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KANEMATSU CORPORATION Call Transcript 2026

Jun 2, 2026

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Call Transcript

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FASF

2026年6月2日

各位

会社名 兼松株式会社

代表者名 代表取締役社長 宮部 佳也

(コード:8020、東証プライム)

問合せ先 I R室長 近藤 実穂

(TEL. 03-6747-5000)

2026年3月期通期決算説明会 質疑応答(要旨)

当社は、2026年5月18日(月)に「2026年3月期通期決算説明会」を機関投資家・マスコミ向けに開催しました。本資料は、ご出席いただきました皆様からいただいた質疑応答について内容をまとめ、公表するものです。なお、皆さまのご理解賜ることを目的として、一部内容を加筆修正し、要旨として記載しております。

2026年3月期通期の決算説明資料と動画を公開しておりますので、以下よりご覧ください。

  • 決算説明資料・動画URL

https://www.kanematsu.co.jp/ir/library/financial_statements

日時: 2026年5月18日(月)14:00~15:00
説明者: 代表取締役社長 宮部 佳也
取締役 執行役員 財務・主計・営業経理 担当 海野 太郎

<質問1>

当期利益は325億円で着地したが、エネルギー事業における先物取引の評価損や関係会社売却といった一過性損益を考慮すると、実力値は当期利益ベースで概ね330億円程度であったと理解している。この水準は、以前貴社が示していた「実力利益はおおよそ310~320億円程度」との説明と比較しても、上振れて着地しているように見受けられる。この実力ベースの上振れについて、要因をご説明いただきたい。

<官部>

上振れ要因について、期末にかけて全てのセグメントにおいて想定を上回る実績となった。明確な要因を特定することは難しいものの、価格高騰や中東情勢の緊迫化等を背景に、将来の供給不安に対する心理が市場全体で働いた可能性があるのではないかと考えている。

<質問2>

2027年3月期の計画は350億円となっており、仮に2026年3月期の実力ベース330億円を発射台と捉えると、増益率は約6%となる。この水準は、これまでの利益成長ベースと比較すると、ややスローダウンするような想定となっているように見受けられるが、計画には何らかのリスクバッファーや保守的な前提条件を織り込んでいるのか。

<官部>

先行きに対する不透明感が依然として大きいことを踏まえ、中期経営計画(以下、「中計」)の最終目標である350億円をベースとした計画としているが、今期の進捗状況や外部環境の変化を見極めつつ、必要に応じて着地予想を修正していく考えである。


<質問3>

中計期間中のオーガニック成長、M&Aによる当期利益の成長の内訳について教えてほしい。

<海野>

中計2年目になるとオーガニックとインオーガニックの色分けが難しくなっていることもあり、簡略化してご説明すると、前中計最終年度となる2024年3月期実績232億円から2026年3月期実績325億円への増益のうち、現中計期間中の2年間に実行したM&Aを含めた投資による投資収益額は18億円、それ以外が、オーガニック成長や一過性損益、他による貢献と試算。

中計最終年度となる2027年3月期については、前期中に投資の実行を完了し、クロージングを経て4月から寄与が始まる案件のみ織り込んでおり、投資収益は5億円程度を想定。

600億円の成長投資計画のうち、ICT関連が目線の400億円に対して現時点での実行額が20億円程度にとどまっており、計画対比遅れている状況である。しかしながら、モバイルや食料といった事業を中心に、オーガニックの収益が中計策定時の想定よりも大きく伸長していることから、M&Aを含めた投資による成長として想定していた分を補完し、当期利益としては目標の350億円を確保できる水準が見えてきていると認識している。

<質問4>

成長投資600億円のうち、ICT関連は400億円の目線に対する実行額が現時点で20億円にとどまっている。この点については、必ずしも悪いことではないと考えているが、進捗が遅れている背景についてご説明いただきたい。

また、今後の投資スタンスについて、中計で掲げた400億円という金額にあくまでこだわるのか、それとも、条件に見合う案件がなければ無理に投資を行わないという是々非々のスタンスを継続するのか。

<宮部>

ICT関連の大型投資が遅れている背景としては、投資対象企業の価格が当社の目線と合わないケースや、先方から見送りの意向が示されたケースなど、さまざまな要因があった。また、ICT分野全体で投資額が高騰していることもあり、当社としては、どの程度のシナジー効果が見込めるかという点を慎重に見極めながら検討を進めている。一方で、ICT関連事業は今後も当社の成長ドライバーであると位置づけており、引き続き大型投資の検討は継続していく方針である。条件に見合う良質な案件があれば、機動的に投資を実行したいと考えており、その際には、当初の400億円という枠に捉われず、必要であれば枠を超えて対応することも選択肢として想定している。

<質問5>

仮に今期において成長投資が想定よりも進まなかった場合、追加的な株主還元を検討する余地はあるのか。

<海野>

少なくとも現中計期間中においては、追加的な株主還元は考えていないが、次期中計では、成長投資の実行状況・確保状況とのバランスを踏まえつつ選択肢の一つとしては否定するものではないと考えている。

<質問6>

財務戦略について、現在のネットDERは0.4倍台だが、ターゲットは1倍程度としている。今後、資本が積み上がることによるROEへの下方圧力が懸念されるが、長期的に見た際の適正なネットDER水準や資本効率について、どのように考えているか。


<海野>

現状、投資実行の遅れが一時的なBSの改善につながっており、その結果として、ネットDERは0.45倍となっている。より長期的な視点では、少なくともグロス有利子負債と自己資本とのバランスを「1:1」の水準に保ち、そのレバレッジ水準においてROIC実績の倍程度のROEを確保していくのが基本的な考えで、ここは財務戦略上、守りたい水準感。さらに、当社のBSおよびビジネスモデルを前提とすると、ネットでの1:1も許容可能な水準。この場合、グロスベースで考えれば約500億円、ネットベースで考えれば約1,000億円程度の負債調達余力があるといえる。

一方で、仮に成長投資が出てこない場合には、当社の長期的な当期利益は300億~350億円水準となり、株主還元を除いても200~250億円程度の自己資本が毎年積み上がっていくことになる。この資本の積み上がりは、ROEへの下押し要因となり得ることから、「1:1」のレバレッジ水準を意識しつつ、成長投資案件の具体化の状況を見ながら、資本効率と財務健全性のバランスを適切にコントロールしていく方針である。

<質問7>

利益成長については、力強い状況が続いている一方で、株価自体は上昇しているものの、PERなどの指標で見ると概ね10倍程度の水準にとどまっており、他の総合商社と比較して高い成長率を実現しているにもかかわらず、バリュエーションはなお低位にとどまっていると考えている。この点について、どのように分析しているのか、その見解を伺いたい。

また、株主還元水準に関しては、配当性向がおおよそ30%程度であり、この点は他の総合商社と比較して見劣りするようにも見受けている。こうした株主還元や資本政策も含め、貴社の市場評価を一段と高めていくために、どのようなレバレッジや施策が有効と考えているか。

<宮部>

株価の動きについては、投資家の方々からは、バークシャー・ハサウェイのような海外大手機関投資家の参入が見られない理由についてご質問をいただくことも多く、その点が他の大手商社との評価格差の一因になっている可能性があると考えている。また、他社は自社株買いをはじめとする多様な株主還元策を積極的に実施しており、その違いも株価指標の差として表れているものと分析している。

<海野>

効率性やROEは一定の水準にあると認識している一方で、ご指摘のとおりPERは相対的に低位にとどまっている。足元2年間で業績は年平均約18%の成長を遂げており、これは色々な制約条件下での多角的なトレーディング能力が評価され、既存ビジネスが伸長していることが大きな要因。一方で、当社が成長のコアと位置付けるICT分野については、大型投資の進捗が遅れ気味であり、短期的にはこの期待値がPERに十分反映されていないと見ており、今後の課題と考えている。

先ほどの通り、成長投資の裏返しとして、一時的にBSが改善してはいるが、PER水準の課題も含め、まずは成長投資を優先する方針である。株主還元については、EPS成長に応じた配当を基本としており、自社株買いを積極的に行う他商社と比較すると総還元性向では見劣りする面はあるものの、配当水準そのものは他商社と比べても遜色ない水準にあると認識している。

<質問8>

各種コストが上昇している状況下において、経営にとって重要なコストは何かという点について、改めて教えていただきたい。食料や原料において、価格はある程度転嫁できるという中で、サプライチェーンを維持していくためには、どれだけコストが上がってもサプライチェーンを止めてはならないという考え方をより重視されているのか、あるいは、コストを抑えて中計の達成に向けて着実に取り組むことを優先されているのか、その基本的な考え方・スタンスをお伺いしたい。

<宮部>

両者とも重要ではあるが、当社のような商社は食料・安全保障といった領域において大きな役割を担っているため、安定供給の確保は、いかなる状況においても守り抜かなければならない責務であると考えている。食料や原料といった分野は一例にすぎず、あらゆる分野において同様。また、安全保障に関わる防衛分野についても、極めて大きな責任を負っていると認識しており、これらの分野における安定供給と責務の遂行を重視している。


<質問9>

ICTソリューションセグメントについて、営業利益率は、システム事業では低下傾向にある一方、サービス・サポート事業では改善が見られる。今後の両事業における営業利益率の見通しはどうか。また、受注高・受注残の伸びを考慮すると、売上は今後さらに上振れる余地があるのかどうか、見通しを教えてほしい。

<宮部>

システム事業は従来のオンプレミス型からクラウドによるサービス利用型(サブスクリプション)へのビジネスモデル転換を進めている最中であり、新規案件獲得時にコストが先行するため一時的に利益率が低下している。また、昨今の半導体不足の影響により、機器調達等において供給制約が生じていることに加え、価格が上昇しているといった要因も一定程度あると考えている。

一方、サービス・サポート事業はサブスクリプションへの移行が進んだことで利益率が向上している。全体で見ると成長スピードが一時的に鈍化しているように見えるかもしれないが、サブスクリプションへの移行は順調に進んでおり、将来的には利益の伸長・収益の安定化に寄与すると見ている。

<質問10>

ICTソリューションセグメントについて、AIエージェントが顧客企業側においても活用されることにより、貴社の業務領域が縮小し、結果として貴社のビジネスがAIによって代替・侵食される懸念はないのか。

<宮部>

ICTソリューションセグメントにおいては、プログラミング領域などにおいてAIエージェントの構築を進め、開発効率と生産性の向上に努めている。ご指摘のとおり、お取引先においてAIエージェントを活用されることも想定されるが、プログラミングやソフトウェア開発などが中心という印象。他方で、ICTソリューションセグメントの強みは高度な設計・構築力、そして、保守・運用、セキュリティまで一気通貫で継続的にサポートできることにあり、当該領域においてはAIによる代替・侵食は難しいものと理解している。

<質問11>

ICT分野の成長投資が計画に対して遅れているように見受けられるが、エンジニアの増員は今後も継続する方針か。AIエージェントの活用により、これまで想定していたエンジニア獲得のための投資が不要となる可能性はあるのか。

<宮部>

ICT分野の成長投資については、ICT分野全体で投資額が高騰している中、シナジー効果などを慎重に検討していることもあり進捗が遅れているものの、ICTソリューションセグメントにおけるAIエージェントの活用は社内の業務効率化ということで取り組んでいるものであり、エンジニア不足により見送っている案件もあるため、引き続き、M&Aも活用しつつ、エンジニア体制の拡充を図っていく必要があるという認識。

<質問12>

いわゆるSaaSビジネスの終焉が議論され始めており、実際に関連銘柄の株価も下落している状況。貴社グループの業績への影響は、短期的には大きくないと考えられるかもしれないが、中長期的には兼松エレクトロニクス(KEL)のビジネスモデルや収益構造にどのような影響が及ぶと見ているのか。

<宮部>

当社グループはネットワークやセキュリティといった領域を得意としており、現時点では、SaaSをめぐる議論が当社グループへの業績に大きな影響を与えているとは認識していない。

一方で、今後、AI活用の一層の拡大に伴い、データの取扱い、情報漏洩対策、通信インフラへの負荷などへの懸念は一段と高まっていくと想定している。そのような環境下においては、ネットワーク基盤の強化やセキュリティ対策の高度化へのニーズがより高まると見込まれることから、ネットワークとセキュリティを統合的かつ柔軟に運用できるようなビジネスモデルが、今後より一層求められていくと考えている。


<質問13>

食料セグメントについて、アイテムによって好不調はあるものの、全体としては一定の規模感で安定的に収益を上げる事業と捉えていたが、2026年3月期の当期利益は54億円と大幅に伸長した。今後の見通しはどうか。

<宮部>

ご指摘のとおり、食料セグメントは業績に好不調の波が見られる傾向がある。ここ数年は、特に畜産事業が大きく落ち込んでいた。その主な要因は、牛肉価格の高騰により牛肉取引が厳しい収益環境に置かれていたことである。こうした背景から、牛肉から鶏肉へと需要がシフトし鶏肉取引が好調に推移したことが当期の増益要因の一つである。また、豚肉については、昨年、仕入先国の一部で疾病が発生し、輸入禁止措置が取られる中で苦戦が続いていたが、期末にかけて回復した影響もある。これらの要因が重なったことにより、今期は食料セグメント全体としても収益が大きく伸長したと認識している。なお、しばらくは現在の好調が続くことが見込まれるものの、いつまで続くかについては現時点では不透明であると考えている。

<質問14>

食料セグメントについて、前期(2026年3月期)は鶏肉取引が好調であり、しばらくは今のトレンドが継続するとのご説明であったが、改めてその背景、見通しについてお伺いしたい。

<宮部>

畜産事業について、引き続き牛肉価格は高止まりしており消費者の需要は牛肉から豚肉・鶏肉へシフトしている。このトレンドは、当面大きく変わらないと理解している。

<質問15>

現在、中東情勢の影響により、肥料の価格高騰や供給不足が生じていると認識している。この点について、貴社としてサプライチェーンを維持するためにどのような取り組みを行っているのか。

<宮部>

ご指摘の通り、価格面を含め、食料全般にさまざまな影響が及んでいるが、中東情勢以前から、地政学的リスクの高まりを背景に、一部の食料が調達困難となる局面をすでに経験してきた。そのため、当社としては以前より産地の多角化を進めてきた経緯がある。価格は上昇傾向にあり、その影響は避けられないが、仕入価格の上昇分については、可能な限り販売価格への転嫁を図る方針で対応している。一方で、最も懸念しているのは、価格以上に「モノ不足」の状態であり、これを回避することが最重要と考えている。このため、引き続き産地の分散・多角化を進めることで、サプライチェーンの安定化と安定的な調達・供給を確保していく。

以上