Legal Proceedings Report • Nov 10, 2025
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| 【提出書類】 | 意見表明報告書 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年11月10日 |
| 【報告者の名称】 | セントケア・ホールディング株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 東京都中央区京橋二丁目8番7号 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 東京都中央区京橋二丁目8番7号 |
| 【電話番号】 | 03-3538-2943 |
| 【事務連絡者氏名】 | 常務取締役管理本部長 瀧井 創 |
| 【縦覧に供する場所】 | セントケア・ホールディング株式会社 本社 (東京都中央区京橋二丁目8番7号) 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、セントケア・ホールディング株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、株式会社Colorをいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書の提出に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、法で定められた手続及び情報開示基準に従い実施されるものです。
(注6) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注7) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注8) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
E05354 23740 セントケア・ホールディング株式会社 SAINT-CARE HOLDING CORPORATION 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 1 false false false E05354-000 2025-11-10 xbrli:pure
意見表明報告書_20251110154153
名称 株式会社Color
所在地 東京都中央区日本橋三丁目2番14号
(1)普通株式
(2)新株予約権(下記①から⑫の新株予約権を総称して、以下「本新株予約権」といいます。)
① 2009年6月25日及び2009年7月14日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2009年8月18日から2044年8月17日まで)(以下「第2回新株予約権」といいます。)
② 2010年6月24日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2010年7月17日から2045年7月16日まで)(以下「第3回新株予約権」といいます。)
③ 2011年6月28日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2011年7月20日から2046年7月19日まで)(以下「第4回新株予約権」といいます。)
④ 2012年6月26日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2012年7月18日から2047年7月17日まで)(以下「第5回新株予約権」といいます。)
⑤ 2013年6月26日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2013年7月17日から2048年7月16日まで)(以下「第6回新株予約権」といいます。)
⑥ 2014年6月26日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2014年7月16日から2049年7月15日まで)(以下「第7回新株予約権」といいます。)
⑦ 2015年6月25日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2015年7月16日から2050年7月15日まで)(以下「第8回新株予約権」といいます。)
⑧ 2016年6月28日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2016年7月16日から2051年7月15日まで)(以下「第9回新株予約権」といいます。)
⑨ 2017年6月27日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2017年7月19日から2052年7月18日まで)(以下「第10回新株予約権」といいます。)
⑩ 2018年6月26日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2018年7月18日から2053年7月17日まで)(以下「第11回新株予約権」といいます。)
⑪ 2019年6月25日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2019年7月18日から2054年7月17日まで)(以下「第12回新株予約権」といいます。)
⑫ 2020年6月24日の当社取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(株式報酬型ストックオプション)(行使期間は2020年7月17日から2055年7月16日まで)(以下「第13回新株予約権」といいます。)
(1)意見の内容
当社は、2025年11月7日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨及び本新株予約権の所有者(以下「本新株予約権者」といいます。)の皆様に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議をいたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
(2)意見の根拠及び理由
本項の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、当社の主要株主かつ筆頭株主で当社の創業家一族の資産管理会社である株式会社村上企画(所有株式数:8,994,600株、所有割合(注1):36.12%、以下「村上企画」といいます。)の完全子会社であり、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社株式の全て(ただし、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式、本不応募合意株主(以下に定義します。)が所有する当社株式及び譲渡制限付株式報酬として当社の取締役(社外取締役を除きます。)に付与された当社の譲渡制限付株式(以下「本譲渡制限付株式」といいます。)を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得することを目的として、2025年9月29日付で設立された株式会社とのことです。本書提出日現在、当社の代表取締役会長である村上美晴氏(所有株式数:2,817,427株、所有割合:11.31%、所有本新株予約権数:678個(目的となる株式数144,000株、所有割合:0.58%)(合計所有株式数:2,961,427株、所有割合:11.89%))が公開買付者の代表取締役(注2)を務めており、また、公開買付者は当社株式及び本新株予約権を所有していないとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年11月7日に公表した「2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2025年9月30日現在の当社の発行済株式総数(25,003,233株)に、同日現在残存する本新株予約権(第2回新株予約権116個、第3回新株予約権81個、第4回新株予約権72個、第5回新株予約権61個、第6回新株予約権37個、第7回新株予約権36個、第8回新株予約権48個、第9回新株予約権58個、第10回新株予約権45個、第11回新株予約権120個、第12回新株予約権221個及び第13回新株予約権441個)の目的となる当社株式の数(244,400株)を加算した株式数(25,247,633株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(345,655株)を控除した株式数(24,901,978株、以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合をいい、その計算において小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じとします。
(注2) 公開買付者の設立時の代表取締役は粥川佑菜氏であるところ、2025年11月6日付で同氏は代表取締役の地位を辞任し、村上美晴氏が公開買付者の代表取締役に就任しており、本書提出日現在、当該代表取締役の変更について登記申請手続中とのことです。
今般、公開買付者は、東京証券取引所プライム市場に上場している当社株式の全て(ただし、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式、本不応募合意株主が所有する当社株式及び本譲渡制限付株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得することを目的とし、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注3)のための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
(注3) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。
本公開買付けに際して、公開買付者は、2025年11月7日付で、当社の創業家一族の資産管理会社である村上企画(所有株式数:8,994,600株、所有割合:36.12%)、当社の主要株主であり、かつ、当社の代表取締役会長である村上美晴氏(所有株式数:2,817,427株、所有割合:11.31%、所有本新株予約権数:678個(目的となる株式数144,000株、所有割合:0.58%)(合計所有株式数:2,961,427株、所有割合:11.89%))、以下村上企画及び村上美晴氏を総称して「本不応募合意株主」といいます。)との間で、それぞれ公開買付不応募契約(以下、村上企画と締結した公開買付不応募契約を「本不応募契約(村上企画)」、村上美晴氏と締結した公開買付不応募契約を「本不応募契約(村上美晴氏)」といい、本不応募契約(村上企画)及び本不応募契約(村上美晴氏)を総称して「本不応募契約」といいます。)を締結し、本不応募合意株主が所有する当社株式(以下「本不応募合意株式」といいます。)の全てについて、本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。また、公開買付者は、2025年11月7日付で、当社の株主であり、当社の子会社の取締役会長である安藤幸男氏(所有株式数:505,400株、所有割合:2.03%)、当社の株主であり、村上美晴氏の実姉である村上邦子氏(所有株式数:95,000株、所有割合:0.38%、安藤幸男氏及び村上邦子氏を総称して「本応募合意株主」といいます。)との間で、それぞれ公開買付応募契約(以下、安藤幸男氏と締結した公開買付応募契約を「本応募契約(安藤幸男氏)」、村上邦子氏と締結した公開買付応募契約を「本応募契約(村上邦子氏)」といい、本応募契約(安藤幸男氏)及び本応募契約(村上邦子氏)を総称して「本応募契約」といいます。)を締結し、本応募合意株主が所有する当社株式(以下「本応募合意株式」といいます。)の全てについて、本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。本不応募契約及び本応募契約の概要については、下記「(7)本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」をご参照ください。
公開買付者は、本公開買付けにおいて、4,567,800株(所有割合:18.34%)を買付予定数の下限(注4)と設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、上記のとおり、公開買付者は、当社株式の全て(ただし、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式、本不応募合意株主が所有する当社株式及び本譲渡制限付株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得することにより、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとし、当社株式を非公開化することを企図しているため、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,567,800株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
(注4) 買付予定数の下限(4,567,800株)については、本基準株式数(24,901,978株)から、当社より報告を受けた2025年9月30日現在残存する本新株予約権の合計である1,336個の目的となる当社株式数(244,400株)を控除(注5)した株式数(24,657,578株)に係る議決権の数(246,575個)に3分の2を乗じた数(小数点以下を切上げ。164,384個)より、本不応募合意株主が所有する当社株式に係る議決権数の合計(118,120個)及び当社から2025年9月30日現在残存するものと報告を受けた本譲渡制限付株式(82,489株)のうち村上美晴氏以外の当社取締役が2025年9月30日現在保有している株式数(合計:58,962株、所有割合:0.24%)に係る各取締役の議決権の数の合計(586個)を控除(注6)した議決権数(45,678個)に、当社の単元株式数である100株を乗じた数(4,567,800株)としているとのことです。これは、公開買付者が、本取引において、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとし、当社株式を非公開化することを目的としているところ、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとし、当社株式を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の一環として本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義します。以下同じです。)の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及び本不応募合意株主が合計で当社の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定したとのことです。なお、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定していないとのことです。
(注5) 本新株予約権の目的となる当社株式数に関しては、(ⅰ)本新株予約権者は、行使条件として、本新株予約権の行使期間内において、当社の取締役の地位を喪失した日の翌日から10日間以内(10日目が休日に当たる場合には翌営業日)に限り、本新株予約権を行使することができるとされているところ(以下「本地位喪失行使条件」といいます。)、本新株予約権者は当社の取締役のみであり、このうち、本地位喪失行使条件の充足により本新株予約権の行使を予定している者はいないため、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)中に本新株予約権が行使され、当社株式が本新株予約権者に対して発行又は移転されることは想定されていないとのことです。また、(ⅱ)下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けが成立した場合には、当社に対して、本新株予約権の取得、本新株予約権者に対する本新株予約権の放棄の勧奨等、本取引の実行に合理的に必要な手続を実践するよう要請する予定とのことであり、かつ、当社は、当該要請を受けた場合には、これに協力する意向です。そのため、買付予定数の下限の設定に際し、本新株予約権の目的となる当社株式数は考慮していないとのことです。
(注6) 本譲渡制限付株式に関しては、譲渡制限が付されていることから本公開買付けに応募することができないものの、当社は、2025年11月7日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募を推奨することを決議しており、本譲渡制限付株式の所有者のうち村上美晴氏以外の当社取締役から、本公開買付けが成立した場合には、本スクイーズアウト手続に賛同する旨の回答を得ていることから、買付予定数の下限を考慮するにあたって、これらの本譲渡制限付株式のうち村上美晴氏以外の当社取締役が保有している株式数に係る議決権の数を控除しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式、本不応募合意株主が所有する当社株式及び本譲渡制限付株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施する予定とのことです。
また、公開買付者は本取引の実行後に、当社を吸収合併消滅会社、公開買付者を吸収合併存続会社とする吸収合併(以下「本合併」といいます。)を行うことを予定しているとのことですが、本合併の具体的な日程等の詳細については本書提出日現在未定とのことです(注7)。
公開買付者は、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日(以下「本決済開始日」といいます。)の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。 本銀行融資に関する融資条件の詳細については、三菱UFJ銀行と別途協議の上、融資契約において定めることとされておりますが、当該融資契約では、本銀行融資に関して、公開買付者が本取引により取得する当社株式等が担保に供されるほか、本スクイーズアウト手続を通じて当社の株主が公開買付者及び本不応募合意株主のみとなった後は、当社の一定の資産等が担保に供される予定とのことです。
(注7) 下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式併合後において、公開買付者及び本不応募合意株主以外の株主が存在する場合は、当社において有価証券報告書提出義務の免除を受けた後、公開買付者及び本不応募合意株主は、本スクイーズアウト手続の一環として、再度当社株式の併合(以下「第2回株式併合」といいます。)を行うことを含む、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするための手続を実施することを予定しているとのことです。
以下は、本取引の概要を図示したものです。なお、以下のパーセンテージは普通株式議決権比率を指します。
Ⅰ.現状

Ⅱ.本公開買付けの実施後

Ⅲ.本スクイーズアウト手続の実施

Ⅳ.本合併の実施

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程
当社は、1983年3月に村上美晴氏によって、東京都台東区において、介護サービス事業を営むことを目的に、日本福祉サービス株式会社として設立され、2002年5月にセントケア株式会社に、2007年4月にセントケア・ホールディング株式会社に商号を変更しました。また、当社株式については、2004年12月に株式会社ジャスダック証券取引所(以下「ジャスダック証券取引所」といいます。)に、2010年4月にジャスダック証券取引所と株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQに、2013年7月に東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に、2016年5月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2016年12月に東京証券取引所市場第一部に指定された後、2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直しにより、本書提出日現在においては、東京証券取引所プライム市場に上場しております。
なお、当社は、2025年6月16日付で本計画を公表しておりますが、同年11月7日開催の当社取締役会において、上場廃止を前提とした本公開買付けに賛同する旨の意見を決議したことから、本公開買付けが成立することを条件として、本計画を撤回することを併せて決議しております。
本書提出日現在、当社のグループは、当社、連結子会社29社及び持分法適用会社1社(以下「当社グループ」と総称します。)によって構成されており、「福祉コミュニティの創造」、「生き甲斐の創造」、「ケア産業の創造」を経営理念に、「これまでも、これからも、ずっと在宅」をビジョンとして掲げ、お客様が住み慣れ親しんだ環境で可能な限り安心して生活できるように介護サービスを通して支えるべく、訪問系介護サービス事業及び施設系介護サービス事業を主力領域として展開しており、事業内容は以下のとおりです。
訪問系介護サービス事業
訪問介護サービス(注8)、訪問入浴介護サービス(注9)、居宅介護支援サービス(注10)、訪問看護サービス(注11)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス(注12)といった訪問系介護サービスを提供しております。特に訪問介護サービスについては、2024年5月15日付「新中期経営計画」(以下「本中期経営計画」といいます。)に基づき、拠点の継続的拡大を図ることで、基盤の整備、強化を進めております。
(注8) 「訪問介護サービス」とは、主に介護保険法や障害者総合支援法に基づく給付対象サービスとして、認定を受けた高齢者や障害者等を対象に、介護福祉士や訪問介護員等の必要な資格を持ったスタッフ(以下「介護スタッフ」といいます。)がお客様宅を訪問し、お客様の有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、お客様の状況に合わせた援助として、排せつ介助、入浴介助、食事介助、通院介助等の身体介護サービス及び調理、掃除、洗濯等の生活援助サービス、その他見守り、大掃除等の給付対象外のサービスも提供するサービスのことをいいます。
(注9) 「訪問入浴介護サービス」とは、主に介護保険法に基づく給付対象サービスとして、認定を受けた高齢者等を対象に、看護師1名を含めた専門スタッフ3名にてお客様宅を訪問し、専用浴槽を設置の上、洗髪等を含めた入浴支援を提供するサービスのことをいいます。
(注10) 「居宅介護支援サービス」とは、介護保険法に基づく給付対象サービスとして、介護支援専門員(以下「ケアマネジャー」といいます。)が専門的な知識を活用し、介護を必要とされるお客様に対して、その生活環境や心身状況、ご要望等についてアセスメントを実施した上で、適切な介護サービスが利用できるよう居宅サービス計画(以下「ケアプラン」といいます。)を作成し、その管理を行い、また、作成したケアプランが適切に実施されているか、目標の達成度はどうか、お客様は満足しているか等について、モニタリングを実施し、お客様の状況の変化に合わせてケアプランの見直しを図るサービスのことをいいます。
(注11) 「訪問看護サービス」とは、主に介護保険又は医療保険による給付対象のサービスとして、看護師をはじめ理学療法士や作業療法士等の専門職がお客様宅を訪問し、主治医の指示・連携の下、医療ニーズの高いお客様を対象に療養上のお世話や診療の補助等のケアを行うサービスのことをいいます。
(注12) 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス」とは、介護保険法に基づく給付対象サービスとして、要介護認定を受けた高齢者等を対象に、訪問介護サービスや訪問看護サービス(地域の訪問看護事業所と連携する場合も含みます。)による通常の定期的な訪問に加え、随時対応として看護師や介護福祉士、社会福祉士、ケアマネジャー等の必要な資格を持ったスタッフ(以下「オペレーター」といいます。)が24時間の連絡体制の下、お客様やご家族から連絡を受け、相談に応じる他、オペレーターの判断に基づき介護スタッフ等による随時訪問も行うサービスのことをいいます。
施設系介護サービス事業
通所介護サービス(デイサービス)(注13)、認知症対応型共同生活介護サービス(グループホーム)(注14)、小規模多機能型居宅介護サービス(注15)、看護小規模多機能型居宅介護サービス(注16)、短期入所生活介護サービス(ショートステイ)(注17)、在宅ホスピス(住宅型有料老人ホーム)(注18)等の施設系介護サービスを提供しております。特に看護小規模多機能型居宅介護サービスについては、本中期経営計画に掲げる事業ポートフォリオの最適化に基づき拠点数の拡大によって、医療ケア拠点への業容転換の促進を進めております。
(注13) 「通所介護サービス(デイサービス)」とは、介護保険法に基づく給付対象サービスとして、要介護認定を受けた高齢者等を対象に、お客様宅と当社グループの施設間の送迎、日中の日常生活のお世話や機能訓練等を行うことで、社会的孤立感の解消や心身機能の維持、ご家族の身体的・精神的負担の軽減を図ることを目的として、健康チェック、入浴、食事、機能訓練、認知症ケア(認知症予防・維持改善)、アクティビティ等の提供を行うサービスのことをいいます。
(注14) 「認知症対応型共同生活介護サービス(グループホーム)」とは、介護保険法に基づく給付対象サービスとして、認知症と診断されて要介護認定を受けた高齢者を対象に、スタッフや他のお客様と少人数での共同生活を営みながら、入浴、排せつ、食事等の介護、その他の援助及び機能訓練を行うサービスのことをいいます。
(注15) 「小規模多機能型居宅介護サービス」とは、介護保険法に基づく給付対象サービスとして、お客様の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、お客様・ご家族のニーズを反映したケアプランに基づき、入浴、排せつ、食事等の介護、その他の日常生活上のお世話や機能訓練等を行い、お客様の在宅生活を「通い」「泊まり」「訪問介護」の3つの観点から複合的に支援するサービスのことをいいます。
(注16) 「看護小規模多機能型居宅介護サービス」とは、主に介護保険による給付対象サービスとして、お客様の在宅生活における医療・介護ニーズに合わせ、「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」の4つの観点から複合的に支援するサービスのことをいいます。
(注17) 「短期入所生活介護サービス(ショートステイ)」とは、介護保険法に基づく給付対象サービスとして、要介護認定を受けた高齢者等を対象に、当社グループの施設に短期間入所いただき、入浴、排せつ、食事等の介護、その他の日常生活上のお世話及び機能訓練等を行い、また、お客様のご家族が一時的に介護をすることができない場合に宿泊することや、ご家族の精神的・身体的な負担の軽減等を図ることで在宅生活の継続を支援するサービスのことをいいます。
(注18) 「在宅ホスピス(住宅型有料老人ホーム)」とは、医療ニーズの高いお客様の思いやこだわりを尊重し、訪問介護や訪問看護といったサービスと連携し住み慣れた場所における生活の支援を行うサービスのことをいいます。
また、介護サービス事業に関連するものとして、福祉用具貸与・販売サービス、住宅リフォームサービス、障害のある方を対象とした就労移行支援事業、印刷物の製作等のアウトソーシング事業、介護ロボットの企画・販売を行っております。
当社はこのような事業体制の下、独自の在宅介護サービスを主軸に事業展開を図ってまいりましたが、マクロ経済環境においては2040年問題に代表される超高齢社会化による日本国内の人口トレンドは今後も加速し高齢者や要介護者の増加が見込まれる一方で、年金・医療・介護等の社会保障制度がその財政的な面をはじめ十分に機能し支え続けられるかという問題も顕在化しつつあり、当社をはじめとする介護市場とその事業者に少なからず影響を及ぼす可能性は十分認識し、問題意識を有しております。また、2027年度の介護報酬改定による影響の予測は難しいものの、このような社会保障制度の状況を鑑みるにサービス報酬の増額は見込み難く、さらに、昨今の原材料費や各種の物価の高騰もあり、当社を取り巻く事業環境はこれまで以上に厳しさを増しているものと認識しております。加えて、生産年齢人口の減少による労働力不足の影響により、介護・看護従事者の確保についてはより厳しい状況が続くと考えており、短期的な採用施策の実施は勿論、中長期的には更なる待遇改善をはじめ、働く環境の改革やリスキリング支援等を中心とした人的投資に取り組むことが必要であると考えております。介護保険制度が施行され四半世紀が過ぎ、その間において社会構造は大きく変化し、かつその変化のスピードも加速する中、当社もその環境変化に適合した上で介護という社会課題と向き合い続けるべく、業容変更も視野に入れた迅速な経営体制が求められると強く認識しております。
一方、村上美晴氏は、上記のように大きく変化する経営環境の中で、当社グループを取り巻く介護業界について、超高齢社会を背景に介護需要が今後も高まると予想されるものの、生産年齢人口の減少により、人材の確保がますます困難となり、労働集約型産業の当社においては、人材獲得競争のさらなる激化が見込まれることに加え、高齢者・要介護者の増加による社会保障費増加を踏まえた介護報酬改定等の変動が起きる中、保険制度に基づく報酬体系に依存している事業特性でありながらも、価格転嫁が難しい物価や人材コストの上昇等への対応をより強く図っていく必要があるとの考えに至ったとのことです。
かかる考えのもと、村上美晴氏は、2025年1月頃から、当社が今後も環境変化を勝ち抜く競争力を維持し、持続的に成長するためには、これまで当社が培ってきた実績を礎としつつ、当社の事業戦略の要である「コミュニティNo.1戦略」(注19)をさらに加速させ、他社にない独自のビジネスモデルを確立するとともに、外部環境の変化に伴って顕在化する消費者ニーズを先取りし、高付加価値のサービスを積極果敢に創出していくことが、当社の競争力維持・持続的成長のために不可欠であると認識するようになったとのことです。また、2023年3月頃より東京証券取引所から資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請される中、当社がさらなる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し企業価値向上を実現するためには、従来の施策や各年度の戦略を遂行するだけではなく、これらの施策を積極的かつ機動的に検討及び遂行できる経営体制を迅速に遂行していくことが重要であるとの認識を持つに至ったとのことです。具体的には、下記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の各施策を実行することを検討しているとのことです。
(注19) 「コミュニティNo.1戦略」とは、コミュニティでの連携機能を担う専任スタッフが地域の各種介護サービスをはじめ、医療機関や行政、民生委員や住民組織等との連携活動を展開することによって、当社が事業展開する多機能型サービス、訪問看護サービス、訪問介護サービスをユニット化し、コミュニティとの連携と協業を進め、地域全体で要介護者の生活を支える当社型の地域包括システムを実現することをいいます。
(Ⅰ)先進技術とICT(注20)の活用によるサービス最適化と事業効率化の推進
当社の競争優位性を確保するためには、変化するお客様の需要の獲得やサービスの質の向上と事業運営の効率化に向けたデジタル投資の従来以上に積極的かつ果敢な推進が必要不可欠であると考えているとのことです。
具体的には、生成AI技術(注21)やビッグデータ解析基盤(注22)の活用により、利用者ごとに最適化されたケアプランの自動作成や、健康状態・生活データの分析による予防的な支援・介入等、一人ひとりのお客様に対する高付加価値サービスの提供を実現する必要があると考えているとのことです。また、タブレットやスマートフォンを活用した電子カルテ・介護記録システムの導入や、IoTセンサー(注23)によるリアルタイムな見守り、服薬管理・状態変化の自動通知、現場業務の自動化等によって現場業務の自動化を図るとともに、生成AIによる記録の自動入力や事務作業の効率化、スケジュール調整や人員配置の最適化により、現場支援に付随する事務・管理などの間接業務も大幅に省力化され、従業員が顧客ケアに専念できる環境の整備も必要不可欠であると考えているとのことです。さらに、ロボット技術の導入により、介護の移乗・排泄支援、定期的な健康チェックの自動化、異常時の迅速な対応等、利用者の安全性向上と介護の質の平準化も可能になると考えているとのことです。こうした先進的なICT・AI・ロボット技術の活用を通じて、生産性の高い介護現場の構築と、一人ひとりのお客様に対して最適なサービスを提供できる体制の構築を実現させるとのことです。
(注20) 「ICT」とは、「Information and Communication Technology」の略であり、情報通信技術のことをいいます。
(注21) 「生成AI技術」とは、データのパターンや関係を学習し、文章や、画像、音声といった様々なコンテンツを生成する技術のことをいいます。
(注22) 「ビッグデータ解析基盤」とは、膨大で多様なデータを効率的に収集・保存・加工・解析し、価値ある情報を抽出するための仕組みやシステム、技術のことをいいます。
(注23) 「IoTセンサー」とは、さまざまな「モノ」がインターネットを通じて相互に接続され、情報の取得や共有、制御を可能にする仕組みの中で、データの収集を担うセンサーのことをいいます。
(Ⅱ)既存サービスの連携強化と新規領域への対応促進による「コミュニティNo.1戦略」の確立
当社が今後も市場環境の変化を乗り越え、競争優位性を維持し持続的な成長を遂げるためには、これまで培ってきた事業実績を基盤としつつ、既に実施している訪問介護と訪問看護サービス双方のシームレスな連携強化を推進することに加え、高度な医療的ニーズや中重度者の対応に加え、看護・リハビリ・生活支援・予防ケア・地域包括支援といった多機能型サービスを組み合わせ、利用者ごとに最適化したケアプランを設計・提供できる体制を構築することによる「コミュニティNo.1戦略」をこれまで以上に加速させることが不可欠であると考えているとのことです。
具体的には、ケアマネジャー間によるお客様の健康状態や生活状況等の情報をリアルタイムで共有する仕組みを整え、状況変化に応じたきめ細かな支援を迅速に提供できる体制の構築を目指すとのことです。訪問介護スタッフが現場で感じ取った利用者の体調変化や心身の様子を、訪問看護師やリハビリスタッフへ速やかに伝達し、専門職の視点から即座にフォローアップを行うことで、より総合的かつ質の高いサービスを提供することや、また、定期的に多職種での連携会議を開催し、利用者一人ひとりに合わせたケアプランをチームで検討・見直すことで、各分野の知見を結集した最適な支援を実現できると考えているとのことです。
こうした体制により、ターミナルケアやホスピス等の新規領域も含む利用者の多様なニーズや課題に対し、サービス間が密接に協力しあうことで、顧客一人一人に対してワンストップで総合的かつ専門性の高いケアを提供することが可能となるとのことです。さらに、緊急時にも連携が機能することで、利用者やご家族が安心して生活できる環境づくりを一層強化していくとのことです。
(Ⅲ)新拠点展開及びM&A・業態転換による事業領域の拡充と収益基盤の強化
上記の変化の激しい事業環境下で、今後も競争優位性を発揮し持続的な成長を遂げるためには、当社グループが持続可能な企業グループとしてお客様に継続してサービスが提供できるよう、機動的なアライアンスやM&Aの活用による安定した収益基盤の強化が不可欠であると考えているとのことです。
具体的には、既存拠点においては、看護小規模多機能型居宅介護等、在宅介護需要の高いサービスへの業態転換を加速的に進めることで、地域住民のニーズに応えつつ、稼働率の向上を目指すことが必要であると考えているとのことです。さらに、在宅医療や地域医療機関との連携を強化し、地域包括ケア体制の構築を推進することで、医療度の高い利用者にも対応できる体制を整備し、提供サービスの付加価値を高めることも必要であると考えているとのことです。これらを実現することによって、利用単価の上昇にも寄与できると考えているとのことです。また、新規拠点展開については、市場調査・地域分析をもとに需要が高いエリアへの優先投資を実行し、当社グループ全体の事業エリアを着実に拡大させるべく、サービス事業所の取得を目的とした積極的なM&Aを継続的に活用することで、当社グループ全体における人材の確保を加速させる他、事業規模の拡大に伴うスケールメリットを活かして、経営体力の増強と販管費等間接コストの抑制を推進し、より堅固な収益基盤の構築と持続的な成長を実現させるとのことです。
(Ⅳ)中長期的視点による人材投資と人事・教育制度強化による組織基盤の構築
村上美晴氏は、上記(Ⅰ)乃至(Ⅲ)の施策を推進するためには、経済変化や顧客のニーズの動きを迅速に捉え、適切な事業形態や組織変化を機動的に実行できる検討体制の構築に加え、多様化するお客様のニーズに応じて新たな付加価値やソリューションを創出できる人材の採用、育成及び定着のため、社員が高度なスキルを習得できる環境の整備と人事制度の充実が重要であると考えているとのことです。
具体的には、社員が必要なスキルを学びやすい研修支援プログラムの導入による教育制度の充実や、モチベーション向上と公平な評価を反映する給与制度、キャリアラダー(注24)の構築を目的とした人事制度・報酬体制のブラッシュアップ、非上場化に伴い削減することができるコストを用いた役職員の処遇改善に加え、ITインフラ整備による社内業務の効率化の推進、人員リソースの最適配置策の実施による自社内リソースの活用最適化を図り、企業全体の競争力の向上を実現させるとのことです。
(注24) 「キャリアラダー」とは、役職員が職務経験やスキルを段階的に高めることができるよう、職位や役割ごとに必要な能力・経験・評価基準を明確化し、組織内での成長や昇進の道筋を体系的に示す仕組みのことをいいます。
一方で、上記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の各施策を具体的に検討する過程で、村上美晴氏は、かかる施策は必ずしも直ちに業績に貢献するものではなく相応の時間を要することに加え、新規拠点の開設投資や、積極的なM&Aの推進においては、新規拠点の立ち上げ時の赤字や買収先の買収時の赤字をどこまで許容できるかといった問題や、実効性の観点からの内部統制システムの再構築の必要性、計画通りに事業が展開しない事業遂行上の不確定リスクも存在するため、一時的に利益水準の低下及びキャッシュ・フローを悪化させるリスクがあり、当社グループに期待される利益を生み出すことが一時的に困難となる可能性も否定できないと考えるようになったとのことです。
また、村上美晴氏は、当社が上場企業である以上、株価を重視し、短期的な業績に対してコミットメントが求められる中、上記の各施策の実行により中長期的な成長を優先する意思決定を行った結果、資本市場から十分な評価を得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の皆様の利益を損なう可能性があり、これらも踏まえ、当社が上場を維持したまま、これらの施策を実施することはスピードとのバランスを取ることが難しい状況であると考えるようになったとのことです。他方で厳しい事業環境にある介護業界において激化する競争環境下で勝ち抜くためには、可及的速やかにこれらの施策を実施するべきであると強く認識するようになったとのことです。
加えて、村上美晴氏としては、当社は、2004年12月にジャスダック証券取引所への株式上場以来、知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきたと認識しているとのことです。一方で、当社が金融機関から効率的に資金の調達を行ってきた実績を踏まえると、事業活動に必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入れによって確保することが可能であり、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれないと考えているとのことです。また、村上美晴氏としては、当社のブランド力やお客様に対する信用力は既に確保できていると考えているとのことです。そのため、村上美晴氏としては、当社が上場を維持する必要性や上場を維持することにより享受できるメリットは相対的に低下している状況になっていると考えているとのことです。
本取引後、当社においては優れた人材や社会的信用力を本取引前よりも獲得しづらくなる可能性が想定されますが、村上美晴氏は、当社が創業以来築いてきた知名度や信用力に照らし合わせれば、当社株式の非公開化による人材の確保及び既存株主である取引先との取引等に及ぼすデメリットは極めて限定的であると考えているとのことです。
さらに、村上美晴氏としては、近年の資本市場に対する規制の強化等により、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示事項は年々増加しており、上場会社として株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストの負担は増加傾向にあると考えているとのことです。そのため、村上美晴氏としては、これらのコストが当社グループの経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないことから、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。
以上のような検討を踏まえ、村上美晴氏は、2025年6月中旬、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化による当社株式の株価の下落により当社の一般株主の皆様が当社株式の売却機会を失うリスクを回避しつつ、短期的な業績変動に左右されることなく、上記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の施策を実施し、事業の積極的展開に取り組むために、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築することができるという点で、本取引を通じてマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化することが、当社株式の上場を維持するメリットを上回り当社の企業価値向上のために最も有効な手段であるとの考えに至ったとのことです。
そして、村上美晴氏は、本取引に関してさらに検討を進めるにあたり、2025年7月8日、外部のファイナンシャル・アドバイザーとして株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)を、外部のリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所外国法共同事業(以下「森・濱田松本法律事務所」といいます。)を選定し、具体的な検討を開始したとのことです。そして、村上美晴氏は、2025年7月16日に、当社に対して、本取引に関する協議・交渉の申入れを行い、同日に本取引の実施に関する正式な意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出するとともに、デュー・ディリジェンスを実施したい旨の申入れを行い、同日、当社から、検討に必要な体制を構築した上で、提案内容を検討する旨の回答を受け、さらに、2025年7月22日、当社から、本特別委員会(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に定義します。以下同じです。)を設置し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の回答を受けたとのことです。その後、村上美晴氏は、2025年8月22日から2025年10月2日まで、当社に対する財務、税務及び法務デュー・ディリジェンスを実施したとのことです。その上で、村上美晴氏は、本意向表明書に記載された本取引の背景を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容、直近の株価動向やデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、2025年10月7日から2025年11月6日までの間、当社及び本特別委員会との間で本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)に関する協議・検討を重ねたとのことです。
具体的には、村上美晴氏は、当社に対し、2025年10月7日、当社が2026年3月期の期末配当を行わないことを前提として、2025年10月7日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値876円に対して15.30%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアム率の計算において同じです。)、過去1ヶ月間の終値の単純平均値(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)820円に対して23.17%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値795円に対して27.04%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値778円に対して29.82%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,010円とする初回提案を行ったとのことです。また、本新株予約権買付価格については、本新株予約権が当社の取締役に対して株式報酬型ストックオプションとして発行されたものであることや、本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、残存しているいずれの本新株予約権についても、本新株予約権買付価格を1円とし、本取引完了後に当社と協議の上で新たなインセンティブプランの導入についても検討する予定である旨の提案を行ったとのことです。なお、当該インセンティブプランは、本取引完了後に本公開買付けへの応募とは独立して検討されるものであることから、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に抵触するものではなく、また、あくまで取引実行後の取締役としての職務の対価として導入を検討するインセンティブプランであることから、本取引に係る検討並びに公開買付者との協議及び交渉に参加する当社の取締役において本取引に対する利害関係を生じさせるような利益供与にも該当しないと考えているとのことです。これに対して、当社から、2025年10月9日、本特別委員会において検討した結果、(a)提案された本公開買付価格が、当社の一般株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないことを理由に本公開買付価格の再検討を要請する旨、(b)本新株予約権買付価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を受けたため、当社に対し、2025年10月15日、2025年10月14日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値834円に対して28.30%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値827円に対して29.38%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値802円に対して33.42%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値782円に対して36.83%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,070円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を行ったとのことです。これに対して、当社から、2025年10月17日、本特別委員会において検討した結果、(a)提案された本公開買付価格は、当社が起用した第三者算定機関である山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)が行った当社株式価値の試算結果及び同種の取引事例におけるプレミアム水準と比較して未だ低い水準であり、企業価値向上のための施策の実施により期待される価値のしかるべき部分が適切に反映された価格とはいえないことに加え、当該提案価格であれば、一般株主の利益を保護する観点から、本公開買付けにおける買付予定数の下限について、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定が必要である旨、(b)本新株予約権買付価格を1円とし本取引完了後に新たなインセンティブプランを導入する旨の提案について異存はないものの、どのようなインセンティブプランの導入を検討しているのか具体的な提案を要請する旨の回答を受けたため、当社に対し、2025年10月23日、(a)2025年10月22日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値882円に対して28.12%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値840円に対して34.52%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値811円に対して39.33%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値786円に対して43.77%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,130円、本新株予約権買付価格を1円とする旨、(b)インセンティブプランについては当社とも協議の上で決定する想定である旨の再提案を行ったとのことです。これに対して、当社から、2025年10月24日、本特別委員会において検討した結果、提案された本公開買付価格は、山田コンサルが行った当社株式価値の試算結果及び同種の取引事例におけるプレミアム率と比較して依然として低い水準であり、本取引によるシナジーが適切に分配された価格水準であるとはいえず、本提案価格におけるプレミアム率では、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定についても引き続き検討が必要であることを理由に、本公開買付価格の再検討の要請する回答を受けたため、当社に対し、2025年10月28日、2025年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値881円に対して35.07%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値848円に対して40.33%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値816円に対して45.83%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値788円に対して51.02%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,190円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を行ったとのことです。これに対して、当社から、2025年10月29日、本特別委員会において検討した結果、提案された本公開買付価格は、山田コンサルが行った当社株式価値の試算結果及び同種の取引事例におけるプレミアム率と比較して依然として低い水準であり、シナジーが分配された価格水準であるとはいえず公開買付価格におけるプレミアム率は、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定についても引き続き検討が必要であることを理由に、本公開買付価格の再検討の要請する回答を受けたため、当社に対し、2025年10月31日、本取引によるシナジーを最大限考慮した上で、同日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値830円に対して45.78%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値848円に対して42.69%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値820円に対して47.56%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値790円に対して53.16%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,210円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を行ったとのことです。これに対して、当社から、2025年11月4日、本特別委員会において検討した結果、公開買付者が想定されている企業価値向上のための施策の実施によって実現されるシナジーが一般株主に分配された価格水準とは依然としていえないことから、本公開買付価格を1,250円とする旨の対案の提示を受けたため、当社に対し、2025年11月6日、当社株主の利益最大化という観点から真摯に検討を重ねた結果、2025年11月5日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値823円に対して48.24%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値853円に対して43.02%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値822円に対して48.42%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値791円に対して54.24%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,220円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を行ったとのことです。これに対して、当社から、2025年11月6日、本特別委員会において検討した結果、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で2025年11月7日付の当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)を設定せずとも、一般株主の利益に十分に配慮された価格であると判断し、本公開買付価格を1,220円とすることを受諾する旨の回答を受けたとのことです。
また、公開買付者は、2025年11月4日に本応募合意株主に対して、本応募契約の締結を申し入れ、2025年11月7日に本応募契約を締結したとのことです。なお、本応募合意株主との間では、本公開買付価格に関する協議・交渉を行っていないとのことです。
以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2025年11月7日、本公開買付価格を1,220円とし、本取引の一環として本公開買付けを実施することが決定されたとのことです。
③ 本公開買付け後の経営方針
本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、当社の代表取締役会長である村上美晴氏は本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定しており、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の各施策を推進する予定とのことです。なお、本書提出日現在において、公開買付者と当社の取締役との間には、本公開買付け後の役員就任や処遇についての合意はないとのことです。本公開買付け成立後の具体的な当社の役員構成を含む経営体制については、本公開買付け成立後、当社と協議しながら、決定していく予定とのことです。
なお、公開買付者は、本取引の実施に伴う当社グループの従業員の雇用条件の変更を行うことを予定しておらず、本取引後も、原則として現在の雇用条件を維持する予定とのことです。
④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)検討体制の構築の経緯
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年7月16日に村上美晴氏から本意向表明書の提出を受けました。当社は、本取引がマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、同氏が公開買付者を通じて一般株主から当社株式を取得することになり、本公開買付価格について当社及び当社の一般株主とは異なる利害関係を有する買い手としての性格を併せ持つことから、当社又は当社の一般株主との間に構造的な利益相反の問題が存在するため、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2025年7月22日付の当社取締役会において、公開買付者、本不応募合意株主、本応募合意株主及び当社(以下「公開買付関連当事者」と総称します。)並びに本取引の成否のいずれからも独立した、当社の独立社外取締役3名(湯浅紀佳氏(三浦法律事務所パートナー、株式会社コーセー社外取締役、東京エレクトロンデバイス株式会社社外監査役)、山口公明氏(株式会社コタック・エネルギー・パートナーズ監査役)及び白石智哉氏(株式会社エンビプロ・ホールディングス社外取締役))によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置する旨を決議いたしました(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。また、当社の取締役会が本取引に関する決定を行うに際しては、本特別委員会の判断内容を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の取引条件について妥当でないと判断した場合には本取引の実施を決定しないことを前提としております。
また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、本取引と同種の取引に関する公表内容等を踏まえ、独立性及び専門性・実績等を検討の上、2025年8月1日に、山田コンサルを、また、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所をそれぞれ選任し、公開買付関連当事者から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の利益確保の観点から、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始いたしました。
さらに、本特別委員会は、2025年8月6日開催の第1回特別委員会において、公開買付関連当事者及び本取引の成否からの独立性並びに専門性に問題がないことを確認の上、当社がファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルを、リーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任することをそれぞれ事後承認しました。
また、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、2025年8月6日開催の第1回特別委員会において、かかる検討体制に、独立性及び公正性の観点から問題がないことについて、本特別委員会の承認を受けております。
加えて、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 本特別委員会における独立した法律事務所からの助言」に記載のとおり、本特別委員会は、その付与された権限に基づき、公開買付関連当事者からの独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、2025年9月12日に、公開買付関連当事者から独立した特別委員会独自のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を選任しております。
(ⅱ)検討・交渉の経緯
上記体制のもと、当社は、本公開買付価格を含む本取引の条件等に関する交渉方針について意見や指示を受ける等、公開買付者との交渉上重要な局面において本特別委員会より意見、指示及び要請を受けるとともに、山田コンサル及び長島・大野・常松法律事務所の助言を受けながら、本意向表明書に記載された本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、公開買付者との間で上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、協議・検討を重ねた上で、本取引の是非及び取引条件の妥当性について、慎重に検討を行ってきました。
具体的には、当社は、2025年7月16日に本意向表明書を受領した後、本特別委員会における検討・協議を進め、本特別委員会は、2025年9月4日、公開買付者に対して本取引を提案するに至った背景、当社の事業環境及び経営課題、本取引のメリット及びデメリット、本取引後の経営体制・経営方針、本取引の条件等を含む質問事項を送付し、2025年9月16日付で受領した当該質問事項に対する書面回答を踏まえて、同月18日、村上美晴氏へのインタビューを実施し、当該質問事項等について質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、2025年9月4日、本取引の精査・検討に当たり、当社に対して本取引のメリット及びデメリット、当社の事業課題、本取引が及ぼすステークホルダーへの影響等を含む質問事項を送付し、同月26日、当社に対しインタビューを実施し、本取引の意義等についての意見交換を行いました。その後、公開買付者に対して本取引における資金調達の方法及び本取引の条件等を含む追加質問事項を送付し、回答を受けました。また、2025年8月22日から同年10月2日にかけて公開買付者による当社に関するデュー・ディリジェンスを受け入れました。
また、本公開買付価格については、当社は、公開買付者から、当社が2026年3月期の期末配当を行わないことを前提として、2025年10月7日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値876円に対して15.30%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値820円に対して23.17%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値795円に対して27.04%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値778円に対して29.82%のプレミアムが付与されていることを確認の上、2025年10月7日に、本公開買付価格を1,010円とすることの提案を受けました。また、本新株予約権買付価格については、本新株予約権が当社の取締役に対して株式報酬型ストックオプションとして発行されたものであることや、本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、残存しているいずれの本新株予約権についても、本新株予約権買付価格を1円とし、本取引完了後に新たなインセンティブプランの導入について検討する予定である旨の提案を受けました。これに対して、当社は、2025年10月9日、本特別委員会において検討した結果、(a)提案された本公開買付価格が、当社の一般株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないことを理由に本公開買付価格の再検討を要請する旨、(b)本新株予約権買付価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を行いました。これに対して、公開買付者から、2025年10月15日、2025年10月14日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値834円に対して28.30%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値827円に対して29.38%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値802円に対して33.42%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値782円に対して36.83%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,070円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を受けました。これに対して、当社は、2025年10月17日、本特別委員会において検討した結果、(a)提案された本公開買付価格は、山田コンサルによる当社株式価値の試算結果及び同種の取引事例におけるプレミアム率と比較して未だ低い水準であり、企業価値向上のための施策の実施により期待される価値のしかるべき部分が適切に反映された価格とはいえないこと、また、(b)当該提案価格であれば、一般株主の利益を保護する観点から、本公開買付けにおける買付予定数の下限について、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定が必要である旨、(c)本新株予約権買付価格を1円とし本取引完了後に新たなインセンティブプランの導入について検討する予定である旨の提案について異存はないものの、どのようなインセンティブプランの導入を検討しているのか具体的な提案を要請する旨の回答を行いました。これに対して、公開買付者から、2025年10月23日、(a)2025年10月22日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値882円に対して28.12%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値840円に対して34.52%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値811円に対して39.33%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値786円に対して43.77%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,130円、本新株予約権買付価格を1円とする旨、(b)インセンティブプランについては当社とも協議の上で決定する想定である旨の再提案を受けました。これに対して、当社は、2025年10月24日、本特別委員会において検討した結果、提案された本公開買付価格は、山田コンサルによる当社株式価値の試算結果及び同種の取引事例におけるプレミアム率と比較して依然として低い水準であり、本取引によるシナジーが適切に分配された価格水準であるとはいえず、当該提案価格におけるプレミアム率では、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定についても引き続き検討が必要であることを理由に、本公開買付価格の再検討を要請する旨の回答を行いました。これに対して、公開買付者から、2025年10月28日、2025年10月27日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値881円に対して35.07%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値848円に対して40.33%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値816円に対して45.83%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値788円に対して51.02%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,190円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を受けました。これに対して、当社は、2025年10月29日、本特別委員会において検討した結果、(a)山田コンサルによる当社株式の株式価算定の試算結果及び当該提案価格におけるプレミアム率を踏まえると十分に満足できる水準ではなく、企業価値向上のための施策の実施により期待される価値のしかるべき部分が適切に反映された価格とはいえないこと、また、(b)「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定についても引き続き検討が必要であることを理由に、本公開買付価格の再検討を要請する旨の回答を行いました。これに対して、公開買付者から、2025年10月31日、本取引によるシナジーを最大限考慮した上で、同日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値830円に対して45.78%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値848円に対して42.69%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値820円に対して47.56%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値790円に対して53.16%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,210円、本新株予約権買付価格を1円とする提案を受けました。これに対して、当社は、2025年11月4日、本特別委員会において検討した結果、企業価値向上のための施策の実施によって実現されるシナジーが一般株主に分配された価格水準とは言い切れず、また、特別委員会として一般株主の利益に最大限配慮した価格であると判断し「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)を設定しない提案を許容するためには再度の価格の引き上げを要請すべきであると考え、本公開買付価格を1,250円とする対案を提示しました。これに対して、公開買付者から、2025年11月6日、当社株主の利益最大化という観点から真摯に検討を重ねた結果、2025年11月5日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値823円に対して48.24%、過去1ヶ月間の終値の単純平均値853円に対して43.02%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値822円に対して48.42%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値791円に対して54.24%のプレミアムが付与されていることを確認の上、本公開買付価格を1,220円、本新株予約権買付価格を1円とする提案を受けました。これに対して、当社は、2025年11月6日、本特別委員会において検討した結果、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)を設定せずとも、一般株主の利益に十分に配慮された価格であると判断し、本公開買付価格に応諾する旨の回答をいたしました。
(ⅲ)判断内容
以上の経緯のもと、当社は、2025年11月7日開催の取締役会において、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言、山田コンサルから受けた財務的見地からの助言並びに2025年11月6日付で提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本答申書(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅲ)判断内容」にて定義します。)において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が公正・妥当なものか否か、本取引に係る手続の公正性が確保されているか、本取引は当社の一般株主にとって公正なものであると考えられるか等の観点から、慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、以下のとおり、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
当社グループを取り巻く経営環境として、国内の雇用・所得環境が改善するなかで緩やかな回復が続くことが期待される一方で、物価や賃金の継続的な上昇が見込まれており、当社は、売上高の大部分を介護・医療・障害福祉といった保険制度の報酬体系に依拠するため、価格転嫁のできない事業特性に対して高まるインフレ圧力や人材の獲得競争の激化等により収益構造の影響が懸念されると認識しております。
このような中で、村上美晴氏は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社が更なる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し企業価値向上を実現するためには、(Ⅰ)先進技術とICTの活用によるサービス最適化と事業効率化の推進、(Ⅱ)既存サービスの連携強化と新規領域への対応促進による「コミュニティNo.1戦略」の確立、(Ⅲ)新拠点展開及びM&A・業態転換による事業領域の拡充と収益基盤の強化、(Ⅳ)中長期的視点による人材投資と人事・教育制度強化による組織基盤の構築といった具体的な施策を企図しているとのことですが、当社としても以下のことから、上記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の施策の実行が必要であると考えております。
すなわち、(Ⅰ)先進技術とICTの活用によるサービス最適化と事業効率化の推進については、中長期目線での事業投資を通じた、生成AI技術、ICTソリューション、ビッグデータの活用によるお客様ごとに最適化された介護サービスの提供やロボット技術等の応用・発展による在宅介護の事業効率化を実現し、人員確保の難易度が高まっている状況におけるデジタル化を通じた事業効率化及び生産性の向上は必須と認識しており、当社としても取り組むべきと考えております。(Ⅱ)既存サービスの連携強化と新規領域への対応促進による「コミュニティNo.1戦略」の確立については、サービス間の連携を加速及びターミナルケア等の新規領域への対応強化を目指すことで、より充実したサービスの提供が可能となり、集客力や単価の向上に繋がるため、早期に対応すべきと考えております。(Ⅲ)新拠点展開及びM&A・業態転換による事業領域の拡充と収益基盤の強化については、看護小規模多機能型居宅介護等の在宅介護需要の高いサービスへ業態転換を進め、規模の経済を生かした効率化に伴うコストメリットを実現することは、高まるインフレ圧力・物価高や人材の獲得競争の激化に伴う採用関連費の上昇による財政悪化も懸念される昨今の状況においては早期に実施すべき内容と考えております。(Ⅳ)中長期的視点による人材投資と人事・教育制度強化による組織基盤の構築については、継続的な事業拡大の礎となる人材獲得に向けて中長期的な目線を意識した機動的な待遇改善・見直しの検討、リスキリング支援や教育研修プログラムといった人的投資の増強は必要であるとともに、既存の従業員、今後当社に入社する従業員を問わず恩恵があることから、必要な施策だと考えております。以上から、いずれの施策も当社の企業価値向上のために推進していくべきと考えております。
しかしながら、当社は、かかる施策は中長期的に見れば当社の大きな成長及び収益の拡大につながる施策であったとしても、その推進段階においては、相応の時間と各種先行投資が必要であり、短期的には利益水準の低下及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性がある他、各種施策の実行によりコストが先行しても期待される利益と成長が実現できない可能性も否定できないと考えております。そのため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実施した場合、株価の下落や配当の減少により、当社の既存株主の皆様の利益を損なう可能性があり、また、それを過度に意識することで施策の実行が遅れることも懸念されます。
したがって、当社が上場を維持したままでこれらの施策を実施することは困難であると考えております。
なお、一般論として、非公開化が行われた場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社としての社会的な信用や知名度の向上による人材の確保及び取引先との取引等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、当社の場合、現在、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込んでおらず、事業から生じるキャッシュ・フローや金融機関からの借入れにより、資金確保は可能であると考えております。また、証券取引所への上場から20年以上経過し、上場による当社のブランド力や取引先に対する信用力は凡そ確保できていること、加えてこれまでの事業活動を通じて顧客・取引先・従業員に対する信用力及び知名度は既に確保できていることから、当社株式の非公開化による人材の確保及び取引先との取引に及ぼすデメリットは極めて限定的であると考えております。
さらに近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制の強化により、株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストは増加を続けており、これらのコストが当社の経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないと考えております。年々これらの上場維持のコストは増えておりますが、本取引により、上場維持コストが削減されれば、長期的な視点での企業価値の向上を図れるものと考えております。なお、当社は、上記の各施策の実行により、健全な事業成長の実現が可能であると認識しており、本取引により既存株主との資本関係が消失することによるデメリットは特段認識しておりません。
また、本公開買付価格(1,220円)が、(a)下記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている山田コンサルによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っていること、かつDCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回っていること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である2025年11月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値824円に対して48.06%、2025年11月6日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値851円に対して43.36%、過去3ヶ月間の終値単純平均値823円に対して48.24%、過去6ヶ月間の終値単純平均値791円に対して54.24%のプレミアムがそれぞれ加えられた価格であるところ、公正なM&Aの在り方に関する指針が公表された2019年6月28日以降、2025年10月2日までの間に公表された当社が上場している市場である東京証券取引所プライム市場の上場会社(2022年4月4日に東京証券取引所にて市場区分が見直される以前に公表された事案においては、東京証券取引所市場第一部の上場会社)のうち、公開買付価格から算出した対象会社のPBRが1倍を超える上場会社を対象としたMBOの一環として行われた公開買付けにおける事案35件のプレミアム水準(公表日の前営業日における終値に対するプレミアムの中央値39.45%、公表前1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値39.53%、公表前3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値39.00%、公表前6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値42.24%)と比較して合理的なものであると認められること、(c)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を回避するための措置が採られていること等、当社の一般株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われ、より具体的には、当社において、本特別委員会との協議、山田コンサルによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や財務的見地からの助言及び長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言等を踏まえて、公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会が、事前に交渉方針を確認するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、要請等を行った上で、本公開買付価格を含む本取引の条件について妥当である旨の意見を述べていることを踏まえ、当社は、2025年11月7日開催の取締役会において、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、当社は、2025年2月7日付「通期業績予想の修正及び中期経営計画の一部取り下げに関するお知らせ」に記載のとおり、2025年3月期の連結業績予想の下方修正を行い、本中期経営計画で掲げる業績目標の取り下げを公表しておりますが、当該公表は、当時の当社の足元の事業環境等を踏まえて行ったものであるため、本取引とは無関係の要因によるものであり、当社が意図的に当社株式の株価を下げる目的で当該公表を行ったものではございません。
こうした判断の下、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると考えております。
以上より、当社は、2025年11月7日開催の当社取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨及び本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権買付価格が1円とされていることから、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについて、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。なお、かかる当社取締役会決議は、公開買付者が本公開買付け及び本スクイーズアウト手続を実施することにより当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。
当該取締役会における決議の詳細は下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
(3)算定に関する事項
① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年11月6日付で本株式価値算定書を取得いたしました。
山田コンサルは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
なお、本取引に係る山田コンサルに対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、本取引が不成立となった場合に生じる当社の金銭的負担が成功報酬を含まない報酬体系に比べて小さい面で当社にとっての経済的合理性があることに加え、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が成立した場合に限って支払われる報酬体系ではないこと等に鑑み本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。
また、本特別委員会は、第1回特別委員会において、山田コンサルの独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認しております。
(ⅱ)算定の概要
山田コンサルは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値算定を行っております。なお、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、当社は、山田コンサルから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
山田コンサルが上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法:791円~851円
DCF法 :869円~1,278円
市場株価法では、2025年11月6日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値824円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値851円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値823円、直近6ヶ月間の終値の単純平均値791円をもとに、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を791円から851円までと算定しております。
DCF法では、当社が現時点で合理的に予測可能な期間まで作成した2026年3月期から2030年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)における収益予測及び投資計画、当社の2026年3月期第2四半期における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値及び株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を869円から1,278円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コストを採用し、7.67%から9.67%を採用しており、継続価値の算定に当たっては永久成長率法を採用し、外部環境等を総合的に勘案した上で永久成長率を0.00%から1.00%として、継続価値を17,228百万円から27,154百万円と算定しております。
山田コンサルがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。また、DCF法の算定の前提とした本事業計画について、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりません。
なお、本事業計画は、当社の将来の成長を考慮した上で本取引の取引条件の妥当性を検討することを目的として、高齢者や要介護者の増加を見込んだ介護サービス全体への需要の拡大等の市場環境が与える影響を踏まえて作成したものであり、公開買付者又は村上美晴氏はその作成過程に一切関与しておりません。
また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、上場維持コストを除き、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。
(単位:百万円)
| 2026年3月期 (6ヶ月) |
2027年3月期 | 2028年3月期 | 2029年3月期 | 2030年3月期 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29,665 | 61,277 | 64,300 | 67,600 | 71,100 |
| 営業利益 | 773 | 2,283 | 2,560 | 2,925 | 3,255 |
| EBITDA | 1,340 | 3,564 | 3,852 | 4,229 | 4,576 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 1,817 | 1,960 | 1,701 | 1,815 | 1,917 |
山田コンサルは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。ただし、山田コンサルは、算定の基礎とした本事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、その作成経緯及び当社の現状を把握した上で、それらに不合理な点がないかという観点から、当社の事業計画の合理性を確認しております。また、山田コンサルの算定は、2025年11月6日までの上記情報を反映したものであります。なお、本公開買付けの対象には本新株予約権も含まれますが、本新株予約権については、本新株予約権買付価格が1円と決定されていることから、当社は第三者算定機関から算定書及び本新株予約権買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
② 公開買付者における算定方法
(ⅰ)普通株式
公開買付者は、当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社の財務情報等及び当社の株価の動向、当社及び本特別委員会との協議及び交渉の結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けへの応募の見通し等を総合的に勘案して、2025年11月7日、本公開買付価格を1,220円とし、本取引の一環として本公開買付けを開始することを決定したとのことです。
なお、公開買付者は、上記のとおり財務情報等の客観的な資料を参考にする等、当社株式の株式価値に関する諸要素を総合的に考慮し、かつ、当社との協議・交渉を踏まえて本公開買付価格を決定しており、第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンは取得していないとのことです。
本公開買付価格1,220円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年11月6日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値824円に対して48.06%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値851円に対して43.36%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値823円に対して48.24%、過去6ヶ月間の終値単純平均値791円に対して54.24%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。
(ⅱ)本新株予約権
本新株予約権については、本新株予約権者は、本新株予約権の行使期間内において、本地位喪失行使条件が充足する場合に限り、本新株予約権を行使することができるとされており、仮に公開買付者が本公開買付けにより本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、公開買付者は、本新株予約権買付価格をいずれも1円としたとのことです。なお、公開買付者は、上記のとおり、本新株予約権買付価格を決定したことから、第三者算定機関からの株式価値算定及びフェアネス・オピニオンは取得していないとのことです。
(4)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことですので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。
(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(ただし、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式、本不応募合意株主が所有する当社株式及び本譲渡制限付株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
① 株式併合
公開買付者は、会社法第180条に基づき、当社株式の併合を行うこと(以下「本株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定とのことです。なお、公開買付者及び本不応募合意株主は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会をできるだけ早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日以降の近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。また、本書提出日現在においては、本臨時株主総会の開催日は、2026年2月下旬頃を予定しているとのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することになるとのことです。本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者及び本不応募合意株主が当社株式の全て(ただし、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式、本不応募合意株主が所有する当社株式及び本譲渡制限付株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。当社は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。ただし、本公開買付けの決済後において、村上美晴氏及び村上企画の現在の相対的な持株比率に可及的に影響を与えることなく本株式併合を実施するとともに、本株式併合後に公開買付者、村上美晴氏及び村上企画以外に当社の株主が存在することを可及的に避け、本株式併合手続の安定性を高めるため、(ⅰ)村上美晴氏が所有する当社株式数を上回る数の当社株式を所有する株主(公開買付者及び村上企画を除きます。)が存在し若しくは生ずることが合理的に否定できない場合又は本株式併合の実行により村上美晴氏又は村上企画が所有する当社株式に端数が生じないために必要がある場合には、村上美晴氏と村上企画の間で、本株式併合の効力発生前を効力発生時として、所有する当社株式の全部又は一部を相手方に対して無償で貸し付ける貸株取引(以下「本貸株」といいます。)を実施する可能性があるとのことです。なお、貸株料等の条件は本書提出日現在未定ですが、仮に本貸株が有償となった場合でも、本貸株は、貸株料等の条件を定める株式貸借契約を締結する日以前1年以上継続して法第27条の2第7項第1号に定める形式的特別関係者の関係にある者との間で行われることが想定されているため、法第27条の2第1項但書に定める「適用除外買付け等」に該当することになるとのことです。
本株式併合に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められているとのことです。
上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主の皆様(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです(注25)。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなるとのことです。
上記の本株式併合の手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付者の当社株式の所有割合、公開買付者及び不応募合意株主以外の当社株主の当社株式の所有状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、本不応募合意株主及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。
なお、本譲渡制限付株式については、2025年7月16日付の当社取締役会決議に基づき、2025年8月1日に付与されたものについては、その割当契約書において、(a)譲渡制限期間中に、本株式併合に関する事項が当社の株主総会で承認された場合(ただし、本株式併合の効力発生日(以下「スクイーズアウト効力発生日」といいます。)が譲渡制限期間の満了時より前に到来するときに限ります。)は、当社取締役会の決議により、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時をもって、本譲渡制限付株式の割当日から上記承認日までの期間に応じて割当てを受ける者ごとに個別に決定される譲渡制限を解除する株式の数の本譲渡制限付株式について、譲渡制限を解除するとされ、(b)上記(a)に規定する場合は、当社は、スクイーズアウト効力発生日の前営業日をもって、同日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式の全部を当然に無償で取得するとされているとのことです。本スクイーズアウト手続においては、本譲渡制限付株式のうち、公開買付期間末日までにその譲渡制限期間の終期が到来し、譲渡制限が解除されるものを除き、上記割当契約書の(a)の規定に従い、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時において譲渡制限が解除されたものについては、本株式併合の対象とし、上記割当契約書の(b)の規定に従い、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時をもって譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式については、当社において無償取得する予定とのことです(なお、公開買付者は、本譲渡制限付株式に代わる新たなインセンティブプランの導入について検討する予定とのことですが、具体的な内容は、今後当社とも協議の上、決定する想定とのことです。)。
② 本新株予約権の取得及び消却
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにおいて本新株予約権の全てを取得できず、かつ、本新株予約権が行使されず残存した場合には、当社に、本新株予約権者に対する本新株予約権の放棄の勧奨等、本取引の実行に合理的に必要な手続を実践することを要請する予定とのことです(なお、公開買付者は、本新株予約権に代わる新たなインセンティブプランの導入について検討する予定とのことですが、具体的な内容は、今後当社とも協議の上、決定する想定とのことです。)。なお、当社は、当該要請を受けた場合には、これに協力する意向です。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
また、本スクイーズアウト手続が2026年6月30日までに完了することが見込まれる場合には、公開買付者は、当社に対し、本株式併合の効力が発生していることを条件として、2026年3月期に係る当社の定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使することができる株主を、本スクイーズアウト手続の完了後の株主とするため、定時株主総会の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを要請する予定とのことです。そのため、当社の2026年3月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総会において権利を行使することができない可能性があるとのことです。
(注25) 本株式併合後において、公開買付者及び本不応募合意株主以外の株主が存在する場合は、当社において有価証券報告書提出義務の免除を受けた後、公開買付者及び本不応募合意株主は、本スクイーズアウト手続の一環として、本貸株を行った上で、第2回株式併合を行うことを含む、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするための手続を実施することを予定しているとのことです。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の一般株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の①乃至⑦の措置を実施していることから、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。
なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置(下記「⑦ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保」)については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)設置等の経緯
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであること、また、本取引については、公開買付者が当社の一般株主に本スクイーズアウト手続を行うことが想定され、村上美晴氏と利益を共通にしていることから、村上美晴氏と、当社又は当社の一般株主との間に構造的な利益相反が存在することを踏まえ、本取引の是非や取引条件の妥当性についての検討及び判断が行われる過程全般にわたってその公正性を担保する観点から、2025年7月22日付取締役会における決議により、公開買付関連当事者及び本取引の成否のいずれからも独立した、当社の独立社外取締役である湯浅紀佳氏(三浦法律事務所パートナー、株式会社コーセー社外取締役、東京エレクトロンデバイス株式会社社外監査役)、山口公明氏(株式会社コタック・エネルギー・パートナーズ監査役)及び白石智哉氏(株式会社エンビプロ・ホールディングス社外取締役)の3名によって構成される特別委員会を設置いたしました。また、本特別委員会の委員の互選により、湯浅紀佳氏が本特別委員会の委員長に就任しております(なお、本特別委員会の委員は設置当初から変更しておりません。また、本特別委員会の各委員の報酬は、本取引の成立等を条件とする成功報酬は採用しておりません。)。なお、当社は、本特別委員会の委員の候補となる当社の社外取締役の独立性及び適格性について確認を行うとともに、公開買付関連当事者のいずれからも独立性を有すること、及び本取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、本特別委員会の委員を選任しております。
当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、①本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)、②本取引に係る取引条件の公正性(対価の水準、本取引の実施方法及び対価の種類の公正性を含む。)、③本取引に係る手続の公正性(いかなる公正担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、④本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否か並びに⑤本取引を行うことの決定(当社取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見表明を行うこと及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)が当社の一般株主(少数株主を含む。以下同じ。)にとって公正であるか(①乃至⑤を、以下「本諮問事項」と総称します。)について諮問いたしました。
また、当社は、上記取締役会決議において、当社取締役会において本取引に関する重要な決定を行うに際しては、本特別委員会の答申を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の取引条件について妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしない旨を決議しております。併せて、当社取締役会は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(ⅰ)業務執行取締役等による、本取引その他それに派生又は関連する事項(以下「対象事項」と総称します。)の検討について、必要な助言を行う権限、(ⅱ)公開買付者との対象事項に関する協議及び交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、対象事項に関する協議及び交渉について意見を述べ、当社取締役会に対して勧告や要請を行い、また、必要に応じて法令上許容される範囲で公開買付者を含む第三者と直接協議・交渉を行う権限、(ⅲ)当社における本取引の検討、交渉及び判断を行う体制について、事前に方針を確認し、意見を述べ、又は勧告や要請を行う権限、(ⅳ)業務執行取締役等に対し、対象事項に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求める権限、(ⅴ)本特別委員会の役割を果たすために必要な範囲で、自らのためのアドバイザー等を当社の費用負担により選任する権限、及び当社のアドバイザー等を評価し、選任について意見し、又は承認(事後承認を含む。)する権限を、それぞれ付与しております。
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、2025年8月6日から2025年11月6日までに、合計13回、約24時間開催された他、会日外においても電子メール等を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定を行い、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。
具体的には、本特別委員会は、まず、2025年8月6日、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサル並びに当社のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所について、その独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任を事後承認いたしました。
また、本特別委員会は、公開買付関連当事者からの独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、2025年9月12日に、公開買付関連当事者から独立した特別委員会独自のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任いたしました。
本特別委員会は、2025年9月4日、公開買付者に対して、本取引を提案するに至った背景、当社の事業環境及び経営課題、本取引のメリット及びデメリット、本取引後の経営体制・経営方針、本取引の条件等を含む質問事項を送付し、2025年9月16日付で受領した当該質問事項に対する書面回答を踏まえて、同月18日、村上美晴氏へのインタビューを実施し、当該質問事項等について質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、2025年9月4日、本取引の精査・検討に当たり、当社に対して本取引のメリット及びデメリット、当社の事業課題、本取引が及ぼすステークホルダーへの影響等を含む質問事項を送付し、同月26日、当社に対しインタビューを実施し、本取引の意義等についての意見交換を行いました。その後、公開買付者に対して本取引における資金調達の方法及び本取引の条件等を含む追加質問事項を送付し、回答を受けました。
さらに、本特別委員会は、山田コンサルから、本取引の条件等についての交渉経緯及び当社の株式価値算定についての説明を受けるとともに、長島・大野・常松法律事務所及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所から、本取引の手続面における公正性を担保するための措置並びに本取引に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益相反を回避するための措置の内容について説明を受け、これらに関しても質疑応答を行っております。
また、本特別委員会は、当社から、当社と公開買付者との間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、本公開買付価格につき、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり交渉が行われ、公開買付者から本公開買付価格を1株当たり1,220円とする旨の提案を受けるに至るまで、当社に複数回意見する等して、公開買付者との交渉過程に実質的に関与いたしました。
(ⅲ)判断内容
以上の経緯で、本特別委員会は、本諮問事項について慎重に検討及び協議を重ねた結果、委員全員一致の決議により、2025年11月6日付で、当社取締役会に対し、大要以下の内容の答申書(以下「本答申書」といいます。)を提出いたしました。
(a)答申内容
1.本取引により、当社の企業価値向上に資することが見込まれ、本取引の目的の正当性・合理性が認められると考える。
2.本公開買付けを含む本取引に係る取引条件(対価の水準、本取引の実施方法及び対価の種類の公正性を含む。)の公正性は確保されていると考える。
3.本取引の実施に際して採用された公正性担保措置を含む手続の公正性は確保されていると考える。
4.上記1から3までを踏まえ、本公開買付けについて当社取締役会が賛同の意見を表明すること、並びに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨すること、及び、本新株予約権者に対して本公開買付けに応募するか否かについて、当社の新株予約権者の判断に委ねることは、相当であると考える。
5.本取引を行うことの決定(当社取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見表明を行うこと及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)が当社の一般株主(少数株主を含む。)にとって公正であると考える。
(b)答申理由
(b)-1 本諮問事項を検討するに際して参照したルール・ガイドライン
(1)前提:本特別委員会の設置の背景
本取引は、当社の代表取締役会長である村上美晴氏が間接的に出資をする公開買付者が、村上美晴氏の意向を受けて実施するものであり、経営者による対象会社の買収(いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO))を達成するための手段として実施される予定の取引である。
一般に、MBOには、「類型的に構造的な利益相反の問題と情報の非対称性の問題が存在する」(経済産業省策定の2019年6月28日付「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「M&A指針」という。)1.4)とされることから、当社取締役会は、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2025年7月22日付の当社取締役会において、公開買付関連当事者及び本取引の成否のいずれからも独立した、当社の独立社外取締役3名(湯浅紀佳氏(三浦法律事務所パートナー、株式会社コーセー社外取締役、東京エレクトロンデバイス株式会社社外監査役)、山口公明氏(株式会社コタック・エネルギー・パートナーズ監査役)及び白石智哉氏(株式会社エンビプロ・ホールディングス社外取締役))によって構成される特別委員会を設置する旨の決議をした。
(2)本諮問事項の検討に際して参照したルール・ガイドライン
M&A指針は、「MBOおよび支配株主による従属会社の買収を中心に、主として手続面から、我が国企業社会における公正なM&Aの在り方を提示する」ものである(M&A指針1.2)。M&A指針は、法令ではないものの、「我が国におけるM&Aが今後更に健全な形で発展していくことを目的として、MBO指針策定後に蓄積されてきた実務も踏まえ、今後の我が国企業社会におけるベストプラクティスの形成に向けて公正なM&Aの在り方を提示するもの」であり(M&A指針1.3)、本答申書作成時点の我が国において、利益相反の問題が生じ得るM&A(MBOに位置付けられる本取引を含む。)の公正性等に関する評価及び分析に関して参照するべきものであると考えられる。
そこで、本答申書では、本諮問事項の検討にあたって、M&A指針を参照することとする。
なお、2025年7月7日付で東京証券取引所が「MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正について」及び『MBOや支配株主による完全子会社化に関する上場制度の見直し等に係る有価証券上場規程等の一部改正等に伴う「会社情報適時開示ガイドブック」の改訂について』を公表し、有価証券上場規程等の改正(以下「本上場規程等改正」という。)は2025年7月22日をもって施行されている。本取引は、本上場規程等改正の施行日後に決定するMBOであるから、本上場規程等改正の適用を受けるものである。本上場規程等改正においては、MBOについて、一般株主にとって公正であることに関する意見の入手が求められているところ、本諮問事項5は、この観点から諮問されたものである。本特別委員会は、本諮問事項5について、本上場規程等改正に照らし、また、本諮問事項1から4までを踏まえ、本取引の決定が当社の一般株主にとって公正であると考えられるかを答申するものとする。
(b)-2 本諮問事項1について
(1)本諮問事項1についての本特別委員会の理解・検討方針
本諮問事項1は、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるかどうか、さらに、本取引の目的の正当性・合理性があるかどうかを問うものである。
本特別委員会は、当社における事業環境及び経営課題の認識等を踏まえ、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるか、また、その目的が正当であり、かつ、合理的なものであるかを検討した。
(2)当社における現状認識
ア 当社の沿革及び事業内容
当社によれば、当社の沿革及び事業内容は、概要以下のとおりである。
・ 当社は、1983年3月に村上美晴氏によって、東京都台東区において、介護サービス事業を営むことを目的に、日本福祉サービス株式会社として設立され、2002年5月にセントケア株式会社に、2007年4月にセントケア・ホールディング株式会社に商号が変更された。
・ 当社株式については、2004年12月にジャスダック証券取引所に、2010年4月にジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQに、2013年7月に東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に、2016年5月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2016年12月に東京証券取引所市場第一部に指定された後、2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直しにより、本答申書作成日現在においては、東京証券取引所プライム市場に上場している。
・ 本答申書作成日現在、当社グループは、当社、連結子会社29社及び持分法適用関連会社1社によって構成されており、「福祉コミュニティの創造」、「生き甲斐の創造」、「ケア産業の創造」を経営理念に、「これまでも、これからも、ずっと在宅」をビジョンとして掲げ、お客様が住み慣れ親しんだ環境で可能な限り安心して生活できるように介護サービスを通して支えるべく、訪問系介護サービス事業及び施設系介護サービス事業を主力領域として展開している。
イ 当社における事業環境及び経営課題の認識
当社によれば、当社は、当社における事業環境及び経営課題について、以下のとおりの認識をしている。
・ マクロ経済環境においては2040年問題に代表される超高齢社会化による日本国内の人口トレンドは今後も加速し高齢者や要介護者の増加が見込まれる。一方で、年金・医療・介護等の社会保障制度がその財政的な面をはじめ十分に機能し支え続けられるかという問題も顕在化しつつあり、当社をはじめとする介護市場とその事業者に少なからず影響を及ぼす可能性を認識している。
・ また、2027年度の介護報酬改定による影響の予測は難しいものの、このような社会保障制度の状況を鑑みるにサービス報酬の増額は見込み難く、さらに、昨今の原材料費や各種の物価の高騰もあり、当社を取り巻く事業環境はこれまで以上に厳しさを増しているものと認識している。
・ 加えて、当社は、生産年齢人口の減少による労働力不足の影響により、介護・看護従事者の確保についてはより厳しい状況が続くと考えており、短期的な採用施策の実施は勿論、中長期的には更なる待遇改善をはじめ、働く環境の改革やリスキリング支援などを中心とした人的投資に取り組むことが必要であると考えている。
・ さらに、介護保険制度が施行され四半世紀を過ぎ、その間において社会構造は大きく変化し、かつその変化のスピードも加速する中、当社もその環境変化に適合したうえで介護という社会課題と向き合い続けるべく、業容変更も視野に入れた迅速な経営体制が求められると強く認識している。
なお、本特別委員会は、本インタビュー等(本特別委員会又は本特別委員会の開催期日外において実施したヒアリング・インタビュー、質疑応答、質問事項の送付及び回答の受領等を総称していう。以下同じ。)を通じて、公開買付者ら(当社の代表取締役会長である村上美晴氏、株式会社村上企画及び公開買付者を総称していう。以下同じ。)からも、当社の経営課題として以下の点の共有を受けた。
・ 当社グループを取り巻く介護業界について、超高齢社会を背景に介護需要が今後も高まると予想されるものの、生産年齢人口の減少により、人材の確保がますます困難となり、労働集約型産業の当社においては、人材獲得競争のさらなる激化が見込まれることに加え、高齢者・要介護者の増加による社会保障費増加を踏まえた介護報酬改定等の変動が起きる中、保険制度に基づく報酬体系に依存している事業特性でありながらも、価格転嫁が難しい物価や人材コストの上昇等への対応をより強く図っていく必要がある。
・ かかる考えの下、2025年1月頃から、当社が今後も環境変化を勝ち抜く競争力を維持し、持続的に成長するためには、これまで当社が培ってきた実績を礎としつつ、当社の事業戦略の要である「コミュニティNo.1戦略」をさらに加速させ、他社にない独自のビジネスモデルを確立するとともに、外部環境の変化に伴って顕在化する消費者ニーズを先取りし、高付加価値のサービスを積極果敢に創出していくことが、当社の競争力維持・持続的成長のために不可欠であると認識するようになった。
・ また、2023年3月頃より東京証券取引所から資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請される中、当社がさらなる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し企業価値向上を実現するためには、従来の施策や各年度の戦略を遂行するだけではなく、これらの施策を積極的かつ機動的に検討及び遂行できる経営体制を迅速に遂行していくことが重要であるとの認識を持つように至った。
ウ 当社における認識の評価
以上の当社による事業環境及び経営課題の認識については、矛盾した点や客観的事実に反している点は認められず、本特別委員会は、その内容について、これを否定するべき事情を認識していない。
(3)本取引の意義
ア 村上美晴氏が考える本取引の意義
公開買付届出書のドラフト及び本インタビュー等によれば、村上美晴氏は本取引の実行後、下記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の各施策を実行することを検討している。
(Ⅰ)先進技術とICTの活用によるサービス最適化と事業効率化の推進
・ 当社の競争優位性を確保するためには、変化するお客様の需要の獲得やサービスの質の向上と事業運営の効率化に向けたデジタル投資の従来以上に積極的かつ果敢な推進が必要不可欠であると考えている。
・ 具体的には、生成AI技術やビッグデータ解析基盤の活用により、利用者ごとに最適化されたケアプランの自動作成や、健康状態・生活データの分析による予防的な支援・介入など一人ひとりのお客様に対する高付加価値サービスの提供を実現する必要があると考えている。また、タブレットやスマートフォンを活用した電子カルテ・介護記録システムの導入や、IoTセンサーによるリアルタイムな見守り、服薬管理・状態変化の自動通知など、現場業務の自動化などによって現場業務の自動化を図るとともに、生成AIによる記録の自動入力や事務作業の効率化、スケジュール調整や人員配置の最適化により、現場支援に付随する事務・管理などの間接業務も大幅に省力化され、従業員が顧客ケアに専念できる環境の整備も必要不可欠であると考えている。さらに、ロボット技術の導入により、介護の移乗・排泄支援、定期的な健康チェックの自動化、異常時の迅速な対応など、利用者の安全性向上と介護の質の平準化も可能になると考えている。こうした先進的なICT・AI・ロボット技術の活用を通じて、生産性の高い介護現場の構築と、一人ひとりのお客様に対して最適なサービスを提供できる体制の構築を実現させる所存である。
(Ⅱ)既存サービスの連携強化と新規領域への対応促進による「コミュニティNo.1戦略」の確立
・ 当社が今後も市場環境の変化を乗り越え、競争優位性を維持し持続的な成長を遂げるためには、これまで培ってきた事業実績を基盤としつつ、既に実施している訪問介護と訪問看護サービス双方のシームレスな連携強化を推進することに加え、高度な医療的ニーズや中重度者の対応に加え、看護・リハビリ・生活支援・予防ケア・地域包括支援といった多機能型サービスを組み合わせ、利用者ごとに最適化したケアプランを設計・提供できる体制を構築することによる「コミュニティNo.1戦略」をこれまで以上に加速させることが不可欠であると考えている。
・ 具体的には、ケアマネジャー間によるお客様の健康状態や生活状況などの情報をリアルタイムで共有する仕組みを整え、状況変化に応じたきめ細かな支援を迅速に提供できる体制の構築を目指す所存である。訪問介護スタッフが現場で感じ取った利用者の体調変化や心身の様子を、訪問看護師やリハビリスタッフへ速やかに伝達し、専門職の視点から即座にフォローアップを行うことで、より総合的かつ質の高いサービスを提供することや、また、定期的に多職種での連携会議を開催し、利用者一人ひとりに合わせたケアプランをチームで検討・見直すことで、各分野の知見を結集した最適な支援を実現できると考えている。
・ こうした体制により、ターミナルケアやホスピス等の新規領域も含む利用者の多様なニーズや課題に対し、サービス間が密接に協力しあうことで、顧客一人一人に対してワンストップで総合的かつ専門性の高いケアを提供することが可能となると考えている。さらに、緊急時にも連携が機能することで、利用者やご家族が安心して生活できる環境づくりを一層強化していく所存である。
(Ⅲ)新拠点展開及びM&A・業態転換による事業領域の拡充と収益基盤の強化
・ 上記の変化の激しい事業環境下で、今後も競争優位性を発揮し持続的な成長を遂げるためには、当社グループが持続可能な企業グループとしてお客様に継続してサービスが提供できるよう、機動的なアライアンスやM&Aの活用による安定した収益基盤の強化が不可欠であると考えている。
・ 具体的には、既存拠点においては、看護小規模多機能型居宅介護など在宅介護需要の高いサービスへの業態転換を加速的に進めることで、地域住民のニーズに応えつつ、稼働率の向上を目指すことが必要であると考えている。さらに、在宅医療や地域医療機関との連携を強化し、地域包括ケア体制の構築を推進することで、医療度の高い利用者にも対応できる体制を整備し、提供サービスの付加価値を高めることも必要であると考えている。これらを実現することによって、利用単価の上昇にも寄与できると考えている。また、新規拠点展開については、市場調査・地域分析をもとに需要が高いエリアへの優先投資を実行し、当社グループ全体の事業エリアを着実に拡大させるべく、サービス事業所の取得を目的とした積極的なM&Aを継続的に活用することで、当社グループ全体における人材の確保を加速させるほか、事業規模の拡大に伴うスケールメリットを活かして、経営体力の増強と販管費等間接コストの抑制を推進し、より堅固な収益基盤の構築と持続的な成長を実現させる所存である。
(Ⅳ)中長期的視点による人材投資と人事・教育制度強化による組織基盤の構築
・ 上記(Ⅰ)乃至(Ⅲ)の施策を推進するためには、経済変化や顧客のニーズの動きを迅速に捉え、適切な事業形態や組織変化を機動的に実行できる検討体制の構築に加え、多様化するお客様のニーズに応じて新たな付加価値やソリューションを創出できる人材の採用、育成及び定着するため、社員が高度なスキルを習得できる環境の整備と人事制度の充実が重要であると考えている。
・ 具体的には、社員が必要なスキルを学びやすい研修支援プログラムの導入による教育制度の充実や、モチベーション向上と公平な評価を反映する給与制度、キャリアラダーの構築を目的とした人事制度・報酬体制のブラッシュアップ、非上場化に伴い削減することが出来るコストを用いた役職員の処遇改善に加え、ITインフラ整備による社内業務の効率化の推進、人員リソースの最適配置策の実施による自社内リソースの活用最適化を図り、企業全体の競争力の向上を実現させる所存である。
一方で、上記(Ⅰ)乃至(Ⅳ)の各施策を具体的に検討する過程で、村上美晴氏は、かかる施策は必ずしも直ちに業績に貢献するものではなく相応の時間を要することに加え、新規拠点の開設投資や、積極的なM&Aの推進においては、新規拠点の立ち上げ時の赤字や買収先の買収時の赤字をどこまで許容できるかといった問題や、実効性の観点からの内部統制システムの再構築の必要性、計画通りに事業が展開しない事業遂行上の不確定リスクも存在するため、一時的に利益水準の低下及びキャッシュ・フローを悪化させるリスクがあり、当社グループに期待される利益を生み出すことが一時的に困難となる可能性も否定できないと考えるように至った。
また、村上美晴氏は、当社が上場企業である以上、株価を重視し、短期的な業績に対してコミットメントが求められる中、上記の各施策の実行により中長期的な成長を優先する意思決定を行った結果、資本市場から十分な評価を得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性があり、これらも踏まえ、当社が上場を維持したまま、これらの施策を実施することはスピードとのバランスを取ることが難しい状況であると考えるようになった。他方で厳しい事業環境にある介護業界において激化する競争環境下で勝ち抜くためには、可及的速やかにこれらの施策を実施するべきであると強く認識するようになった。
イ 当社が考える本取引の意義
当社プレスリリースのドラフト及び本インタビュー等によれば、当社は、村上美晴氏が企図している上記ア記載の各種施策について、以下の理由から、これを実行することが必要であると考えている。
・ (Ⅰ)先進技術とICT活用によるサービス最適化と事業効率化の推進については、中長期目線での事業投資を通じた、生成AI技術、ICTソリューション、ビッグデータの活用によるお客様ごとに最適化された介護サービスの提供やロボット技術等の応用・発展による在宅介護の事業効率化を実現し、人員確保の難易度が高まっている状況におけるデジタル化を通じた事業効率化及び生産性の向上は必須と認識している。
・ (Ⅱ)既存サービスの連携強化と新規領域への対応促進による「コミュニティNo.1戦略」の確立については、サービス間の連携を加速及びターミナルケア等の新規領域への対応強化を目指すことで、より充実したサービスの提供が可能となり、集客力や単価の向上に繋がるため、早期に対応すべきと考えている。
・ (Ⅲ)新拠点展開及びM&A・業態転換による事業領域の拡充と収益基盤の強化については、看護小規模多機能型居宅介護など在宅介護需要の高いサービスへ業態転換を進め、規模の経済を生かした効率化に伴うコストメリットを実現することは、高まるインフレ圧力・物価高や人材の獲得競争の激化に伴う採用関連費の上昇による財政悪化も懸念される昨今の状況においては早期に実施すべき内容と考えている。
・ (Ⅳ)中長期的視点による人材投資と人事・教育制度強化による組織基盤の構築については、継続的な事業拡大の礎となる人材獲得に向けて中長期的な目線を意識した機動的な待遇改善・見直しの検討、リスキリング支援や教育研修プログラムといった人的投資の増強は必要であるとともに、既存の従業員、今後当社に入社する従業員に問わず恩恵があることから、必要な施策だと考えている。
しかしながら、当社は、かかる施策は中長期的に見れば当社の大きな成長及び収益の拡大につながる施策であったとしても、その推進段階においては、相応の時間と各種先行投資が必要であり、短期的には利益水準の低下及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性があるほか、各種施策の実行によりコストが先行しても期待される利益と成長が実現できない可能性も否定できないと考えている。そのため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実施した場合、株価の下落や配当の減少により、当社の既存株主の利益を損なう可能性があり、また、それを過度に意識することで施策の実行が遅れることも懸念されると考えている。したがって、当社が上場を維持したままでこれらの施策を実施することは困難であると考えている。
ウ 村上美晴氏と当社が考える本取引の意義の評価
上記ア記載の村上美晴氏の考える本取引の意義は、前述した当社の経営課題を踏まえたものであり、当社が考える本取引の意義とも整合的であると評価することができる。また、上記イ記載の当社が考える本取引の意義自体も、当社の経営課題に照らして、疑うべき事情は見当たらない。
なお、上記のとおり、当社が実施するべきと考えている施策の必要性については、これを否定する事情は見当たらないものの、本特別委員会としては、本取引により可能とされる当該諸施策の加速度的実行と企業価値向上を実現するためには、具体的な戦略の策定、施策の実行、そしてモニタリングにおいてリーダーシップを発揮できる人材が重要であると考えている。この観点から、本特別委員会は、当社における経営陣・中間管理層を含めた経営人材の抜本的強化と、それを支える組織の柔軟性・多様性の拡充、そして企業文化の変革が必要であると考えており、当社に対して、その旨意見を述べている。
エ 本取引の実施による他の影響
本検討対象資料(本事業計画、本株式価値算定書、公開買付届出書のドラフト、当社プレスリリースのドラフト及び本インタビュー等その他の委員会において配布された各種資料を指す。)の検討及び本インタビュー等の結果、本取引の実施により、当社の事業活動に生じ得る懸念の有無について、以下の事項が確認された。
・ すなわち、一般論として、非公開化が行われた場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社としての社会的な信用や知名度の向上による人材の確保及び取引先との取引等に影響を及ぼす可能性が考えられる。
・ しかしながら、当社の場合、現在、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込んでおらず、事業から生じるキャッシュ・フローや金融機関からの借入れにより、資金確保は可能であると考えている。また、証券取引所への上場から20年以上経過し、上場による当社のブランド力や取引先に対する信用力は凡そ確保できていること、加えてこれまでの事業活動を通じて顧客・取引先・従業員に対する信用力及び知名度は既に確保できていることから、当社としては、当社株式の非公開化による人材の確保及び取引先との取引に及ぼすデメリットは極めて限定的であると考えている。
・ なお、当社は、上記ア及びイ記載の各施策の実行により、健全な事業成長の実現が可能であると認識しており、本取引により既存株主との資本関係が消失することによるデメリットは特段認識していない。
さらに、公開買付届出書のドラフトによれば、本取引の実施による他の影響に関して、村上美晴氏としては、以下のとおり考えており、これは、当社の認識と概ね一致しているものと評価できる。
・ 当社は、2004年12月にジャスダック証券取引所への株式上場以来、知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきたと認識している。
・ 一方で、当社が金融機関から効率的に資金の調達を行ってきた実績を踏まえると、事業活動に必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入れによって確保することが可能であり、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれないと考えている。また、当社のブランド力やお客様に対する信用力は既に確保できていると考えている。そのため、当社が上場を維持する必要性や上場を維持することにより享受できるメリットは相対的に低下している状況になっていると考えている。
・ 本取引後、当社においては優れた人材や社会的信用力を本取引前よりも獲得しづらくなる可能性が想定されるところ、当社が創業以来築いてきた知名度や信用力に照らし合わせれば、当社株式の非公開化による人材の確保及び既存株主である取引先との取引等に及ぼすデメリットは極めて限定的であると考えている。
・ さらに、近年の資本市場に対する規制の強化等により、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示事項は年々増加しており、上場会社として株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストの負担は増加傾向にあると考えている。そのため、これらのコストが当社グループの経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないことから、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えている。
以上の点、及びこれに関する本特別委員会と当社の間の質疑応答等の内容に鑑みると、本取引を実施することによる当社の企業価値向上に対する重大な支障となる事情として認められるものは、特段、見受けられない。
オ 他の手法の採用可能性(上場廃止を手段として選択することの必要性)
本インタビュー等における当社の説明によれば、上記ア及びイ記載の各種施策の実行は、中長期的に見れば当社の大きな成長及び収益の拡大につながる施策であったとしても、その推進段階においては、相応の時間と各種先行投資が必要であり、短期的には利益水準の低下及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性があるほか、各種施策の実行によりコストが先行しても期待される利益と成長が実現できない可能性も否定できないと考えている。すなわち、上場会社である場合には、短期的な収益や配当などの要請を強く意識せざるを得ず、より上場維持への対応が強くなると認識している。そのため、本取引により制約は弱まることで、取り組むべき施策を中長期的な視点から、よりスピードを持って推進したいと考えている。
加えて、公開買付届出書のドラフト及び本インタビュー等における公開買付者らの説明によれば、村上美晴氏は、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化による当社株式の株価の下落により当社の一般株主が当社株式の売却機会を失うリスクを回避しつつ、短期的な業績変動に左右されることなく、上記ア記載の施策を実施し、事業の積極的展開に取り組むために、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築することができるという点で、本取引を通じてマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化することが、当社株式の上場を維持するメリットを上回り当社の企業価値向上のために最も有効な手段であるとの考えに至ったとのことである。
上記の説明を踏まえ、本特別委員会としては、当社株式が上場維持をした状態で、当社が上記ア及びイ記載の各種施策の実行をすることが不可能であるとまでの確信には至ったというわけでは必ずしもないものの、各種施策の実施の上で、当社株式を非公開化することが必要であると考える当社及び村上美晴氏の考えが不合理であると判断する事情を認識していない。
以上の点に鑑みると、当社株式の非公開化を行った上で、各種施策を実行するべく、本取引を行うという判断は、合理性を有するものと考えられる。
(4)小括
以上の事実を前提にすれば、当社の経営課題に照らして、当社及び公開買付者らが実施を企図している各種施策は合理的なものといえ、それを実施する前提として、本取引を実施する意義を否定する事情は見当たらない。
加えて、本取引を実施することによる当社の企業価値向上に対する重大な支障となる事情として認められるものは、特段、見受けられないことに照らすと、本取引の実施は、当社が認識する経営課題の解決、さらには当社の企業価値の向上に資することを否定する事情は見当たらない。
したがって、本取引により、当社の企業価値向上に資することが見込まれ、本取引の目的の正当性・合理性が認められると考える旨の意見を答申する。
(b)-3 本諮問事項2について
(1)本諮問事項2についての本特別委員会の理解・検討方針
本諮問事項2は、本公開買付けを含む本取引の条件(対価の水準、本取引の実施方法及び対価の種類の公正性を含む。)の公正性を問うものである。
ここで、M&A指針では、取引条件の妥当性に関して、以下の記載があるところ(M&A指針3.2.2)、以下の記載は本取引の取引条件の公正性を検討する上でも参考になる。
「取引条件の妥当性については、(a)買収者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保すること、および(b)取引条件の妥当性の判断の重要な基礎となる株式価値算定の内容と、その前提とされた財務予測や前提条件等の合理性を確認することを通じて、検討することが重要である。また、買収対価の水準だけでなく、買収の方法や買収対価の種類等の妥当性についても検討することが重要である。」
そこで、M&A指針の上記の指摘事項を踏まえて、本取引における取引条件の公正性の検討を行う。
また、M&A指針は、上記(b)の具体的内容として、専門性を有する独立した第三者算定機関による株式価値算定結果に加えて、算定の前提とされた事業計画の位置付けやその実現可能性、用いられた算定方法の特性、同種のM&Aにおいて一般に付与されるプレミアムの水準、当該M&Aを行わなくても実現可能な価値、想定される当該M&Aによる企業価値増加効果を検討することが望ましいとしている(M&A指針3.3.2.1B)ことから、この点も含めて検討を行う。
(2)交渉状況の確保
まず、本取引において、「一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況を確保」するために採用された、特別委員会の設置等を含む各種手続に公正性が認められることは、下記(b)-4の「本諮問事項3について」に記載のとおりである。
これに加え、当社は、以下のとおり公開買付者らとの間で、本特別委員会の意見を尊重しつつ、複数回にわたって公開買付価格の増額に向けた交渉を行っていることから、実質的にも独立当事者間の交渉に相当する客観的かつ整合性のある議論を踏まえた交渉がなされたと評価でき、一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して当社が合理的な努力を行ったことを否定する事情は見当たらない。
すなわち、当社は、本取引に係る取引条件について、2025年10月7日以降、公開買付者らとの間で、複数回にわたる交渉を重ねた。具体的な交渉の経過は以下のとおりである。
・ 当社は、公開買付者らから、2025年10月7日、当社が2026年3月期の期末配当を行わないことを前提として、公開買付価格を1,010円とする初回提案を受けた。また、本新株予約権買付価格については、本新株予約権が当社の取締役に対して株式報酬型ストックオプションとして発行されたものであることや、本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮し、残存しているいずれの本新株予約権についても、本新株予約権買付価格を1円とし本取引完了後に新たなインセンティブプランを導入する旨の提案を受けた。
・ これに対して、当社は、2025年10月9日、本特別委員会において検討した結果、(a)提案された公開買付価格が、当社の一般株主の利益に十分に配慮された金額とはいえないことを理由に公開買付価格の再検討を要請する旨、(b)本新株予約権買付価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を行った。
・ 当社は、公開買付者らから、2025年10月15日、公開買付価格を1,070円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を受けた。
・ これに対して、当社は、2025年10月17日、本特別委員会において検討した結果、(a)提案された公開買付価格は、山田コンサルによる当社株式価値の試算結果及び同種の取引事例におけるプレミアム率と比較して未だ低い水準であり、企業価値向上のための施策の実施により期待される価値のしかるべき部分が適切に反映された価格とはいえないこと、また当該提案価格であれば、一般株主の利益を保護する観点から、本公開買付けにおける買付予定数の下限について、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定が必要である旨、(b)本新株予約権買付価格を1円とし本取引完了後に新たなインセンティブプランを導入する旨の提案について異存はないものの、どのようなインセンティブプランの導入を検討しているのか具体的な提案を要請する旨の回答を行った。
・ 当社は、公開買付者らから、2025年10月23日、(a)公開買付価格を1,130円、本新株予約権買付価格を1円とする旨、(b)インセンティブプランについては当社とも協議の上で決定する想定である旨の再提案を受けた。
・ これに対して、当社は、2025年10月24日、本特別委員会において検討した結果、提案された公開買付価格は、山田コンサルによる当社株式価値の試算結果及び同種の取引事例におけるプレミアム率と比較して依然として低い水準であり、本取引によるシナジーが適切に分配された価格水準であるとはいえず、当該提案価格におけるプレミアム率では、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定についても引き続き検討が必要であることを理由に、公開買付価格の再検討を要請する旨の回答を行った。
・ 当社は、公開買付者らから、2025年10月28日、公開買付価格を1,190円、本新株予約権買付価格を1円とする再提案を受けた。
・ これに対して、当社は、2025年10月29日、本特別委員会において検討した結果、山田コンサルによる当社株式価値の試算結果及び当該提案価格におけるプレミアム率を踏まえると十分に満足できる水準ではなく、企業価値向上のための施策の実施により期待される価値のしかるべき部分が適切に反映された価格とはいえないこと、また、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)の設定についても引き続き検討が必要であることを理由に、公開買付価格の再検討を要請する旨の回答を行った。
・ 当社は、公開買付者らから、2025年10月31日、公開買付価格を1,210円、本新株予約権買付価格を1円とする提案を受けた。
・ これに対して、当社は、2025年11月4日、本特別委員会において検討した結果、企業価値向上のための施策の実施によって実現されるシナジーが一般株主に分配された価格水準とは言い切れず、また、特別委員会として一般株主の利益に最大限配慮した価格であると判断し「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)を設定しない提案を許容するためには再度の価格の引き上げを要請すべきであると考え、公開買付価格を1,250円とする対案を提示した。
・ 当社は、公開買付者らから、2025年11月6日、公開買付価格を1,220円、本新株予約権買付価格を1円とする最終提案を受けた。
・ これに対して、当社は、2025年11月6日、本特別委員会において検討した結果、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、「マジョリティ・オブ・マイノリティ条件」(Majority of Minority)を設定せずとも、一般株主の利益に十分に配慮された価格であると判断し、公開買付価格に応諾する旨の回答を行った。
・ 以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2025年11月7日、公開買付価格を1,220円、本新株予約権買付価格を1円とし、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決定する予定である。
(3)株式価値算定と公開買付価格の関係
ア 事業計画の合理性
公開買付価格の公正性・妥当性の検討にあたっては、山田コンサルによる株式価値の算定結果が中心的な資料となるが、DCF法が用いられるにあたっては本事業計画を基礎資料としていることから、本事業計画の信用性・妥当性を検証する必要がある。特に、本事業計画は、本取引が実施される可能性が具体的に認識された後に作成されたものであるため、本取引が実施される可能性が具体的に認識される前に作成する場合に比べて、本取引の成否に影響を与える目的による恣意が介在する可能性がある(ただし、本取引のような取引類型において、第三者算定機関による株式価値算定の基礎資料として、未策定の事業年度に関する事業計画を対象会社が新たに作成することは一般的であるため、本取引の検討開始後に作成されたこと自体をもって、本事業計画の合理性に疑義を生じさせる事情にはならない。)。
本インタビュー等及び当社プレスリリースのドラフトによれば、本事業計画は、本中期経営計画(なお、本中期経営計画は、2025年6月16日付の「中期経営計画の見直しに関するお知らせ」において一部見直し済みである(以下「本中計一部見直し」という。)。)の基礎資料に準拠し、本取引の実施を前提としないスタンドアローン・ベースで作成されたものである。
本特別委員会は、以下の事情から、本事業計画の作成プロセス及び内容について合理性を否定する事情は認められないと判断した。
① 本インタビュー等の回答を踏まえると、本事業計画について、公開買付者ら又はそれらの関係者がその作成に関与し、又は影響を及ぼした事実は窺われない。なお、本インタビュー等によれば、(ア)本中期経営計画は、本取引が実施される可能性が具体的に認識される前に、本取引とは無関係に作成されており、かつ、(イ)本中計一部見直しについては、当時の当社の足元の事業環境等を踏まえて行ったものであり、同じく、本取引が実施される可能性が具体的に認識される前に、本取引とは無関係に作成されている。
② 山田コンサルは、本事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、その作成経緯及び当社の現状を把握した上で、それらに不合理な点がないかという観点から、当社の事業計画の合理性を確認しているところ、本特別委員会は、山田コンサルから、その旨の報告を受け、質疑応答を行ったが、山田コンサルによる本事業計画に関する分析に不合理な点は見当たらない。
③ 本事業計画の内容としても、本中計一部見直し後の本中期経営計画の内容を踏襲するものであり、具体的な計画値としても、売上高と営業利益の双方について計画期間を通じて成長が見込まれていることから、不合理であると断ずることはできない(注)。
(注) なお、本特別委員会は、本事業計画が、当社が採用しうる各種施策を積極的に取り入れ、それらが成功したと仮定した場合の事業計画(いわゆる望ましい将来の姿を示すという趣旨で「TO-BE」の色彩の強い事業計画)ではなく、いわゆる「AS-IS」の色彩の強い当社の現状を踏まえた事業計画(本中計一部見直し後の本中期経営計画の内容を踏襲する事業計画)であると考えるものの、「AS-IS」であることをもって、事業計画の合理性は否定されるべきものではないと判断をしている。他方で、本特別委員会は、事業計画の作成方針により、DCF法上の算定結果(レンジ)に影響が生じることを踏まえて、少数株主の利益保護の観点から、公開買付価格が、山田コンサルが示したDCF法のレンジの上限値に近づくことを目指して、公開買付者らと交渉を行うことを方針としている。
イ 算定方法及び算定根拠の合理性
本特別委員会は、第7回特別委員会、第11回特別委員会及び第12回特別委員会において、山田コンサルから、当社株式の株式価値の算定結果、算定方法及び算定結果に関する考察過程等について、詳細な説明を受けた。
まず、山田コンサルが採用した算定手法は、継続企業を前提とした企業価値評価手法であり、具体的には、市場株価法及びDCF法を採用している。市場株価を基準にして、将来キャッシュ・フローの現在価値を評価に織り込むDCF法にて評価上限を把握する算定手法の組み合わせは、企業評価の標準的アプローチに沿ったもので妥当と評価できる。
山田コンサルが採用した算定手法のうち、市場株価法は、本取引の公表日の前営業日を基準日とし、基準日の終値並びに基準日の直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間のそれぞれの終値の単純平均値を基に株価を算出している。当社の株価推移については、特別な要因によると思われる重要な変動は存在せず、特段異常な動きはないことからみても、山田コンサルの算定における株価評価期間の設定は適切であり、市場株価法による価格レンジは十分合理的なものであると考える。
次に、DCF法については、各算出要素において恣意的な数値の操作や不合理な前提条件の設定がなされた場合には、最終的な算定結果が大きく変動する可能性がある。かかる観点から、本インタビュー等において、山田コンサルに対してその算定過程の確認を行ったが、DCF法で採用した各種算出根拠については、特段指摘すべき恣意的な数値の操作や不合理な前提条件の設定は見受けられなかった。
なお、当社と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて、当社の株式価値を算出する類似会社比較法については、山田コンサルからは、他社との事業性、資本構成割合及び財務指標等を勘案し、当社と類似する適切な上場会社を複数社選定できないことから、採用しないこととした旨の説明を受け、本特別委員会としては、当該説明に特に不合理な点はないと判断した。
以上のとおり、市場株価法及びDCF法の選択、並びにそれぞれの算定方法及び算定根拠について、いずれも不合理な点は見当たらず、本特別委員会は、当社株式の株式価値の検討に当たり、山田コンサルが作成した本株式価値算定書に依拠することができるものと評価した。
ウ 株式価値算定の結果
山田コンサルが作成した本株式価値算定書によれば、各算定方法による当社株式の株式価値は以下の表1のとおりである。
<表1 山田コンサルによる当社株式の株式価値>
| 算定方法 | 基準日 | 1株当たり株式価値 |
| 市場株価法 | 2025年11月6日 | 791円~851円 |
| DCF法 | 2025年11月5日 | 869円~1,278円 |
公開買付価格である1株当たり1,220円は、市場株価法に基づく算定レンジの上限を上回り、DCF法による算定結果のレンジの上位85.81%に達しており、山田コンサルが示したDCF法のレンジの上限値に十分近い金額であることが認められる。
以上から、公開買付価格は、山田コンサルにより算定された当社株式の株式価値との比較の観点からしても、一般株主(少数株主を含む。)にとって公正なものであると考えられる。
エ プレミアムの検討
(ア)本取引におけるプレミアム
本インタビュー等における山田コンサルの説明によれば、公開買付価格は、2025年11月6日(以下「直前営業日」という。)までの東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値に対して、以下の表2に示すプレミアムを加えた金額となっている。
<表2 公開買付価格のプレミアム>
| 参照値 | 株価 | プレミアム |
| 直前営業日の終値 | 824円 | 48.06% |
| 直前営業日の過去1ヶ月の終値単純平均値 | 851円 | 43.36% |
| 直前営業日の過去3ヶ月の終値単純平均値 | 823円 | 48.24% |
| 直前営業日の過去6ヶ月の終値単純平均値 | 791円 | 54.24% |
(イ)他の案件との比較
M&A指針において、市場株価と比較して「プレミアムが何%以上であれば公正である」といった一義的・客観的な基準を設けることは困難であるとされるように(M&A指針2.2.2)、本特別委員会としても、上記のようなプレミアムが付されていることをもって、直ちに公開買付価格が公正、妥当又は不当であると断言することはできないと認識している。
ただし、本インタビュー等における山田コンサルの説明によれば、上記プレミアムは公正なM&Aの在り方に関する指針が公表された、2019年6月28日から2025年10月2日までに公表された当社が上場している市場である東京証券取引所プライム市場の上場会社(2022年4月4日に東京証券取引所にて市場区分が見直される以前に公表された事案においては、東京証券取引所市場第一部の上場会社)のうち、公開買付価格から算出した対象会社のPBRが1倍を超える上場会社を対象としたMBOの一環として行われる公開買付けにおける事例35件における買付け等の価格決定の際に付与されたプレミアム水準(公表日前営業日の終値に対するプレミアムの中央値(39.45%)、直近1ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムの中央値(39.53%)、直近3ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムの中央値(39.00%)、及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムの中央値(42.24%))と比較して、合理的な水準といえる。
オ 小括
以上のような山田コンサルによる株式価値算定の結果との比較の観点に加え、本取引において、過去事例の水準と概ね近接しており遜色がないプレミアムが確保されていると認められることを勘案すれば、公開買付価格の水準は、合理的であるとの結論に達した。
そして、上記エで述べたようなプレミアム水準が確保されていることを踏まえれば、本取引においては、M&A指針における①M&Aを行わなくても実現可能な価値の全てと、②M&Aを行わなければ実現できない価値のしかるべき部分を一般株主が享受すべきである旨の指摘(M&A指針2.2.1)への配慮もなされていると認められる。
なお、本事業計画及びそれを基にした本株式価値算定書は、スタンドアローン・ベースで作成されているものである。この点に関して、本特別委員会は、M&A指針において、①M&Aを行わなくても実現可能な価値の全てと、②M&Aを行わなければ実現できない価値のしかるべき部分を一般株主が享受すべきである旨の指摘(M&A指針2.2.1)があることから、上記②の観点から、本取引により想定されるシナジーを可能な限り定量的に把握した上で、当社株式の株式価値算定に反映させることが、本取引に係る取引条件の妥当性・公正性に関する検証をよりよく行えるものと考えている。
本特別委員会は、本取引により想定されるシナジーに関する定性的な分析に関しては公開買付者らから十分な説明を受けたと考えているものの、上記②の見地から、公開買付者らに対して、公開買付者らが考える本取引により想定されるシナジーを定量化すること、及び定量化した数値を反映した事業計画(すなわち、本取引が実施されたと仮定した場合の事業計画)を提出することを依頼した。
他方で、公開買付者らからは、当社株式に関する上場廃止によるコスト削減に関する事項を除き、上記の依頼に対しては対応がなされなかった。本特別委員会としては、上記のとおり、本取引に係る取引条件の妥当性・公正性に関する検証をよりよく行う観点からは、本取引により想定されるシナジーの可能な限りの定量化が望ましいと考えているものの、本取引と同種の案件において、非公開化に係る取引を通じて想定されるシナジーの全てについての定量化が実施されているわけではないとの本特別委員会のリーガル・アドバイザーからの助言(注)や、シナジーの定量化については様々な前提条件を設定する必要があり、信頼のできる数値化が必ずしも容易ではないということを踏まえると、シナジーの定量化に関する網羅的な検証を行うことなく、本取引に係る取引条件の妥当性・公正性に関する検証・判断を行うこと自体は不合理ではないと考える。
(注) M&A指針では、「M&A後の事業計画等は、それ自体不確実性を伴うものであることや、対象会社は買収者が想定するM&A後の事業計画等や将来の可能性に関する情報を十分に有しておらず、これを前提とした財務予測等を合理的に推定することが困難な場合も少なくないことに加え、買収者が上記の情報を対象会社に対して詳細に開示することも、自らの手の内をさらすこととなり、買収戦略上自ずから限界がある」との指摘がある(M&A指針3.3.2.1参照)。
(4)スキーム等の妥当性・公正性
本取引においては、まず本公開買付けを行い、本公開買付けの成立後に当社株式の併合(以下「本株式併合」という。)を行う手法が想定されている。そして、公開買付届出書のドラフトによれば、本株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭が、公開買付価格に各株主の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定される予定であることも明らかにされている。
本取引の手法は、この種の非公開化取引においては一般的に採用されている方法であり、かつ、二段階目の手続において、反対する当社の株主は、裁判所に対して、会社法の規定に基づいて、価格決定の申立てが可能である。
本取引の方法は、株主が受領する対価が現金であることから、対価の把握の容易さ、並びにその価値の安定性及び客観性が高いという点で優れており、当社の非公開化を迅速に行うという要請と、一般株主等による十分な情報に基づく適切な判断の機会と時間の確保を両立させることができるという観点でも望ましいと考えられる。
以上より、買収の方法として公開買付けを伴う二段階買収の方法を採用し、買収対価を現金とすることには、妥当性及び公正性が認められる。
(5)本新株予約権買付価格の妥当性
本新株予約権買付価格は、本新株予約権1個当たり1円とされている。これは本新株予約権が当社の取締役に対して株式報酬型ストックオプションとして発行されたものであることや、本地位喪失行使条件を充足する場合に限り権利行使することができるものとされているため、公開買付者が本新株予約権を取得しても行使することができないこと等を考慮したものであり、公開買付者らのかかる判断は不合理ではないと考えられる。
(6)小括
上記(1)から(5)までにおいて述べたとおり、本取引の交渉状況やスキーム等の妥当性を前提に、公開買付価格については、その妥当性・公正性が認められる。
また、本取引においては、一般株主が本公開買付け又は本スクイーズアウト手続のいずれによって対価を得たとしても、当社株式1株当たり公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることから、本公開買付けを含む本取引に係る取引条件(対価の水準、本取引の実施方法及び対価の種類の公正性を含む。)の公正性は確保されていると考える旨の意見を答申する。
(b)-4 本諮問事項3について
(1)本諮問事項3についての本特別委員会の理解・検討方針
本諮問事項3は、本取引に係る手続の公正性(いかなる公正担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)を問うものである。
本特別委員会は、本諮問事項3について、M&A指針で記載のある公正性担保措置の採用及び運用の状況、並びに本取引における同種案件における公正性担保措置の採用状況を確認することを通じて検討を行った。その際には、本特別委員会は、M&A指針も指摘するように(M&A指針3.1.2)、M&A指針で取り上げられている措置を全て採用する必要があるわけではなく、本取引の実情に応じた公正性担保措置が採用され、適切に運用されているかを確認することが重要であると考えている。
加えて、本特別委員会は、本取引に係る手続の公正性を判断するにあたっては、M&A指針において挙げられている基本的な視点である(ⅰ)取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況の確保、及び(ⅱ)一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点(M&A指針2.4)を踏まえて、行うことが適切であると考えている。
(2)特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
本特別委員会は、当社取締役会の決議により設置され、本諮問事項についての諮問を受けている。
本特別委員会は、本諮問事項の検討にあたって、M&A指針で特別委員会が果たすべきとされる役割(具体的には、①対象会社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、M&Aの是非について検討・判断するとともに、②一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討・判断すること)を実施している(M&A指針3.2.2)。
このほか、本特別委員会については、以下の点への配慮があることから、公正性担保措置として有効に機能していると認められる。
① 特別委員会の可及的速やかな設置(M&A指針3.2.4.1)
2025年7月16日に公開買付者らから本取引に関する意向表明書を受領した後、同月22日に本特別委員会が設置され、同年8月6日に第1回特別委員会が開催されており、買収者から買収提案を受けた後、可及的速やかに設置及び開催がなされた。
② 特別委員会の委員構成(M&A指針3.2.4.2)
本特別委員会の委員は当社の独立社外取締役3名で構成されており、各委員について、公開買付関連当事者及び本取引の成否から独立性を有しており、かつ、委員としての適格性を有することを確認している。
③ 特別委員会による買収者との取引条件の交渉過程への関与(M&A指針3.2.4.4)
本特別委員会は、本取引の取引条件に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与することができることを確認するとともに、本特別委員会は、公開買付者らから公開買付価格を1株当たり1,220円とする旨の提案を受けるに至るまで、当社に複数回意見することを通じて、公開買付者らとの交渉過程に実質的に関与した。
④ アドバイザーからの助言の取得
本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー又はリーガル・アドバイザーを承認(事後承認を含む。)した上で、本諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、当該アドバイザーから専門的助言若しくは説明を受けること、又は独自のファイナンシャル・アドバイザー若しくはリーガル・アドバイザーを選任した上で当該アドバイザーから専門的助言を受ける権限が与えられているところ(なお、この場合の費用は当社が負担する。)、(ア)第1回特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザーである山田コンサル及び当社のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所について、(イ)第3回特別委員会において、本特別委員会のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、それぞれ独立性に問題ないことを確認の上、必要に応じて専門的助言又は説明を求めることを確認した(M&A指針3.2.4.5参照)。
⑤ 情報の取得(M&A指針3.2.4.6)
本特別委員会は、公開買付者ら及び当社に対し質問事項を送付し、回答を得るとともに、追加の情報提供を求めるなど、検討及び判断に必要な情報を収集している。
⑥ 委員の報酬(M&A指針3.2.4.7)
本特別委員会の各委員の報酬は、本取引の成立等を条件とする成功報酬は採用されていない。
⑦ 当社取締役会における特別委員会の判断の取扱い(M&A指針3.2.5)
当社取締役会は、当社取締役会において本取引に関する重要な決定を行うに際しては、本特別委員会の答申を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の取引条件について妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしない旨を決議している。
(3)当社の意思決定のプロセス及び検討体制(M&A指針3.2.6)
M&Aへの賛否を決定する取締役会の決議において、当該M&Aに重要な利害関係を有する者を除く取締役全員の賛成及び監査役全員の異議がない旨の意見があった場合には、当該M&Aにおいて公正性担保措置が有効に機能したことを示す事情の一つとなるとされている(M&A指針3.2.5脚注46)。
また、M&A指針上、M&Aへの賛否等を決定する対象会社の取締役会の決議の前の検討・交渉段階から、個別のM&Aの具体的状況に応じて、「特別の利害関係を有する取締役」も含む一定の利害関係を有する取締役等を対象会社における検討・交渉過程から除外する等、可能な限り買収者から独立した立場で検討・交渉等を行うことができる体制を対象会社の社内に構築することが考えられるとしている(M&A指針3.2.6)。
この点に関して、当社については、本答申書作成日の翌日に開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計9名のうち、村上美晴氏を除く取締役8名)の全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨すること、及び本新株予約権者に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、当該本新株予約権者の判断に委ねることが決議される予定である。
なお、当社の代表取締役会長である村上美晴氏は、本取引において当社と利益が相反し又はそのおそれがあることを踏まえて、上記の当社取締役会を含む本取引に係る当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、かつ、当社の立場において、本取引に係る検討並びに公開買付者との協議及び交渉に一切参加していない。
加えて、当社は、上記(1)のとおり、本特別委員会を設置してその意見を取得することとしているが、本取引に関する当社取締役会の意思決定は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすることなどを踏まえれば、本取引に関する当社の意思決定の恣意性は排除され、意思決定のプロセスの公正性、透明性及び客観性が確保されているといえる(M&A指針3.2.4.4及び3.2.5)。
以上からすれば、当社における意思決定プロセスに、公正性に疑義のある点は見当たらない。
(4)独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得(M&A指針3.3.2)
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、2025年8月1日に、山田コンサルを公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に選任した上で、山田コンサルに当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年11月6日付で本株式価値算定書を取得している。
本株式価値算定書においては、上記(b)-3(3)で詳述しているように、複数の算定方法を採用しており、恣意的な価格の算定がされないよう配慮がされている。また、算定の前提となる本事業計画の作成にあたって、公開買付者ら又は当社の役職員による恣意的行動があった事実は認められず、算定にあたって公正性を疑わせるような事情も見当たらない。
以上から、本株式価値算定書は、独立した第三者算定機関による株式価値算定書であると認められる。
なお、当社及び本特別委員会はフェアネス・オピニオンの取得はしていないが、M&A指針においても、フェアネス・オピニオンの取得は必須とされておらず(M&A指針3.3.2.2)、他に採用された公正性担保措置を勘案すると、当社及び本特別委員会が本株式価値算定書をもとに本取引への賛同及び応募推奨の可否の判断をすることも、公正性との関係で問題はないと考えられる。
(5)独立した法律事務所からの助言の取得(M&A指針3.3.1)
当社は、本公開買付けに係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、2025年8月1日に、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けている。なお、長島・大野・常松法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有していない。
長島・大野・常松法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていない。また、本特別委員会は、第1回特別委員会において、長島・大野・常松法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして承認している。
加えて、本特別委員会は、2025年9月12日に、公開買付関連当事者から独立した独自のリーガル・アドバイザーとして、アンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けている。なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有していない。また、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていない。
以上から、当社及び本特別委員会は、本取引に係る検討の初期的段階からリーガル・アドバイザーによる専門的助言を取得していると認められる。
(6)マーケット・チェック(M&A指針3.4.2)
公開買付届出書のドラフトによれば、公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定している。公開買付期間を法定の最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切な判断を行う機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者(以下「対抗的買収提案者」という。)にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図している。
また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていない(M&A指針3.4.2脚注63)。このように、公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、いわゆる間接的なマーケット・チェックを実施し、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。
なお、本取引において、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェック(本取引の公表前における入札手続等を含む。)は実施されていないが、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本取引における具体的な状況に鑑みて、これを実施しなくとも、特段、本取引の公正性が阻害されることはないと考えられる。
(7)マジョリティ・オブ・マイノリティ(M&A指針3.5)
公開買付届出書のドラフトによれば、公開買付者は、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定していない。
この点に関して、本特別委員会としては、「一般株主の過半数が取引条件について満足していることを直接確認することを通じて、一般株主による判断機会の確保をより重視することにつながる」(M&A指針3.5.1)ことから、本公開買付けにおいても「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の設定をすることが、より一般株主の利益に資することになると考え、公開買付者らに対して、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の採用に関する示唆を複数回行ったものの、公開買付者らにより受け入れられることはなかった。
ここで、M&A指針においては、支配株主による従属会社の買収のように買収者の保有する対象会社の株式の割合が高い場合における企業価値の向上に資するM&Aに対する阻害効果の懸念等が指摘されるなど、常に「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)を採用することが望ましいとまではいうことは困難とされており、対象会社の取締役会や特別委員会は、当該M&Aにおける具体的状況を踏まえて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の設定の有効性や弊害の有無等を総合的に判断し、その要否を検討することが望ましいと考えられるとされている(M&A指針3.5.2)。
ここで、本公開買付けにおいては、公開買付者らが所有する当社株式(本新株予約権の目的とする当社株式を含む。)が合計11,956,027株(所有割合にして48.01%)であり、これは、支配株主による従属会社の買収に近い状況と評価することは十分可能であり、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の設定による企業価値の向上に資するM&Aに対する阻害効果の懸念が当てはまるものと考えられる。また、第8回特別委員会、第10回特別委員会及び第11回特別委員会において、山田コンサルから本特別委員会になされた説明によれば、過去3年間において、公開買付者及びその特別関係者が所有する対象会社の株式の所有割合が3分の1を超えているマネジメント・バイアウト(MBO)のうち、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)が設定されている事例は、1件(注)を除き存在しない旨の報告を受けた。
(注) 2025年7月15日にPCGVI-1株式会社により開始された株式会社DDグループを対象会社とするマネジメント・バイアウト(MBO)。山田コンサルからの説明によれば、この事例における公開買付価格(1,700円)は、(ア)株式会社DDグループが取得した株式価値算定書上のDCF法の下限値である1,687円に限りなく近いこと、(イ)公表日の前々営業日である2025年7月10日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における同社株式の基準日の終値1,469円に対して15.72%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,440円に対して18.06%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,354円に対して25.55%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,323円に対して28.50%のプレミアムが加算されたものであるところ、本公開買付けにおいては、本株式価値算定書上のDCF法による算定結果のレンジの上位85.81%に達しており、山田コンサルが示したDCF法のレンジの上限値に十分近い金額であることが認められることや、プレミアムに関しても上記のプレミアム水準を大きく上回るものであることから、本公開買付けに係る条件交渉に際しては直ちに参考になるものではないとのことであり、本特別委員会も山田コンサルからの当該説明が合理的であると判断をしている。
以上の点を踏まえると、本特別委員会としては、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)は必須ということまではいえず、これが採用されていないということでもって、直ちに、本取引に係る手続の公正性が不十分であるとまでは断ずることはできないと考える。
(8)一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上(M&A指針3.6)
M&A指針では、一般株主による取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料の提供が推奨されており(M&A指針3.6.1)、具体的には、特別委員会に関する情報や株式価値算定書に関する情報等についての充実した開示が期待されている(M&A指針3.6.2)。
本取引では、公開買付届出書のドラフト、及び当社プレスリリースのドラフトにおいて、本特別委員会に付与された権限の内容、本特別委員会における検討経緯や交渉過程への関与状況、本答申書の内容及び本特別委員会の委員の報酬体系等(M&A指針3.6.2.1)、本株式価値算定書の概要(M&A指針3.6.2.2)、本取引の実施に至るプロセスや交渉経緯等(M&A指針3.6.2.3)について充実した情報開示がなされる予定となっており、当社の株主等に対し、取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料は提供されていると認められる。
(9)強圧性の排除(M&A指針3.7)
公開買付届出書のドラフトによれば、本公開買付けの成立後、公開買付者は、当社に対し、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会を2026年2月下旬頃に開催することを要請する予定であるところ、本株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭の額が、公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定する予定であることが明らかにされている。
さらに、当社の株主に株式買取請求権及びそれに伴う裁判所に対する価格決定申立権が、それぞれ確保されていることを踏まえると、本公開買付けについて、強圧性が生じないように配慮がなされていると認められる。
(10)総括
上記(2)から(9)までに記載のとおり、本取引では、(ⅰ)取引条件の形成過程において実質的にも独立当事者間取引といえる状況が確保され、(ⅱ)一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点(M&A指針2.4)から見ても充実した公正性担保措置が採用され、かつ、実効性をもって運用されていると認められるから、結論として、本公開買付けを含む本取引に係る手続の公正性は確保されていると認められる旨の意見を答申する。
(b)-5 本諮問事項4について
(1)本諮問事項4についての本特別委員会の理解・検討方針
本諮問事項4は、当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非を問うものである。
これは、つまるところ、当社取締役会における本取引についての決定の是非を問うものであるところ、本公開買付けは当社株式のみならず本新株予約権も対象としていることから、本特別委員会は、本新株予約権者が本公開買付けに応募するかどうかの是非を含めて答申を行うものとする。
(2)本諮問事項4についての本特別委員会の意見
本特別委員会としては、本諮問事項1から3までにおいて、本取引の目的の正当性・合理性、本取引に係る取引条件の公正性及び本取引に係る手続の公正性が認められることから、本取引は、当社の企業価値向上及び一般株主(少数株主を含む。)の利益の観点から問題があるとは認められないと考える。
他方で、本新株予約権買付価格については、上記(b)-3(5)で述べたとおり、不合理ではないと考えられるものの、1円とされていることから、本新株予約権者に対しては、本公開買付けに応募するか否かについて、当該本新株予約権者の判断に委ねることが相当であると考える。
以上から、本特別委員会は、本諮問事項4について、上記(b)-2から(b)-4までを踏まえ、本公開買付けについて当社取締役会が賛同の意見を表明すること、並びに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨すること、及び、本新株予約権者に対して本公開買付けに応募するか否かについて、当社の新株予約権者の判断に委ねることは、相当であると考える旨の意見を答申する。
(b)-6 本諮問事項5について
(1)本諮問事項5についての本特別委員会の理解・検討方針
本諮問事項5は、当社が本取引を行うことの決定が当社の一般株主(少数株主を含む。)にとって公正であるか否かを問うものであるところ、上記(b)-1(2)記載のとおり、本上場規程等改正を踏まえて答申するものとする。
(2)本諮問事項5についての本特別委員会の意見
本特別委員会は、本諮問事項5を検討する際の考慮要素は、本諮問事項1から3までで検討を要請されている事項で網羅されていると考えているところ、検討の結果、本諮問事項1から3までについて、一般株主(少数株主を含む。)の利益の観点から問題があるとは認められないことは、上記に述べたとおりである。
以上から、本特別委員会は、本取引を行うことの決定(当社取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見表明を行うこと及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)が当社の一般株主(少数株主を含む。)にとって公正であると考える旨の意見を答申する。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルに対して、当社株式価値の算定を依頼し、2025年11月6日付で、本株式価値算定書を取得いたしました。本株式価値算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。
山田コンサルは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。本取引に係る山田コンサルに対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、本取引が不成立となった場合に生じる当社の金銭的負担が成功報酬を含まない報酬体系に比べて小さい面で当社にとっての経済的合理性があることに加え、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が成立した場合に限って支払われる報酬体系ではないこと等に鑑み、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により山田コンサルを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任いたしました。また、本特別委員会は、第1回特別委員会において、山田コンサルの独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認しております。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、本取引に関し、本公開買付価格の公正性その他本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同事務所から、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。なお、長島・大野・常松法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、長島・大野・常松法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、第1回特別委員会において、長島・大野・常松法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして承認しております。
④ 本特別委員会における独立した法律事務所からの助言
本特別委員会は、公開買付関連当事者から独立した独自のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、公開買付関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
⑤ 当社における独立した検討体制の構築
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、当社を除く公開買付関連当事者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、2025年7月16日に村上美晴氏から本意向表明書を受領して以降、本取引に係る当社の検討、交渉及び判断の過程に、村上美晴氏を関与させないこととした上で、当社を除く公開買付関連当事者からの独立性の認められる、土屋真氏(取締役副会長)、藤間和敏氏(代表取締役社長)、及び瀧井創氏(常務取締役管理本部長兼人材開発部長)を含む役職員のみで構成される検討体制を構築し、本特別委員会とともに、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程及び当社株式の価値評価の基礎となる当社の事業計画の作成過程に関与しており、本書提出日に至るまでかかる取扱いを継続しております。
以上の取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)は長島・大野・常松法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性及び公正性の観点から問題がないことについて、本特別委員会の承認を得ております。
⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言、山田コンサルから受けた財務的見地からの助言、本株式価値算定書の内容、公開買付者との間で実施した複数回にわたる継続的な協議の内容及びその他の関連資料を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討をいたしました。
その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年11月7日開催の当社取締役会において、当社の経営課題の解決及び株主様への利益還元の機会の提供という観点から、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本株式価値算定書の算定結果、本公開買付価格のプレミアム水準、公開買付者との交渉過程及び本公開買付価格の決定プロセス等に照らし、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨及び本新株予約権者の皆様に対して、本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。上記の当社取締役会においては、当社の取締役9名のうち、村上美晴氏を除く8名が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員の一致により上記の決議を行っております。なお、上記の当社取締役会には、当社の監査役4名が出席し、上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
なお、村上美晴氏は、本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定していることから、本取引において当社と利益相反又はそのおそれがあることを踏まえて、上記の当社取締役会を含む本取引に係る当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、かつ、当社の立場において、本取引に係る検討並びに公開買付者との協議及び交渉に一切参加しておりません。
⑦ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しているとのことです。公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切な判断を行う機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
(7)本公開買付けに関する重要な合意に関する事項
上記「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けに際して、公開買付者は、2025年11月7日付で、本不応募合意株主との間で本不応募契約、本応募合意株主との間で本応募契約を締結したとのことです。本不応募契約及び本応募契約の概要は、以下のとおりとのことです。
① 本不応募契約(村上企画)
公開買付者は、2025年11月7日付で、村上企画が所有する当社株式(所有株式数:8,994,600株、所有割合:36.12%)の全てについて、本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。
本不応募契約(村上企画)の内容は以下のとおりとのことです。
(ⅰ)本公開買付けに応募しないこと等に関する合意
村上企画が所有する当社株式(所有株式数:8,994,600株、所有割合:36.12%)(以下「不応募合意株式(村上企画)」といいます。)の全てについて、本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。
また、村上企画は、本不応募契約(村上企画)に定める場合又は公開買付者の事前の書面による承諾がある場合を除き、不応募合意株式(村上企画)の全部又は一部について、譲渡、担保権の設定その他一切の処分(本公開買付け以外の公開買付けへの応募を含みます。)を行わない旨を合意しているとのことです。
(ⅱ)本株式併合に関する合意
公開買付者は、本公開買付けの成立後に予定されている、本スクイーズアウト手続の一環として、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請する旨合意しており、公開買付者及び村上企画は、本臨時株主総会において、本臨時株主総会の基準日時点で所有する当社株式の全部について、当該議案に賛成の議決権を行使するとともに、本スクイーズアウト手続の実施に必要な協力を行う旨を合意しているとのことです。
また、村上企画及び公開買付者は、本公開買付けの決済後において、公開買付者が保有する当社株式の数と同数以上の当社株式を保有する株主(村上美晴氏、村上企画を除きます。以下「多数保有株主」といいます。)が存在し、若しくは多数保有株主が生ずることが見込まれる場合又は本不応募合意株主それぞれが所有する当社株式に1株未満の端数を生じないために必要がある場合には、法令等上可能な範囲で、本スクイーズアウト手続により、本不応募合意株主それぞれが所有する当社株式に1株未満の端数を生じさせることなく当社の株主を村上企画及び公開買付者のみとするために必要な手続を実施することを合意しているとのことです。
② 本不応募契約(村上美晴氏)
公開買付者は、本公開買付けに関し、2025年11月7日付で、村上美晴氏との間で本不応募契約(村上美晴氏)を締結しているとのことです。本不応募契約(村上美晴氏)の内容は以下のとおりとのことです。
(ⅰ)本公開買付けに応募しないこと等に関する合意
村上美晴氏が所有する当社株式(所有株式数:2,817,427株、所有割合:11.31%、所有本新株予約権数:678個(目的となる株式数144,000株所有割合:0.58%)(合計所有株式数:2,961,427株、所有割合:11.89%)(以下「不応募合意株式(村上美晴氏)」という。)の全てについて、本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。
また、村上美晴氏は、本不応募契約(村上美晴氏)に定める場合又は公開買付者の事前の書面による承諾がある場合を除き、本不応募合意株式の全部又は一部について、譲渡、担保権の設定その他一切の処分(本公開買付け以外の公開買付けへの応募を含みます。)を行わない旨を合意しているとのことです。
(ⅱ)本株式併合に関する合意
公開買付者は、本公開買付けの成立後に予定されている、本スクイーズアウト手続の一環として、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請する旨合意しており、公開買付者及び村上美晴氏は、本臨時株主総会において、本臨時株主総会の基準日時点で所有する当社株式の全部について、当該議案に賛成の議決権を行使するとともに、本スクイーズアウト手続の実施に必要な協力を行う旨を合意しているとのことです。
また、村上美晴氏及び公開買付者は、本公開買付けの決済後において、多数保有株主が存在し、若しくは多数保有株主が生ずることが見込まれる場合又は本不応募合意株主それぞれが所有する当社株式に1株未満の端数を生じないために必要がある場合には、法令等上可能な範囲で、本スクイーズアウト手続により、本不応募合意株主それぞれが所有する当社株式に1株未満の端数を生じさせることなく当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主のみとするために必要な手続を実施することを合意しているとのことです。
③ 本応募契約(安藤幸男氏)
公開買付者は、2025年11月7日付で、安藤幸男氏が所有する当社株式(所有株式数:505,400株、所有割合:2.03%)の全てについて、本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。
本応募契約(安藤幸男氏)において、安藤幸男氏は、(a)本決済開始日までの間、安藤幸男氏が所有する当社株式について、本公開買付けへの応募を除き、譲渡、移転、承継、担保提供その他の処分を行わないこと、(b)直接又は間接に、本公開買付けと実質的に類似、競合若しくは抵触し又は本公開買付けの実行を困難にし若しくは遅延させ、その他本公開買付けの実行の支障になる可能性のある取引又は行為に関し、提案、勧誘、協議、交渉又は情報提供を行なわず、第三者から取引又は行為に関する申出又は提案を受けたことを認識した場合には、速やかに、公開買付者に対して、その事実等を通知し、対応について公開買付者との間で誠実に協議すること、(c)本決済開始日までの間に開催される株主総会において、議決権を行使できる場合、(ⅰ)剰余金の配当その他の処分に関する議案、(ⅱ)募集株式の発行又は自己株式の処分に関する議案、(ⅲ)組織再編に関する議案、(ⅳ)重要な財産の処分に関する議案、(ⅴ)株主提案に係る議案、及び(ⅵ)可決されれば当社の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー、事業、資産、負債若しくは将来の収益計画又はその見通しに重大な影響を及ぼす又は及ぼすことが合理的に予想される議案が上程されるときは、本公開買付者の事前の書面による承諾を得た場合を除き、その所有する当社の株式に係る当該株主総会における議決権について、当該議案に反対の議決権を行使すること、(d)本公開買付けが成立し決済が完了した場合であって、本決済開始日以前の日を権利行使の基準日として当社の株主総会が開催されるときは、当該株主総会における応募対象株式に係る議決権その他の一切の権利行使について、公開買付者の選択に従い、(ⅰ)公開買付者若しくは公開買付者の指定する者に対して適式な委任状を交付して包括的な代理権を授与するか、又は(ⅱ)公開買付者の指示に従って議決権を行使し、上記(ⅰ)の場合、公開買付者が合理的に指定する日までに、かかる包括的な代理権を授与する旨の委任状に記名押印し、かかる委任状を公開買付者に交付し、かつ、安藤幸男氏はかかる代理権の授与をいかなる場合であっても撤回せず、上記(ⅱ)の場合、当該株主総会等における当社の当該普通株式に係る議決権その他の一切の権利行使を、公開買付者の指示に従って行うものとし、かかる権利行使に公開買付者の意思が適切に反映されるために必要な措置(もしあれば)を執ることを合意しているとのことです。
また、上記の他、本応募契約(安藤幸男氏)においては、表明保証条項(注26)(注27)、補償条項、契約の解除事由(注28)、一般条項が規定されているとのことです。
(注26) 本応募契約(安藤幸男氏)において、安藤幸男氏は、①権利能力、本応募契約(安藤幸男氏)の締結及び履行、②本応募契約(安藤幸男氏)の強制執行可能性、③本応募契約(安藤幸男氏)の締結及び履行に必要とされる許認可等の取得、④本応募契約(安藤幸男氏)の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、⑤倒産手続等の不存在、⑥安藤幸男氏の所有する当社株式に対する権利、並びに⑦反社会的勢力との関係の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。
(注27) 本応募契約(安藤幸男氏)において、公開買付者は、①設立及び存続の有効性、②本応募契約(安藤幸男氏)の締結及び履行に必要な権限及び権能の存在、③本応募契約(安藤幸男氏)の有効性及び強制執行可能性、④本応募契約(安藤幸男氏)の締結及び履行に関して必要となる許認可の取得等、⑤本応募契約(安藤幸男氏)の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、⑥倒産手続等の不存在、⑦反社会的勢力との関係の不存在等について表明及び保証を行っているとのことです。
(注28) 本応募契約(安藤幸男氏)は、以下のいずれかの場合に解除することができるものとされているとのことです。
① 相手方当事者の表明及び保証の重大な違反が存在する場合
② 相手方当事者の重大な義務の違反が存在する場合
④ 本応募契約(村上邦子氏)
公開買付者は、2025年11月7日付で、村上邦子氏が所有する当社株式(所有株式数:95,000株、所有割合:0.38%)の全てについて、本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。
本応募契約(村上邦子氏)において、村上邦子氏は、(a)本決済開始日までの間、村上邦子氏が所有する当社株式について、本公開買付けへの応募を除き、譲渡、移転、承継、担保提供その他の処分を行わないこと、(b)直接又は間接に、本公開買付けと実質的に類似、競合若しくは抵触し又は本公開買付けの実行を困難にし若しくは遅延させ、その他本公開買付けの実行の支障になる可能性のある取引又は行為に関し、提案、勧誘、協議、交渉又は情報提供を行なわず、第三者からかかる取引又は行為に関する申出又は提案を受けたことを認識した場合には、速やかに、公開買付者に対して、その事実等を通知し、対応について公開買付者との間で誠実に協議すること、(c)本決済開始日までの間に開催される株主総会において、議決権を行使できる場合、(ⅰ)剰余金の配当その他の処分に関する議案、(ⅱ)募集株式の発行又は自己株式の処分に関する議案、(ⅲ)組織再編に関する議案、(ⅳ)重要な財産の処分に関する議案、(ⅴ)株主提案に係る議案、及び(ⅵ)可決されれば当社の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー、事業、資産、負債若しくは将来の収益計画又はその見通しに重大な影響を及ぼす又は及ぼすことが合理的に予想される議案が上程されるときは、本公開買付者の事前の書面による承諾を得た場合を除き、その所有する当社の株式に係る当該株主総会における議決権について、当該議案に反対の議決権を行使すること、(d)公開買付けが成立し決済が完了した場合であって、本決済開始日以前の日を権利行使の基準日として当社の株主総会が開催されるときは、当該株主総会における応募対象株式に係る議決権その他の一切の権利行使について、公開買付者の選択に従い、(ⅰ)公開買付者若しくは公開買付者の指定する者に対して適式な委任状を交付して包括的な代理権を授与するか、又は(ⅱ)公開買付者の指示に従って議決権を行使し、上記(ⅰ)の場合、公開買付者が合理的に指定する日までに、かかる包括的な代理権を授与する旨の委任状に記名押印し、かかる委任状を公開買付者に交付し、かつ、村上邦子氏はかかる代理権の授与をいかなる場合であっても撤回せず、上記(ⅱ)の場合、当該株主総会等における当社の当該普通株式に係る議決権その他の一切の権利行使を、公開買付者の指示に従って行うものとし、かかる権利行使に公開買付者の意思が適切に反映されるために必要な措置(もしあれば)を執ることを合意しているとのことです。
また、上記の他、本応募契約(村上邦子氏)においては、表明保証条項(注29)(注30)、補償条項、契約の解除事由(注31)、一般条項が規定されているとのことです。
(注29) 本応募契約(村上邦子氏)において、村上邦子氏は、①権利能力、本応募契約(村上邦子氏)の締結及び履行、②本応募契約(村上邦子氏)の強制執行可能性、③本応募契約(村上邦子氏)の締結及び履行に必要とされる許認可等の取得、④本応募契約(村上邦子氏)の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、⑤倒産手続等の不存在、⑥村上邦子氏の所有する当社株式に対する権利、並びに⑦反社会的勢力との関係の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。
(注30) 本応募契約(村上邦子氏)において、公開買付者は、①設立及び存続の有効性、②本応募契約(村上邦子氏)の締結及び履行に必要な権限及び権能の存在、③本応募契約(村上邦子氏)の有効性及び強制執行可能性、④本応募契約(村上邦子氏)の締結及び履行に関して必要となる許認可の取得等、⑤本応募契約(村上邦子氏)の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、⑥倒産手続等の不存在、⑦反社会的勢力との関係の不存在等について表明及び保証を行っているとのことです。
(注31) 本応募契約(村上邦子氏)は、以下のいずれかの場合に解除することができるものとされているとのことです。
① 相手方当事者の表明及び保証の重大な違反が存在する場合
② 相手方当事者の重大な義務の違反が存在する場合
| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
|---|---|---|---|
| 村上 美晴 | 代表取締役会長 | 2,817,427 | 28,174 |
| 土屋 真 | 取締役副会長 | 13,012 | 130 |
| 藤間 和敏 | 代表取締役社長 | 41,406 | 414 |
| 田村 良一 | 専務取締役 | 84,756 | 847 |
| 瀧井 創 | 常務取締役 | 58,229 | 582 |
| 濵岡 邦雅 | 取締役 | 10,713 | 107 |
| 山口 公明 | 取締役(社外) | 7,907 | 79 |
| 湯浅 紀佳 | 取締役(社外) | - | - |
| 白石 智哉 | 取締役(社外) | - | - |
| 白倉 哲夫 | 常勤監査役(社外) | - | - |
| 西東 昇 | 常勤監査役(社外) | 6,599 | 65 |
| 佐藤 康夫 | 常勤監査役 | 1,590 | 15 |
| 池谷 修一 | 監査役(社外) | 1,242 | 12 |
| 計 | ― | 3,042,881 | 30,425 |
(注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権数は本書提出日現在のものです。
(注2) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めた数を記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
以 上
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