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OncoTherapy Science, Inc.

Quarterly Report Aug 8, 2022

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 第1四半期報告書_20220805171919

【表紙】

【提出書類】 四半期報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条の4の7第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2022年8月8日
【四半期会計期間】 第22期第1四半期(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)
【会社名】 オンコセラピー・サイエンス株式会社
【英訳名】 OncoTherapy Science, Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長  嶋田 順一
【本店の所在の場所】 神奈川県川崎市高津区坂戸三丁目2番1号
【電話番号】 044-820-8251
【事務連絡者氏名】 管理本部長 二之宮 修
【最寄りの連絡場所】 神奈川県川崎市高津区坂戸三丁目2番1号
【電話番号】 044-820-8251
【事務連絡者氏名】 管理本部長 二之宮 修
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

E05363 45640 オンコセラピー・サイエンス株式会社 OncoTherapy Science, Inc. 企業内容等の開示に関する内閣府令 第四号の三様式 Japan GAAP true CTE 2022-04-01 2022-06-30 Q1 2023-03-31 2021-04-01 2021-06-30 2022-03-31 1 false false false E05363-000 2022-08-08 jpcrp_cor:OrdinaryShareMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:SharesWithNoVotingRightsMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:SharesWithRestrictedVotingRightsTreasurySharesEtcMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:SharesWithRestrictedVotingRightsOtherMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:SharesWithFullVotingRightsTreasurySharesEtcMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:SharesWithFullVotingRightsOtherMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:OrdinarySharesSharesWithFullVotingRightsOtherMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:SharesLessThanOneUnitMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:OrdinarySharesSharesLessThanOneUnitMember E05363-000 2022-06-30 jpcrp_cor:Row1Member E05363-000 2022-04-01 2022-06-30 jpcrp040300-q1r_E05363-000:CancerPrecisionMedicalBusinessReportableSegmentsMember E05363-000 2022-04-01 2022-06-30 jpcrp040300-q1r_E05363-000:ResearchAndDevelopmentOfPharmaceuticalProductsReportableSegmentsMember E05363-000 2022-04-01 2022-06-30 jpcrp_cor:ReconcilingItemsMember E05363-000 2022-04-01 2022-06-30 jpcrp_cor:ReportableSegmentsMember E05363-000 2021-04-01 2021-06-30 jpcrp_cor:ReconcilingItemsMember E05363-000 2021-04-01 2021-06-30 jpcrp_cor:ReportableSegmentsMember E05363-000 2021-04-01 2021-06-30 jpcrp040300-q1r_E05363-000:CancerPrecisionMedicalBusinessReportableSegmentsMember E05363-000 2021-04-01 2021-06-30 jpcrp040300-q1r_E05363-000:ResearchAndDevelopmentOfPharmaceuticalProductsReportableSegmentsMember E05363-000 2022-08-08 E05363-000 2022-06-30 E05363-000 2022-04-01 2022-06-30 E05363-000 2021-06-30 E05363-000 2021-04-01 2021-06-30 E05363-000 2022-03-31 E05363-000 2021-04-01 2022-03-31 iso4217:JPY iso4217:JPY xbrli:shares xbrli:shares xbrli:pure

 第1四半期報告書_20220805171919

第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

|     |     |     |     |     |

| --- | --- | --- | --- | --- |
| 回次 | | 第21期

第1四半期

連結累計期間 | 第22期

第1四半期

連結累計期間 | 第21期 |
| 会計期間 | | 自 2021年4月1日

至 2021年6月30日 | 自 2022年4月1日

至 2022年6月30日 | 自 2021年4月1日

至 2022年3月31日 |
| 事業収益 | (千円) | 93,183 | 385,703 | 1,153,663 |
| 経常損失 | (千円) | △571,509 | △314,093 | △2,071,783 |
| 親会社株主に帰属する

四半期(当期)純損失 | (千円) | △534,929 | △277,799 | △2,571,541 |
| 四半期包括利益又は包括利益 | (千円) | △534,929 | △277,799 | △2,571,541 |
| 純資産額 | (千円) | 3,200,978 | 1,669,297 | 1,980,233 |
| 総資産額 | (千円) | 3,595,376 | 2,042,544 | 2,685,199 |
| 1株当たり

四半期(当期)純損失 | (円) | △3.00 | △1.44 | △13.72 |
| 潜在株式調整後1株当たり

四半期(当期)純利益 | (円) | - | - | - |
| 自己資本比率 | (%) | 87.6 | 79.3 | 70.6 |

(注)1.当社は四半期連結財務諸表を作成しておりますので、提出会社の主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり四半期(当期)純利益につきましては、潜在株式は存在するものの、1株当たり四半期(当期)純損失を計上しているため記載しておりません。  

2【事業の内容】

当第1四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)において営まれている事業の内容について重要な変更はありません。

また、主要な関係会社についても異動はありません。 

 第1四半期報告書_20220805171919

第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

(1)継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取り組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。

このようなことから、当第1四半期連結会計期間末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当第1四半期連結会計期間末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当第1四半期連結会計期間末現在で、現金及び預金を1,505百万円有しており、当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

当社グループの当該重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対策案は、次のとおりであります。

① 基礎研究の継続的な実施

当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。

基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図ってゆく方針であります。

② 創薬研究の確実な推進

当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。

③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進

当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、各提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させてゆく方針です。

④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進

当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。

⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み

がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究や事業化に加えて、ネオアンチゲン樹状細胞療法やTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究開発を進めて参ります。

⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。

この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあります。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起因とした当社グループ事業に対する具体的な影響は軽微でありますが、当該事象の終息時期を見通すことができず、今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況にあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。

事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。

事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。

最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただ、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。また、必要に応じて資金調達等を実施することも検討していきます。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当第1四半期連結累計期間における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を進展させるとともに、後期臨床開発を目指したがん幹細胞維持に重要なリン酸化酵素(キナーゼ)であるMELKを標的としたOTS167の臨床試験を米国並びに日本国内で、がん治療用抗体医薬OTSA101の臨床試験を日本国内で実施する等、当社グループ独自で実施している臨床開発の推進に加え、提携先製薬企業との戦略的対話をより促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強力に推し進めて参りました。さらにはがんプレシジョン医療関連事業として、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業化を進めて参りました。また、ネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究も行っております。

これらの結果、当第1四半期連結会計期間末の総資産は、2,042百万円(前連結会計年度末比642百万円減少)となりました。内訳としては、流動資産は1,957百万円(同 642百万円減少)となりました。これは現金及び預金が330百万円減少したことが主な要因となっております。投資その他の資産は84百万円(同 増減なし)となりました。

負債の合計は373百万円(前連結会計年度末比331百万円減少)となりました。内訳としては、流動負債は272百万円(同 331百万円減少)となりました。これは、未払金が225百万円減少、未払法人税等が102百万円減少したことが主な要因となっております。固定負債は100百万円(同 0百万円増加)となりました。

純資産は、1,669百万円(前連結会計年度末比310百万円減少)となりました。これは、利益剰余金が277百万円減少、新株予約権が33百万円減少したことが主な要因となっております。

当第1四半期連結累計期間における連結事業収益につきましては、解析サービス等による収入や契約一時金等の受領により、385百万円(前期比292百万円増加)となりました。

また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による研究開発費用の計上、がんプレシジョン医療関連事業に関する売上原価の計上を主な要因として、連結営業損失は307百万円(前期は571百万円の損失)、連結経常損失は314百万円(前期は571百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は277百万円(前期は534百万円の損失)となりました。

セグメント別経営成績は、次のとおりであります。

a. 「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業

契約一時金等の受領により、事業収益は5百万円(前期比0百万円減少)となりました。また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による研究開発費用の計上を主な要因として、営業損失215百万円(前期は431百万円の損失)となりました。

なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「(4)研究開発活動 (a)「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」をご覧ください。

b. がんプレシジョン医療関連事業

解析サービス等による収入の受領により、事業収益は380百万円(前期比284百万円増加)となりました。また、遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、リキッドバイオプシー、TCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスに関する研究開発費及び売上原価の計上を主な要因として、営業利益9百万円(前期は33百万円の損失)となりました。

なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「(4)研究開発活動 (b)がんプレシジョン医療関連事業」をご覧ください。

(2)事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題に重要な変更はありません。

(3)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。

(4)研究開発活動

当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は233百万円であります。

当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既にがん治療薬開発に適した多くの標的分子を同定(※1)しております。また、それらの標的に対し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の、各領域における創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補物質も複数有しております。

このような、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業に加えて、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。

がんは遺伝子の異常により引き起こされる病気です。がん細胞での遺伝子の網羅的な解析は、がんの診断及びがん治療薬・治療法を選択するために非常に重要です。この解析を利用して、がんの早期診断や、がん患者さん一人ひとりの遺伝子情報に基づいた治療薬・治療法の選択をすることや新規の免疫療法につなげていくことをがんプレシジョン医療といい、近年、より効果的ながん治療をがん患者さんに提供できる手段として注目されています。

当社は、次世代シーケンス解析(※2)サービスを世界的に行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。)との資本・業務提携により、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立し、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。

具体的な「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業及びがんプレシジョン医療関連事業の内容については、以下(a)及び(b)のとおりでございます。

なお、2022年6月30日現在、当社は全世界で528件の特許を取得しております。

(a)「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業

<基礎研究領域>

創薬ターゲットの特定等を行う基礎研究領域においては、ヒト全遺伝子の遺伝子発現パターンを網羅的に検索できるcDNA(※3)マイクロアレイ(※4)のシステムによる大腸がん、胃がん、肝臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、食道がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、腎臓がん、膀胱がん及び軟部肉腫等について発現解析が終了しております。これらの発現解析情報からがんで発現が高く正常臓器では発現がほとんどない遺伝子を選択し、さらに機能解析により、がん細胞の生存に必須な多数の遺伝子を分子標的治療薬(※5)の標的として同定しております。

<創薬研究領域>

医薬品候補物質の同定及び最適化を行う創薬研究領域においては、医薬品の用途毎に、より製品に近い研究を積極的に展開しております。

低分子医薬につきましては、複数のがん特異的タンパク質を標的とする創薬研究を進めております。そのうち1種の標的であるリン酸化酵素(キナーゼ)(※6)については、医薬品候補化合物の臨床試験を実施中です(詳細は、別記「<医薬開発領域>(ⅰ)低分子医薬」をご参照ください。)。他のリン酸化酵素については、これまでに得た高活性化合物に基づきリード最適化(※7)を進め、in vivo(※8)で強力な腫瘍増殖抑制効果を示す複数の高活性化合物を同定しております。これらにつき、医薬品候補化合物として臨床開発するための薬効薬理(※9)・薬物動態(※10)・毒性試験を進めております。さらに、別の3種の標的酵素タンパク質に関して、これまでに得た高活性化合物のうちin vivoで有意な腫瘍増殖抑制効果を示す化合物の構造に基づき、薬効向上のためのさらなるリード最適化を実施中です。また、さらに別の2種の標的酵素タンパク質に関して、これまでに得た高活性化合物に基づき、リード化合物(※7)の獲得に向けた新規化合物合成と構造活性相関研究を進めております。

がんペプチドワクチンにつきましては、これまでに日本人及び欧米人に多く見られるHLA(※11)-A*24:02及びA*02:01を中心に、大腸がん、胃がん、肺がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、乳がん及び肝臓がん等を標的とした計43遺伝子を対象としたエピトープペプチド(※12)を既に同定しておりますが、それら以外にもA*11:01, A*33:03, A*01:01及びA*03:01等、様々なHLAに対応したより多くのエピトープペプチドを同定しております。

このように、独創的な分子標的治療薬の創製を目指した創薬研究を積極的に展開しております。

これらに加えて、当社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染制御及び重症化の抑制を目指したペプチドワクチンの研究開発に着手しております。

<医薬開発領域>

医薬開発領域においては、当社グループ独自での開発及び複数の製薬企業との提携による開発を、以下の通りそれぞれ進めております。

(ⅰ)低分子医薬

がん幹細胞の維持に重要なリン酸化酵素(キナーゼ)であるMELK(Maternal Embryonic Leucine zipper Kinase)を標的としたOTS167については、乳がんに対する第Ⅰ相臨床試験を米国ならびに日本国内で実施しております。この臨床試験は、トリプルネガティブ乳がん(※13)を含む乳がんの患者さんを対象とし、OTS167のカプセル剤による経口投与における安全性及び推奨投与量の確認を主目的とし、副次的にトリプルネガティブ乳がんに対する臨床上の有効性を確認するものです。なお、米国で実施しておりました急性骨髄性白血病に対する第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験は患者登録が終了し、OTS167の静脈内反復投与における安全性が確認されています。また、オーストラリアで実施しておりました健常成人を対象とした経口投与による消化管吸収性(バイオアベイラビリティ)の確認を主たる目的とする臨床試験において、ヒトでの良好な経口吸収性が確認されています。

OTS167の標的であるMELKは、がん幹細胞に高発現し、その維持に重要な役割をしているリン酸化酵素(キナーゼ)です。OTS167は、そのキナーゼを阻害し、強い細胞増殖抑制効果が期待できる新しい作用機序(ファースト・イン・クラス)の分子標的治療薬であり、すでに動物試験において、肺がん、前立腺がん、乳がん、膵臓がん等に対し、強力な抗腫瘍効果が確認されています。

また、細胞分裂に重要ながん特異的新規標的分子(TOPK)に対する複数の最終化合物を同定しております。動物実験で、顕著な結果が得られたことから、製剤化検討及び非臨床試験を進めております。

(ⅱ)がんペプチドワクチン

がんペプチドワクチンにつきましては、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化して参りました。

当社が塩野義製薬株式会社にライセンスアウトしているがん特異的ペプチドワクチンS-588410について、食道がん患者さんを対象とした第Ⅲ相臨床試験を塩野義製薬株式会社が実施し、完了いたしました。本試験の主要評価項目である無再発生存期間(RFS)に関して、S-588410群とプラセボ群の比較では、S-588410群におけるRFS延長について統計学的な有意差は認められませんでした。一方で、食道がん発生部位別あるいはリンパ節転移グレード別の探索的な部分集団解析では、S-588410投与により一定の発生部位の患者さん集団で全生存期間(OS)が有意に延長され、またリンパ節転移が多い患者さん集団ではRFSやOSの改善が認められる傾向を確認しております。また、副次評価項目のひとつである細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導に関してはS-588410投与により高い誘導率が確認され、主な副作用は注射部位の皮膚反応であり、重篤な皮膚反応は認められませんでした。本試験で得られた結果については更に詳細な解析を行い、今後のがんペプチドワクチン開発方針の一助にする予定であります。今後の開発計画については、契約締結先である塩野義製薬株式会社と協議を継続して参ります。なお、塩野義製薬株式会社は、S-588410の食道がん第Ⅲ相臨床試験のほか、膀胱がんを対象としたS-588410について日欧で第Ⅱ相臨床試験を完了しており、頭頸部がんを対象としたS-488210は欧州で第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を、また、固形がんを対象としたS-588210は英国で第Ⅰ相臨床試験を、それぞれ実施しております。

また、シンガポールのNUH(National University Hospital)並びに韓国のYonsei University Health System, Severance Hospitalにて、胃がんを対象としたがんペプチドカクテルワクチンOTSGC-A24と免疫チェックポイント阻害剤(※14)オプジーボの併用第I相試験を、医師主導治験として実施しております。

上記以外にも、複数の企業に対してがん治療用ペプチドワクチンに関する開発・製造・販売権を供与しております。

(ⅲ)抗体医薬

がん治療用抗体医薬OTSA101については、日本における滑膜肉腫に対する第Ⅰ相臨床試験を実施しております。本試験は、難治性又は再発性の滑膜肉腫患者を対象に、放射性同位元素を結合したOTSA101投与における安全性及び体内薬物動態の確認を主たる目的とするものです。

また、当社連結子会社であるイムナス・ファーマ株式会社が協和キリン株式会社にライセンスアウトしております抗アミロイドβ(Aβ)ペプチド抗体KHK6640については、協和キリン株式会社が、アルツハイマー型認知症に対する第Ⅰ相臨床試験を欧州及び日本にて実施しております。

(b)がんプレシジョン医療関連事業

<がんプレシジョン医療への取組み>

(ⅰ)がん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う合弁会社設立

当社の子会社であるCPM社は、日本におけるがんプレシジョン医療を加速するため、がん遺伝子解析及び免疫解析に基づく臨床検査並びに研究受託を製薬企業、医療機関、研究機関等に対して提供しております。また、CPM社は当社の事業部門であり、オンコアンチゲン(※15)をはじめとしたがん免疫療法の研究開発及びT/B細胞受容体(TCR/BCR)レパトア解析(※16)サービスを行っていた腫瘍免疫解析部の事業を継承しております。具体的な検査及び解析事業は以下の通りです。

(ⅱ)全ゲノムシーケンス解析

全ゲノムシーケンス解析は、ゲノムの全域を対象に遺伝子情報を解析する手法です。従来実施している全エクソームシーケンス解析は、タンパク質を作る情報を持つ遺伝子の部分を集中的に解読するもので、その領域はゲノム全体の約2%に相当します。そのため全エクソームシーケンス解析は高効率、低コストで実施できますが、がん細胞でしばしば見られるゲノムの大規模な入れ替わりや欠如などの変異を検出するのは難しいとされています。これに対し、全ゲノムシーケンス解析はこれらの変異も検出することができるため、より包括的な情報を取得することができます。

2022年3月期に、厚生労働省による「全ゲノム解析等実行計画」に基づく事業、全ゲノム解析を日常診療へ取り入れることを目的に計画された全ゲノムシーケンス解析の一部について受注を獲得いたしました。また、公益財団法人がん研究会(以下「がん研」という。)有明サテライトラボ内にCPM社の有明サテライトラボを事業所として開設しており、今後も継続的に大規模遺伝子解析業務へ参画して参ります。

(ⅲ)ネオアンチゲン解析ならびにネオアンチゲン樹状細胞療法(※17)

ネオアンチゲン解析は、がん細胞に生じた体細胞変異に由来し、免疫細胞の標的となる新生抗原(ネオアンチゲン)を解析する手法です。

当社は、大阪、福岡、東京を拠点とする3医療法人(医療法人協林会 大阪がん免疫化学療法クリニック、医療法人慈生会 福岡がん総合クリニック及び医療法人社団ビオセラ会 ビオセラクリニック)からなる樹状細胞免疫療法懇話会(DCワクチンコンソーシアム)と、当社がライセンスを保有するペプチドワクチンについて、その非独占的実施権をDCワクチンコンソーシアムに供与し、樹状細胞療法によるがん治療法の研究・開発を共同で進めております。この共同研究により、当社及びCPM社が支援する、がん臨床領域でのプレシジョン医療の実施において、オンコアンチゲンやネオアンチゲンを利用した免疫療法に大きな役割を果たすと考えております。

また、CPM社はがん研とネオアンチゲン予測アルゴリズム(全自動化パイプラインを含む)に関わる共同研究を実施しております。この共同研究は個別化がん免疫療法のために正確なネオアンチゲン予測アルゴリズムの開発と関連技術の改良を目的とするもので、シーケンスデータからネオアンチゲン予測用コンピュータアルゴリズムの開発及び評価、全自動化したネオアンチゲン予測パイプラインの開発、並びに予測されたネオアンチゲンについて樹状細胞療法の治療効果に関わる科学的検証を共同で行っております。

更に、CPM社はコスモ・バイオ株式会社と、がん免疫療法のためのペプチド合成に関する委受託契約を締結しております。がん細胞に生じた体細胞変異に由来する新生抗原(ネオアンチゲン)は、正常細胞には発現していません。そのため、非自己の抗原として非常に強い免疫反応を引き起こすと考えられています。ネオアンチゲン由来のペプチドを利用する樹状細胞療法は、ネオアンチゲン樹状細胞療法と呼ばれています。ネオアンチゲン解析により得られた結果に基づき、ペプチド合成をコスモ・バイオ株式会社に委託してがん免疫療法におけるペプチド合成期間の短縮を図るとともに、CPM社が行うがん検体を用いたネオアンチゲン解析サービスに、コスモ・バイオ株式会社が合成したペプチドをCPM社から医療機関ならびに研究機関に提供するサービスを付加したものを、パッケージ化して提供しています。

(ⅳ)リキッドバイオプシー(パネル解析、デジタルPCR法、cfDNA定量検査)

シーケンス技術の進展により血液や尿等の液体(リキッド)を利用して、がんの存在を見つけることができるようになりました。この液体を利用して調べる方法を、リキッドバイオプシーと呼び、CT等の画像診断よりも早く、再発を見つけることができる可能性があります。また、がん組織を採取することは患者さんに大きな負担となり、合併症の危険を伴いますが、リキッドバイオプシーは、負担が軽いので頻回に検出を行うことができます。

CPM社は、がん研とリキッドバイオプシーによるがん遺伝子変異の検出に係る共同研究を実施しております。この共同研究は、固形がん(肺がん、大腸がん、乳がん等)の診断を目的として、がん遺伝子変異を検出するためのリキッドバイオプシー技術の改良、新規技術(新規遺伝子パネルを含む)の研究開発を共同で実施し、それらの臨床応用可能性を探求するもので、固形がん患者から採取した血液等を利用した、がん研独自技術を含むリキッドバイオプシーの評価、がんのスクリーニング、分子標的治療薬の選択、再発のモニタリング等におけるリキッドバイオプシー技術の課題抽出とそれらの解決法の検討を共同で行っております。

(ⅴ)免疫反応解析(ELISPOT解析、MHCテトラマー解析、TCR/BCRレパトア解析)

免疫反応解析はがんや自己免疫疾患、感染症、アレルギーなどの様々な疾患において、抗原特異的免疫応答を解析するために幅広く利用されています。CPM社は免疫反応解析にかかる複数の解析技術を有し、「申請資料の信頼性の基準(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第43条)」に準拠した試験にも対応しており、企業治験における解析試験の受託も行っております。

(ⅵ)その他臨床検査および受託解析サービス

CPM社は上記(ⅱ)~(ⅴ)の他、ヒトゲノムのうちタンパク質を翻訳するエクソン領域(エクソーム)を解析する全エクソームシーケンス解析、細胞中に存在する全てのmRNA(遺伝子転写産物)の配列および発現量を解析するRNAシーケンス解析、単一細胞レベルでの遺伝子発現プロファイルを取得するシングルセルRNAシーケンス解析、微生物ゲノムを解析するメタゲノムシーケンス解析等を提供しております。

[用語解説]

(※1)同定

ある物質の正体を特定すること。例えば、細胞の中からある現象に関係する分子を選り分けて取り出しその種類を特定することや、多数の化合物群を含むライブラリの中から望ましい活性を持つ化合物を見つけてその種類を特定すること等は、そのような分子や化合物を「同定する」と呼ばれます。

(※2)次世代シーケンス解析

数千万、数億のDNA断片の塩基配列を高速に決定することができる基盤技術です。

(※3)mRNA、cDNA、RNA

RNAはリボ核酸、mRNAはRNAのうち、メッセンジャーすなわち「伝令」の役割をするものであります。人間の体は約60兆個の細胞によって作られていますが、体の構造や働きはおもにタンパク質によって決まっております。そのタンパク質の設計図は遺伝子であり、そして、遺伝子の本体はDNAであります。このDNAは細胞の核の中にある染色体に存在しておりますが、タンパク質は設計図であるDNAから直接作られるのではなく、一旦、DNAからRNAが作られ、そのRNAが翻訳されてタンパク質となります。この一旦作られるRNAを「伝令」すなわちメッセンジャーRNA(mRNA)といいます。つまり、遺伝子情報の流れはDNA→mRNA→タンパク質というようになっております。cDNAは、mRNAから逆転写酵素を用いた逆転写反応によって合成されたDNAで、イントロンを含まない状態の遺伝子(塩基配列)を知ることができることから、遺伝子のクローニングに広く利用されております。

(※4)マイクロアレイ

小さな基盤上に非常に高密度にDNAを配置し、それらを手がかりに大量の遺伝子情報を獲得することを目的として開発されたシステム。

(※5)分子標的治療薬

ある分子に作用することがわかっている低分子化合物や抗体等を選択することによって作られ、疾患に関係がある細胞だけに働きかける機能を持った新しいタイプの治療薬のこと。従来の治療薬に比べて効果が高くかつ副作用が少ないとされ、近年、がん治療等で注目されております。

(※6)リン酸化酵素(キナーゼ)

化学反応を触媒するタンパク質は、「酵素」と呼ばれます。酵素のうち、反応の対象となる分子(「基質」)へのリン酸の付加(「リン酸化」)を触媒するものが、「リン酸化酵素(キナーゼ)」(kinase)です。特に、基質がタンパク質であるリン酸化酵素は、タンパク質リン酸化酵素(protein kinase)と呼ばれます。タンパク質の中には、リン酸化されることによってはじめて活性化するものが多くあります。活性化したタンパク質は、細胞レベルでの様々な現象の生起に関与することになります。がん細胞においては、正常細胞では不活発なタンパク質リン酸化酵素が活発化し、それによってリン酸化されて活性化したタンパク質が、異常な細胞増殖の発生に関与する場合があることが知られています。当社が創薬標的としているリン酸化酵素は、そのようなタンパク質リン酸化酵素です。

(※7)リード化合物、リード最適化

創薬研究で多数の化合物を探索する中で、標的タンパク質に対し十分な活性を有し、以降の新規化合物設計の原型(プロトタイプ)となるような化合物が得られた時、それを「リード化合物」(lead compound)と称します。リード化合物の化学構造を様々に修飾して生体内での効果を高めていき、開発候補化合物を獲得するまでの過程が、「リード最適化」(lead optimization)です。

(※8)in vivo

in vitroと対比的に用いられ、「体の中で」を意味する医学・化学用語です。一般に生体内(主に実験動物)での実験的検証を意味します。

(※9)薬効薬理

薬が、その効果(薬効)を発揮する際に生体に対して及ぼす作用の様相(薬理)が、「薬効薬理」(pharmacology)です。例えば、がん細胞を移植したマウスに薬を投与して抗腫瘍効果の現れ方を調べる試験は、「薬効薬理試験」の一種です。

(※10)薬物動態

薬物は、生体に投与された時、吸収・分配・代謝・排泄の過程を経て、体内での存在状態を時間的に変化させていきます。その変化の様子のことを、「薬物動態」(pharmacokinetics)と呼びます。薬物動態を調べるために、例えば、血中の薬物濃度を経時的に測定する等の試験を行ないます。薬物動態の理解は、薬を効果的に作用させるのに必要な投与量や投与法、投与スケジュール等を検討するために役立ちます。

(※11)HLA

免疫の活性化に関与する分子(ヒト白血球抗原)です。断片化されたペプチドを挟んだ状態で細胞の表面に出てくることで、ペプチド(抗原)を提示します。このHLAに挟まった状態のペプチドを免疫細胞が認識し、免疫反応が誘導されます。

(※12)エピトープペプチド

細胞の表面に出てくる断片化されたタンパク質(ペプチド)です。細胞表面のペプチドが目印となり、そのペプチドを発現しているがん細胞を免疫細胞が認識し攻撃します。

(※13)トリプルネガティブ乳がん

HER2及びホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)が陰性の乳がん。そのため、HER2に対する分子標的薬(ハーセプチン等)やホルモン療法の対象にならない。

(※14)免疫チェックポイント阻害剤

がん細胞は免疫抑制分子を作り出し、免疫細胞の機能を抑制し、免疫細胞からの攻撃を逃れる仕組みを持っています。免疫チェックポイント阻害剤は、免疫抑制分子に結合し、免疫細胞の機能抑制を解除する抗体です。これによって、免疫細胞ががん細胞を攻撃するようになります。

(※15)オンコアンチゲン

がん細胞において発現の上昇が認められる一方、正常細胞ではほとんど発現が認められず、がん細胞の生存や増殖に必須の機能を持ち、さらに免疫反応を引き起こす抗原性を有するタンパクです。このタンパクに由来するペプチドを用いると、がん細胞を傷害する活性化されたT細胞を誘導することができます。

(※16)T/B細胞受容体(TCR/BCR)レパトア解析

リンパ球の一種であるT細胞やB細胞の細胞表面に発現している受容体の塩基配列を網羅的に取得し解析する技術です。これら受容体が他の細胞表面に出ている目印(抗原)を認識し、攻撃(免疫反応誘導)します。

(※17)樹状細胞療法

がん細胞由来の抗原を提示した樹状細胞(免疫細胞の一種、がん細胞のような異物を細胞内に取り込み、取り込んだ細胞由来のタンパク質断片を細胞表面に出し、他の免疫細胞に提示することで免疫反応を誘導します)を大量に調製し、体内へ投与する治療法です。がん細胞を認識するT細胞が効率よく誘導され、抗腫瘍効果を発揮することが期待されます。 

3【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。 

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第3【提出会社の状況】

1【株式等の状況】

(1)【株式の総数等】

①【株式の総数】
種類 発行可能株式総数(株)
普通株式 385,000,000
385,000,000
②【発行済株式】
種類 第1四半期会計期間末現在発行数(株)

(2022年6月30日)
提出日現在発行数

(株)

(2022年8月8日)
上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名 内容
普通株式 192,643,700 192,643,700 東京証券取引所

 グロース市場
単元株式数は100株であります。
192,643,700 192,643,700

(注) 提出日現在の発行数には、2022年8月1日からこの四半期報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。 

(2)【新株予約権等の状況】

①【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。 

②【その他の新株予約権等の状況】

該当事項はありません。 

(3)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】

該当事項はありません。 

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日 発行済株式総数増減数

(株)
発行済株式総数残高

(株)
資本金増減額

(千円)
資本金残高

(千円)
資本準備金増減額(千円) 資本準備金残高(千円)
2022年4月1日~

2022年6月30日
192,643,700 789,114 14,209,941

(5)【大株主の状況】

当四半期会計期間は第1四半期会計期間であるため、記載事項はありません。 

(6)【議決権の状況】

①【発行済株式】
2022年6月30日現在
区分 株式数(株) 議決権の数(個) 内容
無議決権株式
議決権制限株式(自己株式等)
議決権制限株式(その他)
完全議決権株式(自己株式等)
完全議決権株式(その他) 普通株式 192,627,000 1,926,270
単元未満株式 普通株式 16,700
発行済株式総数 普通株式 192,643,700
総株主の議決権 1,926,270

(注) 当第1四半期会計期間末日現在の「発行済株式」については、株主名簿の記載内容が確認できないため、記載することができないことから、直前の基準日(2022年3月31日)に基づく株主名簿による記載をしております。 

②【自己株式等】
2022年6月30日現在
所有者の氏名又は名称 所有者の住所 自己名義所有株式数(株) 他人名義所有株式数(株) 所有株式数の合計(株) 発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)

2【役員の状況】

該当事項はありません。

なお、当第1四半期連結累計期間終了後、次のとおり役員の異動を行っております。

役職の異動

新役職名 旧役職名 氏名 異動年月日
代表取締役社長 取締役 嶋田 順一 2022年7月1日
取締役

Chief Scientific Officer
代表取締役社長 朴 在賢 2022年7月1日

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第4【経理の状況】

1.四半期連結財務諸表の作成方法について

当社の四半期連結財務諸表は、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(平成19年内閣府令第64号)に基づいて作成しております。

2.監査証明について

当社は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、第1四半期連結会計期間(2022年4月1日から2022年6月30日まで)及び第1四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年6月30日まで)に係る四半期連結財務諸表について、やまと監査法人により四半期レビューを受けております。

1【四半期連結財務諸表】

(1)【四半期連結貸借対照表】

(単位:千円)
前連結会計年度

(2022年3月31日)
当第1四半期連結会計期間

(2022年6月30日)
資産の部
流動資産
現金及び預金 1,836,906 1,505,994
売掛金 399,747 164,655
仕掛品 107,941 51,044
原材料及び貯蔵品 123,101 86,909
前渡金 19,090 7,436
その他 113,764 141,873
流動資産合計 2,600,551 1,957,913
固定資産
有形固定資産
建物 568,281 568,281
減価償却累計額及び減損損失累計額 △568,281 △568,281
建物(純額)
機械及び装置 65,503 65,503
減価償却累計額及び減損損失累計額 △65,503 △65,503
機械及び装置(純額)
工具、器具及び備品 1,161,040 1,161,791
減価償却累計額及び減損損失累計額 △1,161,022 △1,161,791
工具、器具及び備品(純額) 17
有形固定資産合計 17
投資その他の資産
差入保証金 84,630 84,630
投資その他の資産合計 84,630 84,630
固定資産合計 84,648 84,630
資産合計 2,685,199 2,042,544
(単位:千円)
前連結会計年度

(2022年3月31日)
当第1四半期連結会計期間

(2022年6月30日)
負債の部
流動負債
未払金 422,113 196,651
契約負債 22,268 2,307
未払法人税等 136,533 34,133
その他 24,008 39,837
流動負債合計 604,923 272,930
固定負債
繰延税金負債 338 324
資産除去債務 99,703 99,992
固定負債合計 100,041 100,316
負債合計 704,965 373,247
純資産の部
株主資本
資本金 789,114 789,114
資本剰余金 24,793,617 24,793,617
利益剰余金 △23,686,179 △23,963,978
株主資本合計 1,896,553 1,618,753
新株予約権 83,680 50,543
純資産合計 1,980,233 1,669,297
負債純資産合計 2,685,199 2,042,544

(2)【四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書】

【四半期連結損益計算書】
【第1四半期連結累計期間】
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間

(自 2021年4月1日

 至 2021年6月30日)
当第1四半期連結累計期間

(自 2022年4月1日

 至 2022年6月30日)
事業収益 93,183 385,703
事業費用
売上原価 76,686 339,261
研究開発費 467,843 233,591
販売費及び一般管理費 120,170 120,202
事業費用合計 664,700 693,056
営業損失(△) △571,517 △307,352
営業外収益
受取利息 63
助成金収入 389
その他 0
営業外収益合計 452
営業外費用
株式交付費 137
為替差損 307 6,740
営業外費用合計 444 6,740
経常損失(△) △571,509 △314,093
特別利益
固定資産売却益 49
新株予約権戻入益 47,853 37,755
特別利益合計 47,902 37,755
特別損失
減損損失 11,036 751
特別損失合計 11,036 751
税金等調整前四半期純損失(△) △534,644 △277,089
法人税、住民税及び事業税 724 724
法人税等調整額 △439 △14
法人税等合計 284 710
四半期純損失(△) △534,929 △277,799
親会社株主に帰属する四半期純損失(△) △534,929 △277,799
【四半期連結包括利益計算書】
【第1四半期連結累計期間】
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間

(自 2021年4月1日

 至 2021年6月30日)
当第1四半期連結累計期間

(自 2022年4月1日

 至 2022年6月30日)
四半期純損失(△) △534,929 △277,799
四半期包括利益 △534,929 △277,799
(内訳)
親会社株主に係る四半期包括利益 △534,929 △277,799

【注記事項】

(追加情報)

(新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)

新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、当該事象の終息時期を見通すことができず、今後どの様な影響を受けるかを合理的に予測することが困難な状況ではありますが、当社グループ事業に対する具体的な影響は軽微であるとの仮定のもと、会計上の見積りを行っております。

(四半期連結キャッシュ・フロー計算書関係)

当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。なお、第1四半期連結累計期間に係る減価償却費(無形固定資産に係る償却費を含む。)は、次のとおりであります。

前第1四半期連結累計期間

(自 2021年4月1日

至 2021年6月30日)
当第1四半期連結累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年6月30日)
減価償却費 5,506千円 -千円
(株主資本等関係)

前第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)

1.配当金支払額

該当事項はありません。

2.基準日が当第1四半期連結累計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当第1四半期連結会計期間の末日後となるもの

該当事項はありません。

3.株主資本の金額の著しい変動

当社は、2021年4月1日から2021年6月30日の間に、大和証券株式会社から新株予約権の行使による払込みを受けました。この結果、当第1四半期連結累計期間において資本金が347,350千円、資本準備金が347,350千円増加し、当第1四半期連結会計期間末において資本金が397,350千円、資本剰余金が24,401,854千円となっております。

当第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)

1.配当金支払額

該当事項はありません。

2.基準日が当第1四半期連結累計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当第1四半期連結会計期間の末日後となるもの

該当事項はありません。

3.株主資本の金額の著しい変動

該当事項はありません。

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

前第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日)

1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報

(単位:千円)
報告セグメント 調整額

(注)1
四半期連結

損益計算書

計上額

(注)2
「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 がんプレシジョン医療関連事業 合計
売上高
外部顧客への売上高 5,875 87,307 93,183 93,183
セグメント間の内部売上高又は振替高 62 8,333 8,395 △8,395
5,938 95,640 101,579 △8,395 93,183
セグメント損失(△) △431,256 △33,193 △464,449 △107,068 △571,517

(注)1.セグメント損失(△)の調整額△107,068千円は、セグメント間取引消去325千円、各報告セグメントに配分していない全社費用△107,393千円であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント損失(△)は、四半期連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。

2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報

(固定資産に係る重要な減損損失)

当第1四半期連結累計期間において、がんプレシジョン医療関連事業に係る減損損失11,036千円を計上しております。 

当第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)

1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報

(単位:千円)
報告セグメント 調整額

(注)1
四半期連結

損益計算書

計上額

(注)2
「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 がんプレシジョン医療関連事業 合計
売上高
外部顧客への売上高 5,610 380,093 385,703 385,703
セグメント間の内部売上高又は振替高 55 55 △55
5,665 380,093 385,759 △55 385,703
セグメント利益又は損失(△) △215,473 9,271 △206,202 △101,150 △307,352

(注)1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△101,150千円は、セグメント間取引消去160千円、各報告セグメントに配分していない全社費用△101,311千円であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント利益又は損失(△)は、四半期連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。

2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報

(固定資産に係る重要な減損損失)

当第1四半期連結累計期間において、がんプレシジョン医療関連事業に係る減損損失751千円を計上しております。 

(収益認識関係)

顧客との契約から生じる収益を分解した情報

前第1四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年6月30日) (単位:千円)
「医薬品の研究及び開発」

並びにこれらに関連する事業
がんプレシジョン

医療関連事業
ライセンス契約等に基づく収入 5,875
解析サービス等による収入 87,307
顧客との契約から生じる収益 5,875 87,307
当第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日) (単位:千円)
「医薬品の研究及び開発」

並びにこれらに関連する事業
がんプレシジョン

医療関連事業
ライセンス契約等に基づく収入 5,610
解析サービス等による収入 380,093
顧客との契約から生じる収益 5,610 380,093
(1株当たり情報)

1株当たり四半期純損失及び算定上の基礎は、以下のとおりであります。

項目 前第1四半期連結累計期間

(自 2021年4月1日

至 2021年6月30日)
当第1四半期連結累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年6月30日)
1株当たり四半期純損失 3円00銭 1円44銭
(算定上の基礎)
親会社株主に帰属する四半期純損失(千円) 534,929 277,799
普通株主に帰属しない金額(千円)
普通株式に係る親会社株主に帰属する四半期純損失(千円) 534,929 277,799
普通株式の期中平均株式数(株) 178,209,219 192,643,700

(注)潜在株式調整後1株当たり四半期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり四半期純損失であるため、記載しておりません。 

(重要な後発事象)

該当事項はありません。

2【その他】

該当事項はありません。

 第1四半期報告書_20220805171919

第二部【提出会社の保証会社等の情報】

該当事項はありません。

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