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The Kansai Electric Power Company, Incorporated

Registration Form May 16, 2025

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【表紙】

【発行登録追補書類番号】

6-関東1-2

【提出書類】

発行登録追補書類

【提出先】

近畿財務局長

【提出日】

2025年5月16日

【会社名】

関西電力株式会社

【英訳名】

The Kansai Electric Power Company, Incorporated

【代表者の役職氏名】

代表執行役社長  森 望

【本店の所在の場所】

大阪市北区中之島3丁目6番16号

【電話番号】

050(7105)9084

【事務連絡者氏名】

経理部長  垣 口 裕 則

【最寄りの連絡場所】

大阪市北区中之島3丁目6番16号

【電話番号】

050(7105)9084

【事務連絡者氏名】

経理部長  垣 口 裕 則

【発行登録の対象とした募集有価証券の種類】

社債

【今回の募集金額】

第573回無担保社債(10年債) 16,000百万円
第574回無担保社債(20年債) 6,600百万円
22,600百万円

【発行登録書の内容】

提出日 2024年8月8日
効力発生日 2024年8月16日
有効期限 2026年8月15日
発行登録番号 6-関東1
発行予定額又は発行残高の上限(円) 発行予定額 800,000百万円

【これまでの募集実績】

(発行予定額を記載した場合)

|     |     |     |     |     |

| --- | --- | --- | --- | --- |
| 番号 | 提出年月日 | 募集金額(円) | 減額による訂正年月日 | 減額金額(円) |
| 6-関東1-1 | 2025年4月4日 | 30,700百万円 | - | - |
| 実績合計額(円) | | 30,700百万円

(30,700百万円) | 減額総額(円) | なし |

(注)   実績合計額は、券面総額又は振替社債の総額の合計額(下段( )書きは発行価額の総額の合計額)に基づき算出した。  | | | |
| --- | --- | --- |
| 【残額】 | (発行予定額-実績合計額-減額総額) | 769,300百万円

(769,300百万円)

(注) 残額は、券面総額又は振替社債の総額の合計額(下段( )書きは、発行価額の総額の合計額)に基づき算出した。 |  

(発行残高の上限を記載した場合)

該当事項なし

【残高】 (発行残高の上限-実績合計額+償還総額-減額総額) -円
【安定操作に関する事項】 該当事項なし
【縦覧に供する場所】 株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

E04499 95030 関西電力株式会社 The Kansai Electric Power Company, Incorporated 企業内容等の開示に関する内閣府令 第十二号様式 1 false false false E04499-000 2025-05-16 xbrli:pure

 0100000_honbun_0139505973705.htm

第一部 【証券情報】

第1 【募集要項】

1 【新規発行社債(短期社債を除く。)(10年債)】

銘柄 関西電力株式会社 第573回無担保社債(特定社債間限定同順位特約付)(トランジション・ボンド)
記名・無記名の別
券面総額又は振替社債の総額(円) 16,000百万円
各社債の金額(円) 1億円
発行価額の総額(円) 16,000百万円
発行価格(円) 各社債の金額100円につき金100円
利率(%) 年2.025%
利払日 毎年5月及び11月の各25日
利息支払の方法 1 利息支払の方法及び期限

(1)本社債の利息は、払込期日の翌日から償還期日までこれをつけ、2025年11月25日を第1回の支払期日としてその日までの分を支払い、その後毎年5月及び11月の各25日にその日までの前半か年分を支払う。

(2)利息を支払うべき日が銀行休業日にあたるときは、その前銀行営業日にこれを繰り上げる。

(3)半か年に満たない利息を計算するときは、その半か年の日割をもってこれを計算する。

(4)償還期日後は利息をつけない。

2 利息の支払場所

  別記((注)「11 元利金の支払」)記載のとおり。
償還期限 2035年5月25日
償還の方法 1 償還金額

各社債の金額100円につき金100円

2 償還の方法及び期限

(1)本社債の元金は、2035年5月25日にその総額を償還する。

(2)償還すべき日が銀行休業日にあたるときは、その前銀行営業日にこれを繰り上げる。

(3)本社債の買入消却は、払込期日の翌日以降、別記「振替機関」欄の振替機関が別途定める場合を除き、いつでもこれを行うことができる。

3 償還元金の支払場所

別記((注)「11 元利金の支払」)記載のとおり。
募集の方法 一般募集
申込証拠金(円) 各社債の金額100円につき金100円とし、払込期日に払込金に振替充当する。申込証拠金には、利息をつけない。
申込期間 2025年5月16日
申込取扱場所 別項引受金融商品取引業者の本店及び国内各支店
払込期日 2025年5月22日
振替機関 株式会社証券保管振替機構

東京都中央区日本橋兜町7番1号
担保 本社債には担保及び保証は付されておらず、また本社債のために特に留保されている資産はない。
財務上の特約(担保提供制限) 1 当社は、本社債の未償還残高が存する限り、本社債発行後、当社が国内で既に発行した、または国内で今後発行する他の無担保社債(ただし、本社債と同時に発行する第574回無担保社債(特定社債間限定同順位特約付)(トランジション・ボンド)を含み、別記「財務上の特約(その他の条項)」欄で定義する担付切換条項が特約されている無担保社債を除く。)に担保権を設定する場合には、本社債にも担保付社債信託法に基づき同順位の担保権を設定する。

2 当社が本欄第1項により本社債のために担保権を設定する場合は、当社は、直ちに登記その他必要な手続を完了し、かつ、その旨を担保付社債信託法第41条第4項の規定に準じて公告する。
財務上の特約(その他の条項) 本社債には担付切換条項等その他の財務上の特約は付されていない。担付切換条項とは、純資産額維持条項等当社の財務指標に一定の事由が生じた場合に期限の利益を喪失する旨の特約を解除するために担保権を設定する旨の特約または当社が自らいつでも担保権を設定することができる旨の特約をいう。

(注)1 信用格付業者から提供され、もしくは閲覧に供された信用格付

(1) 株式会社格付投資情報センター(以下R&Iという。)

本社債について、当社はR&IからAA-の信用格付を2025年5月16日付で取得している。

R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定どおりに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見である。R&Iは信用格付によって、個々の債務等の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見を表明するものではない。R&Iの信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の表明ではない。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、またはその他の意見についての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、いかなる保証もしていない。

R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じているが、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではない。R&Iは、必要と判断した場合には、信用格付を変更することがある。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格付を取り下げることがある。

一般に投資にあたって信用格付に過度に依存することが金融システムの混乱を引き起こす要因となり得ることが知られている。

本社債の申込期間中に本社債に関してR&Iが公表する情報へのリンク先は、R&Iのホームページ(https://www.r-i.co.jp/rating/index.html)の「格付アクション・コメント」及び同コーナー右下の「一覧はこちら」をクリックして表示されるリポート検索画面に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

R&I:電話番号03-6273-7471

(2) ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下ムーディーズという。)

本社債について、当社はムーディーズからA3の信用格付を2025年5月16日付で取得している。

ムーディーズの信用格付は、事業体、与信契約、債務または債務類似証券の将来の相対的信用リスクについてのムーディーズの現時点の意見である。ムーディーズは、信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期日に履行できないリスク及びデフォルト事由が発生した場合に見込まれるあらゆる種類の財産上の損失と定義している。ムーディーズの信用格付は、流動性リスク、市場価値リスク、価格変動性リスク及びその他のリスクについて言及するものではない。ムーディーズの信用格付は、投資または財務に関する助言を構成するものではなく、特定の証券の購入、売却、または保有を推奨するものではない。ムーディーズは、いかなる形式または方法によっても、これらの格付もしくはその他の意見または情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性について、(明示的、黙示的を問わず)いかなる保証も行っていない。発行体または債務の信用リスクは、発行体から入手した情報、または公開情報に基づき評価される。ムーディーズは、信用格付を付与する際に用いる情報が十分な品質を有し、またその情報源がムーディーズにとって信頼できると考えられるものであることを確保するため、全ての必要な措置を講じている。しかし、ムーディーズは監査を行うものではなく、格付の過程で受領した情報について常に独自に確認することはできない。ムーディーズは、必要と判断した場合に本格付を変更することがある。また、ムーディーズは、資料、情報の不足や、その他の状況により、本格付を取り下げることがある。

本社債の申込期間中に本社債に関してムーディーズが公表する情報へのリンク先は、ムーディーズのホームページ(https://www.moodys.com/web/ja/jp.html)の「信用格付事業」の「詳細を見る」をクリックして表示される「格付・規則」の「格付ニュース」に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

ムーディーズ:電話番号03-5408-4100

(3) 株式会社日本格付研究所(以下JCRという。)

本社債について、当社はJCRからAAの信用格付を2025年5月16日付で取得している。

JCRの信用格付は、格付対象となる債務について約定どおり履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。

JCRの信用格付は、債務履行の確実性の程度に関してのJCRの現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の程度を完全に表示しているものではない。また、JCRの信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではない。JCRの信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項は含まれない。

JCRの信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。また、JCRの信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCRが格付対象の発行体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。

本社債の申込期間中に本社債に関してJCRが公表する情報へのリンク先は、JCRのホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「ニュースリリース」右端「一覧を見る」をクリックして表示される「ニュースリリース」(https://www.jcr.co.jp/release/)に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

JCR:電話番号03-3544-7013

2 社債、株式等の振替に関する法律の規定の適用

本社債は、その全部について社債、株式等の振替に関する法律(以下社債等振替法という。)第66条第2号の定めに従い社債等振替法の規定の適用を受けることとする旨を定めた社債であり、社債等振替法第67条第2項に定める場合を除き、社債券を発行することができない。

3 社債の管理

本社債には会社法第702条ただし書に基づき、社債管理者は設置されておらず、社債権者は自ら本社債を管理し、または本社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の行為を行う。 

4 財務代理人、発行代理人及び支払代理人

株式会社みずほ銀行

5 期限の利益喪失に関する特約

当社は、次の各場合に該当したときは、直ちに本社債について期限の利益を失う。

(1)当社が別記「償還の方法」欄第2項第(1)号及び第(2)号または別記「利息支払の方法」欄第1項第(1)号ないし第(3)号の規定に違背したとき。

(2)当社が別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項の規定に違背したとき。

(3)当社が本社債以外の社債について期限の利益を喪失したとき、または期限が到来したにもかかわらずその弁済をすることができないとき。

(4)当社が社債を除く借入金債務について期限の利益を喪失したとき、もしくは当社以外の社債またはその他の借入金債務に対して当社が行った保証債務について履行義務が発生したにもかかわらず、その履行をすることができないとき。ただし、当該債務の合計額(邦貨換算後)が10億円を超えない場合は、この限りではない。

(5)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の申立てをし、または解散(合併の場合を除く。)の決議を行ったとき。

(6)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の決定、または特別清算開始の命令を受けたとき。

6 社債権者に通知する場合の公告の方法

本社債に関し社債権者に対し公告を行う場合は、法令に別段の定めがあるときを除き、当社の定款所定の電子公告の方法によりこれを行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告を行うことができない場合は、当社の定款所定の新聞紙並びに東京都及び大阪市において発行する各1種以上の新聞紙(ただし、重複するものがあるときには、これを省略することができる。)によりこれを行う。

7 社債要項の公示

当社は、その本店に本社債の社債要項の謄本を備え置き、その営業時間中、一般の閲覧に供する。

8 社債要項の変更

(1)本社債の社債要項に定められた事項(ただし、本(注)4を除く。)の変更は、法令に定めがあるときを除き、社債権者集会の決議を要するものとする。ただし、社債権者集会の決議は、裁判所の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(2)裁判所の認可を受けた前号の社債権者集会の決議は、本社債の社債要項と一体をなすものとする。

9 社債権者集会に関する事項

(1)本社債及び本社債と同一の種類の社債(以下本種類の社債と総称する。)の社債権者集会は、当社がこれを招集するものとし、社債権者集会の日の3週間前までに、社債権者集会を招集する旨及び会社法第719条各号所定の事項を本(注)6に定める方法により公告する。

(2)本種類の社債の社債権者集会は、東京都においてこれを行う。

(3)本種類の社債の総額(償還済みの額を除き、当社が有する本種類の社債の金額の合計額は算入しない。)の10分の1以上にあたる本種類の社債を有する社債権者は、本種類の社債に関する社債等振替法第86条第3項に定める書面を当社に提示したうえ、社債権者集会の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を当社に提出して、当社に対し本種類の社債の社債権者集会の招集を請求することができる。

10 費用の負担

以下に定める費用は当社の負担とする。

(1)本(注)6に定める公告に関する費用

(2)本(注)9に定める社債権者集会に関する費用

11 元利金の支払

本社債の社債権者に対する元利金は、社債等振替法及び別記「振替機関」欄の振替機関が定める業務規程等に従って支払われる。 

2 【社債の引受け及び社債管理の委託(10年債)】

(1) 【社債の引受け】

引受人の氏名又は名称 住所 引受金額

 (百万円)
引受けの条件
みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号 5,600 1 引受人は本社債の全額につき共同して買取引受を行う。

2 本社債の引受手数料は各社債の金額100円につき金30銭とする。
野村證券株式会社 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 4,000
SMBC日興証券株式会社 東京都千代田区丸の内三丁目3番1号 4,000
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目9番2号 2,400
16,000

(2) 【社債管理の委託】

該当事項なし 

3 【新規発行社債(短期社債を除く。)(20年債)】

銘柄 関西電力株式会社 第574回無担保社債(特定社債間限定同順位特約付)(トランジション・ボンド)
記名・無記名の別
券面総額又は振替社債の総額(円) 6,600百万円
各社債の金額(円) 1億円
発行価額の総額(円) 6,600百万円
発行価格(円) 各社債の金額100円につき金100円
利率(%) 年2.775%
利払日 毎年5月及び11月の各25日
利息支払の方法 1 利息支払の方法及び期限

(1)本社債の利息は、払込期日の翌日から償還期日までこれをつけ、2025年11月25日を第1回の支払期日としてその日までの分を支払い、その後毎年5月及び11月の各25日にその日までの前半か年分を支払う。

(2)利息を支払うべき日が銀行休業日にあたるときは、その前銀行営業日にこれを繰り上げる。

(3)半か年に満たない利息を計算するときは、その半か年の日割をもってこれを計算する。

(4)償還期日後は利息をつけない。

2 利息の支払場所

  別記((注)「11 元利金の支払」)記載のとおり。
償還期限 2045年5月25日
償還の方法 1 償還金額

各社債の金額100円につき金100円

2 償還の方法及び期限

(1)本社債の元金は、2045年5月25日にその総額を償還する。

(2)償還すべき日が銀行休業日にあたるときは、その前銀行営業日にこれを繰り上げる。

(3)本社債の買入消却は、払込期日の翌日以降、別記「振替機関」欄の振替機関が別途定める場合を除き、いつでもこれを行うことができる。

3 償還元金の支払場所

別記((注)「11 元利金の支払」)記載のとおり。
募集の方法 一般募集
申込証拠金(円) 各社債の金額100円につき金100円とし、払込期日に払込金に振替充当する。申込証拠金には、利息をつけない。
申込期間 2025年5月16日
申込取扱場所 別項引受金融商品取引業者の本店及び国内各支店
払込期日 2025年5月22日
振替機関 株式会社証券保管振替機構

東京都中央区日本橋兜町7番1号
担保 本社債には担保及び保証は付されておらず、また本社債のために特に留保されている資産はない。
財務上の特約(担保提供制限) 1 当社は、本社債の未償還残高が存する限り、本社債発行後、当社が国内で既に発行した、または国内で今後発行する他の無担保社債(ただし、本社債と同時に発行する第573回無担保社債(特定社債間限定同順位特約付)(トランジション・ボンド)を含み、別記「財務上の特約(その他の条項)」欄で定義する担付切換条項が特約されている無担保社債を除く。)に担保権を設定する場合には、本社債にも担保付社債信託法に基づき同順位の担保権を設定する。

2 当社が本欄第1項により本社債のために担保権を設定する場合は、当社は、直ちに登記その他必要な手続を完了し、かつ、その旨を担保付社債信託法第41条第4項の規定に準じて公告する。
財務上の特約(その他の条項) 本社債には担付切換条項等その他の財務上の特約は付されていない。担付切換条項とは、純資産額維持条項等当社の財務指標に一定の事由が生じた場合に期限の利益を喪失する旨の特約を解除するために担保権を設定する旨の特約または当社が自らいつでも担保権を設定することができる旨の特約をいう。

(注)1 信用格付業者から提供され、もしくは閲覧に供された信用格付

(1) 株式会社格付投資情報センター(以下R&Iという。)

本社債について、当社はR&IからAA-の信用格付を2025年5月16日付で取得している。

R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定どおりに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見である。R&Iは信用格付によって、個々の債務等の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見を表明するものではない。R&Iの信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の表明ではない。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、またはその他の意見についての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、いかなる保証もしていない。

R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じているが、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではない。R&Iは、必要と判断した場合には、信用格付を変更することがある。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格付を取り下げることがある。

一般に投資にあたって信用格付に過度に依存することが金融システムの混乱を引き起こす要因となり得ることが知られている。

本社債の申込期間中に本社債に関してR&Iが公表する情報へのリンク先は、R&Iのホームページ(https://www.r-i.co.jp/rating/index.html)の「格付アクション・コメント」及び同コーナー右下の「一覧はこちら」をクリックして表示されるリポート検索画面に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

R&I:電話番号03-6273-7471

(2) ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下ムーディーズという。)

本社債について、当社はムーディーズからA3の信用格付を2025年5月16日付で取得している。

ムーディーズの信用格付は、事業体、与信契約、債務または債務類似証券の将来の相対的信用リスクについてのムーディーズの現時点の意見である。ムーディーズは、信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期日に履行できないリスク及びデフォルト事由が発生した場合に見込まれるあらゆる種類の財産上の損失と定義している。ムーディーズの信用格付は、流動性リスク、市場価値リスク、価格変動性リスク及びその他のリスクについて言及するものではない。ムーディーズの信用格付は、投資または財務に関する助言を構成するものではなく、特定の証券の購入、売却、または保有を推奨するものではない。ムーディーズは、いかなる形式または方法によっても、これらの格付もしくはその他の意見または情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性について、(明示的、黙示的を問わず)いかなる保証も行っていない。発行体または債務の信用リスクは、発行体から入手した情報、または公開情報に基づき評価される。ムーディーズは、信用格付を付与する際に用いる情報が十分な品質を有し、またその情報源がムーディーズにとって信頼できると考えられるものであることを確保するため、全ての必要な措置を講じている。しかし、ムーディーズは監査を行うものではなく、格付の過程で受領した情報について常に独自に確認することはできない。ムーディーズは、必要と判断した場合に本格付を変更することがある。また、ムーディーズは、資料、情報の不足や、その他の状況により、本格付を取り下げることがある。

本社債の申込期間中に本社債に関してムーディーズが公表する情報へのリンク先は、ムーディーズのホームページ(https://www.moodys.com/web/ja/jp.html)の「信用格付事業」の「詳細を見る」をクリックして表示される「格付・規則」の「格付ニュース」に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

ムーディーズ:電話番号03-5408-4100

(3) 株式会社日本格付研究所(以下JCRという。)

本社債について、当社はJCRからAAの信用格付を2025年5月16日付で取得している。

JCRの信用格付は、格付対象となる債務について約定どおり履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。

JCRの信用格付は、債務履行の確実性の程度に関してのJCRの現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性の程度を完全に表示しているものではない。また、JCRの信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するものではない。JCRの信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外の事項は含まれない。

JCRの信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。また、JCRの信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCRが格付対象の発行体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。

本社債の申込期間中に本社債に関してJCRが公表する情報へのリンク先は、JCRのホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「ニュースリリース」右端「一覧を見る」をクリックして表示される「ニュースリリース」(https://www.jcr.co.jp/release/)に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

JCR:電話番号03-3544-7013

2 社債、株式等の振替に関する法律の規定の適用

本社債は、その全部について社債、株式等の振替に関する法律(以下社債等振替法という。)第66条第2号の定めに従い社債等振替法の規定の適用を受けることとする旨を定めた社債であり、社債等振替法第67条第2項に定める場合を除き、社債券を発行することができない。

3 社債の管理

本社債には会社法第702条ただし書に基づき、社債管理者は設置されておらず、社債権者は自ら本社債を管理し、または本社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の行為を行う。 

4 財務代理人、発行代理人及び支払代理人

株式会社みずほ銀行

5 期限の利益喪失に関する特約

当社は、次の各場合に該当したときは、直ちに本社債について期限の利益を失う。

(1)当社が別記「償還の方法」欄第2項第(1)号及び第(2)号または別記「利息支払の方法」欄第1項第(1)号ないし第(3)号の規定に違背したとき。

(2)当社が別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項の規定に違背したとき。

(3)当社が本社債以外の社債について期限の利益を喪失したとき、または期限が到来したにもかかわらずその弁済をすることができないとき。

(4)当社が社債を除く借入金債務について期限の利益を喪失したとき、もしくは当社以外の社債またはその他の借入金債務に対して当社が行った保証債務について履行義務が発生したにもかかわらず、その履行をすることができないとき。ただし、当該債務の合計額(邦貨換算後)が10億円を超えない場合は、この限りではない。

(5)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の申立てをし、または解散(合併の場合を除く。)の決議を行ったとき。

(6)当社が破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の決定、または特別清算開始の命令を受けたとき。

6 社債権者に通知する場合の公告の方法

本社債に関し社債権者に対し公告を行う場合は、法令に別段の定めがあるときを除き、当社の定款所定の電子公告の方法によりこれを行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告を行うことができない場合は、当社の定款所定の新聞紙並びに東京都及び大阪市において発行する各1種以上の新聞紙(ただし、重複するものがあるときには、これを省略することができる。)によりこれを行う。

7 社債要項の公示

当社は、その本店に本社債の社債要項の謄本を備え置き、その営業時間中、一般の閲覧に供する。

8 社債要項の変更

(1)本社債の社債要項に定められた事項(ただし、本(注)4を除く。)の変更は、法令に定めがあるときを除き、社債権者集会の決議を要するものとする。ただし、社債権者集会の決議は、裁判所の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(2)裁判所の認可を受けた前号の社債権者集会の決議は、本社債の社債要項と一体をなすものとする。

9 社債権者集会に関する事項

(1)本社債及び本社債と同一の種類の社債(以下本種類の社債と総称する。)の社債権者集会は、当社がこれを招集するものとし、社債権者集会の日の3週間前までに、社債権者集会を招集する旨及び会社法第719条各号所定の事項を本(注)6に定める方法により公告する。

(2)本種類の社債の社債権者集会は、東京都においてこれを行う。

(3)本種類の社債の総額(償還済みの額を除き、当社が有する本種類の社債の金額の合計額は算入しない。)の10分の1以上にあたる本種類の社債を有する社債権者は、本種類の社債に関する社債等振替法第86条第3項に定める書面を当社に提示したうえ、社債権者集会の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を当社に提出して、当社に対し本種類の社債の社債権者集会の招集を請求することができる。

10 費用の負担

以下に定める費用は当社の負担とする。

(1)本(注)6に定める公告に関する費用

(2)本(注)9に定める社債権者集会に関する費用

11 元利金の支払

本社債の社債権者に対する元利金は、社債等振替法及び別記「振替機関」欄の振替機関が定める業務規程等に従って支払われる。 

4 【社債の引受け及び社債管理の委託(20年債)】

(1) 【社債の引受け】

引受人の氏名又は名称 住所 引受金額

 (百万円)
引受けの条件
大和証券株式会社 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 2,500 1 引受人は本社債の全額につき共同して買取引受を行う。

2 本社債の引受手数料は各社債の金額100円につき金40銭とする。
SMBC日興証券株式会社 東京都千代田区丸の内三丁目3番1号 1,600
みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号 1,600
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目9番2号 900
6,600

(2) 【社債管理の委託】

該当事項なし 

5 【新規発行による手取金の使途】

(1) 【新規発行による手取金の額】

払込金額の総額(百万円) 発行諸費用の概算額(百万円) 差引手取概算額(百万円)
22,600 82 22,518

(注)上記金額は、第573回無担保社債及び第574回無担保社債の合計金額である。 

(2) 【手取金の使途】

手取概算額22,518百万円については、原子力事業(新規制基準適合のための安全対策工事(再稼動への対応)、安全・安定運転の維持に必要な設備機器の点検・修理や、さらなる安全性の向上に向けた設備更新等)、ゼロカーボン火力事業(既設発電所の高効率化に向けた設備更新、水素混焼やCCU・CCUSの導入に向けた調査・研究開発・実証事業等)及び送配電事業(高経年化する送配電設備の更新、安定供給に向けた送配電網のレジリエンス強化や分散化、デジタル化をはじめとする送配電網の運用高度化等)に関する新規投資及びリファイナンスに、2026年3月末までに充当する予定であります。なお、調達資金は、上記新規投資及びリファイナンスへ充当されるまでの間、現金または現金同等物にて管理する予定であります。 

第2 【売出要項】

該当事項なし 

【募集又は売出しに関する特別記載事項】

トランジション・ボンドとしての適格性について

当社は、2022年3月に、「関西電力株式会社グリーンボンド・フレームワーク」を策定し、2024年3月には、ゼロカーボン社会に向けた取組みを一層推進していくため、「関西電力株式会社グリーン/トランジション・ファイナンス・フレームワーク」を策定しました。

また、2024年6月に、ゼロカーボンロードマップの改定および中期経営計画のアップデートの内容反映等を行うため、「関西電力株式会社グリーン/トランジション・ファイナンス・フレームワーク」を改定しました。(以下、改定後のフレームワークを「本フレームワーク」という。)

当社は、第三者評価機関である株式会社日本格付研究所(以下「JCR」という。)より、本フレームワークに関連する以下の原則等(以下「原則等」という。)への適格性に係る第三者意見を取得しています。

・グリーンボンド原則2021(注1)

・グリーンローン原則2023(注2)

・サステナビリティ・リンク・ボンド原則2023(注3)

・サステナビリティ・リンク・ローン原則2023(注4)

・グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)(注5)

・グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(2022年版)(注6)

・クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック2023(注7)

・クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(注8)

なお、2024年3月フレームワークに係る第三者評価の取得に関し、経済産業省の「令和5年度温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業)」(注9)の補助金交付対象となることについて、指定外部評価機関たるJCRは一般社団法人低炭素投資促進機構より交付決定通知を受領しています。

(注1)「グリーンボンド原則2021」とは、国際資本市場協会(以下「ICMA」という。)が事務局機能を担う民間団体であるグリーンボンド・ソーシャルボンド原則執行委員会(Green Bond Principles and Social Bond Principles Executive Committee)により策定されているグリーンボンドの発行に係るガイドライン(以下「グリーンボンド原則」という。)です。

(注2)「グリーンローン原則2023」とは、ローン市場協会(LMA)、アジア太平洋地域ローン市場協会(APLMA)及びローンシンジケーション&トレーディング協会(LSTA)(以下「LMA等」という。)により策定された環境分野に使途を限定する融資のガイドライン(以下「グリーンローン原則」という。)です。

(注3)「サステナビリティ・リンク・ボンド原則2023」とは、ICMAが2023年6月に公表したサステナビリティ・リンク・ボンドの商品設計、開示及びレポーティング等に係るガイドライン(以下「サステナビリティ・リンク・ボンド原則」という。)です。

(注4)「サステナビリティ・リンク・ローン原則2023」とは、LMA等が2023年2月に公表したサステナビリティ・リンク・ローン等の商品設計、開示及びレポーティング等に係るガイドライン(以下「サステナビリティ・リンク・ローン原則」という。)です。

(注5)「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)」とは、環境省が2017年3月に策定・公表し、2022年7月に改訂したガイドラインをいいます。同ガイドラインでは、グリーンボンド原則及びサステナビリティ・リンク・ボンド原則との整合性に配慮しつつ、我が国におけるグリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンド市場の健全かつ適切な拡大を図ることを目的として、具体的対応の例や我が国の特性に則した解釈が示されています。

(注6)「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(2022年版)」とは、環境省が2020年3月に策定・公表し、2022年7月に改訂したガイドラインをいいます。同ガイドラインでは、グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンについてグリーンローン原則及びサステナビリティ・リンク・ローン原則との整合性に配慮しつつ、グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンを国内でさらに普及させることを目的として、具体的対応の例や我が国の特性に則した解釈が示されています。

(注7)「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック2023」とは、ICMAが事務局機能を担う民間団体であるグリーンボンド・ソーシャルボンド原則執行委員会(Green Bond Principles and Social Bond Principles Executive Committee)の主導の下でクライメート・トランジション・ファイナンス・ワーキング・グループにより策定され、特に排出削減困難なセクターにおいて、トランジションに向けた資金調達を目的とした資金使途を特定したファイナンスまたはサステナビリティ・リンク・ファイナンスに際して、その位置付けを信頼性のあるものとするために推奨される、発行体レベルでの開示要素を明確化することを目的としたハンドブック(以下「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」という。)です。

(注8)「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」とは、金融庁・経済産業省・環境省において、クライメート・トランジション・ファイナンスを普及させ、より多くの資金の導入による国内における2050年カーボンニュートラルの実現とパリ協定の実現への貢献を目的として策定されたものです。

(注9)「令和5年度温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業)」とは、トランジション・ファイナンス等を実施しようとする企業や地方公共団体等に対して第三者評価を行う事業に要する費用について、指定外部評価機関に対して補助金を交付する事業です。対象となるトランジション・ファイナンス等の要件は、その調達時点において、以下の①または②に該当するもので、外部有識者による審査委員会(非公開)にて以下(ア)~(ウ)のような基本指針等の適合性の観点から総合的に審査、採択されたものとなります。

①資金使途特定型:ICMAハンドブック、基本指針で示されるトランジションの4要素を満たし、グリーンボンド原則、ソーシャルボンド原則またはガイドライン、グリーンローンガイドラインに整合したボンドまたはローン。ただし、資金使途がガイドラインやグリーンローンガイドラインに具体的な例として例示されているものなどのいわゆるグリーンプロジェクトに当たらないものも含む。

②資金使途不特定型:ICMAハンドブック、基本指針で示されるトランジションの4要素を満たし、サステナビリティ・リンク・ボンド原則、サステナビリティ・リンク・ローン原則またはガイドライン、グリーンローンガイドラインに整合したボンドまたはローン。

(ア)基本指針に定められた「べきである」だけでなく「望ましい」「可能である/考えられる」までも可能な範囲で対応されていること

(イ)戦略及び短期・中期・長期の目標が科学的根拠に基づいていること

(ウ)我が国への裨益があること

グリーン/トランジション・ファイナンス・フレームワーク

1.クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針等に基づく開示事項

(1)クライメート・トランジション戦略とガバナンス

・「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」

当社は、2021年3月に、新たな経営理念として「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定しました。本経営理念は、当社グループの最上位概念として、お客さまや社会にとっての「『あたりまえ』を守り、創る Serving and Shaping the Vital Platform for a Sustainable Society」という存在意義のもと、「『公正 Fairness』『誠実 Integrity』『共感 Inclusion』『挑戦 Innovation』」という価値観を大切にして事業活動を行い、持続可能な社会を実現することを掲げています。

図 関西電力グループ 経営理念(Purpose & Values)・ブランドステートメント(power with heart)

・関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)

当社は2021年3月に、新たな経営理念のもと変化する事業環境にも対応し、持続的成長を遂げていくため、5ヵ年の実行計画として、「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定しました。中期経営計画において当社グループは、ゼロカーボン発電量国内No.1であり続け、国内発電事業に伴うCO2排出量を2025年度に半減(2013年度比)するという具体的な目標を定め、地球温暖化対策に取り組んでいます。また、エネルギー、送配電、情報通信、生活・ビジネスソリューションを、改めて中核事業に据え、その周辺に、その重なり合うところに、新たな価値を創出し続けます。

・関西電力グループ「ゼロカーボンビジョン2050」

当社グループは2021年に経営理念の「存在意義」を具体化したものとして「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」を策定しました。当社グループは、持続可能な社会の実現に向け「ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー」として、安全確保を前提に、安定供給を果たすべくエネルギー自給率向上に努めるとともに、地球温暖化を防止するため、発電事業をはじめとする事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロといたします。さらに、お客さまや社会のゼロカーボン達成に向けて当社グループのリソースを結集して取り組みます。取組みを進める上では、お客さまや、ビジネスパートナー、国や自治体、研究機関等と積極的に連携いたします。

また、当社は「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けて、社長を委員長とする「ゼロカーボン委員会」を設置しました。ゼロカーボン委員会では、「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、ゼロカーボンの実現に向けた取組み状況の共有や計画の具体化を行い、気候変動への対応を推進しています。

・「ゼロカーボンビジョン2050」取組みの3つの柱

①デマンドサイドのゼロカーボン化

デマンドサイドの役割が拡大していく中で、ゼロカーボンソリューションプロバイダーとして、全ての部門において、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションを提案・提供します。

②サプライサイドのゼロカーボン化

安全確保を前提に、全ての電気をゼロカーボン化し、エネルギー自給率向上による安定供給や経済性を同時に達成できる電源の最適な組合せの実現を目指します。

分散型エネルギーリソースの活用やレジリエンスの強化等、多様化する社会ニーズも踏まえて再エネを最大限導入・主力電源化し、それを可能にする送配電系統の高度化、出力安定性に優れエネルギー密度が高い原子力エネルギーの安全最優先を前提とした最大限活用、再エネ大量導入に必要な調整力等に優れた火力のゼロカーボン化に取り組みます。さらに、国際的なゼロカーボン化に貢献します。

③水素社会への挑戦

水素はゼロカーボン社会の実現のために必要不可欠なエネルギーであることから、水素社会の実現に大きな役割を果たせるよう、非化石エネルギーを活用したゼロカーボン水素の製造・輸送・供給、発電用燃料としての使用に挑戦します。

図 ゼロカーボンビジョン2050 エネルギーシステム

・関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ

2022年3月に、当社グループは、「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」を策定しました。「ゼロカーボンロードマップ」は、「関西電力グループ 『ゼロカーボンビジョン2050』」の実現に向けた道筋を定めたものです。取組みを着実に進捗させるべく、2030年度を中間地点と位置づけ、その時点で達成すべき削減目標を掲げています。当社グループは、あらゆるステークホルダーの皆さまと力を合わせて社会全体のゼロカーボン化に向けた取組みを進めてまいります。

なお、当社は、2024年4月、ゼロカーボン化に向けた取組みをさらに加速するため、「ゼロカーボンロードマップ」を改定しました。「ゼロカーボンロードマップ」策定以降、取組みは順調に進捗しており、「2025年度時点で発電によるCO2排出量半減」という目標は2年前倒しで達成見込みです。これらの取組みの進捗や世界的な脱炭素化の潮流の高まりを踏まえ、2030年度におけるサプライチェーン全体の温室効果ガス削減目標を含むチャレンジングな目標を新たに設定しました。

図 ゼロカーボンロードマップ ロードマップの全体像

図 2030年度に向けたこれまでの目標と実績および新たな目標

・気候変動および移行戦略におけるガバナンス

当社グループは、気候変動問題を経営上の重要課題として認識し、以下の会議体にて評価・管理し、必要に応じて、各業務執行部門に対して、助言・指導を行っています。

<取締役会>

各会議体での評価・管理結果について、適宜付議・報告され、グループ全体の計画・方針に反映されています。

<サステナビリティ推進会議>

社長を議長とし、気候変動に関する事項(戦略・マテリアリティ・リスク・機会等)を含む当社グループ全体のサステナビリティに関する総合的方策の策定や、実践状況の確認を行っています。

<内部統制部会>

当社グループの事業活動に伴うリスクを適切なレベルに管理し、当社グループの持続的な成長を実現するため、「内部統制部会」を設置しています。同部会では、内部統制システムの整備・運用状況の評価や、改善に係る総合的方策の検討、また、不備事項の改善指示および改善状況の確認・支援を行っています。

<ゼロカーボン委員会>

社長を委員長とし、「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』の実現に向けて、「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、ゼロカーボンの実現に向けた取組みの状況の共有や計画の具体化を行い、気候変動への対応を推進しています。

(2)ビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティ(重要度)

・マテリアリティ

当社グループが持続的な成長をとげるとともに、SDGs等のグローバルな社会課題の解決を通じて社会の持続的な発展に貢献することを目的とし、中期経営計画(2021-2025)の策定に合わせて10個のマテリアリティ(重要課題)を特定しており、その中で「ゼロカーボンに向けた取組み推進」を掲げています。

E S G 新たな価値の提供による

収益力の強化
8. 働きがいも経済成長も

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

12. つくる責任 つかう責任
E ゼロカーボンに向けた取組み推進 7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに

12. つくる責任 つかう責任

13. 気候変動に具体的な対策を
S 安全最優先でのレジリエントな

事業基盤の強化
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

11. 住み続けられるまちづくりを
デジタル技術の活用による事業の

変革と情報セキュリティ対策の強化
8. 働きがいも経済成長も

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
事業エリアにおける信頼獲得と

地域活性化への貢献
11. 住み続けられるまちづくりを
ダイバーシティの推進と安全で

働きやすい職場環境の構築
5. ジェンダー平等を実現しよう

8. 働きがいも経済成長も
サプライチェーンにおける

適切なリスク管理
8. 働きがいも経済成長も

12. つくる責任 つかう責任

16. 平和と公正をすべての人に
人財育成・確保の強化 8. 働きがいも経済成長も
ステークホルダーとの

双方向コミュニケーションの深化
12. つくる責任 つかう責任
G
ガバナンスの確立と

コンプライアンスの徹底
16. 平和と公正をすべての人に

図 関西電力 マテリアリティの特定プロセス

・シナリオ分析

当社は、2019年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同署名を行いました。

当社グループは、気候変動に関するリスク・機会を分析するにあたって、「気候変動の将来予測」と「当社グループへの影響度」の観点でシナリオドライバーを設定しました。

「気候変動の将来予測」では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に係る政府間パネル(IPCC)等を踏まえ、2050年にカーボンニュートラルを達成する「1.5℃シナリオ」とGHG排出を一定程度抑制した「2℃シナリオ」を選定しました。

「当社グループへの影響度」では、当社グループへの影響度が大きいと特定した「原子力の稼動状況」と「火力のゼロカーボン技術の導入」を選定しました。

上記シナリオドライバーを前提に、気候変動に関するリスク・機会について、以下の通りシナリオを設定し、分析を行っています。

図 関西電力 2050年に向けたシナリオ

1.5℃シナリオにおいて、電力需要は、原子力の稼動状況や火力のゼロカーボン技術の導入度合いにかかわらず、2021年と比べて、約6割増加する結果となりました。需要側では、カーボンニュートラルを達成するために、省エネの進展および電化率の向上(55%~58%)が必要な結果となりました。供給側では、カーボンニュートラルを達成するため、原子力の稼動状況や火力のゼロカーボン技術の導入度合いに応じて、再エネの導入量が大きく変動する結果となりました。

2℃シナリオでは、電力需要は、2021年と比べて、約1割増加する結果となりました。需要側では、1.5℃シナリオと比較しGHG排出制約が厳しくないため、電化率は46%程度と、1.5℃シナリオと比較すると緩やかに上昇する結果となりました。供給側では、1.5℃シナリオと比較しGHG排出制約が厳しくないものの、火力のゼロカーボン技術の導入遅延に伴い、火力電源が減少するため、再エネ導入の拡大が必要な結果となりました。

このように、1.5℃シナリオは2℃シナリオと比べて、シナリオ達成のために、より強力な施策の実施とイノベーションを必要とするシナリオだと考えています。

(3)科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路を含む)

当社グループは、「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」および、それを実現するための道筋を定めた「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」で示しているとおり、発電事業をはじめとする事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロとします。

「クライメート・トランジション戦略とガバナンス」における各種取組みは、2030年CO2排出量46%削減を定めた国のエネルギー基本計画および我が国の電力事業にかかる地域性・業種特性を考慮して策定された分野別ロードマップ(電力)と整合しています。これらの計画およびロードマップの取組みは、パリ協定に基づく温室効果ガス排出削減目標等と整合するものであり、我が国の2050年カーボンニュートラルおよびパリ協定の目標の実現に必要な削減目標とそのための政策を踏まえた、科学的根拠を有する内容です。

(4)実施の透明性

「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」の取組みの柱の一つである「ゼロカーボンへの挑戦(EX: Energy Transformation)」については、2021-2025年度の累計で1兆500億円の投資により「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けた取組みを推進します。

図 関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)のアップデート キャッシュ配分

図 関西電力グループ中期経営計画(2021-2025) 取組みの柱

2.グリーンボンド原則等における4要素への適合(資金使途を特定する場合のフレームワーク)

(1)調達資金の使途

グリーン/トランジション・ファイナンスで調達された資金は、以下の適格事業への新規投資およびリファイナンスに充当される予定です。リファイナンスについては、ファイナンスの実行日から遡って36ヶ月以内に運転開始、または資金充当がされた事業を対象事業とします。

[グリーン/トランジション適格事業]

ゼロカーボン

ロードマップ項目
適格事業 資金使途
関西電力グループ自ら取り組むこと 再生可能

エネルギー
・   水力、風力、太陽光、地熱、バイオマス発電事業の開発、建設、運営、改修(*)
原子力 ・   さらなる安全性の向上、運用高度化、安全・安定運転の継続、再稼動

・   新増設・リプレース(次世代軽水炉・SMR・高温ガス炉等)

・   水素製造調査・研究開発・実証事業・設備投資
ゼロカーボン

火力
・   火力ゼロカーボン燃料(水素・アンモニア・バイオマス)混焼に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資

・   LNG火力の効率化

・   CCS・CCUSの調査・研究開発・実証事業・設備投資
水素 ・   水素製造・輸送・供給・発電用燃料としての利用など、水素関連の調査や研究開発、実証事業、設備投資(*)
送配電 ・   ゼロカーボンの実現に向けた再エネ主力電源化やレジリエンス強化等のための設備増強・更新、分散型グリッドの適用(*)

・   連系線・基幹系統の設備強化、系統運用の広域化、温室効果ガス低減機器の導入拡大(*)

・   蓄電池やEVの活用に向けたVPP制御システムの構築、電力データ活用、再エネを最大限活用する高度な系統運用の実現に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資(*)
お客さまや

社会の皆さまと

取り組むこと
電化 ・   社有車の電動化(EV,PHV,FCV,HV含む、特殊車両等を除く)(*)

・   EVパッケージサービス(ハイブリッドを除く)(*)

・   EV充電サービス(ハイブリッドを除く)・EV船・空飛ぶクルマ(エアモビリティ)(*)
創エネ

(蓄エネ)
・   デマンドサイドにおける太陽光発電設備(*)

・   デマンドサイドにおける蓄電池(再エネで創った電気)(*)
お客さまや

社会の皆さまと

取り組むこと
ゼロカーボン

タウン
<グリーンビルディング>

・    下記いずれかの基準を満たす物件の開発、建設・改修・取得(*)

-   集合住宅・戸建て住宅におけるZEH(ZEH-M)Oriented基準以上の省エネルギー性能を有する水準

-   オフィスビル等におけるZEB Oriented基準(物流施設においてはZEB Ready基準)以上の省エネルギー性能を有する水準

・   下記のいずれかの認証を取得(予定含む)または更新(予定含む)する物件の開発、建設・改修・取得(*)

-   CASBEE建築(新築・既存・改修)、CASBEE不動産、自治体版CASBEEにおけるSランクもしくはAランク、B+ランク(自治体版CASBEEについては、工事完了日から3年以内のものに限る)BELS平成28年度(もしくは2016年度)基準における5つ星もしくは4つ星、3つ星

-    BELS令和6年度基準における以下のレベル

非住宅:レベル6、5、4

再生可能エネルギー設備がある住宅:レベル6、5、4、3

再生可能エネルギー設備がない住宅:レベル4、3

-    LEED認証における「Platinum」もしくは「Gold」、「Silver」(LEED BD+Cの場合はv4以降に限る)

-    DBJ Green Building認証における5つ星もしくは4つ星、3つ星

<データセンター>

・   設計PUE(Power Usage Effectiveness)が1.4未満であるデータセンターまたはグリーンデータセンターの建設・改修・取得(*)

*グリーン適格事業となる場合があり、グリーンファイナンスとして活用することがあります。

※1 資金使途には出融資の資金を含むことがあります。

※2 全ての適格事業について以下の環境面・社会面のリスクへの配慮について確認します。

・事業実施国・地方自治体にて求められる環境関連法令等の遵守と必要に応じた環境への影響調査の実施

・事業実施にあたっての地域住民への十分な説明の実施

※3 バイオマス発電事業については、日本政府が求める持続可能性基準に適合した燃料を使用したもので、ライフサイクルを通じてCO2の削減に貢献するものに限定していることを確認します。

※4 地熱発電事業については、ライフサイクルを通じてCO2の削減に貢献するものに限定していることを確認します。

※5 グリーンビルディングについて、関連制度等に変更が生じた場合には、第三者機関と協議のうえ、その変更にあわせて資金使途の内容を見直します。

(2)プロジェクトの評価および選定のプロセス

グリーン/トランジション・ファイナンスで調達された資金は、当社の経理室財務グループが、「調達資金の使途」にて定める適格事業への適合状況に基づいて、対象候補を特定します。経理室財務グループ、グループ会社および社内関係部門で協議を行い、経理室財務グループにおいて適格プロジェクトを最終決定します。

なお、対象となる事業は、当社が中長期的に目指す環境管理の方向性を定めた「関西電力グループ環境方針」に則ったものとします。

(3)調達資金の管理

調達資金は、全額適格事業に充当します。その管理は当社の経理室財務グループが内部管理システムにて調達資金と実際の支出を四半期単位で追跡管理します。当社が調達した資金のうち実施主体が子会社である適格事業には、当社からプロジェクトの実施主体である子会社に貸し付ける形となります。

また、調達資金が適格事業に全額充当されるまでの間の未充当資金については、現金または現金同等物にて管理します。

(4)レポーティング

当社は、グリーン/トランジション・ファイナンスで調達された資金が全額充当されるまでの間、以下の項目のいずれかまたは全てにおいて、守秘義務の範囲内かつ合理的に対応可能な範囲内で、資金充当状況および環境改善効果を当社の統合報告書またはホームページ上にて年次で開示、もしくは貸し手に対して開示(ローンの場合のみ)します。

なお、調達資金の全額が充当された後に重大な状況の変化が生じた場合は、適時に開示します。

<資金充当状況レポーティング>

・充当金額

・未充当金の残高

・調達資金のうちリファイナンスに充当された部分の概算額(または割合)

<インパクトレポーティング>

インパクトレポーティングに際しては、下記に例示された内容のいずれかまたは全てを開示する予定ですが、資金充当対象とするプロジェクトに応じて変更することがあります。

なお、環境改善効果については、可能な限り定量的な開示を目指すものの、プロジェクトの状況や性質等により定量的な開示が困難な場合、定性的な開示のみとすることがあります。

適格事業 事業概要 レポーティング内容/内容例
再生可能

エネルギー
・   水力、風力、太陽光、地熱、バイオマス発電事業の開発、建設、運営、改修 ・設備容量(MW)

・CO2排出削減量(t-CO2/年)
原子力 ・  さらなる安全性の向上、運用高度化、安全・安定運転の継続、再稼動

・  新増設・リプレース(次世代軽水炉・SMR・高温ガス炉等)

・  水素製造調査・研究開発・実証事業・設備投資
<設備投資の場合>

・設備容量(MW)

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・水素製造量(t/年)

<研究開発/実証事業の場合>

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗
ゼロカーボン

火力
・   火力ゼロカーボン燃料(水素・アンモニア・バイオマス)混焼に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資

・   LNG火力の効率化

・   CCS・CCUSの調査・研究開発・実証事業・設備投資
<研究開発/実証事業の場合>

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗

<設備投資費の場合>

・設備容量(MW)

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・混焼率
水素 ・   水素製造・輸送・供給・発電用燃料としての利用など、水素関連の調査や研究開発、実証事業、設備投資 <研究開発/実証実験の場合>

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗・研究開発計画/実証実験の概要と進捗状況

・目指す効果について(想定利用目的、水素製造量の見込み等)

<設備投資の場合>

・水素製造量(t/年)
送配電 ・   ゼロカーボンの実現に向けた再エネ主力電源化やレジリエンス強化等のための設備増強・更新、分散型グリッドの適用

・   連系線・基幹系統の設備強化、系統運用の広域化、温室効果ガス低減機器の導入拡大

・   蓄電池やEVの活用に向けたVPP制御システムの構築、電力データ活用、再エネを最大限活用する高度な系統運用の実現に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資
・設備投資の概要

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗

・温室効果ガス低減機器の導入機器数
電化 ・   社有車の電動化(EV,PHV,FCV,HV含む、特殊車両等を除く)

・   EVパッケージサービス(ハイブリッドを除く)

・   EV充電サービス(ハイブリッドを除く)・EV船・空飛ぶクルマ(エアモビリティ)
・適格事業の概要

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・導入量/導入率
創エネ

(蓄エネ)
・   デマンドサイドにおける太陽光発電設備

・   デマンドサイドにおける蓄電池(再エネで創った電気)
・適格事業の概要

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・設備容量
ゼロカーボン

タウン
・   省エネルギー性能を有する物件の開発、建設・改修・取得

・   グリーンビルディング認証を取得する物件の開発、建設・改修・取得

・  設計PUE(Power Usage Effectiveness)が1.4未満であるデータセンターまたはグリーンデータセンターの建設・改修・取得
<グリーンビルディング>

・物件の名称

・グリーンビルディング認証の種類およびランク(認証を取得する場合)

<データセンター>

・データセンターの概要

・設計PUE

・再生可能エネルギー電力使用量(kWh/年)

第3 【第三者割当の場合の特記事項】

該当事項なし 

第4 【その他の記載事項】

特に目論見書に記載しようとする事項は、次のとおりであります。

記載箇所 記載内容
表紙 [社章]
 

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第二部 【公開買付け又は株式交付に関する情報】

第1 【公開買付け又は株式交付の概要】

該当事項なし

第2 【統合財務情報】

該当事項なし 

第3 【発行者(その関連者)と対象者との重要な契約(発行者(その関連者)と株式交付子会社との重要な契約)】

該当事項なし 

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第三部 【参照情報】

第1 【参照書類】

会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。

1 【有価証券報告書及びその添付書類】

事業年度 第100期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)2024年6月27日関東財務局長に提出 

2 【半期報告書】

事業年度 第101期中(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)2024年11月8日関東財務局長に提出 

3 【臨時報告書】

上記1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2025年5月16日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2024年6月27日に関東財務局長に提出 

第2 【参照書類の補完情報】

上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書及び半期報告書(以下「有価証券報告書等」という。)の提出日以後本発行登録追補書類提出日(2025年5月16日)までの間において、当該有価証券報告書等に記載された「事業等のリスク」について変更及び追加がありました。

以下の内容は、当該「事業等のリスク」を一括して記載したものであり、変更及び追加箇所については___罫で示しております。

なお、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されておりますが、以下の「事業等のリスク」に記載されたものを除き、当該事項は本発行登録追補書類提出日(2025年5月16日)現在においてもその判断に変更はなく、また新たに記載する将来に関する事項もありません。また、当該有価証券報告書等に記載された将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。

[事業等のリスク]

(1) 当社グループのリスク管理体制

当社グループ(当社および連結子会社)は、「関西電力グループリスク管理規程」に則り、組織目標の達成に影響を与える可能性のある事象をリスクとして認識、評価したうえで、必要な対策を実施するとともに、対策後にその評価を行い、改善していく一連のプロセスにより、当社グループへの影響を適切なレベルに管理している。

当社グループの事業活動に伴うリスクについては、各業務執行部門が自律的に管理することを基本とし、組織横断的かつ重要なリスク(情報セキュリティ、子会社の経営管理、人財基盤、市場リスク、財務報告の信頼性、環境、エネルギー政策、災害、コンプライアンス(競争環境における法令含む)、調達の適正性)については、必要に応じてリスクの分野ごとに専門性を備えたリスク管理箇所を定め、業務執行部門に対して、助言・指導を行うことで、リスク管理の強化を図っている。さらに、リスクを統括的に管理する内部統制部会を設置し、CCOを「リスク管理統括責任者」とする体制のもと、当社グループの事業活動に伴うリスクを適切なレベルに管理するよう努めている。

内部統制部会は、リスク評価結果等を定期的に組織風土改革会議および取締役会へ報告し、必要に応じてリスク管理の仕組み、体制の改善を行っている。さらに、リスク管理体制の整備と運用に関して、経営監査室による内部監査を受け、監査結果を基に改善を図っている。

リスク管理体制 (2024年6月末時点)

(2) 当社グループのリスク管理状況

2023年度中にリスク管理委員会を1回、内部統制部会を12回開催し、当社グループの事業活動に大きく影響を与える重要リスク項目を抽出し、その管理状況を全社的視点から把握・評価している。

重要リスク項目は、リスク対策を実効的かつ適切に行っていく観点から、経営層で議論を重ね、収支に影響を与える各構成要素に着目して抽出し、事業別(事業ウェイトの大きい電気事業特有と全事業共通)と要因別(戦略、オペレーション、ハザード、財務・金融)の観点で、体系立てて整理するとともに、システム不具合等、近時のリスク事象への対応を踏まえ、ITガバナンス等の新規項目を追加している。電気事業特有のリスクは、《1》気候変動、《2》原子力関連リスク、《3》電力等供給支障、《4》競争環境の急激な変化への対応遅れ、全事業共通のリスクは、《5》法規制・規制政策変更、《6》イノベーションの停滞、《7》資産価値毀損、《8》人財基盤の揺らぎ、《9》サプライチェーンの不安定化・断絶、《10》ITガバナンス・情報セキュリティリスク、《11》ガバナンス・コンプライアンスリスク、《12》環境問題(環境法令違反等)、《13》自然災害・国際情勢の変化等、《14》市場・市況変動リスクである。

(分類、重要リスク項目、具体的なリスクの内容は、下表のとおり)

重要リスク項目に関連するリスクについては、事業毎の実態・特性を見極めつつ、発生可能性や影響度などの観点から重要度を評価した上で、対策の検討を行い、期中のリスク対策結果を踏まえ、改めて期末に重要度評価を実施することで、リスク管理のPDCAを回している。

(3) 事業等のリスク

当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のある「重要リスク項目」の具体的な内容は、以下に記載のとおりである。なお、本記載内容は、本発行登録追補書類提出日(2025年5月16日)現在において当社グループが判断したものであり、今後、経済状況や原子力発電を含むエネルギー政策、ならびに環境政策の変化等の影響を受ける可能性がある。なお、影響額については、一定の前提に基づき算定した理論値であり、前提諸元が急激かつ大幅に変動する場合等には、影響額により算出される変動影響が実際の費用変動と乖離する場合がある。

《1》気候変動

当社グループは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の趣旨に賛同し、中長期にわたる気候変動に関するリスクの分析を行い、経営計画・方針に適切に反映している。気候変動に関するリスクとして、下記の移行リスクと物理リスクを認識しており、これらのリスクによって、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

<移行リスク>

政策:炭素価格導入等のCO2排出規制に対する新たな環境規制の導入・強化、国のエネルギー政策において示される電源構成の変化等

技術:分散型電源導入拡大等による系統電力需要の減少、電源構成の変化による需給調整の不安定化等

市場:脱炭素にかかるお客さまニーズにお応えできないことによる競争力の低下、他社との競争激化や制度変更等に伴う再エネ開発の減少等

評判:ゼロカーボン社会へ向けた変化に対応できないこと等による、当社評価の低下等

<移行リスク>に対応し、持続可能な社会を実現するため、『ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー』として、事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロとすることを『関西電力グループ「ゼロカーボンビジョン2050」』において宣言している。今後、デマンドサイドの役割が拡大していく中で、ゼロカーボンソリューションプロバイダーとして、全ての部門(家庭・業務、産業、運輸)において、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションを提案・提供していく。また、分散型エネルギーリソースの活用やレジリエンスの強化等、多様化する社会ニーズも踏まえて再エネを最大限導入・主力電源化し、それを可能にする送配電系統の高度化、出力安定性に優れエネルギー密度が高い原子力エネルギーの安全最優先を前提とした最大限活用、再エネ大量導入に必要な調整力等に優れた火力のゼロカーボン化に取り組む。加えて、水素社会の実現に向けて、非化石エネルギーを活用したゼロカーボン水素の製造・輸送・供給、発電用燃料としての使用に挑戦していく。『関西電力グループ「ゼロカーボンビジョン2050」』の実現に向けて、2030年度を中間地点と位置づけ、当社グループの取組みの道筋を目標と共にゼロカーボンロードマップで取りまとめている。なお、これまでの取組みの進捗や世界的な脱炭素化の潮流の高まりを踏まえ、2024年4月にロードマップを改定しScope3を含むGHG排出量目標を新たに設定するなど、取組みをさらに加速させている。

<物理リスク>

急性:異常気象激甚化

慢性:降水量の変化による水力発電の稼動率の低下

急性リスクについては、台風・豪雨等(気候変動に起因する異常気象等)により、当社グループ設備への被害・損害、操業への支障や他社からの電気・資機材の調達等への支障が生じ、当社グループサービスの提供が困難になることで、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

急性リスクに対応するため、自然災害に対する迅速復旧に向けた防災訓練の実施、自治体・高速道路会社等との協定締結や、災害時の被害最小化に向けて、送配電系統等設備のレジリエンス強化等、必要な対応を実施していく。

慢性リスクについては、降水量の減少により水力の発電量が減少することで、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

慢性リスクに対応するため、水力発電所の運転実績に応じた最適な運用方法への見直しや効率的・安定的な設備運用等、必要な対応を実施していく。

《2》原子力関連リスク

原子力発電は、エネルギーセキュリティの確保、経済性、地球環境問題への対応の観点から優れた特性を有しており、エネルギー資源の乏しい我が国において、将来にわたって経済の発展や豊かな暮らしを支えるための重要な電源である。一方で、原子力発電は、大量の放射性物質を取扱い、運転停止後も長期間にわたり崩壊熱を除去し続ける必要があるなどの固有の特性を有する。このため、原子力施設の建設・運転・廃止措置、使用済燃料や放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処理・処分等の全ての局面において、自然現象、設備故障、人的過誤、破壊・テロ活動、核燃料物質の転用・拡散等により、放射線被ばくや環境汚染を引き起こすリスクがある。原子力発電において、適切な管理を怠って重大な事故を起こせば、長期にわたる環境汚染を生じさせ、立地地域をはじめ社会のみなさまに甚大な被害を及ぼすだけでなく、我が国のみならず世界に対し経済・社会の両面で影響を与えうるなど、社会的信用の低下が生じる事象等が発生し、当社グループの存続可能性に疑義が生じる重大な影響を与える可能性がある。

原子力発電の安全性を向上させるため、全ての役員および原子力発電に携わる従業員が、「ここまでやれば安全である」と過信せず、原子力発電の特性とリスクを十分認識し、絶えずリスクを抽出および評価して、それを除去ないし低減する取組みを継続する。こうした取組みを深層防護の各層において実施することにより、事故の発生防止対策を徹底し、そのうえで万一、事故が拡大し、炉心損傷に至った場合の対応措置も充実させる。また、「原子力安全推進委員会」において、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止策の推進や安全文化の醸成、福島第一原子力発電所事故を踏まえた自主的・継続的な取組みに関して、広い視野から確認、議論を行い、全社一丸となり、取組みを推進している。さらに、社外の有識者を主体とする「原子力安全検証委員会」において、独立的な立場から助言等を得て、安全性向上の取組みに反映している。

我が国において重要な電源である原子力発電を将来にわたって一定規模確保するためには、安全の確保、技術・人財基盤の維持等が必要であり、これらを実現するためには、安全性の確認された40年超プラントの運転に加えて、新増設・リプレースが必要になると考えている。当社グループとしては、原子力発電所の安全確保を大前提として、有効に活用していきたいと考えている。

当社グループは他の電力会社と比較して原子力発電の比率が高く、新規制基準等への適合性の確保、各種基準・法令等の変更への対応や原子力差止め訴訟等の結果により、発電所の停止が長期化した場合には、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある(2023年度実績ベースでは、原子力利用率が1%悪化する場合の費用増加影響は52億円程度)。これらのリスクに対応するため、新規制基準等への適合性を確保し、各種基準・法令等の変更に適切に対応していくとともに、訴訟等においても各原子力発電所の安全性に関する主張・立証を適切に行っていく。なお、2023年6月に原子炉等規制法が改正され、高経年化した発電用原子炉の安全規制が見直された。当社グループは、同法が施行される2025年6月までに、見直し後の安全規制に基づく認可を得られるよう順次対応していくが、認可取得が遅れることにより現在の7基稼働体制の運営に支障をきたすリスクがあることから、計画的に認可申請を実施していく。

当社グループの原子力発電所は7基すべてが福井県に集中して立地しているため、局所的な災害により複数の発電所が同時に停止した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社は、火力や再生可能エネルギーなどの自社電源および他社電源の柔軟・有効活用なども含め、電源の多様性を確保している。

原子力施設の廃止措置や使用済燃料の再処理・処分などの原子力バックエンドコストは、今後の制度の見直しや将来費用の見積額の変動等により費用負担額が増加した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。また、原子力バックエンド事業は、超長期の事業であり不確実性を伴うが、国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されている。原子力損害賠償・廃炉等支援機構一般負担金については、今後の負担総額や負担金率の変動等により、当社グループの負担額が増加した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

原子力発電の燃料となるウランは、政情の安定した国々に埋蔵されていることから安定確保が可能である。また、少しの燃料で長期間発電に使うことが可能なうえ、使い終わった燃料は再処理することで再び燃料として使用できることなどから、準国産のエネルギー資源になる。原子力発電所で使用した燃料中のウラン、プルトニウムを燃料として再利用する「原子燃料サイクル」を進めることは、資源に乏しい我が国にとって、エネルギー資源の有効活用およびエネルギーを安定的に確保していくために効果的であるといえる。

使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ搬出する。万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に搬出する必要があることから、当社グループは「使用済燃料対策推進計画」に基づき、中間貯蔵施設の操業に向けた取組み等を展開している。2023年6月には、「使用済燃料対策推進計画」で示している2,000トン規模のうち、使用済MOX燃料再処理実証研究に伴い約200トンの使用済燃料の搬出が決定した。その後10月に「使用済燃料対策推進計画」を補完する指針として、「使用済燃料対策ロードマップ」を策定した。これに基づき、使用済燃料対策として「六ヶ所再処理工場への使用済燃料の搬出」、「使用済MOX燃料再処理実証研究に伴う仏国オラノ社への使用済燃料の搬出」および「中間貯蔵施設の2030年頃の操業開始、操業に向けた準備」を進めている。また、昨年の六ケ所再処理工場の操業計画の見直しに伴い、当社は新しい「使用済燃料対策ロードマップ」を2025年2月13日に公表した。

廃止措置は長期の事業であり不確実性を伴うため、当社グループの廃止措置は大きく4段階に分け、約30年かけて実施することとしている。廃止措置の実施にあたっては、必要な対策等を講じ、安全の確保を最優先に着実に行っている。現在、美浜発電所1、2号機は、第2段階の「原子炉周辺設備解体撤去期間」であり、管理区域内での解体を実施している。解体により発生する廃棄物については、放射能レベル区分に応じて処理する計画であり、これを確実に実現すべく準備を進めている。一方、大飯発電所1、2号機は、第1段階の「解体準備期間」であり、タービン建屋内機器等解体工事等の作業を計画どおり進めるとともに、第2段階への移行に必要な炉内外の放射能調査も計画通り進めている。

《3》電力等供給支障

当社グループ設備の事故等により、安全・安定供給が困難となることで、当社グループは、社会的信用の低下や業績の悪化等の影響を受ける可能性がある。送配電事業においては、送配電設備の事故等による操業支障や、施工力不足、資機材の調達支障等により、電力の供給が困難となることで、当社グループは社会的信用の低下や業績の悪化等の影響を受ける可能性がある。このため、発電所の適切な運転管理や巡視に努めていることに加えて、事故の再発防止を徹底している。また、送配電設備の事故防止のため、効率的・効果的な設備改修を進めるとともに、能率向上・施工力増強両面からの取組みを推進することにより施工力を確保し、高経年設備の着実な更新を実施している。さらに、調達面では非常用安全在庫の備蓄や安定調達、調達リスクを考慮したサプライヤー選定等を行い、リスク低減を図っている。

エネルギー事業においては、将来の電力需要増加に対して適切に対応していく必要があるが、人口減少や省エネルギー(節電)などの減少影響よりも、経済成長やデータセンター・半導体工場の新増設に伴う増加影響が大きいとされ、将来の電力需要は増加するという想定がある一方、徹底した省エネルギー(節電)の推進により、将来の電力需要は減少するという想定もある。このように、想定の不確実性が高いことから、投資回収の予見性が低く電源投資が進捗しないことで、電力需要に応じた適切な設備容量を確保できず、収入増加の機会を逸するリスクがある。

こうした状況下で投資判断を行うために、国の電力システムにかかる政策や規制動向について必要な情報収集を実施するとともに、審議会等の場を通じて当社グループの考え方を主張するなど必要な対応を実施し投資回収の予見性を高めていく。

送配電事業においては、必要な投資の確保とコスト効率化を両立させ、高経年化する送配電設備の確実な増強と更新や再生可能エネルギー主力電源化、レジリエンス強化を進めていく必要があるが、これらが実現できない場合、収支悪化リスクおよび安定供給に支障をきたすリスクがある。

2023年度より、新たな託送料金制度が導入され、本制度下において、第1規制期間(2023-2027年度)に達成すべき目標を明確にした事業計画を策定し、その実施に必要な見積費用(収入の見通し)は国から承認されている。これにより、必要な設備の維持・拡充にかかる費用は見積費用に織り込まれ確保されているため、また、需給調整市場における調整力調達費用は事後検証のうえ調整されるため、収支悪化リスクおよび安定供給に支障をきたすリスクは低減されている。

※送配電事業は関西電力送配電(株)が担う。

当社発電設備の事故や厳気象(猛暑および厳寒)等により、需要に対し必要な供給力や燃料に不足が生じ、供給支障が発生することで、当社グループは、社会的信用の低下や業績の悪化等の影響を受ける可能性がある。

そのため、発電所の適切な運転管理や巡視、事故の再発防止の徹底に加え、「需給ひっ迫を予防するための発電用燃料に係るガイドライン」に基づく必要な燃料在庫の確保、卸電力取引市場での機動的な電力調達等により、供給支障発生の未然防止に取り組んでいる。そのうえでなお、関西エリアや全国大で需給ひっ迫が発生した場合は、燃料の緊急調達や卸電力取引市場からの電力調達等、必要な供給力確保に加え、国や電力広域的運営推進機関と連携しながら緊急時の対策に努める。

《4》競争環境の急激な変化への対応遅れ

昨今の世界的な脱炭素化の潮流の高まりを踏まえ、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー由来の電力供給や蓄電池等を活用したエネルギーの効率的な利用に関する顧客のニーズが高まっている。

このような顧客のニーズ変化を受け、従来の大規模発電所ではなく、地元やエネルギー使用地点に近い場所に分散設置された太陽光発電や風力発電等の発電設備から電力を供給する分散型エネルギーシステムへの移行が進んでいる。こうした動きに対し、当社の取組みが他事業者に劣後する場合、顧客や販売電力量の減少といった影響を受ける可能性がある。

こうしたリスクに対応するため、太陽光発電や風力発電等の分散型エネルギーの活用を提案している。さらに、発電量、電気使用量を精緻に予測し、空調、蓄電池、EV等の各設備をAIで最適制御するエネルギーマネジメントシステムを開発、提案するなど、顧客に対する最適なエネルギーサービスを提供している。

電力システム改革の検証やエネルギー基本計画、その他制度の見直しの結果、各種市場からの収支変動等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

次に、小売販売電力量が、冷暖房需要の主たる変動要因である気象(特に気温)や景気の動向、省エネルギーの進展、技術革新による電気の利用形態の変化および他事業者との競争状況等により変動する場合がある。また、販売価格が、他事業者との競争状況等により変動する場合もある。その結果、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ガス販売量および販売価格についても、上記に準じ変動する場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。さらに、燃料価格や外国為替相場等の動向によって火力燃料費・購入電力料が変動した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」によって一定の調整が図られるものの、燃料価格の高騰が継続する場合、燃料費調整制度において平均燃料価格が上限を超えることにより、燃料価格の上昇を一部料金反映できない可能性がある。

これらのリスクに対応するため、競合他社との差別化につながる最適なエネルギーサービスを開発・提供していくことで、顧客の維持・拡大に取り組んでいく。また、政策動向のリスクに対しては、国の電力システムにかかる政策や規制動向について情報収集するとともに、審議会等の場を通じて当社グループの考え方を主張するなど、適宜対応していく。さらに、電力調達においても、多様な調達先の確保、長期・短期契約の組み合わせなど、燃料・電力等の市況変動に影響されにくい調達ポートフォリオの構築、法人分野の料金における市場価格の変動に対応した料金メニューの導入等により価格変動に伴う収支影響の緩和を図るなど、リスクの抑制に取り組んでいる。

《5》法規制・規制政策変更

小売全面自由化を踏まえた内外無差別な卸販売等の競争政策、容量市場、非化石価値取引市場、ベースロード市場や需給調整市場といった電力市場整備等、電力システム改革に関する制度の見直し、その他政策動向等により、他事業者との競争のさらなる拡大や各種市場からの収支変動等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

これらのリスク対応について、2024年度は、電力システム改革の検証が国の審議会で行われるため、国の電力システムにかかる政策や規制動向について必要な情報収集を実施するとともに、審議会等の場を通じて当社グループの考え方を主張するなど必要な対応を実施していく。

また、2023年7月に閣議決定された脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(GX推進戦略)では、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となる中、GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、「エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXの取組」、「成長志向型カーボンプライシング構想等の実現・実行」が掲げられている。

このうち、「エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXの取組」においては、再生可能エネルギーの主力電源化や安全確保を大前提とした原子力の活用等が明記され、再エネ導入や原子力事業環境整備の進展が期待されるものの、これらの政策が停滞した場合には当社グループの事業は業績の悪化等の影響を受ける可能性がある。

次に、「成長志向型カーボンプライシング構想等の実現・実行」においては、カーボンプライシングに係る取り組みとして、CO2排出に対して、化石燃料賦課金導入、企業間の排出量取引制度(GX-ETS)稼働、発電事業者を対象にした有償オークションへの移行といった方向性が示されている。温室効果ガスの多排出事業にあたる発電事業に対しては、過度な排出規制の導入により、火力発電所の稼働率低下や追加的な費用負担といった影響が生じる可能性がある。

これらのリスク対応について、2024年度は、次期エネルギー基本計画の策定にかかる検討やカーボンプライシングの詳細制度設計が実施される見通しであり、国のエネルギー・環境政策や規制動向について、必要な情報収集を実施するとともに、審議会等の場を通じて当社グループの考え方を主張するなど必要な対応を実施していく。

情報通信分野においては、現在、議論が行われているNTT法の見直しをはじめ、政策方針の変更によって競争環境や市場環境が大きく変化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。これらのリスクに対応するため、国の情報通信政策や規制動向について、必要な情報を収集し、公正な競争環境の維持・推進に向けた政策提言を継続的に行うとともに、規制環境に合わせた新サービスの開発、既存サービスの拡充、継続したコスト低減等により競争環境の変化に対応できる経営基盤の強化に取り組む。

不動産分野においては、政策金利が上昇した場合、住宅ローン金利の上昇により住宅購入者の購買意欲が減退し、分譲住宅事業の業績に影響を与える可能性がある。また、都市計画や建築関連法令等の政策変更により、物件開発コストの増加や保有土地の価値毀損等の影響を受ける可能性がある。これらのリスクに対しては、情報の収集と分析により適時適切に対応していく。

《6》イノベーションの停滞

当社グループは、イノベーション推進により目指す状態を、「新事業、新サービスを生み出す力」と「既存事業のオペレーション変革力の双方が優れていること」かつ「イノベーションが自律的かつ持続的に巻き起こせる仕組み(システム)が確立されていること」と定義しており、これらを推進するための体制強化や仕組みの構築を行っている。

しかしながら、政策・経済・社会・技術等の外部環境の変化に適応できずに業務変革や新規事業・サービス創出に向けた活動が停滞することにより、事業の構造転換に支障が生じ、ステークホルダーからの評価が著しく低下する可能性がある。

そのため、将来の外部環境の変化により的確に対応することを目指し、中長期的な技術・社会動向等を調査し、事業機会・脅威を考察することで、先手を打った事業活動を展開していく体制や仕組みの充実を進めている。また、コーポレートベンチャーキャピタル「合同会社K4Ventures」を投資主体に、順次ベンチャー企業等への投資を実施しており、当社やグループ各社との協業を促進するとともに、最新の技術やビジネスモデルを早期に情報収集し、さらなる新規事業・サービス創出を展開していく。

《7》資産価値毀損

昨今の世界的な脱炭素化の潮流の高まりに加え、主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合では、石炭火力については、各国の温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標に沿って、2030年代前半または、気温上昇を1.5度に抑えることが可能な期間内に排出削減対策が講じられていない既存の石炭火力発電をフェーズアウトする方針が示されている。

このような事業環境において、火力に対するCO2排出規制強化、法改正(新規制基準に対する追加要求事項等)や訴訟による原子力不稼働事象の顕在化等により既存電源の稼働率が低下することで資産価値が大幅に毀損するリスクがある。

これらのリスクに対応するため、国の電力システムにかかる政策や規制動向について必要な情報収集を実施するとともに、事業者にとって合理的な内容とするべく審議会等の場を通じて当社グループの考え方を主張するなど、必要な対応を実施していく。

また、送配電事業においては、高経年化設備の更新等に必要な投資を収入として確保できないことで資産価値が毀損するリスクがある。新たな託送料金制度の導入後も短期的には収支影響が発生する可能性はあるものの、必要な費用は見積費用(収入の見通し)に織り込まれていること、エリア需要の変動は翌規制期間に調整されること、また、災害復旧等にかかる制御不能な費用増は事後調整されることから、中長期的な事業運営の安定性および予見性が一定程度向上し、資産価値毀損のリスクは低減されている。

なお、上記以外にも、情報通信事業や生活・ビジネスソリューション事業において、競合他社に対する技術力の劣後、顧客志向の変化に伴うサービスの陳腐化や市場環境の変化等が発生することで、資産価値が毀損するリスクがある。ハイパースケールデータセンターは、事業展開の遅延および建設費用の高騰等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。加えて、当社グループは、オーガニックな成長にこだわらず、M&Aも活用し、成長の加速を目指している。しかしながら、適切な対象会社や提携先を発見できる保証はなく、また、これらの調査の段階で確認または想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生または判明する場合や、M&A実施後の事業展開が計画通りに進まない可能性があり、その場合は当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があることや、対象事業等の資産価値毀損も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。これらのリスクに対し、新サービスの開発・既存サービスの拡充等により、競争環境の変化に対応できる経営基盤の強化に取り組んでいる。

国内再エネ・国際事業ならびにグループ事業や新規事業等への投資については、市場規模や規制等の市場に係る動向や開発計画の遅延等により、想定していた収益性が確保できず資産価値が毀損するリスクがある。このようなリスクに対応するため、投資の妥当性の評価や投資後のモニタリングと撤退・再建策の検討・実施も含めた一連のマネジメントプロセスの構築・運用等により、投資リスクの適正な管理に努めている。

《8》人財基盤の揺らぎ

労働災害の発生等、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

美浜発電所3号機事故をはじめとする事故や災害から得た数々の教訓から、「安全を守る。それは私の使命、我が社の使命」との社長の宣言のもと、当社グループの事業活動にかかわるすべての人の安全を守ることを最優先に、安全活動を続けている。この宣言に込めた思いを継承していくため、「関西電力グループ安全行動憲章」をグループワイドで共有し、「安全行動の誓い」を規範として安全行動をたゆまず実践することで、安全の実績を着実に積み重ね、ゆるぎない安全文化を構築していく。さらに、グループワイドで災害防止に向けた取組みをより一層促進するため、安全・品質部会や「安全衛生委員会」にて安全活動の継続的な改善を行うとともに、協力会社を含めたグループ会社と”相方向”の情報共有やコミュニケーションを深めることで、「災害ゼロ」を目指している。

従業員の意欲の低下や多様で優秀な人財の安定的な確保に支障をきたすなど、人財基盤の強化が進まず、当社グループの持続的な成長を妨げ、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

人財基盤強化の前提として、2021年に策定した「関西電力グループ人権方針」に基づき、あらゆる事業活動において、人権を尊重する取組みを推進している。その上で、人財基盤強化のため、キャリア・女性・外国人採用者について、今後も職歴や性別といった属性の多様性を強化するとともに、国籍にとらわれることなく、積極的な採用を進めていく。管理職への登用についても、個人の能力や適性に応じて公平・公正に実施している。なお、国や社会の動向といった今日的な観点に加え、当社の経営状況や労働力確保等の状況も踏まえ、2025年度から定年延長を含む「新たな評価・報酬体系の構築」を実施することとしている。社員の定年を65歳まで引き上げることで、第一線職場における要員不足に対応するだけでなく、ベテラン層から中堅、若年層への確実な技術継承を行っていくとともに、“今の挑戦”をより重視する制度へ見直しや魅力的な挑戦機会を提供する仕組みを導入することで、従業員一人ひとりが、挑戦意欲や成長意欲を持って活き活きと働くことができる環境、労働状況を整備していく。また、2024年度に実施した賃金改定では、若年層の賃金水準をより魅力ある水準に引き上げるべく意を用いて改定を実施したほか、初任給の引き上げを実施している。こうした様々な取組みにより従業員エンゲージメントの向上を図りながら、人財の多様性を確保し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するとともに、労働市場の変化や事業環境の変化に即した多様な採用コースの構築を図ることで、優秀な人財の獲得につなげている。さらに、2018年に設立した「関西電力グループアカデミー」の中で体系化した研修や育成制度を通じて、従業員の自律的なキャリア形成を促し自発的な成長を支援するとともに、「働き方」改革・健康経営の推進責任者である社長のもと、人事労務担当役員が委員長を務める「『働き方』改革・健康経営委員会」での議論を通じて、より柔軟に働ける勤務制度の整備や従業員の健康増進に向けた方針・施策を策定し、労働組合・健康保険組合・医療スタッフ等と連携しながら、従業員一人ひとりが成長意欲や挑戦意欲をもち、健康で活き活きと活躍できる環境整備をグループ大で推進している。

《9》サプライチェーンの不安定化・断絶

取引先における人手不足や採算性悪化により取引先が事業撤退し、もしくは当社グループに対し、取引停止を申し入れることで、資機材等の安定的な調達が困難となる可能性がある。

これらのリスクに対応するため、関西電力グループ調達基本方針に基づき、取引先との対話活動を充実させ、対話活動を通して顕在化した課題に対し、迅速・適切に対応することで、既存の取引先との強固なパートナーシップを確立するとともに、新規取引先を積極的に開拓することで、複数取引先の確保を図る等、安定調達の実現に向けた取組みを進めている。

《10》ITガバナンス・情報セキュリティリスク

当社グループは、AI(人工知能)などのデジタル技術活用や業務の抜本的見直しが遅延する等により、DX推進が効率的・効果的に実施されない場合、他事業者との競争に劣後し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、既存事業の生産性向上や新たな価値創出に取り組むとともに、DXの取組みを加速すべく、役員をトップとし全体戦略の検討や方向づけを行う「DX戦略委員会」、DXの専業会社で施策実施に必要な技術支援を行う「K4 Digital株式会社」、施策の検討や展開を行う「各部門」の三位一体でDXを推進している。また、DX戦略委員会での議論結果は、執行役会議での議論を経てDX戦略として策定している。

情報システムの要件漏れやプログラムバグの混入等により法令対応が適切に行われず、情報システムの不具合や停止が発生し、お客さま情報の不適切な取扱いや電力市場への誤入札等の社会的信用の低下につながる事案の発生により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。情報システムの品質を確保するため、標準のシステム開発手順を社内ルールとして規定のうえ、開発に直接従事していないIT専門家が第三者視点でルールの遵守状況を確認している。また、IT部門と各部門が連携し、全社横断的にIT投資額や人的資源の投入、リスク対応の妥当性、運用中のシステムにおける法律・規制変更への対応状況を確認している。さらに、経営上重要な開発プロジェクトは執行役会議に付議し、計画の妥当性を確認している。これらの取組みを継続し、情報システムの不具合や停止を低減していく。

外部からのサイバー攻撃等により、当社グループ設備への被害や損害、操業への支障が生じ、電力の安全・安定供給や当社グループサービス提供の継続不可、当社グループ保有のお客さま情報、重要情報の社外流出等、社会的信用の低下につながる事案が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。重要インフラ事業者である当社グループは電力の安全・安定供給を重要な責務として、関係法令・サイバーセキュリティ経営ガイドライン・社内規定等に則って情報セキュリティ対策を継続的に強化するとともに、日々高度化する社外のサイバー攻撃事例や最新の情報セキュリティの技術情報を入手し、早期対策の実施に努めている。

当社グループが保有するお客さま情報をはじめ、業務上取扱う重要情報について、適切な取扱いがなされず社外へ流出することで、社会的信用の低下につながる事案が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。個人情報の適切な保護のため、当社グループが保有する個人情報については、個人情報保護法やガイドライン等を遵守するとともに、プライバシー権等にも配慮した対策を実施している。また、個人情報を含む業務情報を適切に取扱うために、組織的・人的・物理的・技術的側面から情報セキュリティ対策を継続して講じている。

《11》ガバナンス・コンプライアンスリスク

当社は、会社法に基づいて、業務の適正を確保するための体制を定め、その結果を記載した事業報告に当該体制の決議内容および運用状況の概要を開示している。業務の適正を確保するための体制の有効性が確保されない場合には、ステークホルダーからの信頼を失墜し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループは「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」(2021年3月策定)に基づき、ステークホルダーのみなさまのご期待にお応えし続けることで、持続的な企業価値の向上と社会の持続的発展に貢献していく。その実現に向けた経営の最重要課題は、コーポレート・ガバナンスの強化であると認識し、当社のコーポレート・ガバナンスにおいては、経営の透明性・客観性を高めることを目的に、執行と監督を明確に分離した「指名委員会等設置会社」の機関設計を採用し、取締役会議長は社外取締役、構成委員の過半数は社外取締役としている。また、取締役会直下に法定外の「コンプライアンス委員会」を設置している。さらに、当社はグループ各社に対して、「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」および「関西電力グループ行動憲章」等の経営の基本的方向性や行動の規範について、浸透を図るとともに、子会社管理に係る社内規程に基づき、子会社における自律的な管理体制の整備を支援、指導すること等により、企業集団の業務の適正を確保している。

金品受取り問題をはじめとする一連の不適切事象を踏まえ、環境変化とリスクへの確実な対応や組織風土面に問題があるとの認識のもと、内部統制の抜本的な強化と組織風土改革の取組みを両輪で推進している。当社グループの事業活動に伴うリスクを適切なレベルに管理し、当社グループの持続的な成長を実現するため、内部統制部会を設置し、内部統制システムの整備・運用状況の評価、改善に係る総合的方策の検討ならびに不備事項の改善指示および改善状況の確認・支援を行っている。また、内部統制の抜本的な強化や組織風土改革をはじめとした再発防止策を総合的に推進するため、組織風土改革会議を設置し、一連の不適切事象に係る全社的な課題の把握・分析、再発防止に向けた総合的方策の策定等を行っている。

重大なコンプライアンス違反の発生等、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社はこれまでの金品受取り問題、新電力顧客情報の不適切な取扱い、独占禁止法違反といった不適切な事象の発生を受け、取締役会の監督のもと、それぞれ業務改善計画に基づき対応を実施しており、2023年7月に、コンプライアンス推進本部を新設するとともに、コンプライアンス推進の最高責任者としてCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を設置してグループ全体のコンプライアンス推進やリスクマネジメント等、内部統制の抜本的な強化を進めている。

なお、コンプライアンスに関わる当社グループの不適切な事案の詳細については、以下に記載のとおりである。

(金品受取り問題および役員退任後の嘱託等の報酬に関する問題)

当社グループは、当社の役員等が社外の関係者から金品を受け取っていた問題および役員退任後の嘱託等の報酬に係る問題により、お客さまや社会のみなさまから賜わる信頼を失墜させた。

本問題については、第三者委員会を設置し、2020年3月14日に調査報告書を受領した。その報告書の内容を厳粛かつ真摯に受け止め、電気事業法に基づく業務改善命令に対する業務改善計画を取りまとめ、2020年3月30日に経済産業大臣に提出した。

その後、2020年6月に指名委員会等設置会社に移行し、外部の客観的な視点を取り入れた新たな経営管理体制のもと、ガバナンス改革をはじめとする業務改善計画の取組みを進めており、その実行状況を2020年6月29日、10月13日、2021年3月2日および12月27日に経済産業大臣へ報告した。

今後も取組みを確実に実行するとともに、外部の客観的な視点を踏まえ実行状況を検証し、必要に応じて改善策を加えるなど、引き続き、新たな関西電力グループの創生に向け、全力で取り組んでいく。

(特別高圧電力および高圧電力の取引に関する独占禁止法違反)

当社は、特別高圧電力および高圧電力の取引に関し、2021年4月13日および同年7月13日に、独占禁止法違反に係る被疑事実があるとして、公正取引委員会による立入検査を受け、2023年3月30日に、同委員会から、不当な取引制限を禁止する独占禁止法第3条に違反する行為があったと認定された。なお、当社は排除措置命令および課徴金納付命令のいずれも受けていない。

当社は、2023年4月にコンプライアンス委員会から、原因究明および再発防止策の提言を受け、当社再発防止策を決定した。また、2023年7月14日に業務改善命令を受領し、本年8月10日に業務改善計画を経済産業大臣に提出した。当社は、二度とこのような事態を起こさないとの強い決意のもと、再発防止策を徹底していく。

(新電力顧客情報の不適切な取扱いによる電気事業法違反等)

他の小売電気事業者のお客さま情報の不適切な取扱いおよびお客さま情報の漏洩に係る問題について、2022年12月27日に電力・ガス取引監視等委員会から、2023年1月13日に個人情報保護委員会および経済産業省から報告徴収を受領し、それぞれ翌月に回答した。さらに、本件に関し、経済産業省から2023年2月21日に緊急指示を2023年4月17日に業務改善命令を受領した。この間、当社および関西電力送配電の各社社長を本部長・委員長とする「緊急対策本部」・「調査検証・改革委員会」をそれぞれ2023年1月末に設置し、本件に関する事実調査や原因究明を実施した。判明した事実や原因に基づき業務改善計画を取りまとめ、当社コンプライアンス委員会の確認を経て、2023年5月12日に経済産業大臣に提出した。本改善計画では、コンプライアンス推進本部の新設およびコンプライアンス推進の最高責任者であるCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)の設置、内部監査の強化、組織風土改革会議の新設等を行うとともに、一連の改革の実行性を高めるべく外部人材を活用した検証を行うこととしている。業務改善命令の指摘を真摯に受け止め、本改善計画を着実に実行していく。

(電力市場への誤入札等)

当社は、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場※1での取引において、2022年12月26日、2023年9月20日および21日受渡し分で、合計約51.7GWhの過剰な買い入札を行っており、また、2023年9月21日受渡し分の取引においては、約1.1GWhの余剰電力の市場供出※2を行っていなかった。過剰な買い入札の原因は入札時に使用する当社システムの不備によるものであり、余剰電力の供出未達の原因は入札条件の認識誤りによるものである。

本件については、2023年12月26日に電力・ガス取引監視等委員会から、業務改善勧告を受領し、2024年1月31日に再発防止策を取りまとめ報告した。業務改善勧告を真摯に受け止め、今後、再発防止策を着実に実行していく。

※1:毎日10時に翌日受渡しする電力の取引を行う市場

※2:各コマにおける自社供給力から自社想定需要・予備力等を差し引いた入札可能量を指し、スポット市場において売り入札する事業者は、余剰電力の全量を限界費用に基づく価格で入札することが、公正かつ有効な競争の観点から望ましい行為とされている。

(当社グループ子会社における不適切事案等)

関西電力送配電株式会社において、過去に柱上変圧器におけるPCBの不適切な取扱いがあったことが判明した。当社コンプライアンス委員会による調査を実施し、当社は、2025年1月に同委員会から調査結果と再発防止策の提言を受けた。また、株式会社KANSOテクノスにおいては、国等から受託した業務の精算報告に関する不適切な取扱いが判明し、社外弁護士による調査を実施のうえで、当社は、2025年4月に調査結果と再発防止策の提言を受けた。

グループを挙げて徹底した再発防止に努めていく。

株主のみなさまをはじめとしたステークホルダーのみなさまへの非財務情報の開示が不足する等、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

情報開示の充実を図るため、コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて適切な情報開示と透明性の確保に関する考え方を定め、これに基づき、株主のみなさまをはじめとしたステークホルダーのみなさまに向けて、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンス報告書、統合報告書等にて会社の財政状態・経営成績等の財務情報や経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る非財務情報等について、積極的に開示を行っている。

テレビCMや新聞広告等の内容、プレス発表、ホームページ、SNS等での情報開示不足や情報の分かりにくさからくる否定的反応により、当社グループのブランドイメージが低下する可能性がある。また、原子力発電に対する社会からの受容性低下や事故や不祥事が発生した場合の対応次第で、社会的信用の低下につながり、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

そのため、広報活動を通して、ステークホルダーのみなさまに適切に情報発信を行い、当社グループ事業にご理解をいただくとともに、広聴活動においては、頂戴したご意見やご要望について、経営層や従業員と共有を図り、事業活動に反映させることで、信頼を賜ることができるよう努めている。また、このような活動を通じて、原子力発電をはじめとする当社グループ事業への理解獲得を図るとともに、ブランドステートメント

」に込めた想いのもと、透明性の高い開かれた事業活動を展開している。
《12》環境問題(環境法令違反等)

重大な環境コンプライアンス違反等、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

これらのリスク対応について、当社グループは、気候変動問題への取組みをはじめ、資源循環の推進や地域環境保全等といった事業活動に密接に関係する環境問題への対応について、中長期的にめざす方向性を「関西電力グループ環境方針」として定め、環境コンプライアンスの実践・徹底に取り組んでいる。

具体的には、事業活動において周辺環境や人の健康に影響を及ぼすことがないよう、社内ルールの整備や実務知識付与のための専門教育等を実施し、環境コンプライアンス違反の防止を図るとともに、ISO14001の考え方を取り入れた環境管理システムを構築し、環境問題への先進的な取組みおよび環境リスク管理を推進している。

《13》自然災害・国際情勢の変化等

台風・豪雨(気候変動に起因する異常気象等)・地震・津波等の自然災害、武力攻撃、感染症により、当社グループ設備への被害・損害、操業への支障や他社からの電気・資機材の調達等への支障が生じ、当社グループサービスの提供が困難になることで、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

従業員とその家族の安全を確保するとともに、電力・ガスを始めとする当社グループサービスの安定供給の責務を果たすため、さまざまな自然災害に対し、「災害に強い設備づくり」や「早期復旧に向けた防災体制の確立」を基本に設備・防災部会等を定期的に開催し、災害関連主要リスクに適切に対策を講じるなど、防災対策に取り組んでいる。

海外事業においては、紛争の勃発や緊張状態の高まりを常に注視している。投資済み案件については現時点では大きな影響はないことを確認しており、新規投資については最新の国際情勢を踏まえ適切に判断している。

火力燃料の確保に対しては、調達地域、契約期間、契約相手先、価格指標の分散により、安定調達に資する調達ポートフォリオの構築を行うとともに、多様な取引先との継続的な情報交換ネットワークを構築し、国際情勢の変化と影響の迅速な把握に努めている。

水素事業においても、国際情勢の変化に伴い、サプライチェーン構築における水素調達国の政策変更・情勢不安・経済停滞により上流案件組成への影響、また燃料価格高騰により水素事業の競争力が低下し、サプライチェーン構築が困難となる可能性がある。水素キャリア※1やカラー※2、調達国の分散等、多面的に検討・参画することでリスク最小化に努めている。

※1:気体のままでは貯蔵や長距離の輸送の効率が低い水素を、液体や水素化合物(アンモニア、メチルシクロヘキサン等)にして効率的に貯蔵・運搬する方法。

※2:水素は、その製造方法によって、グレー水素(CO2を排出)、ブルー水素(CO2を回収)、グリーン水素(再エネにて製造)の大きく3種類に区別される。

サプライチェーンに対しては、平常時から、主要な生産拠点の把握、情報収集を間断なく行うとともに、新規取引先を積極的に開拓することで、複数取引先の確保を図る等、安定調達の実現に向けた取組みを進めている。

経済安全保障は、社会の重要なインフラを担う当社グループにとって重要なリスクの一つであると認識しており、経済安全保障推進法の規定内容の遵守はもちろん、経済安全保障上重要な技術や情報の流出防止等の観点でリスク対策を実施している。

同法における「基幹インフラにおける重要設備の導入・維持管理委託の事前審査」について、関西電力の発電事業、ガス製造事業、関西電力送配電の一般送配電事業を対象に2024年5月より制度運用が開始され、これに対応する社内ルール整備が完了したため、以降、適切に対応していく。

《14》市場・市況変動リスク

事業活動に伴い、通貨や各種商品の価値・価格の変動、金利や為替の変動および気候の変動に起因する収支変動等の不確実性がある。販売方策の工夫、デリバティブ取引の活用等により、一定以上の損失の回避、収支の安定化および向上を図っている。

当社グループの有利子負債残高(連結)は、2024年3月末時点で、4,580,482百万円(総資産の50.7%に相当)であり、有利子負債残高の96.6%(4,423,501百万円)は長期借入金、社債の長期資金である。長期資金の多くは固定金利であるものの、一部は変動金利での調達であるため、今後調達する長期借入金、社債等を含め、市場金利の動向は当社グループの業績に影響を与える可能性があり、引き続き、その動向を注視する。 

第3 【参照書類を縦覧に供している場所】

関西電力株式会社 本店

(大阪市北区中之島3丁目6番16号)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号) 

 0400000_honbun_0139505973705.htm

第四部 【保証会社等の情報】

該当事項なし

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