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Sumitomo Riko Company Limited

M&A Activity Nov 26, 2025

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【表紙】
【提出書類】 意見表明報告書(2025年11月26日付け訂正報告書の添付インライン

XBRL)
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2025年10月31日
【報告者の名称】 住友理工株式会社
【報告者の所在地】 愛知県小牧市東三丁目1番地
【最寄りの連絡場所】 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番1号JPタワー名古屋
【電話番号】 052-571-0280
【事務連絡者氏名】 法務部長兼広報IR部長 日比野 伸哉
【縦覧に供する場所】 住友理工株式会社

(愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番1号

 JPタワー名古屋)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

株式会社名古屋証券取引所

(名古屋市中区栄三丁目8番20号)

(注1) 本書中の「当社」とは、住友理工株式会社をいいます。

(注2) 本書中の「公開買付者」とは、住友電気工業株式会社をいいます。

(注3) 本書中の記載において、計数が四捨五入又は切り捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しない場合があります。

(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。

(注5) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。

(注6) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。

(注7) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。

(注8) 本書の提出に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、法で定められた手続及び情報開示基準に従い実施されますが、これらの手続及び基準は、米国における手続及び情報開示基準とは必ずしも同じではありません。特に米国1934年証券取引所法(Securities Exchange Act of 1934。その後の改正を含みます。以下同じとします。)第13条(e)項又は第14条(d)項及び同条の下で定められた規則は本公開買付けには適用されず、本公開買付けはこれらの手続及び基準に沿ったものではありません。また、当社及び公開買付者は米国外で設立された会社であり、その役員も米国居住者ではないため、米国の証券法に基づき発生する権利又は要求を行使することが困難となる可能性があります。米国の証券法の違反を根拠として、米国外の会社又はその役員に対して米国外の裁判所において提訴することができない可能性があります。加えて、米国外の会社及びその子会社・関連者(affiliate)をして米国の裁判所の管轄が認められるとは限りません。

(注9) 本公開買付けに関する全ての手続は、特段の記載がない限り、全て日本語において行われるものとします。本公開買付けに関する書類の全部又は一部については英語で作成されますが、当該英語の書類と日本語の書類との間に齟齬が存した場合には、日本語の書類が優先するものとします。

(注10) 本書又は本書の参照書類の中の記載には、米国1933年証券法(Securities Act of 1933。その後の改正を含みます。)第27A条及び米国1934年証券取引所法第21E条で定義された「将来に関する記述」が含まれています。既知若しくは未知のリスク、不確実性又はその他の要因により、実際の結果が「将来に関する記述」として明示的又は黙示的に示された予測等と大きく異なることがあります。公開買付者及び当社又はそれらの関連者(affiliate)は、「将来に関する記述」として明示的又は黙示的に示された予測等が結果的に正しくなることを保証するものではありません。本書及び本書の参照書類の中の「将来に関する記述」は、本書及び本書の参照書類の中の日付の時点で公開買付者及び当社が有する情報を基に作成されたものであり、法令で義務付けられている場合を除き、公開買付者、当社又はそれらの関連者(affiliate)は、将来の事象や状況を反映するために、その記述を更新したり修正したりする義務を負うものではありません。本書及び本書の参照書類の中に含まれる財務情報は、日本の会計基準に基づいた情報であり、当該会計基準は、米国その他の国における一般会計原則と大きく異なる可能性があります。また、公開買付者及び当社は米国外で設立された法人であり、その役員の全部又は一部が米国居住者ではないため、米国の証券関連法を根拠として主張し得る権利を行使し又は請求することが困難となる可能性があります。また、米国の証券関連法の違反を根拠として、米国外の法人及びその役員に対して、米国外の裁判所において法的手続を開始することができない可能性があります。さらに、米国外の法人並びに当該法人の子会社及び関連者(affiliate)に米国の裁判所の管轄が認められるとは限りません。

(注11) 公開買付者及びその関連者(affiliate)、公開買付者及び当社の各ファイナンシャル・アドバイザー並びに公開買付代理人(これらの関連者(affiliate)を含みます。)は、それらの通常の業務の範囲において、日本の金融商品取引関連法規制及びその他の適用ある法令上許容される範囲で、米国1934年証券取引所法規則14e-5(b)の要件に従い、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場及び株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)プレミア市場に上場している当社株式を自己又は顧客の勘定で、本公開買付けの開始前、又は本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)中に本公開買付けによらず買付け又はそれに向けた行為を行う可能性があります。そのような買付けは市場取引を通じた市場価格、又は市場外での交渉で決定された価格で行われる可能性があります。そのような買付けに関する情報が日本で開示された場合には、当該買付けを行った者又はその関連者のウェブサイト(又はその他の開示方法)においても英文で開示が行われます。 

E01097 51910 住友理工株式会社 Sumitomo Riko Company Limited 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 2 true S100WY3D true false E01097-000 2025-11-26 xbrli:pure

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1 【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名 称 住友電気工業株式会社

所在地 大阪市中央区北浜四丁目5番33号(住友ビル) 

2 【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式 

3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1) 意見の内容

当社は、2025年10月30日開催の当社取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。

なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。

(2) 意見の根拠及び理由

本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

① 本公開買付けの概要

公開買付者は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)51,534,901株(所有割合:49.64%)(注1)を直接所有し、また、公開買付者の子会社及び関連会社を通じて間接的に所有する当社株式1,220,469株(所有割合:1.18%)と合わせると、当社株式52,755,370株(所有割合:50.81%)を所有しており、当社を連結子会社としているとのことです。なお、公開買付者の子会社及び関連会社が所有する当社株式の内訳としては、公開買付者の子会社である株式会社アライドマテリアルが206,650株(所有割合:0.20%)、住友電工焼結合金株式会社が184,895株(所有割合:0.18%)、九州住電精密株式会社が184,895株(所有割合:0.18%)、住電商事株式会社が142,102株(注2)(所有割合:0.14%)、日新電機株式会社が138,153株(所有割合:0.13%)、株式会社テクノアソシエが100,266株(所有割合:0.10%)、住電機器システム株式会社が92,500株(所有割合:0.09%)及び住友電工ツールネット株式会社が92,038株(所有割合:0.09%)(このうち、住電商事株式会社を除く7社は公開買付者の完全子会社であり、当該7社(以下「本完全子会社」といいます。)の所有する当社株式である999,397株(所有割合:0.96%)を以下「本完全子会社所有株式」といいます。)、並びにその他の公開買付者の子会社及び関連会社が78,970株(所有割合:0.08%)とのことです。この度、公開買付者は、2025年10月30日開催の取締役会において、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を対象として、本公開買付けを実施することを決議したとのことです。

(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年10月30日に公表した2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2025年9月30日現在の当社の発行済株式総数(104,042,806株)から、当社決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(218,808株)を控除した株式数(103,823,998株)に占める割合をいいます(小数点以下第三位を四捨五入。以下所有割合の記載について他の取扱いを定めない限り同じとします。)。

(注2) 住電商事株式会社が当社の共栄持株会を通じて間接的に所有する当社株式31,292株(小数点以下を切捨て。)が含まれております。

公開買付者は、本公開買付けにおいて、16,681,702株(所有割合:16.07%)を買付予定数の下限と設定しており、本公開買付けに応じて売付け等の申込みがなされた株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、上記のとおり、公開買付者は、当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としていることから、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。

なお、買付予定数の下限(16,681,702株)は、当社決算短信に記載された2025年10月30日現在の当社の発行済株式総数(104,042,806株)から、当社決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(218,808株)を控除した株式数(103,823,998株)に係る議決権の数である1,038,239個の3分の2以上となる議決権数(692,160個)に当社株式1単元(100株)を乗じた株式数(69,216,000株)について、さらに公開買付者が直接所有する当社株式数(51,534,901株)及び本完全子会社所有株式数(999,397株)(注3)を控除した株式数として設定したものであるとのことです。このような買付予定数の下限を設定した理由は、本取引において、公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式、当社が所有する自己株式及び本完全子会社所有株式を除きます。)を取得できずに、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載する株式併合の手続を行う場合には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じとします。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているため、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及び本完全子会社が当社の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるようにするためとのことです。

(注3) 公開買付者は、本完全子会社所有株式について、本公開買付けへの応募は行わせない予定であり、本公開買付けが成立した場合には、本スクイーズアウト手続(以下に定義します。以下同じとします。)を通じ又は本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)経過後に配当財産として公開買付者に交付することにより、本完全子会社所有株式(本スクイーズアウト手続において株式併合が行われる場合には当該株式に相当する端数)を公開買付者に帰属させることを検討しているとのことですが、いずれにせよ本スクイーズアウト手続に賛同見込みとのことですので、買付予定数の下限を考慮するにあたって、本完全子会社所有株式数を控除しているとのことです。

なお、上記のとおり、本書提出日現在、公開買付者は、本完全子会社所有株式(999,397株)の全てについて、本公開買付けに応募させないことを予定しているとのことです。当該株式については、公開買付期間経過後に配当財産として交付を受けることにより、譲渡代金を支払うことなく取得することを含め、当社を公開買付者の完全子会社とするための対応を取る予定ですが、具体的な対応は公開買付期間経過後に決定する予定とのことです。

公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、本公開買付けにおいて当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式、当社が所有する自己株式及び本完全子会社所有株式を除きます。)を取得できなかった場合には、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている当社の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することにより、当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。なお、上記に記載のとおり、本完全子会社所有株式の対応方針次第では、本完全子会社所有株式の全部又は一部を含む可能性がございます。)を取得することを予定しているとのことです。なお、当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場しておりますが、下記「(4) 上場廃止となる見込み及びその事由」に記載のとおり、本公開買付けの結果次第では、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があり、また、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の各手続を実施することとなった場合には、所定の手続を経て上場廃止となるとのことです。

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
(ⅰ)本公開買付けの背景

公開買付者は、1897年4月、住友本店に銅電線等の製造を手掛ける住友伸銅場として開設され、1911年8月、電線製造業を行う住友電線製造所として住友伸銅場から分離し、1920年12月には住友電線製造所が電線製造業を引き継ぐ株式会社住友電線製造所に改組して、住友総本店より分離独立し、設立されたとのことです。その後、1939年11月に商号を現在の住友電気工業株式会社に変更しているとのことです。1949年5月には、東京証券取引所市場第一部、株式会社大阪証券取引所市場第一部、名古屋証券取引所市場第一部に、また、同年6月には証券会員制法人福岡証券取引所(以下「福岡証券取引所」といいます。)本則市場に株式を上場したとのことです。その後、公開買付者は、2013年7月に大阪証券取引所における現物市場が東京証券取引所に統合されたことにより、東京証券取引所市場第一部、名古屋証券取引所市場第一部及び福岡証券取引所本則市場に上場することとなったとのことです。また、2022年4月4日の東京証券取引所及び名古屋証券取引所における新市場区分への移行を経て、現在は東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場及び福岡証券取引所本則市場に上場しているとのことです。公開買付者は、「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」に基づく高い企業倫理のもと、公正な事業活動を行うことを不変の基本方針としており、創業から現在に至るまで、電線・ケーブルの製造技術をベースとした研究開発と新規事業への挑戦を通じ、新製品・新技術を創出し、事業領域を拡大してきたとのことです。

公開買付者グループ(注4)は、本書提出日現在、公開買付者、当社を含む連結子会社388社、及び関連会社29社で構成されており、「環境エネルギー関連事業」、「情報通信関連事業」、「自動車関連事業」、「エレクトロニクス関連事業」及び「産業素材関連事業」の5部門にわたって、製品の開発、製造、販売、サービス等の事業活動を展開しているとのことです。

公開買付者グループを取り巻く市場環境は、脱炭素・カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流を背景に、「モビリティ分野」をはじめ、「エネルギー分野」、「情報通信分野」等において社会ニーズの高度化、競争の激化を伴う急速な変化を遂げており、とりわけ自動車産業を取り巻く事業環境は激変期にあるものと認識しているとのことです。今後は、かかる環境変化がさらに加速するとともに、引き続き不安定なウクライナ情勢や米中対立の深化、原油・原材料を始めとしたインフレの加速及び金利上昇、物流・サプライチェーンの継続的な混乱、生成AIの普及といった様々な時流・潮流を受け、事業環境の不透明性は一層増していくと考えているとのことです。公開買付者は、かかる事業環境下においても着実な成長を実現するため、グループマネジメントの在り方を含めて、中長期的な企業価値向上に向けた様々な検討を重ねてきたとのことです。その結果として、2022年5月には、公開買付者グループとしての目指す姿を示した、2030年を節目とする長期ビジョン『住友電工グループ 2030ビジョン』(以下「本長期ビジョン」といいます。)を策定し、本長期ビジョンにおいては、公開買付者グループの存在価値(パーパス)を、「トップテクノロジーを追求し、つなぐ・ささえる技術をイノベーションで進化させ、グループの総合力により、より良い社会の実現に貢献していく」ことと定義しているとのことです。また、事業領域においては、再生可能エネルギーの大量導入及び分散型電源(注5)の大量導入が見込まれる「エネルギー分野」、通信の高速化及び大容量化とそれに伴う低消費電力化のニーズの高まりが見込まれる「情報通信分野」、エレクトロニクス化及びニューモビリティの出現、並びにクルマと外部サービスの連携拡大が見込まれる「モビリティ分野」を3つの注力分野と位置付けており、GX(注6)やDX(注7)、CASE(注8)といった社会変革ニーズを捉えてそれぞれの分野における公開買付者グループの技術知見を活かし、グループの総合力でもって市場の期待に応えていく方針を掲げているとのことです。さらに、2023年5月には『中期経営計画2025』(以下「本中期経営計画」といいます。)を公表し、本長期ビジョン及び本中期経営計画をもとに、GXやDX、CASEといった社会変革ニーズへの対応を一層明確化しているとのことです。

(注4) 公開買付者並びに当社を含む公開買付者の連結子会社388社及び関連会社29社の計418社(本書提出日現在)からなる企業グループをいいます。以下同じとします。

(注5) 比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配置して電力を供給するシステムを指します。

(注6) グリーン・トランスフォーメーション(Green Transformation)の略で、温室効果ガスの排出原因となっている化石燃料や電力の使用を、脱炭素ガスや太陽光発電・風力発電といった温室効果ガスを発生させない再生可能なクリーンエネルギーに転換することで、社会経済システムや産業構造を変革させることを指します。

(注7) デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、データとデジタル技術を融合して製品・サービス・ビジネスモデルをはじめとしたあらゆるものを変革し、競争優位性を確立することを指します。

(注8) Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング)、及びElectric(電動化)という、自動車産業の今後の動向を示す重要な要素の頭文字を繋げた造語です。

一方、当社は1929年12月にゴムベルト製造等を目的として昭和興業株式会社として設立されました。その後、商号を1930年1月に蒲田調帯株式会社に、1937年10月に東海護謨工業株式会社に、1961年11月に東海ゴム工業株式会社に、2014年10月に現在の商号である住友理工株式会社に変更しました。また、当社は、1949年7月に名古屋証券取引所に、1994年2月に東京証券取引所市場第二部に株式を上場した後、1996年9月に東京・名古屋両証券取引所の市場第一部銘柄の指定を受け、2022年4月の東京証券取引所及び名古屋証券取引所の新市場区分への移行を経て、現在は東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場しております。

本書提出日現在、当社グループ(注9)は、当社、連結子会社74社及び関連会社7社により構成されております。自動車用品部門においては、創業以来培ってきたコアコンピタンスであり、配合・合成・改質の各技術をベースに、高機能な材料を創出し、高付加価値の製品を生み出す「高分子材料技術」及び製品に必要な性能や信頼性を自社で評価・検証する「総合評価技術」をもとに、防振ゴム開発で積み重ねてきた振動・騒音制御技術や、ホース開発で磨きをかけてきた流体搬送技術を駆使し、これからの自動車に新たな価値を提供する製品の創出と開発を進めております。一方、一般産業用品部門・新規事業部門においては、インフラ整備に欠かせない産業用ホースや鉄道車両用品、地震対策に有効な各種制震システム、機能的で快適なオフィス環境を支える事務機器向け精密部品、独自技術の「スマートラバーセンサ(SRセンサ)」(注10)を活かした各種ヘルスケア製品等の創出と開発を進めております。

当社グループは、2023年5月30日に公表した「2029年住友理工グループVision」(2029V)で掲げた「理工のチカラを起点に、社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続けるリーディングカンパニー」への変革に向けて、同日に公表した3ヶ年の事業計画である「2025年 住友理工グループ中期経営計画」(2025P)(以下「当社中期経営計画」といいます。)に基づき事業活動を推進しております。当社グループは、「さらなる収益力向上と持続的成長に向けた経営基盤強化」をテーマに掲げ、「新事業・新規顧客創出」、「モノづくり革新」、「グローバル経営基盤強化」を経営戦略の柱として企業価値向上を実現するべく、それぞれのセグメントで以下の取組みを行っております。

(注9) 当社並びに当社の連結子会社74社及び関連会社7社の計82社(本書提出日現在)からなる企業グループをいいます。以下同じとします。

(注10) ゴムの導電特性を応用し、圧力や歪みを高感度に検知する当社独自の柔軟センサ技術をいいます。柔軟で伸縮性のある導電性ゴムを用いることで、装着者の違和感を抑えつつ、体圧・心拍・呼吸・体動等の生体情報を非接触で検出することが可能です。自動車の運転者モニタリングやヘルスケア分野等、幅広い応用が進められています。

ア 自動車用品部門

当社グループが、創業以来培ってきたコアコンピタンスである「高分子材料技術」及び「総合評価技術」を基盤として、これからの自動車(モビリティ)に新たな価値を提供する製品の創出と開発を進めるべく、新商品開発センターが主体となって、CASEにおける「A:Autonomous(自動運転)」及び「E:Electric(電動化)」の2領域の新製品開発に注力しております。具体的には、当社のコア技術により生まれた薄膜高断熱材「ファインシュライト®」は、電気自動車(EV)のネックとされる電費・航続距離問題・電池の安全性向上等といった、様々な課題解決に寄与すると考えております。防振ゴム事業については、EV時代にあわせ、エンジンマウント(注11)から振動制御をより高度化させたモーターマウント(注12)やeAxleマウント(注13)といった製品へ進化させ、日系自動車メーカーのみならず、海外自動車メーカーへの拡販を進めております。自動車用ホース事業については、EV用の電池やモーターをはじめとする部品の熱マネジメントのニーズの高まりに合わせ、他の製品で培った液体搬送技術を生かした冷却用ホースやバッテリー冷却板等の開発にも注力しております。また、各国の環境規制に対応した燃料ホースやバイオ燃料用の燃料ホース等の拡販を継続しております。水素社会の実現に向けては、燃料電池自動車(FCEV)向けの基幹部品を供給しており、日系自動車メーカーの燃料電池自動車(FCEV)においても当社製品が継続採用されております。

(注11) エンジンを車体に支持し、振動や騒音を低減する部品をいいます。特に液体封入式タイプは快適性と操縦安定性の両立に寄与しております。

(注12) 電動車(HEV/EV等)のモーターを支持し、高周波振動を抑制する部品をいいます。次世代車向けとして開発・供給の実績があります。

(注13) モーター・減速機・インバータを一体化した電動駆動モジュールを支持する部品をいいます。快適性と応答性の両立や、衝突時の高電圧部品保護に配慮しております。

イ 一般産業用品部門・新規事業部門

一般産業用品部門は、社会環境基盤の構築に不可欠な「インフラ・住環境」、「エレクトロニクス」、「ヘルスケア」といった分野で事業展開しております。一般産業用品部門のうち、住環境分野においては、ビル用制振システム・TRCダンパー(注14)については、地震の多い我が国を中心に防災・減災への貢献が期待されております。インフラ分野においては、高圧ホースについては、原価低減とともに補修品市場への積極的な参入や未進出エリアを中心にグローバル拡販を進め、収益性向上を目指しております。また、エレクトロニクス分野においては、事務機器市場の成熟や働き方の変化による需要変動に対して、柔軟に対応できる体制への転換を目的とした構造改革を進めております。さらに、ヘルスケア分野においては、スマートラバーセンサ(SRセンサ)を応用した「モニライフシリーズ」(注15)を、宿泊業界における宿泊者への睡眠解析サービスや質の高い睡眠環境の提供に活用することが検討され、当社グループの技術・製品開発を通じて、人々の暮らしと健康への貢献を目指しております。

(注14) 独自の特殊粘弾性体を用いた制振装置で、地震や風による建物の揺れ・変形を低減する建築用制振ダンパーを指します。

(注15) 当社独自のスマートラバーセンサ(SRセンサ)技術を応用し、人の体動・呼吸・心拍等のバイタル情報を非接触で検出・解析するセンシングソリューションの総称です。自動車向けの運転者状態検知システム(モニライフモビリティ)や、宿泊・介護施設向けの睡眠モニタリングシステム(モニライフウェルネス)等を展開しており、センシングデータをクラウドで解析する「モニライフプラットフォーム」と組み合わせ、快適性・安全性の向上を目指しています。

公開買付者と当社の資本関係は、公開買付者の前身である株式会社住友電線製造所が、1937年10月に資本業務提携契約に伴う株式譲渡により当社株式6,000株(当時の当社の発行済株式総数対比37.50%)を取得したことに始まるとのことです。公開買付者は、以降も当社の運転資金への充当や設備投資等を目的とした新株発行の引受け等により、当社株式を段階的に取得し、1942年9月には当社株式14,500株(当時の当社の発行済株式総数対比51.79%)を所有することで当社を連結子会社としたとのことです。公開買付者は、その後も当社株式を段階的に取得していき、本書提出日現在、公開買付者の子会社及び関連会社を通じて間接的に所有する当社株式1,220,469株(所有割合:1.18%)と合わせると、当社株式52,755,370株(所有割合:50.81%)を所有するに至ったとのことです。

(ⅱ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った経緯・目的

ア 完全子会社化検討の背景

上記「(ⅰ)本公開買付けの背景」に記載のとおり、公開買付者は、本長期ビジョン及び本中期経営計画において、「エネルギー分野」、「情報通信分野」、「モビリティ分野」を3つの注力分野と位置付けて、GXやDX、CASEといった社会変革におけるニーズを捉えて、グループの総合力でもって市場の期待に応えていくとのことです。公開買付者は、「モビリティ分野」の今後の事業環境について、クルマの電動化や自動運転の拡大、超小型モビリティ等の次世代モビリティシステムへの取組みの加速、MaaS(注16)に代表される移動サービスの拡大及びクルマと外部サービスとの連携拡大が見込まれると考えているとのことです。このようなモビリティを取り巻く事業環境の変化に対して、公開買付者は、ワイヤーハーネス(注17)をコアとして培ってきた、グローバルなモノづくり力及び高度な技術・技能人材を基盤として、「モビリティ分野」だけでなく「エネルギー分野」及び「情報通信分野」でも事業を手掛けることで蓄積してきた幅広い技術知見も活用し、従来製品の強化に留まらず、アーキテクチャの変革を含む、モビリティの電動化・高速通信化に挑戦していく方針とのことです。また、「モビリティ分野」、「エネルギー分野」、「情報通信分野」が融合する分野に対しても、公開買付者グループの総合力を発揮し、市場のニーズを捉えた、製品・サービスを幅広く提供していく方針とのことです。

(注16) Mobility as a Serviceの略です。ICTを活用して交通をクラウド化し、マイカー以外の全ての交通手段によるモビリティを一つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ移動の概念をいいます。

(注17) 電線とコネクタ等の部品からなる電気配線システムで、自動車内部で情報とエネルギーを運ぶ役割を担います。

一方、当社グループを取り巻く環境は、サステナブルな社会実現に向けた世界的な潮流やCASEといった自動車業界の大変革に加え、足元では主要国における選挙結果を受けた政策変更リスクの顕在化、地政学的リスクの長期化、中国経済の減速、さらには政策金利の変更による為替の急激な変動リスクがあります。これらの要因が複雑に絡み合い、経済環境の不確実性が一段と高まっていると認識しております。このような状況下、当社グループでは当社中期経営計画に基づき事業活動を推進しております。当社グループのコアコンピタンスである「高分子材料技術」及び「総合評価技術」を駆使した製品開発と、グローバルでの生産体制を生かした受注の拡大、原価低減活動及び間接費抑制を継続して推進することで、収益性を高め、経営基盤を強化していく方針としております。また、財務目標の達成と、ESG経営や資本コスト・株価を意識した経営の推進により、幅広いステークホルダーの皆様とともに持続的な成長と豊かな社会実現を目指していく方針としております。さらに、新製品の開発については、親会社である公開買付者との連携を強化し、これまで以上にシナジーを創出できるように進めていく方針としております。

公開買付者は、以上のように激変する事業環境において、分野横断的な技術・ノウハウの結集が求められる一方で、その変化を成長機会と捉え、柔軟に対応していくためには、公開買付者グループ各社が有する知見のさらなる融合が重要であると考えているとのことです。そして、EV化や高度情報化、異業種間共創、グリーン化・サーキュラーエコノミー(注18)への対応、先般の米国の関税政策等を踏まえてより一層本邦の基幹産業である自動車産業における競争力強化が重要となってくること等、「モビリティ分野」を起点とする各種変革に対して、当該分野を中心に高い技術力と市場での強固な地位を有する当社との連携を深化させることが顧客への対応力をさらに強化するうえで効果的であると認識しているとのことです。また、当社の高分子・素材関連の独自技術は、モビリティ分野に留まらず、環境・エネルギーや情報通信・エレクトロニクスといったGX分野での展開可能性を秘めており、公開買付者グループの技術力・研究開発力と組み合わせることでさらなる成長が期待できると考えているとのことです。そして、かかる協業のためには、公開買付者と当社が事業環境の変化を共有し合い、両社の基礎的・普遍的な強みや知見を結集し、事業環境の変化を見極め、「モビリティ分野」における「グローバルモビリティ・サプライヤー」としてワンストップでの価値提供を可能とする、これまで以上に一体的な事業運営体制の構築が必要不可欠であると認識しているとのことです。

他方で、公開買付者は、公開買付者及び当社がともに上場会社として独立した事業運営を行っている現状では、情報・経営資源・人材・ノウハウ等の共有に一定の制約があり、現状の資本関係を前提としたさらなる一体運営推進には一定の限界があるものと認識しているとのことです。

(注18) 資源を効率的に循環させ、持続可能な社会をつくるとともに経済的な成長もめざす経済システムを指します。

かかる状況において、公開買付者は、2025年6月以降、公開買付者と当社がいずれも上場会社であることによる公開買付者と当社の一般株主との間で生じうる構造的な利益相反関係を解消して、公開買付者グループと当社グループの利害を一致させると同時に、当社の機動的な意思決定を可能にすることで、公開買付者グループと当社グループの中長期的な視点に立脚した成長を推進するための方策として、公開買付けを通じた当社の完全子会社化について検討してきたとのことです。

その結果、2025年7月上旬に公開買付者は、公開買付者が当社を完全子会社化することは、顧客基盤、事業基盤、財務基盤等の経営資源の相互活用、当社を含む公開買付者グループの経営戦略における意思決定の柔軟化・迅速化等を通じて、シナジーをより一層発揮することが見込まれるとともに、グループベースで最適な資源配分・投資・研究開発等が促進され、競争力のある顧客提案も可能となることから、本取引の実行が当社を含む公開買付者グループ全体の企業価値向上のために極めて有益であり、公開買付者が当社を完全子会社化することが必要であると判断したとのことです。

イ 完全子会社化によるシナジー

公開買付者と当社はこれまでも協業を検討・実施しておりますが、公開買付者と当社両社が上場会社であることから、独立性の観点に照らして、公開買付者グループと当社グループの営業情報をはじめとした顧客基盤や、技術情報をはじめとした事業基盤を相互に共有するには、当社の一般株主との間で生じうる構造的な利益相反関係に十分考慮して対応せざるを得ないといった制約が存在しているとの問題意識を持っているとのことです。本取引を通じて親子上場に伴う親会社と一般株主の潜在的な利益相反リスクを解消し、当社の機動的な意思決定を可能とするとともに、両社の一体化をさらに促進することで、新たな視点からのさまざまなシナジーのブレークスルーが最大限に発現するとともに、グループベースで最適な資源配分・投資・研究開発等が促進され、競争力のある顧客提案も可能となり、公開買付者、当社両社の企業価値向上につながるものと考えているとのことです。

公開買付者は、当社の完全子会社化検討の過程でシナジー効果の検証を重ねた結果、本取引による潜在的なシナジー効果として以下の内容を考えているとのことです。

<技術・ノウハウの融合による研究開発力・新製品開発力の強化>

研究開発力という観点では、公開買付者の材料技術や基盤技術(AI、IoT、計算科学、解析技術、セキュリティ等)の当社による活用に基づく研究開発の促進に加え、共同研究や共同開発のスピードアップ、重複研究の回避も可能であると考えているとのことです。

知的財産の観点からは、本取引を通じて、公開買付者の有するグローバルな知財管理体制及び専門部門の共有が可能となることで、当社における知的財産権の権利化、防衛及び権利行使に必要なネットワークや交渉力を高めることが可能になると考えているとのことです。公開買付者が有する知財ノウハウと、当社のコア技術を組み合わせることで、新たな技術領域の開拓や技術的優位性の確立が期待できると考えているとのことです。

新製品開発力という観点では、当社のコアコンピタンスのひとつである高分子材料技術を起点に、熱制御及び流体制御技術等を応用した遮熱、放熱、制振・静音性の高い素材やセンサ等の深い知見と、公開買付者の各種製品とを組み合わせたモジュールや、電力・通信技術を融合したシステム製品等、新たな切り口でシナジーのブレークスルーを見出し、新事業を創出してまいりたいと考えているとのことです。さらなる一体化を通じて、既存製品の組合せのみならず、両社の基礎技術を掛け合わせることによる新製品の開発に関しても、推進できると考えているとのことです。

さらに、環境対応事業として、サーキュラーエコノミーの推進によるリサイクル技術の確立を目指しつつ、当社の防振・化成品事業と公開買付者のエレクトロニクス・情報通信事業の基盤を組み合わせ、住環境・インフラ分野での一層の環境対応の進展が可能であると考えているとのことです。

<グローバルな事業基盤(顧客・生産拠点・調達網)の相互活用>

公開買付者及び当社は、いずれも「モビリティ分野」において事業を営み共通する事業分野を有しながらも、公開買付者は情報通信分野及びエネルギー分野でも幅広く事業を展開し、他方で当社は一般産業用品部門において、インフラ・住環境分野、エレクトロニクス分野及びヘルスケア分野でビジネスを手掛けていることから、本公開買付けを通じた顧客ネットワークや営業拠点の相互活用により、相互に異業種顧客との接点獲得が可能になると考えているとのことです。また、両社ケイパビリティを結集した一体提案による既存顧客との取引深耕も可能であると考えているとのことです。

調達や物流、製造面に関しては、両社を取り巻く事業環境は政治的・地政学的リスクの高まりにより一層先行きが不透明となっているところ、公開買付者及び当社はいずれもグローバルに事業を展開していることから、両社の物流網・調達網や生産拠点・製造設備の相互活用により、サプライチェーンの分散化や複線化ひいては強靭化が図られ、事業環境の変化に対する柔軟性が向上するものと考えているとのことです。また、調達先からの共同購買等を通じたスケールメリットの最大化により、調達コストの削減も期待されるとのことです。

また、公開買付者と当社の管理部門の知見や機能、拠点、リソースの共有や、会計システムの統一化、人材育成プログラム、各種シェアードサービス(注19)の活用等により、間接部門の機能向上や最適化を推進できると考えているとのことです。

(注19) 人事や経理、情報システム等間接部門の業務を1つの組織へ集約することで、経営の効率化を目指す経営手法を指します。

<組織・人事の融合・交流による人的リソースの最大限の活用>

公開買付者と上場子会社である当社の現在の関係においては、当社の上場会社としての独立性及び自主性を尊重し、加えて、親会社である公開買付者と他の一般株主との間の利益相反が発生しないように努める必要があるという制約から、公開買付者と当社はそれぞれ独自の人材採用、育成活動を行っており、また、人材交流が少ない等の一定の制約があることから、当社を含む公開買付者グループとして、経営資源の最適化が完全には達成されていないものと考えているとのことです。本取引を通じて公開買付者が当社を完全子会社化することで、分野横断的な知見の融合が求められる事業環境に適切に対応するための人員配置や人材交流によるノウハウ共有が加速し、上記「<技術・ノウハウの融合による研究開発力・新製品開発力の強化>」に記載のとおり、競合他社との差別化につながる開発力や提案力強化が実現すると考えているとのことです。

また、経営管理、技術、営業、生産、開発等各分野において、これまでの取組みを発展させて、さらなる垣根のない人材交流の推進が可能となり、両社がグローバルに事業を展開するなかで海外展開ノウハウが連携され、今後のさらなる成長に向けたグローバルな事業拡大に際して、ガバナンス力やリスクマネジメント力が強化されると考えているとのことです。

<知見の相互提供によるリスクマネジメント力の強化>

事業リスクをはじめ、災害、パンデミック、情報セキュリティへの脅威等の各種リスクに関して、公開買付者と当社がこれまでに蓄積してきた知見を相互に提供しあうことで、より適切なリスク管理体制を構築し、グループマネジメントの実効性を高めることが期待されるとのことです。リスクの例として、公開買付者及び当社は、ともに、自動車の部品に関わる事業を展開しており、それらの事業においては、取り扱う製品や部品に品質問題が発生した場合、顧客からの信頼低下や巨額の補償請求につながる可能性があることが挙げられるとのことです。また、事業上の特性として、新規に市場に参入してから事業を安定化させるまでに一定の期間が必要となるとのことです。このようなリスクや課題に対して、公開買付者と当社がそれぞれこれまで各国・地域で培ってきたローカル市場に関する経験・知見、ノウハウ及び取引先や顧客との関係性等につき一層の共有を図り、より適切なリスク管理を一体となって徹底していくことで、より着実なグローバル展開を進めることが可能になると期待されるとのことです。

ウ 本公開買付けの決定に至る経緯

上記背景、目的、期待するシナジーを念頭に、2025年6月上旬に公開買付者は、両社のより一層の企業価値向上を実現するためには、公開買付者が当社を完全子会社化することで、両社の連携をさらに深め、経営資源を集中していくことが必要であると判断したとのことです。

そこで、公開買付者は、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、2025年6月9日にJPモルガン証券株式会社(以下「JPモルガン証券」といいます。)を、2025年6月25日にリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業を選任のうえ、本取引に関する具体的な検討を開始するとともに、当社に対して当社を完全子会社化したい旨の提案をし、2025年7月7日、当社に対して本取引の背景及び目的、想定される企業価値向上策、本取引の想定ストラクチャーとして、公開買付けを実施した後、必要に応じて当社の一般株主へのスクイーズアウト手続等を経て当社を完全子会社化することを想定している旨を記載した、法的拘束力のない初期的な意向表明書(以下「本提案書」といいます。)を提出したとのことです。

これに対して、当社は、当社が公開買付者の子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、公開買付者から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討・交渉等を行う体制の構築を開始いたしました。具体的には、当社は、下記「④ 当社取締役会における意思決定に至る過程」の「(i)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)の公正性その他本取引の公正性を担保すべく、当社は、本取引の検討並びに公開買付者との本取引に係る協議及び交渉を開始するに先立ち、公開買付者グループ(公開買付者及び当社グループを除きます。)及び公開買付者(以下、総称して「公開買付者等」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を選任いたしました。さらに、当社は、公開買付者等から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うため、独立社外取締役及び独立社外監査役によって構成される本特別委員会(下記「④ 当社取締役会における意思決定に至る過程」の「(i)検討体制の構築の経緯」において定義します。以下同じとします。)を設置いたしました。そして、本特別委員会は、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券を、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任することをそれぞれ承認し、公開買付者から独立した本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)を、選任する旨を決定しております。

公開買付者と当社は、2025年7月9日より、本取引に向けた具体的な協議・検討を開始いたしました。

公開買付者は、本公開買付けの実現可能性の精査のため2025年8月上旬から2025年9月上旬まで当社に対してデュー・ディリジェンスを実施するとともに、並行して当社及び本特別委員会との間で、本取引の意義・目的や、本取引によって創出が見込まれるシナジー、本取引後の経営体制・事業方針、本公開買付価格を含む本取引における諸条件についての協議も継続してきたとのことです。具体的には、2025年8月13日に当社及び本特別委員会より、本取引の意義・目的、本取引の提案の背景、本取引のシナジー、本取引のデメリット、本取引のストラクチャー及び本取引後の当社の経営方針等(以下「本質問事項」といいます。)に関して書面による質問を受領し、同年8月22日に、当社に対して、本質問事項について書面により回答したとのことです。さらに、当該回答について、2025年8月27日開催の特別委員会にて、当社及び本特別委員会から本質問事項に関する追加のインタビューを受け、公開買付者より当該回答に関する説明を行い、これに対する質疑応答及び協議を行ったとのことです。なお、公開買付者は、2025年9月29日以降、当社との間で、本公開買付価格に関して複数回に亘る協議及び交渉を重ねてきたとのことです。具体的には、公開買付者は、公開買付者が当社に対して実施したデュー・ディリジェンスにより得られた情報、当該情報を前提として公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーであるJPモルガン証券が実施した初期的な当社株式価値分析及び当該情報を踏まえて公開買付者で実施した初期的な当社株式価値分析内容を総合的に勘案した結果として、2025年9月29日に、2026年3月期の期末配当を無配とする前提で、本公開買付価格を2,300円(提案日の前営業日である2025年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,240円に対して2.68%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値において同じです。)に対して3.42%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,996円に対して15.23%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,800円に対して27.78%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とすることを含んだ本取引に関する提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月1日に、当社より、本公開買付価格は当社の本源的価値を反映した価格水準を下回るとして本公開買付価格の再検討を要請されたとのことです。かかる要請を踏まえて、公開買付者は、本公開買付価格について慎重に検討し、2025年10月7日に、当社及び本特別委員会に対して、本公開買付価格を2,400円(提案日の前営業日である2025年10月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,197円に対して9.24%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円に対して7.91%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,044円に対して17.42%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,824円に対して31.58%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月8日、当社より、当該再提案した本公開買付価格は、当社株価の動向、他の類似案件におけるプレミアム水準及び当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果を踏まえ、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえないとして、本公開買付価格を再検討するよう要請を受けたとのことです。かかる要請を踏まえて、公開買付者は、本公開買付価格について改めて慎重に検討し、2025年10月14日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を2,480円(提案日の前営業日である2025年10月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,104円に対して17.87%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,207円に対して12.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,073円に対して19.63%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,850円に対して34.05%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月15日、当社より、当該再提案した本公開買付価格は、依然として、当社の第三者算定機関による当社株式の株式価値の試算結果に照らし、当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、当社株価の動向や他の類似案件におけるプレミアム水準を踏まえても当社として賛同できる水準に至らないとして、本公開買付価格を再検討するよう要請を受けたとのことです。かかる要請を踏まえて、公開買付者は、本公開買付価格について改めて慎重に検討し、2025年10月20日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を2,510円(提案日の前営業日である2025年10月17日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,101円に対して19.47%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,172円に対して15.56%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,098円に対して19.64%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,876円に対して33.80%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月22日、当社より、当該再提案した本公開買付価格は、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、他の類似事例のプレミアム水準と比較しても十分ではないと考えられることから、当社として賛同できる水準に至らないとして、本取引の実行によって発現するシナジーを勘案し、当該シナジーの分配を織り込んだうえで本公開買付価格を再検討するよう要請を受けたとのことです。かかる要請を踏まえて、公開買付者は、本公開買付価格について改めて慎重に検討し、2025年10月24日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を2,550円(提案日の前営業日である2025年10月23日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,225円に対して14.61%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,162円に対して17.95%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,116円に対して20.51%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,899円に対して34.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年10月27日、当社より、当該再提案した本公開買付価格は、本取引の類似事例のプレミアム水準との比較、本取引の実行によって発現するシナジーの一般株主への公正な分配、当社の本源的価値を反映した価格水準といった要素を踏まえれば、本取引に賛同及び本公開買付けについて当社の一般株主に対して応募推奨を行うにあたっては、未だ十分な価格ではないとして、本公開買付価格を再検討するよう要請を受けたとのことです。かかる要請を踏まえて、公開買付者は、本公開買付価格について改めて慎重に検討し、2025年10月28日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を2,600円(提案日の前営業日である2025年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,294円に対して13.34%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,161円に対して20.31%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,129円に対して22.12%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,910円に対して36.13%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の最終提案を行ったとのことです。その結果、2025年10月29日、当社から公開買付者の提案を応諾する旨の回答を受領し、本公開買付価格を2,600円とすることで合意に至ったとのことです。

これらの協議・交渉の結果、公開買付者と当社は、本公開買付価格の上記の合意に加え、2025年10月30日、公開買付者が当社を完全子会社化することが、公開買付者及び当社を取り巻く事業環境の変化に対応し、両社の企業価値の向上に資する最善の方策であるとの考えで一致したことから、公開買付者は、2025年10月30日付取締役会において、本公開買付けを実施することを決議したとのことです。

③ 本公開買付け後の経営方針

公開買付者は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のシナジー効果を着実に実現させるべく、公開買付者グループと当社グループの連携を加速させるとともに、意思決定を迅速化させ、総力を結集して当社グループのさらなる企業価値の向上に向けて取り組んでいくとのことです。また、企業価値の向上に向けた経営資源の効率化や全体最適を図るための再配分といった事項については、公開買付者が当社の経営陣と十分に協議しながら検討していく考えとのことです。なお、本公開買付け後の当社の経営体制・取締役会の構成については、役員派遣の有無その他人事に関する事項を含め、現時点で決定している事項はなく、当社の独自性を尊重した適切なガバナンスと、公開買付者グループとしてのシナジー効果を最大限実現できる体制作りを目指し、本公開買付け成立後に公開買付者と当社との間で協議していくとのことです。

④ 当社取締役会における意思決定に至る過程
(ⅰ)検討体制の構築の経緯

当社は、公開買付者から、2025年7月7日に本提案書を受領いたしました。当社は、本取引に関して、同年7月30日に、当社及び公開買付者等から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を、同年7月30日に、当社及び公開買付者等から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券をそれぞれ選任いたしました。そして、当該提案を受けて、当社は、公開買付者が当社の支配株主であり、当社における本取引の検討の過程において構造的な利益相反状態が生じ得ることに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえ、直ちに、公開買付者等から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始いたしました。具体的には、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅰ)設置等の経緯」に記載のとおり、特別委員会の設置に向けた準備を進めたうえで、2025年7月7日に公開買付者から本提案書を受領した直後の同月30日開催の取締役会決議により、入谷正章氏(当社独立社外取締役)、伊勢清貴氏(当社独立社外取締役)、宮城まり子氏(当社独立社外取締役)、百嶋計氏(当社独立社外監査役)、小池達子氏(当社独立社外監査役)及び松田玲子氏(当社独立社外監査役)の6名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)(本特別委員会の検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅱ)検討の経緯」及び「(ⅲ)判断内容」をご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が当社の企業価値向上に資するかどうかという点を含む。)、(ⅱ)本取引の条件の公正性・妥当性が確保されているか(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類その他の本取引の条件が公正なものとなっているかどうかを含む。)、(ⅲ)本取引において、取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているかどうか、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)を踏まえて、本取引は当社の一般株主にとって公正であると考えられるか、並びに(ⅴ)当社取締役会が、本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨することの是非(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(ⅰ)当社取締役会は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととすること、及び(ⅱ)本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないことを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)本諮問事項に関する検討及び判断を行うに際し、必要に応じ、自らのファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー等のアドバイザーを選任する(その場合の合理的な費用は当社が負担する。)、又は、当社のアドバイザーを承認(事後承認を含む。)する権限を付与すること、(ⅱ)必要に応じ、当社の役職員その他本特別委員会が必要と認める者から本諮問事項の検討及び判断に合理的に必要な情報を受領する権限を付与すること、並びに(ⅲ)必要に応じ、公開買付者との間で本取引の取引条件等の協議及び交渉を行う権限を付与することを決議しております(当該取締役会における決議の方法については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅰ)設置等の経緯」をご参照ください。)。

なお、本特別委員会は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅱ)検討の経緯」に記載のとおり、2025年8月6日、上記の権限に基づき、本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングをそれぞれ選任する旨を決定しております。

また、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅱ)検討の経緯」に記載のとおり、本特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券並びに当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、公開買付者等及び当社グループからの独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認のうえ、その選任の承認を受けております。

さらに、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者等から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性・公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております。

(ⅱ)検討・交渉の経緯

そのうえで、当社は、大和証券から当社株式の株式価値算定結果に関する報告、公開買付者との交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を受けるとともに、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応についての助言その他の法的助言を受け、これらを踏まえ、本特別委員会の意見の内容を最大限尊重しながら、本取引の是非及び取引条件の公正性・妥当性について慎重に協議及び検討を行ってまいりました。

具体的には、当社は、2025年7月7日に本提案書を受領したことを踏まえて、本特別委員会における検討・協議を進め、同年8月13日に公開買付者に対し本質問事項に関して書面による質問をしたところ、同年8月22日に、公開買付者から本質問事項について書面による回答を受けました。さらに、当該回答を踏まえて、当社及び本特別委員会が2025年8月27日開催の特別委員会にて、本質問事項に関する追加のインタビューを行い、公開買付者から当該回答に関する説明を受け、これに対する質疑応答及び協議を行いました。

本公開買付価格については、当社は、2025年9月29日以降、公開買付者との間で、複数回に亘る交渉を重ねてまいりました。具体的には、当社は、公開買付者が当社に対して実施したデュー・ディリジェンスにより得られた情報、当該情報を前提として公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーであるJPモルガン証券が実施した初期的な当社株式価値分析及び当該情報を前提として公開買付者で実施した初期的な当社株式価値分析内容を総合的に勘案した結果として、公開買付者から、2025年9月29日に、2026年3月期の期末配当を無配とする前提で、本公開買付価格を2,300円(提案日の前営業日である2025年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,240円に対して2.68%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円に対して3.42%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,996円に対して15.23%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,800円に対して27.78%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とすることを含んだ本取引に関する提案を受けました。しかし、当社は、2025年10月1日、本公開買付価格は当社の本源的価値を反映した価格水準を下回ること、また、一般株主の立場から見ても、足元の株価水準を踏まえれば受容可能な条件とは言い難いものと考えていること、さらに、他社事例におけるプレミアム水準や近時の市況動向を勘案しても、より慎重な検討をすべき水準であることを踏まえ、本公開買付価格の再検討を要請いたしました。その後、同月7日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格について慎重に検討した結果として、本公開買付価格を2,400円(提案日の前営業日である2025年10月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,197円に対して9.24%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円に対して7.91%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,044円に対して17.42%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,824円に対して31.58%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。しかし、当社は、同月8日、本公開買付価格は、当社の株価の動向及び他の類似事例におけるプレミアム水準を踏まえれば、当社として本取引に賛同できる水準には到底至らず、また、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえないものとして、本公開買付価格の再検討を要請いたしました。当該要請に対して、同月14日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格について改めて慎重に検討した結果として、本公開買付価格を2,480円(提案日の前営業日である2025年10月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,104円に対して17.87%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,207円に対して12.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,073円に対して19.63%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,850円に対して34.05%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。これに対して、当社は同月15日、提案された公開買付価格は、当社及び本特別委員会が起用したファイナンシャル・アドバイザーにおいて実施中の株式価値算定の内容と照らし、当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、当社の一般株主にとって公正かつ合理的な経済条件とはいえないものと考えていること、また、当社の現在の株価に関しては、関税政策に係る市場の不透明感が払拭されたこと等も含め、当社の業績及び今後の成長性を織り込んだ本源的価値が、市場からの評価として適切に反映された結果と捉えていること、加えて、当社及び本特別委員会においては、類似事例のプレミアム水準との比較の観点では、完全子会社化を企図した非公開化事例との比較のみではなく、本件と類似する環境下での事例との比較を含めて検討しているところ、そのような事例におけるプレミアム水準と比べても、提案された公開買付価格は、依然として当社として本取引に賛同できる水準には至らないと考えているとして、本公開買付価格の再提案の要請を行いました。当該要請に対して、同月20日、当社は、公開買付者から、直近の当社株価の上昇は当社の本源的価値の変化というよりは本邦株式市場の上昇を受けて形成されたものである可能性が否定できず、かかる状況下において、本公開買付けのプレミアムを他社事例との比較に依拠して評価することは適切ではないと考えていることを踏まえ、本公開買付価格を2,510円(提案日の前営業日である2025年10月17日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,101円に対して19.47%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,172円に対して15.56%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,098円に対して19.64%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,876円に対して33.80%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領しました。これに対して、当社は同月22日当該再提案した本公開買付価格は、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、他の類似事例のプレミアム水準と比較しても十分ではないと考えられることから、当社として賛同できる水準に至らないとして、本取引の実行によって発現するシナジーを勘案し、当該シナジーの分配を織り込んだうえで検討するよう、本公開買付価格の再提案の要請を行いました。当該要請に対して、同月24日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格を2,550円(提案日の前営業日である2025年10月23日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,225円に対して14.61%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,162円に対して17.95%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,116円に対して20.51%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,899円に対して34.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。これに対して、当社は同月27日、提案された公開買付価格について、当社及び本特別委員会において真摯に検討を重ねた結果、本取引の類似事例のプレミアム水準との比較、本取引の実行によって発現するシナジーの一般株主への公正な分配、当社の本源的価値を反映した価格水準といった要素を踏まえれば、本取引に賛同及び本公開買付けについて当社の一般株主に対して応募推奨を行うにあたっては、未だ十分な価格ではないとし、特に、公開買付者の提案によれば、過去の当社株価の上昇局面に依拠しない過去6ヶ月間の当社株価終値の単純平均値に対しては十分なプレミアムが付された水準とのことである一方、当社としては、過去の当社株価の上昇は、株式市場の上昇を受けて形成されたものではなく、企業としての本質的な強みや収益力が評価されたものと捉えており、従って、過去6ヶ月間の平均株価に対するプレミアムのみならず、過去1ヶ月間・過去3ヶ月間の平均株価に対するプレミアムも参照すべきであり、当社の一般株主を含む市場参加者による本取引の経済条件に対する期待も勘案のうえで、公開買付価格を再検討するよう要請いたしました。当該要請に対して、同月28日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格を2,600円(提案日の前営業日である2025年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,294円に対して13.34%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,161円に対して20.31%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,129円に対して22.12%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,910円に対して36.13%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の最終提案を受領いたしました。その結果、2025年10月29日、当社及び本特別委員会は、公開買付者の提案を応諾する旨の回答を行い、本公開買付価格を2,600円とすることで合意に至りました。

以上の検討・交渉過程において、当社は、本公開買付価格に関する公開買付者との協議及び交渉にあたり、本特別委員会から聴取した意見並びに大和証券及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所からの助言を踏まえて検討を行っており、その際、本特別委員会においては、随時、本特別委員会のアドバイザーであるプルータス・コンサルティングから助言を受けるとともに、当社や当社のアドバイザーとの意見交換を行い、適宜、確認・承認を行ってきました。具体的には、まず、当社が公開買付者に対して提示し、また、大和証券及びプルータス・コンサルティングが当社株式の株式価値算定において基礎とする当社の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について、事前に本特別委員会の確認を経て、その承認を受けております。また、当社のファイナンシャル・アドバイザーである大和証券は、公開買付者との交渉にあたっては、事前に本特別委員会において審議のうえ決定した交渉方針に従って対応を行っており、公開買付者から本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、公開買付者との交渉方針等について本特別委員会から意見、指示、要請等を受け、これに従って対応を行っております。

そして、当社は、2025年10月29日付で、本特別委員会から、①本取引は当社の企業価値の向上に資するものであって、その目的は正当性・合理性を有すると認められる旨、②本取引の条件の公正性・妥当性(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類その他の本取引の条件が公正なものとなっているかどうかを含む。)は確保されていると認められる旨、③本取引において、類似案件と同水準の公正性担保措置が講じられており、取引条件の公正性を担保するための手続が十分に講じられていると認められる旨、④上記①乃至③を踏まえ、本取引を行うことが当社の一般株主にとって公正であると考えられる旨、⑤当社取締役会が、本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨することは適切であると認められる旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております(本答申書の概要については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅲ)判断内容」をご参照ください。)。なお、当社は、本答申書と併せて、本特別委員会から、2025年10月29日付で本特別委員会がプルータス・コンサルティングから提出を受けた当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)」といいます。)及び本公開買付価格である1株当たり2,600円が当社の一般株主にとって財務的見地から公正である旨のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)」といいます。)の提出も受けております(本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の概要については、下記「(3) 算定に関する事項」の「③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」をご参照ください。)。

(ⅲ)判断内容

以上の経緯の下で、当社は、2025年10月30日開催の当社取締役会において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言、大和証券から受けた財務的見地からの助言並びに2025年10月29日付で大和証券から提出を受けた当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(大和証券)」といいます。)及び本公開買付価格である1株当たり2,600円が当社株式の株主(公開買付者及びその関係会社を除きます。)にとって財務的見地から公正である旨のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン(大和証券)」といいます。)の内容、並びに本特別委員会を通じて提出を受けた本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当・公正なものか否かについて、慎重に協議・検討を行いました。その結果、以下のようなシナジーを見込むことができることから、当社としても、公開買付者による本公開買付けを含む本取引を通じた当社の非公開化が当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。

<両社の技術・顧客基盤の融合を通じた既存事業の高度化と新市場への展開>

公開買付者グループの先進技術や知的財産と、当社の高分子材料技術・総合評価技術を融合することで、次世代技術の開発が促進されると考えております。研究開発リソースの集約によって製品開発のスピードが向上し、高品質な製品を迅速に市場投入する体制が整うとともに、新規事業創出にもつながると期待されると考えております。また、公開買付者グループの海外ネットワークを活用することで、各地域のニーズに応じた対応が可能となり、海外市場でのシェア拡大及び顧客基盤の強化が見込まれます。そして、各事業部門の連携を通じて、既存顧客への提案力が向上するとともに、新たな顧客層への製品・サービス展開が可能となり、当社の売上高の拡大が期待されると考えております。

さらに、競争優位性の観点では、公開買付者グループと当社の強みを結集することで、材料技術・熱/電気制御技術・モビリティインフラ設計といった複合的な技術提案が可能となります。具体的には、当社が培ってきたゴム・樹脂等の高分子材料技術を基盤に、軽量化、耐熱性、制振性等を最適化し、これに電動化や自動運転等に不可欠な熱・電気制御技術(熱マネジメント、絶縁・導電制御、センシング等)を組み合わせることで、各種機器・システムの効率と安全性を高めます。さらに、モビリティインフラ設計技術を応用し、車両のみならず、道路・橋梁・充電設備等社会インフラを含めた構造・システム設計を行うことで、総合的な技術提案を可能とします。これらは他社にはない独自性を有する統合ソリューションとして、国内外の顧客に対する中長期的な提案力の強化、さらには次世代車両開発におけるパートナーシップの深化にも繋がると考えております。

<異なるバックグラウンドを持つ人材の協働による組織活性化や次世代人材の育成>

公開買付者グループと当社の間で人事交流や共通研修等を通じて、技術・営業・管理部門を中心に専門性の向上と人材育成が加速し、グループ全体の組織力強化が実現されると考えております。本取引を通じて公開買付者が当社を完全子会社化することで、当社の組織としての安定性は高まると考えられ、従業員の雇用や既存の取引関係に直接的な影響を及ぼすものではなく、むしろ、公開買付者グループとしての一体運営を通じて成長機会が広がり、従業員のキャリア形成や、取引先との関係深化にも資するものと考えております。

<間接機能や経営基盤の統合を通じた、業務効率の向上とリソース最適化の実現>

公開買付者グループのコーポレート機能、マーケティング、品質管理等のノウハウを活用し、当社の間接部門の効率化を図ることで、経営資源の最適配分が可能となります。具体的には、公開買付者グループ内での購買情報の共有や調達管理の統合により、原材料コストや物流コストの削減が図られるとともに、生産・供給体制の最適化が進むと考えております。また、IT基盤やデジタルツールの統合により、設計から生産、販売、顧客対応に至るまで業務全体の効率化が進み、イノベーションの加速が見込まれます。そして、公開買付者グループのグループ戦略の一体化により、各事業領域でのブランド認知と信頼性が高まり、市場における競争力が向上すると考えております。

また、コーポレートガバナンス・コードの厳格化及び東京証券取引所の市場再編等により上場を維持するために必要な体制及び業務負担が年々拡大・増大しているところ、公開買付者が当社を非公開化することで、上場維持に伴う当社の管理・開示負担コストが削減され、経営資源を成長投資へ集中させることが可能になり、意思決定の迅速化も期待されると考えております。結果として、グループ内での戦略統合を通じて、当社の事業ポートフォリオが最適化され、成長分野への経営資源の集中配分が可能となることで、持続的成長が図られると考えております。

なお、一般論として、上場廃止に伴い、①資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達手段への影響、②当社が上場会社として享受してきた社会的信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保への懸念、③株主、従業員、取引先等のステークホルダーに影響を及ぼす可能性が挙げられます。しかしながら、①については、当社は、当面は資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達の必要性が見込まれない一方で、これまで健全な財務基盤を有していることから資金調達に影響はなく、仮に資金調達が必要になった場合であっても資金力を有する公開買付者グループからの資金援助も期待できると考えられます。②については、公開買付者グループが有する社会的信用力や資金調達力等を活かすことで、採用活動への影響をはじめとする上場廃止による影響を限定的にとどめられると考えられます。③については、当社のこれまでの事業活動を通じて、一定のブランド力・知名度・信用力等、相当程度の事業基盤を既に確保しており、非公開化後も公開買付者からは、上記「③ 本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、シナジー効果を着実に実現させるべく、公開買付者と当社グループの連携を加速させるとともに、意思決定を迅速化させ、総力を結集して当社グループのさらなる企業価値の向上に向けて取り組んでいくとのこと、また、企業価値の向上に向けた経営資源の効率化や全体最適を図るための再配分といった事項については、公開買付者が当社の経営陣と十分に協議しながら検討していく考えであり、当社の独自性を尊重した適切なガバナンスと、公開買付者グループとしてのシナジー効果を最大限実現できる体制作りを目指し、本公開買付け成立後に公開買付者と当社との間で協議していくこと等を踏まえ、当社としては、当社が本取引を通じて非公開化されることは、当社の株主、従業員、取引先その他ステークホルダーについて問題なく受け入れられるものと考えております。

また、当社は、以下の点等から、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は公正であり、本公開買付けは、当社の一般株主の皆様に対して合理的なプレミアムを付した価格及び合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。

(ア)下記「(3) 算定に関する事項」に記載のとおり、本株式価値算定書(大和証券)における大和証券による当社株式に係る株式価値算定結果において、市場株価法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの上限を上回っており、類似会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの範囲内であり、かつDCF法による株式価値算定結果のレンジの中央値(2,523円)を上回っていること。また、当社が大和証券から、本公開買付価格である1株当たり2,600円が、公開買付者及びその関係会社を除く当社株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオン(大和証券)を取得していること。

(イ)下記「(3) 算定に関する事項」の「③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)におけるプルータス・コンサルティングによる当社株式に係る株式価値算定結果において、市場株価法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの上限を上回っており、類似会社比較法及びDCF法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの範囲内であり、かつDCF法による株式価値算定結果のレンジの中央値(2,563円)を上回っていること。また、本特別委員会がプルータス・コンサルティングから、本公開買付価格である1株当たり2,600円が、当社の一般株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)を取得していること。

(ウ)本公開買付価格である1株当たり2,600円は、本公開買付けの基準日(原則として公表日の前営業日)である2025年10月29日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値の2,156円に対して20.59%、同日までの過去1ヶ月間(2025年9月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値2,160円に対して20.37%、同日までの過去3ヶ月間(2025年7月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値2,139円に対して21.55%、同日までの過去6ヶ月間(2025年4月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値1,916円に対して35.70%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であること。2019年6月28日から2025年10月24日までに公表された親会社による上場子会社に対する非公開化を目的とした公開買付け(ただし、2段階公開買付け、不成立案件を除きます。)の事例のうち買付金額が1,000億円以上の事例(以下「参照事例」といいます。)13件と比較すると、プレミアム率の分布を10%刻みで見た場合、基準日までの過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム率は、20%以上30%未満がそれぞれ最頻値(基準日までの過去1ヶ月間では5件、同日までの過去3ヶ月間では5件、同日までの過去6ヶ月間では5件)、基準日の終値に対するプレミアム率は、10%以上20%未満が最頻値(4件)であり、本公開買付価格に付与されたプレミアムは参照事例における基準日の終値、基準日まで過去1ヶ月間及び過去3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの最頻値と同程度以上の水準にあるものと認められること、加えて、参照事例における基準日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値の平均値及び中央値がそれぞれ30.66%、28.55%であることから、本公開買付価格に付与されたプレミアムは、参照事例における基準日までの過去6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアムの平均値・中央値を超えていることから、本公開買付価格に付与されたプレミアムは参照事例との比較においても、遜色ないプレミアムが付いていると評価できること。

(エ)当社の長期の株価推移に照らして、当社の上場以来の終値及び場中の最高値である2,455円(2007年9月25日の取引時間中の最高値)を上回る価格であること。

(オ)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が講じられており、一般株主の利益が確保されていると認められること。

(カ)当該措置が講じられたうえで、当社及び公開買付者等から独立した本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で真摯に交渉を重ね、当初の公開買付者からの提案価格である1株当たり2,300円から引き上げられた価格であること。

(キ)当社における独立した本特別委員会から取得した本答申書において、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅲ)判断内容」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の公正性・妥当性は確保されていると判断されていること。

以上より、当社は、2025年10月30日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。

なお、上記当社取締役会における決議の方法は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

(3) 算定に関する事項

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーであるJPモルガン証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、JPモルガン証券は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。

JPモルガン証券は、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定手法を検討した結果、市場株価が存在することから市場株価平均法を、完全に類似しているわけではないものの、分析の目的のために当社と事業内容等が類似すると考えられる上場企業が複数存在し、類似会社比較法による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社株式の株式価値の算定を行ったとのことです。公開買付者は、JPモルガン証券から、2025年10月30日付で株式価値算定書(以下「買付者算定書」といいます。)を取得したとのことです。また、公開買付者は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の諸要素を総合的に考慮し、かつ当社との協議及び交渉を経て本公開買付価格を判断・決定しているため、JPモルガン証券から本公開買付価格の公正性に関する評価(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

買付者算定書によれば、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。

市場株価平均法 : 1,916円~2,160円

類似会社比較法 : 1,604円~2,257円

DCF法 :      2,222円~3,627円

市場株価平均法では、JPモルガン証券は、公開情報に基づき、2025年10月29日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値2,156円、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,160円、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値2,139円、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,916円に基づき、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を、1,916円から2,160円までと分析しているとのことです。

類似会社比較法では、JPモルガン証券は、2025年10月29日を基準日として、完全に類似しているわけではないものの、分析の目的のために当社と事業内容等が類似すると考えられる上場企業を選定し、それらの市場株価、成長性、及び収益性等を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を、1,604円から2,257円までと分析しているとのことです。

DCF法では、本事業計画を基に公開買付者が策定し、JPモルガン証券に提供した、当社の2025年3月期から2030年3月期の当社の事業計画及び財務予測、公開買付者及び当社に対するインタビュー及びデュー・ディリジェンスの結果、並びにその他一般に公開された情報等の諸要素等に基づき、当社が2025年12月末以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定のレンジにおける割引率により、現在価値に割り引いて株式価値を算出することを通じて、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を、2,222円から3,627円までと分析しているとのことです。

JPモルガン証券がDCF法に用いた当社の2025年3月期から2030年3月期までの事業計画及び財務予測においては、大幅な増減益及び大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいないとのことです。また、DCF法による算定にあたって前提とした当社の事業計画及び財務予測は、本取引の実行を前提としたものではなく、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本取引実行後の各種施策の効果等を考慮したものではないとのことです。買付者算定書及びその基礎となる当社株式の株式価値の算定の前提条件、検討された事項及び検討上の制限に関する補足説明は(注20)に記載のとおりとのことです。

公開買付者は、JPモルガン証券から取得した買付者算定書に記載された算定内容・結果を踏まえつつ、2025年8月上旬から2025年9月上旬にかけて実施された当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、かつ、当社との協議・交渉の結果等を踏まえ、2025年10月30日、本公開買付価格を市場株価平均法及び類似会社比較法に基づく算定のレンジの上限を超えており、DCF法に基づく算定のレンジ内である1株当たり2,600円とすることを決定したとのことです。

なお、本公開買付価格である1株当たり2,600円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年10月29日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値2,156円に対して20.59%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,160円に対して20.37%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値2,139円に対して21.55%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,916円に対して35.70%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となるとのことです。また、本公開買付価格は、本書提出日の前営業日である2025年10月30日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値2,615円に対して-0.57%のプレミアムを加えた金額となるとのことです。

(注20) JPモルガン証券は、買付者算定書の基礎となる当社株式の株式価値の算定を行うにあたり、公開情報、公開買付者若しくは当社から提供を受けた情報、又は、公開買付者若しくは当社と協議した情報、及びJPモルガン証券が検討の対象とした、又はJPモルガン証券のために検討されたその他の情報等の一切が、正確かつ完全であることを前提としており、独自にその正確性及び完全性について検証を行っていないとのことです(また独自にその検証を行う責任も義務も負っていないとのことです。)。JPモルガン証券は、公開買付者又は当社のいかなる資産及び負債についての評価又は査定も行っておらず、また、そのような評価又は査定の提供も受けておらず、さらに、JPモルガン証券は、倒産、支払停止又はそれらに類似する事項に関する適用法令の下での公開買付者又は当社の信用力についての評価も行っていないとのことです。JPモルガン証券は、公開買付者及び当社から提出された、又はそれらに基づき算出された財務分析や予測に依拠するにあたっては、それらが、当該分析又は予測に関連する公開買付者及び当社の将来の業績や財務状況に関する公開買付者及び当社の経営陣の買付者算定書の日付時点における最善の見積もりと判断に基づいて合理的に作成されていることを前提としているとのことです。JPモルガン証券は、かかる分析若しくは予測又はそれらの根拠となった前提については、何ら見解を表明するものではないとのことです。また、JPモルガン証券は、本公開買付けを含む公開買付者により意図される他の取引が、企図されたとおりに実行されること、及び、公開買付者から提供を受けた資料にて説明されたあらゆる効果があることを前提としているとのことです。JPモルガン証券は、法務、当局による規制、税務、会計等の事項に係る専門家ではなく、それらの点については公開買付者のアドバイザーの判断に依拠しているとのことです。さらに、JPモルガン証券は、本公開買付けの実行に必要な全ての重要な政府、規制当局その他の者の同意又は許認可が、公開買付者若しくは当社又は本公開買付けの実行により期待される利益に悪影響を与えることなく取得されることも前提としているとのことです。買付者算定書及びその基礎となる当社株式の株式価値の算定結果は、必然的に、買付者算定書の日付現在でJPモルガン証券が入手している情報及び同日現在の経済、市場、その他の状況に基づいているとのことです。同日より後の事象により、買付者算定書及びその基礎となる当社株式の株式価値の算定結果が影響を受けることがありますが、JPモルガン証券はその分析を修正、変更又は再確認する義務は負わないとのことです。また、買付者算定書及びその基礎となる当社株式の株式価値の算定結果は、公開買付者又は公開買付者の取締役会に対し特定の買付価格について推奨するものではなく、また特定の買付価格が、唯一の適切な買付価格であることについて推奨するものでもないとのことです。JPモルガン証券は本公開買付けに関する公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーであり、かかるファイナンシャル・アドバイザーとしての業務の対価として公開買付者から報酬を受領する予定ですが、当該報酬の一定部分は本公開買付けが実行された場合にのみ発生するとのことです。さらに、公開買付者は、かかる業務に起因して生じうる一定の債務についてJPモルガン証券を補償することに同意しているとのことです。買付者算定書の日付までの2年間において、JPモルガン証券及びその関係会社は、公開買付者のためにファイナンシャル・アドバイザリー業務、商業銀行業務又は投資銀行業務を行い、通常の報酬を受領しており、また将来において当該業務を行い、通常の報酬を受領する可能性があるとのことです。当該期間中、JPモルガン証券及びその関係会社は、当社のために重要なファイナンシャル・アドバイザリー業務、商業銀行業務又は投資銀行業務を行ったことはないとのことです。また、JPモルガン証券及びその関係会社は、自己勘定で公開買付者及び当社の発行済株式の1%未満を所有しているとのことです。JPモルガン証券及びJPモルガン証券の関係会社は、その通常の業務において、公開買付者及び当社が発行した債券又は株式の自己勘定取引又は顧客勘定取引を行うことがあり、したがって、JPモルガン証券及びJPモルガン証券の関係会社は随時、これらの有価証券の買持ちポジション又は売持ちポジションを保有する可能性があるとのことです。JPモルガン証券による当社株式の株式価値の分析にあたって、JPモルガン証券が前提とした当社の財務予測(以下「本件財務予測」といいます。)は、本事業計画を基に公開買付者が策定し、JPモルガン証券に提供したものとのことです。なお、公開買付者は、本件財務予測を、一般には公表しておらず、また、本件財務予測は一般に公開することを目的としては作成されていないとのことです。本件財務予測は、本質的に不確実であり、かつ公開買付者あるいは当社の経営陣が管理あるいは統制できない多くの変数及び前提条件(一般経済、競争条件及び現行利子率に関係する要因を含みますが、これらに限られないとのことです。)に依拠しているとのことです。そのため、実際の業績は、これらの財務予測と大幅に異なる可能性があるとのことです。上記の買付者算定書の基礎となる当社株式の株式価値の算定の結果及びその算定の手法の概要に係る記載は、JPモルガン証券が実施した分析又は参考にしたデータを全て記載するものではないとのことです。買付者算定書は複雑な過程を経て作成されているため、その分析結果の一部又は要約の記載は必ずしもその分析の内容全てを正確に表すものではないとのことです。JPモルガン証券の分析結果は全体として考慮される必要があり、その分析結果を全体として考慮することなくその一部又は要約のみを参考にした場合、JPモルガン証券の分析の基礎となる過程について必ずしも正確な理解を得ることができない可能性があるとのことです。JPモルガン証券は、その分析を行うにあたり、各分析及び要因を総体的かつ全体的に考慮しており、特定の分析又は要因に特別な比重を置いておらず、また、個別に検討した各分析又は各要因についてそれぞれがJPモルガン証券の分析の根拠となったか、また、どの程度の根拠となったのかについての意見は述べていないとのことです。また、分析に際して比較対象として検討された会社はいずれも、JPモルガン証券による分析の目的上、(場合により)当社と類似すると考えられる事業に従事する公開会社であるという理由により選択されたものとのことですが、当社の事業部門又は子会社と完全に同一ではないとのことです。したがって、JPモルガン証券による分析は、当社との比較対象として検討された会社の財務及び事業上の特性の相違、並びに、これらの会社に影響を及ぼす可能性のあるその他の要因に関する、複雑な検討及び判断を必然的に含んだものになっているとのことです。

② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者等及び当社グループから独立した第三者算定機関として、ファイナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、当社株式の株式価値の算定及び本公開買付価格を含む本取引における取引条件について当社の一般株主にとっての財務的な観点からの公正性についての意見表明を依頼し、2025年10月29日付で、本株式価値算定書(大和証券)及び本フェアネス・オピニオン(大和証券)を取得いたしました。

大和証券は、公開買付者等及び当社グループの関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係る大和証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案のうえ、上記の報酬体系により大和証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選定いたしました。

(ⅱ)当社株式に係る算定の概要

大和証券は、複数の算定手法の中から当社株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討のうえ、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社の市場株価の動向を勘案した市場株価法、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法及び当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を算定方法として用いて当社の1株当たりの株式価値の分析及び株式価値の算定を行い、当社は、2025年10月29日付で大和証券より本株式価値算定書(大和証券)を取得いたしました。

上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

市場株価法   :1,916円から2,160円

類似会社比較法 :1,768円から3,672円

DCF法      :2,040円から3,005円

大和証券が当社株式の株式価値算定の前提とした本事業計画は、本取引の取引条件の妥当性を検討することを目的として公開買付者との間で重要な利害関係を有しない当社取締役の山根英雄氏及び従業員から組成されたチームが策定しており、その後、本特別委員会における検討を経て承認されております。本事業計画は、各主要顧客の自動車生産台数計画に基づき、当社が現時点で合理的に将来予測が可能な期間として、2026年3月期から2030年3月期までの5期間で構成されています。本事業計画の策定においては、当社は、米国の高関税措置の影響を受ける一方、顧客である自動車メーカーへの価格転嫁を通じて一定程度回収可能な見通しとともに、電動化対応に伴う新製品開発や原価低減活動、経費支出の抑制施策の実施による収益性の確保を前提としております。なお、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味しておりません。また、本事業計画には、当社が2025年7月30日に公表した2026年3月期の連結業績予想からの大幅な乖離は存在しません。

市場株価法では、2025年10月29日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値2,156円、過去1ヶ月間(2025年9月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値2,160円、過去3ヶ月間(2025年7月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値2,139円及び過去6ヶ月間(2025年4月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値1,916円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,916円~2,160円までと算定しております。

類似会社比較法では、当社と類似性があると判断される類似上場会社として、豊田合成株式会社、NOK株式会社、イーグル工業株式会社、西川ゴム工業株式会社、フコク株式会社を選定したうえで、EBITDAに対する企業価値の倍率を用いて算定を行い、当社株式の1株当たり価値の範囲を1,768円~3,672円までと算定しております。

DCF法では、本事業計画を基に、本事業計画における収益や投資計画、当社の2026年3月期第1四半期における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第2四半期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を2,040円~3,005円までと算定しております。また、割引率は加重平均資本コストを用い、8.5%~9.5%を採用しており、当社の規模を考慮し、サイズリスク・プレミアムを含めて算出しております。継続価値の算定にあたっては乗数モデル及び定率成長モデルを採用し、乗数モデルでは類似会社比較法と同様の類似会社を選定したうえで、EBITDAに対する企業価値の倍率を4.0倍~5.5倍として継続価値を3,275億円~4,503億円と算出しております。定率成長モデルでは国内外のインフレ率及び当社が属する業界成長率等を踏まえて、永久成長率は0.0%~2.0%として当社の継続価値を3,237億円~4,331億円と算定しております。なお、重要性を有する資産として、現預金は、当社における過去の資金繰り実績等を総合的に考慮し推計した事業用現預金を控除して、株式価値の算定において加算しております。

なお、DCF法で算定の前提とした当社財務予測の数値は以下のとおりです。当社財務予測には大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれておりません。

(単位:百万円)

2026年

3月期

(9ヶ月)
2027年

3月期
2028年

3月期
2029年

3月期
2030年

3月期
売上収益 465,217 638,065 656,726 670,449 700,006
営業利益 27,867 40,166 41,392 41,763 43,934
EBITDA 53,821 76,011 77,550 78,918 81,876
フリー・キャッシュ・フロー 22,312 23,358 23,830 24,862 24,241
(ⅲ)本フェアネス・オピニオン(大和証券)の概要

当社は、2025年10月29日付で、大和証券から、本公開買付価格である1株当たり2,600円が、公開買付者及びその関係会社を除く当社株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオン(大和証券)を取得しております(注21)。なお、本フェアネス・オピニオン(大和証券)は事業見通しを含む財務情報の分析及び検討並びに本特別委員会との質疑応答を経て、大和証券により実施された当社株式の株式価値算定結果の検討に加え、本公開買付けに賛同するに至る経緯・背景に係る当社及び本特別委員会との質疑応答、並びに大和証券のフェアネス・オピニオン承認会議によって作成・提出の承認を受けております。

(注21) 大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)記載の意見を述べるにあたり、大和証券が分析及び検討の対象とした全ての資料及び情報が正確かつ完全であることを前提としており、これらの資料及び情報の正確性又は完全性に関し独自の検証を行っておらず、またその義務を負うものではありません。大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)記載の意見を述べるにあたり、当社に関して大和証券に開示されていない当社の企業価値に影響を及ぼすような事象が、本フェアネス・オピニオン(大和証券)記載の意見を述べる日付時点で発生していないことを前提としております。大和証券は、当社及びその関係会社の全ての資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みますが、これらに限られません。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、また第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。大和証券は、破産、支払不能又はこれらに類似する事項に関するいかなる適用法令の下における当社及びその関係会社の支払能力又は信用力についても評価を行っておりません。大和証券は、当社及びその関係会社のいかなる財産又は設備の実地の見分を行っておらず、またその義務を負うものでもありません。

大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)記載の意見を述べるにあたり、大和証券に提供された本事業計画、財務予測その他将来に関する情報が、当社の経営陣による現時点において可能な最善の予測と判断に基づき、合理的に作成されていることを前提としており、当社の同意を得て、独自に検証することなくこれらの情報に依拠しています。大和証券は、大和証券に提供された本事業計画、財務予測その他将来に関する情報が、これらの作成又は提供日付以降、当社の資産、財務状況、事業又は将来予測に重大な影響を及ぼす状況の変化はないことを前提にしています。大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)記載の意見の表明及びその前提となる分析を行うにあたって、業界状況、一般的なビジネス及び経済の状況並びにその他の事項について多数の前提を置いており、その多くは、当社及び公開買付者が制御できないものです。大和証券の当該分析に含まれる全ての予測は、必ずしも将来の結果や実際の価値を示すものではなく、かかる結果や価値は、当該予測によって示唆されるものに比して大幅に良くも悪くもなり得るものです。

大和証券は、本公開買付けの実行に必要な全ての政府、規制当局その他の者の同意又は許認可が、本公開買付けにより期待される利益に悪影響を与えることなく取得されることも前提としています。大和証券は、本公開買付けの実行に関する当社の意思決定、あるいは本公開買付けと他の戦略的選択肢の比較評価を検討することを当社から依頼されておらず、また検討しておりません。大和証券は、法律、会計及び税務のいずれの専門家でもなく、本公開買付けに関するいかなる事項の適法性及び有効性並びに会計及び税務上の処理の妥当性について独自に分析及び検討を行っておらず、それらの義務を負うものでもありません。

大和証券は、本公開買付けに関するアドバイザリー業務(以下「本アドバイザリー業務」といいます。)提供の対価として、既に受領済みの手数料に加え手数料を受領する予定です。当社は、大和証券の本アドバイザリー業務に関連して生じ得る一定の責任について補償することに同意しております。

大和証券及びその関係会社は、当社及びその関係会社に対して、有償で、有価証券関連サービスを含む投資・金融サービスを提供し又は今後提供することがあります。また、大和証券及びその関係会社は、当社及びその関係会社の有価証券及び金融派生商品を含む金融商品を、自己又は顧客の勘定で取引又は所有することがあります。

本フェアネス・オピニオン(大和証券)は、当社取締役会が本公開買付価格を検討するための参考情報として利用することを唯一の目的として作成されたものです。大和証券は、当社又は当社取締役会に対して特定の買付価格について推奨するものではなく、また、特定の買付価格が唯一適切な買付価格であることについて推奨するものでもありません。また、当社は、大和証券の書面による事前の同意なく、本フェアネス・オピニオン(大和証券)を第三者に開示、伝達又は参照させることはできません。本フェアネス・オピニオン(大和証券)記載の意見は、当社取締役会以外の第三者に宛てられるものではなく、当該第三者はいかなる目的においても、これを信頼し又はこれに依拠することはできません。さらに、本フェアネス・オピニオン(大和証券)に記載された大和証券の意見は、当社の一般株主に対して本公開買付けに関する議決権等の株主権の行使、当社株式の譲渡又は譲受けその他の関連する事項について何らの推奨又は勧誘を行うものではありません。

大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)において、公開買付者及びその関係会社を除く当社の一般株主にとって本公開買付価格が財務的見地から公正であるか否かについてのみ意見を述べるものであり、大和証券は、公開買付者及びその関係会社を除く当社の一般株主以外の第三者にとって公正であるか否か又はその他の事項についての意見を求められておらず、かつ、意見を述べておりません。大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)において、本公開買付価格の決定の基礎となる各前提事実若しくは仮定、又は当社の本公開買付けに関する意思決定について意見を述べるものではありません。また、大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)において、本フェアネス・オピニオン(大和証券)の日付以降に取引される当社株式の価格について、いかなる意見を述べるものでもありません。

大和証券は、本公開買付価格に関して、本公開買付けに関わるいかなる役員、取締役又は従業員、又は同様の者が受け取る予定のいかなる報酬の額や性質が公正であるか否かについて、意見を述べるものではありません。

大和証券は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)を作成するにあたり、当社の全部又はいかなる部分の買収についても、公開買付者以外の第三者が関心を示すよう勧誘を行う権限を、当社又は当社取締役会から与えられておらず、また過去に当該勧誘を行っておりません。

本フェアネス・オピニオン(大和証券)に記載された大和証券の意見は、本フェアネス・オピニオン(大和証券)の日付現在における金融、経済、市場その他の状況を前提とし、当該日付現在までに大和証券が入手可能な情報に依拠しています。また、本フェアネス・オピニオン(大和証券)に記載された大和証券の意見は今後の状況の変化に伴い影響を受ける可能性がありますが、大和証券はその意見を更新、修正又は再確認する義務を負いません。

③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の妥当性を確保するために、公開買付者等及び当社グループから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングに対して、当社株式の株式価値の算定及び本公開買付価格を含む本取引における取引条件について当社の一般株主にとっての財務的な観点からの公正性に関する意見表明を依頼し、2025年10月29日付で、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)を取得いたしました。

プルータス・コンサルティングは、公開買付者等及び当社グループの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るプルータス・コンサルティングの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。

(ⅱ)当社株式に係る算定の概要

プルータス・コンサルティングは、複数の算定手法の中から当社株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討のうえ、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社の市場株価の動向を勘案した市場株価法、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法及び当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を算定方法として用いて当社の1株当たりの株式価値の分析及び株式価値の算定を行い、本特別委員会は、2025年10月29日付でプルータス・コンサルティングより本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)を取得いたしました。

上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

市場株価法   :1,916円から2,160円

類似会社比較法 :2,411円から3,689円

DCF法      :2,326円から2,800円

市場株価法では、2025年10月29日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値2,156円、過去1ヶ月間(2025年9月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値2,160円、過去3ヶ月間(2025年7月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値2,139円及び過去6ヶ月間(2025年4月30日から2025年10月29日まで)の終値単純平均値1,916円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,916円~2,160円までと算定しております。

類似会社比較法では、当社と類似性があると判断される類似上場会社として、豊田合成株式会社、NOK株式会社、TOYO TIRE株式会社、ニッタ株式会社、株式会社フコク、横浜ゴム株式会社、株式会社ニチリンを選定したうえで、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて算定を行い、当社株式の1株当たりの価値の範囲を2,411円~3,689円までと算定しております。

DCF法では、本事業計画を基に、本事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第2四半期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を2,326円~2,800円までと算定しております。なお、割引率は加重平均資本コストを用い、9.4%~11.1%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率は理論上想定される長期的な経済環境等を勘案して、0%として当社の継続価値を2,844億円~3,342億円と算定しております。

また、非事業用資産として、当社の保有する現預金を加算するとともに、売買目的資産、関連会社株式、投資有価証券等についても加算しております。

プルータス・コンサルティングがDCF法で算定の前提とした本事業計画に基づく連結財務予測は以下のとおりです。なお、本事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておらず、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度は含まれておりません。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上記算定には加味しておりません。

(単位:百万円)

2026年

3月期

(9ヶ月)
2027年

3月期
2028年

3月期
2029年

3月期
2030年

3月期
売上収益 465,217 638,065 656,726 670,449 700,006
営業利益 27,867 40,166 41,392 41,763 43,934
EBITDA 53,821 76,011 77,550 78,918 81,876
フリー・キャッシュ・フロー 21,806 25,563 26,085 26,705 27,404
(ⅲ)本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の概要

本特別委員会は、2025年10月29日付で、プルータス・コンサルティングから、本公開買付価格である1株当たり2,600円が当社の一般株主にとって財務的見地から公正なものと考える旨の本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)を取得いたしました(注22)。プルータス・コンサルティングは、本事業計画に基づく当社株式の株式価値算定結果等に照らして、本公開買付価格である1株当たり2,600円が、当社の一般株主にとって財務的見地から公正であることを意見表明するものです。

なお、本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)は、プルータス・コンサルティングが、当社から、当社グループの事業の現状、事業見通し等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けたうえで実施した当社株式の株式価値算定結果に加えて、本公開買付けの概要、背景及び目的に係る当社との質疑応答、プルータス・コンサルティングが必要と認めた範囲内での当社グループの事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びにプルータス・コンサルティングにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行されております。

(注22) プルータス・コンサルティングは、本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の作成及び提出並びにその基礎となる株式価値の算定を行うに際して、当社から提供され又は当社と協議した情報及び基礎資料、一般に公開されている資料について、それらが正確かつ完全であること、当社株式の株式価値の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でプルータス・コンサルティングに対して未開示の事実はないことを前提としてこれらに依拠しており、独自にそれらの調査、検証を実施しておらず、その調査、検証を実施する義務も負っておりません。

プルータス・コンサルティングが、本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の基礎資料として用いた当社の事業見通しその他の資料は、当社の経営陣により当該時点における最善の予測と判断に基づき合理的に作成されていることを前提としており、プルータス・コンサルティングはその実現可能性を保証するものではなく、これらの作成の前提となった分析若しくは予測又はそれらの根拠となった前提条件については、何ら見解を表明していません。

プルータス・コンサルティングは、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)に関して独自の評価又は鑑定を行っておらず、これらに関していかなる評価書や鑑定書の提供も受けておりません。したがって、プルータス・コンサルティングは当社及びその関係会社の支払能力についての評価も行っておりません。

プルータス・コンサルティングは、法律、会計又は税務の専門機関ではありません。したがって、プルータス・コンサルティングは本公開買付けに関する法律、会計又は税務上の問題に関して何らかの見解を述べるものでもなければ、その義務を負うものでもありません。

本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)は、本特別委員会が本諮問事項に対する答申を行うに際しての検討に供する目的で、本公開買付価格の公正性に関する意見を財務的見地から表明したものです。したがって、本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)は、本公開買付けの代替的な選択肢となり得る取引との優劣、本公開買付けの実施によりもたらされる便益、及び本公開買付けの実行の是非について、何ら意見を述べるものではありません。

本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)は、本公開買付価格が当社の一般株主にとって財務的見地から公正か否かについて、その作成日現在の金融及び資本市場、経済状況並びにその他の情勢を前提に、また、その作成日までにプルータス・コンサルティングが入手している情報に基づいてその作成日時点における意見を述べたものであり、その後の状況の変化により本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の内容に影響を受けることがありますが、プルータス・コンサルティングは、そのような場合であっても本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の内容を修正、変更又は補足する義務を負いません。また、本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)は、本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)に明示的に記載された事項以外、又は本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の提出日以降に関して、何らの意見を推論させ、示唆するものではありません。

プルータス・コンサルティングは、当社への投資等を勧誘するものではなく、その権限も有しておりません。本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)は、本公開買付価格が当社の一般株主にとって財務的見地から不利益なものではなく公正なものであることについて意見表明するにとどまり、本公開買付けの実行の是非及び本公開買付けに関する応募その他の行動について意見表明や推奨を行うものではなく、当社の発行する有価証券の所有者、債権者、その他の関係者に対し、いかなる意見を述べるものでもありません。したがって、プルータス・コンサルティングは本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)に依拠した株主及び第三者の皆様に対して何らの責任も負いません。

また、本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)は、本公開買付価格に関する当社取締役会及び本特別委員会の判断の基礎資料として使用することを目的としてプルータス・コンサルティングから提供されたものであり、他のいかなる者もこれに依拠することはできません。

(4) 上場廃止となる見込み及びその事由

当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場しておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所及び名古屋証券取引所の定める上場廃止基準に従って、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を実施することとなった場合には、上場廃止基準に該当し、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場において取引することはできません。

(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とする方針であり、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式、当社が所有する自己株式及び本完全子会社所有株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付け成立後、以下の方法により、当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。なお、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本完全子会社所有株式の対応方針次第では、本完全子会社所有株式の全部又は一部を含む可能性がございます。)の取得を目的とした手続を実施することを予定しているとのことです。

① 株式売渡請求

公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者及び本完全子会社の所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。本株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を本売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して本株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社が取締役会の決議により本株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、本売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、本株式売渡請求において定めた取得日をもって、本売渡株主からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。そして、公開買付者は、本売渡株主に対し、本売渡株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。当社は、公開買付者より本株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会において本株式売渡請求を承認する予定です。

上記手続に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の手続として、本株式売渡請求がなされた場合には、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、本売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができます。なお、かかる申立てがなされた場合における、当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

② 株式併合

他方で、本公開買付けの成立後、公開買付者及び本完全子会社の所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、当社に対し、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを要請する予定とのことです。公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日後の近接する日(本書提出日現在においては、2025年12月下旬頃を予定しているとのことです。)が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。本書提出日現在において、当社は公開買付者の要請に応じ本臨時株主総会を開催する予定であり、本臨時株主総会の開催は2026年2月中旬頃を予定しております。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じとします。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定したうえで、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、本株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者のみが当社株式の全て(当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。

上記手続に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の手続として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができ、かつ裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができます。なお、これらの申立てがなされた場合における、当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議のうえ、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

公開買付者及び当社は、当社が公開買付者の連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が当社における支配株主との重要な取引等に該当し、また、公開買付者と一般株主の間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、以下の措置を講じております。

なお、公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本書提出日現在、当社株式51,534,901株(所有割合:49.64%)を直接所有し、公開買付者の子会社及び関係会社を通じて当社株式1,220,469株(所有割合:1.18%)を間接的に所有しており、合わせて当社株式52,755,370株(所有割合:50.81%)を所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において以下の措置が講じられていることから、公開買付者としては、当社の一般株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。また、本特別委員会は、本答申書において、他の公正性担保措置の実施状況に照らせば、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に係る条件が設定されていないことのみをもって、本取引の条件の公正性が否定されるものではないと考えられる旨判断しており、当社としても同様に判断しております。

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるJPモルガン証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年10月30日付で当社株式の株式価値の算定結果に関する買付者算定書を取得したとのことです。公開買付者がJPモルガン証券から取得した当社株式の株式価値の算定結果に関する買付者算定書の詳細については、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得

上記「(3) 算定に関する事項」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、公開買付者等及び当社グループから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券に対して、当社株式の株式価値の算定及び本取引における取引条件について当社の一般株主にとっての財務的な観点からの公正性についての意見表明を依頼し、2025年10月29日付で、本株式価値算定書(大和証券)及び本フェアネス・オピニオン(大和証券)を取得いたしました。なお、大和証券は、公開買付者等及び当社グループの関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)設置等の経緯

上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社取締役会における意思決定に至る過程」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、当社は、2025年7月30日開催の取締役会決議により、本特別委員会を設置いたしましたが、本特別委員会の設置に先立ち、当社は、公開買付者から、本提案書を受領した2025年7月7日から、公開買付者から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を構築するため、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言も得つつ、当社の独立社外取締役及び独立社外監査役の全員に対して、公開買付者から本取引の提案を受けた旨、並びに本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当するため、本取引に係る検討・交渉等を行うにあたっては、本特別委員会の設置をはじめとする本取引の取引条件の公正性・妥当性を担保するための措置を十分に講じる必要がある旨等を個別に説明いたしました。また、当社は、並行して、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補となる当社の独立社外役員の独立性及び適格性等についても確認を行いました。そのうえで、入谷正章氏(当社独立社外取締役)、伊勢清貴氏(当社独立社外取締役)、宮城まり子氏(当社独立社外取締役)、百嶋計氏(当社独立社外監査役)、小池達子氏(当社独立社外監査役)及び松田玲子氏(当社独立社外監査役)の6名を本特別委員会の委員の候補として選定いたしました(なお、本特別委員会の委員の互選により、本特別委員会の委員長には、当社独立社外取締役である入谷正章氏が就任しており、本特別委員会の委員は設置当初から変更しておりません。)。なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額の報酬を支払うものとされております。

そのうえで、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社取締役会における意思決定に至る過程」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、2025年7月30日開催の当社取締役会決議により、本特別委員会を設置するとともに、本特別委員会に対し、本諮問事項について諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(ⅰ)当社取締役会は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととすること、及び(ⅱ)本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないことを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)本諮問事項に関する検討及び判断を行うに際し、必要に応じ、自らのファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー等のアドバイザーを選任する(その場合の合理的な費用は当社が負担する。)、又は、当社のアドバイザーを承認(事後承認を含む。)する権限を付与すること、(ⅱ)必要に応じ、当社の役職員その他本特別委員会が必要と認める者から本諮問事項の検討及び判断に合理的に必要な情報を受領する権限を付与すること、並びに(ⅲ)必要に応じ、公開買付者との間で本取引の取引条件等の協議及び交渉を行う権限を付与することを決議しております。

(ⅱ)検討の経緯

本特別委員会は、2025年7月30日から同年10月29日までの間に合計11回に亘って開催されたほか、各会日間においても必要に応じて都度電子メールやWeb会議を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行しております。

具体的には、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券並びに当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認のうえ、その選任を承認するとともに、本特別委員会としてもこれらのアドバイザーから専門的助言を受けることに異議がないことを確認しております。

また、本特別委員会は、第三者算定機関の候補者の独立性及び専門性・実績等を検討のうえ、2025年8月6日、公開買付者等及び当社グループから独立した独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングを選任いたしました。本特別委員会は、プルータス・コンサルティングが公開買付者等及び当社グループの関連当事者には該当しないこと、及び本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないこと、その他本取引における独立性に問題がないことを確認しております。

そのうえで、本特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から聴取した意見を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。

また、2025年8月13日に公開買付者に対し本質問事項に関して書面による質問をしたところ、同年8月22日に、公開買付者から本質問事項について書面による回答を受けました。さらに、当該回答を踏まえて、当社及び本特別委員会が同年8月27日開催の特別委員会にて、本質問事項に関する追加のインタビューを行い、公開買付者から当該回答に関する説明を受け、これに対する質疑応答及び協議を行いました。

本公開買付価格については、当社は、2025年9月29日以降、公開買付者との間で、複数回に亘る交渉を重ねてまいりました。具体的には、当社は、公開買付者が当社に対して実施したデュー・ディリジェンスにより得られた情報、当該情報を前提として公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーであるJPモルガン証券が実施した初期的な当社株式価値分析及び当該情報を前提として公開買付者で実施した初期的な当社株式価値分析内容を総合的に勘案した結果として、公開買付者から、2025年9月29日に、2026年3月期の期末配当を無配とする前提で、本公開買付価格を2,300円(提案日の前営業日である2025年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,240円に対して2.68%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円に対して3.42%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,996円に対して15.23%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,800円に対して27.78%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とすることを含んだ本取引に関する提案を受けました。しかし、当社は、2025年10月1日、本公開買付価格は当社の本源的価値を反映した価格水準を下回ること、また、一般株主の立場から見ても、足元の株価水準を踏まえれば受容可能な条件とは言い難いものと考えていること、さらに、他社事例におけるプレミアム水準や近時の市況動向を勘案しても、より慎重な検討をすべき水準であることを踏まえ、本公開買付価格の再検討を要請いたしました。その後、同月7日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格について慎重に検討した結果として、本公開買付価格を2,400円(提案日の前営業日である2025年10月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,197円に対して9.24%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円に対して7.91%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,044円に対して17.42%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,824円に対して31.58%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。しかし、当社は、同月8日、本公開買付価格は、当社の株価の動向及び他の類似事例におけるプレミアム水準を踏まえれば、当社として本取引に賛同できる水準には到底至らず、また、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえないものとして、本公開買付価格の再検討を要請いたしました。当該要請に対して、同月14日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格について改めて慎重に検討した結果として、本公開買付価格を2,480円(提案日の前営業日である2025年10月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,104円に対して17.87%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,207円に対して12.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,073円に対して19.63%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,850円に対して34.05%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領しました。これに対して、当社は同月15日、提案された公開買付価格は、当社及び本特別委員会が起用したファイナンシャル・アドバイザーにおいて実施中の株式価値算定の内容と照らし、当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、当社の一般株主にとって公正かつ合理的な経済条件とはいえないものと考えていること、また、当社の現在の株価に関しては、関税政策に係る市場の不透明感が払拭されたこと等も含め、当社の業績及び今後の成長性を織り込んだ本源的価値が、市場からの評価として適切に反映された結果と捉えていること、加えて、当社及び本特別委員会においては、類似事例のプレミアム水準との比較の観点では、完全子会社化を企図した非公開化事例との比較のみではなく、本件と類似する環境下での事例との比較を含めて検討しているところ、そのような事例におけるプレミアム水準と比べても、提案された公開買付価格は、依然として当社として本取引に賛同できる水準には至らないと考えているとして、本公開買付価格の再提案の要請を行いました。当該要請に対して、同月20日、当社は、公開買付者から、直近の当社株価の上昇は当社の本源的価値の変化というよりは本邦株式市場の上昇を受けて形成されたものである可能性が否定できず、かかる状況下において、本公開買付けのプレミアムを他社事例との比較に依拠して評価することは適切ではないと考えていることを踏まえ、本公開買付価格を2,510円(提案日の前営業日である2025年10月17日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,101円に対して19.47%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,172円に対して15.56%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,098円に対して19.64%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,876円に対して33.80%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。これに対して、当社は同月22日、当該再提案した本公開買付価格は、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、他の類似事例のプレミアム水準と比較しても十分ではないと考えられることから、当社として賛同できる水準に至らないとして、本取引の実行によって発現するシナジーを勘案し、当該シナジーの分配を織り込んだうえで検討するよう、本公開買付価格の再提案の要請を行いました。当該要請に対して、同月24日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格を2,550円(提案日の前営業日である2025年10月23日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,225円に対して14.61%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,162円に対して17.95%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,116円に対して20.51%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,899円に対して34.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。これに対して、当社は同月27日、提案された公開買付価格について、当社及び本特別委員会において真摯に検討を重ねた結果、本取引の類似事例のプレミアム水準との比較、本取引の実行によって発現するシナジーの一般株主への公正な分配、当社の本源的価値を反映した価格水準といった要素を踏まえれば、本取引に賛同及び本公開買付けについて当社の一般株主に対して応募推奨を行うにあたっては、未だ十分な価格ではないとし、特に、公開買付者の提案によれば、直近の当社株価の上昇局面に依拠しない過去6ヶ月間の当社株価終値の単純平均値に対しては十分なプレミアムが付された水準とのことである一方、当社としては、過去の当社株価の上昇は、株式市場の上昇を受けて形成されたものではなく、企業としての本質的な強みや収益力が評価されたものと捉えており、従って、過去6ヶ月間の平均株価に対するプレミアムのみならず、過去1ヶ月間・過去3ヶ月間の平均株価に対するプレミアムも参照すべきであり、当社の一般株主を含む市場参加者による本取引の経済条件に対する期待も勘案のうえで、公開買付価格を再検討するよう要請いたしました。当該要請に対して、同月28日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格を2,600円(提案日の前営業日である2025年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,294円に対して13.34%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,161円に対して20.31%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,129円に対して22.12%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,910円に対して36.13%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の最終提案を受領いたしました。その結果、2025年10月29日、当社及び本特別委員会は、公開買付者の提案を応諾する旨の回答を行い、本公開買付価格を2,600円とすることで合意に至りました。

以上の検討・交渉過程において、当社は、本公開買付価格に関する公開買付者との協議及び交渉にあたり、本特別委員会から聴取した意見並びに大和証券及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所からの助言を踏まえて検討を行っており、その際、本特別委員会においては、随時、本特別委員会のアドバイザーであるプルータス・コンサルティング及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所から助言を受けるとともに、当社や当社のアドバイザーとの意見交換を行い、適宜、確認・承認を行ってきました。具体的には、まず、当社が公開買付者に対して提示し、また、大和証券及びプルータス・コンサルティングが当社株式の株式価値算定において基礎とする本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について、事前に本特別委員会の確認を経て、その承認を受けております。また、当社のファイナンシャル・アドバイザーである大和証券は、公開買付者との交渉にあたっては、事前に本特別委員会において審議のうえ決定した交渉方針に従って対応を行っており、公開買付者から本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、公開買付者との交渉方針等について本特別委員会から意見、指示、要請等を受け、これに従って対応を行っております。

(ⅲ)判断内容

本特別委員会は、以上の経緯の下で、プルータス・コンサルティングから受けた財務的見地からの助言、並びに2025年10月29日付で提出を受けた本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年10月29日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。

(a) 答申内容

1.本取引は当社の企業価値の向上に資するものであって、その目的は正当性・合理性を有すると認められる。

2.本取引の条件の公正性・妥当性(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類その他の本取引の条件が公正なものとなっているかどうかを含む。)は確保されていると認められる。

3.本取引において、類似案件と同水準の公正性担保措置が講じられており、取引条件の公正性を担保するための手続が十分に講じられていると認められる。

4.上記1.から3.を踏まえ、本取引を行うことが当社の一般株主にとって公正であると考えられる。

5.当社取締役会が、本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨することは適切であると認められる。

(b) 答申理由

(b)-1.本特別委員会における検討の方針

(1) 本取引における利益相反性・情報の非対称性

本取引は、公開買付者(当社の親会社であり、当社の支配株主に当たる。)が当社の株主を公開買付者のみとすることを目的として行う取引であり、その結果として当社株式が上場廃止となることが見込まれる取引である。

本取引のうち本公開買付けは、公開買付者が支配株主である公開買付けに該当し、本取引のうち本スクイーズアウト手続は、支配株主が関連する株式併合又は株式売渡請求の承認に該当する。そのため、本取引は、一般株主にとって公正なものであることに関し、特別委員会による意見書の入手を行うことが必要となる取引(有価証券上場規程(東京証券取引所)(以下「有価証券上場規程」という。)第441条第1項柱書)に該当する。そこで、当社の一般株主への影響に配慮し、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するため、その是非や取引条件の妥当性、手続の公正性等について検討及び判断を行う任意の合議体として本特別委員会は設置されたものである。

(2) 本取引の検討において参照すべきM&Aに関する規律

M&A指針は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)及び支配株主による従属会社の買収を中心とする構造的な利益相反の問題が存在するM&Aについて、主として手続面から、我が国の企業社会における公正なM&Aの在り方を提示するものである(M&A指針1.2及び1.3)。そして、M&A指針がMBO及び支配株主による従属会社の買収の公正性の判断にあたって直近の裁判例でも言及されていること並びに経済産業省が上場会社の経営支配を取得する買収を巡る当事者の行動の在り方を中心にM&Aに関する公正なルール形成に向けて経済社会において共有されるべき原則論及びベストプラクティスを提示することを目的に作成された2023年8月31日付の企業買収行動指針においてもM&A指針の考え方が踏襲されていることからすると、M&A指針は、本答申書作成時点の我が国において、構造的な利益相反の問題が生じ得るM&Aの公正性全般に関して示された公的見解として信頼に足るものと考えられる。

以上から、上記(1)のとおり支配株主による従属会社の買収に該当する本取引の公正性についても、M&A指針が求める以下の2つの原則(M&A指針2.3)が充足されているか否かの観点から検証すべきものと考えられる。

① 企業価値の向上(望ましいM&Aか否かは、企業価値を向上させるか否かを基準に判断されるべき)

② 公正な手続を通じた一般株主利益の確保(M&Aは、公正な手続を通じて行われることにより、一般株主が享受すべき利益が確保されるべき)

また、②の充足が認められるか否かを判断するにあたっては、M&A指針において挙げられている基本的な視点、すなわち、(ⅰ)取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況の確保及び(ⅱ)一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点(M&A指針2.4)からの検討を行うことが有益である。

なお、②を具体的に検討するにあたっては、M&A指針が公正性担保措置として取り上げる措置(M&A指針第3章)の本取引における採用及び運用の状況を検討したうえで、本取引の状況に応じた適切な措置が選択されているか否かを検討する方法が有効である。その際には、M&A指針も指摘するように、M&A指針で取り上げられている措置を全て採用する必要があるわけではなく、本取引の実情に応じた公正性担保措置が採用され、適切に運用されているかを確認することが重要である(M&A指針3.1.2)。

なお、2025年7月7日付で東京証券取引所が「MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」及び「MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正等に伴う「会社情報適時開示ガイドブック」の改訂について」を公表し、有価証券上場規程等の改正(以下「本上場規程等改正」という。)が2025年7月22日をもって施行されている。本取引は、本上場規程等改正の施行日後に決定する支配株主による公開買付けであるため、有価証券上場規程第441条に規定される「MBO等に係る遵守事項」が適用され、本上場規程等改正の適用を受けるものであり、同条に規定されている遵守事項についても留意する必要がある(個別の遵守事項については、下記(b)-4.で述べることとする。)。

(3) 本取引における諮問事項の整理と検討方法

以上を踏まえて本取引の諮問事項を整理すると、本諮問事項1.は本取引が企業価値の向上の要請を充たしているか否かの検討を依頼するものであり、上記(2)の①に対応する検討事項と考えられる。

また、本諮問事項2.は、本取引において条件の公正性及び妥当性が確保されているか否かの検討を依頼するものである。加えて、本諮問事項3.は本取引において公正な手続を通じた一般株主利益の確保がなされているか否かの検討を依頼するものである。これらは、上記(2)の②に対応する検討事項と考えられる。

また、本諮問事項4.及び本諮問事項5.は、これら本諮問事項1.から本諮問事項3.を総合して、本取引全体の公正性及び当社取締役会としての本公開買付けに対する意見のあり方を確認する趣旨の諮問事項であると考えられる。

そこで、以下では、本諮問事項1.を下記(b)-2.において、本諮問事項2.を下記(b)-3.において、本諮問事項3.を下記(b)-4.においてそれぞれ検討したうえで、最後にこれらを踏まえて本諮問事項4.について下記(b)-5.で、また本諮問事項5.について下記(b)-6.で検討する。

(b)-2.企業価値の向上及び目的の正当性・合理性(本諮問事項1.関係)

本諮問事項1.は、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであって、その目的が正当性・合理性を有すると認められるか否かを問うものである。

以下、当社における事業環境及び経営課題の認識等、並びに本取引によるシナジーその他の影響を踏まえ、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるか、また、その目的が合理性を有するものであるかを検討する。

(1) 当社における現状認識

(ア)当社の概要及び事業内容

当社意見表明プレスリリース並びに本特別委員会が本諮問事項につき検討するために実施したヒアリング、インタビュー及び質疑応答等(以下「本ヒアリング等」という。)によれば、当社の概要及び事業内容は、以下のとおりである。

・当社は1929年12月にゴムベルト製造等を目的として昭和興業株式会社として設立され、その後、商号を1930年1月に蒲田調帯株式会社に、1937年10月に東海護謨工業株式会社に、1961年11月に東海ゴム工業株式会社に、2014年10月に現在の商号である住友理工株式会社に変更している。

・2025年10月29日現在、当社グループは、当社、連結子会社74社及び持分法適用関連会社7社により構成され、自動車用品部門及び一般産業用品部門・新規事業部門の各セグメントで事業を行っている。

・当社グループは、2023年5月30日に公表した「2029年住友理工グループVision」(2029V)で掲げた「理工のチカラを起点に、社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続けるリーディングカンパニー」への変革に向けて、同日に公表した3ヶ年の事業計画である当社中期経営計画に基づき事業活動を推進している。

(イ)当社グループを取り巻く事業環境及び経営課題の認識

当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、当社は、当社における事業環境及び経営課題について、以下のとおり認識している。

・当社グループを取り巻く環境は、サステナブルな社会実現に向けた世界的な潮流やCASEといった自動車業界の大変革に加え、足元では主要国における選挙結果を受けた政策変更リスクの顕在化、地政学的リスクの長期化、中国経済の減速、さらには政策金利の変更による為替の急激な変動リスクがあり、これらの要因が複雑に絡み合い、経済環境の不確実性が一段と高まっていると認識している。

・このような状況下、当社グループでは、当社中期経営計画に基づき事業活動を推進し、当社グループのコアコンピタンスであり、配合・合成・改質の各技術をベースに、高機能な材料を創出し、高付加価値の製品を生み出す「高分子材料技術」及び製品に必要な性能や信頼性を自社で評価・検証する「総合評価技術」を駆使した製品開発と、グローバルでの生産体制を生かした受注の拡大、原価低減活動及び間接費抑制を継続して推進することで、収益性を高め、経営基盤を強化していく方針としている。

・また、当社グループでは、財務目標の達成と、ESG経営や資本コスト・株価を意識した経営の推進により、幅広いステークホルダーの皆様とともに持続的な成長と豊かな社会実現を目指していく方針としている。

・新製品の開発について、当社グループでは、親会社である公開買付者との連携を強化し、これまで以上にシナジーを創出できるように進めていく方針としている。

(ウ)当社における認識の評価

以上のような当社による事業環境及び経営課題の認識については、その内容に不合理な点は認められず、当社の属する業界及び市場の環境として一般に説明されている内容とも整合すると考えられる。

したがって、上記事業環境及び経営課題の解決に寄与する方策(M&Aを含むがこれに限られない。)を講じることは、個別に当該方策に係るリスクや当該方策に伴うデメリットを勘案する必要はあるものの、一般論としては当社の企業価値の向上に資するものであると考えることができる。

(2) 本取引により想定されるシナジー

(ア)公開買付者が想定するシナジー

公開買付届出書及び本ヒアリング等によれば、公開買付者が想定する本取引のシナジーは、以下のとおりである。

(Ⅰ)技術・ノウハウの融合による研究開発力・新製品開発力の強化

研究開発力という観点では、公開買付者の材料技術や基盤技術(AI、IoT、計算科学、解析技術、セキュリティ等)の当社による活用に基づく研究開発の促進に加え、共同研究や共同開発のスピードアップ、重複研究の回避も可能であると考えている。

知的財産の観点からは、本取引を通じて、公開買付者の有するグローバルな知財管理体制及び専門部門の共有が可能となることで、当社における知的財産権の権利化、防衛及び権利行使に必要なネットワークや交渉力を高めることが可能になると考えている。公開買付者が有する知財ノウハウと、当社のコア技術を組み合わせることで、新たな技術領域の開拓や技術的優位性の確立が期待できると考えている。

新製品開発力という観点では、当社のコアコンピタンスのひとつである高分子材料技術を起点に、熱制御及び流体制御技術等を応用した遮熱、放熱、制振・静音性の高い素材やセンサ等の深い知見と、公開買付者の各種製品とを組み合わせたモジュールや、電力・通信技術を融合したシステム製品等、新たな切り口でシナジーのブレークスルーを見出し、新事業を創出していきたいと考えている。さらなる一体化を通じて、既存製品の組合せのみならず、両社の基礎技術を掛け合わせることによる新製品の開発に関しても、推進できると考えている。

さらに、環境対応事業として、サーキュラーエコノミーの推進によるリサイクル技術の確立を目指しつつ、当社の防振・化成品事業と公開買付者のエレクトロニクス・情報通信事業の基盤を組み合わせ、住環境・インフラ分野での一層の環境対応の進展が可能であると考えている。

(Ⅱ)グローバルな事業基盤(顧客・生産拠点・調達網)の相互活用

公開買付者及び当社は、いずれも「モビリティ分野」において事業を営み共通する事業分野を有しながらも、公開買付者は情報通信分野及びエネルギー分野でも幅広く事業を展開し、他方で当社は一般産業用品部門において、インフラ・住環境分野、エレクトロニクス分野及びヘルスケア分野でビジネスを手掛けていることから、本公開買付けを通じた顧客ネットワークや営業拠点の相互活用により、相互に異業種顧客との接点獲得が可能になると考えている。また、両社ケイパビリティを結集した一体提案による既存顧客との取引深耕も可能であると考えている。

調達や物流、製造面に関しては、両社を取り巻く事業環境は政治的・地政学的リスクの高まりにより一層先行きが不透明となっているところ、公開買付者及び当社はいずれもグローバルに事業を展開していることから、両社の物流網・調達網や生産拠点・製造設備の相互活用により、サプライチェーンの分散化や複線化ひいては強靭化が図られ、事業環境の変化に対する柔軟性が向上するものと考えている。また、調達先からの共同購買等を通じたスケールメリットの最大化により、調達コストの削減も期待される。

また、公開買付者と当社の管理部門の知見や機能、拠点、リソースの共有や、会計システムの統一化、人材育成プログラム、各種シェアードサービスの活用等により、間接部門の機能向上や最適化を推進できると考えている。

(Ⅲ)組織・人事の融合・交流による人的リソースの最大限の活用

公開買付者と上場子会社である当社の現在の関係においては、当社の上場会社としての独立性及び自主性を尊重し、加えて、親会社である公開買付者と他の一般株主との間の利益相反が発生しないように努める必要があるという制約から、公開買付者と当社はそれぞれ独自の人材採用、育成活動を行っており、また、人材交流が少ない等の一定の制約があることから、当社を含む公開買付者グループとして、経営資源の最適化が完全には達成されていないものと考えている。本取引を通じて公開買付者が当社を完全子会社化することで、分野横断的な知見の融合が求められる事業環境に適切に対応するための人員配置や人材交流によるノウハウ共有が加速し、上記(Ⅰ)に記載のとおり、競合他社との差別化につながる開発力や提案力強化が実現すると考えている。

また、経営管理、技術、営業、生産、開発等各分野において、これまでの取組みを発展させて、さらなる垣根のない人材交流の推進が可能となり、両社がグローバルに事業を展開するなかで海外展開ノウハウが連携され、今後のさらなる成長に向けたグローバルな事業拡大に際して、ガバナンス力やリスクマネジメント力が強化されると考えている。

(Ⅳ)知見の相互提供によるリスクマネジメント力の強化

事業リスクをはじめ、災害、パンデミック、情報セキュリティへの脅威等の各種リスクに関して、公開買付者と当社がこれまでに蓄積してきた知見を相互に提供しあうことで、より適切なリスク管理体制を構築し、グループマネジメントの実効性を高めることが期待される。リスクの例として、公開買付者及び当社は、ともに、自動車の部品に関わる事業を展開しており、それらの事業においては、取り扱う製品や部品に品質問題が発生した場合、顧客からの信頼低下や巨額の補償請求につながる可能性があることが挙げられる。

また、事業上の特性として、新規に市場に参入してから事業を安定化させるまでに一定の期間が必要となる。このようなリスクや課題に対して、公開買付者と当社がそれぞれこれまで各国・地域で培ってきたローカル市場に関する経験・知見、ノウハウ及び取引先や顧客との関係性等につき一層の共有を図り、より適切なリスク管理を一体となって徹底していくことで、より着実なグローバル展開を進めることが可能になると期待される。

(イ)当社が想定するシナジー

当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、当社が想定する本取引のシナジーは、以下のとおりである。

(Ⅰ)両社の技術・顧客基盤の融合を通じた既存事業の高度化と新市場への展開

公開買付者グループの先進技術や知的財産と、当社の高分子材料技術・総合評価技術を融合することで、次世代技術の開発が促進されると考えている。研究開発リソースの集約によって製品開発のスピードが向上し、高品質な製品を迅速に市場投入する体制が整うとともに、新規事業創出にもつながると期待されると考えている。また、公開買付者グループの海外ネットワークを活用することで、各地域のニーズに応じた対応が可能となり、海外市場でのシェア拡大及び顧客基盤の強化が見込まれる。そして、各事業部門の連携を通じて、既存顧客への提案力が向上するとともに、新たな顧客層への製品・サービス展開が可能となり、当社の売上高の拡大が期待されると考えている。

さらに、競争優位性の観点では、公開買付者グループと当社の強みを結集することで、材料技術・熱/電気制御技術・モビリティインフラ設計といった複合的な技術提案が可能となる。具体的には、当社が培ってきたゴム・樹脂などの高分子材料技術を基盤に、軽量化、耐熱性、制振性などを最適化し、これに電動化や自動運転などに不可欠な熱・電気制御技術(熱マネジメント、絶縁・導電制御、センシング等)を組み合わせることで、各種機器・システムの効率と安全性を高める。さらに、モビリティインフラ設計技術を応用し、車両のみならず、道路・橋梁・充電設備など社会インフラを含めた構造・システム設計を行うことで、総合的な技術提案を可能とする。これらは他社にはない独自性を有する統合ソリューションとして、国内外の顧客に対する中長期的な提案力の強化、さらには次世代車両開発におけるパートナーシップの深化にも繋がると考えている。

(Ⅱ)異なるバックグラウンドを持つ人材の協働による組織活性化や次世代人材の育成

公開買付者グループと当社の間で人事交流や共通研修等を通じて、技術・営業・管理部門を中心に専門性の向上と人材育成が加速し、グループ全体の組織力強化が実現されると考えている。本取引を通じて公開買付者が当社を完全子会社化することで、当社の組織としての安定性は高まると考えられ、従業員の雇用や既存の取引関係に直接的な影響を及ぼすものではなく、むしろ、公開買付者グループとしての一体運営を通じて成長機会が広がり、従業員のキャリア形成や、取引先との関係深化にも資するものと考えている。

(Ⅲ)間接機能や経営基盤の統合を通じた、業務効率の向上とリソース最適化の実現

公開買付者グループのコーポレート機能、マーケティング、品質管理等のノウハウを活用し、当社の間接部門の効率化を図ることで、経営資源の最適配分が可能となる。具体的には、公開買付者グループ内での購買情報の共有や調達管理の統合により、原材料コストや物流コストの削減が図られるとともに、生産・供給体制の最適化が進むと考えている。また、IT基盤やデジタルツールの統合により、設計から生産、販売、顧客対応に至るまで業務全体の効率化が進み、イノベーションの加速が見込まれる。そして、公開買付者グループのグループ戦略の一体化により、各事業領域でのブランド認知と信頼性が高まり、市場における競争力が向上すると考えている。

また、コーポレートガバナンス・コードの厳格化及び東京証券取引所の市場再編等により上場を維持するために必要な体制及び業務負担が年々拡大・増大しているところ、公開買付者が当社を非公開化することで、上場維持に伴う当社の管理・開示負担コストが削減され、経営資源を成長投資へ集中させることが可能になり、意思決定の迅速化も期待されると考えている。結果として、グループ内での戦略統合を通じて、当社の事業ポートフォリオが最適化され、成長分野への経営資源の集中配分が可能となることで、持続的成長が図られると考えている。

(ウ)想定されるシナジーの合理性並びに公開買付者と当社が想定するシナジーの比較

上記の想定されるシナジーの内容は、相互に矛盾する点や明らかに客観的事実に反している点は見当たらず、合理的なものであると考えられる。

(エ)他の手法との比較

さらに別の観点として、当社において、上場廃止をせずに上記の各シナジーが実現できるのであれば、また、本取引の代替となるような実現可能性のある取引が検討されているのであれば、上場廃止を伴う本取引の合理性は減じられることになる。

しかしながら、公開買付者及び当社によれば、公開買付者及び当社がともに上場会社として独立した事業運営を行っている現状では、情報・経営資源・人材・ノウハウ等の共有に一定の制約があり、現状の資本関係を前提とした更なる一体運営推進には一定の限界があるものと認識しているとのことであり、上記の各シナジーは、当社の上場維持をしたまま達成するのは難しいとのことであるが、その説明に不合理な点は見られない。また、本特別委員会は、本ヒアリング等において、当社の考えとして、公開買付者及び当社に対して本取引の代替となる取引の有無を確認したところ、本取引は、当社の株価を踏まえて十分なプレミアムを付したうえで即時現金化が可能な手法であり、一般株主の皆様に適切かつ合理的な売却機会を提供できるものであると考えており、本取引の代替となるような実現可能性のある取引についての具体的な検討はなされていない旨の回答を受けた。

(オ)本取引による他の影響

当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、本取引を通じて当社株式が上場廃止となった場合、上場廃止に伴うデメリットとして、一般的には、①資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達手段への影響、②当社が上場会社として享受してきた社会的信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保への懸念、③株主、従業員、取引先等のステークホルダーに影響を及ぼす可能性が考えられる。

しかしながら、①については、当社は、当面は資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達の必要性が見込まれない一方で、これまで健全な財務基盤を有していることから資金調達に影響はなく、仮に資金調達が必要になった場合であっても資金力を有する公開買付者グループからの資金援助も期待できると考えられる。

②については、公開買付者グループが有する社会的信用力や資金調達力等を活かすことで、採用活動への影響をはじめとする上場廃止による影響を限定的にとどめられると考えられる。

③については、当社のこれまでの事業活動を通じて、一定のブランド力・知名度・信用力等、相当程度の事業基盤を既に確保しており、非公開化後も公開買付者からは、シナジー効果を着実に実現させるべく、公開買付者と当社グループの連携を加速させるとともに、意思決定を迅速化させ、総力を結集して当社グループのさらなる企業価値の向上に向けて取り組んでいくとのこと、また、企業価値の向上に向けた経営資源の効率化や全体最適を図るための再配分といった事項については、公開買付者が当社の経営陣と十分に協議しながら検討していく考えであり、当社の独自性を尊重した適切なガバナンスと、公開買付者グループとしてのシナジー効果を最大限実現できる体制作りを目指し、本公開買付け成立後に公開買付者と当社との間で協議していくこと等を踏まえ、当社が本取引を通じて非公開化されることは、当社の株主、従業員、取引先その他ステークホルダーについて問題なく受け入れられるものと考えられる。

(3) 小括

以上の事実を前提にすれば、本取引により想定されるシナジーは合理的なものということができ、公開買付者の想定と当社の想定との間に矛盾・齟齬もなく、本取引の実行は、当社が認識する経営課題の解決に資することが認められる。

また、上場を維持したままでの大胆な事業変革や、他の提携先とのM&Aによる非上場化、株式併合や株式交換等のほかの手法によるのではなく、本取引によるべき理由として説明された内容も合理的なものであると認められ、本取引によることも相当であると考えられる。加えて、本取引による当社の企業価値向上に対する重大な支障となる事情として認められるものも見受けられない。

したがって、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有すると認められる。

(b)-3.取引条件の公正性・妥当性(本諮問事項2.関係)

本諮問事項2.は、本取引の条件の公正性・妥当性が確保されているか否か(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類その他の本取引の条件が公正なものとなっているかどうかを含む。)を問うものである。

M&Aにおける条件の妥当性を検討するにあたっては、①買収者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保すること、②取引条件の妥当性の判断の重要な基礎となる株式価値算定の内容と、その前提とされた財務予測や前提条件等の合理性を確認すること、③買収対価の水準だけでなく、買収の方法や買収対価の種類等の妥当性についても検討することが重要とされている(M&A指針3.2.2)。

また、M&A指針は、上記②の具体的内容として、専門性を有する独立した第三者算定機関による株式価値算定結果に加えて、算定の前提とされた事業計画の位置付けやその実現可能性、用いられた算定方法の特性、同種のM&Aにおいて一般に付与されるプレミアムの水準、当該M&Aを行わなくても実現可能な価値、想定される当該M&Aによる企業価値増加効果を検討することが望ましいとしている(M&A指針3.3.2.1 B))。同様に、M&A指針は、上記③の具体的内容として、代替取引の有無や内容の検討を行うことが望ましいとしている(M&A指針3.3.2.1 B))。

そこで、本特別委員会としても、M&A指針の指摘事項を踏まえ、上記①から③の確認・検討を通じて、本取引における条件の公正性・妥当性の検討を行った。

(1) 交渉状況の確保

(ア)交渉の方針・目線

当社及び本特別委員会は、各アドバイザーからの助言や当社株式の株式価値の試算結果等を踏まえ、(あ)当社及び本特別委員会が取得する本株式価値算定書上、是認される価格を本公開買付価格とすること、(い)一般株主にとってできる限り有利な金額とすることを基本方針として公開買付者との協議及び交渉を行うことを確認した。

M&A指針においても、(a)「M&Aを行わなくても実現可能な価値」は、一般株主を含む全ての株主がその持株数に応じて享受すべきであり、他方で、(b)「M&Aを行わなければ実現できない価値」については、M&Aによって一般株主はスクイーズアウトされることとなるものの、一般株主もその価値のしかるべき部分を享受するのが公正であると指摘している(M&A指針2.2.1)。

そこで、本特別委員会は、M&A指針における上記の指摘も踏まえつつ、上記のとおり確認した公開買付者との協議及び交渉の基本方針を前提に公開買付者との交渉に臨んだ。

(イ)交渉の経過

当社は、本公開買付価格について、2025年9月29日以降、公開買付者との間で、複数回に亘る交渉を重ねた。具体的な交渉の経過は以下のとおりである。

① 当社は、公開買付者から、2026年3月期の期末配当を無配とする前提で、2025年9月29日に本公開買付価格を2,300円(提案日の前営業日である2025年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,240円に対して2.68%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じ。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値において同じ。)に対して3.42%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,996円に対して15.23%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,800円に対して27.78%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とすることを含んだ本取引に関する提案を受けた。

② これに対して、当社は、本特別委員会の承認を得たうえで、2025年10月1日、公開買付者に対して、本公開買付価格は当社の本源的価値を反映した価格水準を下回るとして本公開買付価格の再検討を要請した。

③ その後、同月7日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格について慎重に検討した結果として、2,400円(提案日の前営業日である2025年10月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,197円に対して9.24%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,224円に対して7.91%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,044円に対して17.42%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,824円に対して31.58%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)としたい旨の再提案を受領した。

④ 当社は、同月8日、本公開買付価格は、当社の株価の動向及び他の類似事例におけるプレミアム水準を踏まえれば、当社として本取引に賛同できる水準には到底至らず、また、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえないものとして、本公開買付価格の再検討を要請した。

⑤ 当該要請に対して、同月14日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格について改めて慎重に検討した結果として、本公開買付価格を2,480円(提案日の前営業日である2025年10月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,104円に対して17.87%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,207円に対して12.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,073円に対して19.63%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,850円に対して34.05%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領した。

⑥ 当社は、同月15日、当社及び本特別委員会が起用したファイナンシャル・アドバイザーにおいて実施中の株式価値算定の内容と照らし、当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、当社の少数株主にとって公正かつ合理的な経済条件とはいえないものと考えていること、また、当社の現在の株価に関しては、関税政策に係る市場の不透明感が払拭されたこと等も含め、当社の業績及び今後の成長性を織り込んだ本源的価値が、市場からの評価として適切に反映された結果と捉えていること、加えて、当社及び本特別委員会においては、類似事例のプレミアム水準との比較の観点では、完全子会社化を企図した非公開化事例との比較のみではなく、本件と類似する環境下での事例との比較を含めて検討しているところ、そのような事例におけるプレミアム水準と比べても、提案された本公開買付価格は、依然として当社として本取引に賛同できる水準には至らないと考えているとして、本公開買付価格の再提案の要請を行った。

⑦ 当該要請に対して、同月20日、当社は、公開買付者から、直近の当社株価の上昇は当社の本源的価値の変化というよりは本邦株式市場の上昇を受けて形成されたものである可能性が否定できず、かかる状況下において、本公開買付けのプレミアムを他社事例との比較に依拠して評価することは適切ではないと考えていることを踏まえ、本公開買付価格を2,510円(提案日の前営業日である2025年10月17日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,101円に対して19.47%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,172円に対して15.56%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,098円に対して19.64%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,876円に対して33.80%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)としたい旨の再提案を受領した。

⑧ 当社は、同月22日、当該再提案された本公開買付価格は、依然として当社の本源的価値が十分に反映された価格とはいえず、他の類似事例のプレミアム水準と比較しても十分ではないと考えられることから、当社として賛同できる水準に至らないとして、本取引の実行によって発現するシナジーを勘案し、当該シナジーの分配を織り込んだうえで検討するよう、本公開買付価格の再提案の要請を行った。

⑨ 当該要請に対して、同月24日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格を2,550円(提案日の前営業日である2025年10月23日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,225円に対して14.61%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,162円に対して17.95%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,116円に対して20.51%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,899円に対して34.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領した。

⑩ 当社は、同月27日、提案された公開買付価格について、当社及び本特別委員会において真摯に検討を重ねた結果、本取引の類似事例のプレミアム水準との比較、本取引の実行によって発現するシナジーの一般株主への公正な分配、当社の本源的価値を反映した価格水準といった要素を踏まえれば、本取引に賛同及び本公開買付けについて当社の一般株主に対して応募推奨を行うにあたっては、未だ十分な価格ではないとし、特に、公開買付者の提案によれば、直近の当社株価の上昇局面に依拠しない過去6ヶ月間の当社株価終値の単純平均値に対しては十分なプレミアムが付された水準とのことである一方、当社としては、直近の当社株価の上昇は、株式市場の上昇を受けて形成されたものではなく、企業としての本質的な強みや収益力が評価されたものと捉えており、従って、過去6ヶ月間の平均株価に対するプレミアムのみならず、過去1ヶ月間・過去3ヶ月間の平均株価に対するプレミアムも参照すべきであり、当社の一般株主を含む市場参加者による本取引の経済条件に対する期待も勘案のうえで、本公開買付価格を再検討するよう要請した。

⑪ 当該要請に対して、同月28日、当社は、公開買付者から、本公開買付価格を2,600円とする旨の最終提案を受領した。その結果、2025年10月29日、当社は、公開買付者の提案を応諾する旨の回答を行い、本公開買付価格を2,600円(提案日の前営業日である2025年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値2,294円に対して13.34%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値2,161円に対して20.31%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値2,129円に対して22.12%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,910円に対して36.13%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とすることで合意に至った。

以上の交渉経過において、本特別委員会は、公開買付者からの上記①、③、⑤、⑦、⑨、⑪の各価格提案の都度委員会を開催し、当社及び大和証券から各提案内容の詳細について説明を受けたうえで、大和証券及びプルータス・コンサルティングによる当社株式の株式価値の試算結果、各提案価格のプレミアム水準、類似案件におけるプレミアム水準並びに各アドバイザーからの助言等を踏まえ、各提案に対する回答の内容・方法等について、本公開買付価格を一般株主にとってできる限り有利な価格とするための意見を述べるとともに、当該意見が反映された回答の内容・方法等を承認することにより、価格交渉に実質的に関与した。さらに、当社は、上記のとおり本特別委員会の承認を得た内容・方法等に従って、各価格提案に対する回答を行った。

(ウ)交渉状況の評価

本公開買付価格に関する交渉経緯については、上記ア及びイのとおりであり、当社は、事前に個別の回答内容について本特別委員会にて討議し、本特別委員会の了承を得た内容をもって回答し、又は本特別委員会が予め定めた交渉方針に従って回答することにより、価格交渉において本特別委員会の意見を最大限尊重し、また本特別委員会が公開買付者との価格交渉の全体に実質的に関与する形で一貫して価格交渉が行われた。

以上の交渉プロセスは、M&A指針において推奨される、特別委員会が交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと(M&A指針3.2.4.4)そのものである。

また、以上の交渉プロセスを経て、公開買付者から2,300円による初回提案がなされた後、5回に亘る提案価格の引上げを引き出し、最終的な本公開買付価格は2,600円となっており、初回の提案価格から300円もの上積みがなされた。

以上のとおり、本特別委員会がM&A指針で推奨される手法により価格交渉に実質的に関与し、当社が本特別委員会の意見を最大限尊重して価格交渉を行った結果、初回の提案価格から大幅な引上げがなされたこと、並びに下記(3)のとおり、本公開買付価格が本株式価値算定書の市場株価法による算定の上限を超えており、かつ、類似会社比較法及びDCF法の算定結果の算定の範囲内にあることを踏まえれば、当社及び本特別委員会が確認した方針のとおり、本株式価値算定書上、是認される価格を本公開買付価格とすること及び本公開買付価格を一般株主にとってできる限り有利な価格とすることを目指した交渉がなされたことが認められる。

したがって、本取引の公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況が確保されていたと評価することができる。

(2) 株式価値算定と本公開買付価格の関係

(ア)事業計画の合理性

本公開買付価格の公正性・妥当性の検討にあたっては、本株式価値算定書が中心的な資料となる。これらはいずれも本事業計画を基礎資料としていることから、前提とされている本事業計画が信用するに足りるかどうかが問題となる。特に、本事業計画は、本取引が実施される可能性が具体的に認識された後に完成されたものであるため、本取引の成否に影響を与える目的による恣意が介在しやすいという点に留意が必要である。

当社意見表明プレスリリース及び本ヒアリング等によれば、本事業計画は、各主要顧客の自動車生産台数計画に基づき、当社が現時点で合理的に将来予測が可能な期間として、2026年3月期から2030年3月期までの5期間で構成されている。本事業計画の策定においては、当社は、米国の高関税措置の影響を受ける一方、顧客である自動車メーカーへの価格転嫁を通じて一定程度回収可能な見通しとともに、電動化対応に伴う新製品開発や原価低減活動、経費支出の抑制施策の実施による収益性の確保を前提としている。なお、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味していない。また、本事業計画には、当社が2025年7月30日に公表した2026年3月期の連結業績予想からの大幅な乖離は存在しない。また、本事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておらず、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度は含まれていない。

本ヒアリング等によれば、公開買付者又はその関係者が本事業計画の作成に関与し、又は影響を及ぼした事実は窺われない。また、当社は、公開買付者との交渉において、本事業計画について公開買付者に対して一定の説明を行っているが、公開買付者の指示により、又はその意を汲んで、策定又は修正が行われたという事実も窺われない。

また、本特別委員会は、本ヒアリング等の回答内容を踏まえ、本事業計画の内容、前提及び作成経緯等に不合理な点はなく、本事業計画は恣意的にアグレッシブ又は保守的に策定されているものではないことを確認した。

以上から、本事業計画については、その策定プロセスに、公開買付者の圧力が介在した事実は認められず、また、その内容において不合理な予測となっている点は認められない。

(イ)算定方法及び算定根拠の合理性

(ア)算定方法の選択

大和証券及びプルータス・コンサルティングは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討のうえ、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、以下の理由から、市場株価法、類似会社比較法及びDCF法をそれぞれ採用した。

・市場株価法:当社株式が東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場しており、市場株価が存在すること

・類似会社比較法:当社には比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による株式価値の類推が可能であること

・DCF法:将来の事業活動の状況を株式価値評価に反映すること

上記の算定方法は、本取引と同種の取引における株式価値算定においても一般的に利用されている算定方法であり、かつ、各算定方法の採用の理由に不合理な点は認められないため、両算定機関が上記各算定方法を用いて当社株式の株式価値を算定したことについて不合理な点は認められない。

(イ)算定内容の合理性

① 市場株価法

大和証券及びプルータス・コンサルティングは、市場株価法において、2025年10月29日を基準日として、基準日の終値、過去1ヶ月間の終値単純平均値、過去3ヶ月間の終値単純平均値及び過去6ヶ月間の終値単純平均値を採用しているところ、市場株価法においてこれらの値を採用することは一般的であり、市場株価法による算定の内容に不合理な点は認められない。

② 類似会社比較法

大和証券は、当社と類似性があると判断される類似上場会社として、豊田合成株式会社、NOK株式会社、イーグル工業株式会社、西川ゴム工業株式会社、フコク株式会社を選定したうえで、EBITDAに対する企業価値の倍率を用いて算定を行い、当社株式の1株当たり株式価値を算定している。

また、プルータス・コンサルティングは、当社と類似性があると判断される類似上場会社として、豊田合成株式会社、NOK株式会社、TOYO TIRE株式会社、ニッタ株式会社、株式会社フコク、横浜ゴム株式会社、株式会社ニチリンを選定したうえで、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて算定を行い、当社株式の1株当たり株式価値を算定している。

両算定機関による類似上場会社の選定手順、採用した比較指標、倍率の計算根拠等に関する説明に不合理な点は認められない。

③ DCF法

(Ⅰ)大和証券のDCF法による算定

大和証券は、割引率を8.5%~9.5%としており、これらの数値の計算根拠等について不合理な点は認められない。

また、大和証券は、継続価値の算定にあたって、乗数モデル及び定率成長モデルを採用し、乗数モデルでは類似会社比較法と同様の類似会社を選定したうえで、EBITDAに対する企業価値の倍率を4.0倍~5.5倍として継続価値を3,275億円~4,503億円と算出し、定率成長モデルでは国内外のインフレ率及び当社が属する業界成長率等を踏まえて、永久成長率は0.0%~2.0%として当社の継続価値を3,237億円~4,331億円と算定している。これらの算定方法・比較指標の選択及び計算根拠並びにそれらの考え方等について不合理な点は認められない。

加えて、その他のDCF法における算定プロセス及び前提条件等についても不合理な点は認められない。

以上より、大和証券のDCF法による算定の内容について不合理な点は認められない。

(Ⅱ)プルータス・コンサルティングのDCF法による算定

プルータス・コンサルティングは、割引率を9.4%~11.1%としており、これらの数値の計算根拠等について不合理な点は認められない。

また、プルータス・コンサルティングは、継続価値の算定にあたって、永久成長率法及び倍率法を採用しており、永久成長率は理論上想定される長期的な経済環境等を勘案して、0%として算定している。これらの算定方法・比較指標の選択及び計算根拠並びにそれらの考え方等について不合理な点は認められない。

加えて、その他のDCF法における算定プロセス及び前提条件等についても不合理な点は認められない。

以上より、プルータス・コンサルティングのDCF法による算定の内容について不合理な点は認められない。

(ウ)大和証券及びプルータス・コンサルティングによる株式価値算定の差異

上記(ア)及び(イ)に記載の大和証券及びプルータス・コンサルティングによる株式価値算定には、類似会社比較法における類似上場会社の選定、DCF法における継続価値の算定方法(倍率法の採用可否等)等の点において差異が認められる。

しかし、本特別委員会は、大和証券及びプルータス・コンサルティングより、これらはいずれも両算定機関の算定にあたっての専門的判断に基づき生じた合理的な差異であり、両算定機関による株式価値算定の合理性に疑義を生じさせる事情ではない旨の説明を受けている。

(エ)小括

以上のような検証の結果、本特別委員会は、大和証券及びプルータス・コンサルティングが作成した本株式価値算定書にそれぞれ不合理な点は認められず、信用できるものと評価した。

(ウ)株式価値算定の結果

大和証券が作成した本株式価値算定書(大和証券)によれば、各算定方法による当社株式の株式価値は以下の表1のとおりである。

<表1 大和証券による当社株式の株式価値>

算定方法 基準日 1株当たり株式価値
市場株価法 2025年10月29日 1,916円~2,160円
類似会社比較法 2025年10月29日 1,768円〜3,672円
DCF法 2025年10月29日 2,040円〜3,005円

また、プルータス・コンサルティングが作成した本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)によれば、各算定方法による当社株式の株式価値は以下の表2のとおりである。

<表2 プルータス・コンサルティングによる当社株式の株式価値>

算定方法 基準日 1株当たり株式価値
市場株価法 2025年10月29日 1,916円~2,160円
類似会社比較法 2025年10月17日 2,411円〜3,689円
DCF法 2025年10月17日 2,326円〜2,800円

上記算定結果を踏まえると、本公開買付価格である1株当たり2,600円は、(ⅰ)市場株価法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの上限を上回り、かつ、(ⅱ)類似会社比較法及び(ⅲ)DCF法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの範囲内の価格であり、大和証券により算定されたDCF法における算定結果の中央値(2,523円)、プルータスにより算定されたDCF法における算定結果の中央値(2,563円)を上回っていると認められる。

また、当社は大和証券から2025年10月29日付で、本公開買付価格である1株当たり2,600円が、公開買付者及びその関係会社を除く当社株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオン(大和証券)を取得し、本特別委員会はプルータス・コンサルティングから2025年10月29日付で、本公開買付価格である1株当たり2,600円が当社の一般株主にとって財務的見地から公正なものと考える旨の本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)を取得しており、かかる事実も本公開買付価格の公正性を裏付けるものであると評価できる(M&A指針3.3.2.2)。

以上から、本公開買付価格は、大和証券及びプルータス・コンサルティングにより算定された当社株式の株式価値との比較の観点からしても、一般株主にとって公正である水準に達していると考えられる。

(エ)本公開買付価格の位置付け

本ヒアリング等によれば、本公開買付価格は、2025年10月29日までの東京証券取引所における当社株式の終値に対して、以下の表3に示すプレミアムを加えた金額である。

なお、本ヒアリング等によれば、2019年6月28日以降に公表された親会社による上場子会社に対する非公開化を目的とした公開買付け(ただし、2段階公開買付け、不成立案件を除く。)の事例のうち買付金額が1,000億円以上の事例(以下「参照事例」という。)13件と比較すると、プレミアム率の分布を10%刻みで見た場合、基準日までの過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム率は、20%以上30%未満がそれぞれ最頻値(基準日までの過去1ヶ月間では5件、同日までの過去3ヶ月間では5件、同日までの過去6ヶ月間では5件)、基準日の終値に対するプレミアム率は、10%以上20%未満が最頻値(4件)であり、加えて、参照事例における基準日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値の平均値及び中央値がそれぞれ30.66%、28.55%であり、本公開買付価格に付与されたプレミアムは、参照事例における基準日までの過去6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアムの平均値・中央値を超えている。ただし、公開買付け全般について、株価に対していくらのプレミアムが適正であるかについて一義的・客観的な基準を設けることはできない(M&A指針2.2.2)。

<表3 本公開買付価格のプレミアム>

参照値 株価 プレミアム
公表日の前営業日における終値 2,156円 20.59%
過去1ヶ月間の終値単純平均値 2,160円 20.37%
過去3ヶ月間の終値単純平均値 2,139円 21.55%
過去6ヶ月間の終値単純平均値 1,916円 35.70%

(オ)小括

本公開買付価格は、上記のとおり大和証券及びプルータス・コンサルティングによる株式価値算定において、市場株価法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの上限を上回っており、類似会社比較法及びDCF法により算定された当社株式の1株当たり株式価値のレンジの範囲内の価格であり、大和証券により算定されたDCF法における算定結果の中央値(2,523円)、プルータスにより算定されたDCF法における算定結果の中央値(2,563円)を上回っている。また、当社及び本特別委員会が本フェアネス・オピニオンを取得している。さらに、本公開買付価格は、当社の上場以来の終値及び場中の最高値である2,455円(2007年9月25日の取引時間中の最高値)を上回る価格である。したがって、本公開買付価格の水準は、不合理とはいえない。

また、類似案件とのプレミアムの比較の観点からすると、本公開買付価格に付与されたプレミアムは、参照事例における基準日の終値、基準日まで過去1ヶ月間及び過去3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの最頻値と同程度の水準にあるものと認められ、加えて、本公開買付価格に付与されたプレミアムは、参照事例における基準日までの過去6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアムの平均値・中央値を超えていることから、本公開買付価格に付与されたプレミアムは参照事例との比較においても、遜色ないプレミアム水準であると認められる。

さらに、本公開買付価格は、スタンドアローン・ベースで算定された当社株式の株式価値と比べても、相応の上積みがされた金額であると認められることから、本取引においては、M&A指針における(a)「M&Aを行わなくても実現可能な価値」の全てと、(b)「M&Aを行わなければ実現できない価値」のしかるべき部分を一般株主が享受すべきである旨の指摘(M&A指針2.2.1)への配慮もなされていると認められる。

以上のような諸事情を勘案すれば、本公開買付価格は、当社株式の株式価値が適正に反映されたものと考えることができ、その価格の妥当性が否定される水準ではないと評価できるものと考えられる。

(3) スキーム等の妥当性

本取引においては、一段階目に公開買付けを行い、二段階目に本スクイーズアウト手続を行うという手法が想定され、株式交換等の組織再編によることは想定されていない。本取引の手法は、この種の非公開化取引においては一般的に採用されている方法であり、かつ、二段階目のいずれの手続においても、裁判所に対する売渡価格の決定の申立て又は株式買取請求後の価格決定の申立てが可能である。

また、本取引の方法は、株主が受領する対価が現金であることから、対価の分かり易さ、並びにその価値の安定性及び客観性が高いという点で望ましく、当社の完全子会社化を迅速に行うという要請と、少数株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会と時間の確保を両立させることができるという観点でも、特に株式等を対価とする株式交換等の組織再編よりも望ましいと考えられる。公開買付届出書によれば、本スクイーズアウト手続をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除く。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかにしている。

さらに、本公開買付けにおいては買付予定数の上限が設定されておらず、強圧性の問題も小さいと認められる。

以上より、買収の方法として公開買付けを伴う二段階買収の方法を採用し、買収対価を現金とすることには、合理性が認められる(M&A指針3.2.2)。

(4) 小括

上記(1)から(3)までで述べたとおり、本取引の交渉状況やスキーム等の公正性・妥当性を前提に、本公開買付価格については、その公正性・妥当性が認められる。また、本取引においては、一般株主が本公開買付け又は本スクイーズアウト手続のいずれによって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることから、本取引の条件の公正性・妥当性は確保されていると認められる。

(b)-4.手続の公正性(本諮問事項3.関係)

次に、本取引に係る手続の公正性の確保が認められるか否かを、M&A指針で挙げられている公正性担保措置の採用及び運用の状況を確認することを通じて検討する。

(1) 特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

本特別委員会は、当社より、本諮問事項についての諮問を受けており、その諮問事項の検討にあたって、M&A指針で特別委員会が果たすべきとされる役割(具体的には、①対象会社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、M&Aの是非について検討・判断するとともに、②一般株主の利益を図る観点から、(ⅰ)取引条件の妥当性及び(ⅱ)手続の公正性について検討・判断すること)を実施している(M&A指針3.2.2)。

また、本上場規程等改正後の有価証券上場規程に基づき、支配株主による公開買付けが行われる場合、対象となる上場会社は、特別委員会から、当該公開買付けが一般株主にとって公正なものであることに関する意見を入手することが求められており、当該意見において、①取引の是非(企業価値の向上に資するか)、②取引条件の公正性(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類その他の取引の条件が公正なものとなっているかどうか)、③手続の公正性(取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているかどうか)に関する検討の内容、判断及びその根拠を含める必要がある(有価証券上場規程第441条第1項、同施行規則第436条の3第2項)。本特別委員会が、有価証券上場規程等により検討・判断することが求められている上記①から③の事項について、検討・判断を行っていることは、上記(b)-2.、上記(b)-3.及び本(b)-4.で述べるとおりである。

本特別委員会については、以下の点への配慮があることから、公正性担保措置として有効に機能していると認められる。これは、上記③に対応するものである。

① 2025年7月7日に公開買付者から本提案書を受領した後、同月30日に本特別委員会が設置され、同日に第1回委員会が開催されており、買収者から買収提案を受けた後、可及的速やかに設置されている(M&A指針3.2.4.1)。

② 本特別委員会の委員は独立社外取締役3名及び独立社外監査役3名で構成されており、各委員について、公開買付者及び本取引の成否から独立していることが確認されている(M&A指針3.2.4.2 B)a)及びb))。

③ 本特別委員会は、本取引の取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限を与えられており、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保している(M&A指針3.2.4.4)。

④ 本特別委員会は、当社取締役会から、独自のアドバイザー等を選任し、又は、当社のアドバイザー等を本特別委員会のアドバイザー等として指名若しくは承認(事後承認を含む。)する権限、及び、当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がない等、本特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求める権限が与えられているところ、(ⅰ)2025年7月30日の第1回委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券について、独立性及び専門性に問題ないことを確認のうえ、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、(ⅱ)同委員会において、当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、高い独立性及び専門性に問題がないことを確認のうえ、当社のリーガル・アドバイザーとして承認し、さらに、(ⅲ)2025年8月6日の第2回委員会において、本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングを選任したうえで、本特別委員会として、必要に応じて専門的助言を求めることを確認している(M&A指針3.2.4.5)。

⑤ 本特別委員会は、公開買付者に対して本特別委員会が公開買付者に対して公開買付者の考える本取引の意義・目的等について質問するためのヒアリング事項を送付し、これに対する回答書を得るほか、当社執行陣から説明を受け、また情報提供を求める等、検討及び判断に必要な情報を収集している(M&A指針3.2.4.6)。

⑥ 本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額の報酬を支払うこととされており、成功報酬制は採用していない(M&A指針3.2.4.7)。

⑦ 当社取締役会は、当社取締役会における本取引に関する意思決定は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこと、及び、本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同しないこととすることを決議している(M&A指針3.2.5)。

(2) 意思決定のプロセス

M&Aへの賛否を決定する取締役会決議において、当該M&Aに重要な利害関係を有する者を除く取締役全員の賛成及び監査役全員の異議がない旨の意見があった場合には、当該M&Aにおいて公正性担保措置が有効に機能したことを示す事情の一つとなるとされている(M&A指針3.2.5脚注46)。当社意見表明プレスリリースによれば、当社取締役会においては、利害関係を有しない取締役8名全員の一致により本公開買付けへの賛同の意見表明並びに株主への応募推奨が決議される予定である。

なお、当社の取締役のうち2名(清水和志氏及び山根英雄氏)並びに監査役のうち1名(前田裕久氏)は、過去に公開買付者の役職員の地位にあった者であるが、清水和志氏は公開買付者から当社へ転籍して7年以上、山根英雄氏は公開買付者から当社へ転籍して5年以上、前田裕久氏は公開買付者から当社へ転籍して15年以上が経過しており、いずれの取締役及び監査役も、公開買付者の役職員を兼務しておらず、公開買付者から指示を受ける立場にはないため、上記の当社の取締役2名及び監査役1名は、過去に公開買付者の役職員の地位にあったことを理由に当社取締役会の審議又は決議から除外されなければ手続の公正性が害されると考えるべき程の利害関係はないものと判断している。

加えて、当社は、上記(1)のとおり、本特別委員会を設置してその意見を取得することとしているが、当社取締役会は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこと、本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同しないことが併せて決議されていること等を踏まえれば、本取引に関する当社の意思決定の恣意性は排除され、意思決定のプロセスの公正性が担保され、かつ、透明性及び客観性が確保されているといえる(M&A指針3.2.4.4及び3.2.5)。

以上から、当社における意思決定プロセスに、公正性に疑義のある点は見当たらない。

(3) 独立した法律事務所からの助言の取得

本検討資料及び本ヒアリング等によれば、当社は、本取引に関する意思決定過程における透明性及び合理性を確保するため、当社グループ、公開買付者グループ及び本取引の成否から独立したリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所から、特別委員会の設置や委員の選定、その他の公正性担保措置に係る助言を受けている(M&A指針3.3.1)。

また、本特別委員会は、2025年7月30日の第1回委員会において、当社のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、高い独立性及び専門性に問題がないことを確認したうえで、本特別委員会として、必要に応じて専門的助言を求めることを確認し、助言を受けている。

以上から、当社及び本特別委員会において、本取引に係る検討の初期的段階からリーガル・アドバイザーによる専門的助言を取得していると認められる。

(4) 独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

本検討資料及び本ヒアリング等によれば、本公開買付価格の公正性を担保するために、当社株式の株式価値に関する資料として、当社取締役会が独立した第三者算定機関である大和証券から本株式価値算定書(大和証券)を、本特別委員会が独立した第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングから本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)をそれぞれ取得している。

本株式価値算定書の内容及びこうした算定の前提となる本事業計画の内容が合理的であることは、上記(b)-3.で述べたとおりである。

大和証券の独立性については、2025年7月30日の第1回委員会において、本特別委員会が本ヒアリング等において直接大和証券から、公開買付者グループ及び当社グループから独立し、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないことを確認している(M&A指針3.3.2.3)。なお、大和証券の報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているものの、本取引と同種の取引において成功報酬制が採用されることが一般的な実務慣行となっていること等を踏まえると、成功報酬制が採用されていることをもって独立性が否定されるわけではないと考えられる。

加えて、プルータス・コンサルティングの独立性についても、2025年8月6日の第2回委員会において、本特別委員会が本ヒアリング等において直接プルータス・コンサルティングから、公開買付者グループ及び当社グループから独立し、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないことを確認している(M&A指針3.3.2.3)。なお、プルータス・コンサルティングの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、成功報酬は含まれていない。

以上から、本株式価値算定書は、いずれも、独立した第三者評価機関による株式価値算定書(M&A指針3.3.2)であると認められる。

(5) 本フェアネス・オピニオンの取得

当社取締役会は、本公開買付価格の公正性を担保するために、大和証券から本公開買付価格である1株当たり2,600円が当社の親会社である公開買付者及びその関係会社を除く当社株主にとって財務的見地より公正である旨の本フェアネス・オピニオン(大和証券)を取得している。

また、本特別委員会は、プルータス・コンサルティングから本公開買付価格である1株当たり2,600円が当社の一般株主にとって財務的見地から公正なものと考える旨の本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)を取得している。

フェアネス・オピニオンは、第三者評価機関が意見形成主体となるという点や、意見の対象が当事者間で合意された具体的な取引条件の対象会社の一般株主にとっての公正性であるという点において、株式価値算定書とは異なるものであり、対象会社の価値に関するより直接的で重要性の高い参考情報となり得るため、取引条件の形成過程において構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応するうえでより有効な機能を有し得るとされている(M&A指針3.3.2.2 A))。

そのうえで、M&A指針においては、①独立性・中立性、②慎重な発行プロセス、③高度な専門性・実績、④レピュテーションといった要素を備えた第三者評価機関からフェアネス・オピニオンの取得が行われた場合には、公正性担保措置として積極的に評価されるべきとされている(M&A指針3.3.2.2 B))。

大和証券及びプルータス・コンサルティングの独立性については、上記(4)のとおり、本特別委員会が両社に対してそれぞれ本ヒアリング等を行ったうえで、いずれについても①独立性・中立性が認められるものと判断した。

このほか、本特別委員会は、大和証券及びプルータス・コンサルティングに対する本ヒアリング等により②から④までをそれぞれ満たすことを確認した。

したがって、本特別委員会は、本フェアネス・オピニオンをもって、公正性担保措置として積極的に評価することができるものと考える。

(6) 強圧性が生じないための配慮

公開買付届出書によれば、公開買付者は、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除く。)の売渡請求をすること又は株式併合及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主に対して、株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)株式売渡請求又は株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除く。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることを明らかにしていることから、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮していると認められる(M&A指針3.7)。

(7) 本公開買付価格の適正性その他本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

公開買付届出書によれば、公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しているとのことである。公開買付期間を法定期間より長期に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するものと認められる。

また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていない。

このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮していると認められる。

(8) マーケット・チェック

上記(7)のとおり、公開買付期間を30営業日に設定すること、及び、取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていないことにより、本取引では、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築したうえでM&Aを実施することによる、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されている(M&A指針3.4.2)。

なお、M&A指針において、買収者が支配株主である場合には、マーケット・チェックについてはそもそも公正性担保措置として機能する場面が限定的であり、実施する意義が乏しい場合が多いものの、例外的にマーケット・チェックが機能し得る場合もあり得るため、特別委員会が、このような特段の例外的事情が存在しないか等を念のため確認することが望ましいとされている。そのうえでM&A指針上は、この特段の例外的事情として、具体的には、支配株主が保有する議決権の割合が低い場合や、非常に魅力的な対抗提案がされた場合には支配株主が売却に応じる可能性がある場合及び支配株主が従属会社を一旦は買収するものの、その後、その全部又は一部の売却を予定している場合、を挙げている(M&A指針3.4.3.2脚注66)。

本特別委員会として、特段の例外的事情がないかを検討するに、当社にとっての支配株主である公開買付者は、当社株式の過半数を所有しており、支配株主が保有する議決権の割合が低い場合には該当しない。また、本ヒアリング等において、公開買付者グループの事業戦略上、当社の完全子会社化により、協業と連携をさらに強化・加速していくことが不可欠であることから、本取引が不可欠である旨が明確に回答され、仮に非常に魅力的な対抗提案がされた場合であっても公開買付者が売却に応じる可能性は極めて低いものと認められる。加えて、公開買付者によれば、さらに本取引のスキームにおいて公開買付者が当社を買収した後、その全部又は一部の売却を予定しているといったことは想定されていないとのことである。

そのため、本特別委員会として、本取引においては積極的なマーケット・チェックをすべきような特段の例外的事情はないものと判断した。

(9) マジョリティ・オブ・マイノリティ

公開買付届出書によれば、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定していないとのことである。

本公開買付けにおける買付予定数の下限につきマジョリティ・オブ・マイノリティは採用していないものの、本(b)-4.に記載のほかの公正性担保措置が行われていることも踏まえると、当社の一般株主について相当程度の配慮が行われていると認められる。

(10)一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上

M&A指針では、一般株主による取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料の提供が推奨されており(M&A指針3.6.1)、具体的には、特別委員会に関する情報や株式価値算定書に関する情報等についての充実した開示が期待されている(M&A指針3.6.2)。また、本上場規程等改正後の有価証券上場規程に基づき、支配株主による公開買付けを行うことについて決定する場合、対象となる上場会社は必要かつ十分な適示開示を行うとともに、当該適時開示に特別委員会の意見を記載した書面を添付することが求められている(有価証券上場規程第441条第2項)。なお、必要かつ十分な適時開示としては、株式価値算定の重要な前提条件(財務予測や算定手法の前提となる考え方)の開示が拡充されている。

本取引では、公開買付届出書及び当社意見表明プレスリリースにおいて、本特別委員会に付与された権限の内容、本特別委員会における検討経緯や交渉過程への関与状況、本答申書の内容及び本特別委員会の委員の報酬体系等(M&A指針3.6.2.1)、本株式価値算定書や本フェアネス・オピニオンの概要(M&A指針3.6.2.2)、本取引の実施に至るプロセスや交渉経緯等(M&A指針3.6.2.3)、株式価値算定の重要な前提条件(財務予測や算定手法の前提となる考え方)について充実した情報開示がなされる予定となっている。また、当社意見表明プレスリリースにおいて、本答申書が別添される予定となっている。

当社の一般株主に対して、取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料は提供されており(必要かつ十分な適示開示を行っており)、特別委員会の意見を記載した書面も添付していると認められる。

(11)小括

上記(1)から(10)までに記載のとおり、本取引では、(ⅰ)取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況が確保され、(ⅱ)一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点(M&A指針2.4)から見ても充実した公正性担保措置が採用され、かつ、実効性をもって運用されていると認められるから、結論として、本取引において、公正な手続を通じた一般株主利益への十分な配慮がなされていると認められる。

(b)-5.本諮問事項4.について

本諮問事項4.は、本取引は当社の一般株主にとって公正なものであるか否かを問うものである。

本特別委員会としては、本諮問事項1.から本諮問事項3.までで検討を要請されている事項が、本諮問事項4.を検討する際の考慮要素になるものと考えているところ、本特別委員会における検討の結果、本諮問事項1.から本諮問事項3.までについて、いずれも問題があるとは認められないことは、上記(b)-2.から(b)-4.までで述べたとおりである。

以上から、本取引(当社取締役会が本取引に関する決定を行うことを含む。)は、当社の一般株主にとって公正であると認められる。

(b)-6.本諮問事項5.について

本諮問事項5.は、当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨することの是非を問うものである。

本特別委員会としては、本諮問事項1.から本諮問事項4.までにおいて、本取引の目的の正当性・合理性、本取引に係る手続の公正性及び本取引に係る取引条件の公正性・妥当性が確認され、かつ、本取引を行うことの決定が当社の一般株主にとって公正であることが確認されることにより、本諮問事項5.を是認する理由になるものと考える。そして、本特別委員会における検討の結果、本諮問事項1.から本諮問事項4.までについて、いずれも問題があるとは認められないことは、上記(b)-2.から(b)-5.までで述べたとおりである。

以上から、当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議を行うことは適切であると認められる。

なお、本公開買付けの開始までに本取引の条件や当社の状況等に重要な変更が生じる可能性や、対抗提案がなされる可能性等も否定できず、そのような場合には、別途の考慮を要する可能性はあり得る。そのため、本答申書における答申は、本答申書作成時点における本特別委員会の判断内容を示すものであることにご留意いただきたい。

(c) 定義

本書の他の記載にかかわらず、上記(a)及び(b)において、以下に掲げる用語は、それぞれ以下に定める意味を有する。

・「M&A指針」とは、経済産業省作成の2019年6月28日付「公正なM&Aの在り方に関する指針」を意味する。

・「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」とは、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業を意味する。

・「企業買収行動指針」とは、経済産業省作成の2023年8月31日付「企業買収における行動指針」を意味する。

・「公開買付期間」とは、本公開買付けにおける買付け等の期間を意味する。

・「公開買付者」とは、住友電気工業株式会社を意味する。

・「公開買付者グループ」とは、公開買付者並びに当社を含む公開買付者の連結子会社388社及び関連会社29社の計418社(2025年10月29日現在)からなる企業グループを意味する。

・「公開買付届出書」とは、公開買付者が2025年10月31日付で関東財務局に提出することを予定している公開買付届出書の本答申書作成時点でのドラフトを意味する。

・「大和証券」とは、大和証券株式会社を意味する。

・「東京証券取引所」とは、株式会社東京証券取引所を意味する。

・「当社意見表明プレスリリース」とは、当社の2025年10月30日付で公表することを予定している「支配株主である住友電気工業株式会社による当社株式に対する公開買付けに係る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」の本答申書作成時点でのドラフトを意味する。

・「当社株式」とは、当社の普通株式を意味する。

・「当社グループ」とは、当社並びに当社の連結子会社74社及び関連会社7社の計82社(2025年10月29日現在)からなる企業グループを意味する。

・「名古屋証券取引所」とは、株式会社名古屋証券取引所を意味する。

・「プルータス・コンサルティング」とは、株式会社プルータス・コンサルティングを意味する。

・「本株式価値算定書」とは、本株式価値算定書(大和証券)及び本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)の総称を意味する。

・「本株式価値算定書(大和証券)」とは、大和証券作成に係る2025年10月29日付株式価値算定書を意味する。

・「本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)」とは、プルータス・コンサルティング作成に係る2025年10月29日付株式価値算定書を意味する。

・「本公開買付け」とは、公開買付届出書に基づいて公開買付者により実施される予定の、当社株式(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除く。)を対象とする公開買付けを意味する。

・「本公開買付価格」とは、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格を意味する。

・「本スクイーズアウト手続」とは、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除く。)を取得できなかった場合に、本公開買付けの成立後に行われる予定の、当社の株主を公開買付者のみとするための一連の手続を意味する。

・「本提案書」とは、2025年7月7日付で当社が公開買付者から受領した、本取引に関する初期的な意向表明書を意味する。

・「本取引」とは、公開買付者が当社株式の全て(ただし、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除く。)を取得することにより、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とする取引を意味する。

・「本フェアネス・オピニオン」とは、本フェアネス・オピニオン(大和証券)及び本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の総称を意味する。

・「本フェアネス・オピニオン(大和証券)」とは、大和証券作成に係る2025年10月29日付意見書を意味する。

・「本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)」とは、プルータス・コンサルティング作成に係る2025年10月29日付意見書を意味する。

④ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得

上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、公開買付者等及び当社グループから独立したファイナンシャル・アドバイザー並びに第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングを選任し、当社株式の株式価値の算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言を受けるとともに、2025年10月29日付で本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)を取得いたしました。また、本特別委員会は、プルータス・コンサルティングから、本公開買付価格である1株当たり2,600円が当社の一般株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)を取得しております。本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)の概要については、上記「(3) 算定に関する事項」の「③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」をご参照ください。なお、プルータス・コンサルティングは、公開買付者等及び当社グループの関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。

⑤ 当社における独立した法律事務所からの助言

上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社取締役会における意思決定に至る過程」に記載のとおり、当社は、公開買付者等及び当社グループから独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点等に関する法的助言を受けております。

また、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認のうえ、その選任の承認を受けております。

なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、公開買付者等及び当社グループの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。アンダーソン・毛利・友常法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。

⑥ 当社における独立した検討体制の構築

当社は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付者等から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築しました。

具体的には、当社は、2025年7月7日に提案書を受領したことを受け、本取引に関する検討並びに公開買付者との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを検討のうえ、設置し、そのメンバーは当社グループを除く公開買付者グループ各社の役職員を兼務していない当社の職員のみで構成されるものとし、かかる取扱いを継続しております。加えて、当社の取締役のうち清水和志氏及び山根英雄氏は、過去に公開買付者の従業員としての地位を有していたものの、清水和志氏は公開買付者から当社へ転籍して7年以上、山根英雄氏は公開買付者から当社へ転籍して5年以上が経過しており、また、本取引に関し、公開買付者側で一切の関与をしておらず、またそれができる立場にないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、上記取締役会における審議及び決議に参加しております。また、かかる取扱いを含めて、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。

⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

当社は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から得た法的助言、大和証券から得た財務的見地からの助言、本株式価値算定書(大和証券)及び本フェアネス・オピニオン(大和証券)の内容、本特別委員会を通じて提出を受けた本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオン(プルータス・コンサルティング)、本特別委員会から入手した本答申書、公開買付者との間で実施した複数回に亘る継続的な協議の内容及びその他の関連資料を踏まえ、公開買付者による本公開買付けに関する諸条件の内容について慎重に協議・検討を行った結果、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「④ 当社取締役会における意思決定に至る過程」の「(ⅲ)判断内容」に記載のとおり、2025年10月30日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨することを決議しております。

上記の当社取締役会決議は、当社の取締役8名中、全ての取締役(うち独立社外取締役3名)が審議に参加し、審議に参加した取締役の全員の一致により、決議されております。

また、当該取締役会には、当社の監査役5名中、全ての監査役(うち独立社外監査役3名)が出席し、いずれも、当社が本公開買付けに賛同する旨の意見を表明すること及び当社株式について本公開買付けに応募することを推奨することについて異議がない旨の意見を述べております。

なお、当社の取締役のうち2名(清水和志氏及び山根英雄氏)並びに監査役のうち1名(前田裕久氏)は、過去に公開買付者の役職員の地位にあった者ですが、清水和志氏は公開買付者から当社へ転籍して7年以上、山根英雄氏は公開買付者から当社へ転籍して5年以上、前田裕久氏は公開買付者から当社へ転籍して15年以上が経過しており、いずれの取締役及び監査役も、公開買付者の役職員を兼務しておらず、公開買付者から指示を受ける立場にはないため、上記の当社の取締役2名及び監査役1名は、当社取締役会の審議又は決議から除外されなければ手続の公正性が害されると考えるべき程の利害関係はないものと判断しております。かかる取扱いを含めて、当社における本取引の検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて、本特別委員会から承認を得ております。

⑧ 取引保護条項の不存在

当社及び公開買付者は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。

⑨ 当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置

公開買付者は、上記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式売渡請求をすること又は本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して、株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式売渡請求又は本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。

また、公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最低期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日としているとのことです。公開買付期間を法定期間より長期にすることにより、当社の株主の皆様に対して本公開買付けに対する応募につき適切な判断機会を確保し、もって本公開買付価格の適正性を担保することを企図しているとのことです。

なお、本取引の実施に際しては、当社において買収候補者の有無の調査・検討(いわゆ積極的なマーケット・チェック)は実施しておりませんが、当社としては、(ⅰ)情報管理の観点等から、実務上積極的なマーケット・チェックの実施は必ずしも容易とは言えないこと、(ⅱ)本取引に係る提案者である公開買付者は、本書提出日現在、当社株式51,534,901株(所有割合:49.64%)を所有する当社の筆頭株主であり、実質支配力基準に基づき当社を連結子会社としているため、公開買付者による買収提案に対する対抗提案がなされるとは考えにくいことから、積極的なマーケット・チェックが採用されていないことのみをもって、本公開買付けにおける公正性の担保として不十分であることにはならないと考えております。

(7) 公開買付者と当社の株主との間における応募に係る重要な合意に関する事項

該当事項はありません。

(8) その他投資者が会社情報を適切に理解・判断するために必要な事項

① 「2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」の公表

当社は、2025年10月30日付で当社決算短信を公表しております。詳細については、当該公表の内容をご参照ください。

② 「通期連結業績予想の修正及び剰余金の配当(中間配当・増配)並びに期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」の公表

当社は、2025年10月30日開催の当社取締役会において、2026年3月期通期の連結業績予想を修正すること、また、2025年9月30日を基準日とする剰余金の配当(中間配当・増配)を行うこと、さらに、本公開買付けが成立することを条件に、2026年3月期の期末配当を行わないことを決議いたしました。詳細については、当該公表の内容をご参照ください。 

4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

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| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
| 清水 和志 | 代表取締役 執行役員社長 | 10,000 | 100 |
| 和久 伸一 | 取締役 専務執行役員 | 15,970 | 159 |
| 山根 英雄 | 取締役 専務執行役員 | 9,242 | 92 |
| 安田 日出吉 | 取締役 専務執行役員 | 4,282 | 42 |
| 矢野 勝久 | 取締役 常務執行役員 | 4,436 | 44 |
| 入谷 正章 | 社外取締役 | 26,107 | 261 |
| 宮城 まり子 | 社外取締役 | 0 | 0 |
| 伊勢 清貴 | 社外取締役 | 0 | 0 |
| 前田 裕久 | 常勤監査役 | 12,551 | 125 |
| 南野 高伸 | 常勤監査役 | 11,826 | 112 |
| 百嶋 計 | 社外監査役 | 0 | 0 |
| 小池 達子 | 社外監査役 | 0 | 0 |
| 松田 玲子 | 社外監査役 | 0 | 0 |
| 計 | ― | 93,874 | 935 |

(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。

(注2) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社の役員持株会を通じた所有株式数(少数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めております。 

5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

該当事項はありません。

6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

該当事項はありません。

7 【公開買付者に対する質問】

該当事項はありません。

8 【公開買付期間の延長請求】

該当事項はありません。

以 上

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