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ANA HOLDINGSINC.

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 発行登録追補書類(株券、社債券等)_20251120181408

【表紙】

【発行登録追補書類番号】

7-関東1-1

【提出書類】

発行登録追補書類

【提出先】

関東財務局長

【提出日】

2025年11月21日

【会社名】

ANAホールディングス株式会社

【英訳名】

ANA HOLDINGS INC.

【代表者の役職氏名】

代表取締役社長  芝田 浩二

【本店の所在の場所】

東京都港区東新橋一丁目5番2号

【電話番号】

03(6748)1001

【事務連絡者氏名】

グループ総務部長  鷹野 慎太朗

【最寄りの連絡場所】

東京都港区東新橋一丁目5番2号

【電話番号】

03(6748)1001

【事務連絡者氏名】

グループ総務部長  鷹野 慎太朗

【発行登録の対象とした募集有価証券の種類】

株式

【今回の募集金額】

| | |
| --- | --- |
| 一般募集 | 195,000,000,000円 |

(注) 募集金額は、発行価額の総額であります。但し、一般募集における募集の方法は、引受人が発行価額にて買取引受けを行い、当該発行価額と異なる価額(発行価格)で一般募集を行うため、一般募集における発行価格の総額は上記の金額とは異なります。

【発行登録書の内容】

提出日 2025年4月30日
効力発生日 2025年5月9日
有効期限 2027年5月8日
発行登録番号 7-関東1
発行予定額又は発行残高の上限(円) 発行予定額 200,000百万円

【これまでの募集実績】

(発行予定額を記載した場合)

| 番号  | 提出年月日 | 募集金額(円) | 減額による訂正年月日 | 減額金額(円) |

| --- | --- | --- | --- | --- |
| ― | ― | ― | ― | ― |
| 実績合計額(円) | | なし | 減額総額(円) | なし | 

【残額】(発行予定額-実績合計額-減額総額) 200,000百万円

(発行残高の上限を記載した場合)

該当事項はありません。

【残高】(発行残高の上限-実績合計額+償還総額-減額総額) ―円
【安定操作に関する事項】 該当事項はありません。
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

E04273 92020 ANAホールディングス株式会社 ANA HOLDINGS INC. 企業内容等の開示に関する内閣府令 第十二号様式 1 false false false E04273-000 2025-11-21 xbrli:pure

 発行登録追補書類(株券、社債券等)_20251120181408

第一部【証券情報】

第1【募集要項】

1【新規発行株式】

種類 発行数 内容
ANAホールディングス株式会社第1回社債型種類株式

(以下「第1回社債型種類株式」といいます。)
40,000,000株 株主の権利内容において普通株式と異なる種類株式

単元株式数 100株

第1回社債型種類株式に係るその他の内容につきましては、後記「摘要(第1回社債型種類株式の内容等)」をご参照ください。

(注)1 2025年11月10日及び2025年11月21日開催の当社取締役会における決議によります。

2 当社は、2025年4月30日開催の当社取締役会において、第1回社債型種類株式ないし第6回社債型種類株式(以下、個別に又は総称して「社債型種類株式」といいます。)の新設等に係る定款一部変更に関する議案(以下「本議案」といいます。)を2025年6月27日開催の当社定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)に付議することを決議し、本定時株主総会における本議案の承認により、定款に社債型種類株式に係る定めが新設されました。その後、当社は、配当年率を除く第1回社債型種類株式の内容並びに発行数、発行価格及び発行価額を含む募集事項を、2025年11月10日開催の当社取締役会における決議により決定いたしました。今般、当社は、未定としていた配当年率を、2025年11月21日開催の当社取締役会における決議により、後記「摘要(第1回社債型種類株式の内容等) イ 優先配当金 (2)配当年率」に記載のとおり決定いたしました。

3 上記のとおり、当社は普通株式及び社債型種類株式の異なる種類の株式について定款に定めています。普通株式は、完全議決権株式であり権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。普通株式及び社債型種類株式の単元株式数はいずれも100株ですが、社債型種類株式には株主総会における議決権が付されておりません。これは、社債型種類株式について、既存の普通株主の利益を可能な限り損なわないよう、株主総会における議決権がなく普通株式への転換権もない設計としたことによるものですが、かかる差異に鑑みて、社債型種類株式は、剰余金の配当及び残余財産の分配について普通株式に優先する内容としております。

4 一般募集(後記「2 株式募集の方法及び条件」に定義します。)の共同主幹事会社は野村證券株式会社(事務主幹事会社)、みずほ証券株式会社及びSMBC日興証券株式会社であります。

5 振替機関の名称及び住所

株式会社証券保管振替機構

東京都中央区日本橋兜町7番1号

摘要(第1回社債型種類株式の内容等)

第1回社債型種類株式の内容等は以下のとおりであります。

イ 優先配当金

(1)優先配当金

当社は、3月31日を基準日として剰余金の配当を行うときは、当該配当の基準日の最終の株主名簿に記録された第1回社債型種類株式を有する株主(以下「第1回社債型種類株主」といいます。)又は第1回社債型種類株式の登録株式質権者(以下、第1回社債型種類株主と併せて「第1回社債型種類株主等」と総称します。)に対し、当社普通株式(以下「普通株式」といいます。)を有する株主(以下「普通株主」といいます。)及び普通株式の登録株式質権者(以下、普通株主と併せて「普通株主等」と総称します。)に先立ち、第1回社債型種類株式1株につき、第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、下記(2)に記載する配当年率(10%を上限とします。以下「配当年率」といいます。)を乗じて算出した額の金銭(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。また、2026年3月31日を基準日として剰余金の配当を行うときは、払込期日(同日を含みます。)から2026年3月31日(同日を含みます。)までの期間の日数につき、1年を365日として日割計算を行い、円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。但し、2032年3月31日を基準日として剰余金の配当を行うときは、(ⅰ)第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、下記(2)(ⅱ)(a)に記載する配当年率を乗じて算出した額について、2031年4月1日(同日を含みます。)から2031年9月30日(同日を含みます。)までの期間の日数につき、1年を366日として行う日割計算により算出した額の金銭(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)、及び(ⅱ)第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、下記(2)(ⅱ)(b)に記載する配当年率を乗じて算出した額について、2031年10月1日(同日を含みます。)から2032年3月31日(同日を含みます。)までの期間の日数につき、1年を366日として行う日割計算により算出した額の金銭(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)の合計額とします。)(以下「第1回社債型種類株式優先配当金」といいます。)を支払います。但し、当該配当の基準日の属する事業年度に第1回社債型種類株式優先期中配当金(下記ロに定義します。)を支払ったときは、その額を控除した額とします。

(2)配当年率

(ⅰ)2031年3月31日以前に終了する各事業年度に基準日が属する場合

年3.500%とします。

(ⅱ)2032年3月31日に終了する事業年度に基準日が属する場合

(a)2031年4月1日(同日を含みます。)から2031年9月30日(同日を含みます。)までの期間

年3.500%とします。

(b)2031年10月1日(同日を含みます。)から2032年3月31日(同日を含みます。)までの期間

2031年9月30日の2営業日(以下に定義します。)前の日における1年国債金利(以下に定義します。)に3.178%を加えた率とします。

(ⅲ)2032年4月1日以降に終了する各事業年度に基準日が属する場合

各基準日が属する事業年度につき、その直前事業年度の末日の2営業日前の日(以下、上記(ⅱ)(b)に基づき決定される配当年率の基準日と併せて「年率基準日」といいます。)における1年国債金利に3.178%を加えた率とします。

当社はその本店において、2031年10月1日(同日を含みます。)から5営業日以内に、上記(ⅱ)(b)により決定された配当年率を、2032年4月1日以降に終了する各事業年度の開始日(同日を含みます。)から5営業日以内に、上記(ⅲ)により決定された配当年率を、それぞれその営業時間中、一般の閲覧に供します。

「営業日」とは、銀行法により、日本において銀行の休日と定められたか、又は休日とすることが認められた日以外の日をいいます。

「1年国債金利」とは、年率基準日のレートとして年率決定日(以下に定義します。)の東京時間午前9時30分以降に国債金利情報ページ(財務省ウェブサイト内「国債金利情報」のページにおける「金利情報」(https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/jgbcm.csv)(その承継ファイル及び承継ページを含みます。)又は当該「国債金利情報」ページ(その承継ファイル及び承継ページを含みます。)からリンクされる日本国債の金利情報を記載したページ若しくはダウンロードできるファイルをいいます。)に表示される1年国債金利をいいます。

ある基準日に係る年率決定日の東京時間午前10時に、年率基準日のレートとしての1年国債金利が国債金利情報ページに表示されない場合、又は国債金利情報ページが利用不可能な場合、当社は年率決定日に参照国債ディーラー(当社が国債市場特別参加者(財務省が指定する国債市場特別参加者をいいます。)又は市場で国債の売買を活発に行っていると認められる金融機関から選定する最大5者をいいます。)に対し、年率基準日の東京時間午後3時現在のレートとして提示可能であった参照1年国債(以下に定義します。)の売買気配の仲値の半年複利利回り(以下「提示レート」といいます。)の提示を求めるものとします。

当社に提示レートを提示した参照国債ディーラーが4者以上である場合、当該事業年度に適用される1年国債金利は、当該参照国債ディーラーの提示レートの最も高い値と低い値をそれぞれ1つずつ除いた残りの提示レートの平均値(算術平均値を算出した上、小数第4位を四捨五入します。)とします。

当社に提示レートを提示した参照国債ディーラーが2者又は3者である場合、当該事業年度に適用される1年国債金利は、当該参照国債ディーラーの提示レートの平均値(算術平均値を算出した上、小数第4位を四捨五入します。)とします。

当社に提示レートを提示した参照国債ディーラーが2者に満たない場合、当該年率決定日の東京時間午前10時において国債金利情報ページに表示済みの最新の1年国債金利(但し、当該年率決定日の東京時間午前10時において国債金利情報ページが利用不可能な場合は、当該年率決定日の直前に国債金利情報ページに表示されていた1年国債金利)を当該事業年度に適用される1年国債金利とします。

「年率決定日」とは、各年率基準日の翌営業日をいいます。

「参照1年国債」とは、ある事業年度につき、参照国債ディーラーから当社が選定する金融機関が選定する固定利付国債で、当該事業年度の最終日又はその前後に満期が到来し、選定時において市場の慣行として1年満期の円建て社債の条件決定において参照されることが合理的に想定されるものをいいます。

(3)累積条項

ある事業年度に属する日を基準日として、第1回社債型種類株主等に対して行う第1回社債型種類株式1株当たりの金銭による剰余金の配当の額が当該事業年度に係る第1回社債型種類株式優先配当金の額に達しないとき(以下、当該事業年度を「不足事業年度」といいます。)は、その不足額について、単利計算により翌事業年度以降に累積します(以下、累積した不足額を「第1回社債型種類株式累積未払配当金」といいます。)。この場合の単利計算は、不足事業年度毎に、当該不足事業年度の翌事業年度の初日(同日を含みます。)から第1回社債型種類株式累積未払配当金が第1回社債型種類株主等に対して支払われる日(同日を含みます。また、下記ハ(1)に記載する残余財産の分配を行う場合、分配日をいいます。)までの間について、当該不足事業年度に係る不足額に対して、当該不足事業年度に対応する上記(2)(ⅰ)ないし(ⅲ)に記載する配当年率(不足事業年度が2032年3月31日に終了する事業年度である場合は上記(2)(ⅱ)(a)に記載する配当年率及び上記(2)(ⅱ)(b)に記載する配当年率を算術平均した年率とします。)で1年を365日(当該不足事業年度がうるう年の2月29日を含む場合は366日)として行う日割計算により算出した額(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)を加算して行います。第1回社債型種類株式累積未払配当金については、上記(1)又は下記ロに記載する剰余金の配当に先立ち、第1回社債型種類株式1株につき第1回社債型種類株式累積未払配当金の額に達するまで、第1回社債型種類株主等に対し、金銭による剰余金の配当を行います。

(4)非参加条項

第1回社債型種類株主等に対しては、第1回社債型種類株式優先配当金の額及び第1回社債型種類株式累積未払配当金の額の合計額を超えて剰余金の配当を行いません。

ロ 優先期中配当金

当社は、9月30日を基準日(以下「期中配当基準日」といいます。)として剰余金の配当を行うときは、当該配当の期中配当基準日の最終の株主名簿に記録された第1回社債型種類株主等に対し、普通株主等に先立ち、第1回社債型種類株式1株につき、第1回社債型種類株式優先配当金の額の2分の1の額の金銭(但し、2031年9月30日を基準日として剰余金の配当を行うときは、第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、上記イ(2)(ⅱ)(a)に記載する配当年率を乗じて算出した額について、2031年4月1日(同日を含みます。)から2031年9月30日(同日を含みます。)までの期間の日数につき、1年を366日として行う日割計算により算出した額の金銭(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。))(以下「第1回社債型種類株式優先期中配当金」といいます。)を支払います。但し、ある事業年度に期中配当基準日が属する第1回社債型種類株式優先期中配当金の額は、当該事業年度にその配当の基準日が属する第1回社債型種類株式優先配当金の額を超えないものとします。

ハ 残余財産の分配

(1)残余財産分配金

当社は、残余財産を分配するときは、第1回社債型種類株主等に対し、普通株主等に先立ち、第1回社債型種類株式1株につき、第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、残余財産の分配が行われる日(以下「分配日」といいます。)における第1回社債型種類株式累積未払配当金の額及び経過配当金相当額(以下に定義します。)の合計額を加えた額(以下「基準価額」といいます。)の金銭を支払います。

「経過配当金相当額」とは、分配日の属する事業年度の初日(2026年3月31日に終了する事業年度については、払込期日)(同日を含みます。)から分配日(同日を含みます。)までの期間の日数に当該事業年度にその配当の基準日が属する第1回社債型種類株式優先配当金の額を乗じた額を365(当該分配日の属する事業年度がうるう年の2月29日を含む場合は366とします。但し、2026年3月31日に終了する事業年度については、払込期日(同日を含みます。)から2026年3月31日(同日を含みます。)までの期間の日数)で除して得られる額(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)(但し、分配日の属する事業年度が2032年3月31日に終了する事業年度であり、(ⅰ)分配日が2031年9月30日以前である場合は、第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、上記イ(2)(ⅱ)(a)に記載する配当年率を乗じて算出した額について、当該事業年度の初日(同日を含みます。)から分配日(同日を含みます。)までの期間の日数につき、1年を366日として行う日割計算により算出した額(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)とし、また、(ⅱ)分配日が2031年10月1日以降である場合は、第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、上記イ(2)(ⅱ)(a)に記載する配当年率を乗じて算出した額について、当該事業年度の初日(同日を含みます。)から2031年9月30日(同日を含みます。)までの期間の日数につき、1年を366日として行う日割計算により算出した額(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)、及び第1回社債型種類株式1株当たりの発行価格相当額に、上記イ(2)(ⅱ)(b)に記載する配当年率を乗じて算出した額について、2031年10月1日(同日を含みます。)から分配日(同日を含みます。)までの期間の日数につき、1年を366日として行う日割計算により算出した額(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)の合計額とします。)をいいます。但し、分配日の属する事業年度において第1回社債型種類株主等に対して第1回社債型種類株式優先期中配当金を支払うときは、その額(分配日が毎年10月1日から第1回社債型種類株式優先期中配当金に関する取締役会の決議の日の前日までの日である場合は、当該配当金の予想額として当社が9月30日時点で公表済みの額)を控除した額とします。

(2)非参加条項

第1回社債型種類株主等に対しては、上記(1)のほか、残余財産の分配を行いません。

ニ 優先順位

当社の社債型種類株式の社債型種類株式優先配当金、社債型種類株式優先期中配当金及び残余財産の支払順位は、同順位とします。

ホ 議決権

第1回社債型種類株主は、すべての事項につき株主総会において議決権を行使することができません。

ヘ 種類株主総会の決議

(1)種類株主総会の決議は法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行います。

(2)会社法第324条第2項に定める特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行います。

(3)当社が、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合には、法令に別段の定めがある場合を除き、第1回社債型種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しません。

(4)当社が以下に掲げる行為をする場合において、第1回社債型種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当社の株主総会の決議又は取締役会の決議に加え、第1回社債型種類株主を構成員とする種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じません。但し、当該種類株主総会において議決権を行使することができる第1回社債型種類株主が存しない場合は、この限りではありません。

a.当社が消滅会社となる合併又は当社が完全子会社となる株式交換若しくは株式移転(当社の単独による株式移転を除きます。)

b.当社の特別支配株主による当社の他の株主に対する株式売渡請求に係る当社の取締役会による承認

ト 会社による金銭対価の取得条項

(1)金銭対価の取得条項

当社は、下記(a)又は(b)のいずれかに該当する事由が生じ、かつ取締役会の決議により別に定める取得日が到来した場合は、第1回社債型種類株式の全部又は一部を取得することができます。この場合、当社は、第1回社債型種類株式を取得するのと引換えに、第1回社債型種類株主に対し、第1回社債型種類株式1株につき、基準価額相当額の金銭を交付します。但し、当社は、(ⅰ)取得日又は振替取得日(以下に定義します。)のいずれかと決済日(以下に定義します。)が異なる暦年に属する取得を行うことができず、また(ⅱ)4月1日から6月30日までのいずれかの日を取得日又は振替取得日とする取得は、当該振替取得日が属する事業年度の直前事業年度の末日を基準日とする剰余金の配当に係る取締役会の決議の日以降に限り行うことができます。

なお、本トにおいて基準価額を算出する場合は、上記ハに記載する「分配日」を「振替取得日」と適宜読み替えて、第1回社債型種類株式累積未払配当金の額及び経過配当金相当額を計算します。第1回社債型種類株式の一部を取得するときは、取締役会が定める合理的な方法によって、第1回社債型種類株主から取得すべき第1回社債型種類株式を決定します。

(a)払込期日(同日を含みます。)から5年を経過した日が到来した場合(2030年12月12日以降)

(b)資本性変更事由(以下に定義します。)が生じ、かつ継続している場合

「振替取得日」とは、本トに記載する金銭対価の取得に基づく振替の申請により当社の振替先口座における保有欄に取得に係る第1回社債型種類株式の数の増加の記載若しくは記録がなされる日又は当該取得に基づく全部抹消の通知により第1回社債型種類株式についての記載若しくは記録の抹消がなされる日をいいます。

「決済日」とは、本トに記載する金銭対価の取得と引換えに支払われる金銭の交付日(営業日に限ります。)をいいます。

「資本性変更事由」とは、信用格付業者(株式会社格付投資情報センター及び株式会社日本格付研究所又はそれらの格付業務を承継した者をいいます。以下同じです。)のうち1社以上より、各信用格付業者における第1回社債型種類株式発行後の資本性評価基準の変更に従い、第1回社債型種類株式について、当該信用格付業者が認める当該第1回社債型種類株式の発行時点において想定された資本性より低いものとして取り扱うことを決定した旨の公表がなされたか、又は当該旨の書面による通知が当社に対してなされたことをいいます。

(2)借換制限

当社は、当社が本トに記載する金銭対価の取得又は特定の第1回社債型種類株主との合意若しくは会社法第165条第1項に規定する市場取引等による第1回社債型種類株式の取得(以下、本トに記載する金銭対価の取得と併せて「金銭対価取得」といいます。)を行う場合は、金銭対価取得を行う日以前12カ月間に、借換必要金額(以下に定義します。)につき、借換証券(以下に定義します。)を発行若しくは処分又は借入れ(以下「発行等」といいます。)することにより資金を調達していない限り(但し、払込期日(同日を含みます。)から5年を経過した日(2030年12月12日)以降において、以下の(a)及び(b)の要件をいずれも充足する場合を除きます。)、当該金銭対価取得を行いません。

(a)金銭対価取得を行う時点で当社より公表(決算短信による公表を含みます。)されている最新の連結会計年度末又は四半期連結会計期間末の連結貸借対照表に基づいて計算される実質ネットデット・エクイティ・レシオ(以下に定義します。)が0.80倍を下回ること

(b)金銭対価取得を行う時点で当社より公表(決算短信による公表を含みます。)されている最新の連結会計年度末又は四半期連結会計期間末の連結貸借対照表に基づいて計算される調整後連結自己資本(以下に定義します。)が1兆3,270億円以上であること

「借換必要金額」とは、借換証券が普通株式の場合には、金銭対価取得がなされる第1回社債型種類株式の評価資本相当額(以下に定義します。)をいい、借換証券が普通株式以外の場合には、金銭対価取得がなされる第1回社債型種類株式の評価資本相当額を、当該借換証券について各信用格付業者から承認を得た資本性(パーセント表示されます。)で除して算出される額(信用格付業者毎に承認された資本性が相違することにより算出される額が異なる場合には、そのうちの大きい方の額)をいうものとし、普通株式と普通株式以外の借換証券を併せた発行等を行う場合は、それぞれの算式を準用します。

「借換証券」とは、以下のa.ないしc.の証券又は債務をいいます。但し、(ⅰ)以下のa.ないしc.のいずれの場合においても、借換証券である旨を当社が公表している場合に限り、(ⅱ)以下のa.又はb.の場合においては、当社の連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第2条第3号に定める子会社及び同条第7号に定める関連会社以外の者に対して発行等されるものに限り、(ⅲ)以下のb.又はc.の場合においては、第1回社債型種類株式の払込期日における第1回社債型種類株式と同等以上の当社における資本性を有するものと各信用格付業者から承認を得たものに限ります。

a.普通株式

b.上記a.以外のその他の種類の株式

c.上記a.又はb.以外の当社のその他一切の証券及び債務

「実質ネットデット・エクイティ・レシオ」とは、調整後純有利子負債(以下に定義します。)を調整後連結自己資本に金銭対価取得後に残存する劣後債務及び社債型種類株式の評価資本相当額の合計を加算した値で除した値をいいます。

「調整後連結自己資本」とは、連結貸借対照表に記載された純資産合計から、非支配株主持分、新株予約権及び各信用格付業者から資本性の承認を得た社債型種類株式の発行価格の総額を控除した額をいいます。

「評価資本相当額」とは、社債型種類株式及び劣後債務のそれぞれにつき、その総額に各信用格付業者から承認を得た資本性(パーセント表示されます。)を乗じた額(信用格付業者毎に承認された資本性が相違することにより算出される額が異なる場合には、そのうちの大きい方の額)をいいます。

「調整後純有利子負債」とは、連結貸借対照表に記載された有利子負債(リース負債を含みます。)から現預金、有価証券及び金銭対価取得後に残存する劣後債務の評価資本相当額の合計を控除し、金銭対価取得後に残存する社債型種類株式の評価資本相当額の合計を加算した額をいいます。

(3)取得の方法

当社は、本トに記載する金銭対価の取得を行う場合にあっては、取得日の1カ月前の日(当該日が営業日でない場合には、その直前の営業日)までに、第1回社債型種類株主等に対して、取得日を通知するか、又は公告しなければなりません。

チ 株式の併合又は分割等

(1)当社は、法令に別段の定めがある場合を除き、第1回社債型種類株式について株式の併合又は分割を行いません。

(2)当社は、第1回社債型種類株主に対し、株式無償割当て又は新株予約権無償割当てを行いません。

(3)当社は、第1回社債型種類株主に対し、募集株式の割当て又は募集新株予約権の割当てを受ける権利を与えません。

(4)当社は、株式移転(当社の単独による株式移転に限ります。)をするときは、普通株主等には普通株式に代えて株式移転設立完全親会社の発行する当社の普通株式と同種の株式を、第1回社債型種類株主等には第1回社債型種類株式に代えて株式移転設立完全親会社の発行する当社の第1回社債型種類株式と同種の株式(以下「株式移転設立完全親会社第1回社債型種類株式」といいます。)を、それぞれ同一の持分割合で交付します。但し、株式移転設立完全親会社第1回社債型種類株式に係る当該株式移転の効力発生日が属する事業年度の末日を基準日とする剰余金の配当については、株式移転設立完全親会社第1回社債型種類株式1株につき、(a)株式移転設立完全親会社第1回社債型種類株式の1株当たりの発行価格相当額に配当年率を乗じて算出した額(但し、当社が当該株式移転の効力発生日が属する事業年度に属する日を基準日として第1回社債型種類株式優先期中配当金を支払った場合における当該支払額の控除その他の必要な調整を行うものとします。)及び(b)当該株式移転の効力発生日の前日における第1回社債型種類株式累積未払配当金の額を株式移転設立完全親会社第1回社債型種類株式の1株当たりの発行価格相当額に応じて調整した額の合計額(円位未満小数第3位まで算出し、その小数第3位は切り捨てるものとします。)とします。

リ 自己の第1回社債型種類株式の取得に際しての売主追加請求権の排除

当社が株主総会の決議によって特定の第1回社債型種類株主との合意により当該第1回社債型種類株主の有する第1回社債型種類株式の全部又は一部を取得する旨を決定し、会社法第157条第1項各号に掲げる事項を当該第1回社債型種類株主に通知する旨を決定する場合には、同法第160条第2項及び第3項の規定を適用しないものとします。

ヌ 上場

第1回社債型種類株式は、株式会社東京証券取引所(以下「取引所」といいます。)プライム市場に上場します。

ル 社債、株式等の振替に関する法律の適用等

第1回社債型種類株式は、社債、株式等の振替に関する法律に定める振替株式とし、その全部について同法の規定の適用を受けます。また、第1回社債型種類株式の取扱いについては、株式会社証券保管振替機構の定める株式等の振替に関する業務規程、同施行規則その他の規則に従います。

ヲ 信用格付

信用格付業者から提供され、若しくは閲覧に供された信用格付

(1)株式会社格付投資情報センター(以下「R&I」といいます。)

第1回社債型種類株式について、当社はR&IからBBBの信用格付を2025年11月21日付で取得しております。

R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定どおりに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見を表明するものではありません。R&Iの信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見についての正確性、適時性、完全性、商品性及び特定目的への適合性その他一切の事項について、いかなる保証もしていません。

R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合には、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格付を取り下げることがあります。

利息・配当の繰延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあります。

一般に投資にあたって信用格付に過度に依存することが金融システムの混乱を引き起こす要因となり得ることが知られています。

第1回社債型種類株式の申込期間中に第1回社債型種類株式に関してR&Iが公表する情報へのリンク先は、R&Iのホームページ(https://www.r-i.co.jp/rating/index.html)の「格付アクション・コメント」及び同コーナー右下の「一覧はこちら」をクリックしたリポート検索画面に掲載されています。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性があります。その場合の連絡先は以下のとおりです。

R&I:電話番号 03-6273-7471

(2)株式会社日本格付研究所(以下「JCR」といいます。)

第1回社債型種類株式について、当社はJCRからBBB+の信用格付を2025年11月21日付で取得しております。

JCRの信用格付は、格付対象となる債務について約定どおり履行される確実性の程度を等級をもって示すものです。

なお、第1回社債型種類株式につき、優先配当金の支払停止が生じた場合、当該支払停止は「債務不履行」に当たりませんが、ある事業年度に係る優先配当金が、発行要項に定められた優先配当金の額をもって、翌事業年度の末日(毎年3月31日)までに第1回社債型種類株主等に支払われない場合、JCRでは債務不履行の場合と同じ「D」記号を付与することとしています。

JCRの信用格付は、債務履行の確実性の程度に関してのJCRの現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の程度を完全に表示しているものではありません。また、JCRの信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではありません。JCRの信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項は含まれません。

JCRの信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動します。また、JCRの信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCRが格付対象の発行体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものですが、当該情報には、人為的、機械的又はその他の理由により誤りが存在する可能性があります。

第1回社債型種類株式の申込期間中に第1回社債型種類株式に関してJCRが公表する情報へのリンク先は、JCRのホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「ニュースリリース」右端「一覧を見る」をクリックして表示される「ニュースリリース」(https://www.jcr.co.jp/release/)に掲載されています。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性があります。その場合の連絡先は以下のとおりです。

JCR:電話番号 03-3544-7013 

2【株式募集の方法及び条件】

後記「(2)募集の条件」記載の発行価額にて、後記「3 株式の引受け」に記載の引受人(以下「引受人」といいます。)は、買取引受けを行い、当該発行価額と異なる価額(発行価格)で一般募集(以下「一般募集」といいます。)を行います。引受人は払込期日に発行価額の総額を当社に払い込み、一般募集における発行価格の総額との差額は引受人の手取金とします。当社は引受人に対して引受手数料を支払いません。 

(1)【募集の方法】

区分 発行数(株) 発行価額の総額(円) 資本組入額の総額(円)
株主割当
その他の者に対する割当
一般募集 40,000,000 195,000,000,000 97,500,000,000
計(総発行株式) 40,000,000 195,000,000,000 97,500,000,000

(注)1 全株式を金融商品取引業者の買取引受けにより募集します。

2 発行価額の総額は、引受人の買取引受けによる払込金額の総額であります。

3 資本組入額の総額は、会社法上の増加する資本金の額であり、増加する資本準備金の額は97,500,000,000円です。

なお、当社は、2025年11月10日開催の当社取締役会において、一般募集による第1回社債型種類株式の発行に係る払込みが行われることを条件として、当該発行に係る払込期日と同日付にて、当該発行により増加する資本金の額と同額の資本金の額(97,500,000,000円)を、また、当該発行により増加する資本準備金の額と同額の資本準備金の額(97,500,000,000円)をそれぞれ減少させ、それぞれの全額を「その他資本剰余金」に振り替えることを決議しております。 

(2)【募集の条件】

発行価格

(円)
発行価額

(円)
資本組入額

(円)
申込株数単位 申込期間 申込証拠金

(円)
払込期日
5,000 4,875

(注)1
2,437.5

(注)2
100株 自 2025年

11月25日(火)

至 2025年

12月11日(木)
1株につき発行価格と同一の金額

(注)4
2025年

12月12日(金)

(注)1 前記「2 株式募集の方法及び条件」の冒頭に記載のとおり、発行価格と発行価額とは異なります。発行価格と発行価額との差額の総額は、引受人の手取金となります。

2 資本組入額は、1株当たりの増加する資本金の額であります。

3 申込みの方法は、申込期間内に後記申込取扱場所へ申込証拠金を添えて申込みをするものといたします。

4 申込証拠金には、利息をつけません。申込証拠金のうち発行価額相当額は、払込期日に新株式払込金に振替充当いたします。

5 株式受渡期日は、2025年12月15日(月)(以下「上場(売買開始)日」といいます。)の予定であります。

第1回社債型種類株式の取引所への上場に伴い、株式会社証券保管振替機構が振替機関として第1回社債型種類株式を取扱う予定であり、上場(売買開始)日から売買を行うことができます。 

(3)【申込取扱場所】

後記「3 株式の引受け」に記載の金融商品取引業者の本店及び全国各支店で申込みの取扱いをいたします。 

(4)【払込取扱場所】

店名 所在地
株式会社三井住友銀行 本店営業部 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号
株式会社みずほ銀行 本店 東京都千代田区大手町一丁目5番5号

(注) 上記払込取扱場所での申込みの取扱いは行いません。 

3【株式の引受け】

引受人の氏名又は名称 住所 引受株式数 引受けの条件
野村證券株式会社 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 26,000,000株 1 買取引受けによります。

2 引受人は新株式払込金として、払込期日に払込取扱場所へ発行価額と同額を払い込むことといたします。

3 引受手数料は支払われません。但し、一般募集における価額(発行価格)と発行価額との差額は引受人の手取金(1株につき125円)となります。
みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号 8,000,000株
SMBC日興証券株式会社 東京都千代田区丸の内三丁目3番1号 4,000,000株
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目9番2号 2,000,000株
40,000,000株

4【新規発行による手取金の使途】

(1)【新規発行による手取金の額】

払込金額の総額(円) 発行諸費用の概算額(円) 差引手取概算額(円)
195,000,000,000 1,060,000,000 193,940,000,000

(注) 引受手数料は支払われないため、発行諸費用の概算額は、これ以外の費用を合計したものであります。また、消費税等は含まれておりません。 

(2)【手取金の使途】

上記差引手取概算額193,940,000,000円については、2027年3月末までに、1,000億円を、拡大する航空需要の取り込み及び利益成長を目的として、ボーイング787型機(787-9型機及び787-10型機)、ボーイング777-9型機、ボーイング737-8型機、エアバスA320neo型機及びエアバスA321neo型機を中心とした航空機の導入に関する設備投資資金に、残額を自己株式の取得資金に充当する予定です。なお、自己株式の取得価額の総額は、1,500億円(上限)であり、当該自己株式取得は、コロナ禍における公募増資により普通株主の皆様から払い込まれた資本の一部返還及び普通株式の株式数削減を通じた1株当たり株主価値(1株当たり純利益)の向上を図るとともに、資本構成の最適化を目指し行うものであります。 

第2【売出要項】

該当事項はありません。 

【募集又は売出しに関する特別記載事項】

1 第1回社債型種類株式を発行することの必要性及び相当性について

1.コロナ禍を経た新たな成長ステージへの移行

コロナ禍において航空業界の事業環境が急激に変化し、厳しい経営環境に見舞われた中で、当社は強靭な企業グループへの生まれ変わりを目指し「事業構造改革」に速やかに着手いたしました。かかる事業構造改革を断行する中、資本性調達として劣後特約付シンジケートローン及び公募増資にて大規模に資本を積み上げ、いち早くアフターコロナを見据えた事業・財務の両面での変革を推し進めたことで、2020年度にコロナ禍で過去最大の赤字を計上してから、業績を急速に改善してまいりました。2023-25年度中期経営戦略(以下「現行戦略」といいます。)の中間地点である2024年度は、国際線・国内線ともにイールド及び旅客需要が堅調であり、売上高は過去最高となる2.2兆円、営業利益は1,966億円となりました。成長回帰への足元固めと位置付けた現行戦略期間において、当社は航空事業の稼ぐ力を向上させ、着実に財務基盤を回復させてきました。

足元で業績が急速に改善に向かう中、今後は2030年度に目指す姿の実現に向けた新たな成長ステージへと移行します。航空事業に目を向けますと、2029年の成田空港の発着枠拡大や、2030年のインバウンド政府目標6,000万人、さらにはインド・東南アジアの経済成長に伴う航空需要の増加予測など、今後も大きな成長機会が控えている状況です。

これらの成長機会を前にした、2026年度以降の次期中期経営戦略においては、成長軌道の実現とさらなる飛躍への備えをする期間と位置付け、国際線の確実な成長、最適なバランスシートマネジメント及び成長投資の強化を図ってまいります。長期的な成長に向けては、人財・DX・航空機への投資が不可欠です。価値創造の源泉である人財が、DXを推進して付加価値を高め、その上で航空機を有効に活用することで、当社の競争優位をさらに高めていき、経営ビジョンの実現と持続的な企業価値向上を目指してまいります。

2.成長投資資金の確保

第1回社債型種類株式の発行による調達資金のうち、1,000億円を航空機投資に充当予定です。今後の成長機会を前に、当社は2025年2月25日に将来的な航空需要の拡大を見据え、コロナ禍で抑制していた航空機の更新や追加発注の決定を公表いたしました。2024年度末時点の機材数は278機ですが、2030年度にはコロナ禍以前を超える約320機(※1)まで増やし、ジョイントベンチャーを軸とした提携戦略も推進しながら、拡大する訪日需要、そして今後の成長の柱となるアジア-北米間の流動を取り込むことで確実に利益成長へつなげてまいります。

3.自己株式取得と資本構成の最適化

第1回社債型種類株式の発行による調達資金のうち、残り約940億円と手元流動性約560億円を合わせて、上限1,500億円を自己株式取得資金に充当予定です。自己株式取得を通じ、コロナ禍において普通株主の皆様から払い込まれた資本の一部を、足元業績が急速に回復する中でいち早く返還し、普通株式の株式数削減を通じた1株当たり株主価値の向上を企図しています。

社債型種類株式の発行と自己株式取得を組み合わせることで、財務健全性の維持・向上及び資本効率の向上を高い次元でバランス良く実現することができると考えています。また、社債型種類株式の株主資本コストは発行時に決定される配当年率相当分に限定され、普通株式に係る株主資本コストよりも低いため、当社の加重平均資本コスト(WACC)の引き下げにもつながります。

なお、当社の普通株式に係る株主資本コストは、コロナ禍においてレバードベータ(※2)の水準が変化したことや足元のリスクフリーレートの上昇を背景に、コロナ禍以前の5%程度から足元では8%程度まで上昇しています。企業価値創造の源泉となるエクイティ・スプレッド(※3)を十分に確保すべく、中期的なROE目標は12%以上を目安とするとともに、現在の株主資本コスト(8%程度)を引き下げることに努め、株主価値の向上により一層取り組んでまいります。

また、これまでの利益の蓄積に加え、第1回社債型種類株式の発行により自己資本が増強されることで、2020年10月30日付で実行された劣後特約付シンジケートローン(トランシェB、初回期限前弁済可能日:2027年10月29日、借入額:2,000億円)の期限前弁済に係る例外規定(※4)の達成も見込むことができ、今後のさらなる資本政策の自由度の確保につながるものと考えます。

(※1) 2030年度時点におけるグループ全体の機材数(日本貨物航空を除く)

(※2) レバードベータ…企業の事業リスクに加え、有利子負債を考慮することにより財務リスクも反映したベータ。

(※3) エクイティ・スプレッド…自己資本利益率(ROE)-普通株式に係る株主資本コスト

(※4) 例外規定…2020年調達の劣後特約付シンジケートローンについて、期限前弁済を行う場合には、その直前の決算期(年度末又は四半期末)の連結財務諸表において以下の①を充足する場合、借り換えの資金調達額を②とすることを可能とする規定。

① 実質ネットデット・エクイティレシオ(※ⅰ)≦0.73

(※ⅰ)分子を(借入金+社債+リース債務+未経過リース料)-(現預金+有価証券)とし、分母を自己資本金額(純資産-非支配株主持分)として計算。

② (基準値(※ⅱ))-(自己資本金額)

(※ⅱ)トランシェBは9,192億円。

社債型種類株式は、既存の普通株主の皆様の議決権を希薄化することなく成長資金を調達できることに加えて、パンデミックの再来等に備えた強固な財務基盤の維持・向上に資するものであり、希薄化の生じない「第二の資本」として、バランスシートマネジメントを実現する新たな資本調達手法です。今後も、資本コストや資本構成を適切にコントロールし、さらなる企業価値向上を目指す上で、以下の特徴を有する「社債型種類株式」が有用な選択肢であり、第1回社債型種類株式を発行することの必要性及び相当性があると考えております。

・社債型種類株式は株主総会における議決権や普通株式への転換権がないため、普通株主の議決権の希薄化が生じません(議決権や普通株式への転換権がないこと等から、買収防衛策に活用できる性質ではなく、そのような想定もありません。)。

・発行時に定めた優先配当金以上の配当が行われない「非参加型」の種類株式であり、優先配当金以外の配当に対する参加権は普通株主のみが有します。

・発行可能株式総数(発行可能な普通株式と社債型種類株式の合計数)の変更を行うものではありません。

・社債型種類株式を発行した際には自己資本が増加するものの、普通株式に係るROE等の主要な財務指標の算出に際して生じる影響は限定的です。

・社債型種類株式は非参加型の株式であり、資本コストは発行時に決定される配当年率相当分であるため、発行から概ね5年間の資本コストは普通株式よりも低いことが想定されます。

なお、第1回社債型種類株式の固定配当年率(2031年9月30日までの期間の配当年率)に係る仮条件の決定に際しては、第1回社債型種類株式の公正価値に関する評価報告書並びに当社と同程度の信用格付を取得している事業会社が発行している劣後特約付社債等の市場価格等及び他の事業会社が発行した社債型種類株式の市場価格等を総合的に踏まえて決定しております。

また、第1回社債型種類株式の配当年率の決定にあたっては、日本証券業協会の定める有価証券の引受け等に関する規則第25条に規定されるブックビルディング方式と同様の方式により、当該仮条件を提示して、当該仮条件による需要状況を勘案した上で決定しております。

2 第1回社債型種類株式の性質について

第1回社債型種類株式は、当初設定された優先配当金以上の配当が行われない、議決権の希薄化が生じないといった「社債」に類似した側面と、自己資本の拡充という「株式」の側面を兼ね備えたハイブリッドな設計であり、「社債型」種類株式という名称を付しておりますが、法的な性質としては「株式」であり「社債」ではありません。

したがって、第1回社債型種類株式は、「社債」と異なり、決められた償還期限に償還されるものではありません。第1回社債型種類株主におかれては、第1回社債型種類株式の市場売却の他に、当社による金銭を対価とする第1回社債型種類株式の取得(コール)が行われる場合に、第1回社債型種類株式を換金していただくことができますが、当該取得は、原則として、払込期日(同日を含みます。)から5年を経過した日(2030年12月12日)以降に、当社の裁量により決定するものであり、第1回社債型種類株主からの取得請求を行っていただくことはできません。

3 資本金及び資本準備金の額の減少について

当社は、今後の機動的かつ柔軟な資本政策を可能とするため、2025年11月10日開催の取締役会において、一般募集による第1回社債型種類株式の発行に係る払込みが行われることを条件として、当該発行に係る払込期日と同日付にて、当該発行により増加する資本金の額と同額の資本金の額(97,500,000,000円)を、また、当該発行により増加する資本準備金の額と同額の資本準備金の額(97,500,000,000円)をそれぞれ減少させ、それぞれの全額を「その他資本剰余金」に振り替えることを決議しております。

4 自己株式の取得及び消却について

2025年11月10日開催の取締役会において、株式会社東京証券取引所における市場買付けにより、取得し得る株式の総数67,500,000株、取得価額の総額1,500億円をそれぞれ上限とし、2025年12月16日(火)から2026年12月15日(火)までを取得期間として、自己株式の取得に係る事項について決議するとともに、取得した自己株式の全株式数を消却することについて決議いたしました。なお、市場動向等により、一部又は全部の取得が行われない場合があります。 

第3【第三者割当の場合の特記事項】

該当事項はありません。 

第4【その他の記載事項】

特に発行登録追補目論見書に記載しようとしている事項は次のとおりであります。

・表紙に当社グループのコーポレートシンボルを記載いたします。

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・表紙裏に以下の内容を記載いたします。

[ご投資にあたって]

第1回社債型種類株式への投資にあたっては、以下の要因にご留意ください。なお、以下の内容は第1回社債型種類株式への投資に関する留意事項の全てを網羅するものではありませんので、ご注意ください。

1.株式としてのリスク・ご留意事項

第1回社債型種類株式は株式であり、満期又は償還期限はありません。その他、以下のようなリスクやご留意いただきたい事項があります。

(1)配当に関するリスク

第1回社債型種類株式の配当は普通株式に優先されますが、社債保有者などの債権者への支払に劣後します。したがって、分配可能額がない場合には配当の全部又は一部が行われず、期待するリターンが得られないおそれがあります。

また、第1回社債型種類株式の優先配当金は予め決められており、当社の業績等によって変動するものではありません。したがって、普通株式の配当が増配される場合でも、第1回社債型種類株式の優先配当金は発行時に決定した配当年率から変わりません。

(2)株価に関するリスク

第1回社債型種類株式の株価は需給によって決定される一方、優先配当金は当社が行う普通株式の配当政策による影響を受けない、といった社債に類似した特徴を持つことから、主に市場金利や当社の信用力に連動すると考えられ、普通株式の株価とは異なる動きをする可能性があります。

そのため、普通株式の株価に関わらず、市場金利等が変動する場合や業績、財務状況の悪化に伴い、当社が優先配当金の支払や取得条項の行使を行わないことが懸念される場合においては、株価が大きく下落し損失が発生するおそれがあります。

(3)流動性に関するリスク

第1回社債型種類株式は発行後、東証プライム市場に上場され売買が可能となりますが、予め定められた優先配当金以上の分配が行われないことから、多くの投資家は当社による取得が期待できる場合には売却せずに継続保有することが想定されます。

そのため、キャピタルゲインを目的とした頻繁な売買は想定されず、流動性が低いことにより、希望する株価やタイミングでの売買ができないおそれがあります。取引所における売買については指値による注文を行うなど、気配情報や発注価格にご注意ください。また、売買時には一般的に委託手数料が掛かります。

(4)当社の経営・財務状況の変化に関するリスク(信用リスク)

本書「第三部 参照情報 第2 参照書類の補完情報」に記載のとおり、当社は市場及び事業に関するリスク、為替等の金融・経済のリスク、さらに自然災害や政府の規制等を含めたイベント性のリスクを有しており、当社の財務内容が大きく悪化する可能性があります。

そのため、経営・財務状況及び信用状況が悪化した場合、以下のリスクがあります。

① 優先配当金の全部又は一部の支払が行われないおそれがあります。

② 当社が取得条項の行使を行わない可能性があります。

③ ①、②への懸念から、第1回社債型種類株式の株価が大きく下落するおそれがあります。

2.第1回社債型種類株式の取得に係るリスク・ご留意事項

第1回社債型種類株式は払込期日(同日を含みます。)から5年を経過した日(2030年12月12日)以降、又は、資本性変更事由(本書「第一部 証券情報 第1 募集要項 1 新規発行株式 摘要(第1回社債型種類株式の内容等)」をご参照ください。)が生じた場合には、基準価額(本書「第一部 証券情報 第1 募集要項 1 新規発行株式 摘要(第1回社債型種類株式の内容等)」をご参照ください。)相当額の金銭を対価とする取得条項を当社が選択可能となります。

(1)当社による取得が行われた場合のリスク

当社による取得が行われた場合、取得以降の優先配当金を受け取れず期待するリターンが得られないおそれがあります。また、第1回社債型種類株式を発行価格以上の株価で購入していた場合には、当社の取得条項の行使によって損失が発生するおそれがあります。

(2)当社による取得が行われない場合のリスク

取得条項の行使は当社の裁量によるため、大幅な金利上昇や、当社の財務状況が著しく悪化し分配可能額がない等の場合、固定配当年率の適用期間の終了日である2031年9月30日(本書「第一部 証券情報 第1 募集要項 1 新規発行株式 摘要(第1回社債型種類株式の内容等)」をご参照ください。)までに当社による取得が行われない可能性があります。その場合、第1回社債型種類株式の株価は大幅に下落し損失が発生するおそれがあります。

(3)当社による取得が行われた場合の課税関係(個人投資家の場合)

第1回社債型種類株式が当社によって取得される場合、第1回社債型種類株式に対応する当社の資本金等の額及び第1回社債型種類株式の取得価格、又は、購入価格に応じたみなし配当、あるいは、譲渡損益が発生する可能性があります。

(4)取得条項が行使された場合の取得代金の受取方法

取得条項の行使により第1回社債型種類株式が当社に取得される場合、取得代金は投資家の顧客口座に振り込まれます。なお、引受証券会社で保護預りされていない第1回社債型種類株式については、取得代金の受取方法が異なる可能性があります。詳しくは、保護預り先の証券会社へご確認ください。 

第二部【公開買付け又は株式交付に関する情報】

該当事項はありません。 

第三部【参照情報】

第1【参照書類】

会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。

1【有価証券報告書及びその添付書類】

事業年度 第75期(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 2025年6月26日関東財務局長に提出 

2【半期報告書】

事業年度 第76期中(自 2025年4月1日 至 2025年9月30日) 2025年11月6日関東財務局長に提出 

3【臨時報告書】

1の有価証券報告書提出後、本書提出日(2025年11月21日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2025年7月2日に関東財務局長に提出 

4【訂正報告書】

該当事項はありません。 

第2【参照書類の補完情報】

上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書及び半期報告書(以下「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以降、本書提出日(2025年11月21日)までの間において生じた変更はありません。

以下の内容は、当該「事業等のリスク」を一括して記載したものであります。

なお、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されておりますが、そのうち有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載された2025年度における売上高、営業利益及び営業利益率の見通しを、2025年10月30日付で修正しております。

当該事項を除き、当該有価証券報告書等に記載されている将来に関する事項については、本書提出日(2025年11月21日)現在においてもその判断に変更はなく、新たに記載する将来に関する事項もありません。また、これらの将来に関する事項については、当社がその作成時点の予想や一定の前提に基づいて判断したものであり、様々な要因により実際の結果と大きく異なる可能性があります。

[事業等のリスク]

当社グループは、航空輸送事業を中核とする企業グループとして、安全の確保を最も重要な社会的使命と位置付け、それが毀損・阻害されることを「最重要リスク」と考えていますが、それ以外にも、近年は新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けたほか、その重要性や緊急性が増している気候変動問題に関するリスク、不透明感を増している国際情勢に関するリスクなど、様々なリスクが存在します。

当社グループが、当期末時点において、投資家の判断に重要な影響を及ぼし得ると考えているリスクの概要は以下の通りです。なお、以下の内容には将来に関する予測も含まれており、それらの事項は現実とは合致しない可能性があるほか、以下に記載されていない他のリスクが当社グループに影響を及ぼす可能性もあります。

(1)最も重要なリスク

「安全」が毀損・阻害されることは当社グループにとって最も重要なリスクです。

<要旨>

当社グループは、安全は経営の基盤であり、社会への責務であると位置付けています。安全が毀損・阻害されるような事象が発生した場合には、当社グループに大きな影響を与えます。特に、人的損害が生じた場合には、当社グループへの社会的な信用・信頼を根本から揺るがす可能性があります。

航空事故等によって、人的・物的損害が発生した場合には、その損害賠償責任が生ずる可能性がありますが、安全が毀損・阻害された場合の影響はそれに留まらず、顧客が航空機利用を手控えることで当社グループの収入が減少したり、あるいは航空機利用に際して当社グループ以外の便を選択するといった形で、その影響は広範かつ中期に及ぶ可能性があります。

なお、安全の確保に向けて、航空機に製造上の不具合等が発生・発覚した場合には、予防的に当該航空機の運航を中止することがありますが、その場合には、航空機不足に起因して欠航や減便等が発生し、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

<変化・展望>

当リスクは、引き続き、当社グループにとって最も重要なリスクであると考えています。

<対応>

当社グループは、安全の推進や安全の品質監査を行う専門組織を設置すると共に、安全を堅持するための持続的な「仕組み」を構築し、再発防止型・未然防止型・未来予測型の安全リスクマネジメント、良好事例や当社グループ外事例の活用、SPI(Safety Performance Indicator)による安全の「見える化」と対策の検討・実施など、更なる安全性の向上を追求しています。

同時に、運航乗務員や客室乗務員をはじめ、航空機運航に直接従事する社員に対する継続的、反復的な教育・訓練の実施や、当社グループ社員全体を対象とした安全に関する恒常的な啓発活動も行い、研修施設である「ANAグループ安全教育センター」の活用等を通じて積極的な安全・保安文化の醸成・強化に努めています。また、航空機メーカー等との間でも密接な情報交換や意見交換を行いながら、安全性をはじめとする高品質なオペレーションの実現に取り組んでいます。

(2)主要なリスク

① 気候変動問題への対応は重要性や緊急性が増しています。

<要旨>

航空機運航に際しては、二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しますが、これらの削減が急務となっています。

当社グループは、燃料効率に優れた航空機への置換えを進めるとともに、SAF(Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産・収集から燃焼までのライフサイクルで二酸化炭素排出量を従来燃料よりも大幅に削減した航空燃料)の活用等によって2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとする目標を設定していますが、現時点で、SAFが安定的に合理的な価格で十分に供給される目途が立ったものではありません。

SAFが安定的かつ十分に供給されない場合には、当社グループは二酸化炭素排出枠を社外の二酸化炭素削減プロジェクト等から購入する必要に迫られ、営業費用の増加をもたらす可能性があるとともに、SAFの価格が高額に留まった場合には、航空機の運航コストが増加して当社グループの収益性に影響を及ぼしたり、そのコストを運賃に転嫁することで鉄道や海運など他の交通手段に対する当社グループの競争力が低下する可能性があります。

また、当社グループの二酸化炭素排出削減に向けた計画が目標通りに進まない場合には、顧客の間に、二酸化炭素の排出が相対的に少ない、鉄道など他の交通手段を選好する動きが出てくる可能性があるとともに、日本国内において十分なSAF供給体制が構築されない場合には、厳しい環境基準を設定する一部の国・地域等において、当社グループ航空機の乗り入れに対して制約や制限が課される可能性があります。

<変化・展望>

気候変動対策は全世界的に喫緊の課題であり、当リスクへの対処は、重要性や優先度が極めて高位であると考えています。また、当リスクについては、将来、航空業界全般および当社グループに対して、より厳格で、より高度な対応を、より速やかに求められる可能性もあると考えています。

<対応>

燃料効率に優れた新型機材への置換えや、大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化するネガティブエミッション技術の活用といった主体的な対応を進めるとともに、SAFの開発・供給体制構築に向けては、同業他社やSAFメーカー、あるいは政府等も含めて官民連携のもとに横断的協力関係を構築しながら、解決を進めていきます。

なお、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った情報については、当社グループホームページにて開示しています。(https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/goal/)

② 国際情勢の不安定化によるリスクが高まっています。

<要旨>

当社グループは、更なる成長機会を求めて国際線事業を拡大してきましたが、米中対立、ウクライナや中東地域情勢、第三極勢力の台頭など、国際情勢は不透明さを増しており、将来に向けて不確実性が存在します。

国際航空輸送は、これまで経済活動のグローバル化を背景に拡大してきましたが、その流れが停滞・逆行、あるいは戦争・紛争等によって平和な環境が毀損された場合には、業務渡航需要の低迷や観光旅行需要の減少等を通じて、当社グループの収入に影響を及ぼす可能性があります。

なお、国際情勢の不安定化は、国際線事業のみならず、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の減少等を通じて国内線事業にも影響を及ぼし得るほか、航空機が戦争・紛争地域上空の飛行を取り止めて迂回せざるを得ないケース等、その影響が広範に及ぶ可能性があります。

<変化・展望>

国際情勢および経済活動グローバル化の行方については不確実性が増しており、リスクとして管理・対処する必要性が高まっていると考えています。

<対応>

当社グループは、国際線事業の展開に際し、航空ネットワーク構築等において、短期的な収益性のみで判断せず、国際情勢リスクにも配慮した展開を進めており、今後も当対応を継続します。また、海外における顧客獲得に際しても、特定国・地域に過度に偏ることがないよう、バランスを考慮して展開しています。

なお、国際情勢の悪化等によって緊急対応の必要が生じた場合には、航空便の運航計画や運航ルートを柔軟かつ迅速に変更させることで、その影響低減を図っています。

③ 大規模な感染症の発生は当社グループに甚大な影響を及ぼします。

<要旨>

当社グループは、新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けましたが、将来、大規模な感染症が再び発生した場合には、人的移動の制限・禁止等によって需要が激減し、当社グループに再度大きな影響を及ぼす可能性があります。航空事業は、航空機に関する費用や、それを運航するための人件費といった固定費が大きな割合を占めるため、短期で事業支出を抑制することは容易ではありません。また、そのような事業支出の抑制策を講じた場合には、事業体制の再構築には一定の時間を要するため、需要回復期においても、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

<変化・展望>

一般的に気候変動(地球温暖化)は感染症リスクを高めると言われており、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。

<対応>

当社グループは、旅客機に加えて貨物専用機も保有することで、人的移動が減少した状況下でも物的移動に対しては積極的に対応できる体制を構築すると共に、人的移動についても3種の航空ブランド(ANA、Peach、AirJapan)を保有することで、限定された航空需要に対して、最も適切に対応できるようにしています。また、事業構造の多角化を進めており、航空事業非連動の収益ドメイン拡大や、グループの持続的成長に向けたANA経済圏の拡大を進めています。

④ システム障害が発生した場合の影響が大きくなっています。

<要旨>

当社グループは、航空輸送サービスを、より高品質で、より効率的に提供すべく、事業運営のシステム化を積極的に推進しており、これらのシステムに障害が発生した場合には、その理由が社内要因(自社要因)、あるいはサイバー攻撃等の社外要因であるかの如何を問わず、事業に与える影響が高まっています。航空機運航関連システムに障害が発生した場合には、航空機の運航が困難になる可能性があるほか、予約・決済・搭乗管理といった関連システムで障害が発生した場合にも、予約の受付や決済、空港における搭乗管理などが不可能となり、実質的に航空輸送サービスを提供することが困難となる可能性があります。

<変化・展望>

システムのクラウド化の進展、事業関連のサプライチェーンの接続や連関性増加、あるいは地政学的視点、さらには攻撃側のAI活用などサイバー攻撃が増加・巧妙化していることを踏まえれば、システム障害・サイバー攻撃に関するリスクは高まっていると考えています。また、当リスクを予防・低減させることに関する社会的要請も高まっていると考えています。

<対応>

2024年から発足したANAグループCSIRT(Computer Security Incident Response Team)の構築によりシステム障害かサイバーセキュリティ攻撃かが不明である時点から対応することを通じて、包括的・多面的なシステム運用体制を構築するとともに、サイバー事案に対しても海外ステークホルダーに対しても非常に速い対応が可能となりました。また、システム全体のアーキテクチャを監督する機能の設置や社員教育の強化やシステム障害発生対応訓練の実施など、ソフト面での対応強化も行っています。

⑤ 情報漏洩リスクへの対処が重要性を増しています。

<要旨>

当社グループは、顧客組織「ANAマイレージクラブ」会員の個人情報をはじめ、多くの情報を保持していますが、これらの情報が不正に流出した場合には、損害賠償請求を受けたり、各国政府等から制裁金や課徴金の支払いを命じられたり、あるいは顧客や社会からの信用・信頼が失墜して競争力が低下したりする可能性があります。

<変化・展望>

情報全般の取り扱いに関する社会的な意識・規範の高まりや、各国政府等によって定められる関連法規の強化などを踏まえれば、当リスクに適切に対処する必要性は一層高まっていると考えています。

<対応>

各国法令等に沿って適切な情報管理を行うと共に、コンピュータウィルス対策やメールのセキュリティチェック、不正操作の監視、情報にアクセスできる社員の制限、全社員を対象とした情報管理に関する教育・啓発活動等を行っています。また、グループ全体のシステムを対象に継続的な点検を行い、システムの老朽化、脆弱性を早期に検出して対応する等、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐ対応を実施しています。

⑥ 人権リスクについて対処すべき領域が広がっています。

<要旨>

当社グループ内のみならず、委託先や取引先、調達先等を含めて、当社グループ事業に関わる事業領域全体で人権侵害にあたる行為が発生した場合には、当社グループが社会的非難を浴びたり、不買運動の対象となったりする可能性があります。また、海外の一部の国・地域ではサプライチェーン上の人権保護に関わる法制化も進んでいます。委託先等のグループ外も含めて人権侵害にあたる行為が発生した場合には、こうした国・地域等において、当社グループが罰則を課される可能性もあります。さらに、業務委託先等を含むサプライヤーで問題が発生し、操業停止等に至った際には、当社グループの事業運営において制約や制限を課される可能性があります。

<変化・展望>

日本国内における労働力人口減少への対応、あるいは海外事業の拡大を進める中で当社グループの事業に関わる人的リソースは多様化しており、当リスクに対しては、より多面的に対処する必要性があると考えています。

<対応>

当社グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において詳述されている手順に沿い、「ANAグループ人権方針」のもと、人権デューディリジェンスの仕組みを構築しています。サプライチェーン上の人権リスク評価を実施し、必要に応じて、社外関係先や労働者本人に対しても対話等を通じて直接確認・調査を行う等、当リスクの適切な管理に努めています。

さらに労働者が直接声を上げる仕組みも整備し、グリーバンスメカニズムによる人権尊重も推進しています。

また、社内においても人権に関する社員教育や経営レベルの会議体における定期的なモニター等も実施しています。

⑦ 激甚化する自然災害のリスクが高まっています。

<要旨>

航空輸送は、点と点を空路で結ぶという特性上、運輸・運送システムの中では相対的に自然災害への耐性が強く、一部空港が機能不全に陥った場合でも近隣空港を活用した代替輸送が可能といった利点がありますが、当社グループの事業基盤は首都圏に集中しているため、羽田空港や成田空港が自然災害によって大きな影響を受けた場合には、当社グループの事業運営に関して制約や障害が発生する可能性があります。

<変化・展望>

気候変動(地球温暖化)が自然災害の激甚化をもたらすと言われていることを含めて、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。

<対応>

首都直下地震をはじめ、大規模自然災害が発生した場合でも、早急に運航機能を回復させて公共交通機関としての使命を果たせるよう、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し、定期的な見直しを行っています。また、事業運営に不可欠な各種中核機能についてはバックアップ系統を整備し、衛星電話や備蓄品、従業員安否確認システム等を用意すると共に、関係者(空港会社等)とも連携しながら、定期的な防災訓練を実施する等の対応をしています。

⑧ 当社グループの事業は、為替・原油価格・金利といった市況の変動に大きな影響を受けます。

<要旨>

1)為替

当社グループが使用する航空機は海外メーカーによって製造されているため、円安が大きく進行した場合には、航空機調達コストが増大します。また、営業費用において大きな割合を占める航空機燃料も、その原料となる原油は輸入に頼っているため、同様に円安が大きく進行した場合には、営業費用が増加します。なお、円安は当社グループが海外で得る外貨収入の円建て換算額を押し上げますが、当社グループは外貨建て収入よりも外貨建て支出の方が多いため、その効果は費用増加の全てを相殺できるものではありません。

為替変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。

2)原油価格

航空機燃料の価格は、基本的に原油価格に連動しており、原油価格の高騰は航空機燃料コストの増大をもたらします。当社グループは、一部事業において燃料価格に応じた燃油特別付加運賃(いわゆる「燃油サーチャージ」)を設定・徴収するといった方策も講じていますが、それらの収入は費用増加の全てを常に相殺するものではありません。

原油価格の変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。

3)金利

当社グループは、航空機の調達をはじめ、外部資金も活用した事業運営を行っており、金利が大きく上昇した場合には、その資金調達コストの増加といった形で当社グループに影響を及ぼす可能性があります。

<変化・展望>

市況変動は常に起こり得るものですが、昨今、国際情勢や経済情勢に関する不確実性も増しており、当リスクへの対処は重要性を増していると考えています。

<対応>

ヘッジ取引の活用等によってリスクの低減・緩和・平準化を図ると共に、より根本的な対策として、外貨建て収入を増やして為替影響に強い収支構造を構築する、燃料効率に優れた新型機への置換えを推進する、事業ポートフォリオの多角化によって市況変動の影響を受けにくい事業を育成する、適切な財務規律の下で資金調達を実施する等、グループ全体として市況変動に対する耐性を高めていきます。

⑨ 競争力の強化や新たな成長に向けた投資は、リスクも伴っています。

<要旨>

当社グループは、将来に向けて持続的な成長を実現するための投資を検討・実行していますが、これらの投資はリスクも伴っています。

航空事業では、他社に対する競争力の維持・向上や温室効果ガスの排出削減に向けて、新型機材の導入等を行っていきますが、大規模な感染症の発生による影響、各種テクノロジーの急速・急激な発達、それに伴った社会の行動様式変化、あるいは政治情勢等に起因したグローバルな経済活動の分断等が生じた場合には、これらの投資が期待したような効果を発揮しない可能性があります。

また、グループ全体としてのリスク耐性を高めるべく、航空事業との相乗効果が期待できる事業、あるいは航空事業のノウハウを活用できる事業、即ち、地域創生事業、各種エアモビリティ事業、アバター事業、ANA経済圏事業等への投資を検討・実行していますが、これらの投資は想定した成果を発揮した場合の効果が大きいと期待される一方で、想定した成果を得られない可能性もあります。

<変化・展望>

投資に関するリスク管理は、引き続き、重要であると考えています。

<対応>

投資の検討・実行に際しては、取締役会や各種経営レベル会議体での議論・審議のみならず、グループ全社を対象とした投資管理委員会を設置して管理体制の重層化を図ると共に、その評価基準や撤退基準を予め設定する等、当リスクの適切な管理に努めています。

⑩ 日本の人口減少により、市場が縮小したり、労働力の確保が困難となっていく可能性があります。

<要旨>

当社グループは、日本国内を最大の事業基盤としていますが、今後、日本の人口減少が進むにつれて、その市場規模は縮小する可能性があります。また、人口減少は当社グループの事業運営に必要な労働力の確保という観点でも影響を及ぼす可能性があり、その場合には、人件費単価が増加したり、労働力不足、並びに従業員のスキル・知識不足等に起因して事業運営に制約が生じたりする可能性があります。

<変化・展望>

当リスクは、今後、顕在化すると考えています。

<対応>

経営戦略の立案等において、人口減少等の各種社会的変化の想定を加味・反映させると共に、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。

労働力の確保に関しては、適切な配置や教育・研修機会等の拡充によりスキルや知識等の向上を図るとともに、「人財」に対する積極的な投資によって採用競争力を維持・向上させ、機械化、省力化、無人化等を推進し、生産性も高めていきます。

⑪ 更なる高速鉄道網の延伸によって、陸上交通機関との競争が激化する可能性があります。

<要旨>

日本国内では、今後、更なる高速鉄道網の延伸が予定されており、新幹線等との競争が、より激しくなる可能性があります。整備新幹線の延伸や既存新幹線の高速化は、当社グループの国内線事業に関して、市場シェアの低下や価格競争の発生・激化による単価下落といった影響をもたらす可能性があります。

<変化・展望>

当リスクは、中長期的に顕在化する可能性が高いと考えています。

<対応>

経営戦略の立案等において、高速鉄道網の延伸や競争環境の変化を加味・反映させると共に、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。

(3)その他のリスク

① 交通政策や航空政策に関するリスク

羽田空港等の基幹空港では、その発着可能枠が既に上限に達しているものもありますが、その処理能力向上については基本的に国策に委ねられており、当社グループの今後の事業展開において制約となる可能性があります。また、現時点で当社グループが使用しているこれらの空港における発着枠についても、今後の政策によって縮小・回収といった調整が行われる可能性があります。

② 税制や公租公課に関するリスク

航空事業に関しては、航空機燃料税等の税制に加えて、空港着陸料や駐機場使用料、航行援助施設利用料といった公租公課が存在します。これらの税制や公租公課に変更、新設等があった場合には、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。

③ 景気変動に関するリスク

航空輸送が担う中長距離輸送は、日常的な短距離輸送に比べて、景気変動の影響をより受けやすいという特性があります。

④ 損益構造・財務構造・資金調達に関するリスク

航空事業は、高額である航空機を使用すると共に、貨客量に関わらず運航に連動して発生する費用(燃油費や整備費等)も多いため、需要が大きく減少した場合には、その収益性が大きく低下する可能性があります。

また、当社グループは繰延税金資産を計上していますが、将来の課税所得見込みが減少した場合等には、この資産が取り崩される可能性があります。

なお、当社グループは設備投資等の必要資金を金融機関や市場から調達する可能性がありますが、当社グループの信用力変動や市場の混乱等によって資金調達に制約を受ける場合は、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 事業ポートフォリオに関するリスク

当社グループは、その収入・収益において航空事業が大きな割合を占めているほか、それ以外の航空関連事業、旅行事業、商社事業についても航空輸送に関連した事業が多く、航空事業に大きな影響が生じた場合には、これらの事業においても連動的に大きな影響が生じる可能性があります。

⑥ 訴訟に関するリスク

国内外において、当社グループの事業活動に関する各種訴訟等が発生した場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 

第3【参照書類を縦覧に供している場所】

ANAホールディングス株式会社本店

(東京都港区東新橋一丁目5番2号)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号) 

第四部【保証会社等の情報】

該当事項はありません。

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