M&A Activity • Nov 13, 2025
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| 【提出書類】 | 意見表明報告書 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年11月13日 |
| 【報告者の名称】 | 杉田エース株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 東京都墨田区緑2丁目14番15号 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 東京都墨田区緑2丁目14番15号 |
| 【電話番号】 | 03-3633-5150 |
| 【事務連絡者氏名】 | 専務取締役 井関 誠 |
| 【縦覧に供する場所】 | 杉田エース株式会社 (東京都墨田区緑2丁目14番15号) 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、杉田エース株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、株式会社UMKをいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は必ずしも計数の総和と一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注6) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注7) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注8) 本書の提出に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、法で定められた手続及び情報開示基準に従い実施されるものです。
E02910 76350 杉田エース株式会社 SUGITA ACE CO.,LTD. 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 1 false false false E02910-000 2025-11-13 xbrli:pure
意見表明報告書_20251113121323
名称 株式会社UMK
所在地 東京都中央区築地1丁目13番10号
普通株式(以下「当社株式」といいます。)
(1)意見の内容
当社は、2025年11月12日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」に記載の方法により決議されております。
(2)意見の根拠及び理由
本「(2)意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、本公開買付けを通じて株式会社東京証券取引所スタンダード市場に上場している当社株式の取得及び所有することを主たる目的として当社の取締役副社長である杉田力介氏により、2025年10月30日に設立され、同氏が代表取締役を務める株式会社であり、本書提出日現在において、当社の代表取締役社長かつ当社の第3位株主(2025年9月30日現在。以下、株式順位の記載について同じです。)である杉田裕介氏(所有株式数:260,000株、所有割合:4.85%。以下「杉田裕介氏」といいます。)及び当社の取締役副社長かつ当社の第10位株主である杉田力介氏(所有株式数:70,000株、所有割合:1.30%。以下、「杉田力介氏」といいます。)がその発行済株式の全てをそれぞれ50%ずつ所有しているとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は、当社株式を所有していないとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年11月12日に公表した「2026 年3月期半期報告書」(以下「半期報告書」といいます。)に記載された2025年9月30日現在の発行済株式総数(5,374,000株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(8,931株)を控除した株式数(5,365,069株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じとします。
今般、公開買付者は、当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施し、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式(以下において定義します。以下同じです。)を除きます。)を取得することとしたとのことです。なお、本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、本取引後も当社の代表取締役会長かつ当社の第1位株主である杉田直良氏(所有株式数:906,000株、所有割合:16.89%。以下「杉田直良氏」といいます。)は、引き続き当社の代表取締役会長として、杉田裕介氏は、当社の代表取締役社長として、杉田力介氏は、当社の取締役副社長として経営にあたることを予定しているとのことです。
本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2025年11月12日付で、杉田直良氏、杉田裕介氏、杉田力介氏、杉田直良氏の配偶者である杉田邦子氏(所有株式数:33,000株、所有割合:0.62%。以下「杉田邦子氏」といいます。)並びに杉田直良氏、杉田邦子氏、杉田裕介及び杉田力介氏が議決権の全てを所有する資産管理会社であり、かつ当社の第2位株主である有限会社杉田商事(所有株式数:730,000株、所有割合:13.61%。以下「杉田商事」といい、杉田裕介氏、杉田力介氏、杉田直良氏及び杉田邦子氏と総称して「本不応募合意株主」といいます。)との間で、本不応募合意株主それぞれが所有する当社株式の全て(合計:1,999,000株、所有割合:37.26%。以下「本不応募合意株式」といいます。)を本公開買付けに応募しない旨、及び本公開買付けが成立した場合には本臨時株主総会(下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に定義します。以下同じです。)において本スクイーズアウト手続(以下に定義します。以下同じです。)に関連する各議案に賛成する旨を書面で合意しているとのことです(以下、総称して「本不応募契約」といいます。)。
本不応募契約の詳細につきましては、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を1,683,035株(所有割合:31.37%)に設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(1,683,035株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方で、本公開買付けは当社株式の非公開化を目的としておりますので、本公開買付けにおいて買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(1,683,035株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
買付予定数の下限(1,683,035株)は、当社半期報告書に記載された2025年9月30日現在の発行済株式総数(5,374,000株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(8,931株)及び本不応募合意株式(1,999,000株)を控除した株式数(3,366,069株)の過半数に相当するものとのことです。公開買付者と利害関係を有しない当社の株主からその株式数の過半数、すなわち、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」(注1)に相当する数の同意が得られない場合には本公開買付けは成立せず、当社の一般株主の意思を重視したものとなっているとのことです。また、かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けにおいて、公開買付者は、当社株式を非公開化することを目的としているところ、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」に記載のとおり、本公開買付けにおいて、当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするための手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)として株式併合(以下「本株式併合」といいます。)の実施を想定しているため、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本スクイーズアウト手続の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け成立後に公開買付者及び本不応募合意株主が当社の総株主の議決権の数の3分の2以上を所有することとなるようにするためとのことです。
(注1) 「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」とは、一般に、買収者と重要な利害関係を共通にしない株主が保有する株式の過半数の支持を得ることをM&Aの成立の前提条件とし、当該前提条件を予め公表することをいいます。
公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、その決済開始日の前営業日までに、本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするための本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
なお、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」に記載のとおり、株式併合の効力発生日において、公開買付者及び各不応募合意株主以外に、公開買付者及び各不応募合意株主がそれぞれ所有する当社株式のうち最も少ない数以上の当社株式を所有する当社の株主が存在することを可及的に避け、本スクイーズアウト手続の安定性を高めるため、杉田直良氏、杉田裕介氏、杉田力介氏及び杉田邦子氏は、公開買付者の要請があった場合には、株式併合の効力発生前を効力発生時として、それぞれが所有する当社株式を、杉田商事に対して貸し付ける(以下「本株式貸借」といいます。)可能性があるとのことです。また、本株式貸借が実行された場合には、株式併合の完了後、かつ裁判所の任意売却許可決定に基づき端数相当株式が当社又は公開買付者に売却された後、本株式貸借を解消し、杉田直良氏、杉田裕介氏、杉田力介氏及び杉田邦子氏に対して、本株式貸借の対象である当社株式と同等の当社株式を返還すること(以下「本貸株返却」といいます。)、及びかかる当社株式の返還を実行するため、当該返還に先立って、公開買付者と杉田商事が共同して、当社をして当社株式の分割を行わせる予定とのことです(以下「本株式分割」といいます。)。なお、貸株料等の条件は本書提出日現在未定ですが、仮に本株式貸借が有償の譲受けに該当する場合でも、杉田商事と杉田直良氏、杉田裕介氏、杉田力介氏及び杉田邦子氏は、貸株料等の条件を定める本株式貸借に係る契約を締結する日以前1年以上継続して金融商品取引法(以下「法」といいます。)第27条の2第7項第1号に定める形式的特別関係者に該当することから、本株式貸借は法第27条の2第1項但書に定める「適用除外買付け等」に該当することになるとのことです。
以下は、本取引の概要を図示したものとのことです。
(ⅰ)本公開買付け実施前

(ⅱ)本公開買付けの決済(2026年1月8日を予定)

(ⅲ)本貸株取引の実施(本株式併合の効力発生前を効力発生時とする)(2026年3月下旬頃を予定)

(ⅳ)本株式併合の実施(2026年3月下旬頃を予定)

(ⅴ)本株式分割及び本貸株返却の実施(2026年5月中旬から下旬を予定)

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
当社は、公開買付者より、本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程につき、以下の説明を受けております。
当社は、1948年9月に、錠前(注1)及び建築金物の販売を目的に株式会社杉田金属として設立された後、1984年5月に杉田エース株式会社に商号を変更し、現在は、建築金物、建築関連資材の卸売りを行っております。
(注1) 錠前とは、扉や引き出しなどに取り付けられ、鍵とセットで開閉・施錠を行う機構全体のことをいいます。
また、当社株式については、2000年2月に社団法人日本証券業協会(以下「日本証券業協会」といいます。)に店頭登録銘柄として株式公開し、2004年12月には株式会社ジャスダック証券取引所(以下「ジャスダック証券取引所」といいます。)が創設されたことに伴い、日本証券業協会への株式店頭登録を取り消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場しました。その後、2010年4月に行われたジャスダック証券取引所と株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)の合併に伴い大阪証券取引所(JASDAQ市場)に上場し、2013年7月に行われた東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場し、2025年11月12日現在は2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場に移行しております。
当社のグループは、2025年11月12日現在、当社及び連結子会社2社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)によって構成され、ルート事業、直需事業の2つの事業セグメントを展開しており、それぞれの事業内容は以下のとおりです。
(ア)ルート事業
金物販売店や建材商社、金属工事業者等へ住宅用資材及びビル用資材等を販売しております。また、設計・加工・施工機能による現場サポート営業も行っておりリニューアル専門会社、ゼネコン等へ多様な金属建材のオーダー対応等お客様の課題やニーズにあったソリューションの提供を行っております。
(イ)直需事業
アウトドアファニチャー「PATIO PETITE」や長期保存食「IZAMESHI」、ガーデンアイテム、雑貨、DIY(注2)商品等をホームセンター、通販会社等へ販売しております。また、ハウスメーカーや建材メーカーへはOEM商品を含む建築金物を販売しております。
(注2) DIYとは、「Do It Yourself」の頭文字をとった略語で、専門業者に頼らず、自分の手で何かを作ったり、修繕したりすることをいいます。
当社グループは、建築資材ビジネスの深掘りに挑戦し、「いい暮らし」の価値を創造することで、住生活のオンリーワン企業を目指してまいりました。建築資材の深掘りについては、当社グループの5万アイテムを超える商品ラインアップに加えて商品ニーズを的確に把握・分析し、自社ブランド商品を含めた多くの商品を企画・開発し、市場開拓を行い、優れた物流機能をもってタイムリーに市場へ商品と情報を供給する企業として、より一層のビジネスの拡大を図っております。「いい暮らし」の価値創造については、長期保存食「IZAMESHI」等の防災商品や「upstairs outdoor living」等のライフスタイル商品の拡充と卸展開を推進しております。そして直営EC(注3)の拡大と店舗やショールームの活用による当社知名度向上を図っております。これらの施策によって、当社グループは建材・雑貨・防災に関わる独自ブランドを擁立し、住生活のオンリーワン企業を目指してまいりました。
(注3) ECサービスとは、Electronic Commerce(電子商取引)の略で、インターネットを通じて商品やサービスを取引することをいいます。
他方、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、各卸売業者が、多種類のカテゴリーを有する建築資材の中で取扱う資材について得意分野を有する中、当社は、「建築金物」の卸売りについて強みを有していると認識しており、特にマンション向けの建築金物の卸売り領域については、業界のトップ企業だと認識しているとのことです。そして、その強みの源泉は、全国に展開する販売網と各エリアに設置した流通センターを活かした顧客サービスや、納期の短縮化にあると認識しているとのことです。一方で、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社のビジネスにおける課題・リスクについて、以下のとおり認識しているとのことです。
ア 市場縮小リスク
当社グループの主要な取扱商品である住宅用資材・ビル用資材の需要は、新規住宅着工件数等の民間住宅設備投資を中心とした建設投資の動向により変動する性質を有しますが、新規住宅着工件数は、国土交通省が公表している「建築着工統計調査報告(令和6年度計分)」によれば、令和6年から遡って15年間(平成22年~令和6年)において、年間の着工件数は平均で882千戸、床面積で77,346千㎡でしたが、直近の令和6年ではそれぞれ792千戸、60,878千㎡と落ち込んでいるとのことです。さらに、その前の15年間(平成7年~平成21年)の平均は、それぞれ1,219千戸、110,834千㎡であったことから考えると、過去15年間の平均はその前の15年間の平均に比べて、戸数でマイナス27.67%、床面積ではマイナス33.7%と大幅な落ち込みとなっていると考えているとのことです。
また、同様に「建築着工統計調査報告(令和6年度計分)」によれば、令和6年における民間非居住建築物の着工棟数は、56,937棟で、床面積は35,088千㎡と3年連続で減少しており、平成10年と比較すると26年間で、棟数でマイナス53.3%、床面積でマイナス44.2%と大幅な落ち込みとなっていると考えているとのことです。これを年率換算するとそれぞれマイナス2.9%、マイナス2.2%となるとのことです。
新規住宅の着工件数及び民間非居住建築物の着工棟数の減少傾向は今後も継続する可能性が高く、市場全体の規模が縮小し続けることは、当社グループの既存ビジネスモデルに対して大きな脅威になると考えているとのことです。
イ 調達価格の変動リスク
当社の主要な取扱商品の多くは金属製又は樹脂製であり、これらの原材料は国内及び海外の材料市況の動き、為替の変動、需給関係や同業他社の動向により、価格が変動する性質を有しており、原材料価格高騰により商品の仕入価格が上昇し、販売価格への転嫁ができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼし得ると認識しているとのことです。
原材料の調達価格については、資源価格の上昇と円安の影響を強く受け急騰しており、現況においては、当該調達価格の上昇をある程度価格に反映できてはいますが、2021年以降の粗利益率は低下傾向にあり、今後も予断を許さない状況にあると考えているとのことです。
ウ 競合リスク
当社の主要事業であるルート事業及び直需事業は、許認可等を必要としない事業であるため、参入障壁は高くなく、今後競争環境がさらに厳しいものになると認識しているとのことです。
エ 新商品の開発
当社は、直需事業の「IZAMESHI」やルート事業のマンション向け「ACE商品」の企画・開発のほか、既存商品のプライベートブランド化や商品改良について、取組みを継続しているものの、業績への貢献はいまだに期待通りのものではないと考えているとのことです。様々なコストが上昇している中で、今後は顧客訴求力のある高付加価値のオリジナル商品の開発が必要であると認識しているとのことです。
このような事業環境の下、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社グループがこれらのリスク・課題に対応し、今後も持続的な成長を実現するためには、当社グループにおける販売管理や受発注管理を中心とする中核業務を行う為の基幹システムを刷新すると共に、AI等のデジタル投資をすることが必要になると考えているとのことです。そうした投資等コストの上昇によって一時的な業績の悪化が懸念されれば、短期的な株価変動が生じたり、株主資本コストから期待されるROE水準から大きく低下したりすることで、株価やPBRが低下することが想定されるとのことです。したがって、足元の市場株価に捉われるという制約から一定の自由度を確保し、長期的な経営戦略を柔軟に実行できる体制を整備する必要があると考えているとのことです。具体的には以下の施策を実行することで、当社グループの更なる企業価値向上を実現することが可能であると考えているとのことです。
(ⅰ)DX(デジタルトランスフォーメーション)による事業の効率化
上記のとおり、当社グループの主力事業であるルート事業及び直需事業の市場規模の縮小並びに原材料の調達価格の上昇が予想される中で、現状の収益を維持するためには、業界内のシェアを向上させ、また販管費率を低減する必要があると考えているとのことです。
そして、業界内のシェアの向上及び販管費率の低減の実現のためには、今後はDXを使った事業の効率性と顧客サービスの向上が必要と考えているとのことです。まず、DXによる事業の効率化について、当社が使用している現在の販売管理や受発注管理を中心とした業務を行うための基幹システムは、2004年頃に自社で開発したオフィスコンピュータをベースとした業務システムであり、様々な点で時代に即したものではなくなっているため、基幹システムの更新がまずは必須であると考えているとのことです。施策としては、新たにERP(注4)を導入し、当社のグループ全体の経営資源の一元管理と最適化を行い、経営戦略へ活用できるよう、今後の数年間において多額の初期投資を見込んでいるとのことです。
(注4) ERPとは、Enterprise Resource Planning」の略であり、企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を統合的に管理し、効率的かつ効果的な活用を支援する基幹業務システムをいいます。
このERPの導入により、これまで統一的に管理できていなかった商品データベースや受発注業務などの効率化が図られ、当社独自の仕様となっていた社内業務プロセスを標準化し、不要なプロセスの削減につながるものと想定しているとのことです。その後、データを活用し、販売管理や施工管理のシステム化及び物流機能の強化につなげていくためには、さらなる多額のシステム投資と人材の教育が必要になると考えておりますが、今後の経営戦略として一貫した「加工・施工・物流等の機能と仕組み構築」を図り、品揃えや納期などの改善による売上高の向上と物流と販売管理機能の改善等による販管費率の低減につなげていくべく、まずは基幹システムへの投資が必須と考えているとのことです。さらに、当社グループの業績の成長のためには、その後も長期の継続したシステムへの投資と社員の能力強化が必要になるものと考えているとのことです。
また、AIの活用については、バックオフィス機能の強化・効率化、EC化率の拡大、また卸売事業においてまずは需要予測や販売予測等を想定しておりますが、そのためには既存人材の教育と新規人材の確保が必要であると考えており、今後どのような業務において活用し、合理化等を図ることができるのかを検討し、基幹システムの仕様が決まり次第、具体的な計画を策定する予定とのことです。今後はAIの活用などによって実現される戦略は多岐にわたると考えられますが、需要予測と販売予測が可能となれば、仕入、営業活動が効率化し、売上の向上と利益の改善が期待できるとのことです。今後の計画によっては、外部のコンサルティング会社との契約や新規の採用など、相当な追加的費用が必要であると考えられるとのことです。
(ⅱ)顧客サービスの向上・配送センターの新設
顧客サービスの向上については、当社が保有するサテライト倉庫と当社が運営するオンラインカタログ及びWEBサイトである「スギカウ」の機能強化のため、当社は、今期以降投資を行うことを想定しているとのことです。これによって、サテライト倉庫の新設による自社物流網の強化が進み、当社の直営ECサイトである「スギカウ」の利用率及びEC売上比率の向上が実現されるものと期待しているとのことです。
配送センターの新設については、当社は、広島県に中四国流通センターを新設することを計画しており、土地と建物設備で多額の投資を要することを想定しているとのことです。これによって、①建材卸として、継続的な商材と販路の拡大、②加工・施工・物流等の機能と仕組み構築、③地域ビジネスとのマッチングと水平展開が実行に移され、業界内の当社のシェアの拡大につながるものと考えているとのことです。
(ⅲ)新規事業の本格的展開
当社におけるDIY向け等の直需事業は成長余地のある事業領域であり、当社が販売する突然の災害時に備えた長期保存食である「IZAMESHI」は、災害が多発する中で社会的に貢献できる商材であると考えておりますが、いまだ売上高は年間10億円程度に留まっているとのことです。当該事業を拡大するためには、広告宣伝の拡大が重要であり、また、直需事業のさらなる成長のためには、社内アイデアだけでなく、若い世代のアイデアを活用するオープンイノベーションによって、外部からの商品アイデアの取込みによる防災用品の強化、雑貨・防災に関わる独自ブランドの開発と展開が必要になると考えているとのことです。
当社は、防災をテーマとした直需事業の一環として、2021年9月1日の防災の日に、東京都中央区において、防災関連グッズに加え、国内外から選定したインテリアやガーデン、アウトドアに関する商品を取り揃え、ライフスタイル全体を提案する場として新規事業のアンテナショップとして「GINZA innit」(ギンザ・イニット)を開設したとのことです。公開買付者は、引き続きこうした新たな取組みの発信を行うことで、将来的には直需事業を本格的な収益事業として展開することが可能となると考えているとのことです。
(ⅳ)サステナビリティ経営の推進
世界的にサステナビリティ関連の情報開示の標準化への取組みが進む中、2025年3月にサステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、我が国最初のサステナビリティ開示基準となる、サステナビリティ開示ユニバーサル基準、サステナビリティ開示テーマ別基準として一般開示基準と気候関連開示基準の3つを公表したとのことです。この開示基準の上場企業への適用は、早ければ2027年3月期から時価総額の大きな大企業から始まることが検討されていますが、当社は、これまでのサステナビリティへの対応は遅れていると考えているとのことです。
サステナビリティへの対応については、まずは基本方針を定めて、社内に担当者を設置して、重要な非財務情報の特定とデータ収集、それに加えて自社の事業に関連する重要課題を特定し、リスクと機会を考察し、施策とKPI(重要成果指標)を策定することが考えられるとのことです。しかしながら、ISSB(注5)が策定した基準やSSBJ(注6)の定める開示基準を満たすためには、開示に向けた社内組織の設置、気候関連データ及び人権等の社会関連データの計測が必要と考えておりますが、既存の上場企業の対応状況と比較すると、当社においてはこれらの対応が十分に実施されていないと考えているとのことです。そのため、今後、上場会社として求められるサステナビリティ対応を数年以内に実践していくことは、当社の現有の人的リソースや時限的な制約を踏まえると、極めて難しいものと想定しているとのことです。
(注5) ISSBとは、「International Sustainability Standards Board」の略であり、グローバルなサステナビリティ開示基準の策定主体のことをいいます。
(注6) SSBJとは、「Sustainability Standards Board of Japan」の略であり、日本においてISSB基準をベースにサステナビリティ情報開示基準を策定するため、公益財団法人財務会計基準機構(FASF)に2022年7月に設置された委員会のことをいいます。
当社株式を非公開化した場合であっても、当社は上場企業との取引がある以上、上場会社に準じる対応と情報開示をすることが取引先から求められる可能性があるとのことです。もっとも、上場企業において一般的に求められる進行スケジュールと比べ、比較的余裕をもって対応ができる見込みであるとのことです。そのため、鹿島建設株式会社、大成建設株式会社等の建設会社及び同業であるユアサ商事株式会社等の他の先進的な企業の動向を見ながら、より段階的に余裕をもって、当社グループとしてサステナビリティに配慮した経営を推進していくことができるものと想定しているとのことです。
今後の具体的な対応としては、サステナビリティ関連の部署又は担当者の配置が必要になり、経験者の採用や、社内教育が必要となり、また、数年間は外部のコンサルティング会社の起用が必要と思われ、これらの施策の実施には一定の継続的な投資が必要になることが想定されるとのことです。
上記(ⅰ)乃至(ⅳ)の取り組みは、いずれも多額の初期投資や継続的な投資を要し、短期的には当社の収益及びキャッシュ・フローの悪化が懸念されるとのことです。特に、(ⅲ)の新規事業の本格的展開による成長は未知数であり、上場を維持しながら新たな取組みや投資を行った場合、短期的な損失の拡大や投資額の減損等、財務成果にマイナスの影響がでる可能性は否定できないとのことです。当社が当社株式の上場を維持したままで上記各施策を実施した場合、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株式の株価や財務状況にも悪影響を及ぼす懸念や、それに伴い当社の一般株主の皆様に不利益を与える可能性が払拭できないとのことです。
また、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社株式の上場を維持するためには相応のコスト(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する人的負担、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する金銭的負担、内部統制関連コスト等)が必要となることを踏まえると、今後も継続して当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。
加えて、当社は、2000年の上場以来、エクイティ・ファイナンスによる資金調達を行ったことはなく、また、当社と取引のある金融機関は複数あり、事業に必要な資金は借入によって調達可能であるため、資金調達の観点からも上場を維持することによる意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。
さらには、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社が上場以来、社会的な信用の向上や知名度の向上による優秀な人材の確保等、上場会社としての一定のメリットを享受してきたと認識している一方で、当社グループの社会的な信用や知名度の向上は、事業活動を通じて既に確保できていると考えており、非公開化によって失われる性質のものではないと考えているとのことです。
以上のような検討を踏まえ、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、2025年7月下旬、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化による当社株式の株価の下落により当社の一般株主の皆様が当社株式の売却機会を失うリスクを回避しつつ、短期的な業績変動に左右されることなく、上記(ⅰ)乃至(ⅳ)の取り組みを実施し、事業の積極的展開に取り組むために、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築することができるという点で、本取引を通じてマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化することが、当社株式の上場を維持するメリットを上回り当社の企業価値向上のために最も有効な手段であると考えたとのことです。これは、1934年の前身の杉田商店の創業以来受け継がれてきた創業の精神や経営理念、確立してきた企業文化等を理解し、かつ、当社グループの各ステークホルダーとの関係を維持しつつも、速やかに本施策を推進していくためには、第三者による又は杉田裕介氏及び杉田力介氏並びに第三者との協働による非公開化ではなく、マネジメント・バイアウト(MBO)として本取引を実行し、変革の方針を杉田裕介氏及び杉田力介氏自ら当社グループ内において明確に示し、当社グループ経営陣及び社員が一丸となり推進することが当社グループにおける中長期な事業構造の改革の推進に最も資するとの考えに至ったためとのことです。
以上の考えの下、2025年7月下旬、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、本取引の本格的な検討を進めるにあたり、ファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社ファルコン・コンサルティング(以下「ファルコン・コンサルティング」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任したとのことです。
また、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社株式の非公開化に関する具体的な検討を進め、2025年8月22日、当社に対し、本取引を申し入れた背景や本取引実施後の成長戦略、本取引に係るスキーム等を記載した法的拘束力を有しない初期的提案書(以下「本提案書」といいます。)を提出したとのことです。その後、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、2025年8月26日、当社から、本取引の提案を検討するための本特別委員会(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に定義します。以下同じです。委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を組成し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受けたとのことです。
さらに、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、2025年9月上旬から2025年10月初旬まで、当社グループに対して財務・税務及び法務等に関するデュー・ディリジェンス(以下「本デュー・ディリジェンス」といいます。)を実施し、本取引の諸条件等についてさらに具体的な検討を進めたとのことです。そして、本デュー・ディリジェンスの結果、当社の有価証券報告書、決算短信等の財務情報等及び当社の過去6ヶ月間の株価(2025年3月末から9月末までの期間の変動率+0.65%、平均株価1,207円、最高値1,291円、最低値1,125円)に加え、上場以来の長期の株価(上場時公募株価600円、上場来終値最高値1,523円)、及び有価証券報告書に記載されている2025年3月末時点の長期のTSR(株主総利回り)(過去5年間154.8%、過去10年間216.1%)等、市場株価の動向等を総合的に勘案し、2025年10月7日、当社が2026年3月期の期末配当を行わないことを前提として本公開買付価格を1,450円(2025年10月6日の当社株式終値1,245円に対して16.47%のプレミアム、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,255円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して15.52%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,239円に対して17.00%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,208円に対して20.06%のプレミアムを付した水準)とする旨の初回の価格提案書を当社及び本特別委員会に提出したとのことです。これに対して、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、同月9日に、当社及び本特別委員会より、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された水準には達していないとして、本公開買付価格の再提案を求める旨要請されたとのことです。その後、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社から本公開買付価格の再提案を要請されたことを踏まえ、同月10日、本公開買付価格を1,530円(2025年10月9日の当社株式終値1,225円に対して24.90%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,249円に対して22.54%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,241円に対して23.32%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,210円に対して26.46%のプレミアムを付した水準)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対して、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、同月14日に、当社及び本特別委員会より、トラスティーズ・アドバイザリー株式会社(以下「トラスティーズ」といいます。)による当社株式価値の試算結果、近年のマネジメント・バイアウト(MBO)の他社事例におけるプレミアム割合の水準、当社株式に係る上場来の市場株価の動向(上場来終値最高値1,523円、上場来ザラ場最高値1,620円)等を踏まえると、当社の一般株主の利益に配慮する観点から検討を行った結果、当該提案価格は当社の一般株主に対しての説明責任を果たせる水準に達していないこと等を理由として、当該提案価格より高い金額での再提示を求める旨要請されたとのことです。
その後、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社から本公開買付価格の再提案を要請されたことを踏まえ、同月17日、本公開買付価格を1,630円(2025年10月16日の当社株式終値1,225円に対して33.06%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、本②に記載の株価に対するプレミアムの数値(%)において同じです。)、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,239円に対して31.56%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,244円に対して31.03%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,212円に対して34.49%のプレミアム)とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対して、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、同月21日に、当社及び本特別委員会より、当社としては当社株式の本源的価値を重視しているところ、トラスティーズによる当社株式価値のディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による試算結果に照らして未だ十分な価格水準とは評価できないこと等を理由として、本公開買付価格を1株当たり1,910円とする旨の提案に加え、本取引の公正性を担保するという観点から、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定することについても検討を求める旨要請されたとのことです。その後、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、当社から本公開買付価格の再提案を要請されたことを踏まえ、同月27日、本公開買付価格を1,680円(2025年10月24日の当社株式終値1,225円に対して37.14%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,229円に対して36.70%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,245円に対して34.94%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,215円に対して38.27%のプレミアム)とする旨の再提案を行い、また、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定することについても検討する旨の回答をしたとのことです。これに対して、杉田裕介氏及び杉田力介氏は、同月28日に、当社及び本特別委員会より、トラスティーズによる当社株式価値のDCF法による試算結果や類似事例におけるプレミアム水準に照らして未だ十分な価格水準とは評価できないこと等を理由として、本公開買付価格を1株当たり1,820円とする旨の提案に加え、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定することについて決定することを求める旨要請されたとのことです。その後、公開買付者は、当社から本公開買付価格の再提案を要請されたことを踏まえ、11月5日、本公開買付価格を1,700円(2025年11月4日の当社株式終値1,220円に対して39.34%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,225円に対して38.78%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,246円に対して36.44%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,217円に対して39.69%のプレミアム)とする旨の再提案を行い、また、1,700円の公開買付価格を受諾することを条件に、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を設定する旨の回答をしたとのことです。これに対して、公開買付者は、同月7日に、当社及び本特別委員会より、当社の一般株主に対しての説明責任を果たす観点から、類似事例におけるプレミアム水準を無視することはできないこと等を理由として、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件の設定を前提として、公開買付価格の引き上げを強く要請されたとのことです。その後、公開買付者は、当社から本公開買付価格の再提案を要請されたことを踏まえ、同月10日、本公開買付価格を1,710円(2025年11月7日の当社株式終値1,215円に対して40.74%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,223円に対して39.82%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,246円に対して37.24%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,218円に対して40.39%のプレミアム)とする旨の再提案を行い、また、1,710円の公開買付価格を受諾することを条件に、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を設定する旨の回答をしたとのことです。これに対して、公開買付者は、同月11日に、当社及び本特別委員会から、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を設定することを前提として、本公開買付価格にて内諾する(正式な意思決定については、当社取締役会における決議が必要となるため内諾という位置づけになる。)旨の回答を受けたとのことです。
以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2025年11月11日、本公開買付価格を1,710円とし、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
③ 本公開買付け後の経営方針
上記のとおり、本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、本取引の完了後も、杉田直良氏は、当社の代表取締役会長として、杉田裕介氏は、当社の代表取締役社長として、杉田力介氏は当社の取締役副社長として、当社の経営にあたる予定であり、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営を推進する予定とのことです。なお、本書提出日現在において、公開買付者と当社のその他の取締役(監査等委員を含む。)との間には、本公開買付け成立後の役員就任や処遇について合意はないとのことです。また、上記の杉田直良氏は、当社の代表取締役会長として、杉田裕介氏は、当社の代表取締役社長として、杉田力介氏は当社の取締役副社長として、当社の経営にあたる予定以外に、経営体制、役員体制及びその構成等について、決定している事実はなく、予定又は想定している事実もないとのことです。なお、本公開買付け成立後の具体的な当社の役員構成を含む経営体制については本公開買付け成立後、当社及び本不応募合意株主と協議しながら、検討・決定していく予定とのことです。
④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)検討体制の構築の経緯
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年8月22日付で、杉田裕介氏及び杉田力介氏より本提案書を受領したことから、本取引に係る具体的な検討を開始いたしました。
当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)に該当する本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が存在すること等を踏まえ、本取引の公正性を担保し、本公開買付けに係る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、独立性及び専門性・実績等を勘案の上、2025年8月26日開催の当社取締役会により、本取引に関して公開買付者及び本不応募合意株主(以下「公開買付関連当事者」といいます。)並びに当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてトラスティーズを、公開買付関連当事者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所をそれぞれ選任するとともに、公開買付関連当事者及び当社から独立した委員(中野治氏(当社社外取締役(監査等委員))、貫井康夫氏(当社社外取締役(監査等委員))、後藤高志氏(弁護士、潮見坂法律事務所)及び鏡高志氏(公認会計士・税理士、高野総合コンサルティング株式会社代表取締役)の4名)によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置することを決議し、本取引に係る検討体制を構築の上、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡をいたしました。
また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、全ての公開買付関連当事者から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うことができる体制を当社の社内に構築いたしました。
(ⅱ)検討・交渉の経緯
上記の体制のもと、当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、杉田裕介氏及び杉田力介氏並びに公開買付者(以下「公開買付者ら」といいます。)から受けた本公開買付価格の提案内容を適時に本特別委員会に共有し、当社の一般株主の利益に配慮する観点から、当社としての交渉方針に係る本特別委員会からの意見、指示、要請等に基づいた上で、トラスティーズ及び中村・角田・松本法律事務所の助言を受けながら、以下のとおり、公開買付者らとの間で、2025年10月上旬から11月上旬まで6回に亘る協議・交渉を行い、慎重に検討を行ってきました。
具体的には、当社は、2025年9月30日に、本特別委員会を通じて杉田裕介氏及び杉田力介氏に対するインタビューを実施し、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。その上で、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かについては引き続き検討を進めることとしつつ、2025年10月上旬から、本公開買付価格を含む本取引の条件について公開買付者らとの協議・交渉を開始いたしました。
当社及び本特別委員会は、2025年10月7日付で、杉田裕介氏及び杉田力介氏から、本公開買付価格を、2025年10月6日時点の当社株式終値1,245円に対して16.47%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,255円に対して15.52%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,239円に対して17.00%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,208円に対して20.06%のプレミアムを付した水準となっているとして、本公開買付価格を1,450円とする旨の初回の提案を受けました。
これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年10月9日付で、当該提案価格は、当社の一般株主の利益に配慮された水準には達していないとして、本公開買付価格の再提案を求める旨の要請をいたしました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年10月10日付で、杉田裕介氏及び杉田力介氏から、本公開買付価格を、2025年10月9日の当社株式終値1,225円に対して24.90%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,249円に対して22.54%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,241円に対して23.32%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,210円に対して26.46%のプレミアムを付した水準となっているとして、本公開買付価格を1,530円とする旨の再提案を受けました。
これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年10月14日付で、トラスティーズによる当社株式価値の試算結果、近年のマネジメント・バイアウト(MBO)の他社事例におけるプレミアム割合の水準、当社株式に係る上場来の市場株価の動向(上場来終値最高値1,523円、上場来ザラ場最高値1,620円)等を踏まえると、当社の一般株主の利益に配慮する観点から検討を行った結果、当該提案価格は当社の一般株主に対しての説明責任を果たせる水準に達していないこと等を理由として、当該提案価格より高い金額での再提示を求める旨の要請をいたしました。その後、当社及び本特別委員会は、2025年10月17日付で、杉田裕介氏及び杉田力介氏から、本公開買付価格を、2025年10月16日の当社株式終値1,225円に対して33.06%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同じです。)、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,239円に対して31.56%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,244円に対して31.03%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,212円に対して34.49%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,630円とする旨の再提案を受けました。
これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年10月21日付で、当社としては当社株式の本源的価値を重視しているところ、トラスティーズによる当社株式価値のDCF法による試算結果に照らして未だ十分な価格水準とは評価できないこと等を理由として、本公開買付価格を1株当たり1,910円とする旨の提案に加え、本取引の公正性を担保するという観点から、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定することについても検討を求める旨の要請をいたしました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年10月27日付で、杉田裕介氏及び杉田力介氏から、本公開買付価格を、2025年10月24日の当社株式終値1,225円に対して37.14%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,229円に対して36.70%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,245円に対して34.94%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,215円に対して38.27%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,680円とする旨の再提案を受け、また、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定することについても検討する旨の回答を受けました。
これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年10月28日付で、トラスティーズによる当社株式価値のDCF法による試算結果や類似事例におけるプレミアム水準(類似事例におけるプレミアム水準については、下記「(ⅲ)判断の内容」に記載のプレミアム水準を参照しております。以下、当社及び本特別委員会が参照した類似事例におけるプレミアム水準について同じです。)に照らして未だ十分な価格水準とは評価できないこと等を理由として、本公開買付価格を1株当たり1,820円とする旨の提案に加え、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定することについて決定することを求める旨の要請をいたしました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年11月5日付で、公開買付者から、本公開買付価格を、2025年11月4日の当社株式終値1,220円に対して39.34%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,225円に対して38.78%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,246円に対して36.44%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,217円に対して39.69%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,700円とするとともに、その公開買付価格を受諾することを条件に、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を設定する旨の再提案を受けました。
これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年11月7日付で、当社の一般株主の利益を保護し、当社の一般株主に対しての説明責任を果たす観点から、類似事例におけるプレミアム水準を無視することはできないこと等を理由として、本公開買付けにおいていわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)条件の設定を前提として、公開買付価格の引き上げを強く要請いたしました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年11月10日付で、公開買付者から、本公開買付価格を、2025年11月7日の当社株式終値1,215円に対して40.74%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,223円に対して39.82%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,246円に対して37.24%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,218円に対して40.39%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,710円とするとともに、その公開買付価格を受諾することを条件に、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を設定する旨の再提案を受けました。
これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年11月11日付で、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を設定することを前提として、本公開買付価格にて内諾する(正式な意思決定については、当社取締役会における決議が必要となるため内諾という位置づけになる。)旨の回答をいたしました。
(ⅲ)判断の内容
以上の経緯の下、当社は、リーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年11月12日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。また、当社は、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるトラスティーズから、2025年11月11日付で当社株式に係る株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の提供を受けております。(本株式価値算定書の概要については、下記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。)。
その上で、当社は、リーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言及びファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるトラスティーズから取得した本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は公正なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社は、以下の点等を踏まえると、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の公開買付者が企図する施策の内容は合理的であり、本取引を通じて当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものであるとの判断に至りました。
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、「建築着工統計調査報告」より建築資材の対象となる建築物の床面積は毎年平均2%減少しており、「商業動態統計調査」より建築卸売販売業の販売額も2020年以降は微減で推移しております。当社としては、日本国内の人口が減少傾向にあることや、近い将来に世帯数も減少に転じる可能性が高いことを勘案すると、今後も建築需要は縮小する厳しい事業環境が継続するものと認識しております。また、当社の上場維持に伴う業務負担およびコストは年々増加しており、厳しい事業環境下において当社の収益性を制約する一因となっていると認識しております。
当社は、かかる認識のもと、当社グループの経営資源等を結集し、建築金物以外の取扱い商材拡大や直需事業におけるオリジナル商品の開発に取り組んでまいりましたが、建築需要の減少等の事業環境の変化に対応し、今後も当社が持続的に成長していくためには、抜本的な業務効率化や生産性の向上、高付加価値のオリジナル商品の開発と当該領域への思い切った投資を行う等の事業構造の変革が不可欠であるとの考えに至りました。
このような状況の下、当社は、2025年8月22日に杉田裕介氏及び杉田力介氏から、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の通り、(ⅰ)DX(デジタルトランスフォーメーション)による事業の効率化、(ⅱ)顧客サービスの向上・配送センターの新設、(ⅲ)新規事業の本格的展開、(ⅳ)サステナビリティ経営の推進といった施策の提案を受けました。当社としても、中長期的に収益性を向上させ、当社の中長期的な企業価値向上のためには、これらの施策は積極的に推進していくべきものであると考えております。
しかしながら、かかる取り組みは人材やシステム等への積極的な先行投資を伴うものであり、中長期的には当社の企業価値向上に資することが期待できるものの、短期的には、収益性の低下、キャッシュ・フローの悪化等による財務状況の悪化を招くリスクがあり、その結果、当社株式の市場株価の下落を招き、当社の株主の皆様が短期的には悪影響を被る可能性があり、他方で株価の下落等を避けつつこれらの施策を実行しようとすると大胆な投資が行えず、十分な成果を上げられない可能性が否定できないと考えております。一方で、本取引の実施により当社株式の非公開化が実現されれば、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、創業家の所有と経営を一致させ、機動的かつ柔軟な意思決定が可能となることに加えて、上場コストの削減とその削減されたコストを人材へ投資することで人材の育成と有効活用といった効果も併せて見込まれ、当社の企業価値の向上に資するものとなると考えております。
なお、上場廃止に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、ブランド力や取引先に対する信用力の向上といった上場会社として享受してきたメリットを享受できなくなることが考えられます。しかしながら、当社の事業活動を行うために必要な資金が確保できている現在の財務状況や昨今の間接金融における低金利環境等に鑑みると、今後エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれません。加えて、これまでの事業活動を通じ、ブランド力や取引先に対する信用力は既に確立していると考えられることから、当社株式の上場廃止によるデメリットは想定しておりません。
以上を踏まえて、当社取締役会は、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回り、本取引により当社株式を非公開化することが、当社の企業価値向上を実現する最良の選択であると判断いたしました。
さらに、当社は、以下の点等を踏まえると、本公開買付価格(1,710円)並びに本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって公正であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(ア)本公開買付価格が、下記「(3)算定に関する事項」に記載されているトラスティーズによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジを上回り、かつ、DCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回ること。
(イ)本公開買付価格が、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年11月11日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,218円に対して40.39%、2025年11月11日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,222円に対して39.93%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,245円に対して37.35%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,219円に対して40.28%のプレミアムがそれぞれ加えられた価格であり、かかるプレミアム水準は、他社の類似取引事例におけるプレミアム割合の中央値(注1)と比較すると、高いとは言えないものの、①他社の類似取引事例91件を10%毎のプレミアム帯で区切った場合に30%以上40%未満のプレミアム帯に分布している事例の件数は、公表前営業日終値を基準とした場合は19件(91件に対する割合は20.88%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、割合(%)において同じです。))、また同日までの過去1ヶ月間、過去3ヶ月間、過去6ヶ月間の終値単純平均値の場合は、それぞれ18件(同19.78%)、17件(同18.68%)、13件(同14.29%)であり、類似事例のうち相応の割合の事例が属するプレミアム帯であること(公表前営業日、過去1ヶ月間及び過去3ヶ月間に対するプレミアムでは40%以上50%未満のプレミアム帯に次ぐ度数、過去6ヶ月間に対するプレミアムでは40%以上50%未満のプレミアム帯及び50%以上60%未満のプレミアム帯に次ぐ度数)、②他社の類似取引事例におけるプレミアムの分布の第1四分位(注2)から第3四分位のレンジの範囲内であることを総合的に勘案すると、相応のプレミアムが付されているものと評価できること。
(注1) 当社は、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2025年10月27日までに公表され、かつ成立した非公開化を前提とする公開買付けの事例のうち、マネジメント・バイアウト(MBO)の買収事例91件(公開買付不成立の事例及び多段階TOBとなった事例は除外)におけるプレミアム割合を参照した結果、これらの事例における公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値は、順に42.41%、45.29%、46.09%、49.15%です。
(注2) 四分位とは、データを小さい順に並べ、4等分したときの区切りとなる3つの値であり、第1四分位は最小値から25%の値、第3四分位は最小値から75%の値をいいます。他社の類似取引事例における公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの分布の第1四分位は、順に31.54%、34.61%、35.18%、37.95%です。
(ウ)本公開買付価格は、当社の2025年9月30日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり連結簿価純資産額(2,130円(円未満を四捨五入。))(本公開買付価格は当該金額との比較で19.72%(小数点以下第三位を四捨五入。)のディスカウント)を下回っているものの、本取引の取引条件の妥当性を検討することを唯一の目的として、現時点で企業を解散・清算した場合に実現することが期待される価値(以下「清算価値」といいます。)について、複数の仮定を用いて、当社で試算を行ったところ、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、保有不動産の含み益を考慮したとしても、資産の早期売却に伴うディスカウント、割増退職金その他の清算費用を加味した清算価値は本公開買付価格を大きく下回る試算結果が得られ、1株当たり連結簿価純資産が当社株式の公正価値の最低価格となるという考え方は採用し難いと考えており、また、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値算定において重視することは合理的でないと考えられること(なお、当社としては清算を予定しているわけではないため、清算を前提とする見積書は取得しておりません)。
(エ)本公開買付価格は、当社株式の終値の上場来高値である1,523円(2024年3月25日)及びザラ場の上場来高値である1,620円(2024年3月1日)を上回る価格であること。
(オ)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られていること等、当社の一般株主の利益への配慮がなされていると認められること。
(カ)本公開買付価格が、上記の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で、当社と公開買付者らとの間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること。
(キ)本特別委員会が、当社から適時に交渉状況の報告を受け、当社の交渉方針に関して意見、指示、要請等を行うこと等により、取引条件に係る交渉過程に実質的に関与した上で、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本答申書において、本公開買付価格を含む本取引の条件は、当社の一般株主の利益に照らして公正なものであると考えられる旨の意見が示されていること。
以上より、当社は、2025年11月12日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。上記取締役会における決議の方法につきましては、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む)の承認」をご参照ください。
(3)算定に関する事項
① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者らから提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるトラスティーズに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年11月11日付で本株式価値算定書を取得いたしました。
トラスティーズは、公開買付関連当事者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るトラスティーズの報酬には、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2025年9月3日開催の第1回の会合において、トラスティーズの独立性及び専門性に特段の問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任することを承認しております。
② 算定の概要
トラスティーズは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が金融商品取引所に上場していることから市場株価法を、また、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当社株式の株式価値の算定を行いました。一方で、当社が継続企業としてその事業を継続していくことを企図していることから純資産法は採用しておりません。なお、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付けの公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施しており、当社の一般株主の利益に配慮がなされていると考えていることから、トラスティーズから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
トラスティーズによれば、上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法:1,218円から1,245円
DCF法 :1,465円から1,920円
市場株価法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年11月11日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,218円、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,222円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,245円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,219円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,218円から1,245円までと算定しております。
DCF法では、当社が現時点で合理的に予測可能な期間まで作成した2026年3月期から2030年3月期までの5期分の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、本事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第2四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,465円から1,920円までと算定しております。割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)を採用し、6.42%から6.92%としております。また、小規模な会社は大規模な会社と比べて事業の安定性や信用力の点でリスクが高く資本コストが上昇するため、実務上、スモールビジネス・リスク・プレミアムを考慮するのが一般的であるという観点から、小規模リスクプレミアムを0.49%として割引率の算出の際に考慮しております。継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用し、外部環境等を総合的に勘案した上で永久成長率を0.00%から1.00%とし、継続価値を8,838百万円から11,132百万円と算出しております。また、非事業用資産として、役員保険積立金、ゴルフ会員権等及び余剰現預金を当社の事業価値に加算しております。
トラスティーズがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。本事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2027年3月期は、流通センターの新設及び基幹システムの更新に係る一過性の設備投資額が増加することに伴い、フリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を、2028年3月期は、前年の流通センターの新設に係る設備投資が減少すること、2030年3月期は、基幹システムの更新に係る設備投資の投資期間が終了することに伴い、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加をそれぞれ見込んでおります。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、当該財務予測には加味されておらず、当該財務予測を基礎としたトラスティーズによる算定にも盛り込まれておりません。
また、本事業計画は、本取引において使用することを目的として、当社における独立した社内検討体制の下、策定されたものであり、足元の事業環境を踏まえて努力要素を十分に織り込んだ上で実現可能性を見込むことができる計画数値が設定されているところ、本特別委員会が、作成の前提、内容等について当社に質疑応答を行った上で、その合理性について確認及び承認を行っております。
(単位:百万円)
| 2026年3月期 (6ヵ月) |
2027年3月期 | 2028年3月期 | 2029年3月期 | 2030年3月期 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 43,004 | 79,515 | 81,060 | 82,636 | 84,244 |
| 営業利益 | 1,089 | 1,140 | 1,170 | 831 | 874 |
| EBITDA | 1,363 | 1,611 | 1,654 | 1,567 | 1,612 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 494 | △40 | 413 | 381 | 857 |
(注) トラスティーズは、当社の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報が、全て正確かつ完全なものであること、また本公開買付価格の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でトラスティーズに対して未開示の事実はないこと等を前提としてこれに依拠しており、独自にそれらの正確性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点での得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成され、当社の経営陣がその内容を精査した上でトラスティーズによる価値算定において使用することを了承したことを前提としております。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。トラスティーズの算定は、2025年11月11日までの上記情報を反映したものです。
(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式(ただし、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により本スクイーズアウト手続を行うことを企図しているとのことです。
具体的には、公開買付者は、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2026年2月下旬頃を目途に開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定ですが、具体的な手続及びその実施時期については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。当社は、公開買付者からかかる要請を受けた場合には、かかる要請に応じる予定です。
公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定であり、また、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」に記載のとおり、本不応募合意株主は、本臨時株主総会において、上記各議案に賛成することに合意しているとのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者及び本不応募合意株主が当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(当社及び本不応募合意株主を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。
なお、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、株式併合の効力発生日において、公開買付者及び各不応募合意株主以外に、公開買付者及び各不応募合意株主がそれぞれ所有する当社株式のうち最も少ない数以上の当社株式を所有する当社の株主が存在することを可及的に避け、本スクイーズアウト手続の安定性を高めるため、本株式貸借を実施する可能性があるとのことです。また、本株式貸借が実行された場合には、本貸株返却を実施できるよう、本株式分割を行わせる予定とのことです。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められているとのことです。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(当社及び本不応募合意株主を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになるとのことです。
上記手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があるとのことです。但し、その場合であっても、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(当社及び本不応募合意株主を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定とのことです。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。
本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
(5)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の各手続を実行することとなった場合には、上場廃止基準に該当し、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することができなくなります。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBО)に該当する本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置等については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者らから提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるトラスティーズに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年11月11日付で本株式価値算定書を取得いたしました。
当社及びトラスティーズとの関係並びに算定の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付関連当事者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任し、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
中村・角田・松本法律事務所は、公開買付関連当事者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、中村・角田・松本法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2025年9月3日開催の第1回の会合において、中村・角田・松本法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして選任することを承認しております。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在することを踏まえ、2025年8月26日開催の当社取締役会決議に基づき、本公開買付けを含む本取引における当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、公開買付関連当事者及び当社並びに本公開買付けの成否から独立した、中野治氏(当社社外取締役(監査等委員))、貫井康夫氏(当社社外取締役(監査等委員))、後藤高志氏(弁護士、潮見坂綜合法律事務所)及び鏡高志氏(公認会計士・税理士、高野総合コンサルティング株式会社代表取締役)の4名によって構成される本特別委員会を設置いたしました。当社は、当初から上記4名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の互選により、後藤高志氏を本特別委員会の委員長として選定しております。なお、本特別委員会の委員のうち、後藤高志氏及び鏡高志氏は当社の役員ではありませんが、当社は、後藤高志氏及び鏡高志氏が本取引と同種の案件の特別委員会の委員としての豊富な経験を有し、経歴を通じて培った専門家としての豊富な経験及び知見を有する社外有識者として、本特別委員会の委員に相応しい人物であると考えております。また、本特別委員会の各委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず支払われる報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的は合理的と認められるか(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(ⅱ)本取引に係る取引条件の公正性・妥当性が確保されているか(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類その他の条件が公正なものとなっているかを含む。)、(ⅲ)取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているか、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)までを踏まえ、本取引は当社の一般株主にとって公正であると考えられるか、(ⅴ)当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明すること並びに当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨することの是非(以下、(ⅰ)から(ⅴ)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申書を当社取締役会に提出することを委嘱しました。
また、本特別委員会への諮問にあたり、当社取締役会は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の意見を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととし、本特別委員会が本取引を実施することが妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同する旨の意思決定を行わないこととする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)当社のファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー等の専門家を指名又は承認する権限、(b)本諮問事項の検討等にあたって、本特別委員会が必要と認める場合には、自らのアドバイザー等を選任する権限(本特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的な費用は当社が負担する。)、(c)当社の役職員その他本特別委員会が必要と認める者から本取引の検討及び判断に必要な情報を受領する権限、並びに、(d)本取引の取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な場面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限をそれぞれ付与しております。
本特別委員会は、2025年9月3日から2025年11月11日まで合計12回開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、本取引の提案を受けた経緯、市場環境、当社の業務内容・業績推移、当社の経営戦略及び対処すべき課題、本取引により当社のステークホルダーに対して想定されるメリット・デメリット、本事業計画の内容及び前提等並びに策定過程、本取引の諸条件等に関する説明を受け、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、杉田裕介氏及び杉田力介氏から、本取引を提案するに至った経緯及び理由、本取引の目的、市場環境、当社の業務内容・業績推移、当社の主要な経営戦略及び対処すべき課題、本取引後に想定している施策の内容、本取引により当社のステークホルダーに対して想定されるメリット・デメリット、本取引後の経営方針、本取引のストラクチャー、本取引の諸条件等について説明を受け、質疑応答を行いました。さらに、当社の第三者算定機関であるトラスティーズから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、その算定過程に関して質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。加えて、公開買付者らとの交渉過程への関与方針として、直接の交渉は当社のファイナンシャル・アドバイザーであるトラスティーズが当社の窓口として行うこととしつつ、本特別委員会は、適時に交渉方針に関して意見を述べ、交渉担当者に対して指示・要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与することができることを確認しております。
そして、本特別委員会は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社が、2025年10月7日に杉田裕介氏及び杉田力介氏から本公開買付価格を1株当たり1,450円とする提案を受領して以降、第三者算定機関であるトラスティーズによる当社株式の価値算定の結果や公開買付者らとの交渉方針等を含めた助言、また、中村・角田・松本法律事務所からの特別委員会の意義・役割等を含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容についての助言を踏まえ、公開買付関連当事者の影響を排除した公正な手続によって本公開買付価格の検討を重ね、トラスティーズを通じて、取引条件に関する公開買付者らとの交渉過程に実質的に関与してまいりました。
本特別委員会は、以上の経緯のもと、本諮問事項について慎重に協議・検討した結果、2025年11月12日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
(ⅰ)答申の内容
ⅰ.本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的である。
ⅱ.本取引に係る取引条件の公正性・妥当性は確保されている。
ⅲ.取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられている。
ⅳ.本取引は当社の一般株主にとって公正である。
ⅴ.当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明すること並びに当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨することは相当である。
(ⅱ)答申の理由
ⅰ.本取引の目的の合理性に関する事項(諮問事項 ⅰ)
(1)事業内容及び直近の業績
当社は、1948年9月に錠前及び建築金物の販売を目的として設立された後、現在は、建築金物、建築関連資材の卸売りを営んでいる。当社のグループは、本答申書作成日現在、当社及び連結子会社2社(以下、総称して「当社グループ」という。)によって構成され、当社の事業は①ルート事業及び②直需事業で構成されている。
直近期における収益貢献を見ると、当社グループ売上の90%超をルート事業が占めており、セグメント利益を見るとルート事業が約23.7億円であるのに対し、直需事業は75百万円の損失となっているため、現時点における当社グループの収益はルート事業に依存している。
当社グループの直近数期における業績は、フヨー株式会社の買収により売上高は増収傾向にあるものの、経常利益は10億円内外(経常利益率2%未満)で大きな変化がなく、中長期的な客観的な目標指標として掲げる「経常利益率3%」を下回って推移している。
(2)事業環境及び経営課題
当社グループは、建築資材業界において、各卸売業者が、多種類のカテゴリーを有する建築資材の中で取扱う資材について得意分野を有する中、「建築金物」の卸売りについて強みを有し、特にマンション向けの建築金物の卸売り領域において業界のトップ企業である。この強みの源泉は、全国に展開する販売網と各エリアに設置した流通センターを活かした顧客サービスや、納期の短縮化にある。
しかしながら、当社を取り巻く外部環境と内部環境を見ると、以下のようなリスク及び経営課題がある。
ア 市場縮小リスク
当社グループの主要な取扱商品である住宅用資材・ビル用資材の需要は、新規住宅着工件数等の民間住宅設備投資を中心とした建設投資の動向により変動する性質を有しているが、新規住宅着工件数は、国土交通省が公表している「建築着工統計調査報告(令和6年度計分)」によれば、令和6年から遡って15年間(平成22年~令和6年)において、年間の着工件数は平均で882千戸、床面積で77,346千㎡であったものの、直近の令和6年ではそれぞれ792千戸、60,878千㎡と落ち込んでいる。さらに、その前の15年間(平成7年~平成21年)の平均は、それぞれ1,219千戸、110,834千㎡であったことから考えると、過去15年間の平均はその前の15年間の平均に比べて、戸数でマイナス27.67%、床面積ではマイナス33.7%と大幅な落ち込みとなっている。
また、同様に「建築着工統計調査報告(令和6年度計分)」によれば、令和6年における民間非居住建築物の着工棟数は、56,937棟で、床面積は35,088千㎡と3年連続で減少しており、平成10年と比較すると26年間で、棟数でマイナス53.3%、床面積でマイナス44.2%と大幅に落ち込んでいる。これを年率換算するとそれぞれマイナス2.9%、マイナス2.2%となる。
日本国内の人口が減少傾向にあることや、近い将来に世帯数も減少に転じる可能性が高いことを勘案すると、今後も建築需要は縮小する厳しい事業環境が継続するものと想定される。
イ 調達価格の変動リスク
当社の主要な取扱商品の多くは金属製又は樹脂製であり、これらの原材料は国内及び海外の材料市況の動き、為替の変動、需給関係や同業他社の動向により、価格が変動する性質を有しており、原材料価格高騰により商品の仕入価格が上昇し、販売価格への転嫁ができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼし得る。
原材料の調達価格については、資源価格の上昇と円安の影響を強く受け急騰しており、現況においては、当該調達価格の上昇をある程度価格に反映できているものの、2021年以降の粗利益率は低下傾向にあり、今後も予断を許さない状況にある。
ウ 競合リスク
当社事業の業界には、当社より企業規模が大きく全国に販売網を整備している競業企業が存在することに加え、許認可等を必要とせず参入障壁が高くないため全国に競業事業者が存在することからすると、今後競争環境がさらに厳しいものになる。
エ 新商品の開発
当社は、直需事業の「IZAMESHI」やルート事業のマンション向け「ACE商品」の企画・開発のほか、既存商品のプライベートブランド化や商品改良について、取組みを継続しているものの、直近期における売上高は10億円弱に留まり、セグメント損失を計上している現時点においては、業績への貢献はいまだに期待通りのものではない。様々なコストが上昇している中で、今後は顧客訴求力のある高付加価値のオリジナル商品の開発が必要である。
オ 継続的な商材と販路の拡大
当社の強みである建築金物以外の土木、外構、設備、建材などの商材も拡大することを検討しているものの、当該商品の専門知識や主力仕入先との繋がりなど、全般的に専門商社との差が大きく、現状では売上拡大に結び付いていない。当社グループの社員数は2023年3月期の521人をピークに減少に転じており、2025年3月期は504人となっているところ、建築金物以外の商材を取り込むためには、専門性の高い営業職の採用・育成が必要となる。
カ DX化あるいは生成AIの進化への対応
建築業は施工現場を含めて比較的自動化が遅れている業界であり、見積り、受発注、施工管理、納品などの業務も他業界に比較すると非効率な状況にある。これに対してDXあるいは生成AIを使って劇的に業務の有り方を変革し、生産性を向上する企業が出現することで業界構造が変わる可能性もある。当社は未だ20年前に構築した基幹システムを改修しながら使用しており、DXあるいは生成AIの進化に乗り遅れているため、この領域に思い切った投資を行い、脅威に対処する必要がある。
当社は上述のリスク及び経営課題に対処するため、自助努力として主として以下に掲げる戦略・施策を実施してきたが、直近の業績は既述のとおりであり、当該リスク及び課題に十分対応できているとは言い難い状況にある。
(ⅰ)建材卸として、継続的な商材と販路の拡大
(ⅱ)加工・施工・物流等の機能と仕組み構築
(ⅲ)地域ビジネスとのマッチングと水平展開
(ⅳ)防災商品(長期保存食 IZAMESHI等)の継続拡大
(ⅴ)ライフスタイル商材の拡充と卸展開推進
(ⅵ)直営ECの拡大
(ⅶ)建材・雑貨・防災に関わる独自ブランドの拡充
(ⅷ)独自ビジネスを増やし、成長推進
(3)本取引の目的及びメリットの検証
当社は、上述した事業環境及び経営課題に関する認識のもと、建築需要の減少等の事業環境の変化に対応し、今後も当社が持続的に成長していくためには、抜本的な業務効率化や生産性の向上、高付加価値のオリジナル商品の開発と当該領域への思い切った投資を行うなどの事業構造の変革が不可欠であるとの考えに至っている。
この点、公開買付者が本取引後に実施するとしている後記の各施策は、中長期的に当社の収益性を向上させ、当社の中長期的な企業価値向上のため積極的に推進していくべきものと判断している。
(ⅰ)DX(デジタルトランスフォーメーション)による事業の効率化
当該施策の具体的内容は、販売管理や受発注管理を中心とした業務を行うための基幹システムの更新により、①新たにERPを導入し、これまで統一的に管理できていなかった商品データベースや受発注業務などの効率化、当社独自の仕様となっていた社内業務プロセスの標準化による不要なプロセスの削減を図り、②その後はデータを活用し、販売管理や施工管理のシステム化及び物流機能の強化を図ることを通じて、品揃えや納期などの改善による売上高の向上と物流と販売管理機能の改善等による販管費率の低減を目指す。また、バックオフィス機能の強化・効率化、EC化率の拡大、卸売事業における需要予測や販売予測等にAIを活用することにより、仕入・営業活動の効率化、売上の向上と利益の改善を目指すものである。
そもそも当社はDX化あるいは生成AIの進化への対応が遅れている状況にある。建築資材業界の市場縮小リスク、調達価格の変動リスク及び競合リスクを踏まえると、収益の維持には一層のコスト削減が必須であるところ、当社は20年前に構築した基幹システムを用いてオペレーションを行っているため、見積り作成や伝票入力業務、発送業務に至るまでかなりの人の手間がかかり、非効率となっている。このため基幹システムのリプレイスに伴いこれらのオペレーションを見直すことで、省力化・効率化を図ることが必須である。また、厳しい競争環境にあって売上・業界シェアを維持・拡大するためには、データを活用した商品開発や施工管理のシステム化及び物流機能の強化によって、一層の顧客サービス向上を図る必要がある。
よって当該施策は、当社の経営課題を克服して中長期的に企業価値を向上させるために必要かつ合理的な施策として首肯し得るところである。
(ⅱ)顧客サービスの向上・配送センターの新設
当該施策の具体的内容は、(ⅰ)サテライト倉庫とオンラインカタログ及びWEBサイトである「スギカウ」に関する投資によって、自社物流網の強化並びに「スギカウ」の利用率及びEC売上比率の向上を目指し、(ⅱ)広島県における中四国流通センターの新設によって、①建材卸として、継続的な商材と販路の拡大、②加工・施工・物流等の機能と仕組み構築、③地域ビジネスとのマッチングと水平展開が実行に移され、業界内の当社のシェアの拡大を目指すものである。
当社は、現社長の杉田裕介氏の就任以来、全国に流通センターを配置し、納期短縮によって顧客の利便性を高める価値を提供することで売上高を拡大し、また、(総じて粗利率が高い)自社在庫品の売上を拡大することで全社の粗利率を維持することに寄与してきた。当社グループの強みの源泉が全国に展開する販売網と各エリアに設置した流通センターを活かした顧客サービスや納期の短縮化にあること、全国のうち中四国地方のみ当社グループの流通センターが存在しないこと、主に単発・少額発注での利用促進を目指す直営ECサイトである「スギカウ」の顧客の登録率及び利用率が低い現状等を踏まえると、当該施策は引き続き実行する必要がある。
よって当該施策は、当社の経営課題を克服して中長期的に企業価値を向上させるために必要かつ合理的な施策として首肯し得るところである。
(ⅲ)新規事業の本格的展開
当該施策の具体的内容は、広告宣伝の拡大や外部からの商品アイデアの取込みによる防災用品の強化、雑貨・防災に関わる独自ブランドの開発と展開により、災害時に備えた長期保存食である「IZAMESHI」等のDIY向け等の直需事業の拡大を目指すものである。
短期的には建築資材ビジネスに絞ることも考えられるものの、建築資材業界の市場縮小リスク、調達価格の変動リスク及び競合リスク等を踏まえると、中長期の視点で当社がゴーイング・コンサーンであるためには、新規事業を育成し、収益化する努力が不可欠である。既に当社は防災食の「IZAMESHI」や「upstairsoutdoor living」(海外のプランターの輸入販売)を展開しているが、足許ではセグメント損失となっており収益化に至っていない状況にある。また、現時点において新規事業に関する当社のリソースやノウハウが不足しているため、外部リソースを活用する必要がある。
よって当該施策は、当社の経営課題を克服して中長期的に企業価値を向上させるために必要かつ合理的な施策として首肯し得るところである。
(ⅳ)サステナビリティ経営の推進
当該施策の具体的内容は、昨今のサステナビリティ関連の情報開示強化を踏まえ、サステナビリティ関連の部署又は担当者の配置、経験者の採用、社内教育、外部コンサルティング会社の起用により、取引先である上場企業から要請される可能性のある上場会社に準じる対応と情報開示を行うことを目指すものである。
現時点における具体的な取組は、例えばCO2削減のための営業車両のハイブリッド化、ペーパーレスなど、初歩的な取組に留まっており、当社役職員のサステナビリティに対する問題意識も高い状況にはない。このため、研修等によって社員の意識を高めていくこと、具体的な取組みについては委員会やチームを組成して日常の活動の中に取り込んでいくこと、経営陣が常にこれに関するメッセージを発すること、評価指標の一つに含めることなど「サステナビリティ経営の推進」に関する施策に腰を据えて取り組む必要がある。
よって当該施策は、当社の経営課題を克服して中長期的に企業価値を向上させるために必要かつ合理的な施策として首肯し得るところである。
以上のとおり、上記の各施策は、前述した当社の経営課題を的確に捉えており、当社の認識及び中長期的な経営方針とも整合的である。また、創業家一族であり、当社の現代表取締役社長及び取締役副社長として、当社グループの経営について最も深く理解している杉田裕介氏及び杉田力介氏自らが継続して経営を行うこと、及び、杉田裕介氏及び杉田力介氏自らのコミットメントの下に所有と経営を一致させ、柔軟かつ機動的な経営判断を行うことを踏まえると、各施策の実現可能性を否定するに足る事情もない。
よって、上記の各施策が中長期的に収益性を向上させ、当社の中長期的な企業価値向上のために積極的に推進していくべきものとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。
同時に当社は、以下の事情も踏まえ、本取引により当社株式を非上場化することが望ましいと考えている。
・上記施策は人材やシステム等への積極的な先行投資を伴うものであり、中長期的には当社の企業価値向上に資することが期待できるものの、短期的には、収益性の低下、キャッシュ・フローの悪化等による財務状況の悪化を招くリスクがあり、その結果、当社株式の市場株価の下落を招き、当社の株主が短期的には悪影響を被る可能性があり、他方で株価の下落等を避けつつこれらの施策を実行しようとすると大胆な投資が行えず、十分な成果を上げられない可能性が否定できないこと
・当社の上場維持に伴う業務負担及びコストは年々増加しており、厳しい事業環境下において当社の収益性を制約する一因となっていること。
・一方で、本取引の実施により当社株式の非公開化が実現されれば、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、創業家の所有と経営を一致させ、機動的かつ柔軟な意思決定が可能となることに加えて、上場コストの削減とその削減されたコストを人材へ投資することで人材の育成と有効活用といった効果も併せて見込まれること。
以上のことからすれば、①建築需要の減少等の事業環境の変化に対応し、今後も当社が持続的に成長していくためには、抜本的な業務効率化や生産性の向上、高付加価値のオリジナル商品の開発と当該領域への思い切った投資を行うなどの事業構造の変革が不可欠であるところ、創業家の所有と経営を一致させ、機動的かつ柔軟な意思決定により公開買付者の提案する施策に取り組むことが当社の経営課題の克服に繋がり、もって当社の中長期的な企業価値向上に資するものであり、かつ、②本取引は、当社の株主に発生する可能性のある悪影響を回避しつつ当社の中長期的な企業価値向上を実現する手段として優れていることから、本取引にメリットがあるとの当社の判断は合理的なものとして首肯し得る。
(4)デメリットの検証
一方で本取引の実施に起因して当社にデメリットが生じ、かつ、それが前述したメリットを明らかに上回るのであれば、本取引が当社の企業価値向上に繋がるとは言い難い。
上場廃止に伴う一般的なデメリットとして、①顧客・仕入先を含む取引先に対する影響、②今後の資金調達への影響、③ガバナンス・コンプライアンス体制への影響、④今後の人材採用への影響、⑤既存の従業員に対する影響、⑥許認可の取り直し、⑦ブランド力の低下、⑧LBOローンによる金利負担、財務・事業面のコベナンツ、主要資産の担保設定による事業の過度な制限等などがある。
もっとも当社によれば、これらのデメリットについては、以下の理由から当社の事業に重大な悪影響を及ぼす恐れはないとのことである。また、本特別委員会が行った公開買付者に対する書面質問への回答及び質疑応答によれば、当該認識内容について、当社と公開買付者の間に認識の齟齬はない。
① 当社は1948年の創業以来長きにわたり、取引先との良好な関係を長期安定的に構築してきており、上場廃止に伴う影響は想定されないこと。
② 当社は上場以来エクイティ・ファイナンスによる資金調達は行っておらず、また事業により安定的にキャッシュを獲得できており、エクイティ・ファイナンスによる資金調達の必要性は必ずしも高くなく、今までと同様に金融機関からの調達が可能であること。
③ 上場廃止後も上場来整備してきた規程や規則を合理的な範囲内で維持・運用するため、著しくコンプライアンス体制が低下するものではないこと。
④ 上場会社であることを理由とする入社数は多くないこと。
⑤ 公開買付者が当社最大の株主である創業家であり、当社の代表取締役社長及び副社長であることから、取引実行後においても従業員の処遇に不利益となる変更はないこと。
⑥ 公開買付者との合併等により許認可に大きな影響はないものと想定され、仮に許認可の取り直しを要する場合も適切に対応すれば足りること。
⑦ 当社は主としてBtoBビジネスを展開しており、取引先との良好な関係を構築してきているため、上場廃止に伴うブランド力の低下は想定されないこと。
⑧ 金利負担やコベナンツ、事業への一定の制限は想定されるものの、公開買付者において事業計画及び資金繰り見通しを基にLBOローンの諸条件について慎重に決定されると想定されること。
以上のとおり、本取引のデメリットについて具体的な検討がなされており、その検討内容に特段不合理な点は認められない。その検討結果によれば、少なくとも前述したメリットを明らかに上回るデメリットが本取引によって生じるとは認められない。
(5)代替手段の有無
以上述べたとおり、本取引が当社の企業価値の向上に資するとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。
なお、理論上は、前記(3)の各施策を、①上場を維持しつつ実施する又は②公開買付者以外の第三者との統合等により実施することも考えられる。
もっとも、いずれも本取引に優る有効な代替手段とは認めがたい。
①については、前述したとおり、短期的には株価の下落や配当の減少等、当社の既存株主の利益を損なう可能性があるため、上場を維持したまま企業価値向上の各施策を実施することにはリスクを伴い、中長期的な企業価値の向上を十分に追求できないおそれがある。このため、上場維持を前提として前記(3)のメリットを実現することは代替手段として実現可能性に乏しいか、少なくとも本取引の実行により各施策の実現可能性が高まると言える。
また、②についても、当社及び公開買付者によれば、現時点において、当社株式について第三者からの具体的かつ実現可能性のある対抗提案(現在も有効と思われるものに限る。)は存在せず、かつ、本不応募合意株主には保有する当社株式を売却する意向がない。また、当社は従前より独立経営で成長を遂げてきた経緯があるため他社との水平的な統合や傘下になることは考えにくい状況にある。このため、公開買付者以外の第三者との統合は現実的な選択肢ではない。
以上からすると、当社の企業価値向上の観点において、本取引に優る有効な代替手段が存在すると認めるに足る事情は見当たらない。
(6)小括
以上のことから、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であると思料する。
ⅱ.本取引に係る取引条件の公正性・妥当性に関する事項(諮問事項 ⅱ)
(1)公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程
M&A指針が要請する「企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況の確保」とは、後記3において詳述する公正性担保措置の実施有無に他ならない。この点、本取引において講じられた公正性担保措置の内容・組合せが妥当であり、かつ、実効的に運用された結果、実質的に公正な手続を通じた少数株主利益の確保がなされていることは、後に詳述するとおりである。
特に、本取引において実施された公正性担保措置のうち本公開買付価格の交渉過程における以下の事情は、少数株主の利益に可能な限り配慮されたことを裏付ける要素であり、本取引における取引条件(特に少数株主に交付される対価)の妥当性を相当程度推認させるものと評価した。
まず、本取引においては、当社と公開買付者の間で本公開買付価格に関する交渉が複数回行われた。
また、本特別委員会は、以下のとおり、当社及びトラスティーズから適時に公開買付者との交渉経緯について報告を受け、重要な局面で意見を述べ、要請を行った。
・本特別委員会は、本公開買付価格に関する公開買付者との交渉が開始される前の委員会において、当社及びトラスティーズから、初期的な算定結果と交渉方針を聴取した。
・本特別委員会は、交渉過程においても、当社及びトラスティーズから、公開買付者の提案内容及び論拠、当該提案に対する当社の評価及び対応方針について報告を受け、各委員会において、委員会としての意見を述べた。
・本特別委員会としては、当社の少数株主の利益を最大化することを目的として、価値算定の内容及び本特別委員会による検証結果も踏まえつつ、以下の諸点に留意して公開買付者と真摯に交渉すべきとの意見を述べた。
① 本件では創業家、当社役職員、従業員持株会及び当社取引先を含む法人株主が合算で約8割を占めており、機関投資家が少ないため、プレミアムの水準にかかわらず公開買付けが成立する可能性が高く、公開買付者に価格引き上げのインセンティブが低い構造的な懸念があることに留意し、本源的価値を示すDCF法のレンジや類似案件におけるプレミアム水準を重視した上で十分な交渉を重ねることを要請した。
② 本公開買付価格は大多数の当社少数株主に損失を生じさせない金額とすることが望ましい。このため、当社株価の上場来の最高値である1,620円(2024年3月1日のザラ場)を超える水準を目指して交渉することを要請した。
③ 本公開買付価格と純資産額の関係を確認するため清算コストの考え方について説明を求め、純資産額との関係及び類似案件における公開買付価格のPBR倍率水準にも配慮するよう要請した。
以上の結果、本公開買付価格は、公開買付者の当初提案額である1,450円から1,710円まで現に引き上がった。
以上のとおり、本取引の条件が形成される過程において、本特別委員会の設置及び関与を含む公正性担保措置の履践を通じて独立当事者間取引と同視し得る状況が確保されており、現に当事者間で真摯な交渉を経て合意されている。
(2)本株式価値算定書の算定結果との関係等
ア 算定結果
本公開買付価格は、市場株価法のレンジ上限値を超え、かつ、DCF法のレンジの中央値を上回る水準となっている。
イ 算定人の属性
トラスティーズは、我が国の株式価値評価分野において多数の実績を有する大手事業者であり、公開買付関連当事者、当社及び本取引からの独立性が認められる。
ウ 算定方法及び具体的な適用
下記のとおり検討を行った結果、株式価値算定内容及びその前提とした財務予測・前提条件等は合理的なものと認められる。
1.財務予測(事業計画)
当社が作成した本株式価値算定書のフリー・キャッシュ・フロー算定に用いられた事業計画(以下、「本事業計画」という。)は、当社が現時点で合理的に予測可能な2026年3月期から2030年3月期までの5年間の財務予測として作成されている。このうち2026年3月期の財務予測は、2026年3月期の連結業績予想の売上高、各種段階利益の公表値をそのまま利用している。一方、2027年3月期以降の財務予測は、基幹システムの更新及び配送センター新設とともに、過年度の財務実績や足許の収益状況、市場動向等を踏まえた前提条件や仮定を設定して作成されている。なお、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果は具体的に見積もることが困難であるため本事業計画には加味されていない。
本特別委員会は、(ⅰ)本事業計画と当社が有価証券報告書において公表している中長期的な目標数値及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等との整合性、(ⅱ)本事業計画において想定されている新規設備投資としての基幹システム更新と配送センター新設の必要性及び投資効果等を検証した。
次に、本事業計画は、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれていないものの、大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれているが、これらは、いずれも上述した設備投資に係るフリー・キャッシュ・フローの増減であり、不合理な点は見受けられない。
さらに、本事業計画は、本取引の検討開始後に策定されたものであるものの、当社における独立した社内体制の下、策定されたものであり、本事業計画の策定過程に公開買付関連当事者が関与したことを窺わせる事情は見当たらない。
以上の結果、同業他社の売上高成長率や経常利益率と比較しても遜色ない水準にあり、本事業計画を恣意的に悲観的な財務予測としたことを窺わせる事情及び本事業計画が合理的な根拠を欠く財務予測であってその実現可能性を疑わせるような事情は、いずれも認められない。
以上を総合的に勘案すると、財務予測(事業計画)は合理的であると認められる。
2.株式価値評価方法の選択
本株式価値算定書では、当社の株式価値を複数の評価方法を用いて多面的に評価することが適切であるとして、マーケット・アプローチから市場株価法、インカム・アプローチからDCF法を採用している。
各評価方法は、それぞれ優れた点を持つと同時に問題点を有しており、相互に問題点を補完する関係にあり、多面的に分析することは有用であると考えられる。
なお、本株式価値算定書では、清算価値を算出するアプローチであるとしてネットアセット・アプローチによる評価方法を採用していない。この点、対象会社は継続企業であることに加え、ネットアセット・アプローチは、一時点の純資産に基づいた価値評価を前提とするため、将来の収益能力の反映や、市場での取引環境の反映が難しく、継続企業の評価方法として適したものではないこと、不動産・金融関係等、資産の価値が企業価値に大きく影響する等ネットアセット・アプローチを積極的に採用すべき固有の状況も見受けられないことから、当該アプローチによる評価方法を採用しないことは不合理ではない。
また、マーケット・アプローチのうち類似公開社比較法についても、建築金物を主力商材とする建材卸事業を営む上場会社が存在しないことを理由に採用していない。類似する上場会社の選定において、取扱商品やサービスは業界に次いで類似性が求められる要素であると考えられることからすれば、類似する上場会社を複数選択することができない以上、当該手法を採用しないことも不合理ではない。
以上、株式価値評価方法の選択は合理的であると認められる。
3.市場株価法の前提条件及び算定内容
市場株価は企業の客観的価値を反映したものであるため、できる限り基準日に近接した市場株価を基本に評価すべきであるものの、時々の思惑などの影響を受けて刻々と変動するものであるため、継続的な一定期間の平均値を算定するなどして、評価の精度を高めることは有用と考えられる。したがって、一定期間の市場株価をもって評価することは合理的であると認められる。
また、一時的な投機的取引、業績修正による一時的変動などの事情により、その企業の客観的価値を反映していないと認められるような異常な価格形成はできる限り排除する必要があるところ、本株式価値算定書で分析された市場株価及び出来高の推移をみても、流動性や異常売買による株価の異常な変動は見受けられない。
以上、市場株価法の前提条件及び算定内容は合理的なものと認められる。
4.DCF法の前提条件及び算定内容
第1に、予測期間におけるフリー・キャッシュ・フローは、本事業計画と整合しており、合理的と認められる。
第2に、割引率は、資本資産評価モデルに基づく株主資本コストと負債コストの加重平均資本コストを採用している。また、小規模な会社は大規模な会社と比べて事業の安定性や信用力の点でリスクが高く資本コストが上昇するため、実務上、スモールビジネス・リスク・プレミアムを考慮するのが一般的であるとして、サイズ・リスク・プレミアムを割引率の算出の際に考慮している。サイズ・リスク・プレミアムは、時価総額の低い株式の収益率がCAPMによる理論値よりも高くなりやすい現象である小型株効果を定量化したものである。過去の株価データを基にした実証研究においても、時価総額の大きい企業に比べて、時価総額の小さい企業の収益率が高いことが示されており、これを考慮する理由が認められる。割引率の算出における仮定やパラメータは、いずれも実務上一般的に採用される仮定やパラメータであること、その結果算出された割引率は公表されている同種案件におけるDCF法の割引率と同水準にあり、不合理な点は見受けられない。
第3に、継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用している。継続価値は、計画最終期(2030年3月期)のフリー・キャッシュ・フローを基準に、定常的な状態を想定したキャッシュ・フローへの調整がなされた上で、一定の成長率で継続するものと仮定して算定されている。また、永久成長率は、国内経済成長率や業界動向等の参照可能なデータに基づき分析・予測されたものであり、公表されている同種案件のDCF法で採用されている永久成長率と同水準にあり、不合理な点は見受けられない。
第4に、事業価値に加減算する非事業資産及び有利子負債等に関連しては、余剰資金や政策保有株式等の主要な項目が実態に即して適切に評価へ反映されており、合理的と認められる。
以上を総合的に勘案すると、DCF法の前提条件及び算定内容は合理的なものと認められる。
(3)同種の案件において一般に付与されるプレミアム水準との関係
本公開買付価格の本取引の公表日前日を基準日とした過去期間における当社の終値平均株価に対するプレミアムは、いずれの参照期間についても同種案件(※)の平均値/中央値を下回っている。
(※) 経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2025年10月27日までの間に公表され、かつ、成立した非公開化を前提とする公開買付けの事例
しかしながら、①同種案件におけるプレミアムの分布を見ると、40%台に次いで30%台が多いところ、本件ではいずれの参照期間についても35%を上回る水準となっていること、②本件のプレミアムは、同種案件におけるプレミアムの分布の第1四分位から第3四分位(※)に収まっていることを総合的に勘案すると、本公開買付価格には同種案件と比較して相応のプレミアムが付されているものと思料する。
(※) 四分位とは、データを小さい順に並べ、4等分したときの区切りとなる3つの値であり、第1四分位は最小値から25%の値、第3四分位は最小値から75%の値をいう。
(4)少数株主の取得原価との関係
本公開買付価格は、当社株式の終値の上場来高値である1,523円(2024年3月25日)及びザラ場の上場来高値である1,620円(2024年3月1日)を上回る金額であり、全ての当社少数株主に損失を生じさせない金額である。
(5)純資産額との関係
本公開買付価格は、当社の2025年9月末日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額2,130円を下回る金額となっている。
まず純資産価額法を採用しない点については、トラスティーズによれば、対象会社は継続企業であることから、清算価値を算出するネットアセット・アプローチを不採用としており、当該判断に不合理な点は認められない。
また、トラスティーズ及び当社が本取引の取引条件の妥当性を検討することを唯一の目的として、複数の仮定を用いて行った清算価値の試算結果によれば、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、保有不動産の含み益を考慮したとしても、資産の早期売却に伴うディスカウント、割増退職金その他の清算費用を加味した清算価値は本公開買付価格を大きく下回ることが想定される。本特別委員会は当該試算の仮定及びプロセスを検証したが、その内容に清算価値を恣意的に押し下げる不合理な操作は認められない。
また、本公開買付価格の純資産額に対する倍率(PBR倍率)は0.80倍となっている。この点、当該倍率は、本取引の類似案件(マネジメント・バイアウト案件)におけるPBR倍率の中央値(1.16)を下回るものの、東証業種分類で卸売業に属する案件のPBR倍率の中央値(0.71)を上回っている。また、上記類似案件のPBR倍率をレンジ別に見た場合に最も多い0.75~1倍のレンジ内に位置する。
よって、本公開買付価格が当社の2025年9月末日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額2,130円を下回ることをもって、本公開買付価格の公正性・妥当性を否定する理由にはならない。
(6)スキームその他の取引条件の妥当性
上場会社を非公開して買付者の100%子会社とする場合、公開買付けと売渡請求等のスクイーズアウト手続を組み合わせる本取引の方法は一般的な方法である。
対価の種類について、そもそも金銭は、流動性が高く投資回収の方法として妥当であるため、対価を金銭とすること自体が少数株主の不利益となる理由はない。また、公開買付者は非上場会社であるから、換価不能な非上場株式を対価とすることが少数株主の利益とならないことは論を俟たない。
なお、本取引では、本公開買付けの買付価格と本スクイーズアウト手続の対価額を同額とすることが想定されている。この点、最高裁は、公開買付価格が公正手続を経て決定されている場合は、特段の事情がない限り、事後に実施される本スクイーズアウト手続の対価を同一価格とするのが相当としている。これを本件についてみると、本公開買付けは一般に公正と認められる手続により行われており、事後に実施される本スクイーズアウト手続までに本取引の基礎となった事情を覆す特段の事情の発生は現時点で見込まれていない。これを踏まえると、将来、本答申書作成時点で予期しない特段の事情が発生しない限り、本スクイーズアウト手続において交付する金額を本公開買付価格と同額にすることは相当である。
以上のことからすると、当社の少数株主に本公開買付け及び本スクイーズアウト手続により現金を交付する本取引の買収方法及び対価は、当社の少数株主にとって不利益ではないため、妥当性が認められる。
(7)小括
以上の要素を総合的に考慮すれば本取引における対価額は公正な価格であり、かつ、スキームその他の取引条件についてみても、本取引の方法及び対価は、当社の少数株主にとって不利益ではない。
よって、買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類その他の取引の条件を含む本取引の条件には公正性及び妥当性が確保されているものと思料する。
ⅲ.取引条件の公正さを担保するための手続に関する事項(諮問事項 ⅲ)
(1)本特別委員会の設置
本特別委員会は、本答申書で述べるとおりM&A指針が委員会に求める役割を果たした。
また、本取引においては、本特別委員会の実効性を高めるため、以下に掲げる実務上の工夫も講じられており、この点も本特別委員会が有効に機能したことを補強する要素となる。
① 委員会の設置時期について、当社は2025年8月22日に杉田裕介氏及び杉田力介氏から本取引に関する初期的提案書を受領したところ、本特別委員会は直後の2025年8月26日に設置された。設置時点で取引条件等が事実上決定されていた等、設置時期に起因して本特別委員会の意義を失わしめる事情はない。
② 委員の独立性について、本特別委員会の委員4名はいずれも、公開買付関連当事者、当社及び本取引からの独立性が認められる。各委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず支払われる報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれていない。
③ 委員構成について、当社事業に明るい社外取締役及び弁護士・公認会計士が含まれているため、本諮問事項の検討に十分な能力を備えており、委員構成の適格性が認められる。
④ 委員会独自のアドバイザーについて、本特別委員会は、当社取締役会より、必要に応じて、当社の費用により、自ら財務又は法務等のアドバイザーを選任する権限を付与された。もっとも、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるトラスティーズ並びにリーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所に独立性及び専門性が認められることを確認・承認した上で、本特別委員会の構成員には当社事業に明るい社外取締役及び弁護士・公認会計士が含まれており、本諮問事項の検討に足ることに鑑み、独自のアドバイザーは不要と判断した。
⑤ 情報の取得について、本特別委員会は、当社及び当社アドバイザーから必要に応じて非公開情報を含む重要な情報を適時に入手した上で検討・判断を行った。
⑥ 取引条件の交渉過程の関与について、本特別委員会の組成決議において、当社が公開買付者と本取引の取引条件について協議・交渉するにあたり、事前にその方針を本特別委員会に報告した上で、適時にその状況を本特別委員会に報告し、重要な局面において、その意見、指示及び要請を受けるものとすると共に、当社に対し本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を公開買付者に伝達すること、及び本特別委員会自ら、公開買付者と協議する機会の設定を要望することができる権限が付与されている。実際の運用においても本特別委員会は、当社担当者及びトラスティーズから適時に公開買付者との交渉経緯について報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行った。
⑦ 以上のような実効性を高める実務上の工夫が施された上で、本特別委員会による判断内容について、本特別委員会の組成決議において、本取引に関する当社取締役会の意思決定は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときは、当社取締役会は、当該取引条件による本取引に賛同しないものとされている。
(2)独立した外部専門家からの専門的助言等の取得
ア 第三者算定機関からの株式価値算定書の取得、ファイナンシャル・アドバイザーからの助言の取得
本取引の初期段階から独立性を有するファイナンシャル・アドバイザーの関与を得て、その独立した専門的助言を取得していたものと認められる。
イ リーガル・アドバイザーからの助言の取得
本取引の初期段階から独立性を有するリーガル・アドバイザーの関与を得て、その独立した専門的助言を取得していたものと認められる。
(3)他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)
本取引に際して、いわゆる積極的なマーケット・チェックは実施されていない。
もっとも、M&A指針が指摘するように、MBOを行う経営者(本件における公開買付関連当事者)が支配株主である場合においては、積極的なマーケット・チェックが公正性担保措置として機能する場面は限定的である。
これを本件についてみると、本不応募合意株主は当社創業家一族が血縁関係・資本関係等を通じて一定の影響を及ぼしうる株主であるため、本取引実行前において公開買付者が支配又は一定の影響を及ぼしうる当社株式数の合計数はスクイーズアウト手続を阻止することが可能な水準の1,999,000株(所有割合にして37.26%)であって、公開買付者は当社の支配株主に準ずる株主であると評価する余地がある。また、当社株式について第三者からの具体的かつ実現可能性のある対抗提案(現在も有効と思われるものに限る。)は存在せず、かつ、スクイーズアウトの実施に不可欠な本不応募合意株主には保有する当社株式を売却する意向がない。これに加えて後記の間接的なマーケット・チェックが実施されることも踏まえると、本件が積極的なマーケット・チェックが機能し得るケースに当たると認めるに足る特段の事情は存在しない。
本公開買付けにおける公開買付期間は、金融商品取引法が定める最短の期間である20営業日を超える30営業日である。また当社は、公開買付者との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切行っていない。これらにより、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されていると評価しうる。
以上を踏まえると、株主に対して本公開買付けへの応募の是非を検討する十分な熟慮期間が付与され、かつ、対抗的な買付の機会は客観的に確保されていると考えられる。
(4)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件
本公開買付けの買付予定数の下限(1,683,035株)は、当社半期報告書に記載された2025年9月30日現在の発行済株式総数(5,374,000株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(8,931株)及び本不応募合意株式(1,999,000株)を控除した株式数(3,366,069株)の過半数となっている。公開買付者と利害関係を有しない当社の株主からその株式数の過半数、すなわち、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する数の同意が得られない場合には本公開買付けは成立せず、当社の一般株主の意思を重視したものとなっている。
マジョリティ・オブ・マイノリティは、一般株主の過半数が取引条件について満足していることを直接確認することを通じた一般株主による判断機会の確保及び取引条件の形成過程における対象会社の交渉力の強化の両面で公正性担保措置としての機能を有する。
(5)当社内における意思決定プロセス
以上のような複数の公正性担保措置が講じられた上で、当社内においても、本取引の検討・交渉等は、初期の段階から一定の利害関係を有し得る取締役等を除外して実施された。
なお、本取引公表時及び本スクイーズアウト手続時における取締役会決議並びにこれらに関する検討についても、同様の措置を講ずる予定である。
各取締役会決議においては、杉田直良氏、杉田裕介氏及び杉田力介氏を除く取締役全員が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員一致により決議される予定である。
(6)一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上
M&A指針は、一般株主による取引条件の妥当性についての判断に資する重要な判断材料を提供することでインフォームド・ジャッジメントが可能となり、また、重要な情報が事後的に開示されることで一般株主等の目を意識したより慎重な検討・交渉等・算定の実施が期待できるとする。
これを本件についてみると、以下のとおり、本件プレスリリースのドラフトにおいて、少数株主の適切な判断に資する充実した情報が分かり易く開示されているものと思料する。
以上からすれば、当社が、本件において、少数株主への情報提供の充実を通じたプロセスの透明性の向上に努めていることが認められる。
(7)強圧性の排除
本取引は現金対価による当社株式の全部買収であり、いわゆる部分買収ではない。
また、本スクイーズアウト手続は株式併合により実行される。当該スキームの実施過程において、株主には会社法第182条の4及び第182条の5の規定により価格決定の申立てを行う権利がそれぞれ認められ、かつ、本件プレスリリースにその旨が明示的に開示されている。さらに、本件プレスリリースの該当箇所では、本スクイーズアウト手続は本公開買付け終了後に行われること、本スクイーズアウト手続において少数株主に対して交付される金銭は本公開買付価格と同一の価格とすることが予定されている旨も開示されている。
以上からすれば、本取引において強圧性を排除するための対応が行われていると認められる。
(8)小括
以上のとおり、本取引においては、取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているものと思料する。
ⅳ.本取引は当社の一般株主にとって公正であると考えられるか(諮問事項 ⅳ)
本特別委員会としては、既に述べた諮問事項(ⅰ)から(ⅲ)に関する検討過程及び内容が諮問事項(ⅳ)を検討する際の考慮要素になるものと考える。
そして、本特別委員会の審議の結果その他、上記の諮問事項にはいずれも問題があるとは考えられないことは、本答申書で詳細に述べてきたとおりである。
以上から、本特別委員会は、本取引は当社の一般株主にとって公正であると思料する。
ⅴ.当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明すること並びに当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨することの是非(諮問事項 ⅴ)
本特別委員会としては、この諮問事項(ⅴ)についても、諮問事項(ⅰ)から(ⅳ)に関する検討過程及び内容が、諮問事項(ⅴ)を検討する際の考慮要素になるものと考える。
そして、本特別委員会の審議の結果その他、上記の諮問事項にはいずれも問題があるとは考えられないことは、本答申書で詳細に述べてきたとおりである。
以上から、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であるから、当社の取締役会が賛同の意見を表明すること、及び、本公開買付価格を含む本取引の条件は公正な手続を経て形成された妥当な内容であって、本公開買付けは当社の株主に合理的な当社株式の売却機会を提供するものであるから、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行うことは、いずれも相当であると思料する。
④ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、公開買付関連当事者から独立した立場で、本取引に係る検討及び交渉を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社の代表取締役会長である杉田直良氏、当社の代表取締役社長である杉田裕介氏及び当社の代表取締役副社長である杉田力介氏は、それぞれ本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、本取引に関する取締役会における決議には一切参加しておらず、また、当社株式の価値評価の基礎となる本事業計画の作成過程や、当社の立場において公開買付関連当事者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。本取引に関する検討、交渉及び判断を行う当社の検討体制は、全て公開買付関連当事者から独立性の認められる役職員4名(井関誠専務取締役、従業員3名)のみで構成することとし、本書提出日現在に至るまでかかる取扱いを継続しております。
また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制、具体的には本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する役職員の範囲及びその職務(当社の株式価値の評価の基礎となる事業計画の作成等高い独立性が求められる職務を含みます。)は中村・角田・松本法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
当社は、トラスティーズから取得した本株式価値算定書、中村・角田・松本法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格並びに本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって公正であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年11月12日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社取締役(杉田直良氏、杉田裕介氏及び杉田力介氏を除く8名)の全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
上記の取締役会においては、当社の代表取締役会長である杉田直良氏は、本公開買付けに際して公開買付者との間で本不応募契約を締結することが予定されていたことから、本取引において特別の利害関係を有しており、当社の代表取締役社長である杉田裕介氏及び当社の代表取締役副社長である杉田力介氏は、それぞれ本取引の提案者であるとともに本取引終了後も継続して当社の代表取締役又は取締役として当社の経営にあたることを予定しているため、他の当社の一般株主との利害が一致しない可能性があることを踏まえ、利益相反の疑義を回避する観点から、本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付関連当事者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しているとのことです。このように公開買付期間を法定期間に比べ比較的長期に設定することにより、当社の株主が本取引の是非や本公開買付価格の妥当性について熟慮し、本公開買付けに対する応募の是非について適切な判断を行うための期間を提供しつつ、対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することも企図しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしています。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
⑦ 当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置
公開買付者は、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して、株式買取請求権又は価格決定申立権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(当社及び公開買付者を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。
(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項
上記「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、 本不応募合意株主それぞれとの間で、2025年11月12日付で本不応募契約を締結しているとのことです。本不応募契約の内容は以下のとおりとのことです。
① 本公開買付けへ応募しないことに関する合意
本不応募合意株主は、本不応募合意株式(合計:1,999,000株、所有割合:37.26%)を本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。
② 貸株に関する合意
本不応募契約において、公開買付者の要請があった場合には、株式併合の効力発生前を効力発生時として、それぞれが所有する当社株式を、杉田商事に対して貸し付ける本株式貸借を実行することを合意しているとのことです。また、本株式貸借が実行された場合には、株式併合の完了後、かつ裁判所の任意売却許可決定に基づき端数相当株式が当社又は公開買付者に売却された後、本貸株返却及び本株式分割を行わせることを合意しているとのことです。なお、貸株料等の条件は本書提出日現在未定であるとのことです。
③ 当社株式に係る議決権行使に関する合意
本不応募合意株主は、本臨時株主総会において本株式併合及びそれに関連する議案に賛成する旨を合意しているとのことです。
| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
|---|---|---|---|
| 杉田 直良 | 代表取締役会長 | 906,000 | 9,060 |
| 杉田 裕介 | 代表取締役社長 | 260,000 | 2,600 |
| 杉田 力介 | 取締役副社長 | 70,000 | 700 |
| 花井 慎一 | 常務取締役 | 2,000 | 20 |
| 井関 誠 | 常務取締役 | 2,600 | 26 |
| 蜷木 勝一 | 取締役 | 1,100 | 11 |
| 岡田 努 | 取締役 | 500 | 5 |
| 上田 嘉信 | 取締役 | 600 | 6 |
| 北川 達也 | 監査等委員である取締役 | 8,600 | 86 |
| 中野 治 | 監査等委員である取締役 | ― | ― |
| 貫井 康夫 | 監査等委員である取締役 | ― | ― |
| 計 | 1,251,400 | 12,514 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2) 監査等委員である取締役中野治氏及び貫井康夫氏は、社外取締役であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
以 上
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