臨時報告書\_20250613150932
# 【表紙】
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| 【提出書類】 | 臨時報告書 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 2025年6月13日 |
| 【会社名】 | 天馬株式会社 |
| 【英訳名】 | TENMA CORPORATION |
| 【代表者の役職氏名】 | 代表取締役社長 廣 野 裕 彦 |
| 【本店の所在の場所】 | 東京都北区赤羽一丁目63番6号 |
| 【電話番号】 | 03(3598)5511(代表) |
| 【事務連絡者氏名】 | 取締役総務部長 則 武 勝 |
| 【最寄りの連絡場所】 | 東京都北区赤羽一丁目63番6号 |
| 【電話番号】 | 03(3598)5511(代表) |
| 【事務連絡者氏名】 | 取締役総務部長 則 武 勝 |
| 【縦覧に供する場所】 | 株式会社東京証券取引所<br><br>(東京都中央区日本橋兜町2番1号) |
E00857 79580 天馬株式会社 TENMA CORPORATION 企業内容等の開示に関する内閣府令 第五号の三様式 1 false false false E00857-000 2025-06-13 xbrli:pure
臨時報告書\_20250613150932
### 1【提出理由】
当社は、2025年6月13日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を併合すること(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2025年7月23日開催予定の当社臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
### 2【報告内容】
1.株式併合を行う目的
2025年3月14日付で公表しました「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、FHLホールディングス株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式、当社が所有する自己株式及び金田宏氏(以下「金田宏氏」といいます。)(所有株式数:300,771株、所有割合(注1):1.49%)、当社の第6位株主であり(2024年9月30日時点。以下株主の順位の記載について同じです。(注2))、2014年6月から2020年6月まで当社の代表取締役会長を務めており、かつ金田宏氏の父である金田保一氏(以下「金田保一氏」といいます。)(所有株式数:840,716株、所有割合:4.17%)、株式会社カネダ興産(以下「カネダ興産」といいます。)(所有株式数:2,924,120株、所有割合:14.49%)並びに金田宏氏及び金田保一氏の資産管理会社であり、金田保一氏が代表取締役を務める有限会社ビー・ケー・ファイナンス(以下「ビー・ケー・ファイナンス」といいます。)(所有株式数:220,700株、所有割合:1.09%)(以下、カネダ興産、ビー・ケー・ファイナンス、金田宏氏及び金田保一氏を総称して「本不応募合意株主ら」といいます。)が本公開買付け(以下に定義します。)に応募しないことに合意している当社株式(3,904,307株(所有割合:19.34%。以下「本不応募合意株式」といいます。))を除きます。)を取得し、当社株式を非公開化するための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施することを決定したとのことです。
(注1)「所有割合」とは、当社が2025年5月9日に公表した「2025年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載された2025年3月31日現在の当社の発行済株式総数(22,313,026株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(2,130,429株。なお、当該自己株式数には、当社の役職員を対象とする株式報酬制度により三井住友信託銀行株式会社が役員向け株式交付信託の信託財産として所有する当社株式237,504株(所有割合:1.18%)及び従業員向け株式交付信託の信託財産として所有する当社株式13,000株(所有割合:0.06%)は含めておりません。以下、当社が所有する自己株式数について同じです。)を控除した株式数(20,182,597株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。
(注2)当社が2024年11月8日に提出した第77期半期報告書(以下「当社半期報告書」といいます。)の「第一部 企業情報」の「第3 提出会社の状況」の「1 株式等の状況」の「(5)大株主の状況」において記載のとおり、当社株式については、ダルトン・インベストメンツ・インク(以下「ダルトン・インベストメンツ」といいます。)から大量保有報告書(変更報告書)が提出されておりますが、当社として2024年9月30日現在におけるダルトン・インベストメンツの実質所有株式数の確認ができないことから、本書中の株主順位は、ダルトン・インベストメンツを除き、当社半期報告書の「第一部 企業情報」の「第3 提出会社の状況」の「1 株式等の状況」の「(5)大株主の状況」における「発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合」を参照の上、割合が大きい順に記載したものです。なお、ダルトン・インベストメンツから報告を受けた本公開買付けの公表日である2025年3月14日時点の所有株式数は3,699,700株(所有割合:18.33%)です。
そして、当社が2025年4月29日付で公表いたしました「FHLホールディングス株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」(以下「本公開買付結果プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、公開買付者は2025年3月17日から2025年4月28日まで本公開買付けを行い、その結果、2025年5月9日(本公開買付けの決済の開始日)をもって、当社株式12,996,444株を保有するに至りました。
公開買付者は、2018年8月27日に設立された株式会社であり、本日現在において、投資業務等を主たる事業内容として、主として当社株式を所有する当社の創業家の資産管理会社とのことです。本日現在、当社の取締役かつ創業家の1人である金田宏氏及び金田宏氏の配偶者であるイ・スジョン氏(以下「イ・スジョン氏」といいます。)が代表取締役を務め、金田宏氏及びイ・スジョン氏がその発行済株式の全てを所有しているとのことです。本公開買付けの公表日である2025年3月14日時点で、公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社株式2,786,000株(所有割合:13.80%)を所有する当社の主要株主である第2位株主とのことです。また、公開買付者がその発行済株式の全てを所有し、金田宏氏が代表取締役を務めるカネダ興産は、当社株式2,924,120株(所有割合:14.49%)を所有する当社の主要株主であり、また、金田宏氏は、当社株式300,771株(所有割合:1.49%)を所有しているとのことです。
本意見表明プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、当社は、1949年8月、創業者である金田忠雄氏(金田宏氏の大伯父)と金田保彦氏(金田宏氏の祖父)により日用品雑貨、ゴム製履物類の製造販売を営む太洋商事株式会社として設立され、1954年7月、欧米で急速に発展したプラスチック産業への特化を図り、天馬合成樹脂株式会社に社名を変更いたしました。その後、当社は、1987年4月に商号を天馬株式会社に変更し、1988年8月に東京証券取引所市場第二部に株式を上場、1991年4月に東京証券取引所市場第一部指定を受けました。2022年4月の東京証券取引所における市場区分の見直しにより、本日現在においては東京証券取引所プライム市場に上場しております。
本日現在、当社並びにその子会社16社及び関連会社2社により構成される企業グループ(以下「当社グループ」といいます。)は、主としてハウスウエア合成樹脂製品(収納用品、キッチン用品、清掃用品、ガーデニング用品、バス用品、洗濯用品等)及び工業品合成樹脂製品(OA・電子機器部品(注3)、家電機器部品、自動車外装・内装部品、住設部品、各種コンテナー、メディアケース等)の製造及び販売に関連した事業を行っております。
当社グループは、「人々の本質的な豊かさを支える」というパーパスのもと、人々の生活をより良いものにするために、製品・サービスに込めた思いや、お客様に寄り添う心を大切にした「ものづくり」を磨いてきました。今後も「人々の本質的な豊かさを支える」企業としてあり続けるために、当社グループは、2024年5月24日に公表した「第4次中期経営計画の策定に関するお知らせ」の中期経営計画(以下「本中期経営計画」といいます。)において、「サステナブル経営推進による企業価値向上」を基本方針として、(a)サーキュラーエコノミーの実現、多様な人財の活躍及び新しい価値創造をはじめとする当社が特定したマテリアリティ(優先して取り組むべき重要な課題)に対する各種施策の推進(注4)、(b)事業ポートフォリオの変革(注5)、(c)不採算事業領域の再建(注6)の主要施策に取り組みながら、企業価値の向上を目指しております。
一方で、当社グループを取り巻く事業環境は、海外においては、インフレ圧力の緩和を受けた実質所得の回復等により、欧米での個人消費が堅調に推移しておりますが、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりや、欧米諸国の金融政策による為替変動、中国経済の減速懸念や米国における今後の政策動向など依然として不透明な状況が継続していると認識しております。国内においては、所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などにより緩やかな回復傾向にはあるものの、資源価格の高騰や物価高による個人消費への影響は増しており、消費者による節約志向が一段と高まりを見せていると認識しております。
このような事業環境の中、当社グループの主業である樹脂成形事業は、業界全体として売上・利益ともにコロナ前の水準以上に回復しており、射出成形(注7)に対する需要は底堅いと認識しています。他方で、製品分野別では、工業品合成樹脂製品分野のうち、車両分野や空調等の家電分野における需要が見込まれる一方、当社グループの主力事業であるOA分野は、国内外ともに市場成長が比較的鈍化傾向にあると想定されます。ハウスウエア(HW)分野及び関連商品においては、国内需要に大きな伸びが見込めないため、海外市場の開拓が必要であると考えております。また、当社は、地域別では、特に工業製品合成樹脂分野におけるOA分野において中国から東南アジアへの生産移管の流れが加速する見込みであると考えています。以上のように、当社グループの各製品セグメントや各地域における動向は目まぐるしく変化しており、これらの動向を的確に把握し、製造拠点のアロケーションや各拠点におけるプロダクトミックスの見直しについても適切かつ迅速に実施することが、従来にも増して重要となってきていると認識しております。
(注3)「OA・電子機器部品」の「OA」とは、Office Automationの略語で、オフィス業務の効率化や生産性向上を目的とした機器をOA機器といいます。なお、当社におけるOAは、主に複写機・コピー機を指しており、電話やPCは含まれておりません。
(注4)「マテリアリティ(優先して取り組むべき重要な課題)に対する各種施策の推進」としては、2031年3月期において2020年3月期対比でGHG(Green House Gas)排出量を30%削減、使用済み樹脂の再資源化によるサーキュラーエコノミーの実現、日本国内女性管理職比率の向上と海外子会社の人材育成、安心・安全な職場環境の醸成による従業員満足度の向上、コーポレートガバナンス体制の維持・強化、自動化とDX推進による生産体制の変革により、サステナブルな事業運営を図っております。
(注5)「事業ポートフォリオの変革」としては、研究開発とM&Aを梃子にした車両分野の成長、タイ拠点の能力増強による家電事業の強化、受託製品事業における新規事業領域開拓により低収益性からの脱却を図っております。
(注6)「不採算事業領域の再建」としては、家庭用収納用品の主力ブランドFitsのリブランディング、EC戦略の強化、海外ハウスウエア(HW)事業の強化、固定費圧縮と組織再編により採算性の改善を図っております。
(注7)「射出成形」とは、プラスチックを成形する方法の一つで、成形材料を射出シリンダーの中で混ぜ合わせ、可塑化して溶かし、スクリューによって金型内に圧入し、成形する方法です。
このような事業環境の下、公開買付者の代表取締役であり、当社の取締役でもある金田宏氏は、当社グループが常に事業環境に対応してグローバルでの激しい競争環境の中で企業価値を向上させるには、本中期経営計画にも記載のとおり、当社グループの主力事業であるOA分野と、今後成長が見込まれる車両・家電分野への積極投資や、製造拠点の最適化を実効性高く行うことが必要不可欠であり、また、大胆な事業変革を促すため、過去に類を見ない大型M&A等の投資戦略もスピード力をもって実行していくことが必要であると考えているとのことです。
そして、金田宏氏は、当社グループにおいては、上記戦略を実行するとともに、上記戦略をスピード力をもって実行するためには、組織・人材面の強化が重要であると考えているとのことです。しかしながら、金田宏氏は、当社の組織・人材面の具体的な課題として、OA分野や車両分野、家電分野等の新たな領域における知見を有する人材や、海外拠点における営業人材が十分でないこと、また、現状の当社グループのマネジメントを中心とした人材のみでは、当社グループの企業価値に必要と考えられる大胆な設備投資やM&A等の重大な経営判断を十分に行える体制ではないことに課題があると認識しているとのことです。さらに、金田宏氏は、現状の当社グループの人事評価・報酬制度では競争力のある人材獲得ができる状況になく、人材を獲得した場合においても、業務成果に対する十分な評価ができない可能性があり、優秀な人材の定着が困難な状況を早急に改善する必要があると考えているとのことです。そのため、金田宏氏は、本中期経営計画の取り組みと並行して、事業戦略の基盤となる当社の組織・人材面の強化が急務であるものと考えているとのことです。
金田宏氏は、当社グループの企業価値を向上させるには、具体的に以下の施策を実施することが必要であると考えているとのことです。
(ⅰ)事業ポートフォリオの変革
現在、当社グループの主要事業であるOA分野は、2015年以降の事務機械の国内外をあわせた出荷実績は2022年を除いて二桁パーセント以上成長している状況になく(注8)、国内外ともに市場成長が比較的鈍化傾向にある一方、車両分野では環境保全やEV(電気自動車)化等の自動車業界のトレンドや2022年以降2029年にわたり自動車の生産台数は増加傾向にあること(注9)により、プラスチック部品への需要は増加することが想定され、また、家電分野においても、世界全体でのエアコンの需要は2020年以降右肩上がりであり、2023年の世界全体でのエアコン需要は前年対比105%(注10)と今後も需要の増加が見込まれているとのことです。金田宏氏は、かかる外部環境を踏まえて、当社グループの新しい収益の柱を確立し十分な利益を確保するために、当社グループの主要事業であるOA分野へ継続的に投資を行いながら、樹脂化の進展が見込まれるモーター・バッテリー部品やラジエーター冷却パイプ等のEV関連部品やロボティクス関連部品への進出や、今後需要の拡大が見込まれる次世代家電の強化、ハウスウエア(HW)分野における海外市場の開拓等、持続的な成長を可能とするポートフォリオの再構築が必要不可欠であると考えているとのことです。
(注8)出所:一般社団法人ビジネス機械・情報システム 産業協会(JBMIA)の事務機械出荷実績
(注9)出所:株式会社富士キメラ総研の「2024 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」
(注10)出所:一般社団法人日本冷凍空調工業会(JRAIA)の2024年6月「世界のエアコン需要推定」
(ⅱ)海外拠点における生産能力・倉庫能力の増強
当社グループは、1992年より海外進出を本格化させ、現在は中国、ベトナム、タイ、インドネシア、北米において事業を展開しているとのことです。当社グループの連結売上高(2024年3月期は102,052百万円)における海外拠点の売上高(2024年3月期は76,465百万円)構成比は約75%と、引き続き当社グループの重要な成長ドライバーであるとのことであり、金田宏氏は、今後は海外拠点における生産能力・倉庫能力を増強し、海外における需要に対応できる基盤を構築することにより、海外拠点での収益拡大をさらに加速させることが重要であると考えているとのことです。具体的には、現在当社グループが戦略的に注力しているTENMA(Thailand)Co., Ltd.(当社のタイ子会社)やTENMA VIETNAM CO., LTD.(当社のベトナム子会社)のハロン工場等に適切な資金の投入をはじめ、海外拠点における生産能力・倉庫能力の増強及び事業拡大を図っていく必要があると考えているとのことです。
(ⅲ)成長戦略の根幹となる人材・組織の強化
金田宏氏は、より一層多様化する取引先のニーズや激変する業界環境に対応するためには、本中期経営計画の実行性を高めるための盤石な経営基盤の構築が重要であると考えているとのことです。具体的には、積極的な採用戦略による当社グループの主要事業であるOA分野や今後成長が見込まれる車両・家電分野をはじめとする関連業界に精通した専門人材、海外市場での営業経験のある営業人材、また、マネジメント人材として海外進出や事業開発の知見や経験が豊富な人材の獲得を考えているとのことです。金田宏氏は、現在の当社のマネジメントの体制を大幅に変更することは想定しておらず、一定程度の知見や知識を有する外部のマネジメント人材が、投資や海外市場の責任者として当社のマネジメントに参画することを想定しているとのことです。なお、本取引後において、公開買付者と当社のその他の取締役(監査等委員である取締役を含みます。)との間、又は、公開買付者と外部のマネジメント人材との間には、本公開買付け成立後の役員就任や処遇について合意はないとのことです。また、金田宏氏は、人材の新規獲得については、競争力のある人材獲得や優秀な人材の定着を図る観点から、専門知識・知見を有する人材への相応の評価・対価の支払いが可能となるような人事制度・報酬制度の見直しを図ることも考えているとのことです。
金田宏氏は、施策(ⅰ)及び(ⅱ)により、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応できる収益基盤の構築を図るとともに、施策(ⅲ)により、施策(ⅰ)及び(ⅱ)も含めた事業戦略の実効性やスピード力を高める組織体制を築き、当社グループの継続的な企業価値向上を図ることが可能になると考えているとのことです。
一方、金田宏氏は、当社グループが現状のまま短期的な資本市場からの期待や要請への対応や上場を維持するために必要な人的・経済的コストを負担しながら上記施策(ⅰ)~(ⅲ)を一体として実行することは困難であり、仮に実行できた場合においても時間を要する可能性が高く、競合環境も含めた事業環境の変化に適切に対応していくことが困難であると考えているとのことです。上記施策(ⅰ)~(ⅲ)を一体として推進するためには、生産能力・倉庫能力の強化のための建物や機械等への設備投資や競争力のある人材獲得や従業員のリテンションのための人材投資などの多額の先行投資が想定されるとのことです。金田宏氏は、当該先行投資により一時的に当社グループの収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性は否定できず、短期的には当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与えるリスクがあると考えており、当社が上場を維持したまま上記施策(ⅰ)~(ⅲ)を一体として実施する場合は、一時的ではあるものの当社グループの収益の低下等に伴い、資本市場から十分な理解や評価を得ることができず、その結果として当社株式の株価が下落し、当社株式の価値が毀損する可能性もあると考えているとのことです。上記の理由から、金田宏氏は、当社が上場を維持したまま、上記施策(ⅰ)~(ⅲ)を一体として実行することは難しいと判断しているとのことです。
当社は、1988年8月に上場会社として株式を公開して以来、知名度及び社会的な信用の向上等、上場会社としての様々なメリットを享受してきましたが、金田宏氏は、現在、当社においては、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれていないこと、また、長年にわたる取引関係を通じてブランド力や様々な取引先に対する信用力は既に確立できていることを踏まえると、当社株式の非公開化による実質的な不利益は見込まれず、当社が上場を維持する必要性や上場を維持することにより享受できるメリットは相対的に低下しているものと考えているとのことです。本取引後、当社においては一般消費者における知名度や社会的な信用力を本取引前よりも獲得しづらくなる可能性が想定されますが、金田宏氏は、当社が創業以来築いてきた知名度及び社会的な信用力に照らし合わせれば、非公開化による悪影響は限定的であると考えているとのことです。金田宏氏は、上記のとおり当社グループを取り巻く環境の変化とその対応を検討した結果、当社の株主に発生する可能性がある株価下落による株式価値の毀損を回避しつつ、短期的な株価の変動にとらわれることなく長期的な視点で当社グループの事業基盤の強化を大胆に推進し、当社グループが「百年企業」としての地位を確立することに挑戦できるという点で、当社株式を非公開化することが当社グループの企業価値向上のために最も有効な手段であるとの考えに至ったとのことです。また、1949年の創業以来受継がれてきた創業の精神や経営理念、確立してきた企業文化等を理解し、かつ、当社グループの各ステークホルダーとの関係を維持しつつも、速やかに上記の施策を推進していくためには、第三者による又は金田宏氏及び第三者との協働による非公開化ではなく、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注11)として本取引を実行し、金田宏氏自ら変革の方針を当社グループ内において明確に示し、当社グループ経営陣及び社員が一丸となり推進することが当社グループの中長期における企業価値の向上に最も資するとの考えに至ったとのことです。
(注11)「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。
本意見表明プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、当社は、公開買付者から2024年10月15日付で本取引に係る意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を受領した後、森・濱田松本法律事務所(現在の森・濱田松本法律事務所外国法共同事業。以下「森・濱田松本法律事務所」といいます。)から受けた法的助言、ファイナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所株式会社(以下「りそな総合研究所」といいます。)及び株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)から受けた財務的見地からの助言並びにプルータス・コンサルティングから2025年3月13日に取得した当社株式の株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)」といいます。)及び本公開買付価格の財務的観点からの公正性についての意見(フェアネス・オピニオン)(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会(下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」で定義します。以下同じです。)から提出を受けた答申書(以下「本答申書」といいます。)において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか、当社株式1株当たりの買付け等の価格である金3,580円(以下「本公開買付価格」といいます。)を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか等の観点から、慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、以下の理由により、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
(a)経営・専門人材の拡充と強固な組織の構築
当社は、当社製品に対するニーズについては、例えば、共働き世代の増加等の生活スタイルの変化等に伴い、大型の収納用品から多彩な収納用品へと変化してきたこと、当社製品の購入方法については、これまでは店頭で直接商品を見て購入することが主流であったものが、インターネットを通じて入手された多様な情報を基に購入する方法へと変化してきたこと、働き方改革等に伴う製品に対する嗜好の変化の流れが速くなる等、激変する業界環境に対応するために、本中期経営計画を着実に実行するための経営基盤の構築が重要であると考えております。
その構築にあたっては、主力事業であるOA分野の環境変化に即応する拠点政策、成長分野である車両・家電分野の強化や、新規分野への参入、ハウスウエア(HW)分野における新たな製品の開発、海外市場への進出、EC販売の強化等に資する人材と体制が必要であると認識しています。
しかしながら、現在の当社では、マネジメント層においては海外進出や大型投資に関する一定の知見を有する人材が、車両分野においては業界の品質基準に関する考え方や商慣習等に関する知見を持った専門人材及び塗装技術に関する知識を持った専門人材が、それぞれ不足していると考えております。これらの専門性を有する人材なくして上記の施策を実効的に実施することは困難であるため、当社としては、優秀な人材を早急に獲得し、既存の当社組織と早期に融合させ、かつエンゲージメントの向上を図ることで、当社業績の立て直しや長期的な成長につなげることが重要であると考えております。
一方、上述した専門人材の獲得及び役職員のリテンションやモチベーション強化によりつながる人事評価・報酬制度を積極的に導入した場合、人件費の増加に伴う短期的な業績低下が生じる可能性は否定できません。本取引を通じて、そうした短期業績動向にとらわれずに積極的な人事評価・報酬制度を導入することが可能になることに加え、創業家出身者である金田宏氏のもと所有と経営を一致させることにより、より迅速かつ柔軟な意思決定が可能になると考えております。したがって、当社は、本取引を実行することで、当社事業の独自性や企業カルチャーを十分に活かしながらも、これまでの事業との継続性を持たせる形で今後成長が見込まれる車両・家電分野をはじめとする関連業界に精通した専門人材や外部の優秀なマネジメント層を含む積極的な採用戦略を着実に実行することが可能になり、当社の企業価値の向上を図ることができると考えております。
(b)高い収益性や将来性に向けた事業ポートフォリオの再構築
現在、当社のOA分野については、市場全体としては、成熟傾向にある中、当社グループの売上高においては50%以上の構成比となっているため、今後も主力事業と位置付け継続的に売上げを維持すること、また、自社製品市場であるハウスウエア(HW)分野については、国内市場において、これまでのような収納用品の製造及び販売に特化したカテゴリー戦略では、大きな成長は期待できないことが想定される中で、当社が有する合成樹脂に関する製造技術を用いた国内市場における新たなカテゴリーの開拓、及びハウスウエア合成樹脂製品について海外市場やEC等の新たな販路の開拓による抜本的な成長戦略を実施することが重要であると認識しています。他方で、車両分野や家電分野については、将来的な成長が見込まれていることから、当社が市場環境に適応し成長していくためには、新たに収益が確保できると見込まれる車両(国内、インドネシア、北米)分野や、家電(タイ、ベトナム)分野において、積極的に人材投資や工場等の設備投資をしていくことが重要であると考えております。
同時に、近年の急激なインフレや円安、目まぐるしく状況が変化する経営環境に対応して、当社がグローバルでの厳しい競合環境の中で成長し続けるためには、既存事業での研究開発や新たなビジネスの創出による高付加価値なビジネスへの転換が求められますが、ビジネスの転換を進めるには、既存事業で稼得した収益を新規事業に継続的に投入し、試行錯誤を行う期間が必要となります。このような転換を試行する期間においては、当社のROEやROIC等の経営指標は投資家の期待を下回ることが想定されることから、上場を維持し続けた場合には、投資家の期待に十分に配慮しながら、様々な施策を大胆かつスピード力をもって実行することが難しいと考えております。
したがって、本取引を通じた非公開化を行うことで、足元の業績や株価にとらわれることなく、上記施策を柔軟かつスピード力をもって進めていくことが可能となり、当社の企業価値の向上を図ることができると考えております。
(c)採算性を鑑みた重点投資地域における生産能力の拡大
当社は生産拠点に関する課題として、(Ⅰ)主力事業であるOA分野においては、主要取引先企業における中国から東南アジアへの生産拠点の移管が進んでいることから、当社の東南アジアにおける製造拠点での安定した製造に向けた対応が必要であること、(Ⅱ)車両(国内、インドネシア、北米)分野や家電(タイ、ベトナム)分野は成長が見込まれるため、当該需要に適時に対応する必要があること、(Ⅲ)国内のハウスウエア(HW)分野において販売数量が伸び悩む中で、物流費、人件費、原材料費等の価格上昇に加え、設備投資費用も掛かることから、継続的な不採算が発生しており、収益改善が必要な状況であること、の3点が挙げられると認識しております。
そのため、国内のハウスウエア(HW)分野の生産体制の見直しを行いつつ、中国から東南アジアへのOA分野の生産機能の移管、車両(国内、インドネシア、北米)分野や家電(タイ、ベトナム)分野の需要を取り込める生産能力の強化が、当社が今後成長するために重要であると考えております。
上記生産体制の見直し及び生産能力の強化については、上記(a)、(b)を含む各種施策を並行して推進することが効果的かつ効率的ですが、当社が上場を維持したまま各施策を大胆に実施する場合は、一時的ではあるものの当社グループの収益力及び資本効率の低下等に伴い、資本市場から十分な理解や評価を得ることができず、その結果として株価が下落し、当社の株式価値が毀損する可能性があると認識しております。また、当社が上場を維持した場合、中長期的な利益のみならず、短期的な利益にも配慮する必要があるため、各施策を進めるスピード感が減殺される可能性があると認識しております。本取引により、短期的な業績動向に左右されずに上記施策を大胆かつスピード力をもって実行することが期待できると考えております。
上記の施策の実現はいずれも、中長期的に見れば当社グループの収益の拡大、ひいては大きな成長が望めるものの、他方で、いずれの施策についてもその実行段階において、短期的な収益に直結せず、むしろ短期的な業績悪化につながる可能性があることから、上場会社の施策として資本市場から十分な評価を得られない場合においては、株価の下落を招き、当社既存株主の期待に沿えないおそれがあり、当社が上場を維持したままでこれらの諸施策を迅速に実施することは困難であると考えております。なお、当社の株式の非公開化を行った場合、上場会社として享受してきた社会的な信用力及び知名度向上による優れた人材の獲得及び取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられ、また、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなります。しかしながら、近時の上場維持コストの上昇を踏まえると、今後も継続して上場を維持することの意義は乏しくなっており、また当社グループの現在の財務状況を勘案すると大規模な資金調達の必要性は見込まれず、当社が創業以来築いてきた社会的な信用力及び知名度に照らし合わせれば、非公開化による悪影響は小さいものと考えられます。
したがって、当社取締役会は、上記に記載した検討を踏まえて、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。また、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化し、所有と経営を一致させることで機動的かつ柔軟な意思決定が可能となり、株主と経営陣が一体となった強固かつ安定した新たな経営体制を構築することが、当社の企業価値向上に資するとの結論に至りました。
また、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」に記載のとおり、当社取締役会は、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年3月14日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
その後、本公開買付けが成立いたしましたので、当社は、公開買付者から要請を受け、本意見表明プレスリリースにてお知らせいたしました方針に従い、2025年6月13日開催の当社取締役会において、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主らのみとすることに向けて、本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
なお、本公開買付けの結果、公開買付者及び本不応募合意株主ら以外に、本不応募合意株主らがそれぞれ所有する当社株式の数のうち最も少ない数以上の当社株式を所有する当社の株主が存在することになったことを受け、当社の株主を公開買付者及び本不応募合意株主らのみとすることに向けた当社株式を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実現するため、本不応募合意株主らの間においては、当社株式についての消費貸借契約を締結し、①金田保一氏、カネダ興産及びビー・ケー・ファイナンスが貸主となり、それぞれが所有する当社株式の全てを金田宏氏へ貸し出すこと、並びに、②借主となった金田宏氏が、金田保一氏、カネダ興産及びビー・ケー・ファイナンスに対して、本株式併合の効力発生後、当該消費貸借契約を解消し、当該借り受けた当社株式の全てを返還すること(以下「本貸株取引」といいます。)を通じて、各本不応募合意株主らが本スクイーズアウト手続後も当社株式を継続して所有することを実現する予定のことです。
なお、本貸株取引及び本株式併合により、公開買付者及び金田宏氏(以下「公開買付者ら」といいます。)以外の株主の皆様の所有する株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
その他の本取引の経緯の詳細につきましては、本意見表明プレスリリース及び本公開買付結果プレスリリースも併せてご参照ください。
2.本株式併合の割合
当社株式について、3,904,307株を1株に併合いたします。
3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「1.株式併合を行う目的」に記載のとおり、本貸株取引及び本株式併合により、公開買付者ら以外の株主の皆様の保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(会社法第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定にしたがって売却し、その端数に応じて、その売却により得られた代金を株主の皆様に交付いたします。当該売却について、当社は、本株式併合が、当社の株主を最終的に公開買付者及び本不応募合意株主らのみとすることを目的とする本取引の一環として行われるものであること、当社株式が2025年8月18日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者が買い取ることを予定しております。
この場合の売却額は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である3,580円を乗じた金額に相当する金銭を各株主の皆様に交付できるような価格に設定する予定です。
② 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者の氏名又は名称
FHLホールディングス株式会社(公開買付者)
③ 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
本意見表明プレスリリースの「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、株式会社三井住友銀行からの借入れにより賄うことを予定していたところ、当社は、本取引の実行手続において、公開買付者が2025年3月17日に提出した公開買付届出書及びそれに添付された2025年3月14日付融資証明書を確認することによって、公開買付者の資金確保の方法を確認しております。また、公開買付者によれば、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払についても、これらの資金から賄うことを予定しており、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払に支障を及ぼす可能性のある事象は発生しておらず、また今後発生する可能性も認識していないとのことです。
したがって、当社は、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払のための資金を確保する方法については相当であると判断しております。
④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、2025年9月上旬を目途に会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を売却し、公開買付者において当該当社株式を買い取ることについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動し得ますが、当社は、当該裁判所の許可を得て、2025年10月上旬までを目途に公開買付者において買い取りを行う方法により当該当社株式を売却し、その後、当該売却によって得られた代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2025年11月中旬から12月中旬までを目途に、当該売却代金を株主の皆様に交付することを見込んでおります。
当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主への交付が行われるものと判断しております。
(2) 当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」の「① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由」に記載のとおり、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額は、株主の皆様が所有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である3,580円を乗じた金額となる予定です。
また、当社は本公開買付価格である3,580円は、(ⅰ)本公開買付価格が、下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載されている本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)における当社株式価値算定結果のうち、(a)市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限額を上回っていること、(b)類似会社比較法に基づく算定結果のレンジの上限額を上回っていること、かつ、(c)ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの中央値を上回っていること、(ⅱ)本公開買付けの公表日の前営業日である2025年3月13日を基準として、東京証券取引所プライム市場(以下同じです。)における当社株式の基準日の終値2,620円に対する36.64%、同直近1ヶ月の終値単純平均値2,641円に対して35.55%、同直近3ヶ月の終値単純平均値2,755円に対して29.95%、同直近6ヶ月の終値単純平均値2,816円に対して27.13%のプレミアムがそれぞれ加算された金額であり、当該プレミアム水準は、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」が発表された2019年6月28日以降に公表され、2025年1月31日までに公開買付けが成立した非公開化を目的としたMBO案件(但し、対象者が債務超過であるものやディスカウント価格での公開買付け事案は除きます。)74例における、公表日前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアムの中央値(対公表日前営業日終値:42.44%、対過去1ヶ月間:45.18%、対3ヶ月間:45.80%、対6ヶ月間:49.27%)との比較においては必ずしも高い水準とは評価できないものの、当社を取り巻く厳しい事業及び経営環境を踏まえた当社グループの企業価値にとっての本取引の必要性の高さに照らせば、他のMBO案件におけるプレミアムのレンジの中央値と同水準のプレミアムでなければ本取引を実施すべきではないと直ちに判断することが必ずしも適切ではなく、上記(ⅰ)のとおり、そのような環境を反映する当社の2025年3月期から2029年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)を基に算定された本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)における当社株式価値算定結果と照らしても不合理ではないと考えられること、その上で、本公開買付価格が、上記のとおり、公表日前営業日である基準日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対してそれぞれ25.00%以上となるプレミアムが付されたものであり、一定の水準には至っていると考えられること、(ⅲ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られていること等、一般株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅳ)上記措置が採られた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、(ⅴ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていることを踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。なお、本公開買付価格は、当社の2024年12月31日時点の1株当たり純資産額(4,001.01円)を10.52%下回っておりますが、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準においては、継続企業の前提に基づいて連結貸借対照表は作成されており、その純資産は理論的な清算価値を示すものではありません。また、当社の資産には棚卸資産や工場の土地・建物、のれんを含む無形固定資産などの流動性の低い事業用資産(当社の連結貸借対照表(2024年3月31日現在)上、資産合計(101,921,451千円)に占めるそれらの資産に該当する資産(「商品及び製品」(3,516,965千円)、「仕掛品」(696,186千円)、「原材料及び貯蔵品」(4,738,130千円)、「工場に関連する有形固定資産」(31,084,268千円)及び「無形固定資産」(3,415,789千円))の割合は42.63%)が多く含まれており、資産売却に際しての困難性や清算に伴う様々な追加コストの発生等を考慮すると、仮に当社が清算する場合にも、簿価からの相当程度の毀損が見込まれること(但し、当社としては清算を予定しているわけではないため、清算を前提とする見積書の取得や具体的な試算は行っておりません。)から、継続企業である当社の企業価値の算定において、純資産額を重視することは合理的ではないと考えられます。
当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年3月14日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。その後、本臨時株主総会の招集を決議した2025年6月13日付の当社取締役会の開催時点に至るまでに、本公開買付価格に関する当社の判断の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。
以上より、当社は、端数処理の方法及び端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)(以下「MoM」といいます。)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の一般株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいてMoMの買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の措置を実施していることから、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。また、本特別委員会は、本答申書において、他の公正性担保措置が十分に講じられていると解されることに鑑みると、MoM条件が設定されていないことのみをもって、株主の適切な判断機会の確保が欠缺しているとまで解する必要はないと考えられる旨判断しており、当社としても同様に判断しております。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
当社は、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会における意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立した第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングに対して、当社株式の株式価値の算定及び本公開買付価格の財務的観点からの公正性についての意見(フェアネス・オピニオン)の表明を依頼し、2025年3月13日付で本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを取得しております。
プルータス・コンサルティングは、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本特別委員会において、プルータス・コンサルティングの独立性及び専門性に問題がないことが確認されております。なお、プルータス・コンサルティングの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
(i)算定の概要
プルータス・コンサルティングは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であることの前提の下、当社株式の価値を多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を用い、比較可能な類似上場会社が存在し、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を用い、また、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行いました。
プルータス・コンサルティングによれば、当社株式の株式価値算定にあたり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
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| 市場株価法 | 2,620円~2,816円 |
| 類似会社比較法 | 2,644円~3,153円 |
| DCF法 | 2,952円~3,918円 |
市場株価法においては、2025年3月13日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日終値2,620円、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,641円、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,755円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値2,816円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は、2,620円から2,816円と算定しております。
類似会社比較法においては、当社と比較的類似する事業を営む類似上場企業として、三光合成株式会社、株式会社タカギセイコー、天昇電気工業株式会社、ムトー精工株式会社、ダイキョーニシカワ株式会社、ヤマトモビリティ & Mfg.株式会社、森六ホールディングス株式会社(現 森六株式会社)及び盟和産業株式会社を選定した上で、EBITDAマルチプルを用いて、当社株式の株式価値を算定し、その1株当たりの株式価値の範囲を2,644円から3,153円と算定しております。
DCF法においては、当社が作成した本事業計画を基に、2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期第4四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社の企業価値や株式価値を分析し、当社普通株式の1株当たりの価値の範囲を2,952円~3,918円と算定しております。なお、割引率については、7.4%~9.6%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法及び倍率法を採用し、株式価値を算定しております。永久成長率は0%とし、倍率はEBITDA倍率を採用し、2.8倍~4.2倍として算定しております。なお、プルータス・コンサルティングがDCF法の算定の前提とした本事業計画には、当社が2025年3月14日付で公表した「2025年3月期 通期業績予想の修正に関するお知らせ」における2025年3月期通期の業績予想が織り込まれております。
プルータス・コンサルティングがDCF法で算定の前提とした当社財務予測の具体的な数値は以下のとおりであり、大幅な増減益及び大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれております。2025年3月期については、主に工業品合成樹脂製品関連(車両分野及び家電分野)における需要増加に伴い、営業利益は2,600百万円(対前年比90.94%増加)と増益となることを見込んでおります。2026年3月期については、主にハウスウエア合成樹脂製品関連における中国での需要増加及び固定費の圧縮に伴い営業利益は4,000百万円(対前年比53.85%増加)、フリー・キャッシュ・フローは2,031百万円(対前年比168.79%増加)を見込んでおります。2027年3月期については、ベトナム新工場の建設投資に伴いフリー・キャッシュ・フローは▲1,513百万円(対前年比174.50%減少)に減少し、2028年3月期については、2027年3月期における設備投資が縮小することに伴いフリー・キャッシュ・フローは3,832百万円(対前年比353.25%増加)に増加することを見込んでおります。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該財務予測には加味しておりません。
(単位:百万円)
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| | 2025年<br><br>3月期<br><br>(3ヶ月) | 2026年<br><br>3月期 | 2027年<br><br>3月期 | 2028年<br><br>3月期 | 2029年<br><br>3月期 |
| 売上高 | 28,949 | 102,000 | 107,000 | 109,300 | 111,500 |
| 営業利益 | 1,002 | 4,000 | 4,700 | 4,900 | 5,200 |
| EBITDA | 2,345 | 8,714 | 9,814 | 10,514 | 11,214 |
| フリー・キャッシュ・フロー | ▲1,930 | 2,031 | ▲1,513 | 3,832 | 4,466 |
プルータス・コンサルティングは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、すべて正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による算定時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
(ⅱ)本フェアネス・オピニオンの概要
当社は、2025年3月13日、プルータス・コンサルティングから、本公開買付価格である1株当たり3,580円は当社の一般株主にとって財務的見地から公正なものである旨の本フェアネス・オピニオンを取得しております。本フェアネス・オピニオンは、本事業計画に基づく株式価値算定の結果等に照らして、本公開買付価格である1株当たり3,580円が、当社の一般株主にとって財務的見地から公正であることを意見表明するものです。なお、本フェアネス・オピニオンは、プルータス・コンサルティングが、当社から、当社の事業の現状、本事業計画等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けた上で実施した当社の株式価値算定の結果に加えて、本公開買付けの概要、背景及び目的に係る当社との質疑応答、プルータス・コンサルティングが必要と認めた範囲での当社の事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びにプルータス・コンサルティングにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行されております。(注1)
(注1)プルータス・コンサルティングは、本フェアネス・オピニオンの基礎資料として用いた本事業計画その他の資料は、当該資料の作成時点における最善の予測と判断に基づき合理的に作成されていることを前提としております。プルータス・コンサルティングはその実現可能性を保証するものではなく、これらの作成の前提となった分析若しくは予測又はそれらの根拠となった前提条件については、何ら見解を表明するものではありません。
プルータス・コンサルティングは、法律、会計又は税務の専門機関ではありません。したがってプルータス・コンサルティングは本公開買付けに関する法律、会計又は税務上の問題に関して何らかの見解を述べるものでもなければ、その義務を負うものでもありません。
プルータス・コンサルティングは、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)に関して独自の評価又は鑑定を行っておらず、これらに関していかなる評価書や鑑定書の提出も受けておりません。したがって、プルータス・コンサルティングは当社及びその関係会社の支払能力についての評価も行っておりません。
本フェアネス・オピニオンは、当社が本公開買付けに関する意見を表明するに際しての検討に供する目的で、本公開買付価格の公正性に関する意見を財務的見地から表明したものです。したがって、本フェアネス・オピニオンは、本公開買付けの代替的な選択肢となり得る取引との優劣、本公開買付けの実施によりもたらされる便益、及び本公開買付け実行の是非について、何らの意見を述べるものではありません。
本フェアネス・オピニオンは、当社の発行する有価証券の保有者、債権者、その他の関係者に対し、いかなる意見も述べるものではありません。したがって、プルータス・コンサルティングは本フェアネス・オピニオンに依拠した株主及び第三者の皆様に対して何らの責任も負いません。
プルータス・コンサルティングは、当社への投資等を勧誘するものではなく、その権限も有しておりません。したがって、本フェアネス・オピニオンは株主の皆様に対して本公開買付けに関する応募その他のいかなる行動も推奨するものではありません。
本フェアネス・オピニオンは、本公開買付価格が、当社の一般株主にとって財務的見地から公正か否かについて、本フェアネス・オピニオンの提出日現在の金融及び資本市場、経済状況並びにその他の情勢を前提に、また、同日までにプルータス・コンサルティングに供され又はプルータス・コンサルティングが入手した情報に基づいて、同日時点における意見を述べたものです。今後の状況の変化によりこれらの前提が変化しても、プルータス・コンサルティングはその意見を修正、変更又は補足する義務を負いません。
本フェアネス・オピニオンは、本フェアネス・オピニオンに明示的に記載された事項以外、又は本フェアネス・オピニオンの提出日以降に関して、何らの意見を推論させ、示唆するものではありません。
プルータス・コンサルティングは、本フェアネス・オピニオンを作成するに当たって当社から提供を受けた基礎資料及び一般に公開されている資料、並びに当社から聴取した情報が正確かつ完全であることを前提としております。プルータス・コンサルティングはその正確性、完全性について、独自の調査、検証を実施しておらず、その義務を負うものではありません。したがって、プルータス・コンサルティングはこれらの資料の不備や重要事実の不開示に起因する責任を負いません。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定における公正性及び適正性を確保するために、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして、森・濱田松本法律事務所を選任し、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。
なお、森・濱田松本法律事務所は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会において、森・濱田松本法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことが確認されております。同事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
③ 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザーからの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定における公正性及び適正性を確保するために、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして、りそな総合研究所を選任し、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点についての助言を含む財務的見地からの助言を受けております。
なお、りそな総合研究所は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会において、りそな総合研究所の独立性及び専門性に問題がないことが確認されております。本取引に係るりそな総合研究所に対する報酬には、本取引の公表や成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。しかし、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案すれば、本取引の公表や成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないとの判断のもと、上記の報酬体系によりりそな総合研究所を当社のファイナンシャル・アドバイザーとして選任いたしました。当社は、りそな総合研究所について、同じ金融グループ(以下「りそなグループ」といいます。)に所属する株式会社りそな銀行(以下「りそな銀行」といいます。)と当社との間で通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施しており、また、りそな銀行が公開買付者への通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施していると認識しているところ、りそな総合研究所より、当社及び本特別委員会に対し、りそなグループでは情報遮断が行われており、りそな総合研究所は、りそな銀行とは独立した立場で、当社のファイナンシャル・アドバイザリー業務を行うとの説明を受けております。
④ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
本特別委員会は、本諮問事項(下記「⑤当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」の「(ⅰ)設置等の経緯」に定義します。)について検討するにあたり、本公開買付価格を含む取引条件の妥当性を確保するために、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立した第三者算定機関である株式会社AGS FAS(以下「AGS FAS」といいます。)に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年3月13日付で当社株式の株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(AGS FAS)」といいます。)を取得いたしました。公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることを踏まえると、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていることに加え、当社における第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングから本フェアネス・オピニオンを取得していることから、本特別委員会は、AGS FASから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、AGS FASは、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会において、AGS FASの独立性及び専門性に問題がないことが確認されております。AGS FASの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
AGS FASは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であることの前提の下、当社株式の価値を多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を用い、比較可能な類似上場会社が存在し、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を用い、また、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行いました。
AGS FASによれば、当社株式の株式価値算定にあたり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
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| 市場株価法 | 2,620円~2,816円 |
| 類似会社比較法 | 2,541円~2,814円 |
| DCF法 | 2,964円~3,838円 |
市場株価法においては、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年3月13日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日終値2,620円、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,641円、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,755円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値2,816円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は、2,620円から2,816円と算定しております。
類似会社比較法においては、当社と比較的類似する事業を営む上場会社として三光合成株式会社、信越ポリマー株式会社及び森六ホールディングス株式会社(現 森六株式会社)を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて、当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,541円~2,814円と算定しております。
DCF法においては、本事業計画を基に、2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期第4四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社の企業価値や株式価値を分析し、当社普通株式の1株当たりの価値の範囲を2,964円~3,838円と算定しております。なお、割引率については、7.63%~9.63%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、株式価値を算定しております。なお、AGS FASがDCF法の算定の前提とした本事業計画には、当社が2025年3月14日付で公表した「2025年3月期 通期業績予想の修正に関するお知らせ」における2025年3月期通期の業績予想が織り込まれております。
また、本事業計画には対前年度比較において大幅な増減益及び大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期については、主に工業品合成樹脂製品関連(車両分野及び家電分野)における需要増加に伴い、営業利益は2,600百万円(対前年比90.94%増加)となることを見込んでおります。2026年3月期については、主にハウスウエア合成樹脂製品関連における中国での需要増加及び固定費の圧縮に伴い営業利益は4,000百万円(対前年比53.85%増加)となることを見込んでおり、ベトナム新工場の建設及びタイ工場の拡張投資に伴い、フリー・キャッシュ・フローは1,891百万円(対前年比84.83%増加)となることを見込んでおります。2027年3月期については、2026年3月期に引き続き、ベトナム新工場の建設投資に伴いフリー・キャッシュ・フローは▲1,419百万円(対前年比175.03%減少)となり、2028年3月期については、2027年3月期における設備投資が縮小することに伴いフリー・キャッシュ・フローは3,943百万円(対前年比377.90%増加)となることを見込んでおります。
AGS FASがDCF法で算定の前提とした当社財務予測の具体的な数値は以下のとおりです。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、上場維持費用の削減を除き、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、AGS FASがDCF法に用いた当社財務予測には加味されておりません。
(単位:百万円)
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| | 2025年<br><br>3月期<br><br>(3ヶ月) | 2026年<br><br>3月期 | 2027年<br><br>3月期 | 2028年<br><br>3月期 | 2029年<br><br>3月期 |
| 売上高 | 28,949 | 102,000 | 107,000 | 109,300 | 111,500 |
| 営業利益 | 1,003 | 4,000 | 4,700 | 4,900 | 5,200 |
| EBITDA | 2,073 | 8,490 | 9,590 | 10,290 | 10,990 |
| フリー・キャッシュ・フロー | ▲2,468 | 1,891 | ▲1,419 | 3,943 | 4,550 |
AGS FASは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から提供を受けた資料及び情報、一般に公開された情報を原則としてそのまま使用し、分析及び検討の対象とした全ての資料及び情報が正確かつ完全であることを前提としており、これらの資料及び情報の正確性又は完全性に関し独自の検証を行っておらず、またその義務を負うものではありません。AGS FASは、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でAGS FASに対して未開示の事実はないこと等を前提としております。当社及び当社の関係会社の全ての資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含み、これらに限られない。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、また第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。AGS FASは、提供された本事業計画その他将来に関する情報が、当社の経営陣による現時点において可能な最善の予測と判断に基づき、合理的に確認、検討又は作成されていることを前提としており、独自に検証することなくこれらの情報に依拠しております。AGS FASの算定は、2025年3月13日現在における金融、経済、市場その他の状況を前提としております。なお、AGS FASが提出した当社株式の株式価値の算定結果は、本公開買付価格の公平性について意見を表明するものではありません。
⑤ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得
(ⅰ)設置等の経緯
当社は、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)として行われるものであり、構造的な利益相反が存することを踏まえ、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、本取引の公正性、透明性及び客観性を担保するために、2024年10月17日の取締役会において、公開買付者、本不応募合意株主ら及び当社から独立した委員によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置することを決議いたしました。当社は、森・濱田松本法律事務所の助言も得つつ、特別委員会の委員の候補について、公開買付者、本不応募合意株主ら及び当社からの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していないことに加え、委員としての適格性を有することを確認した上で、特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって特別委員会を構成するべく、本特別委員会の委員としては、松山昌司氏(当社独立社外取締役(監査等委員)・公認会計士)、倉橋博文氏(当社独立社外取締役・弁護士)及び後藤博孝氏(当社独立社外取締役(監査等委員))の3名を選任しております(なお、特別委員会の委員は設置当初から変更しておりません。)。また、本特別委員会は、委員の互選により、本特別委員会の委員長として松山昌司氏を選定しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。なお、公開買付者及びダルトン・インベストメンツとの間における2025年3月14日付公開買付応募契約(以下「本応募契約」といいます。)の交渉状況を踏まえ、2025年2月27日開催の本特別委員会において、本特別委員会の委員について、ダルトン・インベストメンツからの独立性にも問題がないことを確認しております。
当社取締役会は、本特別委員会に対し、①本取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、②本取引に係る手続の公正性・妥当性、③本取引の条件の公正性・妥当性、④本公開買付けについて当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非、⑤上記①~④を踏まえて、当社取締役会が本取引の実施に関する決定を行うことが当社の一般株主にとって不利益でないか(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。なお、本特別委員会は、本諮問事項の検討に際しては、当社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、本取引の是非について検討及び判断するとともに、当社の一般株主の利益を図る観点から、本取引の取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討及び判断するものといたしました。また、取締役会における本取引に関する意思決定は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の意見を最大限尊重して行うこと、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、取締役会は本取引の実施を承認しないこと、及び、(a)当社が公開買付者との間で行う交渉の過程に実質的に関与すること(必要に応じて、公開買付者との交渉方針に関して指示又は要請を行うこと、及び、自ら公開買付者と交渉を行うことを含む。)、(b)本諮問事項に関する検討及び判断を行うに際し、必要に応じ、自らの財務若しくは法務等に関するアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社が負担する。)、又は、当社の財務若しくは法務等に関するアドバイザーを指名し若しくは承認(事後承認を含む。)すること、(c)必要に応じ、当社の役職員その他特別委員会が必要と認める者から本諮問事項の検討及び判断に必要な情報を受領すること、(d)その他本取引に関する検討及び判断に際して必要と特別委員会が認める事項等に関する権限を本特別委員会に付与すること、を決議いたしました。
なお、当社取締役会においては、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役全10名のうち、金田宏氏を除く取締役9名)の全員一致で当該決議を行っております。
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、2024年11月5日より2025年3月13日までの間に合計17回、合計約26時間に亘って開催されたほか、各会日間においても必要に応じて都度、電子メールや電話、Web会議等を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。
具体的には、本特別委員会は、まず、2024年11月5日、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所及び当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所についてその独立性及び専門性等に問題がないことを確認の上、その選任を承認し、2024年11月19日、当社の第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認しております。さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性及び公正性の観点から問題がないことを承認しております。
その上で、本特別委員会は、森・濱田松本法律事務所及びりそな総合研究所から受けた説明を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行い、2025年2月13日、その独立性及び専門性に問題が無いことを確認の上、本特別委員会独自の第三者算定機関としてAGS FASを選任いたしました。
なお、本特別委員会は、公開買付者及びダルトン・インベストメンツとの間における本応募契約の交渉状況を踏まえ、2025年2月27日開催の本特別委員会において、本特別委員会の委員、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所及び本特別委員会の独自の第三者算定機関であるAGS FASについて、2025年3月6日開催の本特別委員会において、当社の社内における検討体制、及び当社の第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングについて、それぞれダルトン・インベストメンツからの独立性にも問題がないことを確認しております。
その上で、本特別委員会は、本諮問事項の検討にあたり、当社から、本取引の経緯、当社の事業内容・事業環境、業績推移、主要な経営課題、本取引により当社の事業に対して想定されるメリット・デメリット等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、公開買付者らに対し、本取引を提案するに至った経緯及び理由、本取引の目的、当社の事業に関する評価、本取引の諸条件、本取引後の経営方針を含む書面による質問事項を送付し、これらの事項に対し書面での回答を受領するとともに、本取引を提案するに至った経緯及び本取引の意義・目的等に関する説明を、公開買付者らから直接受け、質疑応答を行いました。
また、本特別委員会は、公開買付者との交渉の基礎となる本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について、当社から説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認し、承認しております。その上で、上記「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」及び「④ 特別委員会における第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、当社の第三者算定機関であるプルータス・コンサルティング及び本特別委員会の独自の第三者算定機関であるAGS FASは、本事業計画の内容を前提として当社株式の価値算定を実施しており、本特別委員会は、プルータス・コンサルティング及びAGS FASから、実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認いたしました。
また、上記「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、当社はプルータス・コンサルティングから本フェアネス・オピニオンの提出を受けておりますが、本特別委員会は、プルータス・コンサルティングから、本フェアネス・オピニオンの発行手続等について説明を受け、質疑応答を行っております。
加えて、本特別委員会は、当社より、当社と公開買付者らとの間の公開買付価格を含む本取引の取引条件に係る交渉状況の説明を適時に受け、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。
また、本特別委員会は、2025年2月6日に当社が公開買付者らから最初の公開買付価格の提案を受領して以降、当社が公開買付者らから公開買付価格についての提案を受領する都度、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所から適時にその内容及び交渉経過等について報告を受け、りそな総合研究所から聴取した意見も踏まえてその内容を審議・検討するとともに、りそな総合研究所から公開買付者らとの交渉方針案並びに公開買付者らに対する回答書案について事前に説明を受けた上で、本特別委員会において交渉方針及び回答書案を協議し、必要に応じて意見を述べた上で承認し、公開買付者らとの交渉を担当するりそな総合研究所に対して指示・要請を行う等しております。その結果、当社は、同年3月13日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり3,580円とすることを含む提案を受け、結果として、計6回、最初の価格提案から15.48%(小数点以下第三位を四捨五入しております。)の価格の引き上げを受けるに至りました。
本特別委員会は、本意見表明プレスリリース等のドラフトについて、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所及びリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から説明を受け、質疑応答を行い、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年3月14日付で、当社取締役会に対し、本諮問事項につき大要以下を内容とする本答申書を提出しております。
i.答申内容
a. 本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的には合理性が認められる。
b. 本取引に係る取引条件の公正性を担保するための手続として十分な公正性担保措置が実施されており、当社の一般株主の利益を図る観点から、本取引の手続には公正性・妥当性が認められる。
c. 本公開買付けにおける買付け等の価格を含む本取引の条件は、公正性・妥当性が確保されている。
d. 当社取締役会が、本公開買付けについて賛同する旨の意見を表明するとともに、当社株主に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を表明することは適切である。
e. 上記a乃至dを踏まえて、当社取締役会が本取引の実施に関する決定(すなわち、(a)本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨の決定、並びに、(b)本取引の一環として本公開買付け後に行われる本スクイーズアウト手続による非公開化手続に係る決定)を行うことは、当社の一般株主にとって不利益でない。
ii.答申の理由
ア 本取引の目的の合理性
(ア)当社グループの事業環境
・ 本特別委員会は、上記「1.株式併合を行う目的」に記載の当社が認識する当社グループを取り巻く事業環境に関して、基本的に異論はないが、さらに本特別委員会としては、以下の観点を有していることを述べる。まず、当社グループを取り巻く事業環境に関しては、工業品合成樹脂製品分野において、当社グループの売上全体の50%以上を占めるOA分野が市場全体として縮小方向に向かうことを想定せざるを得ないところであり、加えて主要取引先企業の生産拠点が中国から東南アジアにシフトしていることへの影響を受けざるを得ない状況にある。また、当社が今後注力していく車両分野と家電分野については、現時点においては当社グループの売上シェアは低く(2023年度で車両分野11%、家電分野13%)、収益の貢献度を上げるには相応に時間がかかると考える。ハウスウエア(HW)分野においては、従前は当社の主力商品と考えられてきたハウスウエア(HW)分野の収納用品について、国内における販売数量は下降線を辿っており、今後も国内市場の拡大が見込めるとは言い難いことも踏まえると、現状の形態での大きな成長は期待し難いと考えざるを得ない。加えて、国内におけるハウスウエア(HW)分野については、不安定な原料価格の動向や物流費の高騰も続く見通しであり、それによる収益の圧迫もある中、値上げをすることで販売量がさらに落ち込むという負の流れが今後も継続することが予想される。また、海外におけるハウスウエア(HW)分野についても、いまだ販路が十分に確保されておらず、現状で、海外子会社の中には低採算に陥っており、抜本的な対策が急務である拠点が存在しており、現状のままで直ちに当社グループの収益の柱となるとは考え難いところである。
・ したがって、当社がおかれた事業環境は、それぞれの事業分野において極めて厳しい状況にあり、現状のままでは将来に対する見通しは悲観的なものにならざるを得ず、可及的速やかに再建のための抜本的な施策を実行する必要があるものと認識している旨を付言する。
(イ)当社グループの経営課題
・ 本特別委員会は、当社グループを取り巻く経営課題について、上記「1.株式併合を行う目的」に記載の当社の認識と同様の認識を有しているが、上記(ア)の事業環境の下、当社グループは、本中期経営計画に基づき、企業価値の向上に向けて経営努力を重ねているものの、本特別委員会が認識する上記(ア)の事業環境の厳しさを踏まえれば、上記の経営課題を克服する抜本的な経営改革に取り組まずして、中長期視点で企業価値の向上を図ることは難しい状況にあると考えられる。
・ そして、その難局を打開するためには、当社並びに公開買付者らが本取引後に実施することを想定する抜本的な施策にできる限り早期に手を付けることが必要と考えられる。そのためには、強いリーダーシップの下での果断な意思決定を行うことが求められており、創業家による所有と経営を一致した形での経営形態がこれになじむものと言える。
(ウ)本取引の意義(メリット)及びデメリット
・ 上記「1.株式併合を行う目的」に記載のとおり、本取引の意義(メリット)及びデメリットについては、当社が認識する内容と公開買付者らが認識する内容との間には概ね齟齬はないものと認められるところ、本特別委員会としてもその内容に異論はなく、合理的に分析されたものであると認められる。
・ 現在の当社最大の課題はROEが4%にも満たない低収益構造にあるが、DOE2.5%及び大規模な自社株買いを継続しながら、長期的な収益構造の改善を図るための抜本的な施策を実施することは極めて困難であり、構造改善のための一時的な上記株主還元策の停止若しくは縮小が市場に受け入れられることも難しいとの認識があり、上場を維持した状態では困難ないし事実上不可能であると認められる。そのため、創業家出身である金田宏氏が、当社の長期的成長のために必ずしも必要な施策とは合致しない市場からの要請に振り回されることなく、長期的視点から強力なリーダーシップを発揮することが期待できる本取引による非公開化は、当社の長期的な収益構造の改善を図るための抜本的な施策を採るために必要なものと考えられる。
・ 本特別委員会としては、本特別委員会が認識する上記(ア)の当社グループを取り巻く事業環境の厳しさを踏まえれば、当社及び公開買付者らが本取引後に実施することを想定する各施策(その内容は上記「1.株式併合を行う目的」のとおりである。)は、当社グループの企業価値向上を中長期視点で図るためには必須かつ急務のものであると考えられ、当該各施策の推進が当社株式の上場を維持した状態では困難ないし事実上不可能であると認められることからすれば、本取引による限定的な本取引のデメリットを考慮したとしても、本取引を行うことに意義(メリット)があることは明らかであって、むしろ当社グループの中長期的な企業価値向上のためには必須であると考える。
(エ)小括
・ 以上を踏まえれば、本取引は、当社グループ全体が抱える上記の経営課題を改善するために有効な選択肢であり、当社グループ全体の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的には合理性が認められる。
イ 本取引に係る手続の公正性・妥当性について
・ 本特別委員会は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立した社外取締役3名により構成される委員会であり、当社取締役会が本特別委員会の判断内容を最大限尊重して意思決定を行う仕組みが担保されており、また、本特別委員会は公正性担保措置として有効に機能するために必要な権限等が付与されていると認められる。
・ 本特別委員会は、本取引において、当社と公開買付者との間の買収価格等の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与していたと評価できる。
・ 当社は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立した第三者評価機関としてプルータス・コンサルティングを選任し、プルータス・コンサルティングから本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを取得している。
・ 当社は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、森・濱田松本法律事務所から、必要な法的助言を受けている。
・ 当社は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてりそな総合研究所を選任し、りそな総合研究所から、財務的見地からの助言を受けている。
・ 本特別委員会は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立した本特別委員会の第三者算定機関としてAGS FASを選任し、AGS FASから本株式価値算定書(AGS FAS)を取得している。
・ 当社の社内に構築した本取引の検討体制は、森・濱田松本法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性及び公正性の観点から問題がないことについて確認の上、本特別委員会の承認を得ている。
・ 当社は、公開買付者から本意向表明書を受領して以降、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、当社取締役のうち、公開買付者の代表取締役である金田宏氏について、当社株式の価値評価の基礎となる事業計画の作成過程や、当社の立場において、公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程に一切関与させないこととしており、本公開買付けに対する意見表明を審議する当社取締役会についてもその審議及び決議に金田宏氏を関与させない予定である。
・ 当社は、公開買付者との間で公開買付期間に関する合意書を締結する予定であるものの、公開買付者及び当社は、当該合意書において、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は行われない予定であり、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているといえる。
・ 本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「本公開買付期間」という。)は、法令に定められた最短期間より比較的長期間である30営業日とする予定とのことであり、公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主が本公開買付けに対する応募するか否かについて適切な判断を行う機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保していることから、間接的なマーケット・チェックが行われていると認められる。一方、当社は、市場における潜在的な買収者の有無を調査する積極的なマーケット・チェックは行っていないが、情報管理の観点等からその実施は容易ではないうえ、本取引では上記のとおり、公正性担保措置としては充実した措置が取られ、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると評価できる。
・ 公開買付者は、本公開買付けにおいてMoMの買付予定数の下限は設定していないとのことであるが、本取引においてマイノリティに含めるべきでないと思料される公開買付者、本不応募合意株主ら及び応募に合意する予定のダルトン・インベストメンツの合計所有割合の多さに鑑みれば、本公開買付けで仮にMoMの考え方を採用した場合に設定すべき買付予定数の下限値は高水準になることが想定される。かかる高水準の下限数の設定は、当社グループの企業価値の向上に資すると考えられる本取引の成立に対する阻害効果が懸念され、かえって一般株主の利益に資さないとも考え得るところであり、公開買付者による同趣旨の説明内容にも一応の合理性があると認められる。加えて、本取引では充実した公正性担保措置が取られ、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると評価できることも踏まえれば、いわゆるMoM条件が設定されていないことのみをもって、株主の適切な判断機会の確保が欠缺しているとまで解する必要はないと考えられる。
・ 当社は、りそな総合研究所及び森・濱田松本法律事務所からの助言を得て、金融商品取引法令及び東京証券取引所の適時開示基準に準拠し、経済産業省が2019年6月28日付で公表した「公正なM&Aの在り方に関する指針」を適切に考慮した、充実した情報開示を行う予定である。
・ 本取引では、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除く。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの決済完了後速やかに本スクイーズアウト手続が行われる予定であるが、当社の株主に対して株式買取請求権が確保されない手法は採用されないこと、また、一般株主が本公開買付け又は本公開買付けの成立後に行われる本スクイーズアウト手続によって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることが公表される予定であることから、本取引については強圧性の問題が生じないように配慮の上、当該スクイーズアウト手続の適法性も確保されているといえる。
・ 以上の点に加え、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、当社が公開買付者より不当な影響を受けたことを推認させる事実は認められない。なお、当社の2025年3月期通期決算発表予定日である2025年5月9日よりも前の近接した時点で公開買付期間が終了することが予定されているが、公開買付期間に関する合意書において、本公開買付期間において、当社が当社の株主において本公開買付けに対する応募の是非を判断するために重要な投資情報であると合理的に判断する情報の発生又は発生可能性を認識した場合、一定の場合には、当社は当該情報を開示することができるとともに、公開買付者が当社の要請に基づき本公開買付期間を延長することが定められる予定であることからすれば、当社の株主が本公開買付けに対する応募するか否かについて適切な判断を行うための機会は確保されているということができるから、当社の2025年3月期通期決算発表予定日である2025年5月9日よりも前の近接した時点で終了するよう設定された本公開買付期間についても公正性を疑わせるものとはいえない。
以上の点より、本取引に係る取引条件の公正性を担保するための手続として十分な公正性担保措置が実施されており、当社の一般株主の利益を図る観点から、本取引の手続には公正性が認められる。
ウ 本取引の条件の公正性・妥当性について
・ 本特別委員会は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立した当社の第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングから、算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けた上で、質疑応答を行い、その内容の検討を行った。その結果、プルータス・コンサルティングの株式価値の算定手法である市場株価法、類似会社比較法及びDCF法は、現在の実務に照らして一般的、合理的な手法であると考えられ、また、DCF法における事業用資産と非事業用資産の分類の方法、法人税等の計算方法、割引率の根拠や継続価値の算定方法の考え方に関する説明も合理的であって、その算定内容も現在の実務に照らして妥当なものであると考えられる。したがって、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)の算定内容は、合理的なものであると考えられる。
・ 本特別委員会は、公開買付者、本不応募合意株主ら、ダルトン・インベストメンツ及び当社から独立した本特別委員会の第三者算定機関であるAGS FASから、算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けた上で、質疑応答を行い、その内容の検討を行った。その結果、AGS FASの株式価値の算定手法である市場株価法、類似会社比較法及びDCF法は、現在の実務に照らして一般的、合理的な手法であると考えられ、また、DCF法における事業用資産と非事業用資産の分類の方法、法人税等の計算方法、割引率の根拠、必要運転資金の考え方に関する説明も合理的であって、その算定内容も現在の実務に照らして妥当なものであると考えられる。したがって、本株式価値算定書(AGS FAS)の算定内容は、合理的なものであると考えられる。
・ DCF法の算定の基礎となっている事業計画について、2024年11月19日開催の本特別委員会において、公開買付者に対して提示する本事業計画が、公開買付者及び本不応募合意株主らから独立した者により作成されていることを確認するとともに、本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受け、その合理性について確認の上、承認している。前述したとおり、当社グループを取り巻く事業環境に関しては、当社グループの売上全体の50%以上を占めるOA分野が市場全体として縮小方向に向かうことを想定せざるを得ず、また主要取引先企業の生産拠点が中国から東南アジアにシフトしていることへの影響を受けざるを得ない状況にある。ハウスウエア(HW)分野においても国内においては、今後も市場の拡大が見込めるとは言い難く、現状の形態での大きな成長は期待し難いと考えざるを得ない。海外におけるハウスウエア(HW)分野についても、いまだ販路が十分に確保されてはおらず、現状のままで直ちに当社グループの収益の柱となるとは考え難い。国内事業における不安定な原料価格の動向や物流費の高騰よる収益圧迫要因は今後も続くことが想定される。これらの当社がおかれた厳しい事業環境を前提とすれば、事業計画については売上高及び営業利益ともに将来に向けて大幅な伸びを期待することはできないものと言え、2024年12月期の実績値として売上高760億円・営業利益15.9億円であるところから、2029年3月期で売上高1,115億円・営業利益52億円に達する計画となっている本事業計画は、むしろ当社の一般株主の利益確保という観点からすれば、合理性の高いものであると考えられる。
・ 上記のとおり、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本株式価値算定書(AGS FAS)における市場株価法及びDCF法による算定の基礎とされている本事業計画の作成手続及び内容に特段不合理な点は認められないところ、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)における当社株式の株式価値評価に照らすと、本公開買付価格は、市場株価法及び類似会社比較法による算定結果のレンジの上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回っていることから、当社の一般株主が享受すべき利益として合理的な水準であると認められる。また、本株式価値算定書(AGS FAS)における当社株式の株式価値評価に照らすと、本公開買付価格は、市場株価法による算定結果のレンジの上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回っていることから、当社の一般株主が享受すべき利益として合理的な水準であると認められる。
・ 当社はプルータス・コンサルティングから本フェアネス・オピニオンを取得しており、プルータス・コンサルティングは、本公開買付価格が、当社の一般株主にとって財務的な観点から公正である旨の意見を述べている。
・ 本フェアネス・オピニオンは、財務に関する高度の専門性を有するプルータス・コンサルティングが、独立した立場において、当社から、事業の現状、将来の事業計画等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けた上で実施した当社株式の株式価値算定の算定結果に加えて、本公開買付の概要、背景及び目的に係る当社との質疑応答、プルータス・コンサルティングが必要と認めた範囲内での当社の事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びにプルータス・コンサルティングにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行されたものであり、不合理な点は見当たらない。また、上記のとおり、本フェアネス・オピニオンの提出にあたって参考とされたプルータス・コンサルティングによる株式価値算定の方法及び内容についても不合理な点は認められない。したがって、本特別委員会は本フェアネス・オピニオンの発行手続及び内容についても不合理な点は認められないものと考える。
・ 本公開買付価格である3,580円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年3月13日を基準として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値2,620円に対する36.64%、同直近1ヶ月の終値単純平均2,641円に対して35.55%、同直近3ヶ月の終値単純平均2,755円に対して29.95%、同直近6ヶ月の終値単純平均2,816円に対して27.13%のプレミアムがそれぞれ加算された金額であり、当該プレミアム水準は、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」が発表された2019年6月28日以降に公表され、2025年1月31日までに公開買付けが成立した非公開化を目的としたMBO案件(但し、対象者が債務超過であるものやディスカウント価格での公開買付け事案は除く。)74例における各プレミアムの中央値との比較においては必ずしも高い水準とは評価できないものの、当社を取り巻く厳しい事業及び経営環境を踏まえた当社グループの企業価値にとっての本取引の必要性の高さに照らせば、他のMBO案件におけるプレミアムのレンジの中央値と同水準のプレミアムでなければ本取引を実施すべきではないと直ちに判断することが必ずしも適切ではなく、そのような環境を反映する本事業計画を基に算定された本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本株式価値算定書(AGS FAS)における当社株式価値算定結果と照らしても不合理ではないと考えられる上、本公開買付価格が、上記のとおり、公表日前営業日である基準日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対してそれぞれ25.00%以上となるプレミアムが付されたものであり、一定の水準には至っていると考えられる。
・ 当社及び本特別委員会は、公開買付者らとの間で、継続的に協議・交渉を行ってきたところ、当社及び本特別委員会と公開買付者らとの間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われたものと評価できる。
・ 本取引においては、公開買付者らから、一段階目として公開買付けを行い、二段階目として株式併合を行うという二段階買収の方法が提案されたが、当該方法は、この種の非公開化取引、特に相互に繋がりの強い一定水準以上の既存株主を引き続き対象者の株主として維持する方法による非公開化取引においては一般的に採用されている合理的な方法であり、かつ、一般株主が本公開買付け又は本公開買付けの成立後に行われる株式併合によって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることが公表される予定であり、当社株主においては株式買取請求後の価格決定の申立てを行うことにより株式の価格を争うことも可能である。なお、完全子会社化を行う取引の手法としては、株式交換も考えられるが、公開買付者は非公開会社であり、対価として公開買付者の株式を用いることはできず、また、現金を対価とする株式交換は、税務上の観点から非効率であることから、株式交換の方法を選択することは合理的ではないと考えられる。よって、本取引の方法に不合理な点は認められない。
以上の点より、当社の一般株主の利益を図る観点から、本公開買付けにおける買付け等の価格を含む本取引の取引条件の公正性・妥当性は確保されていると判断するに至った。
エ 本公開買付けについて当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非について
上記アのとおり、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的には合理性が認められる。また、上記イのとおり、公正かつ妥当な手続も履践されていることから、当社の一般株主の利益への十分な配慮がなされているものと認められ、上記ウのとおり、買付け等の価格を含む本取引の条件の公正性・妥当性は確保されている。
したがって、本特別委員会は、当社取締役会が、本公開買付けについて賛同する旨の意見を表明するとともに、当社株主に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を表明することは適切であると考える。
オ 上記ア乃至エを踏まえて、当社取締役会が本取引の実施に関する決定を行うことが当社の一般株主にとって不利益でないかについて
上記アのとおり、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的には合理性が認められる。また、上記イのとおり、公正かつ妥当な手続も履践されていることから、当社の一般株主の利益への十分な配慮がなされており、上記ウのとおり、買付け等の価格を含む本取引の条件の公正性・妥当性は確保されている。
したがって、当社取締役会が本取引についての決定(すなわち、(a)本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨の決定、及び、(b)本取引の一環として本公開買付け後に行われる本スクイーズアウト手続による非公開化手続に係る決定)をすることは、当社の一般株主にとって不利益なものではないと考える。
⑥ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、本取引の公正性、透明性及び客観性を担保するために、公開買付者及び本不応募合意株主らから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。
当社は、2024年10月15日付で、公開買付者から本意向表明書を受領して以降、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付者の代表取締役である金田宏氏について、当社株式の価値評価の基礎となる本事業計画の作成過程や、当社の立場において、公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程に関与させないこととしております。また、当該検討体制は、全て公開買付者、本不応募合意株主ら及びダルトン・インベストメンツから独立性の認められる役職員13名(金田宏氏を除く全取締役9名及び従業員4名)のみで構成することとし、本日に至るまでかかる取扱いを継続しております。
また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制、具体的には本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する役職員の範囲及びその職務(当社に株式価値の評価の基礎となる本事業計画の作成等高い独立性が求められる職務を含みます。)は、森・濱田松本法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性の観点から問題がないことについて、本特別委員会の承認を得ております。
⑦ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認
当社は、りそな総合研究所及びプルータス・コンサルティングから受けた財務的見地からの助言、プルータス・コンサルティングから2025年3月13日付で提出を受けた本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンの内容、並びに森・濱田松本法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、2025年3月14日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役全10名のうち、金田宏氏を除く当社の取締役9名)の全員一致で、公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格(3,580円)を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
そして、上記のとおり、本公開買付けが成立したため、当社は、公開買付者らから要請を受け、上記の検討を踏まえ、2025年6月13日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役全10名のうち、金田宏氏を除く当社の取締役9名)の全員一致で、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を最終的に公開買付者及び本不応募合意株主らのみとすることに向け、本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
⑧ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、本公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しているとのことです。公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切な判断を行う機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
4.本株式併合がその効力を生ずる日
2025年8月20日(水)(予定)
以 上