M&A Activity • Oct 15, 2025
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| 【提出書類】 | 意見表明報告書(2025年10月15日付け訂正報告書の添付インラインXBRL) |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年9月1日 |
| 【報告者の名称】 | アールビバン株式会社 |
| 【報告者の所在地】 | 東京都品川区東品川四丁目13番14号 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 東京都品川区東品川四丁目13番14号 |
| 【電話番号】 | 03(5783)7171(代表) |
| 【事務連絡者氏名】 | 取締役執行役員 経営企画室長 樋口 弘司 |
| 【縦覧に供する場所】 | アールビバン株式会社 (東京都品川区東品川四丁目13番14号) 株式会社東京証券取引所 (東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
(注1) 本書中の「当社」とは、アールビバン株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「公開買付者」とは、株式会社Orsayをいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は必ずしも計数の総和と一致しません。
(注4) 本書中の「本公開買付け」とは、本書提出に係る公開買付けをいいます。
(注5) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注6) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注7) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
E03276 75230 アールビバン株式会社 ART VIVANT CO.,LTD. 発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令 第四号様式 2 true S100WMF6 true false E03276-000 2025-09-01 xbrli:pure
訂正意見表明報告書_20251015140038
名称 株式会社Orsay
所在地 東京都品川区東品川四丁目13番14号
普通株式
(1)意見の内容
当社は、2025年8月29日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
(2)意見の根拠及び理由
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、本公開買付けによる当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の取得及び所有等を目的として2025年8月14日付で設立された株式会社であり、本書提出日現在、当社の代表取締役会長兼社長を務め、当社の第5位株主(2025年3月31日現在)である野澤克巳氏(以下「野澤氏」といいます。所有株式数:203,784株、所有割合:2.24%)がその発行済株式の全てを所有し、公開買付者の代表取締役を務めているとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は、当社株式を所有していないとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年8月8日に公表した「2026年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社第1四半期決算短信」といいます。)に記載された2025年6月30日現在の当社の発行済株式総数(9,107,516株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(447株)を控除した株式数(9,107,069株)(以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。
今般、公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式の全て(ただし、当社が譲渡制限付株式報酬制度に基づいて当社の野澤氏以外の取締役に対して発行した譲渡制限付株式のうち、本書提出日現在において譲渡制限が解除されていないもの(48,000株、所有割合:0.53%、以下「本譲渡制限付株式」といいます。)、有限会社カツコーポレーション(以下「カツコーポレーション」といいます。所有株式数:3,090,000株、所有割合:33.93%)の所有する当社株式のうち2,832,514株(所有割合:31.10%、以下「本不応募合意株式(カツコーポレーション)」といいます。)、本不応募合意株式(野澤氏)(以下で定義します。)及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社株式を非公開化することを目的とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。なお、本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、野澤氏は本取引後も継続して当社の経営に従事することを予定しているとのことです。
本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2025年8月29日付で、野澤氏の資産管理会社であり、当社の主要株主かつ筆頭株主であるカツコーポレーションとの間で、その所有する当社株式のうち257,486株(所有割合:2.83%、以下「本応募合意株式(カツコーポレーション)」といいます。)を本公開買付けへ応募し、本不応募合意株式(カツコーポレーション)を本公開買付けに応募しない旨を口頭で合意(以下「本応募・不応募合意」といいます。)したとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、2025年8月29日付で、野澤氏との間で、その所有する当社株式((所有株式数:203,784株、所有割合:2.24%)、以下「本不応募合意株式(野澤氏)」といいます。)の全てについて本公開買付けに応募しない旨を口頭で合意(以下「本不応募合意」といいます。)しているとのことです(注2)。本応募・不応募合意及び本不応募合意の概要については、下記「(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」の「① 本応募・不応募合意」及び「② 本不応募合意」をご参照ください。
(注2) なお、野澤氏の所有株式(203,784株)のうち譲渡制限付株式報酬として野澤氏に付与された当社の譲渡制限付株式25,600株(以下「本譲渡制限付株式(野澤氏)」といいます。所有割合:0.28%)については、本譲渡制限付株式(野澤氏)に係る割当契約書において、譲渡制限期間中に、株式併合(当該株式併合により、割当契約書によって付与対象者に割り当てられた株式が1株に満たない端数のみとなる場合に限ります。)を含む組織再編等が当社の株主総会で承認された場合には、各譲渡制限付株式に係る払込期日を含む月から当該承認の日(以下「組織再編等承認日」といいます。)を含む月までの月数を12(ただし、計算の結果1を超える場合には1とします。)で除した数に、組織再編等承認日において付与対象者が所有する本譲渡制限付株式(野澤氏)の数を乗じた数の本譲渡制限付株式(野澤氏)について、組織再編等の効力発生日の前営業日の直前時をもって、これに係る譲渡制限を解除し、その場合、当社は、組織再編等の効力発生日の前営業日をもって、同日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式(野澤氏)の全部を当然に無償で取得することとされているとのことです。
したがって、本取引においては、上記規定に従い、本株式併合(以下「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」にて定義します。以下同じとします。)の効力発生日の前営業日において譲渡制限が解除された本譲渡制限付株式(野澤氏)については本株式併合の対象とされ、本株式併合の効力発生日の前営業日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式(野澤氏)については、本株式併合の効力発生日の前営業日をもって、当社により無償取得される予定とのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいて2,987,200株(所有割合:32.80%)を買付予定数の下限として設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(2,987,200株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。
他方、本公開買付けは、当社株式の非公開化を目的としていることから、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(2,987,200株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(2,987,200株)は、本基準株式数(9,107,069株)に係る議決権の数(91,070個)に3分の2を乗じた数(60,714個、小数点以下を切り上げ)から、本譲渡制限付株式(48,000株)に係る議決権の数(480個)(注3)、本不応募合意株式(カツコーポレーション)(2,832,514株)に係る議決権の数(28,325個)(注4)及び本不応募合意株式(野澤氏)(203,784株)に係る議決権の数(2,037個)(注5)を控除した数(29,872個)に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数(2,987,200株)としているとのことです。これは、公開買付者が、本取引において、当社株式の非公開化を目的としているところ、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付けの成立後に公開買付者及びカツコーポレーションが当社の総株主の議決権数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定したものとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、本譲渡制限付株式、本不応募合意株式(カツコーポレーション)、本不応募合意株式(野澤氏)及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者、野澤氏及びカツコーポレーションのみとし、当社株式を非公開化することを目的として、一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。
また、公開買付者は、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者を当社の唯一の株主とすることを目的として、本スクイーズアウト手続の完了を条件として、公開買付者を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)(注6)を実施することを予定しているとのことです。
(注3) 本譲渡制限付株式は、譲渡制限が付されていることから本公開買付けに応募することはできませんが、2025年8月29日に開催された当社取締役会において、当社は本取引の一環として実施される本公開買付けに賛同の意見を表明する旨の決議をしており、本譲渡制限付株式を所有している取締役を含む取締役全員(取締役全5名のうち、野澤氏及び野澤氏の親族である野澤竹志氏を除く3名)が賛成の議決権を行使していることから、本譲渡制限付株式を所有する当社の取締役は、本公開買付けが成立した場合には本スクイーズアウト手続に賛同する見込みであるため、買付予定数の下限を考慮するにあたって、本譲渡制限付株式(48,000株)に係る議決権数(480個)を控除しているとのことです。
(注4) 公開買付者は、本応募・不応募合意において、カツコーポレーションより本不応募合意株式(カツコーポレーション)(所有株式数:3,090,000株のうち2,832,514株、所有割合:31.10%)を本公開買付けに応募しない旨及び本公開買付けが成立した場合には本株式併合に関連する各議案に賛成する旨の合意を得ていることから、買付予定数の下限を考慮するにあたって、本不応募合意株式(カツコーポレーション)(2,832,514株)に係る議決権数(28,325個)を控除しているとのことです。
(注5) 公開買付者は、本不応募合意において、野澤氏より本不応募合意株式(野澤氏)(203,784株、所有割合:2.24%)を本公開買付けに応募しない旨及び本公開買付けが成立した場合には本株式併合に関連する各議案に賛成する旨の合意を得ていることから、買付予定数の下限を考慮するにあたって、本不応募合意株式(野澤氏)(203,784株)に係る議決権数(2,037個)を控除しているとのことです。
(注6) 本株式交換の株式交換比率は本書提出日現在未定とのことですが、当該比率を定めるにあたっては、公開買付価格の均一性規制(金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)第27条の2第3項)の趣旨に反することのないよう、当社株式の価値は、本公開買付価格(下記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」にて定義します。)と実質的に同額で評価する予定とのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、株式会社三井住友銀行からの9,333百万円を限度とした借入れ、株式会社みずほ銀行からの1,856百万円を限度とした借入れ(以下、総称して「本銀行融資」といいます。)によりそれぞれ賄うことを予定しており、本公開買付けの成立を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日前までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。
以下は、本取引の概要を図示したものとのことです。
Ⅰ.本公開買付けの実施前

Ⅱ.本公開買付けの実施後

Ⅲ.本スクイーズアウト手続

Ⅳ.本株式交換の実施

Ⅴ.本取引の実施後

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程
当社は、1984年11月、現代版画の販売を目的として設立されました。また、当社株式については、1996年11月に日本証券業協会に店頭登録し、2004年12月に日本証券業協会への店頭登録を取り消し、株式会社ジャスダック証券取引所(以下「ジャスダック証券取引所」といいます。)に株式を上場した後、2010年4月にジャスダック証券取引所と株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)に上場し、2013年7月には東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場し、2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分の見直しを経て、同市場から東京証券取引所スタンダード市場に移行し、現在に至っております。
本書提出日現在、当社、連結子会社4社及び非連結子会社2社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)は、版画・絵画・美術品・グッズの購入及び販売事業、出版事業、割賦販売あっせん事業(クレジット事業)及び溶岩ホットヨガスタジオ等の事業を行っており、当社グループが営む各セグメントにおける事業内容は、以下のとおりです。
(ⅰ)アート関連事業
(a)版画等絵画販売事業
当社は、米国、ヨーロッパ、中国、日本などの現代アーティスト及び新進アーティストの版画及びイラストレーターの版画を主要商品とし、催事販売と店舗販売を中心とした販売事業を営んでおります。なお、当社において、米国、ヨーロッパ、中国、日本などの現代アーティスト及び新進アーティストの版画を主商品として取り扱っている部門をスタンダードアート部門、イラストレーターの版画を主商品として取り扱っている部門をイラスト系アート部門と分類しております。当社の販売形態は、全国各地のホテル、イベントホール等における会場催事販売と、大型小売チェーン店等との提携催事販売があります。なお、主力商品の販売価格は概ね50万円から100万円(2025年3月期実績)であり、通常、顧客は購入にあたって信販会社のクレジット契約を利用しております。
(b)その他の事業
イラストを中心とした雑誌やコミックの出版、グッズの販売及び、将来の販売を目的とした絵画・美術品の購入・販売等を行っております。
(ⅱ)金融サービス事業
当社の連結子会社である株式会社ダブルラック(以下「ダブルラック」といいます。)を通じて、当社及びその他一般加盟店の顧客を中心に、販売代金等の個別信用購入あっせん業務を行っております。
(ⅲ)健康産業事業
当社の連結子会社であるTSCホリスティック株式会社(以下「TSCホリスティック」といいます。)を通じて、溶岩ホットヨガスタジオ「アミーダ」(東京都、千葉県、神奈川県を中心に全国各地に24店舗(本書提出日現在))の運営を行っております。
当社グループは、上記の各事業における中長期的な経営戦略として、「アート関連事業」のスタンダードアート部門においては、新規会場の開拓、新企画催事の開催や新広告媒体の開発を進め、新規顧客の開拓に注力するとともに、催事計画の精度を高め、収益力の向上に努める方針としております。また、イラスト系アート部門においては、グッズ事業や出版事業を強化し、店舗及び通販、大型イベント、海外コミックマーケットへの積極的な展開において集客の拡大を図り、新規顧客の獲得、取扱アーティストのブランド化や新作家開発に努め、版画の売り上げ拡大につなげる方針としております。
「金融サービス事業」においては、クレジット事業における新規加盟店の審査体制の強化、既存の加盟店管理や低コスト運営の徹底を図り、消費者の利益の保護を最優先とした運用・体制づくりを徹底する方針としております。
「健康産業事業」においては、溶岩ホットヨガスタジオ「アミーダ」において、引き続きホスピタリティ精神を大切にした質の高いサービスを提供し、新規会員の獲得数向上と既存会員の退会防止、客単価の上昇に努めております。また、お客様の多様なニーズに応える新しいプログラムを積極的に取り入れ、地域の方の健康づくりに貢献できる存在になることを目指しております。
当社グループを取り巻くマクロ環境としては、米国の関税政策や、ウクライナ及び中東における紛争の長期化等による海外情勢の混迷や海外経済の減速、円安や資源高による製造業の減収懸念、食料品やエネルギーを中心とした物価高による個人消費の悪化懸念により、依然として先行き不透明な状況が続くものと認識しております。
一方、上記のようなマクロ環境下で、野澤氏は、当社グループが営む各セグメントの状況について、以下のとおり認識しているとのことです。
(A)アート関連事業
当社は創業以来、絵画の大衆化を目指し、主に、複製が可能である版画を中心として、米国、ヨーロッパ、中国、日本等の現代アーティスト及び新進アーティストを発掘し、世間に広める活動を継続して実施してきており、1996年にはアート業界初の株式公開(店頭登録)を実現し、日本のアート市場の先導役としての役割を果たしてきたと認識しているとのことです。他方で、日本のアート市場が世界全体のアート市場に占める割合はわずか1%と小さいものの、海外からの日本のサブカルチャーに対する興味・関心の多様化・深化の結果、日本の美術品に対する海外からの注目度は高く、今後、国内アート産業の活性化が期待しているとのことです。こうした環境下において、当社がより一段スピードを上げて成長を遂げるためには、後述のように、従来からの取り組みに加えてより一層踏み込んだ新規施策を実施することが必要不可欠と認識しているとのことです。
(B)金融サービス事業
当社の連結子会社であるダブルラックが、当社をはじめとした加盟店の顧客を中心に、販売代金等の個別信用購入あっせん事業を行っており、直近の業績は堅調に推移していると認識しているとのことです。
(C)健康産業事業
当社の連結子会社であるTSCホリスティックにて溶岩ホットヨガスタジオ「アミーダ」の運営を行っているが、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の影響等により、休会・退会会員が多く発生し、その後厳しい状況が続いていると認識しているとのことです。現在、不採算店舗の閉鎖等を実施し、営業利益は徐々に回復してきているものの、恒常的な収益化の実現のためには更なる取り組みが必要と認識しているとのことです。
さらに、野澤氏は、当社の主力事業であるアート関連事業はこれまで着実に売上成長を実現してきたものの、特定のアーティストの作品への依存度が高いことに加えて、特に同事業の柱であるスタンダードアート事業においては売上上位を占める主力アーティストの高齢化が進んでいること、アニメやゲームを中心としたイラスト系アート需要の増大等、アートに対するニーズが急速に変わってきている中、時代のニーズにマッチした新たなアーティストの発掘が必要であるものの、発掘には相当の時間を要することを踏まえると、アート関連事業の先行きの不確実性はむしろ高まりつつあると認識しているとのことです。
上記のような各セグメントの状況や当社の主力事業の先行きの不確実性を踏まえると、野澤氏は、当社がスピードを上げて更なる成長を遂げ、中長期的な企業価値の向上を目指すためには、「アート関連事業」及び「健康産業事業」を中心に、従来の施策に加えて新規性の高い取り組みにも挑戦することが必要であるとの考えに至ったとのことです。具体的には以下のような取り組みを実施することを検討しているとのことです。
(ア)新ジャンルのアーティストの発掘と取り扱う美術品の多様化
野澤氏としては、当社は創業以来、絵画の大衆化を目指し、時代に合った版画アーティストを発掘し、一流アーティストと作品(美術品)の独占販売契約を締結する等、アーティストとの信頼関係を構築することで、多くの人々にとって手が届きやすい価格により販売を行い、版画を広めることを実現してきたと考えているとのことです。今日、国内外において日本の芸術・文化への関心が高まっている中、版画のみならず多種多様な美術品や高価格帯の美術品についても、同様の手法によって、日本の美術品を国内外に発信することが可能であると考えているとのことです。具体的には、これまで明確にターゲットとして設定していなかった富裕層や、アジアを始めとした海外顧客へのアプローチを強化するほか、従来よりも幅広い層の顧客を対象とした美術品の共同保有ビジネス等を新規に取り組むことで、新たなアーティストを発掘しつつ、国内外のアート市場の更なる活性化に寄与していきたいと考えているとのことです。また、このように取扱う美術品を増やし、日本の美術品を国内外に向けて発信して、日本のみならず世界からファンを獲得していくことは、「日本の文化水準を上げる」「日本全国に心の灯りをともす」「日本発のアーティストを世界に発信する」といった、当社が目指すビジョンの実現に大きく寄与する施策であると考えているとのことです。
(イ)オンライン販売チャネルの強化
野澤氏としては、当社の販売チャネルは、主に催事販売や店舗販売で構成されているところ、当社は、新規会場の開拓や新企画催事の開催、新広告媒体の開発等によって、新規顧客開拓に取り組んでいると認識しているとのことです。しかし、野澤氏は、今後予想される国内外からの日本の美術品への需要の高まりに応えるためには、オンライン販売チャネルの強化及びオンライン販売とリアル販売の更なる融合が不可欠と考えているとのことです。具体的には、SNS等を活用したオンラインマーケティング機能の強化や、当社がWEBサイトの運営をしているオンラインストア「kazaru」の取扱商品ラインナップの拡充、海外からの受注対応体制の強化等の取り組みを実施したいと考えているとのことです。
(ウ)「アミーダ」のマーケティング強化と新業態の取り組み
「健康産業事業」は、不採算となっていたスタジオ店舗の閉鎖等の構造改革によって、2025年3月期に営業黒字化を実現しました。しかし、野澤氏は、更なる収益性の強化のために、ホットヨガ等他のヨガスタジオとの徹底的な差別化をアピールし、溶岩ホットヨガを展開する「アミーダ」のブランドイメージを再構築することで、稼働率と客単価の向上を図ることに加えて、細分化が進む健康・ウェルネス市場において、新ブランドによる新業態を立ち上げ、これまで「アミーダ」ではターゲットとしてこなかった、性別や年齢を問わず健康志向が高い新たな顧客に対して質の高いプログラムを提供することで、一人でも多くの方が心も体も美しく輝けるように尽力したいと考えているとのことです。
上記(ア)から(ウ)の取り組みは、いずれも多額の初期投資や継続的な投資を要することから、短期的には当社の収益及びキャッシュ・フローの悪化が懸念されるとのことです。また、これらの取り組みのうち上記(ア)は、アーティストに対するニーズが大きく変わりつつある中、時代のニーズにマッチした新たなアーティストの発掘には相当の時間を要する上に不確実性を伴うこと、(ア)から(ウ)のいずれも新規性の高い取り組みであるため、期待される収益を十分生み出すことができるかどうかについても不明確とのことです。さらに、当社が株式の上場を維持したままで上記各施策を実施した場合、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株式の株価や財務状況にも悪影響を及ぼす懸念や、当社の一般株主の皆様に不利益を与える可能性が払拭できないとのことです。
野澤氏としては、当社は、1996年11月の日本証券業協会への店頭登録以降、知名度の向上による優れた人材の確保や、社会的な信用力の向上等、上場企業として様々なメリットを享受してきたと考えているとのことです。しかし、野澤氏は、こうした知名度や社会的な信用力の向上については株式の上場維持以外の方法によっても実現可能であること、現在の当社の財務状況等からすると、当面は金融機関からの借入による資金調達によって必要資金を賄うことが可能であるため、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は見込んでいないこと、当社株式の上場を維持するためには相応のコスト(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する人的負担、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する金銭的負担、内部統制関連コスト等)が必要となることを踏まえると、今後も継続して当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。
以上のような検討を踏まえ、野澤氏は、2025年6月中旬、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化による当社株式の株価の下落により当社の一般株主の皆様が当社株式の売却機会を失うリスクを回避しつつ、短期的な業績変動に左右されることなく、上記(ア)から(ウ)の取り組みを実施し、事業の積極的展開に取り組むために、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築することができるという点で、本取引を通じてマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化することが、当社株式の上場を維持するメリットを上回り当社の企業価値向上のために最も有効な手段であると考えたとのことです。
そこで、野澤氏は、2025年6月30日、当社に対し、本取引を行うことを提案する旨の提案書(以下「本提案書」といいます。)を提出するとともに、本取引の実施に向けた協議・交渉の申入れを行ったとのことです。その後、野澤氏は、2025年7月2日に、当社から、特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受けたとのことです。また、2025年7月25日に、本取引の背景(本取引に係る提案を下記の時期に行うに至った背景を含むとのことです。)、経緯、非公開化の必要性、目的及び効果等、本取引後の経営方針、本取引のスキーム、本取引における諸条件等についてインタビューが実施され、野澤氏は回答者として出席したとのことです。そして、野澤氏は、2025年8月5日に、同年7月上旬から当社に対して実施しているデュー・ディリジェンスの途中経過等に基づく当社の事業環境、財務の状況及び当社の市場株価の動向等を含む諸般の事情を多面的・総合的に分析し、当社が2026年3月期の中間配当及び期末配当を無配とすることを前提として慎重に検討を重ねた結果、当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)として1,400円(提案日の前営業日である2025年8月4日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,059円に対して32.20%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,054円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して32.83%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,051円に対して33.21%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,049円に対して33.46%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の初回の価格提案を当社に対して行ったとのことです。これに対して、野澤氏は、2025年8月7日に、当社より、当社の一般株主にとって十分な価格であるとは言えないため、より高い公開買付価格を提案いただきたい旨の回答を受けたとのことです。野澤氏は、2025年8月13日に、当社に対して、本公開買付価格を1,520円(提案日の前営業日である2025年8月12日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,075円に対して41.40%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,058円に対して43.67%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,049円に対して44.90%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,052円に対して44.49%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする提案を行ったとのことです。これに対して、野澤氏は、2025年8月18日に、当社より、当社の一般株主にとって十分な価格であるとは言えないため、より高い公開買付価格を提案いただきたい旨の回答を受けたとのことです。野澤氏は、2025年8月21日に、当社に対して、本公開買付価格を1,600円(提案日の前営業日である2025年8月20日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,076円に対して48.70%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,062円に対して50.66%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,049円に対して52.53%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,054円に対して51.80%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする提案を行ったとのことです。これに対して、野澤氏は、2025年8月25日に、当社より、本特別委員会において承認された当社の事業計画に基づく当社の第三者算定機関による当社株式の試算結果等を踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主にとって十分な価格であるとは言えないため、より高い公開買付価格を提案いただきたい旨の回答を受けたとのことです。野澤氏は、2025年8月26日に、当社に対して、本公開買付価格を1,665円(提案日の前営業日である2025年8月25日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,090円に対して52.75%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,068円に対して55.90%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,051円に対して58.42%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,055円に対して57.82%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする提案を行ったとのことです。これに対して、野澤氏は、2025年8月27日に、当社より、当社の一般株主の利益に最大限の配慮をするために、より高い公開買付価格を提案いただきたい旨の回答を受けたとのことです。野澤氏は、2025年8月28日に、当社に対して、当社の一般株主に対する最大限の配慮を行う観点から、野澤氏が検討可能な最大限の価格として、本公開買付価格を1,670円(提案日の前営業日である2025年8月27日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,094円に対して52.65%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,070円に対して56.07%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,052円に対して58.75%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,056円に対して58.14%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする最終提案を行ったとのことです。これに対して、野澤氏は、2025年8月28日に、当社より、最終的な意思決定は2025年8月29日に開催予定の当社取締役会での決議によることを前提として、最終提案を応諾した旨の回答を受けたとのことです。
以上の協議・交渉を経て、公開買付者は、2025年8月29日、本取引の一環として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
その後、当社が企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号。その後の改正を含みます。)第19条第2項第4号(主要株主の異動)の規定に基づき、2025年9月29日付で臨時報告書を提出したことを確認したため、公開買付者は同年10月14日付で、法第27条の8第2項の規定に基づき、公開買付届出書の訂正届出書を関東財務局長に提出することとしたとのことです。また、公開買付者は、当該訂正届出書の提出に伴い、法第27条の8第8項及び発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第38号。その後の改正を含みます。)第22条第2項本文の規定により、公開買付期間を、届出当初の公開買付期間の末日である同年10月15日から、当該訂正届出書を提出する日である同年10月14日より起算して10営業日を経過した日にあたる同年10月28日まで延長する必要があるところ、公開買付期間を同年10月28日まで延長し、延長後の公開買付期間を39営業日とすることを含む買付条件等(公開買付期間及び決済の開始日)の変更を行うこととしたとのことです。
③ 本公開買付け後の経営方針
本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、当社の代表取締役会長兼社長である野澤氏は、本取引後も継続して代表取締役として当社の経営に従事することを予定しており、上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の経営施策を推進する予定とのことです。
なお、公開買付者は、本書提出日現在において、当社のその他の取締役との間で本取引後の役員就任や処遇について何ら合意しておらず、当社の役員構成を含む経営体制については、本公開買付けの成立後、当社と協議しながら決定していく予定とのことです。また、当社の従業員については、本公開買付け成立後も原則として現在の雇用条件を維持することを予定しているとのことです。
④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、野澤氏から、2025年6月30日、当社に対し、本提案書が提出されたことを踏まえ、本取引に関する具体的な検討を開始いたしました。当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBО)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、本取引と同種の取引である、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)を含む非公開化を想定した公開買付け事例に関する公表内容等を踏まえ、独立性及び専門性・実績等を検討の上、2025年7月2日開催の当社取締役会決議により、公開買付者、野澤氏、カツコーポレーション及び当社(以下、総称して「公開買付関連当事者」といいます。)から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所を、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)を、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関として株式会社ストリーム(以下「ストリーム」といいます。)を、それぞれ選任するとともに、公開買付関連当事者から独立した、外部の有識者を含む委員(当社の社外取締役兼独立役員である郷倉正人氏、当社の社外監査役兼独立役員である柳岡茂氏(弁護士)、及びアートプロデュース業務に従事する専門家として本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると考えられる外部の有識者である間瀬道夫氏の3名)によって構成される本特別委員会(本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置することにより本取引に係る検討体制を構築し、2025年7月2日、野澤氏に対し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を行いました。なお、当社は、シティユーワ法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補者の独立性及び適格性等についても確認を行い、本特別委員会の委員の候補者が、公開買付関連当事者から独立性を有すること、並びに本取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、本特別委員会の委員を選定いたしました。また、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2025年7月11日、本特別委員会において、当社のリーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所、当社のファイナンシャル・アドバイザーである山田コンサル及び当社の第三者算定機関であるストリームについて、その独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、2025年6月30日付で野澤氏から本提案書を受領して以降、公開買付関連当事者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、2025年7月11日、かかる検討体制に独立性・公正性の観点から問題ないことについて本特別委員会の承認を受けております。
上記の体制のもと、当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、公開買付者から受けた本公開買付価格の提案内容を適時に本特別委員会に共有し、当社の一般株主の利益に配慮する観点から、当社としての交渉方針に係る本特別委員会からの意見を受け、また、ストリームから当社株式の株式価値の算定結果に関する報告、山田コンサルから公開買付者との交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を受けるとともに、シティユーワ法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応についての法的助言を受け、これらを踏まえ、以下のとおり、公開買付者との間で、2025年8月下旬まで複数回に亘る協議・交渉を行いました。
具体的には、当社は、2025年7月25日に本特別委員会を通じて野澤氏に対するインタビューを実施し、本取引の背景(本取引に係る提案を上記の時期に行うに至った背景を含みます。)、経緯、非公開化の必要性、目的及び効果等、本取引後の経営方針、本取引のスキーム、本取引における諸条件等について、確認を行いました。
また、本公開買付価格の交渉については、当社は、2025年8月5日、野澤氏から、当社に対して実施しているデュー・ディリジェンスの途中経過等に基づく当社の事業環境、財務の状況及び当社の市場株価の動向等を含む諸般の事情を多面的・総合的に分析し、慎重に検討を重ねた結果として、本公開買付価格を1,400円(提案日の前営業日である2025年8月4日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,059円に対して32.20%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,054円に対して32.83%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,051円に対して33.21%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,049円に対して33.46%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の初回の価格提案を受領いたしました。これに対して、当社は、2025年8月7日、野澤氏に対して、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果及び類似事例のプレミアム水準を踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主にとって十分な価格であるとはいえないことから、より高い公開買付価格の提示を要請いたしました。その後、当社は、2025年8月13日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,520円(提案日の前営業日である2025年8月12日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,075円に対して41.40%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,058円に対して43.67%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,049円に対して44.90%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,052円に対して44.49%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。これに対して、当社は、2025年8月18日、野澤氏に対して、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果、類似事例のプレミアム水準及び2025年6月末時点における当社の簿価純資産額を踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主にとって十分な価格であるとはいえないことから、より高い公開買付価格の提示を要請いたしました。その後、当社は、2025年8月21日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,600円(提案日の前営業日である2025年8月20日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,076円に対して48.70%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,062円に対して50.66%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,049円に対して52.53%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,054円に対して51.80%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。これに対して、当社は、2025年8月25日、野澤氏に対して、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果及び2025年6月末時点における当社の簿価純資産額を踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主にとって十分な価格であるとはいえないことから、より高い公開買付価格の提示を要請いたしました。その後、当社は、2025年8月26日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,665円(提案日の前営業日である2025年8月25日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,090円に対して52.75%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,068円に対して55.90%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,051円に対して58.42%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,055円に対して57.82%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の再提案を受領いたしました。これに対して、当社は、2025年8月27日、野澤氏に対して、一般株主の利益に最大限配慮する観点から、より高い公開買付価格の提示を要請いたしました。その後、当社は、2025年8月28日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,670円(提案日の前営業日である2025年8月27日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,094円に対して52.65%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,070円に対して56.07%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,052円に対して58.75%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,056円に対して58.14%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の最終提案を受領いたしました。これに対して、当社は、2025年8月28日、野澤氏に対して、最終的な意思決定は2025年8月29日に開催予定の当社取締役会での決議によることを前提として、当該提案価格を応諾する旨を回答いたしました。
さらに、当社は、リーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年8月28日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から受けた法的助言、山田コンサルから受けた助言、及び第三者算定機関であるストリームから受けた助言及び当社株式に係る2025年8月28日付株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社は、以下の点等を踏まえると、本取引を通じて当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものであるとの判断に至りました。
すなわち、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、米国の関税政策や、ウクライナ及び中東における紛争の長期化等による海外情勢の混迷や海外経済の減速、円安や資源高による製造業の減収懸念、食料品やエネルギーを中心とした物価高による個人消費の悪化懸念により、依然として先行き不透明な状況が続くものと当社は考えております。特にアート関連事業におきましては、主力アーティストの高齢化やアートに対するニーズの変化、国内外からの日本文化への関心の高まりを受けて、新規性の高い取り組みの必要性が一層高まっている中で、中長期的に企業価値を向上させるためには、抜本的かつ機動的に一貫性をもって施策に取り組み、一定の事業リスクを伴う戦略を迅速かつ果敢に実行する必要があるものと考えております。
また、野澤氏は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社がスピードを上げて更なる成長を遂げ、中長期的な企業価値の向上を目指すためには、(ア)新ジャンルのアーティストの発掘と取り扱う美術品の多様化、(イ)オンライン販売チャネルの強化、(ウ)「アミーダ」のマーケティング強化と新業態の取り組みといった具体的な施策を企図しているとのことですが、当社としても以下のことから、上記(ア)乃至(ウ)の施策の実行が必要であると考えております。
すなわち、(ア)新ジャンルのアーティストの発掘と取り扱う美術品の多様化については、現在活躍されている既存アーティストの高齢化により、今後、既存アーティストによる作品の制作数が減少することが見込まれ、現在と同様に既存アーティストの作品を販売することができるかが不透明な中、当社グループが持続的な成長をするためには、既存アーティストに代わる新規アーティストの開拓や現代アート分野における新規ビジネスの開拓を行う必要があると考えております。(イ)オンライン販売チャネルの強化については、日本のアート産業市場は世界市場と比較して規模が小さく、美術品の取引を行う文化も乏しいと考えられることから、当社グループの更なる成長のためには、日本市場における新規顧客を獲得する必要があると認識しており、そのためには既存の催事販売や店舗販売以外の販売チャネルの拡大が必要であると考えております。また、国内外からの日本芸術・文化への関心が高まる中で、海外顧客へのアプローチの強化として海外からの受注に対応できる体制構築を行う必要があると認識しており、そのためには、オンラインマーケティング機能の強化が必要であると考えております。(ウ)「アミーダ」のマーケティング強化と新業態の取り組みについては、新型コロナウイルス感染症を経て健康・免疫力の向上への関心が高まる一方で、健康・ウェルネス市場においてはニーズの細分化が進んでいると認識していることから、「アミーダ」の既存会員の退会防止への対策として他社との差別化が必要であるとともに、新ブランドによる新業態を立ち上げ、これまで「アミーダ」ではターゲットとしてこなかった新たな顧客の獲得が必要であると考えております。以上から、いずれの施策も当社の中長期的な企業価値向上のために推進していくべきと考えております。
しかしながら、当社は、上記(ア)乃至(ウ)の施策の実行は新規ビジネスの展開や長期的な取り組みを伴うものであり、当該施策が中長期的に見れば当社の大きな成長及び収益の拡大につながる施策であったとしても、その推進段階においては、相応の時間と各種先行投資が必要であることから、短期的には利益水準の低下及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性があり、さらに、期待される利益を生み出すことが困難となる可能性も否定できないと考えております。そのため、当社株式の上場を維持したままこれらの施策を実施した場合、株価の下落や配当の減少により、当社の既存株主の皆様の利益を損なう可能性があると考えられるため、当社株式の上場を維持したままでこれらの施策を実施することは困難であると考えております。一方で、本取引により、当社株式を非公開化することで、中長期的な視点で野澤氏からの提案にあるような施策の実行に取り組むことが可能となると考えており、本取引の実行は当社の企業価値向上の観点からもメリットがあると考えております。
さらに、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制の強化により、株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストは増加を続けており、これらのコストが当社の経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないと考えております。年々これらの上場維持のコストは増えておりますが、本取引により、上場維持コストが削減され、その一部の資源を人材育成のために充てることで、中長期的な視点での企業価値の向上を図れるものと考えております。
なお、当社が当社株式の非公開化を行った場合には、一般的には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用や知名度の向上による人材の確保及び取引先との取引等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、現在当社はエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込んでおらず、事業から生じるキャッシュ・フローや金融機関からの借入れにより、資金確保は可能であると考えていること、また、当社の長年の実績により、当社の事業基盤や、ブランド力、取引先に対する信用力・知名度は既に確保されていることから、当社株式の非公開化による人材の確保及び取引先との取引に及ぼすデメリットは極めて限定的であると考えております。
また、当社は、以下の点等を踏まえると、本公開買付価格(1,670円)及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の一般株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の一般株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(a)本公開買付価格が、下記「(3)算定に関する事項」に記載されているストリームによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っており、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの範囲内の価格であることが認められ、合理的な水準にあると評価できること。
(b)本公開買付価格が、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月28日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,100円に対して51.82%、2025年8月28日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,073円に対して55.64%、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,053円に対して58.59%、直近6ヶ月間の終値単純平均値1,057円に対して57.99%のプレミアムがそれぞれ加えられた価格であり、他社の類似取引事例におけるプレミアム割合の平均値(注)との比較において、いずれも上回る状況となっており、本公開買付価格に付されたプレミアムは、かかる類似事例におけるプレミアム割合と遜色のない水準であると認められることから、相応のプレミアムが付されていると認められること。
(注) 経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「M&A指針」といいます。)を公表した2019年6月28日以降、2025年7月14日までの間に公表された非公開化を目的とした公開買付けの事例(対象会社が賛同意見を表明し、応募を推奨し、上場廃止前提、かつ、MBO又は子会社に対する公開買付けの事例)170件における、公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの平均値は、順に44.09%、46.88%、48.46%、47.51%です。
(c)本公開買付価格は、当社第1四半期決算短信に記載された2025年6月30日現在の純資産額(15,127,982千円)並びに発行済株式総数(9,107,516株)及び当社が所有する自己株式数(447株)をもとに算出される1株当たり純資産額(1,661.13円(ただし、小数点以下第三位を四捨五入しております。))を上回るものであること。
(d)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を回避するための措置が採られていること等、当社の一般株主の利益への配慮がなされていると認められること。
(e)本公開買付価格が、上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること。
(f)本特別委員会が、当社から適時に交渉状況の報告を受け、当社の交渉方針に関して意見、指示、要請等を行うこと等により、取引条件に係る交渉過程に実質的に関与した上で、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本答申書において、本公開買付価格を含む本取引の条件は公正なものであると考えられる旨の意見が示されていること。
以上より、当社は、2025年8月29日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。上記取締役会における決議の方法につきましては、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
(3)算定に関する事項
① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるストリームに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月28日付で本株式価値算定書を取得いたしました。
ストリームは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るストリームの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2025年7月11日開催の第1回の会合において、ストリームの独立性に特段の問題がないことを確認した上で、当社の第三者算定機関として選任することを承認しております。
② 算定の概要
ストリームは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価法を、また、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当社株式の株式価値の算定を行いました。一方で、当社が継続企業としてその事業を継続していくことを企図していることから純資産法は採用しておりません。なお、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付けの公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施しており、当社の一般株主の利益に配慮がなされていると考えていることから、ストリームから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
ストリームによれば、上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法:1,053円から1,100円
DCF法 :1,520円から2,150円
市場株価法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年8月28日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,100円、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,073円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,053円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,057円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,053円から1,100円までと算定しております。
DCF法では、当社グループのアート関連事業、金融サービス事業及び健康産業事業が提供している商品・サービスの特徴が相互に異なることから、各事業の特徴を適切に算定に反映させるため、当社グループの各事業を分類して事業価値算定を行うサム・オブ・ザ・パーツ分析を実施しております。当社が作成した2026年3月期から2028年3月期までの3期分の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,520円から2,150円までと算定しております。なお、割引率は加重平均資本コストとし、アート関連事業については10.2%~12.2%、金融サービス事業については5.5%~7.5%、健康産業事業については9.6%~11.6%を採用しており、また、当社の企業規模を勘案し、各事業ともにサイズリスクプレミアムを2.9%として割引率の算出に際して考慮しております。なお、継続価値の算定にあたっては、各事業において永久成長率法を採用し、永久成長率は当社を取り巻く事業環境や当社の成長性等を総合的に勘案し、各事業ともに-0.25%~0.25%とし、継続価値はアート関連事業については5,850百万円~7,517百万円、金融サービス事業については8,755百万円~12,441百万円、健康産業事業については121百万円~151百万円と算定しております。また、必要運転資金(当社における過去の資金繰り実績等を総合的に考慮し算出しております。)を控除した余剰現預金、有価証券、保険に係る解約返戻金等は、株式価値算定に重要な影響を及ぼす非事業用資産として計上しております。
なお、本事業計画は、過去の実績や足元の収益状況、当社を取り巻く事業環境等を踏まえ、各項目において合理的な前提を設定の上、本取引の検討を目的に当社が作成したものであり、現時点で合理的に予測可能な期間である2026年3月期から2028年3月期までの3期分を対象期間として作成したものです。
ストリームがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく各事業ごとの財務予測は以下のとおりです。当該財務予測には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、アート関連事業において、2026年3月期には売上高の増加に伴う運転資本の増加によりフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少を見込んでおり、2027年3月期には2026年3月期と比較して売上高の増加率が減少することによって、運転資本の増加額が減少することからフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加(前年比196.4%増)を見込んでおります。また、健康産業事業において、2027年3月期には人件費をはじめとする売上原価が増加することによりフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少(前年比49.2%減)を見込んでおります。
なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、当該財務予測には加味されておりませんが、当該財務予測を基礎としたストリームによる算定では、フリー・キャッシュ・フローの算定過程において、上場関連費用の削減効果が一部考慮されております。
アート関連事業
(単位:百万円)
| 2026年3月期 (9ヶ月) |
2027年3月期 | 2028年3月期 | |
| 売上高 | 6,776 | 9,131 | 9,540 |
| 営業利益 | 660 | 1,027 | 1,089 |
| EBITDA | 689 | 1,072 | 1,134 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 237 | 937 | 843 |
金融サービス事業
(単位:百万円)
| 2026年3月期 (9ヶ月) |
2027年3月期 | 2028年3月期 | |
| 売上高 | 1,253 | 1,675 | 1,686 |
| 営業利益 | 855 | 1,171 | 1,182 |
| EBITDA | 880 | 1,196 | 1,207 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 481 | 746 | 696 |
健康産業事業
(単位:百万円)
| 2026年3月期 (9ヶ月) |
2027年3月期 | 2028年3月期 | |
| 売上高 | 675 | 908 | 911 |
| 営業利益 | 25 | 33 | 29 |
| EBITDA | 59 | 47 | 33 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 65 | 44 | 31 |
ストリームは、当社の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報が、全て正確かつ完全なものであること、また本公開買付価格の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でストリームに対して未開示の事実はないこと等を前提としてこれに依拠しており、独自にそれらの正確性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点での得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成され、当社の経営陣がその内容を精査した上でストリームによる価値算定において使用することを了承したことを前提としております。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。ストリームの算定は、2025年8月28日までの上記情報を反映したものです。
また、本特別委員会は、本事業計画が、公開買付者から独立した者(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者の株主若しくは役職員を兼務する者又はこれらの者と親族関係にある者を関与させないこととしております。)により作成されていることについて確認するとともに、その作成過程においても、作成中の事業計画案の内容、重要な前提条件等について説明を受け、最終的な事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について確認の上、承認しております。
(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(ただし、本譲渡制限付株式、本不応募合意株式(カツコーポレーション)、本不応募合意株式(野澤氏)及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社の株主を公開買付者、カツコーポレーション及び野澤氏のみとすることを目的として、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
具体的には、本公開買付けの成立後、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第180条に基づき当社が行う株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を、2025年12月下旬頃を目途に開催することを当社に対して要請する予定とのことです。なお、公開買付者、カツコーポレーション及び野澤氏は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。本株式併合を行うことにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになるとのことです。公開買付者、カツコーポレーション及び野澤氏は、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、カツコーポレーション、野澤氏及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定とのことですが、公開買付者、カツコーポレーション及び野澤氏が当社株式の全て(ただし、本不応募合意株式(野澤氏)及び当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、カツコーポレーション、野澤氏及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に対して要請する予定とのことです。また、本公開買付けの決済開始日以降、野澤氏が所有する当社株式の数以上の当社株式を所有する株主(カツコーポレーション及び公開買付者を除きます。)が存在する場合の対応については未定とのことですが、当社の有価証券報告書の提出義務が免除された後に対応することを想定しているとのことです。なお、当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、カツコーポレーション、野澤氏及び当社を除きます。)は、当社に対して、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。
上記の本株式併合の手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、カツコーポレーション、野澤氏及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。
また、当社は、本書提出日現在、本譲渡制限付株式を発行しており、本譲渡制限付株式については、各割当契約書において、(a)譲渡制限期間中に、株式併合に関する事項が当社の株主総会で承認された場合(ただし、株式併合の効力発生日(以下「スクイーズアウト効力発生日」といいます。)が譲渡制限期間の満了時より前に到来するときに限ります。)は、当社取締役会の決議により、当該時点において保有する本譲渡制限付株式の数に、譲渡制限期間の開始月から上記承認日を含む月までの月数を12で除した数(ただし、その数が1を超える場合は、1とします。)を乗じた数(ただし、計算の結果、単元株未満の端数が生ずる場合は、これを切り捨てます。)の株式について、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時をもって、これに係る譲渡制限を解除するとされております。また、(b)上記(a)に規定する場合において、スクイーズアウト効力発生日の前営業日をもって、同日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式がある場合には、当社が当該本譲渡制限付株式を当然に無償で取得するとされております。本スクイーズアウト手続においては、本譲渡制限付株式のうち、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)末日までにその譲渡制限期間の終期が到来し、譲渡制限が解除されるものを除き、上記各割当契約書の(a)の規定に従い、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時において譲渡制限が解除されたものについては、本株式併合の対象とし、当該割当契約書の(b)の規定に従い、スクイーズアウト効力発生日の前営業日の直前時をもって譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式については、当社において無償取得する予定です。
以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
また、公開買付者によれば、公開買付者は本株式併合の完了後に、公開買付者を当社の唯一の株主とすることを目的として、本スクイーズアウト手続の完了を条件として、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載の本株式交換を実施する予定とのことですが、それぞれの実施時期や条件等については、本書提出日現在未定であり、本株式併合の完了後、公開買付者及び当社で協議の上決定する予定とのことです。なお、いずれの取引においても、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反することのないよう、公正性の担保に十分配慮しながら進めていく予定とのことです。
(5)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従って、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続の実施を予定しているとのことですので、当該手続を実施した場合、当社は東京証券取引所の上場廃止基準に該当し、当社株式は所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の一般株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の①乃至⑥の措置を実施していることから、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。また、本特別委員会は、本答申書において、他の公正性担保措置の実施状況に照らせば、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性は確保されていると評価できること等に鑑みると、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に係る条件が設定されていないことのみをもって、本取引の条件の妥当性が否定されるものではないと考えられる旨判断しており、当社としても同様に判断しております。
なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるストリームに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月28日付で本株式価値算定書を取得いたしました。
当社及びストリームとの関係並びに算定の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所を選任し、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
シティユーワ法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るシティユーワ法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2025年7月11日開催の第1回の会合において、シティユーワ法律事務所の独立性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして選任することを承認しております。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年6月30日付で野澤氏から本提案書を受領して以降、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBО)の一環として行われるものであり、当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2025年7月2日開催の当社取締役会決議により、公開買付関連当事者及び本取引の成否のいずれからも独立した、外部の有識者を含む委員(当社の社外取締役兼独立役員である郷倉正人氏、当社の社外監査役兼独立役員である柳岡茂氏(弁護士)、及びアートプロデュース業務に従事する専門家として本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると考えられる外部の有識者である間瀬道夫氏の3名)によって構成される本特別委員会を設置しました。なお、本特別委員会は3名の委員で構成することとし、当社の社外役員として、役職・知識・経験に鑑み、優先的に郷倉正人氏及び柳岡茂氏を委員として選任し、また、本取引を検討するにあたっては、当社の事業及び所有資産の特殊性に鑑みて、これらに応じた専門性・適格性を有すると考えられる者を招聘する必要があったため、間瀬道夫氏を委員として選任しました。当社は、当初から上記3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の委員の互選により、当社の社外取締役兼独立役員である郷倉正人氏が本特別委員会の委員長に就任しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含みます。)、(ⅱ)本取引の条件(本公開買付価格を含みます。)の公正性、(ⅲ)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性、(ⅳ)本取引の決定(本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含みます。)が当社の一般株主にとって公正であるといえるか、(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、(ⅰ)から(ⅴ)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申書を当社取締役会に提出することを委嘱しました。
また、当社は、上記取締役会決議において、本公開買付けに対する意見表明の内容を審議する当社取締役会においては、本特別委員会の設置の趣旨に鑑み、本諮問事項に対する本特別委員会の答申内容を最大限尊重するものとし、本特別委員会が取引条件を妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本公開買付けに賛同しないこととする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本特別委員会が自ら公開買付者と交渉を行うことができる権限のほか、公開買付者との交渉を当社の社内者やアドバイザー等が行う場合でも、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与えることができる権限、(b)必要に応じて本特別委員会独自の外部アドバイザー等を選任する権限(この場合の費用は当社が負担するものとしております。)のほか、当社が選任する外部アドバイザー等について指名又は承認(事後承認を含みます。)する権限、さらに、(c)答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社の役員及び従業員並びに外部アドバイザー等に対して求めることができる権限をそれぞれ付与しております。上記(b)の権限付与を受けて、本特別委員会は、2025年7月11日に開催された第1回の会合において、当社が選任する外部アドバイザー等について、いずれも独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認した上で、リーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所を、ファイナンシャル・アドバイザーとして山田コンサルを、第三者算定機関としてストリームを、それぞれ選任することを承認いたしました。
本特別委員会は、2025年7月11日から2025年8月28日までに、会合を合計10回開催したほか、会合外においても電子メール等を通じて、意見表明や情報交換、情報収集等を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、当社の事業内容・業績推移、主要な経営課題、本取引により当社の事業に対して想定されるメリット・デメリット、本取引の条件の検討の際に基礎とされる本事業計画の内容及び策定手続等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、野澤氏から、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。さらに、当社の第三者算定機関であるストリームから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、その算定過程に関して質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。以上の検討に際して、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から、特別委員会の意義・役割等を含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容について適宜助言を受けております。
そして、本特別委員会は、当社から、当社と公開買付者との間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、当社に対して計4回にわたり、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請すべき旨を意見し、当社が当該意見に従って公開買付者と交渉を行ったことにより、公開買付者との交渉過程に実質的に関与しております。
本特別委員会は、以上の経緯のもと、本諮問事項について慎重に審議及び検討を重ねた結果、2025年8月28日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
Ⅰ 答申の内容
(ⅰ)本取引は当社の企業価値の向上に資するものといえ、その目的は正当であり、かつ合理性があると考えられる。
(ⅱ)本公開買付価格を含む本取引の条件には公正性が確保されていると考えられる。
(ⅲ)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられる。
(ⅳ)本取引の決定(本公開買付けに対して賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)は、当社の一般株主にとって公正であると考えられる。
(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえると、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは、いずれも相当であると考えられる。
Ⅱ 答申の理由
Ⅱ-1 本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)
Ⅱ-1.1 当社グループの事業内容、事業環境、経営課題等
公表情報及び当社によれば、当社グループの事業内容、事業環境及び経営課題に関する当社の認識は以下のとおりである。
当社は、1984年11月、現代版画の販売を目的として設立され、当社株式については、1996年11月に日本証券業協会に店頭登録され、2004年12月に日本証券業協会への店頭登録を取り消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場した後、2010年4月にジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)に上場し、2013年7月には東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場し、2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分の見直しを経て、同市場から東京証券取引所スタンダード市場に移行している。
本書提出日現在、当社グループは、版画・絵画・美術品・グッズの購入及び販売事業、出版事業、割賦販売あっせん事業(クレジット事業)及び溶岩ホットヨガスタジオ等の事業を行っており、当社グループが営む各セグメントにおける事業内容は、以下のとおりである。
(Ⅰ)アート関連事業
(a)版画等絵画販売事業
当社は、米国、ヨーロッパ、中国、日本などの現代アーティスト及び新進アーティストの版画及びイラストレーターの版画を主要商品とし、催事販売と店舗販売を中心とした販売事業を営んでいる。なお、当社において、米国、ヨーロッパ、中国、日本などの現代アーティスト及び新進アーティストの版画を主商品として取り扱っている部門をスタンダードアート部門、イラストレーターの版画を主商品として取り扱っている部門をイラスト系アート部門と分類している。
当社の販売形態は、全国各地のホテル、イベントホール等における会場催事販売と、大型小売チェーン店等との提携催事販売がある。
なお、主力商品の販売価格は概ね50万円から100万円(2025年3月期実績)であり、通常、顧客は購入にあたって信販会社のクレジット契約を利用している。
(b)その他の事業
イラストを中心とした雑誌やコミックの出版、グッズの販売及び、将来の販売を目的とした絵画・美術品の購入・販売等を行っている。
(Ⅱ)金融サービス事業
当社の連結子会社であるダブルラックを通じて、当社及びその他一般加盟店の顧客を中心に、販売代金等の個別信用購入あっせん業務を行っている。
(Ⅲ)健康産業事業
当社の連結子会社であるTSCホリスティックを通じて、溶岩ホットヨガスタジオ「アミーダ」(東京都、千葉県、神奈川県を中心に全国各地で24店舗(本書提出日現在))の運営を行っている。
当社グループを取り巻くマクロ環境としては、米国の関税政策や、ウクライナ及び中東における紛争の長期化等による海外情勢の混迷や海外経済の減速、円安や資源高による製造業の減収懸念、食料品やエネルギーを中心とした物価高による個人消費の悪化懸念により、依然として先行き不透明な状況が続くものと認識している。
Ⅱ-1.2 本取引の意義・目的
Ⅱ-1.2.1 当社グループの事業環境及び経営課題等に関する野澤氏の認識
前記Ⅱ-1.1のようなマクロ環境下で、野澤氏は、当社グループが営む各セグメントの状況について、以下のとおり認識しているとのことである。
(A)アート関連事業
当社は創業以来、絵画の大衆化を目指し、主に、複製が可能である版画を中心として、米国、ヨーロッパ、中国、日本等の現代アーティスト及び新進アーティストを発掘し、世間に広める活動を継続して実施してきており、1996年にはアート業界初の株式公開(店頭登録)を実現し、日本のアート市場の先導役としての役割を果たしてきたと認識している。他方で、日本のアート市場が世界全体のアート市場に占める割合はわずか1%と小さいものの、海外からの日本のサブカルチャーに対する興味・関心の多様化・深化の結果、日本の美術品に対する海外からの注目度は高く、今後、国内アート産業の活性化を期待している。こうした環境下において、当社がより一段スピードを上げて成長を遂げるためには、従来からの取り組みに加えてより一層踏み込んだ新規施策を実施することが必要不可欠と認識している。
(B)金融サービス事業
当社の連結子会社であるダブルラックが、当社をはじめとした加盟店の顧客を中心に、販売代金等の個別信用購入あっせん事業を行っており、直近の業績は堅調に推移していると認識している。
(C)健康産業事業
当社の連結子会社であるTSCホリスティックにて溶岩ホットヨガスタジオ「アミーダ」の運営を行っているが、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の影響等により、休会・退会会員が多く発生し、その後厳しい状況が続いていると認識している。現在、不採算店舗の閉鎖等を実施し、営業利益は徐々に回復してきているものの、恒常的な収益化の実現のためには更なる取り組みが必要と認識している。
さらに、野澤氏は、当社の主力事業であるアート関連事業はこれまで着実に売上成長を実現してきたものの、特定のアーティストの作品への依存度が高いことに加えて、特に同事業の柱であるスタンダードアート事業においては売上上位を占める主力アーティストの高齢化が進んでいること、アニメやゲームを中心としたイラスト系アート需要の増大等、アートに対するニーズが急速に変わってきている中、時代のニーズにマッチした新たなアーティストの発掘が必要であるものの、発掘には相当の時間を要することを踏まえると、アート関連事業の先行きの不確実性はむしろ高まりつつあると認識しているとのことである。
Ⅱ-1.2.2 本取引後に実施を想定している施策の検討
上記のような各セグメントの状況や当社の主力事業の先行きの不確実性を踏まえると、野澤氏は、当社がスピードを上げて更なる成長を遂げ、中長期的な企業価値の向上を目指すためには、「アート関連事業」及び「健康産業事業」を中心に、従来の施策に加えて新規性の高い取り組みにも挑戦することが必要であるとの考えに至ったとのことである。具体的には以下のような取り組みを実施することを検討しているとのことである。
(ア)新ジャンルのアーティストの発掘と取り扱う美術品の多様化
野澤氏としては、当社は創業以来、絵画の大衆化を目指し、時代に合った版画アーティストを発掘し、一流アーティストと作品(美術品)の独占販売契約を締結する等、アーティストとの信頼関係を構築することで、多くの人々にとって手が届きやすい価格により販売を行い、版画を広めることを実現してきたと考えている。今日、国内外において日本の芸術・文化への関心が高まっている中、版画のみならず多種多様な美術品や高価格帯の美術品についても、同様の手法によって、日本の美術品を国内外に発信することが可能であると考えている。具体的には、これまで明確にターゲットとして設定していなかった富裕層や、アジアを始めとした海外顧客へのアプローチを強化するほか、従来よりも幅広い層の顧客を対象とした美術品の共同保有ビジネス等を新規に取り組むことで、新たなアーティストを発掘しつつ、国内外のアート市場の更なる活性化に寄与していきたいと考えている。また、このように取扱う美術品を増やし、日本の美術品を国内外に向けて発信して、日本のみならず世界からファンを獲得していくことは、「日本の文化水準を上げる」「日本全国に心の灯りをともす」「日本発のアーティストを世界に発信する」といった、当社が目指すビジョンの実現に大きく寄与する施策であると考えている。
(イ)オンライン販売チャネルの強化
野澤氏としては、当社の販売チャネルは、主に催事販売や店舗販売で構成されているところ、当社は、新規会場の開拓や新企画催事の開催、新広告媒体の開発等によって、新規顧客開拓に取り組んでいると認識している。しかし、野澤氏は、今後予想される国内外からの日本の美術品への需要の高まりに応えるためには、オンライン販売チャネルの強化及びオンライン販売とリアル販売の更なる融合が不可欠と考えている。具体的には、SNS等を活用したオンラインマーケティング機能の強化や、当社がWEBサイトの運営をしているオンラインストア「kazaru」の取扱商品ラインナップの拡充、海外からの受注対応体制の強化等の取り組みを実施したいと考えている。
(ウ)「アミーダ」のマーケティング強化と新業態の取り組み
「健康産業事業」は、不採算となっていたスタジオ店舗の閉鎖等の構造改革によって、2025年3月期に営業黒字化を実現した。しかし、野澤氏は、更なる収益性の強化のために、ホットヨガ等他のヨガスタジオとの徹底的な差別化をアピールし、溶岩ホットヨガを展開する「アミーダ」のブランドイメージを再構築することで、稼働率と客単価の向上を図ることに加えて、細分化が進む健康・ウェルネス市場において、新ブランドによる新業態を立ち上げ、これまで「アミーダ」ではターゲットとしてこなかった、性別や年齢を問わず健康志向が高い新たな顧客に対して質の高いプログラムを提供することで、一人でも多くの方が心も体も美しく輝けるように尽力したいと考えている。
これに対して、当社としても、当社の中長期的な企業価値向上のためには、大要以下のとおり、野澤氏が検討している上記(ア)乃至(ウ)の施策の実行が必要であると考えている。
ア 「(ア)新ジャンルのアーティストの発掘と取り扱う美術品の多様化」について
新ジャンルのアーティストの発掘と取り扱う美術品の多様化については、現在活躍されている既存アーティストの高齢化により、今後、既存アーティストによる作品の制作数が減少することが見込まれ、現在と同様に既存アーティストの作品を販売することができるかが不透明な中、当社グループが持続的な成長をするためには、既存アーティストに代わる新規アーティストの開拓や現代アート分野における新規ビジネスの開拓を行う必要がある。
イ 「(イ)オンライン販売チャネルの強化」について
オンライン販売チャネルの強化については、日本のアート産業市場は世界市場と比較して規模が小さく、美術品の取引を行う文化も乏しいと考えられることから、当社グループの更なる成長のためには、日本市場における新規顧客を獲得する必要があると認識しており、そのためには既存の催事販売や店舗販売以外の販売チャネルの拡大が必要である。また、国内外からの日本芸術・文化への関心が高まる中で、海外顧客へのアプローチの強化として海外からの受注に対応できる体制構築を行う必要があると認識しており、そのためには、オンラインマーケティング機能の強化が必要である。
ウ 「(ウ)「アミーダ」のマーケティング強化と新業態の取り組み」について
「アミーダ」のマーケティング強化と新業態の取り組みについては、新型コロナウイルス感染症を経て健康・免疫力の向上への関心が高まる一方で、健康・ウェルネス市場においてはニーズの細分化が進んでいると認識していることから、「アミーダ」の既存会員の退会防止への対策として他社との差別化が必要であるとともに、新ブランドによる新業態を立ち上げ、これまで「アミーダ」ではターゲットとしてこなかった新たな顧客の獲得が必要である。
野澤氏及び公開買付者(以下、総称して「公開買付者ら」という。)が検討している各施策について、当社及び公開買付者らに対するインタビューを踏まえて検討した結果、その説明内容に特段不合理な点は認められず、これらの施策が上記の経営課題の解決に資するものといえるため、当社グループの中長期的な企業価値の向上のために積極的に推進していくべき施策であるとの判断には合理性があると思料する。
Ⅱ-1.2.3 MBOを通じた非公開化の必要性に関する検討
また、野澤氏によれば、前記Ⅱ-1.2.2の(ア)乃至(ウ)の施策は、いずれも多額の初期投資や継続的な投資を要することから、短期的には当社の収益及びキャッシュ・フローの悪化が懸念され、また、これらの施策のうち(ア)の施策は、アーティストに対するニーズが大きく変わりつつある中、時代のニーズにマッチした新たなアーティストの発掘には相当の時間を要する上に不確実性を伴うこと、(ア)乃至(ウ)の施策はいずれも新規性の高い取り組みであるため、期待される収益を十分生み出すことができるかどうかについても不明確であり、さらに、当社が株式の上場を維持したままで各施策を実施した場合、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株式の株価や財務状況にも悪影響を及ぼす懸念や、当社の一般株主の皆様に不利益を与える可能性が払拭できないとのことである。
他方で、野澤氏としては、当社は、1996年11月の日本証券業協会への店頭登録以降、知名度の向上による優れた人材の確保や、社会的な信用力の向上等、上場企業として様々なメリットを享受してきたと考えているとのことである。しかし、野澤氏は、こうした知名度や社会的な信用力の向上については、株式の上場維持以外の方法によっても実現可能であること、現在の当社の財務状況等からすると、当面は金融機関からの借入による資金調達によって必要資金を賄うことが可能であるため、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は見込んでいないこと、当社株式の上場を維持するためには相応のコスト(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する人的負担、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する金銭的負担、内部統制関連コスト等)が必要となることを踏まえると、今後も継続して当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことである。
以上のような検討を踏まえ、野澤氏は、2025年6月中旬、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化による当社株式の株価の下落により当社の一般株主の皆様が当社株式の売却機会を失うリスクを回避しつつ、短期的な業績変動に左右されることなく、前記Ⅱ-1.2.2の(ア)乃至(ウ)の施策を実施し、事業の積極的展開に取り組むために、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築することができるという点で、本取引を通じてMBOの手法により当社株式を非公開化することが、当社株式の上場を維持するメリットを上回り当社の企業価値向上のために最も有効な手段であると考えたとのことである。
当社としても、前記Ⅱ-1.2.2の(ア)乃至(ウ)の施策の実行は新規ビジネスの展開や長期的な取り組みを伴うものであり、当該施策が中長期的に見れば当社の大きな成長及び収益の拡大につながる施策であったとしても、その推進段階においては、相応の時間と各種先行投資が必要であることから、短期的には利益水準の低下及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性があり、さらに、期待される利益を生み出すことが困難となる可能性も否定できないところ、当社株式の上場を維持したままこれらの施策を実施した場合、株価の下落や配当の減少により、当社の既存株主の皆様の利益を損なう可能性があると考えられるため、当社株式の上場を維持したままでこれらの施策を実施することは困難であると考えており、本取引により、当社株式を非公開化することで、中長期的な視点で野澤氏からの提案にあるような施策の実行に取り組むことが可能となることから、本取引の実行は当社の企業価値向上の観点からもメリットがあると考えているとのことである。
このように公開買付者らと当社との認識は概ね一致しており、その説明内容についても特段不合理な点は認められない。
その上で、非公開化の手法としてMBOが採用されている点については、前記Ⅱ-1.2.2の各施策を効率的に実施するために、当社の事業内容及び事業環境を熟知している当社の代表取締役会長兼社長である野澤氏が株主であり、かつ、代表取締役を務める公開買付者によって当社株式を非公開化し、同氏が当社の経営と支配の双方を担うことには一定の合理性が認められると思料する。
Ⅱ-1.3 本取引により想定されるデメリットの検討
本取引により当社株式が上場廃止となることに伴い想定され得るデメリットについて、当社及び公開買付者らに対するインタビュー等を通じて、大要以下のとおり説明を受けた。これらの説明内容にはいずれも特段不合理な点は見当たらず、本特別委員会としても、それぞれの事項に関する影響は限定的であると思料する。その他、本取引によって期待されるメリットを上回るデメリットが生じる具体的な可能性は、特段認められない。
Ⅱ-1.3 (1)取引先に対する影響
当社によれば、顧客における購入判断等において、当社が上場会社であることが一切影響していないとまでは判断できないものの、基本的には担当アートアドバイザーとの関係構築(信用)と当社が販売を行っている絵画等の作家のブランド力により、当社株式が上場廃止となることによる影響は生じないものと考えており、また、作家等についても、当社が上場会社であることではなく、当社が全国展開できる企業であることや、当社の理念に共感して取引をしていると認識しているため、当社株式の上場廃止による影響はないものと考えているとのことである。
また、公開買付者らにおいては、当社グループのビジネスにおいて、上場企業としての信用力よりも、長年の事業活動を通じて築き上げた当社グループのブランド力・社会的な信用の方が、取引先への影響は大きいと捉えているところ、当社株式が上場廃止になったとしても、取引先に対する影響として懸念される事項は特段ないと考えているとのことである。
Ⅱ-1.3 (2)今後の資金調達への影響
当社によれば、当社は従前より株式市場からの資金調達は行っておらず、銀行からの借入れを主軸とし資金調達を行っているため、上場廃止による影響はないと考えているとのことである。
また、公開買付者らにおいても、資金調達に関して、金融機関との間で長期的な取引により良好な関係を築けており、金融機関からの借入によって必要資金は工面でき、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれていないことから、当社株式の上場を廃止することによって株式市場からの資金調達ができなくなったとしても、事業運営に支障をきたすことはないと考えているとのことである。
Ⅱ-1.3 (3)コンプライアンス体制への影響
当社によれば、本取引の実施は、コンプライアンス体制に直ちに悪影響を生じさせるものではなく、コンプライアンス体制への影響はないものと考えているとのことである。
また、公開買付者らにおいても、本取引の実施によりコンプライアンス体制が弱体化することはないと考えているとのことである。
Ⅱ-1.3 (4)今後の人材採用への影響等
当社によれば、当社が属する業界の人材は、上場会社であることを理由に入社するケースは少なく、他方で当社は既に業界的には一定の知名度を得ていることから、当社株式の上場廃止による影響はないと認識しており、公開買付者らにおいても、同様に考えているとのことである。
Ⅱ-1.3 (5)既存従業員への影響等
当社によれば、本取引の実行により、上場維持コストや上場維持に関する管理業務が不要となることから、その一部の経営資源を人材育成や離職率低下のための施策に充当し、離職率の低下・従業員満足度の向上を図ることも期待しているとのことである。
また、公開買付者らにおいては、本取引後に取り組まれようとしている各施策の実行によって、従業員としても挑戦の機会が増えるものと想定しており、従業員のモチベーションの維持・向上を図る上でプラスの効果がある一方、従業員に最大限配慮する観点から、本取引の公表後、本取引の目的・背景を丁寧に説明することで、従業員からも十分に理解を得られるものと想定しているとのことである。
Ⅱ-1.4 小括
以上を総合的に考慮すると、本取引は当社の企業価値の向上に資するものといえ、その目的は正当であり、かつ合理性があると考えられる。
Ⅱ-2 本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性
Ⅱ-2.1 本公開買付価格の検討
Ⅱ-2.1.1 検討対象となる本公開買付価格
当社と公開買付者らの協議・交渉の結果、当社が内諾した本公開買付価格は、当社株式1株につき1,670円である。
Ⅱ-2.1.2 ストリームによる算定結果に基づく検討
Ⅱ-2.1.2 (1)算定結果
当社の第三者算定機関であるストリームによる2025年8月28日付株式価値算定書によれば、当社株式1株当たりの株式価値の算定結果は以下のとおりである。
市場株価法:1,053円~1,100円
DCF法 :1,520円~2,150円
Ⅱ-2.1.2 (2)算定手法の選択の合理性
ストリームによれば、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、また、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法をそれぞれ採用しており、DCF法では、当社グループのアート関連事業、金融サービス事業及び健康産業事業においてそれぞれ提供している商品・サービスの特徴が相互に異なることから、各事業の特徴を適切に算定に反映させるため、各事業を分類して事業価値算定を行うサム・オブ・ザ・パーツ分析を実施したとのことである。
一方で、収益性や財務状況の当社との類似性における制約に鑑み類似上場会社比較法は採用しておらず、また、当社が継続企業としてその事業を継続していくことを企図していることから純資産法は採用していないとのことである。
以上の説明には特段不合理な点は認められず、上記算定手法の選択には一定の合理性があると考えられる。
Ⅱ-2.1.2 (3)市場株価法による算定過程
ストリームは、市場株価法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年8月28日を算定基準日として、①当社株式の基準日終値、②直近1ヶ月間の終値単純平均値、③直近3ヶ月間の終値単純平均値、及び④直近6ヶ月間の終値単純平均値を基に株式価値を算定している。かかる株式価値の測定期間の設定は、他社の類似取引事例における市場株価法での株価算定に係る一般的な考え方に依拠したものであるといえる。
他方で、市場株価法での算定においては、特殊な事情により市場株価が不当に歪められているような場合にはその合理性が問題となる。もっとも、本件においては、当社又は公開買付者らにおいて、本公開買付けが成立しやすくなるように意図的に当社株式の市場株価を変動させようとした事実は特段認められず、また、2025年3月24日以降4月中旬にかけて当社株式の株価が乱高下しているものの、当社によれば、当社が2025年3月24日付プレスリリース「2025年3月期 配当予想の修正(上場20周年記念配当)に関するお知らせ」により2025年3月期の期末配当として株式20周年記念配当(当社1株当たり40円)を実施することを公表したことを受けての一時的な事象にとどまるものと分析できるとのことであり、これを除き、直近6ヶ月間の当社株式の市場株価の大幅な乱高下及び異常な変動による出来高の増減は見受けられない。
以上を総合的に考慮すると、ストリームによる市場株価法に基づく算定には一定の合理性があると考えられる。
Ⅱ-2.1.2 (4)DCF法による算定過程
ア 事業計画の合理性
ストリームは、フリー・キャッシュ・フローの算出において、本事業計画を基礎としている。そのため、当該算定が合理性を有するためには、算定の基礎とされた事業計画が適切に作成されていることが重要となる。
この点、当社は、野澤氏から2025年6月30日に本提案書の提出を受けているものの、当社によれば、本事業計画は、過去の実績や足元の収益状況、当社を取り巻く事業環境等を踏まえ、各項目において合理的な前提を設定の上、本取引の検討を目的に当社が作成したものであり、現時点で合理的に予測可能な期間である2026年3月期から2028年3月期までの3期分を対象期間として作成したものであって、また、具体的な計画数値の設定過程において野澤氏、公開買付者、公開買付者との間で公開買付けにその所有する当社株式の一部を応募し、一部を応募しない旨を口頭で合意する予定のカツコーポレーション、並びに、野澤氏の親族である当社取締役の野澤竹志氏及び当社監査役の野澤二三朝氏による関与はないとのことである。以上を踏まえて検討すると、まず、本事業計画の策定過程において公開買付者側からの不当な関与は認められず、その他当社の独立性に疑念を生じさせる事情は特段見当たらない。
また、①足元の事業環境に関する当社の説明内容には特段不合理な点は認められないこと、②本事業計画の策定過程や主要な前提条件に係る当社の説明内容に照らすと、当社において、本取引の存在を前提に恣意的に計画値を設定したという事情は見受けられず、直ちに不合理な点も認められないこと、③具体的な計画値としても、売上高と営業利益の双方について計画期間を通じて成長が見込まれていること等を総合的に考慮すると、本事業計画の内容について、当社の一般株主の利益の観点から不合理な点は認められない。なお、本事業計画に基づく各事業ごとの財務予測には、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減が見込まれている事業年度が含まれているとのことである(具体的には、アート関連事業において、2026年3月期に売上高の増加に伴う運転資本の増加によりフリー・キャッシュ・フローの大幅な減少が見込まれており、2027年3月期には2026年3月期と比較して売上高の増加率が減少することによって、運転資本の増加額が減少することからフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加(前年比196.4%増)が見込まれており、また、健康産業事業において、2027年3月期に人件費をはじめとする売上原価が増加することにより、フリー・キャッシュ・フローの大幅な減少(前年比49.2%減)が見込まれているとのことである。)。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、当該財務予測には加味しておらず、当該財務予測を基礎としたストリームによる算定では、フリー・キャッシュ・フローの算定過程において、上場関連費用の削減効果が一部考慮されているとのことである。
以上の検討の結果、本特別委員会としては、本事業計画をDCF法の算定の基礎として用いることは是認できると思料する。
イ 具体的な算定過程
次に、本特別委員会は、DCF法における具体的な算定過程についてストリームと質疑応答を行った結果、大要以下のとおり説明を受けた。
・本事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことによって、企業価値や株式価値を算定している。
・当社グループのアート関連事業、金融サービス事業、健康産業事業が提供している商品・サービスの特徴が相互に異なることから、各事業の特徴を適切に算定に反映させるため、サム・オブ・ザ・パーツ分析を採用し、各事業ごとに事業価値を算定の上、その総和で企業価値を算出している。
・本事業計画期間経過後の継続価値については、継続企業であることを前提に永久成長率法を採用し、当社事業計画の推移及び期間や日本経済のGDP成長率を総合的に勘案して予測期間後の成長率を±0.25%としている。
・事業価値を算定する際の割引率については、加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital)を採用し、アート関連事業について10.2%~12.2%、金融サービス事業について5.5%~7.5%、健康産業事業について9.6%~11.6%を算定レンジとしており、また、当社の企業規模を勘案し、各事業ともにサイズリスクプレミアムを2.9%として割引率の算出に際して考慮している。
・必要運転資金を控除した余剰現預金、有価証券及び保険に係る解約返戻金等は、株式価値算定に重要な影響を及ぼす非事業用資産として計上している。なお、必要運転資金については、当社から提示を受けた当社における過去の資金繰り実績等及び当社に対するインタビュー結果に基づき総合的に考慮し算出された金額としている。
本特別委員会は、上記の各事項を含め、ストリームから説明を受けたDCF法における具体的な算定過程についてストリームと質疑応答を行った結果、サム・オブ・ザ・パーツ分析を実施した点については、当社グループのアート関連事業、金融サービス事業及び健康産業事業においてそれぞれ提供している商品・サービスの特徴が相互に異なることから合理性が認められ、また、採用した割引率や継続価値の算定方法について、いずれも現在の評価実務に照らして、その算定過程に是認し難い不合理な点は認められなかったため、結論として、ストリームによるDCF法に基づく算定には一定の合理性があると思料する。
Ⅱ-2.1.2 (5)算定結果に基づく検討
以上のとおり、ストリームによる当社株式の株式価値の算定結果には一定の合理性があると考えられるところ、本公開買付価格は、ストリームによる算定結果のうち、市場株価法の算定結果のレンジの上限値を上回る価格であり、また、DCF法の算定結果のレンジの範囲内の価格であることが認められ、合理的な水準にあると評価できる。
Ⅱ-2.1.3 プレミアムの検討
本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月28日を基準日として、当社株式の基準日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して、それぞれ51.82%(基準日)、55.64%(直近1ヶ月間)、58.59%(直近3ヶ月間)及び57.99%(直近6ヶ月間)のプレミアムが付されたものとなる(それぞれ小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム水準について同じ。)。
本公開買付価格は、M&A指針が公表された2019年6月28日以降、2025年7月14日までに公表された非公開化を目的とした公開買付けの事例(対象会社が賛同意見を表明し、応募を推奨し、上場廃止前提、かつ、MBO又は子会社に対する公開買付けの事例)170件の状況(プレミアム割合の平均値は、公表日の前営業日の終値に対して44.09%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して46.88%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して48.46%、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して47.51%)との比較において、いずれも上回る状況となっている。かかる点に鑑みると、本公開買付価格に付されたプレミアムは、かかる類似事例におけるプレミアム割合との比較において遜色のない水準であると認められることから、相応のプレミアムが付されていると評価できる。
Ⅱ-2.1.4 1株当たり純資産額との比較
本来、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業を前提とした当社の株式価値の算定において重視することは必須ではないと考えられる一方で、一般株主に対する説明責任を果たす観点からは、本公開買付価格が1株当たり純資産額を下回らないことがより望ましいと考えられる。この点、本公開買付価格は、当社第1四半期決算短信に記載された2025年6月30日現在の純資産額(15,127,982千円)並びに発行済株式総数(9,107,516株)及び当社が所有する自己株式数(447株)をもとに算出される1株当たり純資産額(1,661.13円(小数点以下第三位を四捨五入。))を上回っており、1株当たりの純資産額との比較においても、本公開買付価格の合理性を否定すべき事由は特段認められない。
Ⅱ-2.1.5 小括
以上を総合的に考慮すると、当社が、公開買付者らとの間で、当社株式1株につき1,670円という本公開買付価格で合意することには、一定の合理性があると考えられる。
Ⅱ-2.2 マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定しないことの検討
M&A指針においては、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することは、一般株主の過半数が取引条件について満足していることを直接確認することを通じて、一般株主による判断機会の確保がより重視されることにつながるとともに、取引条件の形成過程における対象会社の交渉力が強化され、一般株主にとって有利な取引条件でM&Aが行われることに資するという機能も有するとされている。
本公開買付けにおいては、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限の設定は予定されていない。この点については、たしかに、このような買付予定数の下限を設定することが、当社の一般株主の利益に資すると考える余地はあるものの、M&A指針においても、既に買収者の保有する対象会社の株式の割合が高い場合等においては、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することにより、企業価値の向上に資するM&Aの成立を阻害してしまうおそれ等があるとの懸念もあり、常にかかる条件を設定することが望ましいとまでいうことは困難であるとされている。
この点、本特別委員会としては、(ⅰ)公開買付者が、野澤氏との間で、本不応募合意株式(野澤氏)について本公開買付けに応募しない旨を口頭で合意し、また、カツコーポレーションとの間で、本不応募合意株式(カツコーポレーション)について本公開買付けに応募しない旨を口頭で合意する予定とのことであり、このような状況でマジョリティ・オブ・マイノリティ条件に相当する買付予定数の下限を設定した場合には、上記の懸念が相当程度当てはまると考えられること、(ⅱ)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると、かえって本公開買付けに応募した一般株主の利益を害する可能性があること、(ⅲ)他の公正性担保措置の実施状況に照らせば、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性は確保されていると評価できること等を総合的に考慮すると、本公開買付けにおいて、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていなくとも、本取引の条件の公正性が否定されるものではないと思料する。
Ⅱ-2.3 スクイーズアウト手続に係る条件の検討
公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式(ただし、本譲渡制限付株式、本不応募合意株式(カツコーポレーション)、本不応募合意株式(野澤氏)及び当社が所有する自己株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことである。
具体的には、本公開買付けの成立後、公開買付者は、本公開買付けの決済完了後速やかに、会社法第180条に基づき当社が本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会を2025年12月中旬を目途に開催することを当社に要請する予定とのことである。なお、公開買付者、カツコーポレーション及び野澤氏は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことである。
本株式併合の割合は本答申書作成日現在において未定だが、公開買付者、カツコーポレーション及び野澤氏が当社株式の全て(ただし、本不応募合意株式(野澤氏)及び当社が所有する自己株式を除く。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった当社株主(ただし、カツコーポレーション、野澤氏及び当社を除く。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に要請する予定とのことである。
株式併合は、本取引のような完全子会社化の取引において一般的に採用されている方法であり、本取引の方法として妥当であると考えられる。また、本スクイーズアウト手続の条件についても、本公開買付価格と同一の価格を基準として算定・決定される予定であるところ、本スクイーズアウト手続は、本公開買付けに続く手続として予定されているものであり、時間的に近接した両手続において交付される対価が同一のものとなるようにすることは合理的であると考えられる。
なお、公開買付者によれば、公開買付者は本株式併合の完了後に、公開買付者を当社の唯一の株主とすることを目的として、本スクイーズアウト手続の完了を条件として、公開買付者を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施する予定であり、実施時期や条件等については、本書提出日現在未定であって、本株式併合の完了後、公開買付者及び当社で協議の上決定する予定とのことである。当該株式交換に係る交換比率の決定にあたっては、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反することのないよう、当社株式の価値を本公開買付価格と実質的に同額で評価し、公正性の担保に十分配慮しながら進めていく予定とのことであり、かかる配慮がなされることを前提とすれば、本取引の条件の公正性との関係で不合理な点は認められない。
Ⅱ-2.4 交渉過程等の手続の公正性
本公開買付価格に係る公開買付者らとの具体的な交渉過程は以下のとおりである。
当社は、2025年8月5日、野澤氏から、当社に対して実施しているデュー・ディリジェンスの途中経過等に基づく当社の事業環境、財務の状況及び当社の市場株価の動向等を含む諸般の事情を多面的・総合的に分析し、慎重に検討を重ねた結果として、本公開買付価格を1,400円とする旨の初回の価格提案を受領した。これに対して、当社は、2025年8月7日、野澤氏に対して、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果及び類似事例のプレミアム水準を踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主にとって十分な価格であるとはいえないことから、より高い公開買付価格の提示を要請した。
その後、当社は、2025年8月13日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,520円とする旨の再提案を受領した。これに対して、当社は、2025年8月18日、野澤氏に対して、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果、類似事例のプレミアム水準及び2025年6月末時点における当社の簿価純資産額を踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主にとって十分な価格であるとはいえないことから、より高い公開買付価格の提示を要請した。
その後、当社は、2025年8月21日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,600円とする旨の再提案を受領した。これに対して、当社は、2025年8月25日、野澤氏に対して、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果及び2025年6月末時点における当社の簿価純資産額を踏まえると、当該提案価格は、当社の一般株主にとって十分な価格であるとはいえないことから、より高い公開買付価格の提示を要請した。
その後、当社は、2025年8月26日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,665円とする旨の再提案を受領した。これに対して、当社は、2025年8月27日、野澤氏に対して、一般株主の利益に最大限配慮する観点から、より高い公開買付価格の提示を要請した。
その後、当社は、2025年8月28日、野澤氏から、本公開買付価格を1株当たり1,670円とする旨の最終提案を受領した。これに対して、当社は、2025年8月28日、野澤氏に対して、最終的な意思決定は2025年8月29日に開催予定の当社取締役会での決議によることを前提として、当該提案価格を応諾する旨を回答した。
以上のとおり、本公開買付価格は、当社において、当社のアドバイザー及び本特別委員会の助言を踏まえて、当社と公開買付者らとの間の真摯な価格交渉の結果、決定されており、これらの当社と公開買付者らの交渉の経緯には、不合理な点は認められない。
したがって、以上の当社と公開買付者らとの交渉過程は、独立した当事者間の交渉と認められる公正なものであり、一般株主にとってできる限り有利な取引条件となることを目指した合理的な努力が行われたものと評価できる。
Ⅱ-2.5 小括
以上を総合的に考慮すると、本公開買付価格を含む本取引の条件には公正性が確保されていると考えられる。
Ⅱ-3 本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性
Ⅱ-3.1 独立した特別委員会の設置
当社は、本取引の検討に当たり、当社の意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、公正性担保措置の一環として本特別委員会を設置しているところ、以下に述べるとおり、本特別委員会は、独立性を有し、かつ、特別委員会としての実効性を高めるための実務上の措置が採られた上で、企業価値の向上及び一般株主の利益を図る立場から、本取引の是非や取引条件及び手続の公正性について検討・判断を行ったものである。
Ⅱ-3.1 (1)設置時期
M&A指針においても示されているとおり、特別委員会に期待される役割に照らすと、対象会社が検討対象となるM&A取引について提案を受けた場合には、可及的速やかに特別委員会を設置することが望ましい。当社においては、2025年6月30日付で野澤氏から本提案書を受領した後、本公開買付価格の具体的な交渉に入るより以前の2025年7月2日開催の取締役会決議において本特別委員会が設置されており、本特別委員会の設置時期につき不合理な点は認められない。
Ⅱ-3.1 (2)委員構成・独立性
M&A指針においては、(ⅰ)特別委員会の委員となる者は高度な独立性を有することが望ましく、また、(ⅱ)構造的な利益相反の問題による影響を排除する観点から、社外者、すなわち社外取締役、社外監査役又は社外有識者で構成されることが望ましいとされている。特別委員会の委員となる者には、特に①買収者からの独立性及び②当該M&Aの成否からの独立性が必要となる。
この点、本特別委員会の各委員は、当社の社外取締役兼独立役員1名、社外監査役兼独立役員1名及び外部の有識者1名の計3名により構成されているところ、各委員は、公開買付者ら、当社及びカツコーポレーション並びに本取引の成否のいずれとも特別の利害関係を有していない。また、委員の報酬については、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれていない。以上のとおり、本特別委員会における各委員の独立性を疑うべき事由は認められない。
また、M&A指針においては、特別委員会の設置の判断、権限と職責の設定、委員の選定や報酬の決定については、構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、対象会社の独立社外取締役や独立社外監査役がこれらのプロセスに主体性を持って実質的に関与することが望ましいとされている。
当社は、本取引が構造的な利益相反を伴うことに鑑みて、シティユーワの助言も踏まえ、特別委員会の設置、権限、職責、委員の選定及び報酬の検討を開始した。また、本取引に特別の利害関係を有する野澤氏及びその親族は、本特別委員会の設置及び委員の選定に係る決議に関与していない。このように、本特別委員会の設置、権限、職責、委員の選定及び報酬の決定の各過程において、利害関係を有する取締役及び監査役の関与は排除されており、当社の独立社外取締役及び独立社外監査役が主体性を持って実質的に関与していたことが認められる。
Ⅱ-3.1 (3)交渉過程に関与する権限の付与
M&A指針においても示されているとおり、特別委員会の設置の趣旨に鑑みると、特別委員会が対象会社と買収者との間の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与することが望ましいと考えられる。この点、当社取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本特別委員会に対して、本特別委員会が自ら公開買付者と交渉を行うことができる権限のほか、公開買付者との交渉を当社の社内者やアドバイザー等が行う場合でも、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与えることができる権限を付与している。その上で、本特別委員会は、下記3.3のとおり、公開買付者らとの交渉過程に実質的に関与している。
Ⅱ-3.1 (4)当社の外部アドバイザー等の承認権限の付与
M&A指針においては、特別委員会が自らの役割を適切に理解し、その役割を十分に果たす上では、手続の公正性や企業価値評価に関する専門的知見に基づいて検討・判断することが必要であり、特別委員会が信頼して専門的助言を求めることができる財務アドバイザー・第三者算定機関やリーガル・アドバイザーが存在していることが望ましいとされている。また、これらのアドバイザーについては、特別委員会が自らのアドバイザー等を選任することが有益であるが、対象会社の取締役会が選任したアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がない場合等、特別委員会として当該アドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、そのアドバイザー等を利用することも否定されないとされている。
当社取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本特別委員会に対し、必要に応じて本特別委員会独自の外部アドバイザー等を選任する権限(この場合の費用は当社が負担するものとされている。)のほか、当社が選任する外部アドバイザー等について指名又は承認(事後承認を含む。)する権限を付与している。これを受けて、本特別委員会は、2025年7月11日に開催された第1回の会合において、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー(山田コンサル)、第三者算定機関(ストリーム)及びリーガル・アドバイザー(シティユーワ)につき、両者へのヒアリングを通じて、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、それぞれを当社のアドバイザー等として承認した。
Ⅱ-3.1 (5)情報収集に関する権限の付与
M&A指針においては、特別委員会が、一般株主に代わり、非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行うという方法も組み合わせることにより、全体として、重要な情報を十分に踏まえた上で、M&Aの是非や取引条件の妥当性についての検討・判断が行われる状況を確保することが望ましいとされている。
当社取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本特別委員会に対し、答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社の役員及び従業員並びに外部アドバイザー等に対して求めることができる権限を付与している。
Ⅱ-3.1 (6)当社取締役会における本答申書の位置づけ
M&A指針においても示されているとおり、特別委員会の設置の趣旨に鑑みると、取締役会は、特別委員会の判断内容を適切に理解・把握した上で、これを最大限尊重して意思決定を行うことが望ましい。この点、当社取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本公開買付けに対する意見表明の内容を審議する取締役会においては、本諮問事項に対する本特別委員会の答申内容を最大限尊重するものとし、本特別委員会が取引条件を妥当でないと判断した場合には、本公開買付けに賛同しないこととする旨を決議しており、特別委員会の判断内容の実効性の確保に配慮がなされている。
Ⅱ-3.2 当社における外部専門家の独立した専門的助言等の取得
Ⅱ-3.2.1 第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者ら、カツコーポレーション及び当社から独立した第三者算定機関としてストリームを選任し、同社に当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月28日付で株式価値算定書を取得している。当該算定書における算定結果に一定の合理性が認められることについては、前記Ⅱ-2.1.2に記載のとおりである。
なお、当社は、ストリームから、本公開買付価格が財務的見地から妥当又は公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)までは取得していない。もっとも、M&A指針においても、我が国においては、フェアネス・オピニオンの公正性担保措置としての有効性は事案により一様ではなく、その要否については、個別のM&Aにおける具体的な状況を踏まえて判断することが適当とされている。本特別委員会としては、本件の検討過程に照らした結果、本取引の是非を検討するために、フェアネス・オピニオンの取得が必須であると考えるべき事情までは認められず、フェアネス・オピニオンを取得しなくとも、本取引に係る交渉過程及び意思決定過程に至る手続の公正性が否定されるものではないと思料する。
Ⅱ-3.2.2 リーガル・アドバイザーからの助言の取得
当社は、本取引に係る取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため公開買付者ら、カツコーポレーション及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワを選任し、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けている。
Ⅱ-3.3 本公開買付価格に係る具体的な交渉過程
本公開買付価格に係る公開買付者らとの具体的な交渉過程は前記Ⅱ-2.4のとおりであり、本特別委員会は、公開買付者らとの本公開買付価格に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、交渉の方針等について協議を行い、当社に意見する等して、その交渉過程に実質的に関与しており、かかる交渉過程に関して、当社の一般株主の利益に配慮すべき観点から特段不合理な点は見当たらない。
Ⅱ-3.4 特別な利害関係を有する者の不関与
当社の取締役5名のうち、野澤氏は公開買付者の株主かつ代表取締役であり、本公開買付け終了後も継続して当社の経営にあたることが予定されていること、野澤竹志氏は野澤氏の親族であることに鑑み、利益相反の疑義を回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者らとの協議及び交渉にも一切参加していないとのことである。また、当社の監査役3名のうち、野澤氏の親族である野澤二三朝氏は、利益相反の疑義を回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議に参加しておらず、本取引に係る決議に際して意見を述べることも差し控えているとのことである。
以上のほか、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、公開買付者らからの独立性に疑義がある者が当社の意思決定に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。
Ⅱ-3.5 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
M&A指針においては、取引条件の形成過程における対象会社の交渉力が強化され、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われるという機能に着目し、M&Aにおいて他の潜在的な買収者による対抗的な買収提案が行われる機会を確保すること(以下「マーケット・チェック」という。)が望ましいとされている。マーケット・チェックの方法としては、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェックや、M&Aに関する事実を公表し、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施することによる、いわゆる間接的なマーケット・チェック等が存在する。他方で、M&Aに対する阻害効果の懸念や情報管理の観点から実務上の問題がある場合もあることを踏まえ、常に積極的なマーケット・チェックを実施することが望ましいとまではいえないとされている。
本公開買付けにおいては、公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間の20営業日より長期の30営業日に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外にも当社株式の買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことである。
また、公開買付者及び当社は、当社が公開買付者以外の者(対抗的買収提案者)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切行っていないとのことであり、上記公開買付期間の設定と併せて、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことである。
以上を踏まえると、本件においては、以上の各措置を通じて、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施され得る環境が整備されていると考えられる。
なお、本取引においては、積極的なマーケット・チェックは実施されていないものの、上記のとおり積極的なマーケット・チェックにはM&Aに対する阻害効果や情報管理の懸念があり得ることに加え、本取引においてはその他の公正性担保措置は十分に講じられていることを踏まえると、間接的なマーケット・チェックの機会が確保されていることをもってM&A指針の要請を満たしていると評価することが可能と考えられる。
Ⅱ-3.6 強圧性の排除
M&A指針においては、MBOや支配株主による従属会社の買収が公開買付けにより行われる場合には、一般株主が公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するために、強圧性(公開買付けに応募しなかった株主が不利に取り扱われるような推測を生じさせることによる、買付価格に不満のある株主に対しても公開買付けに応募させるような事実上の圧力)が生じないように配慮されるべきであるとされている。具体的には、株主が公開買付けに反対した(応募しなかった)場合の取扱いについて、以下のような実務上の対応が行われることが望ましいとされている。
a)公開買付け後のスクイーズアウトに際して、反対する株主に対する株式買取請求権又は価格決定請求権が確保できないスキームは採用しないこと
b)公開買付けにより大多数の株式を取得した場合には、特段の事情がない限り、可及的速やかにスクイーズアウトを行うこと。また、公開買付け後にスクイーズアウトを行う場合の価格は、特段の事情がない限り、公開買付価格と同一の価格を基準にするとともに、その旨を開示書類等において明らかにしておくこと
本公開買付け後の本スクイーズアウト手続としては、公開買付者、カツコーポレーション及び野澤氏以外の株主の所有する当社株式が全て1株未満の端数となるような併合比率による株式併合を行うことが予定されているところ、かかる株式併合が行われる場合には、法令上、本公開買付けに応募しなかった株主に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されている。
また、公開買付者によれば、本スクイーズアウト手続は、本公開買付けの決済の完了後速やかに進めていく予定とのことであり、本公開買付けに応募しなかった株主の地位が長期にわたって不安定なものとならないための配慮が窺われる。さらに、株式併合の結果生じた端数の合計数に相当する当社株式の売却価格について、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことが予定されている。
以上のとおり、本公開買付けを含む本取引においては、いわゆる強圧性の問題に対応すべく、本公開買付けに応募しなかった一般株主の利益に配慮がなされており、強圧性は生じないと認められる。
Ⅱ-3.7 一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上
M&A指針においては、MBOや支配株主による従属会社の買収においては、買収者と一般株主との間に大きな情報の非対称性が存在することから、取引条件の妥当性等について一般株主による十分な情報に基づいた適切な判断が行われることや、取引条件の形成過程の透明性を向上させ、一般株主等の目を意識したより慎重な検討・交渉が行われることを期待するという観点から、一般株主の適切な判断に資する充実した情報を分かりやすく開示することが望ましいとされている。
本取引に係るプレスリリースにおいては、法令や東京証券取引所の適時開示規制に沿った開示が予定されているほか、①本特別委員会に関する情報(委員の独立性・属性等に関する情報、特別委員会に付与された権限の内容に関する情報、特別委員会における検討経緯や公開買付者との取引条件の交渉過程への関与状況に関する情報、答申書の内容に関する情報、委員の報酬体系に関する情報等)、②当社株式の株式価値の算定結果の内容に関する情報、③その他本取引を実施するに至った背景、目的等に関する情報、当社と公開買付者との間で行われた取引条件等に関する協議・交渉の具体的な経緯に関する情報等について、それぞれ一定の開示が予定されており、当社の株主による取引条件の妥当性等についての判断のために相当な情報が開示される予定であることが認められる。
Ⅱ-3.8 小括
以上を総合的に考慮すると、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられる。
Ⅱ-4 本取引の決定(本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)が当社の一般株主にとって公正であるといえるか
以上のとおり、(ⅰ)本取引は当社の企業価値の向上に資するものといえ、その目的は正当であり、かつ合理性があると考えられ、(ⅱ)本公開買付価格を含む本取引の条件には公正性が確保されていると考えられ、(ⅲ)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられる。そして、上記の検討事項以外の点において、本取引が当社の一般株主にとって公正であると考えられるため、(ⅳ)本取引の決定(本公開買付けに対して賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)は、当社の一般株主にとって公正であると考えられる。
Ⅱ-5 上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非
上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえると、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは、いずれも相当であると考えられる。
④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、シティユーワ法律事務所からの法的助言、山田コンサルからの助言、ストリームからの助言及び本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって公正であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年8月29日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役5名のうち、野澤氏及び野澤竹志氏を除く3名)の全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。なお、上記取締役会には、当社の監査役3名中、野澤二三朝氏を除く2名の監査役(園川勝美氏及び柳岡茂氏)がいずれも出席し、上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
上記の取締役会において、当社の取締役5名のうち、野澤氏は公開買付者の株主かつ代表取締役であり、本公開買付け終了後も継続して当社の経営にあたることが予定されていること、野澤竹志氏は野澤氏の親族であることに鑑み、利益相反の疑義を回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。また、当社の監査役3名のうち、野澤氏の親族である野澤二三朝氏は、利益相反の疑義を回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議に参加しておらず、上記決議に際して意見を述べることも差し控えております。
⑤ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討及び交渉を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2025年6月30日付で野澤氏から本提案書を受領して以降、利益相反の疑義を回避する観点から、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉及び当社内部における検討過程において、公開買付者の株主若しくは役職員を兼務する者又はこれらの者と親族関係にある者を関与させないこととし、これらの者に該当しない取締役である樋口弘司氏を中心とした社内検討体制を構築いたしました。当社は、このような体制のもとで、ストリームがDCF法の算定の基礎とした本事業計画を策定しており、本事業計画の策定過程において、公開買付関連当事者及び公開買付関連当事者と利害関係のある者による関与はありません。
以上の取扱いを含めて、当社における本取引の検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会における確認を受けております。
⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間を、法令で定められた最短期間が20営業日であるところ、当該期間よりも長期の39営業日に設定しているとのことです。このように公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することで、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を提供するとともに、当社株式に対する対抗的買収提案者にも買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者は、当社との間で、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、当社が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することを制限するような合意は行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項
① 本応募・不応募合意
公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、野澤氏の資産管理会社であるカツコーポレーションとの間で、2025年8月29日付で、(ⅰ)カツコーポレーション(所有株式数:3,090,000株、所有割合:33.93%)が所有する当社株式のうち本応募合意株式(カツコーポレーション)(257,486株、所有割合:2.83%)を本公開買付けに応募し、残りの本不応募合意株式(カツコーポレーション)(2,832,514株、所有割合:31.10%)を本公開買付けに応募しない旨及び(ⅱ)本公開買付けが成立した場合には、本不応募合意株式(カツコーポレーション)に係る議決権の行使として、本株式併合の承認を含む本スクイーズアウト手続に関連する各議案に賛成する旨を、口頭で合意しているとのことです。
なお、本応募・不応募合意を除き、公開買付者とカツコーポレーションとの間で本公開買付けに関する合意は存在せず、本応募合意株式(カツコーポレーション)に係る対価及び本株式交換により交付される公開買付者の株式以外に、本取引に関して公開買付者からカツコーポレーションに対して付与される利益はないとのことです(なお、本株式交換の株式交換比率については、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」の注6をご参照ください。)。
② 本不応募合意
公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、野澤氏との間で、2025年8月29日付で、(ⅰ)本不応募合意株式(野澤氏)(203,784株、所有割合:2.24%)について本公開買付けに応募しない旨及び(ⅱ)本公開買付けが成立した場合には、不応募合意株式(野澤氏)に係る議決権の行使として、本株式併合の承認を含む本スクイーズアウト手続に関連する各議案に賛成する旨を、口頭で合意しているとのことです。
なお、本不応募合意を除き、公開買付者と野澤氏との間で本公開買付けに関する合意は存在せず、本株式交換により交付される公開買付者の株式以外に、本取引に関して公開買付者から野澤氏に対して付与される利益はないとのことです(なお、本株式交換の株式交換比率については、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」の注6をご参照ください。)。
| 氏名 | 役職名 | 所有株式数(株) | 議決権の数(個) |
|---|---|---|---|
| 野澤 克巳 | 代表取締役会長兼社長 | 203,784 | 2,037 |
| 岩本 一也 | 取締役 | 42,200 | 422 |
| 樋口 弘司 | 取締役 管理部長 | 32,500 | 325 |
| 野澤 竹志 | 取締役 | 46,500 | 465 |
| 郷倉 正人 | 取締役 | 0 | 0 |
| 園川 勝美 | 常勤監査役 | 0 | 0 |
| 野澤 二三朝 | 監査役 | 93,072 | 930 |
| 柳岡 茂 | 監査役 | 0 | 0 |
| 計 | ― | 418,056 | 4,179 |
(注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役郷倉正人は、社外取締役であります。
(注3) 常勤監査役園川勝美及び監査役柳岡茂は、社外監査役であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
以 上
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