Proxy Solicitation & Information Statement • Dec 1, 2025
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| 【表紙】 | |
| 【提出書類】 | 意見表明報告書 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年12月1日 |
| 【報告者の名称】 | キヤノン電子株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 埼玉県秩父市下影森1248番地 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 東京都港区芝公園三丁目5番10号 |
| 【電話番号】 | 03(6910)4115 |
| 【事務連絡者氏名】 | 取締役経理部長 大北 浩之 |
| 【縦覧に供する場所】 | キヤノン電子株式会社東京本社 (東京都港区芝公園三丁目5番10号) 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、キヤノン電子株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、キヤノン株式会社をいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は必ずしも計数の総和と一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注6) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注7) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注8) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注9) 本書中の「本公開買付け」とは、本書の提出に係る公開買付けをいいます。
E02301 77390 キヤノン電子株式会社 CANON ELECTRONICS INC. 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 1 false false false E02301-000 2025-12-01 xbrli:pure
0100000_honbun_si85a08033712.htm
名 称 キヤノン株式会社
所在地 東京都大田区下丸子三丁目30番2号
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2025年11月28日開催の取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
なお、当該取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
本項の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社株式を22,500,600株(所有割合(注1)55.01%)所有し、当社を連結子会社としております。今般、公開買付者は、2025年11月28日開催の取締役会において、当社株式の全て(ただし、譲渡制限付株式報酬として当社の取締役に付与された当社の譲渡制限付株式(譲渡制限解除済みのものを除き、以下「本譲渡制限付株式」といいます。)を含み、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として本公開買付けを実施することを決議したとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年10月29日に公表した「2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(公認会計士等による期中レビューの完了)」に記載された2025年9月30日現在の当社の発行済株式総数(42,206,540株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(1,303,761株)を控除した株式数(40,902,779株、以下「本基準株式数」といいます。)に占める割合をいいます(小数点第三位を四捨五入しております。以下所有割合の記載について同じです。)
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を4,738,100株(所有割合:11.58%)と設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。なお、買付予定数の下限(4,738,100株)は、本基準株式数(40,902,779株)に係る議決権の数(409,027個)に3分の2を乗じた数(272,685個、小数点以下を切り上げ)から、2025年11月28日現在、当社の取締役が所有する本譲渡制限付株式(注2)(29,895株)に係る議決権の数(298個)及び公開買付者が所有する当社株式(22,500,600株)に係る議決権の数(225,006個)を控除した数(47,381個)に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数(4,738,100株)としているとのことです。これは、本公開買付けにおいて、公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者が当社の総株主の議決権の3分の2以上を所有することとなるように設定したとのことです。
(注2) 本譲渡制限付株式に関しては、譲渡制限が付されていることから本公開買付けに応募することができませんが、2025年11月28日開催の当社取締役会において、上場廃止を前提とした本公開買付けに賛同する意見を表明することを決議しており、当該決議に際しては、当社の取締役11名のうち10名が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員が賛成の議決権を行使していること、並びに、審議及び決議に参加していない取締役からは本公開買付けが成立した場合には本スクイーズアウト手続(以下に定義します。)に賛同する意向の表明を受けていることから、本公開買付けが成立後、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、本臨時株主総会(以下に定義します。)において本譲渡制限付株式の全てについて賛成の議決権行使が行われる見込みであると考えているため、買付予定数の下限を考慮するにあたって、これらの本譲渡制限付株式の数を控除しているとのことです。
一方、公開買付者は、本公開買付けにおいて、当社の発行済株式の全て(ただし、本譲渡制限付株式を含み、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としていることから、本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,738,100株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(ただし、本譲渡制限付株式を含み、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者が当社株式の全て(ただし、本譲渡制限付株式を含み、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けを含む本取引に要する資金を株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。なお、本銀行融資に係る融資条件の詳細は、みずほ銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされているとのことです。
公開買付者は、1933年11月に国産高級カメラの研究・開発を目的とする精機光学研究所として発足し、1937年8月に精機光学工業株式会社として創立したとのことです。その後、1947年9月に商号をキヤノンカメラ株式会社へ変更し、1969年3月に商号を現在のキヤノン株式会社に変更したとのことです。また、公開買付者は、その株式を1949年5月に東京証券取引所市場第一部に上場し、1954年6月に株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)及び証券会員制法人福岡証券取引所(以下「福岡証券取引所」といいます。)、1970年1月に証券会員制法人札幌証券取引所(以下「札幌証券取引所」といいます。)にそれぞれ上場し、1961年10月に名古屋証券取引所市場第一部に指定され、その後、2022年4月の東京証券取引所及び名古屋証券取引所の新市場区分への移行を経て、現在は東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場、札幌証券取引所本則市場及び福岡証券取引所本則市場に上場しているとのことです。
公開買付者グループ(公開買付者並びに公開買付者の子会社及び関連会社をいいます。以下同じです。)は、2025年9月30日現在、公開買付者、当社を含む連結子会社326社及び持分法適用関連会社10社で構成されているとのことです。
公開買付者は、設立当初、カメラの製造・販売を行っていたものの、創立30年を機に事務機事業に進出したことを契機に、事業の多角化を図りながら、グローバル規模で活動を展開してきたとのことです。1996年には、“共生”(注1)の理念のもと、永遠に技術で貢献しつづけ、世界各地で親しまれ尊敬される企業をめざす「グローバル優良企業グループ構想」をスタートさせ、「全体最適」「利益優先」を基本理念に、生産革新や開発革新をはじめとした数々の革新、製品競争力の強化を推進してきたとのことです。その結果、公開買付者は高収益体質への転換に成功し、オフィス複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、レンズ交換式カメラ、半導体露光装置、FPD露光装置等で代表的な一社と認識しているとのことです。
(注1) 「共生」とは、文化、習慣、言語、民族等の違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすことを指すとのことです。
公開買付者は、2021年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅥ」において、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に、産業別グループの事業競争力の徹底強化と本社機能の徹底強化によるグループ生産性の向上に取り組んでいるとのことです。
一方、当社は1954年5月に株式会社秩父英工舎(1964年1月にキヤノン電子株式会社に商号変更。以下「秩父英工舎」といいます。)として創業し、株式の額面金額を500円から50円に変更するため、1947年5月に設立の株式会社櫻商会(1979年7月にキヤノン電子株式会社に商号変更)を形式上の存続会社とし、1980年1月1日を合併期日として吸収合併を行い、現在に至っております。また、当社株式については、1981年8月に東京証券取引所市場第二部に上場、1998年6月に東京証券取引所市場第一部に指定替えされ、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより東京証券取引所プライム市場に移行しております。
本書提出日現在、当社、子会社8社及び持分法適用関連会社1社により構成される企業グループ(以下「当社グループ」といいます。)は、精密機械器具、電子・電気機械器具、光学機械器具、情報機器、コンピュータ・通信機器ソフトウェア等の開発・生産・販売を行っており、以下の「コンポーネント」、「電子情報機器」、「その他」のセグメントで事業を展開しております。また、当社グループは公開買付者グループに属しており、主として公開買付者及びその生産子会社から部品を仕入れ、製造し、公開買付者及びその子会社へ製品の納入を行っております。
主にシャッターユニット(注2)、絞りユニット(注3)、レーザースキャナーユニット(注4)の製造販売を行っております。シャッターユニット及び絞りユニットは、当社が開発・製造・販売を行っております。主な納入先は当社グループ外の得意先及び公開買付者グループになります。レーザースキャナーユニットは、公開買付者から製造を受託し、製品を納めております。
(注2) 「シャッターユニット」とは、カメラのシャッター速度を制御し、撮影時に光量を調整するための機構のことをいいます。
(注3) 「絞りユニット」とは、レンズを通った光の量を制限し、露出を制御するための機構のことをいいます。絞りを操作することで、写真の明るさ、ピントを調整することができます。
(注4) 「レーザースキャナーユニット」とは、レーザー光を用いて物体の距離や形状を測定する計測装置のことをいいます。複合機に搭載されたレーザースキャナーユニットはレーザー光を用いて原稿などをデジタルデータとして生成します。
主にドキュメントスキャナー、ハンディターミナル(注5)、レーザープリンターの製造販売を行っております。ドキュメントスキャナー及びハンディターミナルは、当社が開発・製造を行っており、主に公開買付者グループ販売子会社へ販売しております。レーザープリンターは、公開買付者から製造を受託し、製品を納めております。
(注5) 「ハンディターミナル」とは、バーコードや2次元コードを読み取るデータ収集端末のことをいいます。データをリアルタイムに収集・処理することができるため、電気や水道の検針、自動販売機の販売管理等の業務プロセスで利用されています。
主に製造している製品や提供・販売しているサービスは、顧客情報管理サービス、名刺管理サービス、システム開発・保守・運用、歯科用ミリングマシン(注6)、環境関連機器、血圧計・滅菌器等の医療関連機器、超小型人工衛星・人工衛星搭載のコンポーネント・人工衛星の撮影画像です。
(注6) 「歯科用ミリングマシン」とは、歯の詰め物などを加工する装置のことをいいます。技工所等に設置することで歯科用補綴物の製作を迅速、高精度に支援することができます。
当社グループは、「世界トップレベルの高収益企業を築き、社会に貢献し、世界から尊敬を受ける企業」を目指しており、具体的には、売上高経常利益率15%を達成すべき目標として取り組んでいます。当社グループの関連市場においては、カメラ本体の販売がミラーレスカメラを中心に堅調に推移した一方、当社が取り扱うカメラやプリンターの部品・ユニットでは、市場在庫の過多に伴う在庫調整の影響が残りました。レーザープリンター製品については、アジア圏を中心に需要が増加し、本体の販売が好調に推移いたしました。ドキュメントスキャナー製品は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展やアフターコロナの需要増を受け緩やかな成長が維持され、また、情報システム関連ではDXへの取り組みが引き続き拡大し、金融機関向けのシステム開発等の投資需要が底堅く推移しております。一方、当社グループを取り巻く事業環境は、サステナビリティをはじめとする社会課題への関心の高まりや、コロナ後の新しい社会への対応、複写機、プリンター、ドキュメントスキャナー等の主力製品に関連するオフィス機器市場の成熟等により大きく変化しており、予断を許さない情勢が続いております。そのような状況下で、当社グループは以下の課題に取り組んでいます。
当社グループでは現在、さまざまな成長分野への参入を進めています。宇宙関連分野ではこれまで研究・開発を進め、軌道投入した超小型人工衛星で重ねた実証実験の成果を踏まえて、防衛省との多軌道観測実証衛星の製造・試験の契約を締結する等、事業化へのシフトを着実に進めております。さらに、当社グループの特長である小回りの利く規模、技術を活かし、医療分野の血圧計や滅菌器に加え、環境関連機器、歯科用ミリングマシン等の拡販も進めています。農業分野では、当社で新たに開発した植物工場用自動生産装置(注7)の販売活動を行っています。また、コンポーネント分野では公開買付者の国内グループ会社からモータ事業の移管を受け、事業を拡大しています。このように、当社グループは、数多くのスモールビジネス事業の確立を目指してまいります。
(注7) 「植物工場用自動生産装置」とは、植物工場での栽培作業を自動化・省力化するための装置です。
当社グループでは、これまで長年取り組んできた環境経営への取り組みを基礎として、サステナビリティカンパニーへの進化を推し進めております。また、コンプライアンスの徹底やコーポレートガバナンスの体制強化、サプライチェーンマネジメント、地球温暖化防止への貢献、人権への配慮や多様な人材の確保と育成などにも積極的に取り組み、ESG経営の強化を目的に2023年1月に日本で初めて第三者認証機関であるSGSジャパン株式会社によるESGの体制や活動の認証を取得し、継続したESG経営の質を高める活動を推進するとともに、関連する方針やデータの開示拡充などを行っています。そして、世界的に提唱されている2050年カーボンニュートラルの実現を見据えた対応も重要な課題と考えており、2030年にCO2排出量2013年比46%削減、2050年にCO2排出量実質ゼロの目標を掲げて活動しております。引き続き、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する技術や製品の提供・開発を進めるとともに、気候変動対応など多様なリスクへの対応を進めてまいります。
当社では、人的資本経営の観点から、人的資本の価値を最大化するための取り組みを進めております。さまざまな経験や職歴・スキルを持つキャリア人材の採用を積極的に推進しています。また、それぞれの特性や能力を最大限活かすための教育制度や職場環境を整備し、管理職・経営幹部向けの研修プログラムを運用するなどの方法により、若手の経営感覚を磨くための早期育成を行い、経営の人的基盤を強化しております。さらに、当社では、課長代理職以上の女性管理職比率を2030年に30%とすることを目標に、女性の採用比率が毎年30%超となるよう採用活動を実施しています。従業員の処遇や報酬は、性別や学歴、入社年数といった要素に関わらず、役割と成果、仕事の難易度や責任に応じてこれを決定する「役割給制度」を運用しています。また、従業員がより安全かつ健康的に働ける職場づくりのため、労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、その国際規格である「ISO45001」の認証を国内全事業所と海外2工場で取得しています。経済産業省健康経営優良法人認定制度の健康経営優良法人に5年連続で選出されており、健康第一主義の考え方に基づく取り組みも進めています。
公開買付者と当社の資本関係としては、公開買付者がカメラ用のセルフタイマー等の製造を行っていた秩父英工舎(現当社)の技術を取り入れるため、公開買付者が1956年に秩父英工舎(現当社)の株式の全部を所有したことにより始まり、当社株式が1981年8月に東京証券取引所市場第二部に上場し、同年12月末時点(発行済株式総数:13,000千株)では、公開買付者が当社株式6,576千株を所有(この時点の当社の発行済株式総数に占める所有株式数の割合(以下、各時点の当社の発行済株式総数に占める公開買付者の所有株式数の割合を「持株割合」といい、いずれも小数点以下第三位を四捨五入しております。):50.58%)するに至りました。
その後、当社は1982年1月に株主からの金銭の払込みを受けず資本準備金を組み入れることで新株の発行を行い、公開買付者は、1982年12月末時点(発行済株式総数:16,250千株)で、当社株式8,230千株を所有(持株割合:50.65%)、1983年12月末時点(発行済株式総数:16,939千株)では、当社株式8,684千株を所有(持株割合:51.26%)し、当社が1984年8月に2割の新株の無償交付を行い、1984年12月末時点(発行済株式総数:21,087千株)で、当社株式10,724千株を所有(持株割合:50.86%)、1987年11月に当社が公開買付者に対する有償・第三者割当増資を行い、1987年12月末時点(発行済株式総数:27,264千株)では、当社株式16,894千株を所有(持株割合:61.97%)し、2004年9月に当社株式1,939千株の処分を行い、2004年12月末時点(発行済株式総数:27,647千株)で当社株式14,955千株を所有(持株割合:54.09%)するに至りました。さらに、2007年1月に当社は普通株式1株を1.5株とする株式分割を実施し、公開買付者は、2007年12月末時点(発行済株式総数:41,471千株)で、当社株式22,433千株を所有(持株割合:54.09%)するに至りました。
その後、公開買付者は、2012年12月末時点(発行済株式総数:42,206千株)で、当社株式22,500千株を所有(持株割合:53.31%)するに至り、本書提出日現在においても公開買付者が所有する当社株式数(22,500,600株、所有割合:55.01%)に変更はないとのことです。
公開買付者は、これまで、当社が1981年8月に東京証券取引所市場第二部に上場し、1998年6月に東京証券取引所市場第一部に指定替えされて以来、公開買付者グループ全体最適の観点のもと、その上場を維持することにより、当社の業界における知名度や優秀な人材確保等、上場会社としてのメリットの継続的な享受を主眼に置いてきたとのことです。また同時に、公開買付者は、当社が、公開買付者グループ関連事業のほか、当社の強みである高品質・高生産性を支える多様なものづくりに関わる技術力を活かし、独自事業として小型人工衛星や関連コンポーネントの自社開発等、宇宙事業に取り組んできたものと認識しているとのことです。
しかしながら、公開買付者は、当社の手掛けている事業を取り巻く市場環境が、コンポーネント事業、電子情報機器事業、宇宙事業のいずれにおいても足許で大きく変化しており、また、2019年以降は当社の株価純資産倍率(PBR)も1倍を下回る等、より一層の経営の効率化が求められていると認識しているとのことです。さらには当社の独自事業である宇宙事業の競争力向上のためには既存事業だけでなく、衛星のマルチセンサ化(注8)、事業モデルの垂直統合化(注9)といった、事業領域の拡大を伴った成長の重要性が増しているものと認識しているとのことです。
(注8) 「衛星のマルチセンサ化」とは、衛星に複数の種類のセンサーを搭載することで、それぞれのセンサーから得られる情報を相補的に利用・統合処理することです。
(注9) 「事業モデルの垂直統合化」とは、衛星開発等の上流から衛星データ活用等の下流まで、事業領域を宇宙産業のバリューチェーン全体に拡大することを指します。
公開買付者は、当社の既存事業において、収益性の向上、資本効率の改善等の経営改革を行うとともに、将来の成長を担う一つとして宇宙事業を同時に進展させるためには、M&Aや業務提携によるSARセンサ(注10)やAIを活用した衛星データ解析等の広範囲にわたる技術の獲得、海外を含めた人的ネットワーク、多額の設備投資等も必要と考えているとのことです。とりわけ宇宙事業を軌道に乗せる過程では大きなビジネスリスクが存在するものと考えており、これに対応する経営資源も必要になるものと考えているとのことです。
(注10) 「SARセンサ」とは、マイクロ波を地表面に照射し、地表からの反射波を受信するセンサです。
このような状況下で、当社の事業の競争優位性を確立し、更なる成長性と企業価値の向上を実現するには、当社単独では資金面や海外を含めた人的ネットワークに一定の限界があると考えており、本取引により当社を完全子会社化することで、公開買付者グループ一丸となったM&Aを含む機動的な投資や、公開買付者グループ内の連携強化がこれまで以上に可能になると考えているとのことです。
また、当社の財務状況に鑑みて、資本市場におけるエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は高くないと考えられること、公開買付者と当社の関係性に鑑みれば、公開買付者の完全子会社となる場合も知名度の低下や人材確保が難しくなる可能性は限定的と考えられること、近時の上場維持コストの上昇を踏まえると、今後も継続して上場を維持することの意義は乏しいと考えられること等も、本取引を検討した背景とのことです。
このような問題意識から、公開買付者は、2025年8月上旬に、当社の競争優位性の確立と持続的な成長のためには、公開買付者グループの経営資源の包括的かつ積極的な活用が必須との考えのもと、当社株式が上場を維持して独立した経営を継続するよりも、公開買付者の完全子会社になることで、当社を含む公開買付者グループの経営資源を迅速かつ柔軟に相互活用できる体制を整え、より一体的で緊密に連携した業務運営を行うことが必要であるとの結論に至り、本取引に関する初期的な検討を開始したとのことです。
本取引後は、公開買付者グループは以下の各施策の実行を通じてシナジーの発現を推進する予定とのことです。
公開買付者は、世界の宇宙産業が、今後、技術革新と民間主導の加速により、飛躍的な成長が見込まれる魅力的な産業と認識しているとのことです。かかる中、当社を含む公開買付者グループは、光学技術・生産及び量産技術・衛星打上げ・衛星データ/画像データ販売といった宇宙産業におけるバリューチェーンの多くに関わる企業グループであると認識しており、本取引により、宇宙事業を公開買付者グループ内で一体化させ、スピード感をもって更なる事業成長を実現したいと考えているとのことです。
公開買付者は、当社を含む公開買付者グループの有する国内外工場の相互活用並びに生産配置の最適化による生産性向上や、公開買付者グループの購買力や資金調達力を活かしたコスト競争力のシナジー効果を期待しているとのことです。
公開買付者は、本取引により、公開買付者と当社の一般株主間での構造的な利益相反リスクが解消され、より長期的な視点から企業価値向上に向けた施策に集中して取り組むことが可能になると考えているとのことです。
なお、公開買付者は、本取引の実施に伴う当社の上場廃止のデメリットについてもさらに検討したとのことです。上場廃止に伴い、株式市場における資金調達手段が限定されるといった潜在的なデメリットは想定されますが、2025年6月30日時点における当社の自己資本比率(注11)は85.2%であり、当社の財務状況に鑑みると、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は高くないと考えられるうえ、資金需要が生じた場合には、グループファイナンスの活用等の株式市場における資金調達を代替する手段を活用することが可能であることから、より有利な条件で資金調達できる可能性もあると考えているとのことです。また、公開買付者と当社の関係性に鑑みれば、公開買付者の完全子会社となることで、当社の知名度の低下や人材確保が難しくなる可能性は限定的であり、むしろ採用や人的リソースの確保に好影響を及ぼす可能性も十分あると考えているとのことです。加えて、当社は公開買付者グループの一社と認識されていることから、顧客面においても影響は限定的と想定しているとのことです。さらに、本取引を通じて当社株式を非公開化することにより、上場維持に伴う各種費用(上場料、開示書類の作成費用、株式事務代行機関への委託費用、監査費用等)や当社の業務負荷等が軽減されるものと考えているとのことです。また、既存の株主との資本関係が消失することによって生じるデメリットは特段想定していないとのことです。
(注11) 当社が2025年8月1日に提出した第87期半期報告書に記載された2025年6月30日時点の自己資本比率によります。
公開買付者は、本取引により公開買付者と当社の一層の連携が進むことで、シナジーの発現が期待される一方、当社事業に重大な影響を及ぼすようなディスシナジーは特段生じないと思われ、デメリットをメリットが上回ると考えているとのことです。
こうした認識のもと、公開買付者は、2025年8月上旬より本取引の検討を開始し、2025年8月下旬に公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、みずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、2025年8月下旬に公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業をそれぞれ選任の上、本取引の本格的な検討を進め、2025年8月26日に本取引の実施に向けた検討を開始した旨を当社に通知したとのことです。その後、公開買付者は、2025年9月5日、当社に対し、本取引の概要や本取引後に公開買付者が想定している取り組みを記載した法的拘束力を有していない初期的な意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出したとのことです。
2025年9月17日には、公開買付者は当社より、本意向表明書に関し、同日の当社取締役会決議により本特別委員会(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」で定義します。以下同じです。)を設置した旨の連絡を受けたとのことです。なお、本意向表明書の提出と同時に、公開買付者は、本取引の実現可能性の精査のために当社に対するデュー・ディリジェンスの申入れを行い、当社からは同日にデュー・ディリジェンスを受け入れる旨の回答があったとのことです。公開買付者は、2025年9月下旬から同年10月下旬までデュー・ディリジェンスを実施し、並行して当社及び本特別委員会との間で、当社及び本特別委員会に対し、本取引の意義及び目的並びに当社の完全子会社化後の当社の経営方針を説明するとともに、当社及び本特別委員会との間で、本公開買付けにおける当社1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)についての協議・交渉を続けたとのことです。具体的には、2025年9月5日の本意向表明書の提出により本取引の目的、本取引後の経営関与方針、本取引のスキーム等を提案した後、公開買付者は、2025年10月20日、本特別委員会を通じて、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響及び程度並びに本取引後に予定している経営方針等について書面による回答を行うとともに、同月28日開催の特別委員会において、本特別委員会を通じてヒアリングを受け、これに対する質疑応答を実施したとのことです。その後、公開買付者は、当社及び本特別委員会より、公開買付者が提案・説明した本取引の意義及び目的並びに当社の株主を公開買付者のみとする一連の手続を実施した後の当社の経営方針について、再質問、意見又は提案は受けていないとのことです。
また、公開買付者は、第三者算定機関であるみずほ証券による当社株式価値の試算、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けへの応募の見通し等を勘案し、2025年11月4日に、本公開買付価格を2,930円(なお、本公開買付価格として提案した2,930円は、同提案日の前営業日である2025年10月31日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,701円に対して8.48%(小数点第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、2025年10月31日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,760円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して6.16%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,691円に対して8.88%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,613円に対して12.13%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。なお、本公開買付価格2,930円は、当社において剰余金の配当が行われない前提での価格とのことです。以下、本公開買付価格の提案箇所について同様とのことです。これに対して、公開買付者は、2025年11月7日に、当社から、当該公開買付価格は、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本取引と類似した公開買付けの過去事例と比して低い水準にあり、当社の企業価値が本公開買付価格に十分に反映されておらず、当社の一般株主の利益を追求する観点から、大幅な本公開買付価格の引き上げを要請する旨の回答を受けたとのことです。これを受けて、公開買付者は、2025年11月11日に、当社株式の過去の株価推移及び本公開買付けへの応募の見通し等を勘案し、慎重に検討を重ねた結果、当社に対して、本公開買付価格を3,100円(提案日の前営業日である2025年11月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,644円に対して17.25%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,719円に対して14.01%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,697円に対して14.94%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,625円に対して18.10%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年11月12日に、当社から、当該公開買付価格は、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本取引と類似した公開買付けの過去事例と比して低い水準にあり、依然として当社の企業価値が本公開買付価格に十分に反映されておらず、当社の一般株主の利益を追求する観点から、再度大幅な本公開買付価格の引き上げを要請する旨の回答を受けたとのことです。これを受けて、公開買付者は、2025年11月14日に、当社株式の過去の株価推移及び本公開買付けへの応募の見通し等を勘案し、再度慎重に検討を重ねた結果、当社に対して、本公開買付価格を3,250円(提案日の前営業日である2025年11月13日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,683円に対して21.13%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,714円に対して19.75%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,698円に対して20.46%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,627円に対して23.72%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年11月17日に、当社から、当該公開買付価格は、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本取引と類似した公開買付けの過去事例と比して低い水準にあり、依然として当社の企業価値が本公開買付価格に十分に反映されておらず、当社の一般株主の利益を追求する観点から、再度大幅な本公開買付価格の引き上げを要請する旨の回答を受けたとのことです。これを受けて、公開買付者は、2025年11月19日に、当社株式の過去の株価推移及び本公開買付けへの応募の見通し等を勘案し、再度慎重に検討を重ねた結果、当社に対して、本公開買付価格を3,370円(提案日の前営業日である2025年11月18日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,610円に対して29.12%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,698円に対して24.91%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,702円に対して24.72%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,631円に対して28.09%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年11月20日に、当社から、当該公開買付価格は、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本取引と類似した公開買付けの過去事例と比して低い水準にあり、依然として当社の企業価値が本公開買付価格に十分に反映されておらず、当社の一般株主の利益を追求する観点から、再度大幅な本公開買付価格の引き上げを要請する旨の回答を受けたとのことです。これを受けて、公開買付者は、2025年11月21日に、当社株式の過去の株価推移及び本公開買付けへの応募の見通し等を勘案し、再度慎重に検討を重ねた結果、当社に対して、本公開買付価格を3,500円(提案日の前営業日である2025年11月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,644円に対して32.38%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,689円に対して30.16%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,703円に対して29.49%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,632円に対して32.98%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年11月25日に、当社から、当該公開買付価格は、現時点及び過去一定期間の株価に対するプレミアム水準が本取引と類似した公開買付けの過去事例と比して低い水準にあり、当社の企業価値が本公開買付価格に十分に反映されておらず、当社の一般株主の利益を追求する観点から、再度本公開買付価格の引き上げを要請する旨の回答を受けたとのことです。これを受けて、公開買付者は、同日に、当社株式の過去の株価推移及び本公開買付けへの応募の見通し等を勘案し、再度慎重に検討を重ねた結果、当社に対して、本公開買付価格を3,650円(提案日の前営業日である2025年11月21日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,670円に対して36.70%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,684円に対して35.99%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,705円に対して34.94%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,634円に対して38.57%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする最終の提案を行いました。これに対して、公開買付者は、2025年11月26日に、当社から、最終的な意思決定は2025年11月28日開催予定の当社取締役会の決議によることを前提として、本公開買付価格を3,650円とすることについて内諾する旨の回答を受けたとのことです。
以上の経緯、その後の協議・交渉を経て、公開買付者は、2025年11月28日開催の取締役会において、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、本公開買付価格を3,650円とする本公開買付けを実施することを決議したとのことです。
公開買付者は、本取引後における当社の経営方針について、当社の役職員が一丸となってこれまで築き上げてきたブランド・事業基盤を生かしつつ、公開買付者グループが有する経営資源やネットワークを提供することにより、当社を含む公開買付者グループの企業価値向上に資する経営を推進していく予定とのことです。
また、上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社を含む公開買付者グループの更なる成長性と企業価値の向上を実現するべく、公開買付者グループが一丸となりM&Aを含む機動的な投資やグループ内の連携強化に取り組んでいくとのことです。
本取引後の当社の経営体制(取締役会の構成及び員数並びに執行役員の人数等を含みます。)については、現在の経営体制を尊重することを基本とし、変更や追加の役員派遣の要否については検討を開始していないが、具体的な役員構成やその他の経営体制については当社と協議の上、今後決定していきたいと考えているとのことです。なお、公開買付者は、当社の取引先との関係について、現時点では変更を予定していないとのことです。
当社は、公開買付者から2025年9月5日に、本意向表明書を受領いたしました。これに対して、当社は、本取引の検討並びに公開買付者との本取引に係る協議及び交渉を行うにあたり、公開買付者が当社の支配株主(親会社)であり、本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、2025年9月上旬に、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして島田法律事務所をそれぞれ選任いたしました。そして、当社は、本取引の公正性を担保するため、島田法律事務所から受けた本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定に関する留意点等についての法的助言を踏まえ、当社の企業価値向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から、公開買付者及び当社並びに本取引の成否から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための社内における検討体制の構築(なお、社内における検討体制の構築の詳細については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」をご参照ください。)を開始しました。
具体的には、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2025年9月17日の取締役会決議により、戸苅利和氏(当社独立社外取締役、財形住宅金融株式会社代表取締役会長、公益社団法人日本看護家政紹介事業協会会長、株式会社LDH JAPAN社外監査役)、前川篤氏(当社独立社外取締役、MAEK Lab合同会社社長、大阪大学招聘教授、静岡理工科大学総合技術研究所客員教授)、山上圭子氏(当社独立社外取締役、東京靖和綜合法律事務所客員弁護士、デンヨー株式会社社外取締役(監査等委員)、ジオリーブグループ株式会社社外取締役)の3名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置いたしました。本特別委員会の構成、付与された権限並びに検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。
また、当社は、本特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券並びに当社のリーガル・アドバイザーである島田法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。
さらに、当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております(かかる検討体制の詳細については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」をご参照ください。)。
上記「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」のとおり検討体制を構築したうえで、当社は、野村證券から当社株式の価値算定結果に関する報告、公開買付者との交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を受けるとともに、島田法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応についてのガイダンスその他の法的助言を受け、これらを踏まえ、本特別委員会の意見の内容を最大限尊重しながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に協議及び検討を行ってまいりました。
また、当社は、2025年9月17日の取締役会の決議により本特別委員会を設置して以降、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件について継続的に協議及び交渉を行ってまいりました。
具体的には、当社及び本特別委員会は2025年10月9日に公開買付者に対し本取引を実施する目的・理由、本取引によって見込まれるメリット・デメリット、本取引後の経営方針・ガバナンス、本取引のストラクチャー及び実施時期等の内容についての質問事項を書面により送付の上、本特別委員会の場における回答及び説明を要請いたしました。同月20日に公開買付者から書面による回答を受領し、同月23日開催の特別委員会において、公開買付者からの当該質問事項に対する回答を確認したうえで、同月28日開催の特別委員会において、公開買付者に対して質疑応答を行いました。
また、当社及び本特別委員会は、2025年11月4日以降、公開買付者との間で、本公開買付価格に関して複数回にわたる交渉を重ねてまいりました。具体的には、2025年11月4日、当社は、公開買付者より、当社の開示した財務情報等の資料に基づく当社の事業及び財務状況の分析結果、当社株式の過去の株価推移に係る分析結果及び本公開買付けに対する応募の見通し等の各種要素を総合的に勘案し、本公開買付価格を当社による期末配当が行われないことを前提として2,930円とする提案を受領いたしました。公開買付者からの提案に対し、同月7日、当社及び本特別委員会は、当該提案価格は本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを要請いたしました。その後、同月11日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,100円とする再提案を受領いたしました。公開買付者からの再提案に対し、同月12日、当社及び本特別委員会は、当該提案価格は依然として本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを再度要請いたしました。その後、同月14日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,250円とする再提案を受領いたしました。公開買付者からの再提案に対し、同月17日、当社及び本特別委員会は、当該提案価格は依然として本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを再度要請いたしました。その後、同月19日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,370円とする再提案を受領いたしました。公開買付者からの再提案に対し、同月20日、当社及び本特別委員会は、当該提案価格は依然として本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを再度要請いたしました。その後、同月21日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,500円とする再提案を受領いたしました。公開買付者からの再提案に対し、同月25日、当社及び本特別委員会は、当該提案価格は本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の引き上げを再度要請いたしました。その後、同月25日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,650円とする最終提案を受領いたしました。そして、同月26日、当社及び本特別委員会は、公開買付者に対して、当社としての本取引に対する最終的な意思決定は2025年11月28日に開催予定の取締役会での決議によることを前提として、公開買付者の提案を応諾する旨の回答を行い、本公開買付価格を3,650円とすることで合意に至りました。
以上の経緯の下で、当社は、2025年11月28日開催の当社取締役会において、島田法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言及び2025年11月27日付で野村證券から提出を受けた当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(野村證券)」といいます。)の内容を踏まえつつ、2025年11月28日付で本特別委員会から提出を受けた答申書(以下「本答申書」といいます。)において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討を行いました。
上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社グループを取り巻く事業環境が変化する中で、様々な事業課題にタイムリーに対応しながら、カーボンニュートラルをはじめとする社会課題の解決に貢献するためには、当社と公開買付者が一層の一体感とスピード感を持って連携し、これまで実行してきた取り組みにとどまらず、さらに強固な事業上の相互連携を実現する必要が生じていると考えております。
他方で、当社は独立した上場会社であるため、公開買付者以外の一般株主にも配慮しつつ、当社単独として適切な意思決定・機関決定プロセスを経る必要があり、公開買付者との経営資源の相互活用については、公開買付者と当社の一般株主との間の構造的な利益相反や当社の独立性の確保の観点から、一定の制約や限界が存在しておりました。本取引後においては、そうした制約を回避し、相互連携を深化させることで、以下のようなシナジーの実現に繋がるものと考えております。
Ⅰ.宇宙関連分野における事業拡大
公開買付者と当社がともに上場企業であることから、経営の独立性や一般株主の利益を考慮する観点で、人工衛星開発における連携は限定的となっていましたが、本取引後に公開買付者グループとの連携を深化させることで、公開買付者グループの有するセンサーやカメラなどの光学技術や研究開発力を活かすとともに、業界全体で成長が見込まれる宇宙関連分野において公開買付者グループの資金力を活用できれば、市場成長の機会を逃さない戦略的かつ機動的な投資が可能になり、製品の品質向上や研究開発を加速させることができると考えております。さらに、人工衛星製造においては、衛星コンステレーション(注1)の構築を担う企業からの大量受注の獲得に向けて、公開買付者グループの生産拠点や量産化技術を活用することで、価格競争力の高い人工衛星の製造が可能になると考えており、当社の宇宙関連分野におけるビジネス機会の獲得及び事業拡大に資すると考えております。
また、今後宇宙関連分野の事業拡大を目指すにあたって、公開買付者グループのグローバルな顧客網や官公庁とのネットワークを活用することで、宇宙関連分野におけるビジネスの機会を捕捉できる蓋然性が高まると考えております。宇宙関連分野の事業は、官民一体で推進する必要があるため、今後宇宙関連分野の事業を成長させるためには、これまで以上に官公庁との連携を強化する必要があると考えておりますが、公開買付者グループがこれまで企業団体の幹部としての活動で培ってきた官公庁との関係性やノウハウを活かすことができると考えております。さらに、今後海外への宇宙関連分野の事業展開を検討するうえで、公開買付者グループの有するグローバルな販売網や顧客ネットワークを活用することで、成長産業である宇宙関連分野の市場ニーズをタイムリーに捉えることのできる可能性が高まり、当社の事業拡大に資すると考えております。
(注1) 「衛星コンステレーション」とは、多数の人工衛星を同じ軌道上に配置し、一体的に運用する技術構想です。
Ⅱ.コンポーネント事業・電子情報機器事業における連携強化
これまでコンポーネント事業、電子情報機器事業で、公開買付者グループ(当社グループを除きます。)から当社グループが製造を受託していた取引に関し、本取引後に公開買付者グループとより一層の連携強化が可能となり、より多くの情報が当社グループへ共有される体制となることで、公開買付者グループの顧客による製品に関するフィードバックの共有等を受けて当社グループの製品開発等に活かすことができると考えております。また、当社グループが公開買付者グループ(当社グループを除きます。)から製造のみを受託していた取引について、公開買付者グループとの連携の深化に伴い、本取引後には当社グループとして主体的に開発や顧客折衝を担う等の取引形態の変化も期待でき、当社グループの事業領域の拡大に繋がると考えております。
さらに、当社グループと公開買付者グループではない顧客との独自の取引においても、公開買付者グループとの連携強化を通じて得られるメリットは、製品品質向上や製品開発等の面で活かすことができ、当社グループの事業及び収益の拡大に寄与するものと考えております。
Ⅲ.生産拠点の連携強化や経営資源の活用による生産効率の向上・コスト低減
本取引を通じ、公開買付者と一般株主との利益相反への懸念や当社の独立性の確保といった制約にとらわれず、当社グループを含む公開買付者グループの経営資源をこれまで以上に相互活用することで、生産体制の効率化・最適化が期待できると考えております。当社グループを含む公開買付者グループが有する国内外の生産拠点の相互活用を推進し、生産協力体制を一層強化することにより、当社グループを含む公開買付者グループの更なる生産効率の向上並びに当社グループの生産拠点の稼働率の向上が図られ、これらを通じたコスト優位性の強化が可能になると考えております。また、生産材や副資材、治工具関連の調達に関して、生産拠点の相互活用、共同購買及び物流最適化などを通じて、公開買付者グループの購買力や物流網を活用したサプライチェーンの効率化によるコストダウン効果を得ることができると考えております。
Ⅳ.人材交流の拡大による当社グループの組織力強化
これまで、公開買付者グループ(当社グループを除きます。)と当社グループとの間で行われてきた人材交流は、公開買付者と当社がいずれも上場企業であることから、当社経営の独立性確保や一般株主との利益相反に配慮する必要があることを踏まえて限定的な運用となっておりましたが、本取引後に当社が公開買付者の完全子会社となることで、更なる人材交流が可能になると考えております。例えば、海外への事業展開にあたっては、公開買付者グループ(当社グループを除きます。)と当社グループとの間の人材交流や公開買付者グループ(当社グループを除きます。)と当社グループが一体となった人材の採用・育成により、更なるビジネス機会の捕捉に繋げられる可能性があると考えております。
一方で、上場廃止に伴う一般的なデメリットとして、資本市場から資金調達を行うことができなくなることや、上場会社として享受してきた知名度や信用力、人材の確保に影響を及ぼす可能性が想定されますが、当社の現在の財務状況等を考慮するとエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれず、これまでの長きにわたる事業活動や社会活動を通じて、従業員や取引先を含めた多数のステークホルダーとの信頼関係を構築出来ていると考えております。また、公開買付者の有する高い社会的信用及び認知度に照らすと、公開買付者の完全子会社になったとしても、上場会社である現状と比して当社の社会的信用や採用活動への悪影響が生じることは考えにくいことからも、本取引を通じた非公開化のデメリットは限定的であると考えております。なお、本取引が実施された場合には、公開買付者以外の既存株主との資本関係は解消することとなるものの、現状においても当該既存株主との間に取引がある場合には独立当事者間として取引が行われていることを踏まえると、既存株主との取引が減少する懸念等は限定的であると考えております。
また、当社は、以下の点等から、本公開買付価格は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると総合的に判断いたしました。
Ⅰ.下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられたうえで、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で真摯な交渉を重ねた結果合意された価格であること。
Ⅱ.下記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている、野村證券による当社株式の株式価値算定結果のうち、市場株価平均法による算定結果の上限値を上回り、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果の範囲内にあること。
Ⅲ.下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅲ)判断内容」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性は確保されていると判断されていること。
Ⅳ.本公開買付価格である3,650円は、本公開買付けの実施についての公表日(2025年11月28日)の前営業日である2025年11月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,736円に対して33.41%、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,664円に対して37.01%、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,711円に対して34.64%、及び直近6ヶ月間の終値単純平均値2,638円に対して38.36%のプレミアムを加えた価格であること。
当該プレミアム水準について、直近のプレミアムの傾向を参照する観点から2022年1月1日以降に公表され、2025年11月27日までに決済が完了している親会社による上場子会社の完全子会社化を目的とした公開買付けの事例(以下「参照事例」といいます。)44件におけるプレミアム水準(公表日の前営業日の終値、公表前1ヶ月間、公表前3ヶ月間、公表前6ヶ月間の終値単純平均値それぞれからのプレミアムの平均値(それぞれ38.65%、41.06%、40.30%、39.07%)及び中央値(それぞれ38.78%、40.90%、41.23%、36.70%))と比較して、本公開買付価格に係るプレミアム(公表日の前営業日、直近1ヶ月間、直近3ヶ月間、直近6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対して33.41%、37.01%、34.64%、38.36%)は、参照事例において、33.41%、37.01%、34.64%、38.36%を下回るプレミアム水準の案件がそれぞれ16件、16件、15件、24件存在していることから、参照事例と遜色ないプレミアムが付されたものといえること。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年11月28日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
当該取締役会の意思決定過程の詳細については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、当社取締役会における本公開買付価格に関する意思決定の公正性を担保するために、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券に対し、当社の株式価値の算定を依頼し、2025年11月27日付で、本株式価値算定書(野村證券)を取得いたしました。(注1)
野村證券は、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本特別委員会は、初回の会合において、野村證券の独立性及び専門性に問題がないことを確認したうえで、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認しております。なお、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、当社及び公開買付者において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
本取引に係る野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案すれば、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって野村證券の独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により野村證券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。
野村證券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値を多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価平均法を用い、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行いました。
野村證券によれば、当社株式の株式価値算定にあたり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価平均法 :2,638円~2,736円
DCF法 :2,572円~4,345円
市場株価平均法では、2025年11月27日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の算定基準日終値2,736円、直近5営業日の終値単純平均値2,680円、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,664円、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,711円、直近6ヶ月間の終値単純平均値2,638円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,638円~2,736円と算定しております。
DCF法では、野村證券がDCF法による算定の前提とした財務予測は、コンポーネントや電子情報機器等の事業において、直近までの業績及び将来成長のための各施策を勘案のうえで、本取引の検討を目的として当社が作成したものであり、合理的に将来予測が可能な期間として、2025年12月期から2028年12月期までを予測期間としております。野村證券は、当社が作成した2025年12月期から2028年12月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年12月期第4四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて算出した企業価値に、当社が保有する現金及び預金の価値を加算する等財務上の一定の調整を行って、株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,572円~4,345円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、7.25%~8.25%を採用しております。また、継続価値の算定にあたっては、永久成長率法及びマルチプル法に基づき37,095百万円~117,287百万円と算定しております。永久成長率法においては、当社を取り巻く長期的な経済見通し等を踏まえて永久成長率-0.25%~0.25%、マルチプル法においては、M&Aにおける算定実務において一般的である償却前営業利益(以下「EBITDA」といいます。)の倍率(以下「EBITDAマルチプル」といいます。)を採用し、当社の直近及び過去のEBITDAマルチプルの水準等を踏まえ2.5倍~4.5倍としております。
なお、本事業計画は、公開買付者から独立した役職員8名(具体的には、当社取締役2名(橋元健氏及び大北浩之氏)並びに職員6名)によって作成されており、作成過程において公開買付者が関与した事実はございません。本特別委員会は、本事業計画を作成するにあたり、事業計画案の内容及び重要な前提条件等について説明を受けるとともに、最終的な本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしています。
野村證券がDCF法で算定の前提とした当社財務予測の具体的な数値は以下のとおりであり、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2026年12月期においては、設備投資額の増加に伴い、フリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでおり、2028年12月期においては、設備投資額の減少により、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、算定時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予測には加味されておりません。
| (単位:百万円) | ||||
| 2025年12月期 (3ヶ月) |
2026年12月期 | 2027年12月期 | 2028年12月期 | |
| 売上高 | 27,801 | 106,603 | 114,439 | 120,063 |
| 営業利益 | 3,893 | 10,660 | 11,413 | 12,006 |
| EBITDA | 4,234 | 13,102 | 14,494 | 15,083 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 4,511 | 2,633 | 3,309 | 6,396 |
(注1) 野村證券は、当社株式の株式価値の算定に際して、本事業計画を含む公開情報及び当社から提供を受けた一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。当社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。当社の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、当社の勝山陽氏を除く経営陣により算定時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。野村證券の算定は2025年11月27日までに野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、野村證券の算定は、当社の取締役会が当社の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対して、当社の株式価値算定を依頼したとのことです。なお、みずほ証券は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。みずほ証券のグループ会社であるみずほ銀行は、公開買付者及び当社の株主たる地位を有しているほか、公開買付者及び当社に対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を行っており、公開買付者に対して、本公開買付けに係る決済に要する資金を貸し付けることを予定しているとのことです。また、みずほ証券のグループ会社であるみずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託銀行」といいます。)は、公開買付者及び当社の株主たる地位を有しているほか、公開買付者及び当社に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っているとのことですが、みずほ証券によれば、みずほ証券は金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)第36条及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行との間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の株主及び貸付人の地位、また、みずほ信託銀行の株主及び貸付人の地位とは独立した立場で算定を行っているとのことです。公開買付者は、みずほ証券とみずほ銀行及びみずほ信託銀行との間で情報隔壁措置等の適切な弊害防止措置が講じられていること、公開買付者とみずほ証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているため、みずほ証券は第三者算定機関としての独立性が確保されていること、みずほ証券は過去の同種事案の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、みずほ証券を独立した第三者算定機関として選定したとのことです。
また、公開買付者は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の諸要素を総合的に考慮し、当社の一般株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、みずほ証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
みずほ証券は、当社の財務状況、当社株式の市場株価の動向等について検討を行ったうえで、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を検討した結果、市場株価基準法、類似企業比較法及びDCF法の各手法を用いて当社株式の価値算定を行い、公開買付者は、みずほ証券から2025年11月27日付で当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(みずほ証券)」といいます。)を取得したとのことです。
上記各手法において算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりとのことです。
市場株価基準法 :2,638円から2,736円
類似企業比較法 :2,774円から3,265円
DCF法 :2,717円から4,044円
市場株価基準法では、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年11月27日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における算定基準日の終値2,736円、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,664円、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,711円及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,638円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を2,638円から2,736円と算定しているとのことです。
類似企業比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて当社の株式価値を算定し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を2,774円から3,265円と算定しているとのことです。
DCF法では、当社から提供を受けた事業計画(2025年12月期から2028年12月期)を基礎とし、直近までの業績の動向、公開買付者が当社に対して2025年9月下旬から同年10月下旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年12月期第4四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を2,717円から4,044円と算定しているとのことです。なお、上記DCF法の算定の基礎となる当社の事業計画は、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれていないが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2025年12月期から2028年12月期の各期において、生産エリア拡大や新拠点設立等を目的とした設備投資額の増減が主因となり、対前年度比較においてフリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいるとのことです。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上記算定には加味していないとのことです。
公開買付者は、みずほ証券から取得した本株式価値算定書(みずほ証券)の算定結果に加え、当社に対して2025年9月下旬から同年10月下旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、当社株式の市場株価の動向、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果を踏まえ、最終的に2025年11月28日開催の取締役会において本公開買付価格を3,650円とすることを決定したとのことです。
なお、本公開買付価格である3,650円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年11月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,736円に対して33.41%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,664円に対して37.01%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,711円に対して34.64%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値2,638円に対して38.36%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。
また、本公開買付価格である3,650円は、本書提出日の前営業日である2025年11月28日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,756円に対して32.44%のプレミアムを加えた価格となるとのことです。
みずほ証券は、当社の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報が、全て正確かつ完全なものであること、また本公開買付価格の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でみずほ証券に対して未開示の事実はないこと等を前提としてこれに依拠しており、独自にそれらの正確性の検証を行っていないとのことです。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点での得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成され、公開買付者の経営陣がその内容を精査したうえでみずほ証券による価値算定において使用することを了承したことを前提としているとのことです。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。みずほ証券の算定は、2025年11月27日までの上記情報を反映したものとのことです。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を予定しているとのことですので、当該手続が実施された場合には、当社株式は当該基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。
公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式の全て(ただし、本譲渡制限付株式を含み、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法による本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対し本株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により本株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、本株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。この場合、売渡株主がそれぞれ所有していた当社株式1株当たりの対価として、公開買付者は、当該各売渡株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。
なお、当社は、公開買付者より本株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会において本株式売渡請求を承認する予定です。なお、本書提出日現在においては、取得日は2026年3月下旬頃を予定しているとのことです。
株式売渡請求に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
なお、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合において、本株式売渡請求に係る当社株式の取得が2026年3月31日までに完了することが見込まれる場合には、本公開買付け成立後最初に招集される当社の定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使することができる株主を、公開買付者のみとするため、当該取得の完了日以降2026年3月31日までに臨時株主総会により、定時株主総会を毎年3月に招集する旨の定めを削除するとともに、定時株主総会の議決権の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行う予定です。そのため、当社の2025年12月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総会において権利を行使できない可能性があります。
本公開買付けの成立後、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、会社法第180条に基づき、当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。また、本書提出日現在においては、本臨時株主総会の開催日は、2026年3月下旬頃を予定しているとのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになるとのことです。公開買付者は、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定したうえで、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、本株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者のみが当社株式の全て(ただし、本譲渡制限付株式を含み、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう当社に対して要請する予定とのことです。なお、当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
株式併合に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。
上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。
上記の①株式売渡請求及び②株式併合の各手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。
なお、本譲渡制限付株式については、本譲渡制限付株式に係る割当契約書(以下「本割当契約書」といいます。)において、(a)譲渡制限期間中に、会社法第180条に規定する株式併合に関する事項が当社の株主総会で承認された場合又は会社法第179条に規定する株式売渡請求に関する事項が当社の取締役会で承認された場合(ただし、会社法第180条第2項第2号に定める株式併合の効力発生日又は会社法第179条の2第1項第5号に規定する特別支配株主が売渡株式等を取得する日(以下「スクイーズアウト効力発生日」といいます。)が譲渡制限期間の満了時より前に到来するときに限ります。)には、当社取締役会の決議により、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時をもって、本譲渡制限付株式のうち本割当契約書に基づき算出される数について、譲渡制限を解除するとされており、(b)上記(a)に規定する場合は、当社は、スクイーズアウト効力発生日の前営業日をもって、同日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式の全部を当然に無償で取得するとされております。そのため、本スクイーズアウト手続においては、上記割当契約書の(a)の規定に従い、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時において譲渡制限が解除された本譲渡制限付株式については、株式売渡請求又は株式併合の対象とし、上記割当契約書の(b)の規定に従い、スクイーズアウト効力発生日の前営業日をもって譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式については、当社において無償取得する予定です。
なお、本公開買付けの成立後、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合において、本臨時株主総会が2026年3月31日までに開催されることが見込まれる場合には、本定時株主総会で権利を行使することができる株主を、公開買付者のみとするため、本臨時株主総会において、定時株主総会を毎年3月に招集する旨の定めを削除するとともに、本スクイーズアウトの手続が完了していることを条件として、定時株主総会の議決権の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行う予定です。そのため、当社の2025年12月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総会において権利を行使できない可能性があります。
以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、決定次第、速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ないとのことです。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
公開買付者及び当社は、公開買付者が当社の支配株主(親会社)であり、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本公開買付けの公正性を担保するため、以下の措置を講じております。
なお、公開買付者は、本書提出日現在、当社株式22,500,600株(所有割合:55.01%)を所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の一般株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付けの公正性を担保するための措置として、以下の措置が講じられていることから、公開買付者及び当社としては、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。また、本特別委員会は、本答申書において、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されていないものの、他の充実した公正性担保措置が取られ、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると評価しております。
以下の記載のうち公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関としてファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼し、2025年11月27日付で本株式価値算定書(みずほ証券)を取得したとのことです。詳細については、上記「(3) 算定に関する事項」の「② 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
当社は、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券を選任し、当社株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言を受けるとともに、2025年11月27日付で本株式価値算定書(野村證券)を取得しております。なお、野村證券は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年9月17日開催の取締役会において、特別委員会の委員の候補となる当社の社外取締役について、公開買付者及び当社との間で利害関係を有しておらず、また本取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していないことに加え、委員としての適格性を有することを確認したうえで、戸苅利和氏(当社独立社外取締役、財形住宅金融株式会社代表取締役会長、公益社団法人日本看護家政紹介事業協会会長、株式会社LDH JAPAN社外監査役)、前川篤氏(当社独立社外取締役、MAEK Lab合同会社社長、大阪大学招聘教授、静岡理工科大学総合技術研究所客員教授)、山上圭子氏(当社独立社外取締役、東京靖和綜合法律事務所客員弁護士、デンヨー株式会社社外取締役(監査等委員)、ジオリーブグループ株式会社社外取締役)の3名から構成される本特別委員会を設置いたしました。当社の独立社外取締役は5名ですが、独立社外取締役の全員を委員とするのではなく、戸苅利和氏、前川篤氏、山上圭子氏の3名を委員とする会議体とすることで本取引に係る検討・交渉等を機動的かつ効率的に行い、かつ、戸苅利和氏、前川篤氏、山上圭子氏の3名の委員によって、企業経営、財務・ファイナンス、法務・リスクマネジメント及びグローバル経験等の観点から、本取引に係る検討・交渉等に関して必要かつ十分な経験及び知見を確保できると考えたため、当該3名を本特別委員会の委員として選定しました。なお、本特別委員会の委員は設置当初から変更しておらず、互選により、本特別委員会の委員長として、戸苅利和氏を選定しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
当社取締役会は、2025年9月17日開催の取締役会において、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含みます。)、(ⅱ)本取引の取引条件(本取引における本公開買付価格を含みます。)の公正性・妥当性、(ⅲ)本取引の手続の公正性、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)その他の事項を前提に、本取引が当社の一般株主にとって公正なものであると考えられるか、(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえて当社取締役会が本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)を諮問いたしました。また、当社は、上記の取締役会において、(ⅰ)当社取締役会は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うこと、(ⅱ)本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当該取引条件による本取引に賛同しないことを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)本特別委員会の財務アドバイザー・第三者評価機関や法務アドバイザー(以下「アドバイザー等」といいます。)を選任し、又は当社のアドバイザー等を指名しもしくは承認(事後承認を含みます。)する権限、(ⅱ)本取引の取引条件等に関する当社による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与する権限、(ⅲ)当社の社内体制を承認することができる権限(事後承認を含みます。)、(ⅳ)本取引に関係する当社の役員もしくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザー等に対して、本特別委員会への出席を要求し、必要な事項について説明を求める権限、(ⅴ)講じる公正性担保措置を決定する権限を付与することを決議しております。
本特別委員会は、2025年9月25日より同年11月27日までの間に合計11回、合計約20時間にわたって開催され、必要に応じて都度電子メール又は電話連絡を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定を行うなどして、本諮問事項について、慎重に協議及び検討を行いました。
具体的には、本特別委員会は、まず、2025年9月25日、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券並びに当社のリーガル・アドバイザーである島田法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認するとともに、本特別委員会としても、必要に応じてこれらのアドバイザーから専門的助言を受けることに異議がないことを確認しております。
さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことを確認の上、承認をしております。
そのうえで、本特別委員会は、島田法律事務所から聴取した意見を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。
本特別委員会は、公開買付者に対して、本取引を実施する目的・理由、本取引によって見込まれるメリット・デメリット、本取引後の経営方針・ガバナンス、本取引のストラクチャー及び実施時期、本取引の手続・条件等について、書面による質問を送付し、これらの事項について、公開買付者から書面で回答を受けて、これらの事項について質疑応答、協議を行っております。また、本特別委員会は、橋元健氏(当社代表取締役社長)及び大北浩之氏(当社取締役)に対して本特別委員会への出席を求め、本取引の意義等、本取引の実施時期・方法、本取引後の当社の経営方針・ガバナンス等、当社の株式価値の考え方、その他の事項等について当社経営陣としての見解及び関連する情報を聴取するとともに、これらの事項について質疑応答を行っております。
加えて、本特別委員会は、本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしております。そのうえで、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、野村證券は、本事業計画を前提として当社株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、野村證券から、実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受け、質疑応答及び審議・検討を行ったうえで、これらの事項について合理性を確認しております。
また、本特別委員会は、公開買付者との交渉方針について、野村證券及び島田法律事務所から聴取した意見も踏まえて審議・検討を行い、交渉方針を決定いたしました。また、本特別委員会は、2025年11月4日に公開買付者から本公開買付価格を1株当たり2,930円とすることを含む最初の価格提案を受領して以降、当社が公開買付者から価格提案を受領する都度、直ちにその内容について報告を受け、公開買付者に対する交渉方針及び回答書について事前に説明を受け、野村證券及び島田法律事務所から聴取した意見も踏まえて審議・検討を行ったうえで、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請するべき旨を意見する等しており、当社と公開買付者との間の本公開買付価格に関する協議・交渉過程に実質的に関与いたしました。その結果、当社は、同年11月25日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり3,650円とすることを含む提案を受け、結果として、計5回、最初の価格提案から24.57%(小数点第三位を四捨五入しております。)の価格の引き上げを受けるに至っております。
さらに、本特別委員会は、野村證券及び島田法律事務所から、複数回、当社が開示又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリース等のドラフトの内容について説明を受け、質疑応答を行い、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
本特別委員会は、以上の経緯の下で、島田法律事務所から受けた法的助言、並びに野村證券から受けた財務的見地からの助言、2025年11月27日付で提出を受けた本株式価値算定書(野村證券)の内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年11月28日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。
(a) 答申の内容
Ⅰ 本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであって、その目的は正当性・合理性を有すると認められる。
Ⅱ 本取引の取引条件(本取引における公開買付価格を含む。)の公正性・妥当性は確保されていると認められる。
Ⅲ 本取引に係る手続は公正なものであると認められる。
Ⅳ 本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると認められる。
Ⅴ 当社取締役会は、本公開買付けに対して賛同する意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することが適切である。
(b) 答申の理由
(b)-1 検討の方針及び順序
(1) 本取引の特性を踏まえた検討の方針
本取引は、当社の親会社かつ支配株主である公開買付者が、当社の完全子会社化を目的として行うものであり、その結果として当社株式が上場廃止となることが見込まれる。すなわち、本取引のうち本公開買付けは、支配株主による公開買付けであり、また、本取引のうち本スクイーズアウト手続は、支配株主が関連する株式併合又は株式売渡請求の承認である。
そうすると、本取引は、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が内在する類型の取引であるということができるから、当委員会は、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保する観点から、公開買付者その他の関係者及び本取引から独立した立場において、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の利益を確保すべく、M&A指針を参考にしながら、本諮問事項につき検討することとした。
(2) 各諮問事項の意義を踏まえた検討の順序
M&A指針においては、M&Aを行う上で尊重されるべき原則として、次の2つが掲げられている。
・ 第1原則:企業価値の向上(望ましいM&Aか否かは、企業価値を向上させるか否かを基準に判断されるべきである。)
・ 第2原則:公正な手続を通じた一般株主の利益の確保(M&Aは、公正な手続を通じて行われることにより、一般株主が享受すべき利益が確保されるべきである。)
これらの原則は、第1原則を満たした企業価値の向上に資するM&Aであることを前提に、これを実施するに当たっては、第2原則に則り、公正な手続を通じて行われることにより一般株主の利益が確保されるべきであるという関係に立つものである。また、これらの原則はM&A一般に当てはまるものであるが、支配株主による従属会社の買収においては、一般のM&Aに比して特に第2原則の重要性が一層増すと考えられる(以上につき、M&A指針2.3)。
本諮問事項は5つの事項からなるが、本諮問事項①は、基本的に、上記において第1原則とされている企業価値の向上の要請を満たすものかどうかの検討を求めるものと解される。本諮問事項②及び③は上記の第2原則に関わるものであり、本諮問事項②は、取引条件の内容に着目して、それが一般株主の利益の確保という見地から公正性及び妥当性が認められるかどうかの検討を求めるものであり、本諮問事項③は、取引条件の形成過程を含む本取引の手続に着目して、本取引の具体的状況に応じて、公正な手続を構成する実務上の具体的対応である公正性担保措置が適切に講じられているかどうかの検討を求めるものであると解される。
本諮問事項④は、本諮問事項①ないし③に係る検討等を総合して、本取引が当社の一般株主にとって公正なものであると認められるかどうかを問うものである。そして、本取引の一般株主にとっての公正性が認められる場合には、本諮問事項⑤については、取締役会が本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは、いずれも適切であることになると考えられる。
そこで、以下では、後記(b)-2ないし(b)-4において、本諮問事項①ないし③について順に検討した上、後記(b)-5において、そこまでの検討を踏まえて、本諮問事項④及び⑤について検討する。
(b)-2 本取引の目的の正当性・合理性の検討(本諮問事項①関係)
本諮問事項①については、当社を取り巻く事業環境及び経営課題の現状認識(後記(1))、本取引により想定されるシナジー(後記(2))並びに想定されるデメリット(後記(3))をみた上、それらを踏まえ、本取引の目的の正当性・合理性が認められるかどうかを検討する(後記(4))。
(1) 当社における現状認識
当社意見表明プレスリリースその他の本検討資料及び本ヒアリング等によれば、当社の概要及び事業内容(後記ア)並びに当社を取り巻く事業環境及び経営課題(後記イ)は、それぞれ以下のとおりである。
ア 当社の概要及び事業内容
当社は、1954年5月に株式会社秩父英工舎(1964年1月にキヤノン電子株式会社に商号変更)として創業し、株式の額面金額を500円から50円に変更するため、1947年5月に設立の株式会社櫻商会(1979年7月にキヤノン電子株式会社に商号変更)を形式上の存続会社とし、1980年1月1日を合併期日として吸収合併を行い、現在に至っている。また、当社株式については、1981年8月に東京証券取引所市場第二部に上場、1998年6月に東京証券取引所市場第一部に指定替えされ、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより東京証券取引所プライム市場に移行している。
当社グループは、精密機械器具、電子・電気機械器具、光学機械器具、情報機器、コンピュータ・通信機器ソフトウェア等の開発・生産・販売を行っており、「コンポーネント」、「電子情報機器」及び「その他」のセグメントで事業を展開している。また、当社グループは、公開買付者グループに属しており、主として公開買付者及びその生産子会社から部品を仕入れ、製造し、公開買付者及びその子会社へ製品の納入を行っている。
イ 当社を取り巻く事業環境及び経営課題
当社グループを取り巻く事業環境は、サステナビリティをはじめとする社会課題への関心の高まりや、コロナ後の新しい社会への対応、複写機、プリンター、ドキュメントスキャナー等の主力製品に関連するオフィス機器市場の成熟等により大きく変化しており、予断を許さない情勢が続いている。そのような状況下で、当社グループは、①成長分野への参入とその確立、②人的資本経営の推進、③ESG経営・サステナビリティの推進に取り組んでいる。
当委員会は、これらの中でも、①成長分野への参入とその確立、②人的資本経営の推進が、後述する本取引により想定されるシナジーとの関連性が大きいと考えるので、以下では、本検討資料及び本ヒアリング等から認められるその概略を述べる。
当社グループでは、現在、さまざまな成長分野への参入を進めている。宇宙関連分野ではこれまで研究・開発を進め、軌道投入した超小型人工衛星で重ねた実証実験の成果を踏まえて、防衛省との多軌道観測実証衛星の製造・試験の契約を締結する等、事業化へのシフトを着実に進めている。さらに、当社グループの特長である小回りの利く規模、技術を活かし、医療分野の血圧計や滅菌器に加え、環境関連機器、歯科用ミリングマシン等の拡販も進めている。農業分野では、当社で新たに開発した植物工場用自動生産装置の販売活動を行っている。また、コンポーネント分野では公開買付者の国内グループ会社からモータ事業の移管を受け、事業を拡大している。このように、当社グループは、数多くのスモールビジネス事業の確立を目指す方針である。
当社では、人的資本経営の観点から、人的資本の価値を最大化するための取組みを進めている。さまざまな経験や職歴・スキルを持つキャリア人材の採用を積極的に推進している。また、それぞれの特性や能力を最大限活かすための教育制度や職場環境を整備し、管理職・経営幹部向けの研修プログラムを運用するなどの方法により、若手の経営感覚を磨くための早期育成を行い、経営の人的基盤を強化していく方針である。
さらに、当社では、課長代理職以上の女性管理職比率を2030年に30%とすることを目標に、女性の採用比率が毎年30%超となるよう採用活動を実施している。従業員の処遇や報酬は、性別や学歴、入社年数といった要素にかかわらず、役割と成果、仕事の難易度や責任に応じてこれを決定する「役割給制度」を運用している。また、従業員がより安全かつ健康的に働ける職場づくりのため、労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、その国際規格である「ISO45001」の認証を国内全事業所と海外2工場で取得している。当社は、経済産業省健康経営優良法人認定制度の健康経営優良法人に5年連続で選出されており、健康第一主義の考え方に基づく取組みも進めている。
(2) 本取引により想定されるシナジー
ア 公開買付者が想定するシナジー
本回答書によれば、公開買付者は、当社の競争優位性の維持と持続的な成長のためには、公開買付者グループの経営資源の包括的かつ積極的な活用が必須であるとの考えのもと、当社株式の非公開化によって、当社グループ及び公開買付者グループの経営資源を迅速かつ柔軟に相互活用できる体制を整えることが必要であるとの認識から、本取引の検討を開始したとのことであり、公開買付届出書、本回答書及び本公開買付者インタビューの結果によれば、公開買付者は、本取引のシナジーとして、以下のものを想定しているとのことである。
公開買付届出書によれば、公開買付者は、世界の宇宙産業が、今後、技術革新と民間主導の加速により、飛躍的な成長が見込まれる魅力的な産業と認識している。かかる中、当社グループ及び公開買付者グループは、光学技術・生産及び量産技術・衛星打上げ・衛星データ/画像データ販売といった宇宙産業におけるバリューチェーンの多くに関わる企業グループであると認識しており、本取引により、宇宙事業を当社グループ及び公開買付者グループ内で一体化させ、スピード感をもって更なる事業成長を実現したいと考えているとのことである。
この点に関し、本回答書及び本公開買付者インタビューの結果によれば、公開買付者は、以下のとおりに考えているとのことである。
・ 宇宙事業は、米国を中心に民間企業の台頭が著しく、この分野における競争力向上のためには、衛星のマルチセンサ化、事業モデルの垂直統合化といった事業領域の拡大を伴った成長の重要性が増しているところ、本取引により、公開買付者グループの資金力を活用しつつ、当社グループ及び公開買付者グループが一丸となった事業投資を行うことや、両グループ間の連携を強化することを通じて、当社の宇宙事業の更なる成長に繋がることが期待できる。
・ 宇宙事業は、海外顧客の開拓が想定され、また官民一体の事業であるという面があるところ、本取引により、公開買付者グループの有する輸出管理に係るノウハウ、グローバルな顧客網、官公庁とのネットワークを活用することを通じて、当社の宇宙事業の更なる成長に繋がることが期待できる。
公開買付届出書によれば、公開買付者は、当社グループ及び公開買付者グループの有する国内外工場の相互活用及び生産配置の最適化による生産性向上や、公開買付者グループの購買力や資金調達力を活かしたコスト競争力のシナジー効果を期待しているとのことである。
この点に関し、本回答書及び本公開買付者インタビューの結果によれば、公開買付者は、以下のとおりに考えているとのことである。
・ コンポーネント事業及び電子情報機器事業という既存の主要な事業分野についても、本取引により、当社グループと公開買付者グループとの間で、公開買付者グループの顧客による製品に関するフィードバックの共有を含め、多方面での連携の更なる推進を行い、また、公開買付者グループの持つ様々な経営資源を有効活用することを通じて、量産体制の構築やコンポーネントの製品ラインナップの拡充といった当社の事業機会の増加及び当社の強みである高品質・高生産性を支える技術力の更なる強化に繋がることが期待できる。
公開買付届出書によれば、公開買付者は、本取引により、公開買付者と当社の一般株主間での構造的な利益相反に係るリスクが解消され、より長期的な視点から企業価値向上に向けた施策に集中して取り組むことが可能になると考えているとのことである。
この点に関し、本回答書及び本公開買付者インタビューの結果によれば、公開買付者は、以下のとおりに考えているとのことである。
・ 特に宇宙事業は短期的に投資額が膨らむ場面もあることが想定される中、本取引により、機動的な経営を実施しやすくなる面があると期待できる。
・ 本取引は、機動的な人材アロケーション及びグループ一体となった人材の採用・育成により、当社グループと公開買付者グループとの間の人材交流の促進に繋がることが期待できる。また、本取引により、多様な人材の活用を実現することで、当社の企業価値の向上に繋がることが期待できる。
イ 当社が想定するシナジー
当社意見表明プレスリリースその他の本検討資料及び本ヒアリング等によれば、当社が想定する本取引のシナジーは、以下のとおりである。
当社は、当社と公開買付者がともに上場企業であることから、経営の独立性や一般株主の利益を考慮する観点で、人工衛星開発における連携は限定的となっていたが、本取引後に公開買付者グループとの連携を深化させることで、公開買付者グループの有する光学技術や研究開発力を活かすとともに、業界全体で成長が見込まれる宇宙関連分野において公開買付者グループの資金力を活用できれば、市場成長の機会を逃さない戦略的かつ機動的な投資が可能になり、製品の品質向上や研究開発を加速させることができると考えている。さらに、人工衛星製造においては、衛星コンステレーションの構築を担う企業からの大量受注の獲得に向けて、公開買付者グループの生産拠点や量産化技術を活用することで、価格競争力の高い人工衛星の製造が可能になると考えており、当社の宇宙関連分野におけるビジネス機会の獲得及び事業拡大に資すると考えている。
また、当社は、宇宙関連分野の事業拡大を目指すにあたって、公開買付者グループのグローバルな顧客網や官公庁とのネットワークを活用することで、宇宙関連分野におけるビジネスの機会を捕捉できる蓋然性が高まると考えている。宇宙関連分野の事業は、官民一体で推進する必要があるため、宇宙関連分野の事業を成長させるためには、これまで以上に官公庁との連携を強化する必要があると考えているが、公開買付者グループがこれまで企業団体の幹部としての活動で培ってきた官公庁との関係性やノウハウを活かすことができると考えている。さらに、今後、海外への宇宙関連分野の事業展開を検討する上で、公開買付者グループの有するグローバルな販売網や顧客ネットワークを活用することで、成長産業である宇宙関連分野の市場ニーズをタイムリーに捉えることができる可能性が高まり、当社の事業拡大に資すると考えている。
当社は、これまでコンポーネント事業、電子情報機器事業で、公開買付者グループから当社グループが製造を受託していた取引に関し、本取引後に公開買付者グループとより一層の連携強化が可能となり、より多くの情報が当社グループへ共有される体制となることで、公開買付者グループの顧客による製品に関するフィードバックの共有等を受けて当社グループの製品開発等に活かすことができると考えている。また、当社グループが公開買付者グループから製造のみを受託していた取引について、公開買付者グループとの連携の深化に伴い、本取引後には当社グループとして主体的に開発や顧客折衝を担う等の取引形態の変化も期待でき、当社グループの事業領域の拡大に繋がると考えている。
さらに、当社グループと公開買付者グループではない顧客との独自の取引においても、公開買付者グループとの連携強化を通じて得られるメリットは、製品品質向上や製品開発等の面で活かすことができ、当社グループの事業及び収益の拡大に寄与するものと考えている。
当社は、本取引を通じ、公開買付者と一般株主との利益相反への懸念や当社の独立性の確保といった制約にとらわれず、当社グループ及び公開買付者グループの経営資源をこれまで以上に相互活用することで、生産体制の効率化・最適化が期待できると考えている。すなわち、当社グループと公開買付者グループが有する国内外の生産拠点の相互活用を推進し、生産協力体制を一層強化することにより、当社グループ及び公開買付者グループの更なる生産効率の向上並びに当社グループの生産拠点の稼働率の向上が図られ、これらを通じたコスト優位性の強化が可能になると考えている。また、生産材や副資材、治工具関連の調達に関して、生産拠点の相互活用、共同購買及び物流最適化などを通じて、公開買付者グループの購買力や物流網を活用したサプライチェーンの効率化によるコストダウン効果を得ることができると考えている。
当社は、これまで、当社グループと公開買付者グループとの間で行われてきた人材交流は、当社と公開買付者がいずれも上場企業であることから、当社経営の独立性確保や公開買付者と一般株主との利益相反に配慮する必要があることを踏まえて限定的な運用となっていたが、本取引後に当社が公開買付者の完全子会社となることで、更なる人材交流が可能になると考えている。例えば、海外への事業展開に関して、公開買付者グループとの間の人材交流や、公開買付者グループと一体となった人材の採用・育成により、更なるビジネス機会の捕捉に繋げられる可能性があると考えている。
(3) 本取引により想定されるデメリット
当社意見表明プレスリリースその他の本検討資料及び本ヒアリング等によれば、当社は、上場廃止に伴う一般的なデメリットとしては、資本市場から資金調達を行うことができなくなることや、上場会社として享受してきた知名度や信用力、人材の確保に影響を及ぼす可能性が想定されるが、当社の現在の財務状況等を考慮するとエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれず、これまでの長きにわたる事業活動や社会活動を通じて、従業員や取引先を含めた多数のステークホルダーとの信頼関係を構築出来ていると考えている。また、当社は、公開買付者の有する高い社会的信用及び認知度に照らすと、公開買付者の完全子会社になったとしても、上場会社である現状と比して当社の社会的信用や採用活動への悪影響が生じることは考えにくいことからも、本取引を通じた非公開化のデメリットは限定的であると考えている。
なお、当社が上場会社として享受してきた知名度や信用力、人材の確保に対して本取引が影響を及ぼす可能性に関連して、公開買付届出書その他の本検討資料及び本ヒアリング等によれば、公開買付者は、本取引後の当社の経営体制(取締役会の構成及び員数並びに執行役員の人数等を含む。)については、現在の経営体制を尊重することを基本とし、役員体制の変更や追加の役員派遣の要否については検討を開始していないものの、具体的な役員構成やその他の経営体制については当社と協議の上、今後決定していきたいと考えているとのことである。加えて、公開買付者は、当社の取引先との関係について、現時点では変更を予定していないとのことである。
(4) 当委員会の検討
ア 当委員会の検討方法
当委員会は、当社を取り巻く事業環境及び経営課題、本取引が有するシナジーやデメリットを含めた当社に与える影響等について、本事業計画説明書その他の本検討資料の内容及び本ヒアリング等の結果を含め、当社及び公開買付者より必要な情報の提供を受けながら、本取引の目的の正当性・合理性に関して、多角的に検討を行った。
当該検討にあたっては、公開買付者及び当社が考える本取引に基づくシナジーの具体性・実現可能性、本取引が企業価値向上の実現のために必要ないし有益なものであるといえるか、本取引によるデメリット、さらには当社従業員や取引先を含めたステークホルダーに及ぼす可能性のある影響等も含め、様々な観点から精査を行った。
イ 本取引から想定されるシナジーについての評価
当委員会は、当社を取り巻く事業環境及び経営課題に係る当社の現状認識には不合理な点は見当たらず、それらを踏まえてみると、当社及び公開買付者が想定しているシナジーの内容は首肯できるものであり、当社及び公開買付者が想定するシナジーの実現を通じて本取引の実施が当社の企業価値の向上に繋がるとみることに十分な合理性があると判断した。
すなわち、まず、当社の取り組んでいる経営上の施策に即していうと、前記(1)イ(ア)の「成長分野への参入とその確立」については、宇宙関連分野が当社の参入している成長分野の中でも特に重要なものであるところ、当社は、本取引により、宇宙関連分野の事業に関して、①公開買付者グループの有する光学技術、研究開発力、資金力、生産拠点、量産化技術の活用による製品の品質向上、研究開発の加速及び価格競争力の向上、②公開買付者グループの有するグローバルな顧客網や官公庁とのネットワークの活用によるビジネス機会の捕捉といった事業拡大に資するシナジーが見込まれるとしているが(前記(2)イ(ア))、この当社の認識は首肯できるものである。
また、前記(1)イ(イ)の「人的資本経営の推進」については、当社は、本取引により、公開買付者グループとの間で更なる人材交流が可能になり、例えば、海外への事業展開に関して、公開買付者グループとの間の人材交流や、公開買付者グループと一体となった人材採用・育成により、更なるビジネス機会の捕捉に繋げられる可能性があるとしているが(前記(2)イ(エ))、この当社の認識は首肯できるものである。
次いで、コンポーネント事業及び電子情報機器事業という既存の主要な事業分野についてみると、当社は、本取引により、公開買付者グループとの間の取引において更なる関係深化が見込まれるとともに、それによる製品開発能力等の向上や取引形態の変化によって、公開買付者グループ以外の顧客との関係においても更なる事業領域の拡大が期待でき(前記(2)イ(イ))、また、国内外の生産拠点の相互活用の推進により当社グループの生産効率の向上及び生産拠点の稼働率の向上が可能になるとしているが(前記(2)イ(ウ))、これらの当社の認識は首肯できるものである。
これに加え、当委員会は、これらの当社の想定しているシナジーは公開買付者の想定しているシナジーと整合していることから、本取引後、当社グループ及び公開買付者グループにおいて、実現を目指すシナジーを共有して円滑に協働していくことが期待できると考えている。
ウ 本取引から想定されるデメリットについての評価
本取引から当社に一定のデメリットが生じることも想定されるが、当社は、公開買付者が当社を完全子会社化することにより当社に生じるデメリットは限定的なものにとどまるとしているところ(前記(3))、この当社の認識に不合理な点は見当たらないことから、当委員会は、本取引から生じ得るデメリットは、当社及び公開買付者が想定するシナジーの実現を通じた当社の企業価値の向上というメリットに比して限定的なものであると判断した。
(5) 小括
ここまで述べてきたとおり、本取引は、当社の企業価値の向上に繋がる合理性を有するものである。また、公開買付者は、当社の企業価値の向上という正当な目的のために本取引を実施するものと認められ、これを疑わせる事情は看取されない。
以上のとおり、本取引は当社の企業価値向上に資するものであって、その目的は正当性・合理性を有すると認められる。
(b)-3 取引条件の公正性・妥当性の検討(本諮問事項②関係)
M&A指針によれば、取引条件の妥当性を検討するにあたって、ⓐ買収者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保すること、ⓑ取引条件の妥当性の判断の重要な基礎となる株式価値算定の内容と、その前提とされた財務予測や条件等の合理性を確認することを通じて検討することが重要であるとされている。加えて、ⓒM&A指針によれば、買収対価の水準だけでなく、買収の方法や買収対価の種類等の妥当性についても検討することが重要とされている(以上につき、M&A指針3.2.2)。
そこで、本諮問事項②については、前記ⓐの観点から、公開買付者との交渉過程を(後記(1))、前記ⓑの観点から、本株式価値算定書における価格算定の前提とされている本事業計画の内容の合理性及び本株式価値算定書の内容を(後記(2)及び(3))、前記ⓒの観点から、本取引におけるスキーム選択の妥当性を(後記(4))、それぞれ検証し、それを踏まえ、本取引の取引条件の公正性・妥当性が認められるかどうかを検討する(後記(5))。
(1) 公開買付者との交渉過程
当社は、公開買付者との間で、本公開買付価格の引き上げについて、複数回に亘り交渉及び協議を重ねている。当社は、この交渉及び協議を行うに当たって、一般株主の利益保護の観点から、交渉及び協議の方針・内容について事前に当委員会の承認を得ることとしている。また、当社及び当委員会は、この交渉及び協議に係る検討に当たっては、適時適切に、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券並びにリーガル・アドバイザーである島田法律事務所より助言を受けた。
具体的には、2025年11月4日、当社は、公開買付者より、当社の開示した財務情報等の資料に基づく当社の事業及び財務状況の分析結果、当社株式の過去の株価推移に係る分析結果並びに本公開買付けに対する応募の見通し等の各種要素を総合的に勘案し、当社による期末配当が行われないことを前提として、本公開買付価格を2,930円とする提案を受領した。
公開買付者からの上記提案に対し、2025年11月7日、当社は、当該提案価格は本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを要請した。
2025年11月11日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,100円とする再提案を受領した。公開買付者からの再提案に対し、同月12日、当社は、当該提案価格は依然として本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを再度要請した。
2025年11月14日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,250円とする再提案を受領した。公開買付者からの再提案に対し、同月17日、当社は、当該提案価格は依然として本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを再度要請した。
2025年11月19日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,370円とする再提案を受領した。公開買付者からの再提案に対し、同月20日、当社は、当該提案価格は依然として本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を大きく下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の大幅な引き上げを再度要請した。
2025年11月21日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,500円とする再提案を受領した。公開買付者からの再提案に対し、同月25日、当社は、当該提案価格は本取引と類似した案件におけるプレミアム水準を下回っており、当社の企業価値が十分に反映されていないことから、本公開買付価格の引き上げを再度要請した。
2025年11月25日、当社は、公開買付者より、本公開買付価格を3,650円とする最終提案を受領した。そして、同月26日、当社は、公開買付者に対して、当社としての本取引に対する最終的な意思決定は2025年11月28日に開催予定の取締役会での決議によることを前提として、公開買付者の提案を応諾する旨の回答を行い、本公開買付価格を3,650円とすることで合意に至った。
先述のとおり、ここまでに述べた公開買付者に対する要請等の交渉及び協議の方針・内容については、当社は事前に当委員会に承認を求めていた。具体的には、当社は、公開買付者からの提案を受領する都度、その内容及び当社が考える対応方針等を速やかに当委員会に報告の上、当委員会の意見及び指示を求め、それらに従って対応を行っており、上記の交渉及び協議は、当委員会の実質的な関与の下でなされたものである。また、その過程において、当社及び当委員会は、適時適切に、野村證券及び島田法律事務所より専門的見地から助言を受け、それらの内容を十分に吟味しながら検討を行っている。
このように、当社は、当委員会の意見を踏まえ、専門的見地からの助言も受けながら、公開買付者と複数回に亘り交渉及び協議を行っており、結果として、最終的な本公開買付価格は、公開買付者から当初提示された価格から相当の上積みがなされている。
そうすると、本取引においては、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で行われるよう合理的な努力が行われたということができる。
(2) 本事業計画の内容の合理性
当社は、当社及び公開買付者から独立した第三者算定機関である野村證券から本株式価値算定書を取得している。本株式価値算定書は、本事業計画の内容を前提として作成されたものであることから、本事業計画の内容の合理性を検討することとする。
本事業計画前提説明書、本事業計画説明書及び本ヒアリング等によれば、本事業計画は、本取引の検討に供することを目的として当社が作成したものであるところ、合理的に将来予測が可能な期間として、2025年12月期から2028年12月期までを対象期間とした上で、その期間の財務予測は、コンポーネントや電子情報機器等の事業において、直近までの業績及び将来成長のための各施策を勘案するとともに、過去の成長率等も踏まえて作成されていると認められ、楽観的でも保守的でもない実現可能性のある合理的な内容であるということができる。なお、本事業計画において見込まれている営業利益及びフリー・キャッシュ・フローの増減益についても、本事業計画作成時点で合理的に見込まれている設備投資等によるものであることを本ヒアリング等において確認している。
また、本事業計画の作成過程をみても、本事業計画は、後記(b)-4(2)のとおり、公開買付者から独立した当社社内検討メンバーによって作成されており、公開買付者の意向ないし利益の影響を受けていることを疑わせる事情は認められない。
そうすると、本株式価値算定書における価格算定の前提とされている本事業計画の内容は合理的なものであると認められる。
(3) 本株式価値算定書の内容
ア 算定方法の選択
当委員会は、2025年10月2日開催の第2回、同年11月7日開催の第7回の当委員会各会合において、野村證券から、当社株式の株式価値の算定方法に関する考察過程等について、詳細な説明を受け、また、同月12日開催の第8回、同月20日開催の第9回、同月25日開催の第10回の当委員会各会合において、野村證券から、当委員会の委員からの質問・要請や公開買付者からの提案価格等を踏まえ、これらについて更なる説明を受けた。
これらの説明によれば、野村證券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値を多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価平均法を用い、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行っている。
野村證券が採用したこれらの手法は、本取引と同種の取引における株式価値算定においても一般的に利用されている算定手法であり、野村證券による株式価値算定方法の選択に不合理な点は認められない。
イ 株式価値算定結果の概要
本株式価値算定書によれば、当社株式の株式価値算定にあたり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりである。
| 市場株価平均法 | 2,638円~2,736円 |
| DCF法 | 2,572円~4,345円 |
ウ 各算定手法の合理性
本株式価値算定書によれば、野村證券が採用した各株式価値算定手法の概要及びその根拠は以下のとおりである。
野村證券は、市場株価平均法において、2025年11月27日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の算定基準日終値2,736円、直近5営業日の終値単純平均値2,680円、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,664円、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,711円、直近6ヶ月間の終値単純平均値2,638円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,638円~2,736円と算定している。
市場株価平均法において、これらの値を参照することは一般的であり、算定方法に不合理な点は認められない。
野村證券は、本事業計画や一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年12月期第4四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて算出した企業価値に、当社が保有する現金及び預金の価値を加算する等財務上の一定の調整を行って、株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,572円~4,345円と算定している。なお、割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、7.25%~8.25%を採用している。また、継続価値の算定にあたっては、永久成長率法及びマルチプル法に基づき37,095百万円~117,287百万円と算定している。永久成長率法においては、当社を取り巻く長期的な経済見通し等を踏まえて永久成長率-0.25%~0.25%、マルチプル法においては、M&Aにおける算定実務において一般的であるEBITDAマルチプルを採用し、当社の直近及び過去のEBITDAマルチプルの水準等を踏まえ2.5倍~4.5倍としている。
野村證券によるDCF法の割引率の計算根拠及び計算内容に不合理な点は認められない。
エ プレミアムの分析
本公開買付価格は、以下のとおり、本公開買付けの実施についての公表予定日(2025年11月28日)の前営業日である2025年11月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,736円に対して33.41%、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,664円に対して37.01%、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,711円に対して34.64%、及び直近6ヶ月間の終値単純平均値2,638円に対して38.36%のプレミアムを加えた価格である。
| 参照値 | 株価 | プレミアム |
| 公表日の前営業日における終値 | 2,736円 | 33.41% |
| 直近1ヶ月間の終値単純平均値 | 2,664円 | 37.01% |
| 直近3ヶ月間の終値単純平均値 | 2,711円 | 34.64% |
| 直近6ヶ月間の終値単純平均値 | 2,638円 | 38.36% |
本ヒアリング等によれば、参照事例44件におけるプレミアム水準(公表日の前営業日の終値、公表前1ヶ月間、公表前3ヶ月間、公表前6ヶ月間の終値単純平均値それぞれからのプレミアムの平均値(それぞれ38.65%、41.06%、40.30%、39.07%)及び中央値(それぞれ38.78%、40.90%、41.23%、36.70%))と比較して、本公開買付価格に係るプレミアム(公表予定日の前営業日、直近1ヶ月間、直近3ヶ月間、直近6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対して33.41%、37.01%、34.64%、38.36%)は、参照事例において、33.41%、37.01%、34.64%、38.36%を下回るプレミアム水準の案件がそれぞれ16件、16件、15件、24件存在していることから、参照事例と遜色ないプレミアムが付されたものといえる。
そうすると、本公開買付価格のプレミアムは、参照事例との比較において合理的な水準であると認められる。
オ 本公開買付価格の水準とその評価
本公開買付価格は、本株式価値算定書の内容を踏まえてみると、野村證券による株式価値算定において、市場株価平均法により算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲の上限を上回っていること、DCF法により算定された当社株式の1株当たりの株式価値のレンジの範囲内であること、本公開買付けに係るプレミアムは参照事例との比較において合理的な水準であると認められることから、本株式価値算定書の内容を踏まえてみたときに、当社の企業価値に照らして妥当性を有する水準にあるとともに、一般株主にとっての公正性が損なわれる水準のものではないと考えられる。
(4) スキームの妥当性
本取引では、まず、本公開買付けを実施し、次いで、本公開買付けが成立した場合には、株式売渡請求又は株式併合の方法による本スクイーズアウト手続を行い、公開買付者が当社株式の全てを取得することが予定されている。
このようなスキームは、支配株主による従属会社の買収の手法として、一般的な方法である。また、本スクイーズアウト手続においては、対価に不服のある株主が、裁判所に対する売渡価格の決定の申立て又は株式買取請求後の価格決定の申立てを行うことが可能である。なお、対価が金銭であることについても、一般株主にとっての分かりやすさ、価値の確実性・安定性その他の要素に鑑み、一般株主の利益保護という観点から望ましいものと考えられる。
そうすると、本取引のスキーム選択について不合理な点は認められない。
(5) 小括
ここまで述べてきたとおり、本取引においては、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で行われるよう合理的な努力が行われていたということができ(前記(1))、本株式価値算定書における価格算定の前提とされている本事業計画の内容は合理的なものであり(前記(2))、本公開買付価格は、本株式価値算定書の内容を踏まえてみたときに、当社の企業価値に照らして妥当性を有する水準にあるとともに、一般株主にとっての公正性が損なわれる水準のものではないと考えられ(前記(3))、本取引のスキーム選択についても不合理な点は認められない(前記(4))。
以上のとおり、本取引には、一般株主の利益の確保という見地からみて、取引条件の公正性・妥当性が認められる。
(b)-4 手続の公正性の検討(本諮問事項③関係)
本諮問事項③については、本取引が、一般株主の利益を確保するために、公正な手続を通じて行われているといえるかを検討する。
M&A指針によれば、かかる公正な手続を構成する実務上の具体的対応が公正性担保措置であるとされており、支配株主による従属会社の買収においては、具体的状況(構造的な利益相反の問題や情報の非対称性の問題の程度、対象会社の状況や取引構造の状況等)に応じて、以下の視点から公正な取引条件を実現するための手段として講じるものとされている(M&A指針2.4)。
① 視点1:取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況の確保
対象会社においてM&Aの是非や取引条件の妥当性についての交渉及び判断が行われる過程において、M&Aが相互に独立した当事者間で行われる場合と実質的に同視し得る状況、すなわち、構造的な利益相反の問題や情報の非対称性の問題に対応し、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保する。
② 視点2:一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保
支配株主による従属会社の買収においては、買収者と一般株主との間の情報の非対称性により、取引条件の妥当性等について一般株主による十分な情報に基づいた適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)が行われることが当然には期待しにくいことを踏まえて、一般株主に対して、適切な判断を行うために必要な情報を提供し、適切な判断を行う機会を確保する。
以上の視点を踏まえ、本取引は、実効的な公正性担保措置が講じられ、公正な手続で行われているものと認められるかどうかを検討する。
(1) 当委員会の設置及び審議等
ア 当委員会の設置
当社は、2025年9月5日に公開買付者から本提案書を受領後、本取引が支配株主である公開買付者との重要な取引等に該当すると解されることを踏まえて、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保する観点から、同月17日の取締役会決議により、速やかに当委員会を設置した。当委員会の委員は、戸苅利和氏(当社独立社外取締役)、前川篤氏(当社独立社外取締役)及び山上圭子氏(当社独立社外取締役)の3名からなり、いずれの委員も当社及び公開買付者から独立性を有している。
なお、当委員会の委員は設置当初から変更しておらず、互選により当委員会の委員長として戸苅利和氏を選定している。また、当委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれていない。
イ 当委員会に対する権限付与等
当社取締役会は、①当委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うこと、②当委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当該取引条件による本取引に賛同しないことを決議した上で、当委員会に対し、ⓐ当委員会の財務アドバイザー・第三者算定機関や法務アドバイザーを選任し、又は当社のアドバイザー等を指名し若しくは承認(事後承認を含む。)する権限、ⓑ本取引の取引条件等に関する当社による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与する権限、ⓒ当社の社内体制を承認する権限(事後承認を含む。)、ⓓ本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザー等に対して、当委員会への出席を要求し、必要な事項について説明を求める権限、ⓔ講じる公正性担保措置を決定する権限、ⓕ機密情報を取得する権限、ⓖその他前記に付随する権限を付与することを決議した。
(2) 独立した検討体制の構築
当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に関する検討、交渉及び判断を行うために、本取引に関する検討(本事業計画の作成を含む。)並びに公開買付者との協議及び交渉については、当社社内検討メンバーにおいて行った(前記(b)-3(1)のとおり、当社は、当社社内検討メンバーにおいて、交渉及び協議の方針・内容について事前に当委員会の承認を得るとともに、後記(3)のとおり独立した外部の専門家アドバイザーからの助言を受けながら、公開買付者との間で、本公開買付価格について複数回に亘り交渉及び協議を重ねており、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で行われるよう合理的な努力を行ったということができる。)。
当社社内検討メンバーについては、①現に公開買付者グループ(当社グループを除く。)に在籍しておらず、②橋元氏を除き、過去に当社グループを除く公開買付者グループに在籍していない当社の役職員(具体的には、当社取締役である橋元氏及び大北氏並びに従業員6名の合計8名)のみで構成されており、独立性・公正性の観点から問題がないことを当委員会において確認している。なお、橋元氏については、過去に公開買付者の従業員であったが、当社に転籍してから10年以上が経過しており、また、本取引に関して、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引に関して利益相反のおそれはないものと判断した。
また、本取引に係る当社取締役会においては、当社取締役11名のうち、勝山陽氏を除く10名の取締役により審議及び決議を行うこととしている。勝山陽氏は、過去に公開買付者の従業員であったところ、公開買付者から当社に転籍してからの期間が3年未満であることに鑑み、当社の一般株主との間の利益相反による影響を可能な限り排除し、本取引に係る意思決定における公正性、透明性及び客観性を担保する観点から、当該取締役会の審議及び決議には不参加とすることとしたものである。
このように、当社は、公開買付者から独立した立場で本取引の検討・交渉等を行うことができる社内体制を構築しており、かかる体制については、当委員会の承認を受けている。
(3) 独立した外部の専門家アドバイザーによる助言
当社は、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして野村證券を選任し、当社及び当委員会は、野村證券より、財務的見地からの助言を受けている。本ヒアリング等及び本検討資料によれば、野村證券は、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していない。野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているものの、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案すれば、当委員会は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって野村證券の独立性が否定されるわけではないといえると判断した。また、当委員会は、野村證券から、本取引に係る情報遮断措置等について説明を受けるなどして、野村證券の独立性に問題が認められないことを確認した。
また、当社は、当社及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして島田法律事務所を選任し、当社及び当委員会は、島田法律事務所より、法的見地からの助言を受けている。本ヒアリング等及び本検討資料によれば、島田法律事務所は、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していない。島田法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていない。
このように、当社及び当委員会は、高い専門性を有し、かつ当社及び公開買付者から独立した外部の専門家アドバイザーによる助言を受けている。
(4) 独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
本ヒアリング等及び本検討資料によれば、当社は、公開買付者から提示された本公開買付価格の公正性を担保するため、当社及び公開買付者から独立した第三者算定機関として野村證券を選任し、当社株式の株式価値に関する資料として本株式価値算定書を取得している。なお、野村證券が、公開買付者から独立性を有していることは、前記(3)のとおりである。
このように、当社は、専門性を有する独立した第三者算定機関から株式価値算定書を取得し、これを判断の基礎としている。
(5) マーケット・チェック
公開買付届出書によれば、公開買付者は、公開買付期間を、法令で定められた最短期間である20営業日より10営業日長い30営業日に設定しているとのことである。これは、公開買付期間を法令に定められた最短期間よりも長期に設定し、当社の株主に本公開買付けに対して応募するか否かについて適切な判断の機会を確保し、これによって本公開買付価格の適正性を担保するものであると認められる。
また、当社及び公開買付者は、対抗提案者と当社が接触等を行うことを禁止するような取引保護条項を含む合意等は一切行っておらず、対抗提案を行うことができる状況を確保している。
そうすると、本取引は、他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境の中で実施されており、いわゆる間接的なマーケット・チェックが行われているということができる。
なお、マーケット・チェックについては、M&A指針において、買収者が支配株主である場合、そもそも公正性担保措置として機能する場面は限定的であり、実施する意義が乏しい場合が多い旨の指摘がなされている(M&A指針3.4.3.2)。
この点、買収者が支配株主であっても、例外的にマーケット・チェックが機能し得る場合として、①支配株主が保有する議決権の割合が低い場合や、②非常に魅力的な対抗提案がされた場合には支配株主が売却に応じる可能性がある場合、③支配株主が従属会社を一旦は買収するものの、その後、その全部又は一部の売却を予定している場合等があり得ることが指摘されている(M&A指針3.4.3.2、脚注66)。もっとも、本取引についていえば、①公開買付者は当社議決権の過半数を保有しており、支配株主が保有する議決権の割合が低い場合とはいえず、また②本回答書及び本公開買付者インタビューでは、公開買付者の事業戦略上、公開買付者が当社を子会社として保有し続ける意義及び必要性が明確に示されており、仮にかかる対抗提案がなされた場合であっても、公開買付者が当社株式の売却に応じる可能性は極めて低いと考えられる。また、③本取引において、公開買付者が当社を一旦買収し、その後売却をするといったことは想定されていない。
以上の点から、当委員会は、本取引に関し、間接的なマーケット・チェックに留まらず、いわゆる積極的なマーケット・チェックを実施すべきような例外的事情は認められないものと判断した。
(6) マジョリティ・オブ・マイノリティ
公開買付届出書によれば、本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件に相当する買付予定数の下限は設定していないとのことである。これは、本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の利益に資さない可能性もあるという理由によるものであるとのことである。
M&A指針においても、常にマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することが望ましいということは困難であるとされており、また、本取引においては、他の公正性担保措置が取られていることも踏まえれば、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって適切な公正性担保措置が取られていないこととなるものではないと考えられる。
(7) 一般株主に対する充実した情報開示
本取引では、当社意見表明プレスリリース及び公開買付届出書において、当委員会に関する情報として、①当委員会における検討経緯や公開買付者との取引条件の交渉過程への関与状況、②本取引の是非、取引条件の妥当性や手続の公正性等について、充実した情報開示が予定されている。
また、③当社が取得した本株式価値算定書に関する情報や、④本取引を実施するに至ったプロセス等に関する情報、⑤当社の取締役等が本取引に関して有する利害関係の具体的な内容や、当該取締役等の取引条件の形成過程への関与の有無・態様に関しても充実した情報開示が予定されている。
そうすると、本取引においては、一般株主の適切な判断に資する充実した情報開示が行われる予定であると認められる。
(8) 強圧性の排除
公開買付届出書によれば、公開買付者は、①本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する当社株式数に応じて、株式売渡請求又は株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会の開催を当社に対して要請することを予定しており、当社の株主(当社及び公開買付者を除く。)に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、②株式売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(当社及び公開買付者を除く。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかにしていることから、当社の株主(当社及び公開買付者を除く。)が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これによって強圧性が生じないように配慮しているということができる。
(9) 小括
前記(1)ないし(8)で述べたことを総合すると、本取引は、取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況の確保及び一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保のいずれの視点からも、実効的な公正性担保措置が講じられていると認められる。
以上のとおり、本取引に係る手続は公正なものと認められる。
(b)-5 総合的検討(本諮問事項④及び⑤関係)
前記(b)-2のとおり、本取引は当社の企業価値の向上に資するものと考えられ、本取引の目的には正当性及び合理性があるものと認められる。また、前記(b)-3のとおり、本取引の取引条件は、本公開買付価格を含めて、公正性及び妥当性があるものと認められ、前記(b)-4のとおり、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており手続の公正性が認められる。このほか、本取引が一般株主にとって公正性に欠けることとなる事情は見当たらない。
以上のとおり、本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると認められるので、当社取締役会は、本公開買付けに対して賛同する意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することが適切である。
(c) 定義
本書の他の記載にかかわらず、上記(a)及び(b)において、以下に掲げる用語は、それぞれ以下に定める意味を有する。
・ 当社グループとは、当社並びにその連結子会社及び持分法適用関連会社で構成される企業集団を意味する。
・ 公開買付者グループとは、公開買付者並びにその子会社及び関連会社(ただし、当社グループを除く。)で構成される企業集団を意味する。
・ M&A指針とは、経済産業省作成の2019年6月28日付け「公正なM&Aの在り方に関する指針」を意味する。
・ 当委員会とは、当社の2025年9月17日付け取締役会決議により設置された特別委員会を意味する。
・ 本提案書とは、当社が公開買付者から受領した2025年9月3日付けの本取引に係る提案書を意味する。
・ 本質問書とは、当委員会が公開買付者に提出した2025年10月9日付けの質問書を意味する。
・ 本回答書とは、当委員会が公開買付者から受領した2025年10月20日付けの回答書を意味する。
・ 本ヒアリング等とは、当委員会が検討の過程で行ったヒアリング等を意味する。
・ 本公開買付者インタビューとは、本ヒアリング等のうち、2025年10月28日開催の第6回当委員会会合において実施した公開買付者の田中稔三代表取締役副社長CFOらに対するインタビューを意味する。
・ 本検討資料とは、当委員会が検討に用いた資料を意味する。
・ 本事業計画前提説明書とは、当社作成に係る2025年9月25日付けの「キヤノン電子2026-28年事業計画の考え方」と題する文書を意味する。
・ 本事業計画説明書とは、当社作成に係る2025年10月2日付けの「キヤノン電子事業計画」と題する文書を意味する。
・ 公開買付届出書とは、公開買付者が2025年12月1日付けで関東財務局に提出することを予定している公開買付届出書の本答申書作成時点でのドラフトを意味する。
・ 当社意見表明プレスリリースとは、当社が2025年11月28日付けで公表することを予定している「支配株主であるキヤノン株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の本答申書作成時点でのドラフトを意味する。
・ 本株式価値算定書とは、野村證券作成に係る2025年11月27日付けの株式価値算定書
・ 当社社内検討メンバーとは、本取引に関する検討(本事業計画の作成を含む。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行った当社の役員及び従業員を意味する。
当社は、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、公開買付者及び当社から独立した法務アドバイザーとして島田法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、島田法律事務所は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、島田法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に関する検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2025年9月5日に、公開買付者より本取引を行うことに関する書面での提案を受領したことを受け、本取引に関する検討(当社の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者との協議及び交渉を行う検討体制を構築いたしました。検討に関与するメンバーは、(ⅰ)現に公開買付者グループ(当社グループを除きます。)に在籍しておらず、(ⅱ)橋元健氏を除き、過去に当社グループを除く公開買付者グループに在籍していない当社の役職員のみから構成されるものとし(具体的には、当社取締役2名(橋元健氏及び大北浩之氏)並びに職員6名の合計8名で構成されております。)、かかる取扱いを継続しております。橋元健氏は、過去に公開買付者の役職員の地位にありましたが、当社に転籍してから10年以上が経過しており、また、本取引に関して、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、本取引に係る当社取締役会の審議及び決議に参加し、また、当社の取締役として公開買付者との協議・交渉に参加しております。また、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。
当社取締役会は、島田法律事務所から得た本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言、野村證券から得た財務的見地からの助言並びに本株式価値算定書(野村證券)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の一連の手続及び本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。その結果、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引によりシナジーの実現を見込むことができ、当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当なものであり、本公開買付けは当社の一般株主の皆様に対して合理的な水準のプレミアムを付した価格での当社株式の売却の機会を提供するものであるとの判断に至ったことから、2025年11月28日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨することを決議いたしました。
上記の当社取締役会においては、当社取締役11名のうち、勝山陽氏を除く10名の取締役において審議の上、出席者の全員一致により上記の決議を行っております。また、上記の取締役会には、当社監査役3名全員が出席し、全員が上記の決議に異議がない旨の意見を述べております。当社取締役のうち勝山陽氏は、公開買付者から当社に転籍してからの期間が3年未満であることに鑑み、当社の一般株主との間の利益相反による影響を可能な限り排除し、本取引に係る意思決定における公正性、透明性及び客観性を担保する観点から、本取引に係る当社取締役会(上記2025年11月28日開催の当社取締役会を含みます。)の審議及び決議には参加しておらず、かつ、当社の立場で本取引の協議及び交渉に参加しておりません。一方で、当社取締役のうち橋元健氏は、過去に公開買付者の役職員の地位にありましたが、当社に転籍してから10年以上が経過しており、また、本取引に関して、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、本取引に係る当社取締役会(上記2025年11月28日開催の当社取締役会を含みます。)の審議及び決議に参加し、また、当社の取締役として公開買付者との協議・交渉に参加しております。
当社及び公開買付者は、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
公開買付者は、「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する当社株式数に応じて、本株式売渡請求又は本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に対して要請することを予定しており、当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式売渡請求又は本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかにしていることから、当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。
また、公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、本公開買付けに係る買付け等の期間(以下「本公開買付期間」といいます。)を30営業日に設定しているとのことです。このように本公開買付期間を比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しているとのことです。
該当事項はありません。
当社は、2025年11月28日付で公表した「剰余金の配当(無配)に関するお知らせ」に記載のとおり、同日開催の当社取締役会において、本公開買付けが成立することを条件に、2025年12月31日(期末)を基準日とする剰余金の配当を行わないことを決議しております。詳細については、当該公表内容をご参照ください。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
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| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
| 橋元 健 | 代表取締役社長 | 33,453 | 334 |
| 内山 毅 | 常務取締役 | 21,379 | 213 |
| 大北 浩之 | 取締役 | 3,675 | 36 |
| 勝山 陽 | 取締役 | 2,187 | 21 |
| 賀村 拓 | 取締役 | 1,580 | 15 |
| 酒匂 信匡 | 取締役 | 1,444 | 14 |
| 戸苅 利和 | 取締役 | 0 | 0 |
| 前川 篤 | 取締役 | 8,499 | 84 |
| 杉本 和行 | 取締役 | 1,051 | 10 |
| 近藤 智洋 | 取締役 | 0 | 0 |
| 山上 圭子 | 取締役 | 0 | 0 |
| 高橋 純一 | 常勤監査役 | 7,579 | 75 |
| 岩村 修二 | 監査役 | 6,639 | 66 |
| 中田 清穂 | 監査役 | 2,026 | 20 |
| 計 | | 89,512 | 888 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役戸苅利和、前川篤、杉本和行、近藤智洋及び山上圭子は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。
(注3) 監査役岩村修二及び中田清穂は、会社法第2条第16号に定める社外監査役です。
(注4) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社の持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めております。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
該当事項はありません。
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
該当事項はありません。
7 【公開買付者に対する質問】
該当事項はありません。
8 【公開買付期間の延長請求】
該当事項はありません。
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