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Renascience Inc.

Interim / Quarterly Report Nov 12, 2025

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【表紙】
【提出書類】 半期報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条の5第1項の表の第1号
【提出先】 東北財務局長
【提出日】 2025年11月12日
【中間会計期間】 第27期中(自 2025年4月1日 至 2025年9月30日)
【会社名】 株式会社レナサイエンス
【英訳名】 Renascience Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役会長兼社長 宮田 敏男
【本店の所在の場所】 宮城県仙台市青葉区星陵町2番1号
【電話番号】 022-727-5070
【事務連絡者氏名】 管理部長 須田欣也
【最寄りの連絡場所】 宮城県仙台市青葉区星陵町2番1号医学部6号館202
【電話番号】 022-727-5070
【事務連絡者氏名】 管理部長 須田欣也
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

E36825 48890 株式会社レナサイエンス Renascience Inc. 企業内容等の開示に関する内閣府令 第四号の三様式 Japan GAAP false cte 2025-04-01 2025-09-30 HY 2026-03-31 2024-04-01 2024-09-30 2025-03-31 1 false false false E36825-000 2025-11-12 E36825-000 2025-11-12 jpcrp_cor:OrdinaryShareMember E36825-000 2025-04-01 2025-09-30 E36825-000 2025-04-01 2025-09-30 jppfs_cor:NonConsolidatedMember E36825-000 2025-09-30 E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No10MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No1MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No2MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No3MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No4MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No5MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No6MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No7MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No8MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:No9MajorShareholdersMember E36825-000 2025-09-30 jppfs_cor:NonConsolidatedMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:OrdinarySharesSharesLessThanOneUnitMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:OrdinarySharesSharesWithFullVotingRightsOtherMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:OrdinarySharesTreasurySharesSharesWithFullVotingRightsTreasurySharesEtcMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:SharesWithNoVotingRightsMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:SharesWithRestrictedVotingRightsOtherMember E36825-000 2025-09-30 jpcrp_cor:SharesWithRestrictedVotingRightsTreasurySharesEtcMember E36825-000 2024-04-01 2024-09-30 jppfs_cor:NonConsolidatedMember E36825-000 2024-09-30 jppfs_cor:NonConsolidatedMember E36825-000 2024-04-01 2025-03-31 jppfs_cor:NonConsolidatedMember E36825-000 2025-03-31 jppfs_cor:NonConsolidatedMember E36825-000 2024-03-31 jppfs_cor:NonConsolidatedMember iso4217:JPY xbrli:shares iso4217:JPY xbrli:shares xbrli:pure

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第一部 【企業情報】

第1 【企業の概況】

1 【主要な経営指標等の推移】

| | | | | |
| --- | --- | --- | --- | --- |
| 回次 | | 第26期

中間会計期間 | 第27期

中間会計期間 | 第26期 |
| 会計期間 | | 自 2024年4月1日

至 2024年9月30日 | 自 2025年4月1日

至 2025年9月30日 | 自 2024年4月1日

至 2025年3月31日 |
| 事業収益 | (千円) | 55,749 | 10,000 | 132,693 |
| 経常損失(△) | (千円) | △92,045 | △151,226 | △178,987 |
| 当期純利益又は中間純損失(△) | (千円) | △72,968 | △151,728 | 113,427 |
| 持分法を適用した場合の投資利益 | (千円) | - | - | - |
| 資本金 | (千円) | 1,036,808 | 1,036,808 | 1,036,808 |
| 発行済株式総数 | (株) | 12,711,700 | 12,711,700 | 12,711,700 |
| 純資産額 | (千円) | 1,533,755 | 1,568,423 | 1,720,151 |
| 総資産額 | (千円) | 1,957,093 | 1,683,206 | 1,871,362 |
| 1株当たり当期純利益又は1株当たり中間純損失(△) | (円) | △5.74 | △11.94 | 8.92 |
| 潜在株式調整後1株当たり

中間(当期)純利益 | (円) | - | - | - |
| 1株当たり配当額 | (円) | - | - | - |
| 自己資本比率 | (%) | 78.4 | 93.2 | 91.9 |
| 営業活動による

キャッシュ・フロー | (千円) | △132,137 | △233,864 | △176,342 |
| 投資活動による

キャッシュ・フロー | (千円) | 2,250 | - | 382,147 |
| 財務活動による

キャッシュ・フロー | (千円) | 9,476 | - | △52,182 |
| 現金及び現金同等物の

中間期末(期末)残高 | (千円) | 1,525,782 | 1,565,952 | 1,799,816 |

(注) 1.当社は中間連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

3.第26期中間会計期間の潜在株式調整後1株当たり中間純利益については、1株当たり中間純損失であり、また、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため、記載しておりません。

4.第27期中間会計期間の潜在株式調整後1株当たり中間純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり中間純損失であるため、記載しておりません。

5.第26期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため記載しておりません。 ### 2 【事業の内容】

当中間会計期間において、当社が営む事業の内容について、重要な変更はありません。 

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第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。 ### 2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績に関する説明

当社は、医療現場の課題を解決するために、多様なモダリティ(医薬品、医療機器、AIを活用したプログラム医療機器)を医師・研究者とともに医療現場で研究開発しています。医薬品事業は、研究開発費や研究開発期間が比較的大きく事業リスクが高い分野ですが、上市後には極めて高い収益が期待できる事業です。一方、医療機器やプログラム医療機器のパイプラインの事業収益は医薬品と比べると小さいですが、研究開発費や研究開発期間のリスクは小さく、早期に当社収益につながります。当社は、これら2つの事業ポートフォリオを、同時に複数のパイプラインを進めることにより、リスクを分散しながら早期の黒字化と将来の収益の拡大を目指します。

これまでの製薬企業や創薬ベンチャーの多くはパイプラインのバリューチェーン(開発の全ての工程の積み上げ)を自社で全て構築し、事業価値を高めることに注力してきました。大手製薬企業は潤沢な資金を背景に、多くのパイプラインのバリューチェーンを自社独自で形成するという既存の枠組みでの開発ができますが、ベンチャーのように資金が潤沢でない場合は、なかなか難しいのが現状です。当社は、公的資金や外部機関(研究機関、医療機関)のリソースを活用して開発コストを抑えるなど、効率の高い開発を実践してきました。外部機関とのアライアンスをもとに多くのバリューチェーン構築を考えており、既存ベンチャーとは戦略、研究開発、人的資源管理などが異なります。少ない人的リソースや経費で多くのパイプラインを広げ、モダリティを展開し、成果も出つつあります。自己資源や社内環境のみにこだわるのではなく、むしろ外部リソースや外部環境の積極的活用に注力し、効率的にイノベーションを創出する枠組みを構築していきたいと考えています。当社は、大学や様々な異業種企業との連携や協業を基にオープンイノベーションを推進し、効率的な開発を実施しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

当中間会計期間における総括を以下に記載します。

□   慢性骨髄性白血病(CML):2022年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「革新的がん医療実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて第Ⅲ相試験(医師主導治験)を開始しました。2023年12月末で症例登録を完了し、最終的に解析に必要な症例数を上回る57例が登録されました。2024年12月に実施されたAMED「革新的がん医療実用化研究事業」の最終年度評価の結果、第Ⅲ相試験の目標症例数の登録が完了し、2年の延長期間内に試験を終了する目処が立っているとの理由から、さらに助成期間の2年間延長が承認され、2026年3月期の助成金額が確定しました(2025年5月7日適時開示)。

□   悪性黒色腫(メラノーマ):当社が開発する悪性黒色腫治療薬 PAI-1阻害薬(RS5614)は、2024年8月28日付で厚生労働省より希少疾患用医薬品の指定を受けました。さらに、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の令和7年度希少疾病用医薬品等試験研究助成事業に、当社が実施している悪性黒色腫の第Ⅲ相試験(ニボルマブとのRS5614の併用の有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相ランダム化プラセボ対照二重盲検医師主導治験)を対象とした申請が採択されました(2025年7月16日適時開示)。本助成金により、2025年4月~2028年3月の間の3事業年度において、悪性黒色腫の関連研究費として支出した経費の2分の1を上限とし、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の当該事業予算の範囲内で事業年度毎に助成を受けられます。本第Ⅲ相試験では、124名の患者を予定していますが、10月31日時点で57名登録と順調に進んでいます。

□   非小細胞肺がん治療薬:広島大学など6医療機関と実施している「非小細胞性肺がんにおけるニボルマブとPAI-1阻害薬(RS5614)併用療法の安全性・有効性を検討する第Ⅱ相試験」の症例登録を終了しました(登録患者数36症例)。今後、投与期間(最大24週間)を経て、本試験の評価、データ解析の結果を治験総括報告書に纏める予定です(2025年7月3日適時開示)。

□   血管肉腫治療薬:東北大学など7医療機関と実施している「皮膚血管肉腫に対するパクリタキセルとRS5614併用の安全性・有効性を検討する第Ⅱ相医師主導治験」の症例登録を完了しました(登録症例者数16症例)。今後、投与期間(28週間)を経て、本試験の評価、データ解析の結果を治験総括報告書に纏める予定です(2025年6月20日適時開示)。

□   抗加齢・長寿研究:2024年12月にXPRIZE財団によるコンテスト(XPRIZE Healthspan)に東北大学など国内複数の研究機関と共同で応募しました。XPRIZE Healthspanは、健康寿命を延ばすことができた研究チームに対して、総額1億米ドルを支払うという世界的なコンペティションです。このコンペティションは、XPRIZE財団が主催し、人間の老化や長寿に対する治療アプローチに革命を起こし、健康寿命を積極的に10年以上延伸するという挑戦的な課題に取り組むことを目的とします。当社はTOP40(セミファイナリスト)に入賞し、賞金25万米ドルを獲得しました(2025年5月13日適時開示)。また、セミファイナル試験を特定臨床研究として東北大学病院で開始し(2025年8月18日適時開示)、予定通り20例の患者登録を完了しました(2025年10月1日適時開示)。今後、投与期間(16週間)を経て、本試験の評価、データ解析の結果を試験総括報告書に纏める予定です。

□   維持血液透析医療支援プログラム医療機器:維持血液透析を支援する人工知能(AI)を活用したプログラム医療機器の薬事承認のための臨床性能試験を2024年10月より開始しておりましたが、解析に必要な症例数である150症例の登録を完了しました(2025年4月9日適時開示)。臨床性能試験の結果、最終的な正解率は92.2%(平均)(2025年10月20日適時開示)であり、当初設定していた主要評価項目の目標正解率80%を大きく上回る結果となり、専門医に対するAI予測の非劣性(同等)が確認されました。本臨床性能試験により有効性が検証されたことから、薬事承認申請や事業化に向けた取組みを加速するため、ニプロ株式会社との間で共同開発契約の変更に関する覚書を締結し(2025年10月30日適時開示)、ライセンス契約締結に向けて協議を進めています。なお、本プロジェクトは、東北大学を代表機関としてAMEDによる令和5年度「医療機器開発推進研究事業」の助成を受けて開発していますが、本事業の実用化を加速するための研究費(調整費)として、143,000千円の追加配賦を受けました(2025年9月10日適時開示)。

□   国際共同研究:当社はノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本の研究室を、東北大学内の当社オープンイノベーション拠点である東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)内に設立することを、同研究所のDouglas E. Vaughan所長と合意しました(2025年1月22日適時開示)。さらに、東北大学とノースウエスタン大学は、がんや長寿の研究や臨床試験を共同で実施するための基本合意書を締結し(2025年11月10日適時開示)、その一環としてノースウエスタン大学医学部及びPotocsnak Longevity InstituteはXPRIZE Healthspanの当社チームに参加し、当社や東北大学と共同で、PAI-1阻害薬RS5614のがん治療薬及び抗加齢・長寿作用の臨床試験を実施する予定です。また、当社はサウジアラビア最大の研究・医療機関である「キング・アブドラ国際医療研究センター(King Abdullah International Medical Research Center、以下「KAIMRC」という)」との間で、1)PAI-1阻害薬RS5614のがん治療薬及び抗加齢・長寿作用の研究、2)XPRIZE Healthspanへの共同参加、3)人工知能(AI)を用いたプログラム医療機器(SaMD)の開発、4)サウジアラビアでの事業化に向けた連携などを進めていくため、基本合意書を締結しました(2025年10月6日適時開示)。さらに、当社は、台湾医科大学の100%子会社である Taipei Medical University(TMU)-Biotech社とPAI-1阻害薬RS5614の臨床開発及び事業化について共同開発契約を締結しており(2024年11月5日適時開示)、がんや長寿の研究や臨床試験を共同で実施する予定です。現在、ノースウエスタン大学、KAIMRC、台湾医科大学が主体となって、それぞれの国の薬事規制当局(FDA, Saudi FDA, Taiwan FDA)と臨床試験に向けた協議を進めています。今後、日本や米国などの公的研究・医療機関と共同でがんや老化の医薬品、及び人工知能(AI)を活用したプログラム医療機器の臨床試験に向けた開発を進める予定であり、また、幾つかの民間企業とも実用化に向けたライセンス契約について協議を進める予定です。

(研究開発活動の実績)

a. 医薬品

PAI-1阻害薬RS5614のがん領域及び呼吸器疾患領域での臨床開発に注力しています。

(がん)

- 慢性骨髄性白血病(第Ⅲ相):2022年3月にAMED「革新的がん医療実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて第Ⅲ相試験を開始しました。2023年12月末で症例登録を完了し、最終的に解析に必要な症例数を上回る57例が登録されました。2024年12月に実施されたAMED「革新的がん医療実用化研究事業」の最終年度評価の結果、第Ⅲ相試験の目標症例数の登録が完了し、2年の延長期間内に試験を終了する目処が立っているとの理由から、さらに助成期間の2年間延長が承認されました。2025年5月には2026年3月期の助成金額が確定しました。

- 悪性黒色腫(第Ⅲ相):2021年5月にAMED「橋渡し研究プログラムシーズC(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」に採択され、同年7月に第Ⅱ相試験を開始しました。2023年3月末時点で目標症例数40例全例の患者登録が完了しました。外科的切除が難しく、免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが無効な悪性黒色腫患者に対して、ニボルマブとPAI-1阻害薬RS5614を8週間併用することにより、既承認の治療であるニボルマブとイピリムマブ併用以上の奏効率が得られました。また、実臨床で問題となっているニボルマブとイピリムマブ併用による重篤な副作用は、ニボルマブとRS5614の併用では見られず、安全性が確認されました。2023年12月に実施したPMDA対面助言により第Ⅲ相試験の臨床プロトコールを確定し、2024年8月には、厚生労働省より悪性黒色腫に対する希少疾患用医薬品の指定を受けました。希少疾患用医薬品指定を受けたことにより、悪性黒色腫治療薬としてのRS5614の薬価算定における市場性加算が加わり、さらに承認後の再審査期間が延長されて本治療薬事業の独占期間が長くなります。2025年2月から第Ⅲ相試験を開始していますが(124名の患者登録予定)、10月31日時点で57名登録と順調に進んでいます。本試験を対象として、2025年8月に、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の希少疾病用医薬品等試験研究助成事業に採択されました。本助成金により、2025年4月~2028年3月の間の3事業年度において、悪性黒色腫の関連研究費として支出した経費の2分の1を上限とし、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の当該事業予算の範囲内で事業年度毎に助成を受けられます。

- その他のがん:上記2つの疾患での治験が順調に進んでいることから、新たながん領域の適応症で臨床開発を決定し実施しています。具体的には、2022年10月に広島大学と非小細胞肺がんに関する共同研究契約を締結し、2023年4月には「広島大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(HiREx)」を開設し、2023年9月から非小細胞肺がんの第Ⅱ相試験、2023年10月から皮膚血管肉腫の第Ⅱ相試験を開始しました。非小細胞肺がんは2025年7月、皮膚血管肉腫は2025年6月に症例登録を完了しました。

がん領域での国際的な展開として、2024年11月にTMU-Biotech社と台湾及び日本でのPAI-1阻害薬RS5614の臨床開発及び事業化について共同開発契約を締結し、さらに2025年10月にはサウジアラビアのKAIMRCとも、がん治療薬の研究や事業化に向けた連携などを進めていくための基本合意書を締結しました。また、悪性黒色腫など既存の開発品に加えて、膵臓がんなどへの適応拡大に向けた臨床試験を米国ノースウエスタン大学と予定しており、また、民間企業とも実用化に向けたライセンス契約について協議を進める予定です。なお、当社のがん治療薬の取材記事が、2023年9月に科学誌『Nature』に掲載されました。

(呼吸器疾患)

- COVID-19に伴う肺傷害(後期第Ⅱ相完了):2021年6月からAMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて後期第Ⅱ相試験を開始しました。2022年10月に患者登録を完了し、2023年4月に治験総括報告書が纏められました。本後期第Ⅱ相試験はオミクロン株の変異等により対象となる新型コロナウイルス肺炎患者(中等症、入院患者)数が減少し、目標より少ない症例数で治験を完了しましたが、特に早期治療におけるRS5614の有効性を示唆する結果を得ることができました。前期及び後期第Ⅱ相医師主導治験の成績は、2024年1月に科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。

- 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD、第Ⅱ相):2023年3月にAMED「難治性疾患実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けて、2023年10月から第Ⅱ相試験を開始し、2024年12月には本治験の解析に必要な目標症例数50例を達成しました。

(抗加齢・長寿研究)

- 当社は米国のXPRIZE財団による「高齢者の免疫、認知や筋肉の機能を10年若返らせたら賞金総額1億ドル」のコンテスト(XPRIZE Healthspan)に応募し、2025年5月にTOP40(セミファイナリスト)に入賞し、賞金25万米ドルを獲得しました。TOP40のチームの1年間の研究成果を基に、2026年8月にTOP10(ファイナリスト)が選定されます。当社は、PAI-1阻害薬RS5614の抗加齢・長寿作用に基づき、「老化細胞を除去し、がん化を促進することなく老化関連疾患を抑制する新たな新規低分子医薬品」のコンセプト(Senolytic drug)を提唱し、東北大学、東海大学、広島大学、東京科学大学など国内の研究機関及び医療機関との共同でこのセミファイナル試験に取り組みます。2025年8月には、セミファイナル試験を特定臨床研究として東北大学病院で開始し、予定通り20例の患者登録を完了しました。

当社はノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本の研究室を、東北大学内の当社オープンイノベーション拠点である東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)内に設立することを、同研究所のDouglas E. Vaughan所長と合意しました(2025年1月22日適時開示)。さらに、東北大学とノースウエスタン大学は、がんや長寿の研究や臨床試験を共同で実施するための基本合意書を締結し(2025年11月10日適時開示)、その一環としてノースウエスタン大学医学部及びPotocsnak Longevity InstituteはXPRIZE Healthspanの当社チームに参加し、当社や東北大学と共同で、PAI-1阻害薬RS5614の抗加齢・長寿作用の臨床試験を実施する予定です。また、当社はサウジアラビア最大の研究・医療機関である「キング・アブドラ国際医療研究センター(KAIMRC)」との間でも基本合意書を締結しました(2025年10月6日適時開示)。さらに、当社は、台湾医科大学の100%子会社である Taipei Medical University(TMU)-Biotech社とPAI-1阻害薬RS5614の臨床開発及び事業化について共同開発契約を締結しています(2024年11月5日適時開示)。現在、ノースウエスタン大学、KAIMRC、台湾医科大学が主体となって、それぞれの国の薬事規制当局(FDA, Saudi FDA, Taiwan FDA)と協議を進めています。今後、日本や米国などの公的研究・医療機関と共同でがんや抗加齢・長寿研究を進める予定であり、また、民間企業とも実用化に向けたライセンス契約について協議を進める予定です。

b. 医療機器

- ディスポーザブル極細内視鏡(薬事承認済):2022年8月にはファイバースコープがPMDAに承認申請され、同年12月に厚生労働省から薬事承認されました。2022年9月に株式会社ハイレックスコーポレーション及びその子会社である株式会社ハイレックスメディカルと付属品であるガイドカテーテル作成を含めた医療機器開発に関する共同研究契約を締結しました。2024年5月、株式会社ハイレックスメディカルとライセンス契約を締結し、ガイドカテーテルとファイバースコープを合わせて2025年に薬事申請し、事業化に向けた開発を進める予定です。

c. AIを活用したプログラム医療機器

特に、呼吸機能検査診断、維持血液透析医療支援、糖尿病治療支援、嚥下機能低下診断の領域におけるプログラム医療機器(SaMD)開発に注力しています。当社のAIを活用したプログラム医療機器に関する取材記事が、2024年3月に科学誌『Nature』の取材記事として掲載されました。

2024年8月にTMU-Biotech社と台湾及び日本でのSaMD実用化を目指した共同開発契約を締結しました。TMU-Biotech社は、台北医学大学(TMU)(https://eng.tmu.edu.tw)で研究開発される医療シーズの事業化を目的としたTMU100%の子会社です。この共同研究開発契約により、当社とTMU-Biotech社が協力して、日本と台湾の両方でAIを活用するSaMDのパイプラインの事業化を図るものです。TMUは1960年に設立された私立医科大学で、台湾でトップクラスにランクされ、キャンパス内には6つの病院を擁し、ベッド数は3,000床に至り、それら膨大な医療データ、さらにデータサイエンティストなどの研究者により、様々なSaMDの研究開発が実施されています。当社とTMU-Biotech社は、日本と台湾での事業化を目指し、AIを活用した革新的なSaMDの研究開発で協力し、両国での規制承認のための臨床性能試験を実施します。

また、2025年10月にKAIMRCとの間で、人工知能(AI)を用いたプログラム医療機器の開発やサウジアラビアでの事業化に向けた連携などを進めていくための基本合意書を締結しました。

2024年度から国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)(代表機関:東北大学)に参画し、災害時においても安全安心な医療を提供するためのAIを活用した医療ソリューションに基づくデジタルツインモデルの開発を進め、2025年3月に本事業を終了しました。

- 呼吸機能検査診断SaMD(開発研究終了):京都大学、チェスト株式会社、NECソリューションイノベータ株式会社(NES)と共同開発を実施しています。2023年3月に開発段階の研究を終了し、同年6月にはチェスト株式会社より事業化段階への移行に関するマイルストーンを受領しました。2025年2月には、導出先のチェスト株式会社から対象地域拡大(国際展開)に係るオプション権行使に伴う一時金を受領しました。

- 維持血液透析医療支援SaMD(臨床性能試験実施中):聖路加国際大学、東北大学、ニプロ株式会社、日本電気株式会社(NEC)、NESと共同開発を実施しています。2023年2月にはAMED「医療機器開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は協力機関)」に採択されました。2023年4月にPMDA開発前相談を実施し、2024年1月にはPMDAプロトコール相談を完了しました。2024年10月から薬事承認申請のための臨床性能試験を実施し、目標症例数である150症例の登録を達成しました。解析の結果、最終的な正解率は92.2%(平均)で、当初設定していた主要評価項目の目標正解率80%を10%上回る結果であり、専門医に対するAI予測の非劣性(同等)が実証されました(ヒトでの概念実証(Proof of Concept:POC)が得られた)。また、2025年9月に本事業の実用化を加速するための研究費(調整費)として、AMEDより143,000千円の追加配賦を受けました。

本プログラム医療機器の実用化に向けて、2023年12月に東レ・メディカル株式会社、2024年3月にニプロ株式会社と共同開発契約を締結しました。臨床性能試験有効性が検証されたことから、薬事承認申請や事業化に向けた取組みを加速するため、ニプロ株式会社との間で共同開発契約の変更に関する覚書を締結しました(2025年10月30日適時開示)。

2022年10月に基本となる知的財産権を出願し、2023年5月に国際出願を行いました。また、2024年1月には新たな知財を追加出願しました。

- 糖尿病治療支援SaMD(臨床性能試験終了):東北大学、NEC、NESと共同開発を実施しており、2022年4月にAMED「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)(当社が代表機関)」に採択されています。2024年2月にPMDAプロトコール相談を実施し、臨床性能試験のプロトコールが確定しました。2024年8月から薬事承認のための臨床性能試験を実施し、目標症例数である130症例のデータを取得しました。解析の結果、最終的な正解率(平均)は85.46%であり、主要評価項目の目標正解率80%を5%上回る結果であり、専門医に対するAI予測の非劣性(同等)が実証され(ヒトでのPOCが得られた)、2025年3月に総括報告書を纏めました。また、2022年6月に基本となる知的財産権を出願し、2023年4月には国際出願を行いました。

- 嚥下機能低下診断SaMD(開発研究):東北大学、NECと共同開発を実施しており、音声から嚥下機能の低下を診断するプログラム医療機器を開発しています。既に、健常者と嚥下機能低下患者の音声を区別できるAIを開発し、2023年3月に基本となる知的財産権を出願しました。さらに、2023年12月にはPMDA開発前相談を実施しました。

- その他SaMD:乳がん病理診断、心臓植込み型電気デバイス患者における不整脈・心不全発症予測、人工心臓患者における血栓発生予測などの新たなAIを活用したプログラム医療機器を開発しています。人工心臓患者における血栓発生予測では株式会社ハイレックスコーポレーション及びその子会社である株式会社ハイレックスメディカルと共同研究を開始しました。

(事業収益に関する実績)

東レ・メディカル株式会社と人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に関する共同開発契約を締結しており、共同研究の対価として2025年5月にマイルストーン収入を計上しました。

以上の結果、当中間会計期間における事業収益は、人工知能(AI)搭載型血液透析医療機器の開発に係る東レ・メディカル株式会社からのマイルストーン収入の計上により10,000千円(前中間会計期間は事業収益55,749千円)となりました。また、営業損失は、慢性骨髄性白血病(CML)治療薬や悪性黒色腫治療薬、非小細胞肺がん治療薬及び皮膚血管肉腫治療薬等に係る研究開発費106,879千円を含む事業費用196,858千円を計上したことにより188,439千円(前中間会計期間は営業損失90,991千円)、経常損失は、世界的な長寿医療コンペティションXPRIZE Healthspanで TOP40(セミファイナリスト)に入賞したことによるコンテスト賞金収入36,975千円、未収入金の為替換算に伴う為替差損1,326千円を計上したことなどにより151,226千円(前中間会計期間は経常損失92,045千円)、中間純損失は、法人税、住民税及び事業税502千円を計上したことにより151,728千円(前中間会計期間は中間純損失72,968千円)となりました。

なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

(2) 財政状態に関する説明

(資産)

当中間会計期間末の流動資産は、前事業年度末の1,871,252千円と比べて188,155千円減少し、1,683,096千円となりました。これは主として研究開発費や人件費などの支払いにより、現金及び預金が233,864千円減少したことなどによるものです。

また、当中間会計期間末の固定資産は、前事業年度末と同額の110千円となりました。

この結果、資産合計は、前事業年度末の1,871,362千円と比べて188,155千円減少し、1,683,206千円となりました。

(負債)

当中間会計期間末の流動負債は、前事業年度末の151,210千円と比べて36,426千円減少し、114,783千円となりました。これは主として、前事業年度末に計上していた研究開発費などに係る未払金40,632千円が減少したことなどによるものです。

この結果、負債合計は、前事業年度末の151,210千円と比べて36,426千円減少し、114,783千円となりました。

(純資産)

当中間会計期間末の純資産は、前事業年度末の1,720,151千円と比べて151,728千円減少し、1,568,423千円となりました。これは中間純損失151,728千円を計上したことによるものです。

(3) キャッシュ・フローに関する説明

当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末の1,799,816千円に比べ233,864千円減少し、1,565,952千円となりました。

当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な変動要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間の営業活動資金の支出額は233,864千円(前中間会計期間は132,137千円の支出)となりました。これは主として、税引前中間純損失151,226千円の計上などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間の投資活動に係る収支はありません(前中間会計期間は2,250千円の収入)。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間の財務活動に係る収支はありません(前中間会計期間は9,476千円の収入)。

(4) 研究開発活動に関する説明

当社は、医薬品・医療機器・AIを活用したプログラム医療機器など、多様なモダリティ(治療様式)にわたる複数パイプラインの研究開発を進めており、当中間会計期間における主要パイプライン開発の進捗及びこれまでの開発実績は以下のとおりです。

なお、当中間会計期間における研究開発費は106,879千円であり、当中間会計期間末の当社研究開発従事者人員は6名(臨時雇用者を含む)です。

a.RS5614(PAI-1阻害薬)

(a) 慢性骨髄性白血病(CML)治療薬

CML患者を対象とした後期第Ⅱ相医師主導治験において、チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor、TKI)とRS5614を併用し、RS5614投与開始後48週における累積の深い分子遺伝学的奏効(deep molecular response、DMR:がんの原因遺伝子が検出されない状態)の達成率(※1)は33.3%(33例中11例でDMRを達成)であり、TKI単独でのヒストリカルコントロール(8-12%)に比べて有意に上昇していることを確認しました(2021年3月治験総括報告書完成、POC取得完了)。特に、TKI治療期間が3年以上5年以下の患者での累積DMR達成率は50.0%に達しました。また、RS5614の1年間の長期投与でも治療薬と因果関係のある重篤な有害事象は認められませんでした。本試験結果は、科学誌『Cancer Medicine』に掲載されました。

後期第Ⅱ相医師主導治験の成績に基づいて、東北大学、東海大学、秋田大学等、12の大学・医療機関と共同で慢性期CML患者を対象にTKIとRS5614の併用効果を検証するプラセボ対照二重盲検(※2)の第Ⅲ相医師主導治験を実施中です。本試験は、2022年3月にAMED「革新的がん医療実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」に採択されました。PMDAと2021年11月及び同年12月に対面助言を行い、2022年5月にPMDAに治験計画届を提出し、多施設共同の第Ⅲ相試験が開始されました。TKI治療期間が3年以上6年未満の慢性期CML患者60例を対象とし、TKI単独投与群よりも治験薬RS5614の併用群がTFRの指標である2年間以上のDMR維持率の有意な上昇の検証を行います(2026年まで実施予定)。2023年12月末の症例登録期間内に解析に必要な症例数を上回る57例が登録され、治験は予定通り進行しています。2024年12月に実施されたAMED「革新的がん医療実用化研究事業」の最終年度評価の結果、第Ⅲ相試験の目標症例数の登録が完了し、2年の延長期間内に試験を終了する目処が立っているとの理由から、さらに助成期間の2年間延長が承認されました。これにより、2026年3月期及び2027年3月期に見込んでいた費用計上がなくなり収益性が改善する見込みです。後期第Ⅱ相医師主導治験の結果が、2022年9月に科学誌『Cancer Medicine』に掲載されました。また、CMLを含む当社のがん治療薬の取組みが、2023年9月科学誌『Nature』の取材記事として掲載されました。

(※1)DMR達成率とTFR:現在の慢性期CML治療では高額なTKIを生涯服用する必要がありますが、最も深い治療効果であるDMRを達成し、一定期間維持した一部の患者では、TKIを中止しても再発がないこと(無治療寛解維持;TFR)が近年明らかとなっています。これまでに既存TKIで公表されている1年間(48週)の累積DMR達成率は8-12%(ヒストリカルコントロール)です。なお、DMR維持とは、DMRを達成した状態が一定期間継続することです。

(※2)二重盲検:対象患者を無作為に、治験薬(今回はRS5614)を投与する群と対照薬(今回は効果がないプラセボ)を投与する群に分け、医師も患者もどちらが投与されるかを知らない条件で、両群同時に薬を投与する臨床試験方法です。医師が効果の期待される患者に対して被験薬を投与するなどの故意が生じるおそれや、効果があるはずといった先入観が評価に反映される可能性や、患者が知った場合もその処置への反応や評価に影響が生じることを避けるための試験方法です。それぞれの群で出た結果を比較評価することで、治験薬の効果があるかを判断します。

(b) 悪性黒色腫(メラノーマ)治療薬

国内の悪性黒色腫患者では、海外とは異なるサブタイプの悪性黒色腫が多いことから、抗PD-1抗体(ニボルマブ)単剤療法による治療の奏効が困難とされています。RS5614は、腫瘍微小環境や免疫チェックポイント分子を制御し、がん免疫系を活性化する作用を持つことが明らかになっています。この作用に基づき、東北大学、筑波大学、都立駒込病院、近畿大学、名古屋市立大学、熊本大学の6大学と共同で、NPO法人「JSCaN」を立ち上げ、悪性黒色腫の治療成績向上のために連携しています。これら6大学で、悪性黒色腫治療薬としてのRS5614の有効性と安全性を確認するための第Ⅱ相試験を2021年7月に開始しました。

本試験は、2021年5月にAMED「橋渡し研究プログラムシーズC(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」の支援を受けた、進行性悪性黒色腫患者40例を対象とする多施設共同、非盲検試験です。ニボルマブ併用のもと、RS5614を1日1回120-180 mgで投与し、8週間投与後に有効性と安全性の評価を行い、40例の患者登録が2023年3月で完了しました。本治験の結果、悪性黒色腫患者29例に対して、当社が開発したPAI-1阻害薬RS5614を8週間併用することにより、主要評価項目で7例において奏効が見られました(奏効率 24.1%)。

被験者数 29 分類 例数(%)
奏効(%) 7 (24.1%) 完全奏功(CR) 1 (3.4%)
95%信頼区間 [10.3%, 43.5%] 部分奏功(PR) 6 (20.7%)
安定(SD) 11 (37.9%)
進行(PD) 11 (37.9%)

この奏効率は、現在承認されている、ニボルマブとイピリムマブの併用の有効性と同等以上の成績でした(ニボルマブ無効例におけるニボルマブとイピリムマブ併用の奏効率は、海外21%、国内13.5%)。また、ニボルマブとRS5614の併用による疾患制御率は62%に達しました。ニボルマブとイピリムマブ併用では重篤な免疫関連副作用が多発することが問題となっていますが、ニボルマブとRS5614の併用においては特に問題となる重篤な副作用も見られていません。本試験の速報結果は2023年8月に開示しており、2024年2月に同内容で治験総括報告書が作成されました。また、2024年6月に、本治験の結果が科学誌『British Journal of Dermatology』に掲載されました。

悪性黒色腫の次相試験に関して、2023年12月にPMDA対面助言を実施し、臨床プロトコールを確定し、2024年8月には厚生労働省より悪性黒色腫に対する希少疾患用医薬品の指定を受けました。本指定により、PMDAの優先的な指導・助言、薬価算定における市場性加算、さらに承認後の再審査期間が延長され本治療薬事業の独占期間が長くなることが見込まれます。

2024年12月には、第Ⅲ相医師主導治験の実施について、東北大学病院治験審査委員会(IRB)から承認されました。PMDAに治験計画届を提出し、2025年2月に最初の被験者への投与が東北大学病院で実施され、根治切除不能悪性黒色患者124例を対象にニボルマブとのRS5614の併用の有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相医師主導治験を開始しました。本治験は薬事申請へ向けた検証的な第Ⅲ相試験であり、東北大学を含む18施設による多施設共同試験で実施しています。本試験については、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の希少疾病用医薬品等試験研究助成事業に採択されており、悪性黒色腫の関連研究費として支出した経費の2分の1を上限とし、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の当該事業予算の範囲内で事業年度毎に助成を受けられます。

悪性黒色腫を含む当社のがん治療薬への取組みが、2023年9月科学誌『Nature』の取材記事として掲載されました。

(c) 非小細胞肺がん治療薬

非臨床試験から、PAI-1が肺がんの腫瘍進展、さらにはがん細胞の増殖能亢進や血管新生に関与していること、さらに抗PD-1抗体に耐性となった肺がん細胞がPAI-1を高発現することなどの知見が明らかとなり、当社と広島大学との共同研究で非小細胞性肺がんモデルマウスを用いた非臨床試験を実施した結果、抗PD-1抗体とRS5614の併用投与は抗PD-1抗体単剤投与よりも高い抗腫瘍効果を示すことを確認しました。そこで、2つ以上の化学療法歴を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者(3次治療以降の患者)39例を対象に、ニボルマブとRS5614との併用投与の有効性及び安全性を検討することを目的とした国内前期第Ⅱ相医師主導治験を開始しました。2023年3月にPMDA相談を完了し、治験実施計画書が確定したことから、広島大学、島根大学、岡山大学、鳥取大学、四国がんセンター、広島市民病院などの医療機関と協力して2023年9月から治験を実施しており、2025年7月に症例登録を終了しました(登録患者数36症例)。今後、投与期間(最大24週間)を経て、本試験の評価、データ解析の結果を治験総括報告書に纏める予定です。悪性黒色腫から肺がんへの適応拡大は、抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害薬と同じ展開です。

当社は、2022年10月に国立大学法人広島大学と非小細胞肺がんに対する非臨床試験及び臨床試験に向けての共同研究契約を締結しました。研究段階が非臨床試験から臨床試験(医師主導治験)に移行したこと、さらには広島大学の特色や強みを生かし、医師主導治験実施を含めた医薬品及びプログラム医療機器の共同研究開発を行い、研究開発の効率化及び推進並びに人材育成などを目的としたオープンイノベーション拠点(Hiroshima University x Renascience Open innovation Labo:HiREx)を設けるため、2023年4月に広島大学と包括的研究協力に関する協定書を締結しました。本治験はHiRExを主体に実施しています。

(d) 血管肉腫治療薬

東北大学との共同研究において、血管内皮細胞の腫瘍である血管肉腫はPAI-1を高発現しており、その発現頻度が高い患者では1次治療でのタキサン系抗がん剤の効果が得られにくいことが報告されています。タキサン系抗がん剤の作用機序としては、アポトーシスの誘導が考えられていますが、PAI-1は主として血管内皮から産生され、PAI-1を高発現しているがん細胞はアポトーシス耐性であることから、タキサン系抗がん剤とPAI-1阻害薬RS5614を併用することにより、タキサン系抗がん剤の血管肉腫治療効果を増強できる可能性が強く示唆されます。

2023年1月にPMDA相談を完了、治験実施計画書が確定し、同年8月に治験計画届を提出しました。東北大学、自治医科大学、九州大学、名古屋市立大学、国立がん研究センター中央病院、がん研究会有明病院などの大学・医療機関と共同で、タキサン系抗がん剤パクリタキセルが無効となった皮膚血管肉腫患者16例を対象にパクリタキセルとRS5614の併用による有効性及び安全性を評価する第Ⅱ相医師主導治験を2023年10月に開始し、2025年6月に登録患者数が16症例となり、症例登録を完了しました。今後、投与期間(28週間)を経て、本試験の評価、データ解析の結果を治験総括報告書に纏める予定です。本研究で有効性を検証できれば、有効な治療薬のない皮膚血管肉腫患者に対して新たな治療法が提案できます。本治験はHiRExを主体に実施しています。

(e) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う肺傷害治療薬

当社は、RS5614の肺微小血栓、線維化、肺気腫改善作用及び肺(上皮)保護作用に着目し、COVID-19に伴う肺傷害治療薬(経口薬)を開発しています。2020年秋から前期第Ⅱ相医師主導治験(非盲検)を実施し、2021年6月に治験総括報告書が完成しました。特筆すべき副作用は無く、肺傷害で入院し本治験薬を投与された26名全員が無事退院されました。

前期第Ⅱ相医師主導治験の成績に基づき、東北大学、京都大学、東京科学大学、東海大学等国内20の大学等の医療機関と共同で、COVID-19に伴う肺傷害患者(中等症、入院患者)を対象とするプラセボ対照二重盲検の後期第Ⅱ相医師主導治験を実施しました。本治験は、2021年3月にAMED「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」に採択され、2021年4月のPMDA事前面談に基づき実施計画書を確定して2021年6月から開始しました。本治験は、COVID-19の流行時期やウイルス株変異の影響を受け、治験の対象となる肺炎入院患者数が減少したため、最終的に入院患者75例(RS5614群39例、プラセボ群36例)を対象にプラセボ対照第Ⅱ相試験を実施し、2023年4月に治験総括報告書を纏めました。有効性の主要評価項目である「酸素化悪化指標スケール(※1)の総和」は、両群間で統計学的な有意差は認めませんでしたが、プラセボ群に対してRS5614群で悪化の抑制が見られ、特に中等症Ⅰ患者(※2)での有効性が示唆されました。さらに、酸素治療が必要となる症例の割合も、入院後3~5日でRS5614群の方が少ないことから、早期治療でのRS5614の有効性が示唆されました。また、RS5614群では、プラセボ群と異なり、肺炎画像所見の改善も認めました。副作用発現率はRS5614群とプラセボ群で同程度であり、COVID-19に伴う肺傷害患者に対する本被験薬(RS5614)投与の安全性も確認できました。

RS5614は抗ウイルス薬とは作用機序が全く異なり、肺炎に対する内服薬です。現時点で抗ウイルス薬以外のCOVID-19に伴う肺傷害に対する治療薬は高額な注射薬ですが、RS5614は経口投与が可能であり、化学合成で製造される低分子医薬品であるため、その価格も低く抑えられます。現在、COVID-19は落ち着いていますが、肺炎を惹起する新たな株の発生に際して速やかに次相臨床試験(軽症から中等症Ⅰの肺炎患者を対象)を実施できるよう準備をし、2023年4月にPMDA事前面談を実施しました。

2023年10月に、PAI-1阻害薬の新規用途特許兼用法用量特許「線溶系亢進薬、及びその用途」が日本において特許査定が得られ、2041年5月まで有効です(米国、欧州は出願中)。本特許により、当社PAI-1阻害薬の医薬用途及び用法用量に関する発明が保護され、さらに特許期間の延長が可能となります。なお、前期及び後期第Ⅱ相医師主導治験の結果は、2024年1月に科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。

(※1)被験者の酸素化の状況を、酸素なし(0点)~人工呼吸器エクモ装着(5点)までの点(例えば、酸素投与2L以上、5L未満は2点)を毎日付けて14日間の合計で比較

(※2)定義は「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き、第10.0版」に記載

・ 中等症Ⅰ:新型コロナウイルス感染症で、血中の酸素の値が93%から96%の間で、呼吸困難や肺炎初見が認められるが、呼吸不全はなく、酸素投与治療は行われていないステージ

・ 中等症Ⅱ:血中の酸素の値が93%以下で、呼吸不全があり、酸素投与治療が必要なステージ

・ 重症:集中治療や人工呼吸器が必要なステージ

(f) 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)治療薬

数々の国内外との共同研究にてRS5614が非臨床試験で種々の肺傷害(気腫、線維化、炎症)の改善と上皮細胞保護作用を示すことから、SSc-ILDの線維化を抑制する治療薬としての開発に着手しました。SSc-ILDのモデルであるブレオマイシン誘導皮膚/肺線維化モデルマウスを用いて、SSc-ILD治療薬であるニンテダニブ(10、50 mg/kg/日)とRS5614(1、5 mg/kg/日)の4週間連続投与における有効性比較の非臨床試験を行った結果、肺傷害の抑制作用の指標であるヒドロキシプロリン量の増加及びAshcroft scoreにおいて、RS5614はニンテダニブに比して、より低用量で有意な改善を示しました。そこで、SSc-ILDに対するRS5614の安全性と有効性を検証する第Ⅱ相医師主導治験(プラセボ対照二重盲検試験)を開始しました。2023年2月に実施したPMDA事前面談に基づき同年5月に実施した対面助言で最終的な臨床プロトコールが確定し、2023年9月に治験計画届を提出しました。本試験は、2023年3月にAMED「難治性疾患実用化研究事業(代表機関:東北大学、当社は分担機関)」に採択されました。東北大学、東京大学、金沢大学、福井大学、大阪大学、和歌山県立医科大学、群馬大学、横浜市立大学、札幌医科大学、藤田医科大学の国内10の大学・医療機関と共同で、2023年10月からSSc-ILD患者50名を対象に2年半の治験を実施しています。2024年12月には、目標症例数である50症例の登録が完了しています。今後、被験者の投与期間(48週間)を経て、本試験の評価、データ解析の結果を治験総括報告書に纏める予定です。

(g) 抗加齢(アンチエイジング)・長寿研究

XPRIZE Healthspan(https://www.xprize.org/prizes/healthspan)は、人間の老化や長寿に対する治療アプローチに革命を起こし、健康寿命を積極的に10年以上延伸することを目的とし、2030年までに健康寿命を延ばすことができた研究チームに対して、総額1億米ドルを支払うという長寿を課題としたコンペティションです。このコンペティションは、XPRIZE財団(※1)が主催し、人間の老化や長寿に対する治療アプローチに革命を起こし、健康寿命を積極的に10年以上延伸するという挑戦的な課題に取り組むことを目的とします。世界から600以上のエントリー、200以上の書類応募があり、人間の長寿に対する治療アプローチとして、低分子医薬品、バイオ医薬品(エクソソーム、免疫調節剤、抗体医薬)、遺伝子治療、幹細胞治療、医療機器(デジタルヘルスデバイス、電気医療機器、磁気医療機器)、サプリメント、機能性食品、食事制限、運動療法、さらにそれらの組み合わせなど様々なモダリティが提案されました。

当社は、PAI-1阻害薬RS5614の抗加齢作用(※2)に基づき、「老化細胞を除去し、がん化を促進する事なく老化関連疾患を抑制する新たな新規低分子医薬品」のコンセプト(Senolytic drug(※3))を提唱し、東北大学、東海大学、広島大学の研究機関及び医療機関との共同でXPRIZE Healthspanに応募し、2025年5月12-14日に米国ニューヨークで開催されたXPRIZE Healthspanの受賞セレモニーで、TOP40(セミファイナリスト)に入賞し、賞金25万米ドルを受け取りました。セミファイナリストは、2026年3月末までに1年以内のセミファイナル臨床試験(※4)を実施し、その報告書をXPRIZE Healthspan評価委員会に提出します。このセミファイナル臨床研究成績を基に、2026年8月にTOP10(ファイナリスト)が選出され(賞金100万米ドル)、最終コンペティションのための4年のファイナル臨床研究(※5)が実施されます。ファイナル臨床研究を実施したTOP10のチームの中で最も優れた研究に対しては、寿命を延ばした年数に応じて賞金が与えられます(最大8,100万米ドル)。当社は、東北大学、東海大学、広島大学、東京科学大学など国内外の研究機関及び医療機関との共同で、このXPRIZE Healthspanのセミファイナル臨床試験に取り組みます。2025年8月には、セミファイナル試験を特定臨床研究として東北大学で開始し、予定通り20例の患者登録を完了しました。

当社はノースウエスタン大学Potocsnak Longevity Institute(長寿研究所)の日本の研究室を、東北大学内の当社オープンイノベーション拠点である東北大学レナサイエンスオープンイノベーションラボ(TREx)内に設立することを、同研究所のDouglas E. Vaughan所長と合意しました(2025年1月22日適時開示)。さらに、東北大学とノースウエスタン大学は、がんや長寿の研究や臨床試験を共同で実施するための基本合意書を締結し(2025年11月10日適時開示)、その一環としてノースウエスタン大学医学部及びPotocsnak Longevity InstituteはXPRIZE Healthspanの当社チームに参加し、当社や東北大学と共同で、PAI-1阻害薬RS5614の抗加齢・長寿作用の臨床試験を実施する予定です。また、当社はサウジアラビア最大の研究・医療機関である「キング・アブドラ国際医療研究センター(KAIMRC)」との間でも基本合意書を締結しました(2025年10月6日適時開示)。さらに、当社は、台湾医科大学の100%子会社である Taipei Medical University(TMU)-Biotech社とPAI-1阻害薬RS5614の臨床開発及び事業化について共同開発契約を締結しています(2024年11月5日適時開示)。現在、ノースウエスタン大学、KAIMRC、台湾医科大学が主体となって、それぞれの国の薬事規制当局(FDA, Saudi FDA, Taiwan FDA)と協議を進めています。今後、日本や米国などの公的研究・医療機関及び民間企業と共同で抗加齢・長寿研究及び事業化に向けた開発を進める予定です。

XPRIZE Healthspan スケジュール

2025年5月12日              セミファイナリスト発表(40チーム、賞金25万米ドル)

2025年8月~2026年3月      セミファイナル臨床試験(特定臨床研究)実施

2026年3月末            セミファイナル臨床試験報告書提出

2026年4月          ファイナル臨床試験申請

2026年8月            ファイナリスト発表(10チーム、賞金100万米ドル)

2027年1月~2029年12月       ファイナル臨床試験実施

2030年1月               ファイナル臨床試験報告書提出

2030年12月               グランプリ発表(最大8,100万米ドル)

当社は、『ヒトが心身共に生涯にわたって健康を享受できるための新しい医療を創造したい』との目標を掲げて研究に取り組んでいますが、老化関連疾患の治療薬開発は当社の重要な研究及び事業の課題です。日本を含む先進国では超高齢化が進み、平均寿命と健康寿命(心身ともに健康で自立して生活できる期間であり、平均寿命から寝たきりや認知症などの介護状態の期間を差し引いた期間)の差が約10年あることが大きな課題となっています。加齢と共に生じる種々の疾患、例えば、がん、循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病などを治療できれば、健康寿命の延伸に繋げることができます。これら4疾患は全世界の死亡者数の70-80%に至り、世界保健機関(WHO)でも老化や生活習慣に伴う重要な疾患として位置付けられています。当社は、これら4疾患の治療薬を含めた健康寿命を伸ばすための医薬品開発という医学的あるいは社会的にも重要な課題を解決すべく取り組んでおり、XPRIZE Healthspanという世界的な長寿コンペティションで、当社の開発している医薬品のポテンシャルを評価いただきたいと考えます。

現時点では、RS5614はヒトの医療用医薬品(医師の診断や処方箋に基づいて使用される医薬品で処方薬ともいう)として開発しているので、がんなど個々の疾患に対する治療の適応をとるための臨床試験(治験)を実施しています。一方、XPRIZE Healthspanで実施する抗加齢の臨床試験は、すぐには医療用医薬品としての承認申請を目指すものではないため、セミファイナル臨床試験は「特定臨床研究」として実施します。一般的な医薬品(例えば悪性黒色腫治療薬)の治験は、特定の疾患(悪性黒色腫)を有する患者が対象となります。一方、XPRIZE Healthspanで実施する抗加齢の特定臨床研究では広く一般高齢者が対象となり、異なる生活習慣病を複数持った方が対象であるため、患者毎に疾患の背景も大きく異なります。また、医薬品の抗加齢に対する有効性を判断するには、それなりの長い期間が必要となります。XPRIZE Healthspan臨床試験では数ヶ月(セミファイナル臨床試験)、1年程度(ファイナル臨床試験)という短期間での治療効果を判断しなくてはなりません。さらに、個体や臓器の抗加齢への有効性を判断するための客観的、科学的な評価項目(エンドポイント)も明確なものはありません。以上のことから、抗加齢作用を確認するための臨床試験は極めて難しいと考えられます。今回のXPRIZE Healthspanファイナル臨床試験では、免疫、筋肉、認知機能などいくつかの生体機能に絞って評価を行い、その評価指標もXPRIZE Healthspanの審査委員会で設定した内容で実施されます。

これまで抗加齢の研究は主にマウスなどの研究が主体でしたが、今回のXPRIZE Healthspanで初めて世界規模でのヒトでの臨床研究が実施されます。XPRIZE Healthspanを契機に、ヒトの抗加齢に対する治療法の科学的、客観的、合理的な開発が加速されることが期待されます。RS5614は、がん細胞に発現するPAI-1や免疫チェックポイント分子を阻害して、がんに対しての免疫を活性化して、がんを治療することを非臨床試験(動物モデル)で確認しています。ヒトの悪性黒色腫の治験(第Ⅱ相)では、2ヶ月の短い投与期間にも関わらず治療効果が確認できていますので、少なくともがんに対する免疫機能の改善に対してはヒトでも実証できています。今回のXPRIZE Healthspanでは、抗加齢に対する免疫機能改善を検討するわけですが、免疫機能の評価指標は多くのバイオマーカーなどもあり比較的検討しやすいと考えています。

筋肉機能に関しても、PAI-1遺伝子欠損マウスやPAI-1阻害薬を投与した加齢マウスで筋肉や骨量の増加を確認しています。さらに、認知機能に関しても、マウスのアルツハイマー病モデルではPAI-1阻害薬を投与するとアミロイド沈着の減少、認知機能や学習障害の改善などを認めます。このように、マウスでは免疫、筋肉、認知機能の改善を確認できており、科学誌にも報告しています。ただ、短期間の内服により、ヒトでこれら機能の改善をヒトの臨床研究で実証できるかどうかは不明です。XPRIZE Healthspanの臨床試験には、免疫、筋肉、認知機能の専門家にも参加いただく予定です。

長寿やアンチエイジング(抗加齢)は、超高齢化を背景に急成長しているセルフメディケーション分野、OTC医薬品(※6)、さらには動物医薬品市場の重要なテーマです。当社が開発したPAI-1阻害薬RS5441の脱毛症治療薬としての実例もあり、当社のPAI-1阻害薬の抗加齢(アンチエイジング)・長寿研究をさらに推進し、医療用医薬品以外の適応に関しても取り組む予定です。

(※1)XPRIZE財団

イーロンマスク氏などがスポンサーとなり、人類のための根本的なブレークスルーをもたらすことによって、新たな産業の創出と市場の再活性化を刺激することを使命とし、様々な世界的な挑戦的コンペティションを開催する財団です。

(※2)PAI-1阻害薬RS5614の抗加齢作用

当社はこれまで老化について長年研究しており、ノースウエスタン大学及び東北大学との共同研究より、当社の開発したPAI-1阻害薬RS5614が細胞や老化マウスにおいて、老化症状を改善し、長寿につながる可能性があることを示唆する下記一連の科学的事実を明らかにしてきました。

·  生物の細胞は、細胞老化(※7)と呼ばれる現象のために、無制限に増殖することはできません。この現象には、遺伝子のテロメア長(※8)の短縮、p53, p21, p16ink4aなどの細胞老化因子が関与しています。老化した細胞は、PAI-1の発現が極めて高いことが分かっています。当社が開発したPAI-1阻害薬は、p53, p21, p16ink4aを抑制して、老化バイオマーカー(※9)を改善し、心筋細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞の細胞老化を阻害します(Oncotarget, 2016)。

·  当社が開発したPAI-1阻害薬は、ヒトの早老症であるハッチンソン-ギルフォード症候群(※10)(指定難病333)の線維芽細胞のDNA損傷を減少し、ミトコンドリア障害を改善し、ハッチンソン-ギルフォード症候群の細胞異常を是正することがわかりました(Cell Death and Disease, 2022)。

·  細胞のみならず、老化した組織や個体(マウス、ヒト)では、PAI-1の発現が高いことが知られています。老化モデルとして有名なklothoマウス(※11)を用いた非臨床試験で、PAI-1阻害薬はklothoマウスの老化主症状を改善することがわかりました(Proc Natl Acad Sci USA. 2014)。米国に生活するアーミッシュ(※12)の血液を検査し、PAI-1遺伝子を欠損している者が多数存在していることを確認し、これらのPAI-1遺伝子欠損者が同遺伝子保有者と比べて10年程度寿命が長いことを報告しました(Science Advances, 2017)。このヒトでの疫学調査の結果は、細胞やマウスで得られた実験知見と整合しています。この事実は2017年11月21日のニューヨークタイムズの記事で紹介されました(The New York Times, November 21, 2017)。さらに、アーミッシュのヒトと同じPAI-1遺伝子の異常を有するマウスの寿命は、正常のマウスに比べて20%程度長いことが報告されました(Journal of Clinical Investigation, 2025)。

·  がん、血管(動脈硬化)、肺(肺気腫、慢性閉塞性肺疾患)、代謝(糖尿病、肥満)、腎臓(慢性腎臓病)、骨・筋肉(骨粗鬆症、サルコペニア)、脳(脳血管障害、アルツハイマー病・認知症)など加齢関連疾患の臓器ではPAI-1の発現は極めて高く、当社のPAI-1阻害薬を投与することで病態が改善できることが国内外の多くの大学との共同研究から報告されています(下図)。最近、動脈硬化などの血管の老化を回復させる可能性が示唆されています(Journal of Clinical Investigation, 2025)。

当社が開発したPAI-1阻害薬を用いた非臨床試験

(※3)Senolytic drug

がん化を促進する事なく老化関連疾患を抑制することをsenolyticsといい、その作用を有する医薬品をsenolytic drugと言います。老化(senescence)と対抗(lytics)を組み合わせた言葉で、「老化防止」を意味します。

(※4)セミファイナル臨床試験

50歳以上の少数例(20名以内)を対象とし、1~2ヶ月間の短期間の治療介入効果を評価する臨床研究となります。介入効果に加えて、安全性と被験者保護の対応、認定臨床研究審査委員会(CRB、Certified Review Board)の承認、患者登録の実現性、データの収集・管理・提出能力などを総合的に評価します。

(※5)ファイナル臨床試験

50歳以上の100名程度(200名以内)を対象とし、1年間の治療介入効果を評価する計4年間のクロスオーバー対象臨床研究となります。対照群と比較して、治療介入群が設定された3つの評価機能(筋肉、認知、免疫)すべてにおいて、少なくとも10年以上の機能改善を実証することを目的とします。

(※6)OTC医薬品

医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアなどで処方箋なしで購入できる「要指導医薬品」と「一般用医薬品」のことをいいます。要指導医薬品は、OTC医薬品として初めて市場に登場したもので慎重に販売する必要があることから、薬剤師が当該医薬品に関する説明を行うことが義務付けられています(インターネット等での販売は難しい)。要指導医薬品以外のOTC医薬品を一般用医薬品といいます(分類によっては薬剤師の説明が必要)。

(※7)細胞老化(Senescence)

生物の細胞は、細胞老化と呼ばれる現象のために、無制限に増殖することはできません。 この現象には、遺伝子のテロメア長の短縮、p53 などの細胞老化因子が関与しています。老化した細胞は、p53 に加えて、PAI-1の発現が極めて高いことが分かっています。p53 やPAI-1を抑制することで、細胞老化の現象は阻害できることが明らかになりました。

(※8)テロメア長

テロメアは染色体の末端に存在する構造で、細胞分裂のたびに短縮することが知られています。テロメア長は細胞の寿命や老化と密接に関連しており、その維持は健康や加齢に伴う疾患の予防に重要な役割を果たします。

(※9)老化バイオマーカー

老化細胞のバイオマーカーとして、細胞周期調節因子(p16ink4a, p21, p53, p16, IGFPB3)、老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)染色、IL-6等インターロイキンなどの細胞老化随伴分泌現象(SASP:senescence-associated secretory phenotype)、DNA損傷応答などが解析されます。当社の開発したPAI-1阻害薬は、これら老化バイオマーカーを改善することが国外の研究から報告されています(Oncotarget 2016, Cell Death and Disease 2022)。

(※10)ハッチンソン-ギルフォード症候群

1886年にJonathan Hutchinsonと1897年にHasting Gilfordが報告したことから命名された疾患です。遺伝性早老症の中でも特に症状が重い疾患で、動脈硬化による脳や心臓の重篤な血管障害が10代で起こることが多く、平均寿命は14.6歳と報告されています。

(※11)klothoマウス

抗加齢遺伝子klothoの発現が低下または欠損した遺伝子改変マウスで、ヒトの早老症に類似した老化現象を示します。

(※12)アーミッシュ

アメリカ合衆国の中西部などに居住する集団であり、 移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足の生活をしています。

(h) RS5441(PAI-1阻害薬)男性型脱毛症及び加齢性脱毛症外用薬

当社は、2016年10月に皮膚科疾患用途におけるRS5441の独占的権利をエイリオン社に許諾しました。これまでに2023年4月及び6月にエイリオン社が行使したオプション権の対価を受領しましたが、2024年7月から同社は第Ⅰ相試験を開始したため、2024年7月に新たにマイルストーンを受領しました。第Ⅰ相臨床試験に先駆けて実施された非臨床試験では、男性型脱毛症患者の頭皮組織移植片60検体が5%溶液ET-02(RS5441)に暴露されました。ET-02による治療4ヶ月目の発毛率は、同じ実験移植モデルを用いた標準治療薬ミノキシジル(N=103)による発毛率の4倍高いという結果が得られました。非臨床試験成績を踏まえて、2024年7月1日、外用薬 ET-02(RS5441)の男性型脱毛症(加齢性脱毛症)治療に対する安全性と有効性を評価する第Ⅰ相臨床試験が開始されました。この二重盲検プラセボ対照試験は、プラセボ、ET-02の1.25%または5%溶液のいずれかで構成される二重盲検プラセボ対照試験を米国の3つの医療機関、合計24人の被験者で実施しました(1日1回の外用、28日間投与)。その結果、ET-02(RS5441)は安全で、良好な耐容性を示し、高用量の5%ET-02群で有意な反応が観察されました。5%ET-02群は、5週目の終了時点において、プラセボ群と比較して非軟毛(または正常)の毛数が6倍に増加しました。1か月の治療後、5%ET-02は、男性型脱毛症の治療薬であるミノキシジルの別の臨床試験で測定された4か月の治療後の局所ミノキシジルよりも多くの非軟毛の成長を示し、実質的に変化のなかったプラセボ群と比較して、非軟毛の毛髪の太さを約10ポイント改善しました。この第Ⅰ相臨床試験の結果は、非臨床試験で確認された5%ET-02の有効性を実証しています。ET-02(RS5441)の安全性と有効性を確認することを目的に今後、第Ⅱ相臨床試験(N=150)を開始する予定です。また、将来的にET-02が商業化された場合にはエイリオン社からロイヤリティを受領する予定です。なお、特許期間満了(2029年3月31日)後も一定期間((a) ET-02 の製品が当社許諾特許の有効な請求範囲でカバーされる最終日、(b) ET-02 の製品に関する規制またはデータ独占権の満了日、及び (c) ET-02 の製品の最初の販売から10 年後、のいずれか遅い日まで)ロイヤリティが受領できる契約となっております。

b.RS8001(ピリドキサミン)更年期障害治療薬

2021年12月に東京科学大学と共同研究契約を締結し、更年期障害の2大症状(ホットフラッシュ(※)とうつ)の治療薬としてRS8001の臨床研究を準備してきました。2023年3月にAMED「女性の健康の包括的支援実用化研究事業(代表機関:東京科学大学、当社は協力機関)」に採択され、東京科学大学などで3年間の臨床研究が開始されました。本臨床研究では、プラセボ効果をできる限り排除する目的でプラセボリードイン方式を採用した二重盲検法(各群25名)で実施しています。

(※)ホットフラッシュ:更年期障害の代表的な症状として上半身ののぼせ、ほてり、発汗等が起こります。

c.RS9001(ディスポーザブル極細内視鏡)

腹膜透析は透析液を注入するチューブを常に腹膜に挿入されていますが、当社は、この細いチューブを通して挿入し、開腹手術にも腹腔鏡にもよらず非侵襲的に腹腔内を観察する極細内視鏡(径1mm程度)を東北大学等複数の大学と共同開発しました。

2022年8月にはファイバースコープ(※1)がPMDAに承認申請され、同年12月に厚生労働省から薬事承認されました。本製品の詳細は、以下のとおりです。

・ 承認番号:30400BZX00294000

・ 一般的名称:軟性腹腔鏡

・ 販売名:経カテーテル腹腔鏡 PD VIEW

・ 類別コード:器 25

2022年9月に株式会社ハイレックスコーポレーション及びその子会社である株式会社ハイレックスメディカルと付属品であるガイドカテーテル(※2)作成を含めた医療機器開発に関する共同研究契約を締結しました。ディスポーザブル極細内視鏡については、2020年5月にバクスター社とライセンス契約を締結しておりましたが、2024年5月にバクスター社とのライセンス契約を解約し、新たに株式会社ハイレックスメディカルとライセンス契約を締結しました。ガイドカテーテルとファイバースコープを合わせて2025年に薬事申請し、事業化に向けた開発を進める予定です。

(※1)ファイバースコープ(使い捨て):ディスポーザブル極細内視鏡の本体です。先端部は径1mm程度で、腹部に留置されているチューブの中を通ります。

(※2)ガイドカテーテル(使い捨て):ファイバースコープと組み合わせて使用することでファイバースコープの先端部分を自由に動かすことができます。ガイドカテーテルを使用しなくても、ファイバースコープのみで腹膜の状態を観察することが可能ですが、使用することで操作性が向上します。

d.AIを活用したプログラム医療機器の開発

(a) RSAI01(呼吸機能検査診断プログラム医療機器)

呼吸器疾患や呼吸機能の検査の中でスパイロメトリー(※)が最も重要ですが、その普及は進んでいません。被験者(患者)の協力(努力呼吸)が必要である点に加えて、正しく検査が行えたかどうかを判定し、かつ出力された結果(フローボリューム曲線)を解釈することが非専門医には難しいためです。非専門医でも簡便に結果を解釈できるシステムの開発は、呼吸器疾患を診断し、早期治療を行う上で重要な医療課題と考えられます。フローボリューム曲線を解釈するAIを、京都大学及びNESと共同で開発しました。約1,000症例(2,500データ)の医療データを取得し、実用化モデルの開発を完了しました。現在は、チェスト株式会社が中心となって臨床開発に向けた準備を進めています。

2020年7月にスパイロメトリーのリーディングカンパニーであるチェスト株式会社と共同開発及び事業化に関する契約(ライセンス契約)を締結し一時金を受領しました。また、2023年6月には事業化段階移行に合意し、対価としてマイルストーンを受領し、2025年2月には対象地域拡大(国際展開)に係るオプション権行使に伴い一時金を受領しました。

(※)スパイロメトリー:呼吸機能生理検査で、被験者が吐き出す息の量と吐き出す時間を測定します。慢性閉塞性肺疾患(COPD)及びその他の肺の病気の診断に重要な検査です。

(b) RSAI02(維持血液透析医療支援プログラム医療機器)

慢性腎不全患者は、廃絶した腎臓の代わりに除水と老廃物の除去を行うために週3回、生涯にわたって血液透析を受けます。除水不足は心不全、高血圧等心肺機能に障害を与える一方、過度な除水は透析中の低血圧を生じ、気分不良、意識消失といった有害事象をもたらします。不適切な除水量の設定により除水不足や過除水が生じ有害事象が発生すると医療従事者は患者対応に追われ、大きな負担となります。安全安心な血液透析を実現するために、適切な目標総除水量を予測するAI(Dual-Channel Combiner Network、DCCN)を、東北大学及びNECと共同で開発しています。聖路加国際病院や民間透析医療施設から取得した透析回数72.5万件の透析記録(患者情報、透析情報、検査情報)を学習させ、患者の過去の5回の透析記録及び透析当日の透析前データから、医師が経験的に設定した目標総除水量と7-8%程度の平均絶対誤差率(mean absolute percentage error、MAPE)で目標総除水量を予測するAIが開発できています。

2023年4月にはPMDA開発前相談を完了し、2024年1月に臨床性能試験実施のためのPMDAプロトコール相談を完了しました。2024年10月から薬事承認申請のための臨床性能試験を実施しており、現在までに目標症例数である150症例のデータ取得が完了し、臨床性能試験の結果、最終的な正解率は92.2%(平均)であり、当初設定していた主要評価項目の目標正解率80%を大きく上回る結果となり、専門医に対するAI予測の非劣性(同等)が確認されました(ヒトでのPOCが得られた)。

正解率(Correct rate): 臨床性能試験主要評価

対象者数 108例
正解率(平均) 92.2
平均値の信頼区間 [91.2 , 93.3]

本AIプログラム医療機器の開発は、2023年2月にAMED「医療機器開発推進研究事業(代表機関:東北大学、当社は協力機関)」に採択され、2025年9月には本事業の実用化を加速するための研究費(調整費)として、AMEDより143,000千円の追加配賦を受けました。2022年10月に基本となる知的財産権を出願し、2023年5月に国際出願を行いました。また、2024年1月には新たな特許を追加出願しました。なお、当社のAIを活用した維持血液透析医療支援のプログラム医療機器に関する取材記事が、2024年3月に科学誌『Nature』に掲載されました。

2021年5月に本AIプログラム医療機器(ソフトウェア)の開発に関してニプロ株式会社と共同研究契約を締結し、2022年5月には契約期間延長に伴う契約一時金を受領しました。開発段階が臨床性能試験の実施まで進捗したことから、2024年3月にニプロ株式会社と共同開発契約を新たに締結し契約一時金を受領し、さらに2026年9月まで共同開発契約期間を延長しました。臨床性能試験で有効性が検証されたことから、薬事承認申請や事業化に向けた取組みを加速するため、ニプロ株式会社との間で共同開発契約の変更に関する覚書を締結し(2025年10月30日適時開示)、ライセンス契約締結に向けて協議を進めております。

血液透析における除水量や血流量の調節を制御する血液透析機器搭載型AIの開発に着手し、2023年12月に東レ・メディカル株式会社と共同開発契約を締結しました。

(c) RSAI03(糖尿病治療支援プログラム医療機器)

糖尿病の血糖値を厳格にコントロールし、糖尿病合併症を予防するためにはインスリン注射治療が必要です。しかし、インスリンの安全な用量域は狭く、過剰投与で低血糖を生じるために、患者ごとに最適な種類と投与量を選定する必要があります。一方、糖尿病専門医は医師全体の2%もおらず、地理的にも偏在しているため、現状では糖尿病患者の主治医が糖尿病専門医であるとは限らず、むしろ非専門医に受診することが多いです。非専門医にも専門医レベルのインスリン治療を実行できるよう支援するAI(Skill Acquisition Learning、SAiL:スキル獲得学習)を、東北大学及びNECと共同で開発しています。東北大学病院に入院する約1,000名(約1,080,000臨床パラメータ)の患者データに基づく学習が終了し、専門医の処方するインスリンの投与量から2単位程度の誤差で予測するAIを開発できています。現在、NESと共同で、本AIを医療機関で活用するためのシステム開発を進めており、デモシステムの開発を完了しました。

2022年12月にはPMDA開発前相談を完了し、2023年5月に実施したPMDAプロトコール相談の助言に従い、臨床性能試験のための予備的な試験を実施しました。予備試験の結果を基に、2024年2月にPMDAプロトコール相談を完了し、試験実施計画書が確定し、同年8月に倫理審査委員会の承諾を得て、臨床性能試験を開始しました。

本臨床性能試験は、東北大学病院、山口大学病院、仙台市立病院、大崎市民病院、みやぎ県南中核病院、東北労災病院の多施設共同試験として実施し、血糖コントロールの目的で入院時に糖尿病専門医によるインスリン治療を受けた2型糖尿病患者の臨床データ130例を対象に、実際に専門医が治療した結果と糖尿病治療支援AIが予測する結果の差分を用いて、専門医に対する非劣性を確認する試験です。試験の結果、主要評価項目である正解率(Correct rate)は約85%であり、目標値である80%を上回る結果であることから、専門医に対するAI予測の非劣性(同等)が確認され(ヒトでのPOCが得られた)、2025年3月に総括報告書を纏めました。

正解率(Correct rate): 臨床性能試験主要評価

対象者数 116例
正解率(平均) 85.46
平均値の信頼区間 [83.59 , 87.34]

本試験結果から、薬事承認の申請が可能となり、不足する糖尿病専門医によってインスリン治療が困難な地域の患者にも、専門医と同等なインスリン治療が提供できます。

本AIプログラム医療機器の開発は、2022年4月にAMED「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)(当社が代表機関)」に採択されました。2022年6月に東北大学と共同で基本となる知的財産権を出願し、2023年4月には国際出願を行いました。なお、当社のAIを活用した糖尿病治療支援のプログラム医療機器に関する取材記事が、2024年3月に科学誌『Nature』に掲載されました。

(d) RSAI04(嚥下機能低下診断プログラム医療機器)

加齢に伴い口腔機能が低下しますが、その状態(オーラルフレイル)を放置すると摂食障害や構音(発話)障害等多くの身体的、社会的障害、さらには全身性の筋肉虚弱(フレイル)につながるため、早期の診断と適切な処置が重要です。高齢社会において口腔機能低下のひとつである摂食嚥下障害は増加し、高齢者の主な死因とされる肺炎の約7割が誤嚥によるとの報告もあります。誤嚥性肺炎の予防には嚥下機能低下の早期発見とリハビリテーション等の治療介入が重要ですが、現在では、嚥下内視鏡検査、嚥下透視検査方法等患者負担の大きい嚥下評価法しかありません。嚥下と会話で使用する器官は舌や口腔・咽頭等共通部分が多く、会話から嚥下機能を評価できる可能性に着目し、嚥下機能障害を会話時の音声データから評価可能なAIを開発しています。東北大学の複数の診療科(耳鼻咽喉科、歯科、医工学部リハビリテーション科)及びNECと共同で、東北大学病院嚥下治療センターに受診する患者の話す音の全周波数を時系列データの分析に特化したAIエンジン(時系列モデルフリー分析)で解析することで、健常者の音声のベースライン(性差、年齢差、個人差等)を確認し、健常者の発音と患者の発音の違いを検出することで、嚥下機能の低下を診断するAIが開発できています。今後、嚥下機能低下を有する高齢者データで学習させることで、実用化に向け開発を進めます。2023年12月にPMDA開発前相談を完了、今後、臨床性能試験実施のためのPMDAプロトコール相談を予定しています。2023年3月に東北大学と共同で基本となる知的財産権を出願しました。また、2024年3月には新たな特許を追加出願しました。

上記の実用化に向けたプログラム医療機器の開発研究に加えて、下記の複数の探索的な研究開発を進めています。

(e) 探索研究(乳がん病理診断プログラム医療機器)

乳がんは日本人女性のがんの中で最も患者数が多く、生涯に乳がんを患う日本人女性は11人に1人と言われています。しこりや画像診断等で乳がんが疑われた場合、最終診断は病理診断ですが、診断には経験を積んだ病理医が必要です。当社は東北大学大学院医学系研究科病理検査学教室と共同で、病理画像から乳がんの病変部を検出するAIを開発しています。探索研究段階では、検出モデルを3クラス(良性、非浸潤がん、浸潤がん)または2クラス(良性、悪性)で分類し、それぞれ88.3%と90.5%での診断精度を達成しました(科学誌『Journal of Pathology Informatics』に掲載)。

さらに、この技術を応用し、乳がんの術中迅速病理診断の支援のためのAI開発に取り組んでいます。術中迅速診断は、乳がんの外科手術の範囲などを決定するための病理診断として極めて重要ですが、限られた時間や人材(病理医)で対応しなければならず、乳がんの病理診断に対して高い専門性を有する病理医が必要とされます。標本受領から10–20分以内に診断を下さねばならず、加えて凍結切片の品質は相対的に低下する傾向があります。これらの課題を解決するために、術中迅速診断の支援のためのAIを開発しています。

(f) 探索研究(心臓植込み型電気デバイス患者における不整脈・心不全発症予測プログラム医療機器)

心不全患者には植込み型除細動器(ICD)、両心室ペースメーカ(CRT-P)など心臓植込み型電気デバイスが広く使用されます。これら心臓植込み型電気デバイスを活用することで、自宅にいながら、刻々と変化する生体情報の経時的な遠隔モニタリングが可能となります。当社は、東北大学と共同で、心臓植込み型電気デバイス患者の遠隔モニタリング情報を活用し、心不全及び致死性不整脈の発症を事前に予測するAIを東北大学大学院医学系研究科循環器内科学教室と共同で開発しています。

(g) 探索研究(人工心臓患者における血栓発生予測プログラム医療機器)

植込み型補助人工心臓は末期心不全患者の生命維持には欠かせない治療ですが、血栓など合併症が課題です。当社は、株式会社ハイレックスメディカル及び東北大学と共同で補助人工心臓の血栓発生を予測するAIの開発に取り組んでいます。2022年9月に本AIの開発等に関して株式会社ハイレックスコーポレーション及び株式会社ハイレックスメディカルとの共同研究契約を締結しました。

e.診断薬:血中フェニルアラニン測定キット

フェニルケトン尿症は、適切な治療を行わないと知能発達遅延等の重篤な症状が出現します。1977年に生後マス・スクリーニング検査が実施され、ほぼ全ての患児が早期に発見されるようになりました。フェニルケトン尿症の治療には、フェニルアラニンを制限するための食事療法を正しく行う必要があり、定期的な医療機関での検査が必要ですが、数か月に1度の採血では、きめ細やかな食事管理ができません。自宅で簡便かつ正確に血中フェニルアラニン濃度を測定するシステムを、東北大学大学院医学系研究科小児科学教室と共同で開発しています。糖尿病患者での自己血糖管理のように、家庭でいつでも自己測定が可能になれば、フェニルケトン尿症を有する患者のきめ細やかな食事管理が実現できます。2021年5月には診断薬に関する特許を東北大学と共同で出願し、同年6月にはPMDA相談を行いました。2023年5月に本研究内容が科学誌『Molecular Genetics and Metabolism Reports』に掲載されました。 ### 3 【重要な契約等】

当中間会計期間において締結した重要な契約等の決定又は締結等はありません。 

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第3 【提出会社の状況】

1 【株式等の状況】

(1) 【株式の総数等】

① 【株式の総数】
種類 発行可能株式総数(株)
普通株式 40,116,000
40,116,000
種類 中間会計期間末

現在発行数(株)

(2025年9月30日)
提出日現在

発行数(株)

(2025年11月12日)
上場金融商品取引所

名又は登録認可金融

商品取引業協会名
内容
普通株式 12,711,700 12,711,700 東京証券取引所

グロース市場
権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。なお、単元株式数は100株であります。
12,711,700 12,711,700

(注) 「提出日現在発行数」欄には、2025年11月1日からこの半期報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。 

(2) 【新株予約権等の状況】

① 【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。 ② 【その他の新株予約権等の状況】

該当事項はありません。 #### (3) 【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】

該当事項はありません。 #### (4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日 発行済株式

総数増減数

(株)
発行済株式

総数残高

(株)
資本金増減額

(千円)
資本金残高

(千円)
資本準備金

増減額

(千円)
資本準備金

残高

(千円)
2025年4月1日~

 2025年9月30日
12,711,700 1,036,808 1,457,233
2025年9月30日現在
氏名又は名称 住所 所有株式数

(株)
発行済株式

(自己株式を

除く。)の

総数に対する

所有株式数

の割合(%)
特定有価証券信託受託者      株式会社SMBC信託銀行 東京都千代田区丸の内一丁目3番2号 4,360,600 34.30
宮田 敏男 宮城県仙台市青葉区 1,470,700 11.57
楽天証券株式会社 東京都港区南青山二丁目6番21号 507,600 3.99
株式会社SBI証券 東京都港区六本木一丁目6番1号 216,521 1.70
JP JPMSE LUX RE UBS AG LONDON BRANCH EQ CO(常任代理人株式会社三菱UFJ銀行) BAHNHOFSTRASSE 45 ZURICH SWITZERLAND 8098

(東京都千代田区丸の内一丁目4番5号)
76,100 0.60
BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)(常任代理人株式会社三菱UFJ銀行) PETERBOROUGH COURT 133 FLEET STREET LONDON EC4A 2BB UNITED KINGDOM

(東京都千代田区丸の内一丁目4番5号)
74,699 0.59
松井証券株式会社 東京都千代田区麹町1丁目4番地 58,100 0.46
大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合 東京都千代田区丸の内1丁目9番1号 56,200 0.44
第一リアルター株式会社 東京都港区虎ノ門4丁目1番1号 53,700 0.42
GMOクリック証券株式会社 東京都渋谷区道玄坂1丁目2番3号 52,500 0.41
6,926,720 54.48

(注)1.特定有価証券信託受託者株式会社SMBC信託銀行の実質保有者は、宮田敏男氏及びその親族であります。

2.宮田敏男氏の実質所有株式数は、株式会社SMBC信託銀行に信託している1,266,000株を含め2,736,700株であります。

3.当社は自己株式を保有しておりません。 

(6) 【議決権の状況】

① 【発行済株式】
2025年9月30日現在
区分 株式数(株) 議決権の数(個) 内容
無議決権株式
議決権制限株式(自己株式等)
議決権制限株式(その他)
完全議決権株式(自己株式等)
完全議決権株式(その他) 普通株式 126,990 権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。なお、単元株式数は100株であります。
12,699,000
単元未満株式 普通株式
12,700
発行済株式総数 12,711,700
総株主の議決権 126,990

該当事項はありません。 ### 2 【役員の状況】

該当事項はありません。 

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第4 【経理の状況】

1  中間財務諸表の作成方法について

当社の中間財務諸表は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号。以下「財務諸表等規則」という。)に基づいて作成しております。

また、当社は、金融商品取引法第24条の5第1項の表の第1号の上欄に掲げる会社に該当し、財務諸表等規則第1編及び第3編の規定により第1種中間財務諸表を作成しております。

2  監査証明について

当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、中間会計期間(2025年4月1日から2025年9月30日まで)に係る中間財務諸表について、東陽監査法人による期中レビューを受けております。

3  中間連結財務諸表について

当社は、子会社がありませんので、中間連結財務諸表を作成しておりません。

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1 【中間財務諸表】

(1) 【中間貸借対照表】

(単位:千円)
前事業年度

(2025年3月31日)
当中間会計期間

(2025年9月30日)
資産の部
流動資産
現金及び預金 ※1 1,799,816 ※1 1,565,952
前払費用 42,409 76,861
未収入金 17,745 4,895
その他 11,280 35,387
流動資産合計 1,871,252 1,683,096
固定資産
投資その他の資産
その他 110 110
投資その他の資産合計 110 110
固定資産合計 110 110
資産合計 1,871,362 1,683,206
(単位:千円)
前事業年度

(2025年3月31日)
当中間会計期間

(2025年9月30日)
負債の部
流動負債
未払金 104,648 64,016
未払費用 1,701 1,992
前受金 36,298
未払法人税等 39,963 7,209
預り金 4,897 5,266
流動負債合計 151,210 114,783
負債合計 151,210 114,783
純資産の部
株主資本
資本金 1,036,808 1,036,808
資本剰余金 1,518,395 1,518,395
利益剰余金 △835,051 △986,780
株主資本合計 1,720,151 1,568,423
純資産合計 1,720,151 1,568,423
負債純資産合計 1,871,362 1,683,206

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(2) 【中間損益計算書】

(単位:千円)
前中間会計期間

(自 2024年4月1日

 至 2024年9月30日)
当中間会計期間

(自 2025年4月1日

 至 2025年9月30日)
事業収益 55,749 10,000
事業原価 1,249 1,580
売上総利益 54,499 8,419
事業費用 ※1 145,491 ※1 196,858
営業損失(△) △90,991 △188,439
営業外収益
受取利息 166 1,563
雑収入 7
コンテスト賞金収入 36,975
営業外収益合計 174 38,538
営業外費用
為替差損 1,228 1,326
営業外費用合計 1,228 1,326
経常損失(△) △92,045 △151,226
特別利益
解約金収入 ※2 20,000
特別利益合計 20,000
税引前中間純損失(△) △72,045 △151,226
法人税、住民税及び事業税 923 502
法人税等合計 923 502
中間純損失(△) △72,968 △151,728

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(3) 【中間キャッシュ・フロー計算書】

(単位:千円)
前中間会計期間

(自 2024年4月1日

 至 2024年9月30日)
当中間会計期間

(自 2025年4月1日

 至 2025年9月30日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前中間純損失(△) △72,045 △151,226
受取利息 △166 △1,563
コンテスト賞金収入 △36,975
為替差損 1,326
売上債権の増減額(△は増加) 4,400
前払費用の増減額(△は増加) △16,535 △34,451
前受金の増減額(△は減少) 12,836 36,298
未収入金の増減額(△は増加) 63 12,850
未払金の増減額(△は減少) △80,150 △40,632
未払費用の増減額(△は減少) △7 291
未収還付消費税等の増減額(△は増加) 21,151 △12,746
その他の資産の増減額(△は増加) △11,120
その他の負債の増減額(△は減少) 130 △2,692
小計 △130,324 △240,642
利息の受取額 166 1,563
コンテスト賞金収入の受取額 35,648
法人税等の支払額 △1,979 △30,433
営業活動によるキャッシュ・フロー △132,137 △233,864
投資活動によるキャッシュ・フロー
差入保証金の回収による収入 50
敷金の回収による収入 2,200
投資活動によるキャッシュ・フロー 2,250
財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入れによる収入 9,476
財務活動によるキャッシュ・フロー 9,476
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) △120,411 △233,864
現金及び現金同等物の期首残高 1,646,193 1,799,816
現金及び現金同等物の中間期末残高 ※ 1,525,782 ※ 1,565,952

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【注記事項】
(中間貸借対照表関係)

※1 当座貸越契約

当社は、迅速な資金調達を行うため、取引銀行2行と当座貸越契約を締結しております。これらの契約に基づく当座貸越契約に係る借入未実行残高は次のとおりです。

(単位:千円)

前事業年度

(2025年3月31日)
当中間会計期間

(2025年9月30日)
当座貸越極度額の総額 350,000 350,000
借入実行残高
差引額 350,000 350,000
(中間損益計算書関係)

※1 事業費用のうち主要な費目及び金額は、次のとおりです。

(単位:千円)

前中間会計期間

(自 2024年4月1日

    至 2024年9月30日)
当中間会計期間

(自 2025年4月1日

    至 2025年9月30日)
役員報酬 24,390 25,140
給与手当 20,281 14,816
研究開発費 55,086 106,879
業務委託費 19,280 24,298

解約金収入20,000千円は2024年5月にバクスター社とディスポーザブル極細内視鏡に関するライセンス契約を解約したことにより計上したものです。

当中間会計期間(自 2025年4月1日 至 2025年9月30日)

該当事項はありません。  ###### (中間キャッシュ・フロー計算書関係)

※ 現金及び現金同等物の中間期末残高と中間貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係は、次のとおりです。

(単位:千円)

前中間会計期間

(自  2024年4月1日

至  2024年9月30日)
当中間会計期間

(自  2025年4月1日

至  2025年9月30日)
現金及び預金 1,906,479 1,565,952
預入期間が3ヶ月を超える定期預金 △380,697
現金及び現金同等物 1,525,782 1,565,952
(株主資本等関係)

前中間会計期間(自 2024年4月1日  至 2024年9月30日)

1.配当金支払額

該当事項はありません。 2.株主資本の金額の著しい変動

該当事項はありません。 

当中間会計期間(自 2025年4月1日  至 2025年9月30日)

1.配当金支払額

該当事項はありません。 2.株主資本の金額の著しい変動

該当事項はありません。 ###### (セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社の事業は、医薬品・医療機器などの開発・販売等のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。 (収益認識関係)

顧客との契約から生じる収益を分解した情報

前中間会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)

(単位:千円) 

事業収益の種類 金額
アップフロント収入及びマイルストーン収入 55,749
ロイヤリティ収入
受託研究収入
顧客との契約から生じる収益 55,749
その他の収益
外部顧客への売上高 55,749

当中間会計期間(自 2025年4月1日 至 2025年9月30日)

(単位:千円) 

事業収益の種類 金額
アップフロント収入及びマイルストーン収入 10,000
ロイヤリティ収入
受託研究収入
顧客との契約から生じる収益 10,000
その他の収益
外部顧客への売上高 10,000

1株当たり中間純損失及び算定上の基礎は、次のとおりです。

項目 前中間会計期間

(自 2024年4月1日

  至 2024年9月30日)
当中間会計期間

(自 2025年4月1日

  至 2025年9月30日)
1株当たり中間純損失(△) △5円74銭 △11円94銭
(算定上の基礎)
中間純損失(△)(千円) △72,968 △151,728
普通株主に帰属しない金額(千円)
普通株式に係る中間純損失(△)(千円) △72,968 △151,728
普通株式の期中平均株式数(株) 12,711,700 12,711,700
希薄化効果を有しないため、潜在株式調整後1株当たり中間純利益の算定に含めなかった潜在株式で、前事業年度末から重要な変動があったものの概要

(注) 1.前中間会計期間の潜在株式調整後1株当たり中間純利益については、1株当たり中間純損失であり、また、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため、記載しておりません。

2.当中間会計期間の潜在株式調整後1株当たり中間純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり中間純損失であるため、記載しておりません。 ###### (重要な後発事象)

該当事項はありません。 

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2 【その他】

該当事項はありません。 

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第二部 【提出会社の保証会社等の情報】

該当事項はありません。

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