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H.I.S. Co., Ltd.

Governance Information Mar 31, 2025

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 内部統制報告書_20250331160543

【表紙】

【提出書類】 内部統制報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条の4の4第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 2025年3月31日
【会社名】 株式会社エイチ・アイ・エス
【英訳名】 H.I.S. Co., Ltd.
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 矢田 素史
【最高財務責任者の役職氏名】 該当事項はありません。
【本店の所在の場所】 東京都港区虎ノ門四丁目1番1号
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

E04358 96030 株式会社エイチ・アイ・エス H.I.S. Co., Ltd. 財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令 第一号様式 1 false false false E04358-000 2025-03-31 xbrli:pure

 内部統制報告書_20250331160543

1【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】

当社代表取締役社長 矢田素史は、当社グループ(当社及び関係会社)の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しております。

当社グループは、企業会計審議会が公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、当社グループの財務報告における記載内容の適正性を担保するとともに、その信頼性を確保しております。

なお、内部統制は、財務報告の信頼性確保などの目的達成について、合理的な保証の提供をすることを意図したプロセスであります。従って、内部統制には、意思決定上の判断の誤り、複数の担当者の共謀、当初想定していなかった組織内外の環境の変化、非定型的な取引の発生、統制手続の費用対効果などの固有の限界があり、財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。  

2【評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項】

当社グループの財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2024年10月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠いたしました。

本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(以下では「全社的な内部統制」といいます。)の評価を行い、その結果を踏まえて評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。

財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社グループについて、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性、すなわち金額的及び質的影響の重要性の観点を考慮して、必要な範囲を財務報告に係る内部統制の評価範囲と決定いたしました。

業務プロセスに係る内部統制の評価の範囲については、当社グループを対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。業務プロセスに係る内部統制の評価の対象とした重要な事業拠点は、前連結会計年度の連結売上高(連結会社間取引消去後)の概ね3分の2程度の割合に達している事業拠点を「重要な事業拠点」として選定して、評価の範囲といたしました。

このようにして選定した重要な事業拠点においては、当社グループの事業目的に大きく関わる勘定科目、すなわち「売上高」、「売上原価」、「人件費」、「売掛金」、「営業未収入金」、「旅行前払金」、「営業未払金」、及び「旅行前受金」に至る業務プロセスを評価の対象としております。

さらに、財務報告への影響を勘案して、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている業務に係る業務プロセスについても、個別に評価の対象に追加いたしました。  

3【評価結果に関する事項】

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、当社代表取締役社長 矢田素史は、2024年10月31日現在における当社グループの財務報告に係る内部統制は有効ではないと判断いたしました。

当社は、2024年12月13日、当社の連結子会社における雇用調整助成金の不正受給の疑義、及び当社グループ全体における雇用調整助成金の受給に関する問題の有無を確認するため、特別調査委員会を設置し、調査を進めてまいりました。当社は、特別調査委員会から2025年3月21日に調査報告書を受領し、その結果、2020年10月期より2023年10月期において、連結子会社3社において雇用調整助成金の不正受給が行われていたことと、当社及び連結子会社14社において雇用調整助成金の不適正受給が行われていたこと(以下、「本件事案」といいます。)が判明いたしました。

当社は、これらを踏まえ、2020年10月期から2023年10月期の有価証券報告書及び2022年10月期第2四半期から2024年10月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。

雇用調整助成金の不正受給及び雇用調整助成金の不適正受給に至った原因及び内部統制上の不備として以下を識別しております。

①当社における全社的な内部統制の不備(当社の雇用調整助成金の不適正受給)

当社における雇用調整助成金の不適正受給は、当社内での制度の理解不足、雇用調整助成金の申請に対応する労務管理の不備、監査体制の甘さ、通報体制の機能不全が重なり発生したものと認識しております。顧客対応などの短時間の業務は勤務とみなさないという誤った認識があったため、特別休業日でも勤務実態があるにもかかわらず出勤記録を修正せず、日単位での助成金申請が行われました(統制環境の不備)。また、人事部門においても、現場の誤った勤怠管理について十分に監視・指導する体制が整っておらず、雇用調整助成金の受給ルールに関する理解を伴ったチェックも必ずしも十分に機能しておりませんでした(統制環境・モニタリングの不備)。内部監査においても、申請書類の整合性確認に留まり、実態との照合までは行わなかったため、不適正受給の発見にいたらず(モニタリングの不備)、さらに、通報制度に対する信頼が十分でなかったため、社内通報よりも監査法人への通報が先行する結果となりました(情報と伝達の不備)。

②当社における全社的な内部統制の不備(当社によるグループガバナンスの観点から)

当社においてはリスク・コンプライアンス委員会を設置しておりましたが、リスクの検討や分析が必ずしも十分に行われなかった結果、子会社における助成金申請に伴うリスクを十分に認識できておりませんでした(リスクの評価と対応の不備)。当社は子会社管理において各子会社の自主性を重視するという方針でしたが、これが結果的に子会社に対する管理不足を招いたものと認識しています。当社から子会社に派遣される役員も、複数の子会社を兼務することが多く、十分な監督が行き届かなかったという点や、一部の子会社においては経営陣が長年固定化され、親会社とのコミュニケーション不足が発生し、当社側からの監視が届きにくい環境が生まれておりました(統制活動の不備)。

当社の内部監査部は、グループ全体の監査を担うには人員が不足しており、必ずしも十分な監査が実施できておりませんでした。雇用調整助成金の受給手続を対象とした監査は行われておりましたが、勤怠記録の改ざんや不正の可能性を考慮した調査までは実施できておりませんでした(モニタリングの不備)。

さらに、当社の子会社管理部門や人事部門は、子会社に対し、雇用調整助成金の申請手続や勤怠管理に関する情報提供・指導が必ずしも十分にできておらず(情報と伝達の不備)、各子会社が独自の判断で申請を進めたことで、適切な管理も十分には行えておりませんでした(統制活動の不備)。

③連結子会社における全社的な内部統制の不備(子会社の雇用調整助成金の不適正受給)

子会社における雇用調整助成金の不適正受給の背景には、当社と同様に労働法規や制度の理解不足や不適切な労務管理(統制環境・モニタリングの不備)、さらには顧客対応を優先する企業文化から、休日でも従業員が自主的に対応することが常態化し、特別休業日でも業務を行っていたにもかかわらず、出勤記録を修正せず助成金を申請しておりました(統制環境の不備)。

④連結子会社における全社的な内部統制の不備(子会社の雇用調整助成金の不正受給)

子会社における雇用調整助成金の不正受給では、子会社側において労働法規や雇用調整助成金の受給ルールに関する理解が十分でなく、またチェックも十分でなかったという点(統制環境・モニタリングの不備)に加え、子会社の経営陣が意図的に勤務実態と異なるタイムカードを作成し不正な申請を行っていたもの、子会社の社長が特別休業日中の業務を黙認・指示していたというもの、申請担当者が独自の運用で短時間勤務を出勤扱いとせず、実態と異なる申告を行っていたというものが確認されており、コンプライアンス意識が不十分であった(統制環境の不備)と考えております。

さらに、これらに先立ち、当社では2021年10月期の決算の確定作業期間中に、連結子会社2社(株式会社ミキ・ツーリスト及び株式会社ジャパンホリデートラベル)においてGoToトラベル事業給付金の申請に関する疑惑があることを把握したため、専門家を含めたメンバーによる調査により、これら疑惑の全容解明と類似事案の有無等の確認が必要であると判断し、2021年12月8日に調査委員会を設置し、調査を行いました。

その結果、対象となった子会社2社それぞれから、宿泊の実態がなく、GoToトラベル事業給付金の給付要件を充たさない不適切な給付申請が発見された旨の報告があり、当該実態のない取引に基づいた売上の計上やGoToトラベル事業給付金及び地域共通クーポンの計上等の不適切な会計処理が行われていることが判明しました(以下、「GoTo事案」といいます。)。

また、株式会社ミキ・ツーリストについては、外部ホテル運営会社と連携して、不適切な給付申請を計画的に行ったと疑われる事実が明らかになりました。

当社は、調査結果を踏まえ、当該連結子会社2社における不適切な会計処理の訂正や関連する引当金の計上等を行い、当連結会計年度の第1四半期から第3四半期までの四半期報告書について2022年1月28日に訂正報告書を提出しております。

また、当社はその際に、GoTo事案に関して、当社の関係会社に対する管理監督体制や内部監査機能の不十分性、子会社におけるコンプライアンス意識の不足や社長の業務執行に対する監視・監督機能の不十分性、当社グループにおける内部通報制度の不十分性等、当社及び当該連結子会社2社における全社的な内部統制の不備を開示すべき重要な不備に該当すると判断し、以下の再発防止策(以下、「GoTo再発防止策」という。)を実行してまいりましたが、結果的に、本件事案の防止、早期の発見には至っておらず、GoTo事案に関する当社及び連結子会社2社の全社的な内部統制における開示すべき重要な不備は、依然、未改善であると再評価いたしました。

1)コンプライアンス意識の改革

2)各社取締役会による監督機能の強化

3)親会社による子会社管理の強化

4)内部監査の強化

5)不祥事の早期発見のための取組み

GoTo事案は連結子会社2社において発生した不祥事であり、GoTo再発防止策は親会社の子会社経営者に対する監視・監督の強化により再発防止を図ることを主眼としたものでした。内部監査の監査項目として助成金受給に関する項目を追加したものの、グループ全体において助成金に係る不祥事リスクへの認識が十分に高まらず、子会社管理部門及び人事部門等(第2線)の体制や権限を強化するといった対応までは講じられなかったため、GoTo再発防止策の本件事案に対する牽制効果は限定的であったと認識しております。

当社は、これらの不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。

なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。

当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するためには、改めてグループ全体のガバナンス体制の強化を中心とする抜本的な対応が必要と判断しております。特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。

1)コンプライアンス意識の醸成

当社グループ全体でコンプライアンス意識を高めるため、コンプライアンス遵守のトップメッセージを発信し、役員や管理職、従業員に対して労働法規や労務管理に関する教育及び雇用調整助成金の不正及び不適正受給に関する教育を実施する。労務管理等に関する意識改革・意識統一を図るとともに、勤怠管理や助成金申請に潜むリスクを認識させるため、事例を元にした役職別のコンプライアンス研修を実施する。さらに、行動規範を示すことによる全体的な意識改革を推進し、グループ内の意識統一を図るため、啓蒙活動を実施し、コンプライアンス遵守の重要性を浸透させる。

2)グループガバナンスの強化

子会社管理体制を見直し、ガバナンスの高度化を図る。子会社ガバナンス検討会(仮称)を立ち上げ、子会社管理業務の集中管理や子会社数の見直しを検討し、役員の選任基準や評価制度を見直す。また、報告・承認事項やレポーティングラインを明確化し、透明性のある関係を構築する。さらに、リスク評価を徹底し、リスク・コンプライアンス委員会の機能を強化することで、グループ全体のリスク管理能力を向上させ、潜在的なリスクの早期発見と対応を可能にする。親会社と子会社間のコミュニケーションを強化し、情報共有を促進する。

3)助成金申請における内部統制の見直し

助成金申請に関するルールを明確化し、グループ内に周知徹底する。助成金申請部署と内容を確認し、管理する部署を分離することで、牽制が働く体制を構築する。さらに、不適切な申請や不正な申請が行われないように助成金申請内容のモニタリングを実施する。

4)労務管理の徹底

グループ各社における勤怠管理の業務を見直し、第1線によるセルフモニタリングを徹底することで、労務管理の強化を図る。グループ各社の人事部門(第2線)による勤怠管理のモニタリングを徹底する。

5)内部通報制度の周知及び活用の促進

内部通報制度の信頼性を高めるため、定期的な情報発信や啓蒙活動を実施する。従業員のエンゲージメントを高める工夫を行い、内部通報制度の利用促進を図る。また、内部通報制度を活用し、通報内容からリスクを洗い出してリスク・コンプライアンス委員会で対策を検討する体制を整備する。これにより、リスクの早期発見と迅速な対応を実現する。さらに、外部窓口の検討を行い、通報しづらい事案に対する対応を強化する。

6)内部監査体制の見直し

内部監査部門(第3線)の人員増強と専門性の向上を図り、監査の効率的かつ効果的な実施に向けたリスク・アプローチを高度化する。公的な助成金に関する監査方法・方針を見直し、子会社に対する監査頻度を増加させることで、監査体制を強化し、内部監査の実効性を向上させる。

なお、GoTo事案に関する一連の開示すべき重要な不備についても、本件事案に関する上記の改善策を通じて、引き続き是正を進めてまいります。 

4【付記事項】

該当事項はありません。 

5【特記事項】

上記3「評価結果に関する事項」に記載の経緯により、2020年10月期より2023年10月期にかけて、連結子会社3社において雇用調整助成金の不正受給が行われていたことと、当社及び連結子会社14社において雇用調整助成金の不適正受給が行われていたことが判明しました。

当社は、当該事実を受けて、2020年10月期から2023年10月期までの財務報告に係る内部統制に関して再評価を行った結果、当社及び連結子会社の全社的な内部統制の一部に不備があったことを識別いたしました。当社は、これらの不備は財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高いため、開示すべき重要な不備に該当すると判断し、2025年3月31日付で財務報告に係る内部統制の評価結果を訂正しております。2025年3月31日付で提出した内部統制報告書に記載している2020年10月期、2021年10月期、2022年10月期、2023年10月期における開示すべき重要な不備は、3「評価結果に関する事項」に記載の開示すべき重要な不備と同一であります。

これらの過年度における開示すべき重要な不備は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。

なお、当社ではこの開示すべき重要な不備に対し、今後、3「評価結果に関する事項」に記載した再発防止策を設定・実行し、適切な内部統制の整備・運用を図り、財務報告の信頼性を確保してまいります。

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