(上記1の有価証券報告書の訂正報告書)を2025年3月31日に東海財務局長に提出
上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書及び半期報告書(以下「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後本有価証券届出書提出日(2025年12月12日)までの間において、生じた変更その他の事由はありません。
なお、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されていますが、当該事項は本有価証券届出書提出日(2025年12月12日)現在において変更の必要はないと判断しております。また、新たに記載すべき将来に関する事項もありません。
ラクオリア創薬株式会社 本店
(愛知県名古屋市中村区名駅南一丁目21番19号)
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
該当事項はありません。
該当事項はありません。
Building tools?
Free accounts include 100 API calls/year for testing.
Have a question? We'll get back to you promptly.